JP2014136490A - 自動車の車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繊維強化樹脂部材のコーナー部の成形性を維持しながら応力集中による亀裂の発生を防止する。
【解決手段】 繊維強化樹脂部材のコーナー部a,bは少なくとも中央部の層のUD91が切断されずに連続しており、コーナー部a,bの表面にカーボンファイバーの織物92を含む繊維強化樹脂のパッチ93を積層して補強したので、応力集中が発生し易いコーナー部a,bをパッチ93で補強して層間剥離を抑制することができる。特に、コーナー部a,bの外側ではパッチ93が伸び易くなって成形性が向上し、かつコーナー部a,bの内側ではパッチ93の圧縮荷重に対する強度が増加することで、亀裂の発生を効果的に防止することができる。またパッチ93を積層した分だけ肉厚が増加することで最大剪断荷重を低減することができ、しかも最大剪断荷重が発生する中央部の層はUD91が切断されずに連続しているために層間剥離の発生が抑制される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、自動車のバスタブ状のキャビンを複数層に積層したカーボンファイバーのUDを含む繊維強化樹脂部材で構成した自動車の車体構造に関する。
自動車の車体フロアを繊維強化樹脂でRTM成形する際に、フロアトンネル部に対応する1枚のプリプレグの車幅方向外側縁に、左右のフロアパネル部に対応する2枚のプリプレグの車幅方向内側縁を重ね合わせて一体化するものが、下記特許文献1により公知である。
また0°方向および90°方向に配向した強化繊維を含む第1、第2のプリプレグの端部どうしを重ねて接ぎ合わせる際に、第1のプリプレグの0°方向の強化繊維と、第2のプリプレグの0°方向の強化繊維とが接するように重ね合わせて一体化するものが、下記特許文献2により公知である。
また繊維強化樹脂のパネルの端縁どうしを重ね合わせた部分に更に接続用繊維材を重ね合わせたものをフィルム状のバキュームパックで覆い、バキュームパックの内部に反応樹脂材料を吸引して硬化させることで平滑で強度の高いパネルを得るものが、下記特許文献3により公知である。
特開2010−155403号公報 特開2009−062483号公報 特開2006−218821号公報
ところで、金型内に複数のプリプレグを配置して繊維強化樹脂部材を成形するとき、金型のキャビティの形状に沿うようにプリプレグを賦形する必要があり、そのために平坦なプリプレグを切断した端縁、つまりUDの不連続部が繊維強化樹脂部材のコーナー部の近傍に配置される。
しかしながら、繊維強化樹脂部材のコーナー部は外力によって応力集中が発生し易いため、コーナー部にUDの不連続部が位置していると、その不連続部を基点にして繊維強化樹脂部材が層間剥離して亀裂の原因となる問題がある。この亀裂の発生を防止するために、UDの不連続部の位置をコーナー部からずらすと、コーナー部においてプリプレグに皺がよって成形性が低下する問題がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、繊維強化樹脂部材のコーナー部の成形性を維持しながら応力集中による亀裂の発生を防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自動車のバスタブ状のキャビンを複数層に積層したカーボンファイバーのUDを含む繊維強化樹脂部材で構成した自動車の車体構造であって、前記繊維強化樹脂部材のコーナー部は少なくとも積層方向中央部の層のUDが切断されずに連続しており、前記コーナー部の内表面および外表面にカーボンファイバーの織物を含む繊維強化樹脂のパッチを積層して補強したことを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記複数層に積層したUDはカーボンファイバーの配向方向が0°のもの、+60°のものおよび−60°のものを含むことを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記パッチの織物はカーボンファイバーの配向方向が+45°のものおよび−45°のものを含むことを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記複数層に積層したUDのうち、少なくとも前記パッチに隣接する層のUDが不連続部を有することを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記パッチは前記コーナー部の稜線に沿って帯状に積層されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、金属製の被取付部材が前記繊維強化樹脂部材に固定され、前記コーナー部は前記被取付部材の近傍に位置することを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、被取付部材が締結される金属製のインサート部材が二つの前記繊維強化樹脂部材間に挟持され、前記コーナー部は前記インサート部材の近傍に位置することを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
尚、実施の形態のサスペンション支持モジュール12およびシート74は本発明の被取付部材に対応し、実施の形態のインナースキン19およびアウタースキン20は本発明の繊維強化樹脂部材に対応し、実施の形態の後部インサート部材83は本発明のインサート部材に対応する。
請求項1の構成によれば、自動車のバスタブ状のキャビンは複数層に積層したカーボンファイバーのUDを含む繊維強化樹脂部材で構成される。繊維強化樹脂部材のコーナー部は少なくとも積層方向中央部の層のUDが切断されずに連続しており、コーナー部の内表面および外表面にカーボンファイバーの織物を含む繊維強化樹脂のパッチを積層して補強したので、応力集中が発生し易いコーナー部をパッチで補強して層間剥離を抑制し、コーナー部に亀裂が発生するのを防止することができる。特に、コーナー部の湾曲方向外側ではパッチが伸び易くなって成形性が向上し、かつコーナー部の湾曲方向内側ではパッチの圧縮荷重に対する強度が増加することで、亀裂の発生を効果的に防止することができる。またコーナー部の最大剪断荷重は積層方向中央部において発生するが、パッチを積層した分だけ肉厚が増加することで最大剪断荷重を低減することができ、しかも最大剪断荷重が発生する積層方向中央部の層はUDが切断されずに連続しているために層間剥離の発生が抑制される。
また請求項2の構成によれば、複数層に積層したUDはカーボンファイバーの配向方向が0°のもの、+60°のものおよび−60°のものを含むので、UDの方向性を相殺して高強度の繊維強化樹脂部材を得ることができる。
また請求項3の構成によれば、パッチの織物はカーボンファイバーの配向方向が+45°のものおよび−45°のものを含むので、コーナー部の湾曲方向外側ではパッチが更に伸び易くなって成形性が向上するだけでなく、コーナー部の湾曲方向内側では圧縮荷重に対するパッチの強度が更に増加する。
また請求項4の構成によれば、複数層に積層したUDのうち、少なくともパッチに隣接する層のUDが不連続部を有するので、UDを金型のキャビティの形状に馴染ませてコーナー部を容易に成形することが容易になるだけでなく、パッチに隣接する層のUDは繊維強化樹脂部材の厚さ方向外側に位置して厚さ方向中央よりも剪断荷重が低くなり、かつUDの不連続部がパッチにより補強されるため、UDの不連続部が亀裂の基点になることがない。
また請求項5の構成によれば、パッチはコーナー部の稜線に沿って帯状に積層されるので、パッチの面積を最小限に抑えて重量の増加を抑制することができる。
また請求項6の構成によれば、金属製の被取付部材が繊維強化樹脂部材に固定され、コーナー部は被取付部材の近傍に位置するので、被取付部材からコーナー部に荷重が伝達されても、補強されたコーナー部に亀裂が発生することが防止される。しかも被取付部材側にコーナー部の亀裂を防止する構造を付加する必要がないので、コストアップを最小限に抑えることができる。
また請求項7の構成によれば、被取付部材が締結される金属製のインサート部材が二つの繊維強化樹脂部材間に挟持され、コーナー部はインサート部材の近傍に位置するので、被取付部材からインサート部材を介してコーナー部に荷重が伝達されても、補強されたコーナー部が破損することが防止される。しかも被取付部材側にコーナー部の亀裂を防止する構造を付加する必要がないので、コストアップを最小限に抑えることができる。
自動車のCFRP製のキャビンの斜視図。 図1の2方向矢視図。 図1の3方向矢視図。 図2の4−4線断面図。 コーナー部の断面構造を示す模式図。 UDおよび織物の歪みに対する剪断荷重の関係を示すグラフ。 コーナー部における剪断荷重の積層方向の分布を示す図。
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書における前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向は、運転席に着座した運転者を基準としている。
先ず、図1〜図4に基づいて、本発明が適用される自動車の車体フレームの構造を説明する。
図1および図2に示すように、自動車の車体フレームはカーボン繊維強化樹脂(CFRP)でバスタブ状に形成したキャビン11と、キャビン11の前端に接続されたアルミニウム合金の鋳造部品である左右一対のサスペンション支持モジュール12,12と、サスペンション支持モジュール12,12の前端から前方に延びるアルミニウム合金の押出し材よりなる左右一対のフロントサイドフレーム前部13,13と、フロントサイドフレーム前部13,13の前端に支持されたCFRP製のフロントエンドモジュール14と、フロントエンドモジュール14の左右両端から後上方に延びるCFRP製の左右一対のロアメンバ15,15と、ロアメンバ15,15の後端から後上方に延びてキャビン11の前端に接続されたCFRP製の左右一対のアッパーメンバ16,16と、キャビン11の後部上面に立設されたCFRP製のロールバー17と、ロールバー17を後方から支えて補強するCFRP製の左右一対のステー18,18とを備える。
キャビン11はインナースキン19およびアウタースキン20を上下に接合した中空構造であり、前端のダッシュパネル21と、ダッシュパネル21の車幅方向両端から後方に延びる左右一対のサイドシル22,22と、サイドシル22,22の後端から後上方に延びる左右一対のリヤサイドフレーム23,23と、リヤサイドフレーム23,23の後端間を車幅方向に接続するリヤエンドクロスメンバ24と、ダッシュパネル21および左右のサイドシル22,22を接続するフロントフロアパネル25と、フロントフロアパネル25の後端から立ち上がるキックアップ部26と、キックアップ部26の上端から後方に延びてリヤサイドフレーム23,23およびリヤエンドクロスメンバ24に接続するリヤフロアパネル27とを備える。
インナースキン19およびアウタースキン20は、ダッシュパネル21、左右のサイドシル22,22、左右のリヤサイドフレーム23,23およびリヤエンドクロスメンバ24の外周を取り囲むように延びる接合フランジ19a,20aを備えており、両接合フランジ19a,20aは接着、溶着、リベット等で接合される。フロントフロアパネル25は、インナースキン19およびアウタースキン20間に挟持された波板よりなる左右のコア材42,42を備える(図4参照)。またダッシュパネル21の傾斜壁37および鉛直壁38は、インナースキン19およびアウタースキン20間に挟持された波板状のコア材43を備える(図3参照)。
フロントエンドモジュール14は、車幅方向に延びるバンパービーム28と、バンパービーム28の車幅方向両端部から後方に延びてフロントサイドフレーム前部13,13の前端に接続される左右一対のバンパービームエクステンション29,29と、バンパービームエクステンション29,29間に支持された枠状のフロントバルクヘッド30とを備える。各々のサスペンション支持モジュール12は、フロントサイドフレーム前部13の後端とダッシュパネル21の前面とに接続されたフロントサイドフレーム後部31と、フロントサイドフレーム後部31から車幅方向外側かつ上方に延びてダッシュパネル21の前面に接続されたダンパーハウジング32とを一体に備える。ダッシュパネル21の左右両端部は、サイドシル22,22の前端から上方に立ち上がる左右一対のフロントピラーロア前部33,33を構成する。フロントピラーロア前部33,33の後面に左右一対の金属製のフロントピラーロア後部34,34および左右一対の金属製のフロントピラーアッパー35,35が接続され、左右のフロントピラーアッパー35,35の上端間が車幅方向に延びる金属製のフロントルーフアーチ36で接続される。
ダッシュパネル21の傾斜壁37およびフロントフロアパネル25の上下面を構成するインナースキン19およびアウタースキン20の車幅方向中央部から、前後方向に延びるフロアトンネル39が上方に隆起する。またフロントフロアパネル25の上面を構成するインナースキン19から、フロアトンネル39に交差して車幅方向に延びるフロントクロスメンバ40およびリヤクロスメンバ41が上方に隆起する。一方、リヤフロアパネル27は、インナースキン19およびアウタースキン20が共に平坦に形成される。
フロアトンネル39の左側および右側のフロントフロアパネル25上にそれぞれシート74が配置される。各々のシート74は、フロントクロスメンバ40およびリヤクロスメンバ41間を接続するように架設された左右一対のシートレール75,75上に、前後移動可能に支持される。
図3から明らかなように、サスペンション支持モジュール12は、フロントサイドフレーム後部31の4カ所と、ダンパーハウジング32の3カ所とでダッシュパネル21前面に締結される。即ち、ダッシュパネル21の内部には何れもアルミニウムの押出し材よりなる第1、第2補強部材57,58が予めインサートされている。第1補強部材57は矩形状の平坦な部材であり、その角部に2個のボルト孔57a,57aと2個の雌ねじ孔57b,57bとが形成される。第2補強部材58は三角形状の平坦な部材であり、その角部に3個のボルト孔58a…が形成される。一方、サスペンション支持モジュール12のフロントサイドフレーム後部31の後端には、2個の雌ねじ孔31a,31aと2個のボルト孔31b,31bとが形成され、サスペンション支持モジュール12のダンパーハウジング32の後端には3個の雌ねじ孔32a…が形成される。
そして第1補強部材57の2個のボルト孔57a,57aを後から前に貫通する2本のボルト59,59をフロントサイドフレーム後部31の2個の雌ねじ孔31a,31aに螺合し、フロントサイドフレーム後部31の2個のボルト孔31b,31bを前から後に貫通する2本のボルト60,60を第1補強部材57の2個の雌ねじ孔57b,57bに螺合し、第2補強部材58の3個のボルト孔58a…を後から前に貫通する3本のボルト61…をダンパーハウジング32の3個の雌ねじ孔32a…に螺合することで、サスペンション支持モジュール12がダッシュパネル21の前面に締結される。
このようにしてサスペンション支持モジュール12をダッシュパネル21の鉛直壁38に固定したとき、その鉛直壁38の固定部の近傍には、ホイールハウス20bとの間のコーナー部aやダッシュパネル21の傾斜壁37との間のコーナー部aが位置している。このコーナー部aではキャビン11のアウタースキン20が強く屈曲するため、サスペンション支持モジュール12から大きな荷重が入力したときに応力集中が発生し、繊維強化樹脂が層間剥離して亀裂が発生し易いという問題がある。
図4に示すように、シート74は、シートクッション76と、シートクッション76の後端にピボット77を介してリクライニング可能に支持されたシートバック78とを備えており、シートクッション76の下面を支持するシートフレーム79の下面に設けた前後一対のスライダ80,80が、各シートレール75に前後摺動自在に支持される。シートレール75の前端を前下方に折り曲げた前部取付部75aが、フロントクロスメンバ40に設けた前部インサート部材81にボルト82で締結され、シートレール75の後端下面に設けた後部取付部75bが、リヤクロスメンバ41に設けた後部インサート部材83にボルト84で締結される。
即ち、インナースキン19の一部を上方に膨出させたフロントクロスメンバ40は、前壁40a、上壁40bおよび後壁40cを有して車幅方向に延びており、前部インサート部材81はフロントクロスメンバ40の前壁40aに固定される。前部インサート部材81は、フロントクロスメンバ40の前壁40aの裏面に嵌合する本体部85と、フロントクロスメンバ40の前壁40aのを挟んで前記本体部85に圧入されるワッシャ86とで構成される。そしてシートレール75の前部取付部75a、ワッシャ86およびフロントクロスメンバ40の前壁40aを貫通するボルト82を本体部85に螺合することで、シートレール75の前部がフロントクロスメンバ41に固定される。
またインナースキン19の一部を上方に膨出させたリヤクロスメンバ41は、前壁41a、上壁41bおよび後壁41cを有して車幅方向に延びており、後部インサート部材83はリヤクロスメンバ41の上壁41bと、その下方に対向するアウタースキン20とに固定される。後部インサート部材83は、リヤクロスメンバ41の前壁41a、上壁41bおよび後壁41cの裏面に嵌合し、かつアウタースキン20の上面(裏面)に当接する本体部87と、リヤクロスメンバ41の上壁41bを挟んで前記本体部87に圧入されるワッシャ88とで構成される。そしてシートレール75の後部取付部75b、ワッシャ88およびリヤクロスメンバ41の上壁41bを貫通するボルト84を本体部87に螺合するとともに、アウタースキン20を貫通するボルト89…を本体部87に螺合することで、シートレール75の後部がリヤクロスメンバ41に固定される。
このようにしてシート74をフロントフロアパネル25に固定したとき、後部インサート部材83の後方に近接する位置に、フロントフロアパネル25およびキックアップ部26の境界となるアウタースキン20にコーナー部bが形成される。コーナー部bではアウタースキン20がクロスメンバ90の下面および後面に巻き付くように屈曲しており、後部インサート部材83から大きな荷重が入力したときに応力集中が発生し、繊維強化樹脂が層間剥離して亀裂が発生し易いという問題がある。
さて、本実施の形態のキャビン11のインナースキン19およびアウタースキン20は、CFRPの連続繊維よりなる補強材に熱可塑性樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ポリプロピレン等)を含浸した複数枚のプリプレグを予備加熱した状態で金型内に挿入し、加圧後に冷却することで成形される。プリプレの補強材には,カーボン繊維の連続繊維を一方向に引き揃えたUDと、カーボン繊維の連続繊維を織った織物とが存在する。
図5はCFRP製のアウタースキン20のコーナー部a,bの断面構造を模式的に示すもので、本実施の形態ではアウタースキン20のコーナー部a,bが繊維層ナンバー1〜16が付された16層の繊維層を備える。
コーナー部a,bの屈曲方向外側に位置する繊維層ナンバー1,2の繊維層は第1プリプレグP1から成形されるもので、−45°の方向に配向された繊維層ナンバー1の連続繊維と、+45°の方向に配向された繊維層ナンバー2の連続繊維とが平織に織られた織物92を補強材とする繊維強化樹脂製のパッチ93を構成する。同様に、コーナー部a,bの屈曲方向内側に位置する繊維層ナンバー15,16の繊維層は第6プリプレグP6から成形されるもので、−45°の方向に配向された繊維層ナンバー15の連続繊維と、+45°の方向に配向された繊維層ナンバー16の連続繊維とが平織に織られた織物92を補強材とする繊維強化樹脂製のパッチ93を構成する。
これらのパッチ93,93は帯状に形成され、その長手方向をコーナー部a,bの稜線の方向(図5の紙面に直交する方向)に沿わせて積層される。尚、本明細書において±0°の方向とは、図5の紙面に沿う方向(コーナー部a,bの稜線の方向に直交する方向)として定義される。
第1プリプレグP1の屈曲方向内側に位置する第2プリプレグP2は繊維層ナンバー3,4,5の繊維層を含むもので、繊維層ナンバー3の繊維層は+60°方向に配向されたUD91からなり、繊維層ナンバー4の繊維層は−60°方向に配向されたUD91からなり、繊維層ナンバー5の繊維層は0°方向に配向されたUD91からなる。同様に、第3プリプレグP3、第4プリプレグP4および第5プリプレグP5は、何れも0°方向、+60°方向および−60°方向に配向された各3層のUD91…を含んでいる。
第2〜第5プリプレグP2〜P5は各々不連続部91aを有しており、不連続部91aでUD91…が切断されている。これらの不連続部91a…は、第2〜第5プリプレグP2〜P5を金型内に配置する際に、その形状がキャビティの形状の大まかに一致するように第2〜第5プリプレグP2〜P5を切断して賦形するために発生するものである。
第2〜第5プリプレグP2〜P5のうち、積層方向中間に位置する第3、第4プリプレグP3,P4の不連続部91a,91aはコーナー部a,bから外れた位置に配置され、かつ積層方向端部に位置する第5プリプレグP5の不連続部91aもコーナー部a,bから外れた位置に配置される。本実施の形態では、第2プリプレグP2の不連続部91aだけがコーナー部a,bに配置されるが、第2プリプレグP2は積層方向中間に位置するものではなく、パッチ93を構成する第1プリプレグP1に接するように積層方向端部に位置している。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
車両が前面衝突してフロントサイドフレーム後部31およびダンパーハウジング32を備えるサスペンション支持モジュール12に衝突荷重が入力すると、その衝突荷重はキャビン11の鉛直壁38に伝達されてアウタースキン20のコーナー部a(図3参照)に応力が集中する。また前面衝突による減速度によりシート74に大きな慣性力が作用すると、その慣性力は後部インサート部材83に伝達され、その後部インサート部材83の近傍に位置するアウタースキン20のコーナー部b(図4参照)に応力が集中する。
コーナー部a,bにおいて、複数層に積層されたカーボンファイバーのUD91…を補強材として含むアウタースキン20の外表面および内表面に、織物92,92を補強材として含むパッチ93,93を積層して補強したので(図5参照)、応力集中が発生し易いコーナー部a,bをパッチ93,93で補強して層間剥離を抑制し、コーナー部a,bに亀裂が発生するのを防止することができる。
図6はUD91および織物92の歪みに対する剪断荷重の関係を示すグラフであって、UD91は歪みの増加に伴って剪断荷重がリニアに増加するのに対し、織物92は歪みの増加に伴う剪断荷重の増加が次第に緩やかになり、UD91に比べて容易に変形可能であることが分かる。またカーボンファイバーが相互に90°の角度で交差するように織られた織物92は、織られていないUD91に比べて従って圧縮荷重に対する強度も高くなる。従って、コーナー部a,bの湾曲方向外側ではパッチ93,93が伸び易くなって成形性が向上し、かつコーナー部a,bの湾曲方向内側ではパッチ93,93の圧縮荷重に対する強度が増加することで、亀裂の発生を効果的に防止することができる。
図7はコーナー部a,bの断面構造を模式的に示すものである。コーナー部a,bに曲げモーメントが加わったときの剪断荷重の分布は放物線状になり、その最大剪断荷重は積層方向の中央に発生する。パッチ93,93を持たないために薄くなった比較例の剪断荷重の分布はAのようになり、パッチ93,93を持つために厚くなった実施の形態の剪断荷重の分布はBのようになるため、積層方向の中央に発生する最大剪断荷重は実施の形態の方が大幅に低減する。しかも最大剪断荷重が発生する積層方向中央部の層はUD91…が切断されずに連続しているため、層間剥離の発生が抑制されてコーナー部a,bの亀裂が一層効果的に防止される。
またUD91…はカーボンファイバーの配向方向が0°のもの、+60°のものおよび−60°のものを含むので、UD91…の方向性を相殺して高強度の繊維強化樹脂部材を得ることができる。一方、パッチ93,93の織物92,92はカーボンファイバーの配向方向が+45°のものおよび−45°のものを含むので、コーナー部a,bの湾曲方向外側ではパッチ93,93が更に伸び易くなって成形性が向上するだけでなく、コーナー部a,bの湾曲方向内側では圧縮荷重に対するパッチの強度が更に増加する。
また4層に積層したUD91…のうち、少なくとも湾曲方向外側のパッチ93に隣接する1層のUD91(図5のプリプレグP2)がコーナー部a,bに不連続部91aを有するので、UD91…を金型のキャビティに馴染ませてコーナー部a,bを容易に成形することができる。しかもパッチ93に隣接する前記UD91は積層方向端部に位置するので積層方向中央のものよりも剪断荷重が低くなり、かつ前記UD91の不連続部91aがパッチ93により補強されるため、前記UD91の不連続部91aが亀裂の基点になることがない。
またパッチ93,93はコーナー部a,bの稜線に沿って帯状に積層されるので、パッチ93,93の面積を最小限に抑えて重量の増加を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態ではコーナー部a,bのUD91…は4層に積層されているが、その積層数は4層に限定されず、3層以上であれば良い。
また実施の形態では積層方向端部に位置する第2、第5プリプレグP2,P5のうち、第2プリプレグP2だけがコーナー部a,bに不連続部91aを有しているが、第5プリプレグP5だけ、あるいは第2、第5プリプレグP2,P5の両方がコーナー部a,bに不連続部91aを有していても良い。
11 キャビン
12 サスペンション支持モジュール(被取付部材)
19 インナースキン(繊維強化樹脂部材)
20 アウタースキン(繊維強化樹脂部材)
74 シート(被取付部材)
83 後部インサート部材(インサート部材)
91 UD
91a 不連続部
92 織物
93 パッチ
a コーナー部
b コーナー部

Claims (7)

  1. 自動車のバスタブ状のキャビン(11)を複数層に積層したカーボンファイバーのUD(91)を含む繊維強化樹脂部材(19,20)で構成した自動車の車体構造であって、 前記繊維強化樹脂部材(19,20)のコーナー部(a,b)は少なくとも積層方向中央部の層のUD(91)が切断されずに連続しており、前記コーナー部(a,b)の内表面および外表面にカーボンファイバーの織物(92)を含む繊維強化樹脂のパッチ(93)を積層して補強したことを特徴とする自動車の車体構造。
  2. 前記複数層に積層したUD(91)はカーボンファイバーの配向方向が0°のもの、+60°のものおよび−60°のものを含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動車の車体構造。
  3. 前記パッチ(93)の織物(92)はカーボンファイバーの配向方向が+45°のものおよび−45°のものを含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車の車体構造。
  4. 前記複数層に積層したUD(91)のうち、少なくとも前記パッチ(93)に隣接する層のUD(91)が不連続部(91a)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
  5. 前記パッチ(93)は前記コーナー部(a,b)の稜線に沿って帯状に積層されることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
  6. 金属製の被取付部材(12)が前記繊維強化樹脂部材(20)に固定され、前記コーナー部(a,b)は前記被取付部材(12)の近傍に位置することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
  7. 被取付部材(74)が締結される金属製のインサート部材(83)が二つの前記繊維強化樹脂部材(19,20)間に挟持され、前記コーナー部(b)は前記インサート部材(83)の近傍に位置することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
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