JP2014128262A - 接合能を持つ酵母細胞株のスクリーニング方法 - Google Patents

接合能を持つ酵母細胞株のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】胞子を形成し、発芽させることにより、交雑育種のために必要な接合能を持つ酵母細胞株の取得の困難な醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母にも適用することができ、該酵母細胞集団から酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、効果的に酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法を提供すること。
【解決手段】接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株を、該接合能を持つ酵母細胞株の性フェロモンの放出を、性フェロモン感受性酵母を用いて検出して、接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、単離する。本発明の方法によって取得した接合能を持つ細胞株は、交雑育種の親株に利用することができ、従来、交雑育種の方法を採ることが困難であった実用酵母の場合において、該方法により、優良特性を持つ酵母の育種が可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法、特に、交雑育種のために必要な接合能を持つ酵母細胞株の取得の困難な醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母にも適用することができ、該酵母細胞集団から酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、有効に酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法に関する。
酵母は、酒類等の醸造や、パン類のような食品の製造に実用されており、これらの実用酵母は、その使用菌株の特性が、製造される飲食品の香味特性に大きな影響を与える。そのため、旧来より、優良特性を有する酵母菌株の選択や、新しい特性の酵母の創成が試みられ、そのための育種が行われてきた。菌類の育種法としては、紫外線や放射線等を用いた人偽的な突然変異を誘発する突然変異育種法が古くから用いられてきたが、しかし、実用酵母の多くは二倍体或いは四培体といった二倍体以上の倍数性を持つことから、突然変異の出現する頻度が低く、実際的な育種法としては使用することが難しいという問題があった。また、菌類の様々な育種方法が知られている中で、実用酵母株の育種法として、交雑育種法は古くから用いられている手法であり、両親の優良な形質をあわせ持つ株を育種したい場合に有効な技術であった。
酵母には、性別に相当するa型、α型、及びa/α型の3種類の接合型が知られている。このうち、a/α型の酵母菌株は接合能を持たない酵母菌株であるが、a型、α型の酵母菌株は、接合能を持つ酵母細胞株であり、このa型及びα型の酵母菌株が近くにいると接合(交配)して1つの細胞になる。したがって、酵母のこの性質を利用して、特性の異なる酵母菌株を接合することにより、交雑して、親株の優良な形質をあわせ持つ株を育種することが可能となる。
しかしながら、醸造酵母、特にビール酵母においては、該交雑育種法を用いて、酵母の育種を行うことは容易ではない。その理由は、以下のとおりである。酵母を交雑させるには、上記のように接合能を持つ酵母細胞株であるa型及びα型の酵母菌株を取得することが必要である。通常、該接合能を持つ酵母菌株の取得には、一度胞子形成を経て、上記接合能を持つ酵母細胞株を生み出す必要がある。そして、胞子形成により生じるa型細胞とα型細胞が隣接する環境を生み出す必要があるが、しかし、ビール酵母である下面発酵酵母や上面発酵酵母は、胞子形成能及び胞子発芽能が低いものが多く、またホモタリックな性質を持つなどの理由から、胞子形成を経て、上記接合能を持つ酵母細胞株を生み出すことが難しい。
酵母の交雑育種法には、例えばマイクロマニピュレーターを用いた胞子対胞子法がある。しかしながら、上記のように胞子形成能及び胞子発芽能が低い醸造酵母のような酵母に対しては、該交雑の方法は実用的でない。また、ランダムスポア法で得た胞子同士を混ぜて交雑させる方法がある。しかし醸造酵母のような酵母は、下面発酵酵母のように四倍体であったり、或いは、二倍体酵母でも胞子発芽率が非常に低い場合が多く、したがって、そのような場合は、a型細胞とα型細胞が隣接する確率は非常に低く、栄養要求性など適当なマーカーを付与しない限り、交雑体を選抜することもできない。例えば、特許文献1のように、上面発酵酵母とワイン酵母よりランダムスポア法で得た胞子同士を交雑させる方法が開示されている。該方法では、胞子形成率・胞子発芽率の高いワイン酵母を一方の親株に選んでおり、そして、糖資化性と温度による生育速度の違いを利用して、交雑体を効率的に選抜している。しかし、胞子形成率や胞子発芽率の低い醸造酵母において、このような方法が利用できる親株の組み合わせはごく限られる。
一方、胞子形成を経ずに、酵母細胞が接合能を獲得する場合があり、このような接合能を持つ細胞同士を混ぜて交雑させる方法もある。しかし、ビール酵母のようなホモタリックな株では、接合型変換が起きるため、接合能を安定的に持つ株を取得すること自体難しい。もしも二倍体のまま、接合能を持つ細胞を取得することができれば、清酒酵母、ワイン酵母、上面発酵酵母などの二倍体実用酵母は、胞子形成を経ずにそれらを自由に交雑させ、両親の形質を合わせ持つ新規酵母を簡単に取得することができる。また異質四倍体である下面発酵酵母においては、胞子形成により減数分裂分離体(減数体)を取得して、そこから接合能を持つα型やa型の酵母を単離すれば、下面発酵酵母減数体間や下面発酵酵母減数体×上面発酵酵母などで自由に交雑でき、新規下面発酵酵母を取得できる。このように、高次倍数性を保持しつつ、接合能を持つ株を取得する技術は、実用性が高く魅力的な交雑育種技術となる。しかし、現状では、醸造用酵母のような実用酵母において、接合能を安定的に持つ株を取得する有効な方法は見出されていない。
接合能を持つ酵母菌株を取得する方法において、接合能を持たない二倍体酵母から胞子形成を経ずに、接合能を持つ株を取得する方法も開示されている。該開示の方法は、高次倍数体の実用酵母での栄養要求性変異株と一倍体のa型又はα型のテスター株を利用して、実用酵母のa型株やα型株を取得する方法であり、協会7号酵母からa型及びα型酵母をスクリーニングして単離した例が示されている(特許文献2)。また、同様の手法でa型下面発酵酵母減数体を取得した報告もある(非特許文献1)。しかしながら、このスクリーニング法は多数のコロニーの接合能を直接評価できるというメリットはあるものの、手法が煩雑で接合可能株を単離するには多大な労力が必要となる。また、非特許文献1の報告では取得できたのはa型のみで、α型下面発酵酵母減数体は取得できていない。
胞子形成を経ずに、接合能を持つ株を取得する方法として、他に、下面発酵酵母減数体に接合型変換遺伝子を導入して接合能を持つ酵母を製造する方法が開示されている(特許文献3)。この方法では、酵母細胞内にプラスミドを導入する必要があるが、その後プラスミドを抜く操作を行うことによって、カルタヘナ法(「生物多様性条約」カタルヘナ議定書に基づき、2003年6月に成立した「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性確保に関する法律」)の定義では遺伝子組換え実験に該当しないで、接合能を持つ下面発酵酵母減数体を効率良く取得することができる。しかし一方では、パブリックアクセプタンスの観点から、プラスミド導入等の遺伝子操作技術を一過的にも使用せずに実用株の育種を行う社会的ニーズもある。
以上のように、酒類等の醸造や、パン類のような食品の製造において、用いる実用酵母の優良特性を有する酵母菌株の確保は何よりも重要なことで有るが、その育種の有力な手段である交雑育種には、該飲食品の製造に使用されている実用酵母について、接合能を持つ酵母細胞株の取得が何よりも必要なことである。しかし、胞子形成能及び胞子発芽能が低く、接合能を持つ酵母細胞株の取得が困難な実用酵母については、接合能を持つ酵母細胞株の有効な取得方法が技術課題として残されたままであり、したがって、実用酵母について、そのいずれの酵母にも適用できる、接合能を持つ酵母細胞株の有効な取得方法の開発が何よりも望まれている。
特許第3946279号公報。 特開2004−16028号公報。 特開2010−220481号公報。
「日本農芸化学2012年度大会要旨集」p679、(2012)。
本発明の課題は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法、特に、交雑育種のために必要な接合能を持つ酵母細胞株の取得の困難な醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母にも適用することができ、該酵母細胞集団から酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、効果的に酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法を提供することにある。
本発明らは、上記課題を解決すべく、醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母において、接合能を持たない任意の実用酵母株の中に、極めてまれに存在する接合能を持つ細胞を、遺伝子組換え技術のような方法によるのではなく、効果的にスクリーニングして単離する方法について、鋭意検討する中で、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンに注目し、該酵母細胞株が放出する性フェロモンを検出することにより、接合能を持たない酵母細胞集団にわずかに混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、単離することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法において、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンを検出して、接合能を持つ酵母細胞株を識別、分離することにより、酵母細胞集団から、接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法からなる。この方法により、実用酵母においても、極めてまれに存在する接合能を持つ細胞を効果的にスクリーニングし、単離することができ、該方法によって取得した接合能を持つ細胞株を、交雑育種の親株に利用することにより、従来、交雑育種の方法を採ることが困難であった実用酵母の場合においても、該方法により、優良特性を持つ酵母の育種が可能となった。
本発明では、醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母において、接合能を持つ細胞株の単離について、鋭意検討する中で、ホモタリックな株を含む接合能を持たない実用酵母株の中にも、HO遺伝子やMAT座遺伝子などの変異により、安定的に接合能を持つ細胞が極めてまれに存在することに着目した。そして、接合能を有する下面発酵酵母減数体や醸造酵母が、性フェロモンを放出することを確認し、該接合能を有する酵母による性フェロモンの放出を検出すれば、接合能を持たない実用酵母株の中から、接合能を持つ細胞株を効果的にスクリーニングし、単離することが可能であることを見出した。更に、性フェロモン感受性酵母は、接合能を有する酵母のコロニーの周りでは増殖できないという性質を利用することにより、接合能を持つ細胞からなるコロニーを効率的にスクリーングできることも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンを検出して、接合能を持つ酵母細胞株を識別、分離することからなる酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法において、該接合能を持つ酵母細胞株は、a型酵母細胞株又はα型酵母細胞株であり、該酵母細胞株が放出する性フェロモンは、性フェロモンaファクター又は性フェロモンαファクターである。a型酵母細胞株は、性フェロモンaファクターを放出し、α型酵母細胞株の増殖を抑制する。また、α型酵母細胞株は、性フェロモンαファクターを放出し、a型酵母細胞株の増殖を抑制する。
本発明の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法において、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンの検出は、上記のように、性フェロモン感受性酵母を用い、該酵母の、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンによる増殖抑制を検出することによって行うことができる。該性フェロモン感受性酵母としては、aファクター感受性酵母又はαファクター感受性酵母を挙げることができる。
本発明の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法において、性フェロモン感受性酵母としては、BAR1、及び、SST2からなる性フェロモンシグナルを負に制御する遺伝子を少なくとも1つ以上変異した酵母であることが好ましく、aファクター感受性酵母としては、SST2遺伝子が変異したα型酵母を、αファクター感受性酵母としては、BAR1遺伝子が変異したa型酵母及びSST2遺伝子が変異したa型酵母を挙げることができる。
本発明の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法は、酵母培養寒天プレート上に、接合能を持つ酵母細胞株が混在する酵母細胞集団の懸濁液を撒き、培養してコロニーを形成させ、該シングルコロニーが形成された寒天プレート上に性フェロモン感受性酵母を懸濁したアガロース溶液を流し込んだ後培養し、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンにより該酵母細胞株コロニーの周囲に形成されるハロを検知することにより、接合可能株を識別、分離することにより行うことができる。
本発明の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法は、醸造用酵母又はパン酵母のような実用酵母における接合能を持つ酵母細胞株の単離に有効に適用することができる。
本発明は、本発明の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法によって単離された接合能を持つ酵母細胞株を用いて、交雑を行い、酵母の形質を変換する酵母の交雑育種の方法を包含する。また、本発明は、本発明の酵母の交雑育種方法で取得した酵母の交雑株の発明、及び、該酵母の交雑株を用いて発酵することにより製造することを特徴とする醸造酒の製造方法の発明を包含する。
すなわち具体的には本発明は、(1)接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法において、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンを検出して、接合能を持つ酵母細胞株を識別、分離することを特徴とする酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(2)接合能を持つ酵母細胞株が、a型酵母細胞株又はα型酵母細胞株であり、該酵母細胞株が放出する性フェロモンが、性フェロモンaファクター又は性フェロモンαファクターであることを特徴とする上記(1)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(3)接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンの検出が、性フェロモン感受性酵母を用い、該酵母の、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンによる増殖抑制を検出するものであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法からなる。
また、本発明は、(4)性フェロモン感受性酵母が、aファクター感受性酵母又はαファクター感受性酵母であることを特徴とする上記(3)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(5)性フェロモン感受性酵母が、BAR1、及び、SST2からなる性フェロモンシグナルを負に制御する遺伝子を少なくとも1つ以上変異した酵母であることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(6)aファクター感受性酵母が、SST2遺伝子が変異したα型酵母であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(7)αファクター感受性酵母が、BAR1遺伝子が変異したa型酵母であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(8)αファクター感受性酵母が、SST2遺伝子が変異したa型酵母であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(9)酵母培養寒天プレート上に、接合能を持つ酵母細胞株が混在する酵母細胞集団の懸濁液を撒き、培養してコロニーを形成させ、該シングルコロニーが形成された寒天プレート上に性フェロモン感受性酵母を懸濁したアガロース溶液を流し込んだ後培養し、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンにより該酵母細胞株コロニーの周囲に形成されるハロを検知することにより、接合可能株を識別、分離することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法や、(10)酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離が、醸造用酵母又はパン酵母からなる実用酵母からの接合能を持つ酵母細胞株の単離であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法からなる。
更に、本発明は、(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法によって単離された接合能を持つ酵母細胞株を用いて交雑を行い、酵母の形質を変換することを特徴とする酵母の交雑育種方法や、(12)上記(11)に記載の酵母の交雑育種方法で取得した酵母の交雑株や、(13)上記(12)に記載の酵母の交雑株を用いて発酵することにより製造することを特徴とする醸造酒の製造方法からなる。
本発明は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法、特に、交雑育種のために必要な接合能を持つ酵母細胞株の取得の困難な醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母にも適用することができ、該酵母細胞集団からHO遺伝子やMAT座などの変異によって極めてまれに生じ、酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、効果的に酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株単離する方法を提供する。本発明の方法によって取得した接合能を持つ細胞株を、交雑育種の親株に利用することにより、従来、交雑育種の方法を採ることが困難であった実用酵母の場合における交雑育種を可能とし、本発明は、該実用酵母の優良特性を持つ酵母の育種に有力な手段を提供する。
図1は、本発明の実施例における「醸造酵母の性フェロモン分泌能調査」についての試験において、各醸造酵母の性フェロモン分泌能調査の結果を示す写真である。 図2は、本発明の実施例における「接合可能株のスクリーニング法の検討」についての試験において、α型およびa型酵母のスクリーニング法について検討した結果を示す図である。 図3は、本発明の実施例における「清酒酵母協会7号酵母からのα型酵母のスクリーニング」についての実験において、協会7号酵母からのα型酵母の単離の結果を示す図である。
本発明は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法において、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンを検出して、接合能を持つ酵母細胞株を識別、分離することによる、酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法からなる。本発明の接合能を持つ酵母細胞株の単離方法において、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンの検出は、性フェロモン感受性酵母を用い、該酵母の、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンaファクター又は性フェロモンαファクターからなる性フェロモンによる増殖抑制を検出することからなる。
本発明は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法からなるが、該接合能を持たない酵母細胞集団における「酵母」としては、飲料、食品等の製品の製造などの産業上有用な用途に用い得る酵母(実用酵母)を対象とすることができる。特に、本発明は、飲料、食品等の製品の製造に用いる醸造酵母やパン酵母のような実用酵母に対して、有効に実施することができる。該実用酵母の例を挙げれば、Saccharomyces属に属する酵母を特に好適な対象とすることができ、「飲料や食品の製造に用い得る酵母」の例としては、下面発酵酵母又は上面発酵酵母のようなビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、焼酎酵母、ウイスキー酵母などの醸造用酵母や、パン酵母などを挙げることができる。
醸造酵母等の「接合能を持たない酵母」の倍数性について説明すると、該酵母としては、二倍体以上の倍数性を持ち、かつ、MAT座に少なくとも1つのMATa遺伝子と少なくとも1つのMATα遺伝子とを有するために接合能を持たない酵母を意味し、例えば、MAT座に1つのMATa遺伝子と1つのMATα遺伝子とを有する酵母(a/α型の接合型を持つ酵母;二倍体)や、MAT座に2つのMATa遺伝子と1つのMATα遺伝子とを有する酵母(aa/α型の接合型を持つ酵母;三倍体)や、MAT座に1つのMATa遺伝子と2つのMATα遺伝子とを有する酵母(a/αα型の接合型を持つ酵母;三倍体)や、MAT座に2つのMATa遺伝子と2つのMATα遺伝子とを有する酵母(aa/αα型の接合型を持つ酵母;四倍体)を例示することができ、中でもa/α型の接合型を持つ酵母を好適に例示することができる。また、上記の「接合能を持たない酵母」には、親株だけでなく、かかる親株から胞子形成を経て得られる減数分裂分離体(以降、「減数体」とも表示する)も含む。
本発明において、醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母において、ホモタリックな株を含む接合能を持たない実用酵母株の中にも、HO遺伝子やMAT座遺伝子の変異により、安定的に接合能を持つ細胞が極めてまれに存在することを見出した。したがって、本発明は、上記のような実用酵母において、接合能を持たない酵母細胞集団に通常的に混在する接合能を持つ酵母細胞株を対象として、実施することができる。また、接合能を持たない実用酵母株に、紫外線(UV)照射やエチルメタンスルホン酸(EMS)或いはニトロソグアニジン(MNNG)のような変異源性物質により、変異を誘発して、接合能を持つ細胞(a型株、α型株)の取得を促進することができる。
上記のように、本発明においては、醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母において、ホモタリックな株を含む接合能を持たない実用酵母株の中にも、HO遺伝子やMAT座遺伝子の変異により、安定的に接合能を持つ細胞が極めてまれに存在することを見出し、そして、該接合能を持たない酵母に混在する接合能を持つ株をスクリーニングするにあたり、接合能を持つ株は性フェロモンを周囲に分泌するという性質に着目した。a型細胞は性フェロモンaファクターを、α型細胞は性フェロモンαファクターを分泌する。この性フェロモンは、自身と接合型が異なる細胞の増殖を抑制するという作用を持つ。すなわち、a型細胞が分泌するaファクターはα型細胞の増殖を抑制し、α型細胞が分泌するαファクターは、a型細胞の増殖を抑制する。
該性フェロモンに対する細胞の増殖抑制は、BAR1遺伝子やSST2遺伝子などに変異が入ると、性フェロモンに対して非常に強い感受性を示すことが報告されている(Russell K. Chan. Et. Al., Mol. Cell Biol., Vol. 2, No.1, p. 11-20,Jan. 1982. )。これらの遺伝子が変異した酵母では、性フェロモン存在下では増殖することができないため、性フェロモンをスポットした領域や接合能を持つ酵母周辺では、ハロが観察される(Thomas R. Manney, Journal of Bacteriology, Vol. 155, No. 1, p. 291-301, July 1983.;Karl Kuchler, et. Al., The EMBO Journal vol. 8 No. 13 pp. 3973-3984, 1989.)。このハロを指標にすることで、接合能を持つ株を効率的にスクリーニング可能であることを見出した。
本発明においては、a型細胞やα型細胞のような接合能を持つ株が周囲に分泌する性フェロモンの放出を、性フェロモン感受性酵母を用い、該酵母の増殖抑制により観察されるハロを指標にすることで、接合能を持つ株をスクリーニング、単離する。そこで、本発明において、性フェロモン感受性酵母とは、「性フェロモンシグナルを受け取ると増殖が抑制される酵母」、と定義することができる。性フェロモン感受性株を取得するには、いくつかの報告があるように、性フェロモンシグナルを負に制御する遺伝子を変異した株を取得すればよい(Russell K. Chan. Et. Al., Mol. Cell Biol., Vol. 2, No.1, p. 11-20,Jan. 1982.)。例えば、αファクター感受性株としては、BAR1遺伝子が変異したa型実験室酵母およびSST2遺伝子が変異したa型実験室酵母、aファクター感受性株としては、SST2遺伝子が変異したα型実験室酵母などが挙げられる(Thomas R. Manney, Journal of Bacteriology, Vol. 155, No. 1, p. 291-301, July 1983.;Karl Kuchler, et. Al., The EMBO Journal vol. 8 No. 13 pp. 3973-3984, 1989.)。その他にも、性フェロモンのシグナルを受け取ると、増殖抑制となるレポーター遺伝子を発現させる酵母を作製すれば、本発明で定義する「性フェロモン感受性酵母」となりうる。
本発明において、酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、単離する方法を実施するには、例えばスクリーニングしたい酵母のシングルコロニーをYPD(yeastextract peptone dextrose )プレート上に形成させ、その上から性フェロモン感受性酵母を懸濁した0.7%アガロースYPDを流し込んで培養するという方法が挙げられる。コロニー密度は、9cmシャーレあたり、100〜200細胞が好ましい。接合可能株のコロニー周囲には、性フェロモンが分泌されているため、その周囲にいる性フェロモン感受性酵母は増殖できずにハロを形成する。このコロニーをシングル化することで、接合可能株を得ることができる。その他には、1ウェルあたり10細胞程度を含むように希釈した96ウェルプレートを培養し、その培養液を、性フェロモン感受性酵母がトップアガーで重層されたプレート上にスタンプして培養する、といった手法でスクリーニングしてもよい。ハロが形成されたコロニーに由来するウェルから、シングルコロニーを取得し接合能を調査することで、接合可能株が取得できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。
[醸造酵母の性フェロモン分泌能の調査]
αファクター分解酵素をコードするBAR1遺伝子を欠損した酵母株、及び性フェロモン応答経路の脱感作に関与するSST2遺伝子が変異した酵母株は、性フェロモン存在下では、増殖できないことが知られている(Thomas R. Manney, Journal of Bacteriology, Vol. 155, No. 1, p. 291-301, July 1983.;Karl Kuchler, et. Al., The EMBO Journal vol. 8 No. 13 pp. 3973-3984, 1989.)。本発明のスクリーニングに適用可能な株は、性フェロモン分泌能を欠失していないことが必要条件であるため、まず様々な醸造酵母の接合可能株における性フェロモン分泌能を、αファクター感受性株(a型bar1欠損実験室酵母及びa型sst2欠損実験室酵母)及びaファクター感受性株(α型sst2欠損実験室酵母)の増殖抑制効果を利用して検証した。なお、醸造酵母の接合可能株は、特開2010−220481号公報に記載される方法で取得した。
YPD(yeastextract peptone dextrose )培地で一晩培養したαファクター感受性株、及びaファクター感受性株を回収し、滅菌水で洗浄し、OD600=0.5に希釈した。その酵母懸濁液0.4mlを、45℃に保温したYPDアガロース(0.7%アガロース)3mlに加えて混合後、直ちにYPDプレートに流し込み、各性フェロモン感受性株が上層に重層された寒天プレートを作製した。さらにYPDで一晩培養し、滅菌水で洗浄した各醸造酵母株の懸濁液をそれぞれ10cell/μlに希釈し、その懸濁液をαファクター感受性株及びaファクター感受性株が重層されたプレートに、それぞれ1μlずつスポットした。その後、25℃で2日間培養した。
αファクター分泌能のあるα型実験室酵母周囲では、αファクター感受性酵母であるa型bar1遺伝子欠損酵母及びa型sst2遺伝子欠損実験室酵母は生育することができず、ハロが観察された(図1a:醸造酵母のαファクター分泌能、no.2)。一方、αファクター分泌能のないa型実験室酵母、a/α型実験室酵母ではそのようなハロは観察されなかった(図1a: no. 1、3)。同様に、醸造酵母は接合能のないa/α型のため、αファクターを分泌せず、これらのコロニー周辺ではαファクター感受性酵母は増殖できた(図1a : no. 8−11, 16−19)。一方、今回調査したα型接合能を持つワイン酵母、清酒酵母、ウイスキー酵母、下面発酵酵母減数体コロニー周辺では、αファクター感受性酵母は増殖できず、ハロが観察された(図1a: no. 4−7、12−15)。これは、これらの株が性フェロモンαファクターを分泌したことを意味する。また、同様の結果が、aファクター感受性株であるα型sst2遺伝子欠損株でも確認された(図1b)。以上の結果より、各種醸造酵母は性フェロモンαファクター及びaファクター分泌能を失っていないことが示唆され、本発明による接合可能株のスクリーニング法が様々な醸造酵母に広く適用可能ということが明らかとなった。
[接合可能株のスクリーニング法の検討]
本発明により、多数のコロニーの中から接合可能株を検出可能かどうかを、以下の方法により検討した。a型細胞(実験室酵母BY4741株)とα型細胞(同BY4742株)を図2に示すように様々な比率になるようにそれぞれ混合し、9cmシャーレで培養した。「a型細胞99%、α型細胞1%」、「a型細胞2%、α型細胞98%」の試験区では、9cmシャーレに合計約100個のコロニーが形成されるように酵母懸濁液を希釈し、1枚のプレートに撒いて2日間培養した。その後、OD600=0.5に希釈したbar1欠損酵母懸濁液若しくはsst2欠損酵母懸濁液0.4mlを、45℃に保温したYPDアガロース(0.7%アガロース)3mlに加えて混合後、その懸濁液をコロニーが形成されたプレート上に静かに流し込んだ。更に、2日間培養し、ハロの形成を観察した(図2:接合可能株のスクリーニング法の検討)。
図2上側の写真が示すように、αファクター感受性酵母(a型bar1遺伝子欠損株)の試験区において、α型細胞の周辺にはαファクター感受性酵母が生育できないためにハロが観察されたのに対し、a型細胞にはそのようなハロは観察されなかった。また、「a型細胞:α型細胞=99:1」の試験区では、混合比率に相応した比率でハロが形成されるコロニーが出現した(図2上側写真、矢頭)。同様に、aファクター感受性株であるα型sst2遺伝子欠損株を用いた場合、a型細胞を検出できることが明らかとなった(図2下側)。このことから、9cmシャーレあたり100個のコロニーを出現させた場合、1%程度の頻度で存在するα型細胞が検出可能であることが示された。以上より、本発明を用いることで、多数のコロニーの中から効率的に接合可能株を探索できることが明らかとなった。
[清酒酵母協会7号酵母からのα型酵母のスクリーニング]
本発明のスクリーニング法を用いて、実用株である清酒酵母協会7号酵母(K7)からα型酵母が単離できるか検討した(図3:協会7号酵母からのα型酵母の単離)。K7を9cmシャーレあたり約200個のコロニーが出現するように酵母懸濁液を塗り、接合型変換を誘導するため紫外線を照射した(0〜100秒)。2日間の培養でコロニーを形成させた後、45℃に保温した5mlのYPDアガロース(0.7%アガロース)にOD600=0.5に希釈したαファクター感受性酵母(a型bar1遺伝子欠損株)懸濁液を0.4ml加えて混合後、その懸濁液をプレート上に静かに流し込んだ。更に、2日間培養し、ハロの形成を観察した(図3a)。図3bの写真は紫外線を40秒照射したプレートであるが、中央にハロが観察される(図3写真矢頭)。このようなハロが形成されたコロニーは、各処理区合計で5つであった(図3bの表)。
次に、ハロを形成したコロニーが期待どおりα型酵母かどうかを確認するために、接合能を持つ実験室酵母との接合試験を実施した。まず、ハロが観察されたコロニーをシングルクローン化し、それぞれのシングルクローンがハロを形成することを確認した。その後、実験室酵母a株とα株を、K7及び選抜したハロK7とそれぞれ混合した後、YPDプレート上で一晩培養した。その混合菌体を、それぞれ滅菌水に懸濁した後、0.2mMの硫酸銅を含むSD培地上にスポットし、2晩培養した。実験室酵母は栄養要求性を持つためSD培地上で生育できないが、銅耐性を持つために硫酸銅含有培地で生育できる。一方K7は、栄養要求性は持たないが、銅に感受性である。両者の接合株のみが、硫酸銅を含むSD培地で生育可能である。これを指標に接合の有無を調査したところ、ハロ形成コロニーに由来する細胞は、a型実験室酵母とのみ接合し、期待どおりにα型接合能を有することが確認できた。ハロを形成しないK7には、このような接合能は観察されなかった。このように、本発明を用いれば、一般的に接合能を持たない醸造酵母から、α型酵母を簡便に取得することができ、この酵母を交雑の親株として利用できることができる。
本発明は、接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法を提供する。本発明は、胞子を形成し、発芽させることにより、交雑育種のために必要な接合能を持つ酵母細胞株の取得の困難な醸造用酵母や、パン酵母のような実用酵母にも適用することができ、本発明の方法によって取得した接合能を持つ細胞株を、交雑育種の親株に利用することにより、従来、交雑育種の方法を採ることが困難であった実用酵母の場合における交雑育種を可能とし、本発明は、該実用酵母の優良特性を持つ酵母の育種に有力な手段を提供する。

Claims (13)

  1. 接合能を持たない酵母細胞集団に混在する接合能を持つ酵母細胞株をスクリーニングし、酵母細胞集団から接合能を持つ酵母細胞株を単離する方法において、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンを検出して、接合能を持つ酵母細胞株を識別、分離することを特徴とする酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  2. 接合能を持つ酵母細胞株が、a型酵母細胞株又はα型酵母細胞株であり、該酵母細胞株が放出する性フェロモンが、性フェロモンaファクター又は性フェロモンαファクターであることを特徴とする請求項1に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  3. 接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンの検出が、性フェロモン感受性酵母を用い、該酵母の、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンによる増殖抑制を検出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  4. 性フェロモン感受性酵母が、aファクター感受性酵母又はαファクター感受性酵母であることを特徴とする請求項3に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  5. 性フェロモン感受性酵母が、BAR1、及び、SST2からなる性フェロモンシグナルを負に制御する遺伝子を少なくとも1つ以上変異した酵母であることを特徴とする請求項3又は4に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  6. aファクター感受性酵母が、SST2遺伝子が変異したα型酵母であることを特徴とする請求項4又は5に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  7. αファクター感受性酵母が、BAR1遺伝子が変異したa型酵母であることを特徴とする請求項4又は5に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  8. αファクター感受性酵母が、SST2遺伝子が変異したa型酵母であることを特徴とする請求項4又は5に記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  9. 酵母培養寒天プレート上に、接合能を持つ酵母細胞株が混在する酵母細胞集団の懸濁液を撒き、培養してコロニーを形成させ、該シングルコロニーが形成された、寒天プレート上に性フェロモン感受性酵母を懸濁したアガロース溶液を流し込んだ後培養し、接合能を持つ酵母細胞株が放出する性フェロモンにより該酵母細胞株コロニーの周囲に形成されるハロを検知することにより、接合可能株を識別、分離することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  10. 酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離が、醸造用酵母又はパン酵母からなる実用酵母からの接合能を持つ酵母細胞株の単離であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の酵母細胞集団からの接合能を持つ酵母細胞株の単離方法によって単離された接合能を持つ酵母細胞株を用いて交雑を行い、酵母の形質を変換することを特徴とする酵母の交雑育種方法。
  12. 請求項11に記載の酵母の交雑育種方法で取得した酵母の交雑株。
  13. 請求項12に記載の酵母の交雑株を用いて発酵することにより製造することを特徴とする醸造酒の製造方法。
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