JP2014127146A - 真贋判定システムおよび真贋判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いセキュリティ性を容易に達成できる情報記録媒体の真贋判定システム等を提供する。
【解決手段】情報記録媒体1は、基材上に、画像情報、赤外線発光層、赤外線透過・可視光反射/吸収層を順に形成したものである。真贋判定システム10では、読取装置50により、情報記録媒体1に励起光を照射し、赤外線発光層が発光した赤外線を受光して撮像を行う。また、分光分布測定装置55により、赤外線発光層が発光した赤外線の分光分布を測定しピーク波長を検出する。情報処理装置58は、情報記録媒体1を撮像した画像から赤外線発光層の形状を抽出し、赤外線発光層の形状と上記の分光分布のピーク波長を、情報記録媒体1についてデータベース59に予め記録した赤外線発光層の形状、分光分布のピーク波長と比較することで、情報記録媒体1の真贋を判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、赤外線発光層を用いた情報記録媒体の真贋判定システムおよび真贋判定方法に関する。
くじやチケットなど一般的な印刷物では、文字やバーコード等の画像情報が誰もが視認できるように形成される。従って、他者に知られて偽造や改ざんをされる可能性がある。そこで、画像情報を不可視化し、所定の読取装置で読取ることによって、偽造等を防止する技術が提案されている。
この例として、紫外線で励起して可視光を発光するインキを用いて肉眼では見えない画像情報を形成し、これを紫外線で励起させ可視光受光センサを用いて読取る方法が多く用いられている。ただし、この方法は広く認知されており、インキ材料の入手も容易であるため、偽造等を防止する効果が低いという問題がある。
そこで、赤外線を吸収する材料で形成した画像情報と、赤外線で励起され赤外線を発光する赤外線発光層とを、基材に塗布して積層する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、基材上に赤外線発光層を形成し、その上に赤外線吸収材料による画像情報を形成し、さらに、その上に可視光の一部を吸収する隠蔽層を形成した媒体について、読取装置により画像情報を読取る方法が記載されている。
また、特許文献2には、基材上に赤外線吸収材料による画像情報を形成し、その上に赤外線発光層を形成してこれにより画像情報を隠蔽した媒体について、画像情報を読取装置で読取る方法が記載されている。
登録実用新案第3013328号公報 特開2001−96889号公報
上記の方法を用いることで、画像情報を目視できないように隠蔽した場合でも赤外線読取装置により読取ることが可能になり、またインキ材料等も比較的入手は困難である。しかしながら、このような場合でも、やはり偽造や改ざんの恐れは否定できず、そのセキュリティ性を高めることが望まれる。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、高いセキュリティ性を容易に実現できる情報記録媒体の真贋判定システム等を提供することを目的とする。
前述した目的を達するための第1の発明は、赤外線を吸収する材料にて基材上に形成された画像情報と、前記画像情報の上または下に形成された、赤外線による励起光で励起され励起光とはピーク波長が異なる赤外線を発光する赤外線発光層と、を備えた情報記録媒体の真贋判定を行う真贋判定システムであって、前記情報記録媒体に対して励起光を照射し、前記赤外線発光層から発光した赤外線を受光することで前記情報記録媒体の撮像を行う読取装置と、前記情報記録媒体を撮像した画像から、前記赤外線発光層の形状を抽出し、予め前記情報記録媒体について記録した前記赤外線発光層の形状と比較し、前記情報記録媒体の真贋を判定する情報処理装置と、を具備することを特徴とする真贋判定システムである。
赤外線発光層の形状は、赤外線発光層の形成時の種々の条件により異なる。従って、偽の情報記録媒体を製造する際に赤外線発光層の形状まで再現することは難しく、情報記録媒体の真贋判定時に赤外線発光層の形状を用いることで精度の高い真贋判定を行うことができ、高いセキュリティ性を実現できる。また、赤外線を吸収する画像情報は、赤外線を発光する赤外線発光層とのコントラストから読取ることが可能で、画像情報を隠蔽した状態でも容易に読取ることができる。さらに、励起に用いる赤外線と赤外線発光層が発光する赤外線のピーク波長は異なるので、励起光をカットすることで精度良く読取を行える利点もある。
前記赤外線発光層から発光した赤外線の分光分布を測定する分光分布測定装置を更に具備し、前記情報処理装置は、さらに、前記分光分布の特徴量を、予め前記情報記録媒体について記録した前記特徴量と比較することが望ましい。
これにより、偽の情報記録媒体の赤外線発光層として真の情報記録媒体と異なる蛍光体を用いた場合に、分光分布の特徴量の違いによりこれを偽とできる。従って、真贋判定をさらに精度良く行うことができ、セキュリティ性がより高まる。
前記特徴量は、ピーク波長であることが望ましい。
赤外線の分光分布の特徴量としてピーク波長を用いることで、真贋判定が容易に行える。
前記情報記録媒体の前記画像情報の上に、赤外線を透過し可視光を反射もしくは吸収する層が設けられることが望ましい。
本実施形態では赤外線により読取を行うので、前記の通り、画像情報を隠蔽した状態でも容易に真贋判定が行える。
第2の発明は、赤外線を吸収する材料にて基材上に形成された画像情報と、前記画像情報の上または下に形成された、赤外線による励起光で励起され励起光とはピーク波長が異なる赤外線を発光する赤外線発光層と、を備えた情報記録媒体の真贋判定を行う真贋判定方法であって、前記情報記録媒体に対して励起光を照射し、前記赤外線発光層から発光した赤外線を受光することで前記情報記録媒体の撮像を行う工程と、前記情報記録媒体を撮像した画像から、前記赤外線発光層の形状を抽出し、予め前記情報記録媒体について記録した前記赤外線発光層の形状と比較し、前記情報記録媒体の真贋を判定する工程と、を具備することを特徴とする真贋判定方法である。
本発明により、高いセキュリティ性を容易に実現できる情報記録媒体の真贋判定システム等を提供することができる。
情報記録媒体1について示す図 真贋判定システム10について示す図 情報処理装置58のハードウェア構成を示す図 真贋判定情報111を示す図 情報記録媒体1の真贋判定の手順を示すフローチャート 情報記録媒体1の画像を示す図 情報記録媒体1aを示す図 情報記録媒体1bを示す図 実施例について説明する図 赤外線の分光分布を示す図
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(1.情報記録媒体1の構成)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る真贋判定システムの判定対象となる情報記録媒体1について説明する。
図1に示すように、情報記録媒体1では、基材11の上に画像情報13が形成される。また、画像情報13の上に赤外線発光層15が設けられる。さらに、赤外線発光層15の上に赤外線透過・可視光反射/吸収層17が重ねて設けられる。なお、赤外線透過・可視光反射/吸収層17の語において「・」は「かつ」の意であり、「/」は「もしくは」の意である。すなわち、赤外線透過・可視光反射/吸収層17は、「赤外線を透過し、かつ、可視光を反射もしくは吸収する層」である。
基材11は、例えば印刷用の各種の用紙であるが、赤外線を反射するものであれば特にその材質等は問わない。
画像情報13は、カーボンブラック等の赤外線を吸収する材料を含むインキによる印刷で形成する。例えば、一般に用いられているカーボンを含んだ黒色のインキによる印刷を行えばよい。その他、カーボン等を含み赤外線を吸収する材料であれば、これを使用して画像情報13を形成することができる。あるいは、樹脂等の基材11上にレーザーを照射することにより、赤外線を吸収するようなパターンを画像情報13として形成することも可能である。
この画像情報13は、例えば、バーコードや二次元コード、OCR用数字、数字、文字、絵柄、記号等であるが、これらに限ることはない。
赤外線発光層15は、赤外線を励起光として照射することにより励起され、励起光とは異なるピーク波長の赤外線を発光する蛍光体を分散して含む蛍光材料を、ベタ印刷することにより形成される。なお、ピーク波長は光の強度が最も大きい波長を指すものとする。本実施形態では、この蛍光体として、ピーク波長約810nmの励起光が照射された時に、ピーク波長約1000nmの赤外線を発光するものを用いるが、これに限ることはない。また、赤外線発光層15に用いる材料は、燐光材料でもよい。
さらに、赤外線発光層15に用いる蛍光材料等は顔料であっても染料であってもよいし、有機材料、無機材料のどちらも使用可能である。加えて、赤外線発光層15として、蛍光色素や量子ドット材料等を用いることも可能である。いずれにせよ、赤外線発光層15が、赤外線を励起光として照射することにより励起され、励起光とは異なるピーク波長の赤外線を発光するようにすればよい。
このように、赤外線発光層15に適用可能な材料には様々なものがあるが、このうち特に無機の蛍光顔料は、耐候性および発光効率の点から適している。このような無機の蛍光顔料としては、3価のネオジム(Nd3+)、3価のイッテルビウム(Yb3+)及び3価のエルビウム(Er3+)を含有したものが知られており、たとえば、Na(Yb,Nd)(MoO、(Y,La,Lu)PO:Yb,Nd、(Lu,Yb,Nd)Sなどがあげられる。
赤外線発光層15のベタ印刷は、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷等で行ってもよいし、転写シート、ラベル等を用いて赤外線発光層15を形成するようにしてもよい。また、上記の蛍光材料をスプレーで塗布することにより赤外線発光層15を形成することもできる。
赤外線発光層15の形状は、赤外線発光層15を形成する際の種々の条件によって異なる。例えばスプレーでの塗布を行う場合、蛍光材料の霧化圧力や塗布対象との距離、吐出時間などの細かな値の違いで赤外線発光層15の形状は変化する。
赤外線透過・可視光反射/吸収層17は、赤外線を透過し、可視光を反射もしくは吸収する層であり、これにより画像情報13は肉眼で不可視となる。赤外線透過・可視光反射/吸収層17は、赤外線を透過し可視光を反射もしくは吸収する材料を含んでいればよく、種々の材料を使用することができる。例えば、シアン、マゼンタ、イエローの顔料を含む黒色の層や、マゼンタ、イエローの顔料を含む橙色の層、シアン、イエローの顔料を含む緑色の層とすることができる。この赤外線透過・可視光反射/吸収層17は、印刷により形成することができる。
(2.真贋判定システム10の構成)
次に、真贋判定システム10の構成について図2を参照して説明する。
図2に示すように、真贋判定システム10は、読取装置50、分光分布測定装置55、情報処理装置58、データベース59等により構成される。
読取装置50は、赤外線照射部51、赤外線撮像部53等を有する。
赤外線照射部51は、例えば発光ダイオード等であり、赤外線を励起光として情報記録媒体1に照射する。本実施形態では、赤外線照射部51により、ピーク波長約810nmの励起光を情報記録媒体1に照射する。
赤外線撮像部53は、情報記録媒体1の赤外線発光層15が発光する赤外線を複数の受光素子で受光して撮像を行い、各受光素子で受光した光の強度を画像上の輝度値である画素値に変換する。赤外線撮像部53としては、赤外線領域に感度を有するカメラを用いることができる。また、赤外線撮像部53には、900nm以上の波長の赤外線を透過するフィルタ54を取付ける。このフィルタ54は、上記した励起光のピーク波長をカットするものになっている。
分光分布測定装置55は、情報記録媒体1の赤外線発光層15が発光する赤外線の分光分布を測定し、ピーク波長を検出するものであり、例えば赤外線照射部56と、受光部57を有する分光光度計を用いることができる。
赤外線照射部56は、赤外線を励起光として情報記録媒体1に照射するものであり、前記の赤外線照射部51と同様である。
受光部57は、情報記録媒体1の赤外線発光層15が発光する赤外線を、回折格子(不図示)等を用いて波長ごとに分解し、それぞれ受光素子で受光する。そして、波長ごとに受光した光の強度を基に、ピーク波長を検出する。
情報処理装置58は、図3に示すように、制御部101、記憶部102、入力部103、表示部104、および通信部105等がバス106で接続された一般的なコンピュータ等で実現できる。
制御部101は、CPU、ROM、RAM等で構成される。CPUは、ROM、記憶部102等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス106を介して接続された各部を駆動制御し、コンピュータが行う処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部102、ROM、記憶媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部101が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
記憶部102は、ハードディスクドライブ等であり、制御部101が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、後述する処理を実行するためのプログラム等が格納されている。これらのプログラムは、制御部101により必要に応じて読出されてRAMに移され、CPUにより実行される。
入力部103は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。
表示部104は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、およびディスプレイ装置と連携して表示機能を実現するための論理回路等を有する。
通信部105は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワークを介した通信を媒介する通信インタフェースであり、他の装置との通信制御を行う。
バス106は、各部間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
また、図2に示すように情報処理装置58はデータベース59を備えている。このデータベース59には、後述する情報記録媒体1の真贋判定で用いるための真贋判定情報111が予め記録される。
図4は、この真贋判定情報111を示す図である。本実施形態では、真贋判定情報111として、画像情報13に対応付けて、赤外線発光層形状データ113と分光分布ピーク波長114が格納される。
赤外線発光層形状データ113は、赤外線発光層15の形状を示すデータである。
分光分布ピーク波長114は、赤外線発光層15が発光する赤外線の分光分布の特徴量として、ピーク波長を記録したデータである。
これらのデータは、真贋判定時と同じ条件で情報記録媒体1の読取等を行って予め得たものであり、例えば情報記録媒体1の製造時に各データを得て、情報記録媒体1ごとに記録しておく。
(3.真贋判定の手順)
図5は、真贋判定システム10による情報記録媒体1の真贋判定の手順を説明するためのフローチャートである。図5のS1〜S4は、情報処理装置58の制御部101により実行される処理である。
前記したように、読取装置50(図2参照)では、情報記録媒体1に励起光を照射し、赤外線発光層15が発光する赤外線を受光して撮像を行う。情報処理装置58の制御部101は、情報記録媒体1を撮像した画像を読取装置50から取得する(S1)。
図6は、この画像40の例を示す図である。
本実施形態では、読取装置50の赤外線照射部51にてピーク波長約810nmの赤外線を情報記録媒体1に照射する。この赤外線は、情報記録媒体1の赤外線透過・可視光反射/吸収層17(図1参照)を透過して画像情報13の上方にある赤外線発光層15に到達し、赤外線発光層15の蛍光体を励起させる。励起された蛍光体は、ピーク波長約1000nmの赤外線を発光し、この赤外線が、上方にある赤外線透過・可視光反射/吸収層17、およびフィルタ54を透過して赤外線撮像部53で受光され、撮像が行われる。この時、画像40において赤外線発光層15は高輝度の部分として表れ、赤外線発光層15の下にある画像情報13は、周囲の赤外線発光層15の部分に対して低輝度の部分として現れる。
画像情報13の上に赤外線発光層15が形成されているにも関わらず、画像情報13が低輝度の部分となるのは、赤外線発光層15に分散して含まれる蛍光体の量が、層全体の半分弱程度であり、蛍光体以外の部分で下方の画像情報13等が画像40に現れ、この際、蛍光体から発光した赤外線が基材11上で反射される画像情報13の周囲の部分に対し、赤外線が吸収される画像情報13の部分が低輝度となるためである。さらに、画像情報13上の赤外線発光層15の膜厚が、その他の部分に比較すると薄いことも、画像情報13の部分が低輝度として現れるのに寄与する。
図5の説明に戻る。分光分布測定装置55(図2参照)では、情報記録媒体1に励起光を照射し、赤外線発光層15が発光する赤外線を波長ごとに受光することで、分光分布を測定してピーク波長の検出を行う。情報処理装置58の制御部101は、赤外線の分光分布のピーク波長を、分光分布測定装置55から取得する(S2)。
次に、情報処理装置58の制御部101は、真贋判定情報111を用いて情報記録媒体1の真贋判定を行う(S3)。
S3では、S1で取得した画像40に対しエッジ検出などの画像処理手法を用いることにより、画像情報13を読取るとともに、赤外線発光層15の形状を抽出する。そして、赤外線発光層15の形状とS2で取得した分光分布のピーク波長を、真贋判定情報111として記録された、上記の画像情報13に対応する赤外線発光層形状データ113および分光分布ピーク波長114とそれぞれ比較する。
情報処理装置58の制御部101は、赤外線発光層15の形状と分光分布のピーク波長の両方が、真贋判定情報111として予め記録した赤外線発光層形状データ113、分光分布ピーク波長114と一致する場合、情報記録媒体1を真とし(S3:真)、そうでない場合は偽とする(S3:偽)。
そして、この判定結果を情報処理装置58の表示部104に表示し(S4)、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態では、情報記録媒体1の赤外線発光層15の形状を用いて情報記録媒体1の真贋判定を行う。赤外線発光層15の形状は、赤外線発光層15の形成時の種々の条件により異なる。従って、偽の情報記録媒体1を製造する際に赤外線発光層15の形状まで再現することは難しく、情報記録媒体1の真贋判定時に赤外線発光層15の形状を用いることで精度の高い判定を行うことができる。この情報記録媒体1は、例えばくじや金券、チケットなどに適用することができ、真贋判定システム10により、これらの偽造や改ざんを防ぎ、高いセキュリティ性を実現できる。
また、赤外線を吸収する画像情報13は、赤外線を発光する赤外線発光層15とのコントラストから読取ることが可能で、画像情報13を赤外線透過・可視光反射/吸収層17で隠蔽した状態でも容易に読取ることができる。さらに、励起に用いる赤外線と赤外線発光層15が発光する赤外線のピーク波長は異なるので、励起光をカットすることで精度良く読取を行える利点もある。
また、本実施形態では、赤外線発光層15が発光する赤外線の分光分布のピーク波長も真贋判定に用いる。偽の情報記録媒体1の赤外線発光層15として、真の情報記録媒体1と異なる蛍光体を用いた場合には、ピーク波長の違いによりこれを偽とできる。従って、真贋判定をさらに精度良く行うことができ、セキュリティ性がより高まる。
なお、分光分布のピーク波長に代えてその他の特徴量を用いてもよい。例えば分光分布の形状自体を用いることも可能であり、さらに精度の高い真贋判定を行える利点がある。一方、分光分布のピーク波長を用いた場合には、容易に真贋判定を行うことができ、データ量も小さい利点がある。
また、真贋判定システム1の判定対象は図1で説明したような情報記録媒体1に限ることはない。例えば図7に示すように、赤外線発光層15の上に画像情報13を設け、その上に赤外線透過・可視光反射/吸収層17を配置した情報記録媒体1aなども同様にして真贋判定を行うことができる。
次に、本発明の別の例について、第2の実施形態として説明する。なお、第2の実施形態の説明は第1の実施形態と異なる点について主に行い、同様の点については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、情報記録媒体を、封緘物において封入物が正しい送り先に送られるかを検査する際に利用し、この検査時に、情報記録媒体の真贋判定も併せて行う例である。
図8は封緘物20の断面構成を示す図である。図に示すように、封緘物20は、各種の封入物22と情報記録媒体1bとを、赤外線透過・可視光反射/吸収層17である封筒に封入して覆い、これらを封緘したものである。この封筒には、可視光下で読取可能な画像情報21として、送り先の名称等が記録される。
情報記録媒体1bでは、基材11の上に画像情報13が設けられ、画像情報13の上に赤外線発光層15が重ねて設けられる。本実施形態では、前記の封入物22を個人ごとの各種の請求書や申込用紙とし、画像情報13をこれに対応させ、封入物22の送り先の名称をバーコード等で記録したものとする。
赤外線透過・可視光反射/吸収層17としての封筒は、例えば各種の紙材で形成され、赤外線を透過し可視光を吸収もしくは反射する。これにより画像情報13は肉眼では不可視になる。
本実施形態でも、第1の実施形態と同様にして情報記録媒体1bの真贋判定を行うことができ、同様の効果が得られる。また、情報記録媒体1bの画像情報13と、別途読取った画像情報21とを照合することにより、封入物22と、その送り先が一致するかが検査できる。
本発明に係る情報記録媒体1の真贋判定について検討を行った例を実施例として説明する。なお本発明はこれに限定されるものではない。
<蛍光材料の作製>
赤外線発光層15を形成するための蛍光材料として、赤外線励起・赤外線発光顔料「DNPWIR−1(根本特殊化学社製)」を水性インキ化して用いた。調合重量比率を以下に示す。
DNPWIR−1(根本特殊化学社製):5.0%
水溶性アクリル系樹脂:20.0%
水:74.0%
アルコール系溶剤:0.5%
分散剤:0.5%
<画像情報の形成>
電子写真方式のプリンタ、ApeosPort−II C4300で、A4判の普通紙を基材11として、カーボンブラックを含む黒色トナーを用いて、OCR−Bフォントによる数字を画像情報13として印刷した。
<赤外線発光層の形成>
この画像情報13を覆うように、前述の蛍光材料を塗布した。塗布には、サンエイテック社製SV91を使用し、塗布後、45℃の乾燥機で10分間乾燥し、赤外線発光層15を形成した。
<赤外線透過・可視光反射/吸収層の形成>
赤外線発光層15を覆うように、黒色オフセット印刷用インキにてベタ部分を印刷して赤外線透過・可視光反射/吸収層17を形成し、画像情報13を目視できないようにした。このとき、黒色オフセット印刷用インキは、シアン、マゼンタ、イエローの顔料を混合して作製した、カーボンブラック顔料を含まない赤外線を透過するインキとした。
<真贋判定>
上記作製した情報記録媒体に対し、以下のようにして真贋判定を行った。
(1)ピーク波長約810nmの赤外線を照射し、波長900nm以上の赤外線を受光する読取装置にて、情報記録媒体を撮像し、画像情報13の読取りを行った。この結果を、図9(a)に示す。
(2)また、情報記録媒体を撮像した画像を、画像処理によりネガポジ反転させ、コントラストを強調することにより、図9(b)に示すように、赤外線発光層15の形状の輪郭を強調した画像を得た。
(3)さらに、ピーク波長約810nmの赤外線を照射し、波長900nm以上の赤外線を受光する分光光度計にて、赤外線発光層15が発光する赤外線のピーク波長を検出した。この時の赤外線の分光分布を、受光した光の強度に対応する受光素子の信号強度を縦軸、横軸を波長として図10に示す。ここでは、約980nmがピーク波長となった。
(4)以上により得た情報は、情報記録媒体固有の情報と定め、データベースに登録した。
(5)上記作製した情報記録媒体を含んだ30種類の情報記録媒体を用意し、(1)〜(3)の手段にて各情報を読取った。これらの情報と、データベースに登録した情報との照合を行った結果、上記作製した情報記録媒体のみ真と判定できた。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、1b:情報記録媒体
11:基材
13:画像情報
15:赤外線発光層
17:赤外線透過・可視光反射/吸収層
50:読取装置
55:分光分布測定装置
58:情報処理装置

Claims (5)

  1. 赤外線を吸収する材料にて基材上に形成された画像情報と、
    前記画像情報の上または下に形成された、赤外線による励起光で励起され励起光とはピーク波長が異なる赤外線を発光する赤外線発光層と、
    を備えた情報記録媒体の真贋判定を行う真贋判定システムであって、
    前記情報記録媒体に対して励起光を照射し、前記赤外線発光層から発光した赤外線を受光することで前記情報記録媒体の撮像を行う読取装置と、
    前記情報記録媒体を撮像した画像から、前記赤外線発光層の形状を抽出し、予め前記情報記録媒体について記録した前記赤外線発光層の形状と比較し、前記情報記録媒体の真贋を判定する情報処理装置と、
    を具備することを特徴とする真贋判定システム。
  2. 前記赤外線発光層から発光した赤外線の分光分布を測定する分光分布測定装置を更に具備し、
    前記情報処理装置は、さらに、前記分光分布の特徴量を、予め前記情報記録媒体について記録した前記特徴量と比較することを特徴とする請求項1記載の真贋判定システム。
  3. 前記特徴量は、ピーク波長であることを特徴とする請求項2記載の真贋判定システム。
  4. 前記情報記録媒体の前記画像情報の上に、赤外線を透過し可視光を反射もしくは吸収する層が設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の真贋判定システム。
  5. 赤外線を吸収する材料にて基材上に形成された画像情報と、
    前記画像情報の上または下に形成された、赤外線による励起光で励起され励起光とはピーク波長が異なる赤外線を発光する赤外線発光層と、
    を備えた情報記録媒体の真贋判定を行う真贋判定方法であって、
    前記情報記録媒体に対して励起光を照射し、前記赤外線発光層から発光した赤外線を受光することで前記情報記録媒体の撮像を行う工程と、
    前記情報記録媒体を撮像した画像から、前記赤外線発光層の形状を抽出し、予め前記情報記録媒体について記録した前記赤外線発光層の形状と比較し、前記情報記録媒体の真贋を判定する工程と、
    を具備することを特徴とする真贋判定方法。
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