JP2014126234A - 熱負荷処理システム - Google Patents

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康令 岡本
Koichi Ishida
耕一 石田
Tetsuo Iwata
哲郎 岩田
Yutaka Ikegami
豊 池上
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Abstract

【課題】省エネ制御を適切に行う。
【解決手段】チラーユニット20a〜20cは、水を加熱または冷却し、連絡配管L1〜L4は、各ユニット20a〜20c,30a〜30c間を繋ぐ。インバータ式の一次側ポンプ42a〜42cは、連絡配管L1〜L4内を流れる水を、チラーユニット20a〜20cと利用ユニット30a〜30cとの間で循環させる。システムコントローラ80は、所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量HSiが加味された利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷THLを予測する。システムコントローラ80は、総消費エネルギー量Etoの積算値が最小となるように、チラーユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42cの制御を行う。総消費エネルギー量Etoの積算値は、現在から所定時間経過までの間に、チラーユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42cにて消費されるエネルギーの総量である。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱負荷処理システムに関する。
空調対象空間内の空気を加熱または冷却するシステムとしては、特許文献1(特開2003−106731号公報)に示されるシステムが知られている。特許文献1に係るシステムでは、一次側ポンプ、熱源機としての冷凍機またはヒータ、二次側ポンプ及び熱交換器等が配管によって順次接続されることで、熱媒体回路が構成されている。熱媒体回路内には、熱媒体としての水が循環しており、この水と空調対象空間内の空気とが熱交換器にて熱交換されることで、空気は、加熱または冷却される。
また、上記特許文献1に関連する制御の技術として、特許文献2(特開2009−14300号公報)に示される熱源最適制御が知られている。この熱源最適制御では、制御設定値に基づいて空調熱源設備に関するシミュレーションが実行され、当該シミュレーションによって得られた最良解と過去のシミュレーションによって得られた最良解との比較結果に基づき最良解が更新される。これにより、制御設定値を省エネの促進方向へと導く、いわゆる省エネ制御が行われる。
ところで、省エネ制御を行う場合、制御設定値には、熱源機から流出される水の設定温度が含まれる場合がある。水の設定温度が変更されると、実際の水の温度が変更された設定温度に至るまでには、遅延が生じる。この遅延は、特許文献1に係るシステムにおいて、熱源機に対し二次側となる熱交換器側の配管系統が比較的長い場合には顕著となり、遅延時間は例えば数十分単位となる虞もある。そのため、制御設定値を頻繁に変更すると、例えば制御設定値に対応する実際の値のハンチングを招来してしまう。よって、制御設定値の変更は、ハンチングが生じないように適切に行うことが望まれる。
また、特許文献1に係るシステムには、配管等の蓄熱要素が含まれている。蓄熱要素に蓄えられた蓄熱は、システムが実際に運転を行うに際して影響を及ぼす。そのため、特許文献2に示されるようにシミュレーションが実行されたとしても、シミュレーションによって得られた最良解と実際の運転状況との間には差が生じ、省エネ制御が適切に行われているとは言い難くなる。
そこで、本発明の課題は、省エネ制御を適切に行うことにある。
本発明の第1観点に係る熱負荷処理システムは、熱源機と、配管と、第1ポンプと、制御部とを備える。熱源機は、熱媒体を加熱または冷却する。配管は、熱源機と、熱媒体を利用する利用ユニットとを、環状に繋ぐ。第1ポンプは、配管上に設けられている。第1ポンプは、配管内を流れる熱媒体を、熱源機と利用ユニットとの間で循環させるインバータ式のポンプである。制御部は、利用ユニットに関する熱負荷を予測する。この熱負荷には、所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量が加味される。更に、制御部は、総消費エネルギー量の積算値が最小となるように、熱源機及び第1ポンプの制御を行う。ここで、総消費エネルギー量の積算値は、現在から所定時間経過までの間に、少なくとも熱源機及び第1ポンプにて消費されるエネルギーの総量である。
利用ユニットに関する熱負荷の予測では、所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量が考慮される。そして、現在から所定時間経過までの間に、少なくとも熱源機及び第1ポンプにて消費された総消費エネルギー量の積算値が最小となるように、熱源機及び第1ポンプの制御が行われる。このように、総消費エネルギー量の積算値が最小となるような省エネ制御を行うにあたり、第1蓄熱量が考慮されるため、予測結果と実際の運転状況とが乖離してしまう現象を防ぎつつ、蓄熱を含む運転状況に即した省エネ制御を適切に行うことができる。
本発明の第2観点に係る熱負荷処理システムは、第1観点に係る熱負荷処理システムであって、制御部は、熱負荷の予測結果及び総消費エネルギー量の積算値に基づいて、熱源機の容量及び第1ポンプの回転数を決定する。
これにより、蓄熱を含む運転状況に更に即した熱源機及び第1ポンプの制御が行われるようになる。
本発明の第3観点に係る熱負荷処理システムは、第1観点または第2観点に係る熱負荷処理システムであって、制御部は、熱負荷の予測結果及び総消費エネルギー量の積算値に基づいて、蓄熱増減量を更に決定する。蓄熱増減量は、所定の蓄熱部にて蓄えられる第1蓄熱量と、利用ユニットにて取り出される第2蓄熱量との差である。
これにより、例えば蓄熱を使い切るような制御を含んだ、蓄熱を有効利用した適切な省エネ制御が実現できる。
本発明の第4観点に係る熱負荷処理システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る熱負荷処理システムであって、貯留部を更に備える。貯留部は、熱源機と配管を介して接続されており、水である熱媒体を貯留することができる。所定の蓄熱部には、利用ユニットが設置されている室内を成す躯体、配管、貯留部のうち、少なくとも1つが含まれる。
室内を成す躯体としては、例えば天井、壁、床を構成する各種部材が挙げられる。貯留部としては、タンクが挙げられる。室内を成す躯体、配管及び貯留部では、熱が吸収されたり放熱されたりする。そのため、室内を成す躯体、配管及び貯留部は、蓄熱部と言える。このシステムでは、これらのような所定の蓄熱部における蓄熱を考慮した省エネ制御が行われるため、蓄熱を含む運転状況に更に即した省エネ制御を適切に行うことができる。
本発明の第5観点に係る熱負荷処理システムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る熱負荷処理システムであって、第1ポンプは、利用ユニットから流出した熱媒体を熱源機へと送るポンプである。そして、熱負荷処理システムは、第2ポンプを更に備える。第2ポンプは、配管上に接続されている。第2ポンプは、熱源機から流出した熱媒体を利用ユニットへと送るインバータ式のポンプである。総消費エネルギー量には、第2ポンプにて消費される消費エネルギーが更に含まれている。
これにより、熱負荷処理システムが第2ポンプを更に含む場合でも、第2ポンプによって消費される消費エネルギーを更に考慮した適切な省エネ制御が実現されるようになる。
本発明の第6観点に係る熱負荷処理システムは、第5観点に係る熱負荷処理システムであって、制御部は、熱負荷の予測結果及び総消費エネルギー量の積算値に基づいて、第2ポンプによって熱源機から利用ユニットへと送られる熱媒体の流量を、更に決定する。
これにより、決定された適切な熱媒体の流量を用いて、より最適な省エネ制御が実現される。
本発明の第7観点に係る熱負荷処理システムは、第1観点から第6観点のいずれかに係る熱負荷処理システムであって、制御部は、現在から所定期間経過までの間の所定間隔毎の総消費エネルギー量に対し、現在に近い程大きな重みを付加して積算することで、総消費エネルギー量の積算値を算出する。
これにより、予測した総消費エネルギー量と実際の総消費エネルギー量との乖離を、できるだけ吸収することができる。そのため、当該乖離が省エネ制御に及ぼす影響が軽減される。
本発明の第1観点に係る熱負荷処理システムによると、予測結果と実際の運転とが乖離してしまう現象を防ぎつつ、蓄熱を含む運転状況に即した省エネ制御を最適に行うことができる。
本発明の第2観点に係る熱負荷処理システムによると、蓄熱を含む運転状況に更に即した熱源機及び第1ポンプの制御が行われるようになる。
本発明の第3観点に係る熱負荷処理システムによると、例えば蓄熱を使い切るような制御を含んだ、蓄熱を有効利用した最適な省エネ制御が実現できる。
本発明の第4観点に係る熱負荷処理システムによると、所定の蓄熱部における蓄熱を考慮した省エネ制御が行われるため、蓄熱を含む運転状況に更に即した適切な省エネ制御を行うことができる。
本発明の第5観点に係る熱負荷処理システムによると、熱負荷処理システムが第2ポンプを更に含む場合でも、第2ポンプによって消費される消費エネルギーを更に考慮した適切な省エネ制御が実現されるようになる。
本発明の第6観点に係る熱負荷処理システムによると、決定された適切な熱媒体の流量を用いて、より適切な省エネ制御が実現される。
本発明の第7観点に係る熱負荷処理システムによると、予測した総消費エネルギー量と実際の総消費エネルギー量との乖離が省エネ制御に及ぼす影響を、軽減することができる。
本発明の一実施形態に係る熱負荷処理システムの概略構成図。 チラーユニットの概略構成図。 冷房除湿運転のときの空気の冷却及び除湿を示す湿り空気線図。 冷房加湿運転のときの空気の冷却及び加湿を示す湿り空気線図。 除湿暖房運転のときの空気の加熱及び除湿を示す湿り空気線図。 加湿暖房運転のときの空気の加熱及び加湿を示す湿り空気線図。 各利用ユニットが、対応する空調対象空間に接続されている状態を表す図。 システムコントローラに接続された各種機器と該コントローラ内部とを、模式的に示すブロック図。 チラーユニットに課されている負荷の、経時的変化を表したグラフの一例。 本実施形態に係るシステムコントローラが行う一連の主な動作を表したフロー図。 変形例Bにおける総消費エネルギー量の積算値の算出方法を説明するための図。 本発明に係る熱負荷処理システムが適用される他の概略構成図(変形例Cのシステム例1)。 本発明に係る熱負荷処理システムが適用される他の概略構成図(変形例Cのシステム例2)。 本発明に係る熱負荷処理システムが適用される他の概略構成図(変形例Cのシステム例3)。
以下、本発明に係る熱負荷処理システムについて、図面を参照しつつ詳述する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)熱負荷処理システムの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る熱負荷処理システム10の概略構成図である。熱負荷処理システム10は、該システム10全体の総消費エネルギー量(即ち、総消費電力量)を最小限にする省エネ最適制御運転を行いつつ、最適な温度に調節された空気を空調対象空間RMa,RMb,RMc(図7参照)内に供給することができる。主に、熱負荷処理システム10は、ビル、工場、病院及びホテル等の、比較的大きい建物内に設置されている。
このような熱負荷処理システム10は、図1〜2,8に示すように、主として、チラーユニット群20、利用ユニット群30、連絡配管L1〜L4(配管に相当)、一次側ポンプ42a〜42c(第1ポンプに相当)、タンク44(貯留部に相当)、二次側ポンプ46(第2ポンプに相当)、及びシステムコントローラ80(制御部に相当)を備える。更に、熱負荷処理システム10には、流量計48、電力計49、及び複数の温度検出センサT1,T2が備えられている。
チラーユニット群20を構成する複数のチラーユニット20a,20b,20c(熱源機に相当)内部には、図2に示す冷媒回路21が構成されている。更に、図1に示すように、チラーユニット群20は、クーリングタワー70とも接続されており、これらによって放熱回路60が構成されている。また、図1に示すように、一次側ポンプ42a〜42c、チラーユニット群20、二次側ポンプ46及び利用ユニット群30等によって、熱媒体回路40が構成されている。
(2)熱負荷処理システムの詳細構成
(2−1)チラーユニット群及び冷媒回路
本実施形態に係るチラーユニット群20は、複数のチラーユニット20a〜20cを有している。各チラーユニット20a〜20cは、水冷式の熱源機であって、互いに並列に接続されており、図2に示す冷媒回路21を含んでいる。
冷媒回路21は、圧縮機22、放熱器23、チラー側膨張弁24及び蒸発器25等が順次接続されることで構成されている。冷媒回路21内部には、冷媒が充填されている。
圧縮機22は、運転容量の調節が可能である。圧縮機22のモータには、インバータを介して電力が供給される。インバータの出力周波数を変更すると、モータの回転数、つまりは回転速度が変更され、圧縮機22の運転容量が変化する。
放熱器23は、冷媒回路21と接続された第1伝熱管と、放熱回路60と接続された第2伝熱管とを有している。放熱器23は、冷媒回路21側の第1伝熱管内を流れる冷媒と放熱回路60側の第2伝熱管を流れる熱媒体との間で、熱交換を行わせる。
チラー側膨張弁24は、冷媒回路21内の冷媒を減圧させ、減圧させた冷媒を流出するためのものであり、電動膨張弁で構成される。
蒸発器25は、冷媒回路21と接続されている第3伝熱管と、熱媒体回路40と接続されている第4伝熱管とを有している。蒸発器25は、冷媒回路21側の第3伝熱管内を流れる冷媒と、熱媒体回路40側の第4伝熱管を流れる熱媒体との間で、熱交換を行わせる。
このような冷媒回路21を含む各チラーユニット20a〜20cは、熱媒体としての水を冷却または加熱する。
(2−2)放熱回路
放熱回路60には、熱媒体としての水が充填されている。放熱回路60は、主として、各チラーユニット20a〜20c内の放熱器23、水ポンプ61、及びクーリングタワー70が、順次接続されることで構成されている。水ポンプ61は、吐出流量の調節が可能であり、放熱回路60内の水を循環させる。クーリングタワー70では、放熱回路60を循環する水が冷却される。
なお、図1において、水ポンプ61に付された矢印は、放熱回路60における水の流れ方向を表している。
(2−3)熱媒体回路、流量計及び温度検出センサ
熱媒体回路40は、熱媒体としての水が充填された閉回路を構成している。熱媒体回路40には、主として、一次側ポンプ42a,42b,42cと、各チラーユニット20a〜20c内の蒸発器25と、タンク44と、二次側ポンプ46と、利用ユニット群30を構成する各利用ユニット30a,30b,30c内の利用側熱交換器33a,33b,33c及び利用側弁32a,32b、32cとが、連絡配管L1〜L4によって順次接続されることで構成されている。
具体的には、連絡配管L1は、一端が各チラーユニット20a〜20cの出口側となる蒸発器25の一端に連結され、他端がタンク44の流入口に連結されている。連絡配管L2は、一端がタンク44の流出口に連結されている。連結配管L2の他端側は、途中で分岐しており、その分岐先端部は、各利用ユニット30a〜30cの入口側となる利用側熱交換器33aに連結されている。連絡配管L3は、一端が各利用ユニット30a〜30cの出口側となる各利用側弁32a〜32cの出口側に連結されている。連絡配管L3の他端側は、途中で合流しており、その合流先端部は、ヘッダー41に連結されている。連絡配管L4は、チラーユニット20a〜20cの数に応じて3本設けられている。各連絡配管L4は、一端がヘッダー41に連結され、他端は各チラーユニット20a〜20cの入口側となる蒸発器25の他端に連結されている。即ち、連絡配管L1〜L4は、チラーユニット20a〜20cと利用ユニット30a〜30cとを、環状に繋いでいると言える。
なお、本実施形態においては、チラーユニット20a〜20cを介さずに、ヘッダー41とタンク44との間を連結する一本の連絡配管L5が、上述した連絡配管L1〜L5とは別途、設けられている。
一次側ポンプ42a〜42cは、連絡配管L4上において、各チラーユニット20a〜20cに対応して3つ設けられている。一次側ポンプ42a〜42cは、容量調整が可能であって吐出容量を調整することができる容量可変型のポンプであって、システムコントローラ80によりインバータ駆動される。即ち、本実施形態に係る一次側ポンプ42a〜42cは、インバータ式のポンプであると言える。このような一次側ポンプ42a〜42cは、図1において、一次側ポンプ42a〜42cに付された矢印に示されるように、各利用側熱交換器33a〜33cから流出した熱媒体としての水を、各チラーユニット20a〜20cへと送ることで、熱媒体回路40内の水を循環させる。即ち、一次側ポンプ42a〜42cは、連絡配管L1〜L4内を流れる熱媒体(即ち、水)を、チラーユニット20a〜20cと利用ユニット30a〜30cとの間で循環させる。
なお、蒸発器25では、熱媒体回路40内を循環する水が、例えば冷却される。
タンク44は、連絡配管L1,L2の間に位置している。即ち、タンク44はチラーユニット20a〜20cと連絡配管L1を介して接続され、利用ユニット30a〜30cと連絡配管L2を介して接続されている。タンク44には、チラーユニット20a〜20cによって加熱または冷却された水である熱媒体が貯留される。即ち、チラーユニット20a〜20cが水を冷却する場合には、タンク44は、いわゆる冷水タンクとして用いられ、タンク44内には温度の低い水が溜められる。逆に、チラーユニット20a〜20cが水を加熱する場合には、タンク44は、いわゆる温水タンクとして用いられ、タンク44内には温度の高い水(即ち、温水)が溜められる。
二次側ポンプ46は、連絡配管L2上のうち、該配管L2が各利用ユニット30a〜30cに向けて分岐される前の部分に設けられている。二次側ポンプ46は、一次側ポンプ42a〜42cと同様、容量調整が可能であり吐出容量を調整することができる容量可変型のポンプであって、システムコントローラ80によりインバータ駆動される。即ち、本実施形態に係る二次側ポンプ46も、インバータ式のポンプであると言える。このような二次側ポンプ46は、図1において、二次側ポンプ46に付された矢印に示されるように、各チラーユニット20a〜20cから流出した熱媒体としての水を、各利用ユニット30a〜30cへと送ることで、熱媒体回路40内の水を循環させる。
なお、各利用ユニット30a,30b,30c内の利用側弁32a〜32c及び利用側熱交換器33a〜33cについては、「(2−4)利用ユニット群」にて説明する。
更に、本実施形態に係る熱媒体回路40には、流量計48が1つ取り付けられている。流量計48は、連絡配管L3上のうち、各利用ユニット30a〜30cから流出した水が合流して流れる部分であって、且つヘッダー41の手前側に取り付けられている。流量計48は、熱媒体回路40を循環する水の合計流量Qを計測する。
また、熱媒体回路40には、複数の温度検出センサT1,T2が設けられている。温度検出センサT1は、連絡配管L2上のうち該配管L2が分岐される前の部分であって、且つ二次側ポンプ46の流出口付近に取り付けられている。温度検出センサT1は、連絡配管L2内を流れる熱媒体である水の温度を検知する。温度検出センサT2は、連絡配管L3上のうち該配管L3が合流した後の部分であって、且つヘッダー41付近に取り付けられている。温度検出センサT2は、連絡配管L3内を流れる熱媒体である水の温度を検知する。
(2−4)利用ユニット群
利用ユニット群30は、複数の利用ユニット30a,30b,30cで構成されている。図7に示すように、各利用ユニット30a〜30cは、異なる空調対象空間RMa,RMb,RMcに設置されている。
各利用ユニット30a〜30cは、概ね直方体形状のケーシング31a〜31cを有している。各ケーシング31a〜31cの内部には、空気が流通する空気通路が形成されている。空気通路の流入端には、吸い込みダクト31ab,31bb,31cbの一端が接続され、空気通路の流出端には、給気ダクト31aa,31ba,31caの一端が接続されている。吸い込みダクト31ab〜31cb及び給気ダクト31aa〜31caの他端は、それぞれ空調対象空間RMa〜RMcに接続されている。
各ケーシング31a〜31cの内部には、熱媒体回路40を構成する利用側弁32a〜32c及び利用側熱交換器33a〜33cの他、電気ヒータ34a,34b,34c、散水式加湿器35a,35b,35c及び送風ファン36a,36b,36cが配備されている。特に、各ケーシング31a〜31c内の空気通路には、上流側から下流側に向かって順に、利用側熱交換器33a〜33b、電気ヒータ34a,34b,34c、散水式加湿器35a,35b,35c及び送風ファン36a,36b,36cが配備されている。
利用側弁32a〜32cは、利用側熱交換器33a〜33cそれぞれに流れる水の量を調節する。つまり、利用側熱交換器33a〜33c内の水の流量Qは、利用側弁32a〜32cそれぞれの開度によって決まる。
利用側熱交換器33a〜33cは、空調対象空間RMa〜RMc内の空気RAa,RAb,RAcと熱媒体回路40内の水との間で熱交換を行わせて、空気RAa〜RAcを加熱または冷却させる。具体的に、利用側熱交換器33a〜33cは、複数の伝熱フィンと、該伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。利用側熱交換器33a〜33cが有する伝熱管には、熱媒体回路40を循環する水が流れ、伝熱管及び伝熱フィンを介して水の熱が空気に供給されることで、空気が加熱または冷却されるようになっている。
電気ヒータ34a〜34cは、空気の温度を上げるための機器である。電気ヒータ34a〜34cは、出力を段階的に変化させることが可能であって、空気の加熱量を調節できる。
散水式加湿器35a〜35cは、ケーシング31a〜31cの外部に設置されたタンク(図示せず)と接続されている。散水式加湿器35a〜35cは、タンク内の水をノズルから空気中へ散布することで、ケーシング31a〜31c内を流れる空気を加湿する。つまり、散水式加湿器35a〜35cは、空気の湿度を高めるための機器であり、空気への加湿量を調節できる。
送風ファン36a〜36cは、インバータ制御によって回転数を段階的に変化させることが可能であって、加熱または冷却された空気の送風量を調節できる送風機である。送風ファン36a〜36cは、利用側熱交換器33a〜33c、電気ヒータ34a〜34c及び散水式加湿器35a〜35cを経て空調対象空間RMa〜RMc内へと吹き出される空気の流れを生成する。以下では、空調対象空間RMa〜RMc内へと吹き出される空気を、供給空気SAa,SAb,SAcと言う。
更に、各利用ユニット30a〜30cの内部には、図7に示すように、様々なセンサS1a〜S4a,S1b〜S4b,S1c〜S4cが設けられている。具体的には、各利用ユニット30a〜30cには、水用入口温度センサS1a,S1b,S1c、水用出口温度センサS2a,S2b,S2c、空気用入口温度センサS3a,S3b,S3c、及び空気用入口湿度センサS4a,S4b,S4cが、設けられている。
水用入口温度センサS1a〜S1cは、各利用ユニット30a〜30cにおける利用側熱交換器33a〜33cの、水の入口付近に設けられており、各利用ユニット30a〜30cへと流入してくる水の温度を検知する。水用出口温度センサS2a〜S2cは、各利用ユニット30a〜30cにおける利用側弁32a〜32cの、水の出口付近に設けられており、各利用ユニット30a〜30cから流出する熱交換後の水の温度を検知する。空気用入口温度センサS3a〜S3cは、ケーシング31a〜31cと吸い込みダクト31ab〜31cbとの接続部分である空気RAa〜RAcの流入口付近に設けられており、吸い込みダクト31ab〜31cbを介してケーシング31a〜31c内部に流入してくる空気RAa〜RAcの温度を検知する。空気用入口湿度センサS4a〜S4cは、空気用入口温度センサS3a〜S3cと同様、ケーシング31a〜31cと吸い込みダクト31ab〜31cbとの接続部分である空気RAa〜RAcの流入口付近に設けられており、吸い込みダクト31ab〜31cbを介してケーシング31a〜31c内部に流入してくる空気RAa〜RAcの湿度を検知する。これらセンサS1a〜S4a,S1b〜S4b,S1c〜S4cによる検知結果は、システムコントローラ80に取り込まれ、各種制御に利用される。
(2−5)電力計
図1に示すように、商用電源90とクーリングタワー70とは、電源配線によって電気的に接続されており、熱負荷処理システム10の構成要素である利用ユニット30a〜30c等には、商用電源90からの電源がクーリングタワー70を介して供給されるようになっている。電力計49は、商用電源90とクーリングタワー70とを繋ぐ電源配線上に取り付けられている。電力計49は、熱負荷処理システム10全体の消費エネルギー量(即ち、消費電力量)を、利用ユニット30a〜30c全ての負荷の合計値として計測する。
(2−6)システムコントローラ
システムコントローラ80は、熱負荷処理システム10を統括的に制御するためのものである。システムコントローラ80については、後に詳述する。
(3)熱負荷処理システムの基本動作
次に、熱負荷処理システム10の運転動作について説明する。熱負荷処理システム10は、空気の冷却と除湿とを行う冷房除湿運転(図3)、空気の冷却と加湿とを行う冷房加湿運転(図4)、空気の除湿と加熱とを行う暖房除湿運転(図5)、及び空気の加熱と加湿とを行う暖房加湿運転(図6)、のいずれかを行うことができる。これにより、熱負荷処理システム10は、空調対象空間RMa〜RMc内の温度及び湿度を、例えば設定温度である23℃及び設定湿度である50%になるように、空気調和運転を行うことができる。
(3−1)冷房除湿運転
図3に示す冷房除湿運転では、圧縮機22、各種ポンプ42a〜42c,46,61、及び送風ファン36a〜36cの運転が行われる。
冷房除湿運転では、基本的には、電気ヒータ34a〜34cが停止状態となり、散水式加湿器35a〜35cの散水も停止状態となる。冷房除湿運転では、冷媒回路21において冷凍サイクルが行われる。具体的に、圧縮機22で圧縮された冷媒が、放熱器23において、放熱回路60を流れる水に放熱して凝縮する。放熱器23で冷却された冷媒は、チラー側膨張弁24で減圧された後に、蒸発器25において、熱媒体回路40を流れる水から吸熱して蒸発する。蒸発器25で蒸発した冷媒は、圧縮機22に吸入されて圧縮される。なお、放熱器23で加熱された放熱回路60を流れる水は、クーリングタワー70において室外空気へ放熱する。熱媒体回路40では、冷媒回路21の蒸発器25で冷却された水が、各利用側熱交換器33a〜33cにおいて、各ケーシング31a〜31c内の空気通路を流れる空気を冷却する。各利用側熱交換器33a〜33cを通過した水は、冷媒回路21の蒸発器25に戻って再び冷却される。熱媒体回路40では、蒸発器25において水が冷媒から得た冷熱が、各利用側熱交換器33a〜33cに搬送され空気に供給される。
各利用ユニット30a〜30cでは、既に述べたように、吸い込みダクト31ab〜31cbによって空調対象空間RMa〜RMcそれぞれから取り込まれた室内空気RAa〜RAcが、ケーシング31a〜31c内の空気通路を流れる。この空気は、各利用側熱交換器33a〜33cにおいて熱媒体回路40の水によって冷却されて除湿される。各利用側熱交換器33a〜33cで冷却及び/または除湿された空気は、給気ダクト31aa〜31caを介して、供給空気SAa〜SAcとして各空調対象空間RMa〜RMcへと供給される。
(3−2)冷房加湿運転
図4に示す冷房加湿運転は、除湿冷房運転に加えて各散水式加湿器35a〜35cの散水による加湿が行われる運転である。各利用側熱交換器33a〜33cにおいて熱媒体回路40の水によって空気が冷却されて除湿されるまでは、上述の冷房除湿運転と同じであり、その冷却及び/または除湿された空気に各散水式加湿器35a〜35cによる散水が行われる。
各利用側熱交換器33a〜33cによる冷却及び/または除湿にて、供給空気SAa〜SAcの温度は、所望される設定温度に達することができる。しかし、この冷房加湿運転は、冷却に伴う除湿効果によって空調対象空間RMa〜RMc内の湿度が所望される設定湿度を下回ってしまう場合に、行われる。
(3−3)暖房除湿運転
図5に示す暖房除湿運転は、再熱除湿運転とも呼ばれる運転である。各利用側熱交換器33a〜33cによる除湿及び/または冷却にて、供給空気SAa〜SAcの湿度は、所望される設定湿度に達することができる。しかし、この暖房除湿運転は、除湿に伴う冷却効果によって空調対象空間RMa〜RMc内の温度が所望される設定温度を下回ってしまう場合に、行われる。
この除湿暖房運転では、各利用側熱交換器33a〜33cにおいて除湿のために空気に供給された冷熱量が大きく、必要以上に空気が冷やされた場合に、電気ヒータ34a〜34cが作動して空気再加熱する。
(3−4)暖房加湿運転
図6に示す暖房加湿運転では、電気ヒータ34a〜34c、散水式加湿器35a〜35c及び送風ファン36a〜36cの運転が行われる。一方、圧縮機22、及び各種ポンプ42a〜42c,46,61の運転は、停止される。
暖房加湿運転では、各利用ユニット30a〜30cにおいて、空調対象空間RMa〜RMcから取り込まれた空気RAa〜RAcが、まずは各電気ヒータ34a〜34cによって加熱され、次に各散水式加湿器35a〜35cによって加熱されて、供給空気SAa〜SAcとして空調対象空間RMa〜RMc内に供給される。
(4)システムコントローラについての詳細説明
図8は、本実施形態に係るシステムコントローラ80の内部構成と、該コントローラ80に接続された各種機器とを、模式的に表すブロック図である。図8に示すように、システムコントローラ80は、主として、メモリ81及びCPU82にて構成されており、チラーユニット20a〜20c、利用ユニット30a〜30c、各種ポンプ42a〜42c,46,61、流量計48、電力計49及び各種センサT1,T2,S1a〜S4a,S1b〜S4b,S1c〜S4cと接続されている。システムコントローラ80は、接続されたこれらの機器を制御することで、上述した熱負荷処理システム10の基本動作を行わせる。
メモリ81は、ROMとRAMとで構成されており、ROMには、CPU82が読み出して実行する各種プログラム等が格納されている。RAMは、CPU82のワークメモリとして機能する他、CPU82によって書き換え可能な各種情報が格納されている。
このようなシステムコントローラ80が行う主な制御としては、末端差圧制御が挙げられる。末端差圧制御とは、チラーユニット群20側からみて最も遠い位置にある利用ユニット30a〜30c(即ち、末端の利用ユニット30a〜30c)にも、適した流量の水を供給するための制御である。図1に示すように、熱負荷処理システム10には、複数の利用ユニット30a〜30cが備えられているためである。
例えば、個々の利用ユニット30a〜30cが、建物における別々の階層に設置されており、一方でチラーユニット群20が一番下の階層に設置されているとする。一番上の階層に設置されている利用ユニット(例えば、利用ユニット30a)が、チラーユニット群20から見て一番遠いところに設置されているユニットであるとする。この場合、一番遠い位置にある利用ユニット30aにおいては、利用側弁32aの開度を全開にしたとしても、該ユニット30aの入口側と出口側との圧力差(即ち、送水圧)が不足していれば、流量の適量な水が利用ユニット30aに供給されないこととなってしまう。そこで、システムコントローラ80は、上記送水圧を適切に保つことで、各利用ユニット30a〜30cに水を確実に送る制御として、末端差圧制御を行う。
また、上記末端差圧制御以外に、システムコントローラ80が行う主な制御としては、省エネ最適制御が挙げられる。省エネ最適制御では、熱負荷処理システム10全体の総消費エネルギー量が抑制されるように、熱負荷処理システム10の各種構成要素に関する最適な運転パラメータ(例えば、各種ポンプ42a〜42c、46,61の回転数等)を決定し、決定した運転パラメータにて各種構成要素を運転させる制御である。このような省エネ最適制御は、末端差圧制御と並行して行われる。
通常、省エネ最適制御では、チラーユニット20a〜20cに課されている現在の負荷に対し各チラーユニット20a〜20cの能力である熱源能力が一致するように、最適な運転パラメータが算出される。これにより、熱負荷処理システム10全体の総消費エネルギー量が最小となるような最適な運転パラメータの決定が行われている。チラーユニット20a〜20cに課されている現在の負荷とは、チラーユニット20a〜20cに対して二次側となる利用ユニット30a〜30cの現在の運転に関わるものであり、利用ユニット30a〜30cが現在どのような状態でどの程度運転しているかによって、チラーユニット20a〜20cに課される負荷は変化する。
図9は、各チラーユニット20a〜20cに課されている負荷の、経時的変化を表したグラフの一例である。図9の横軸には、1日の時刻を1時間の間隔で採っており、縦軸は負荷の大きさを表している。なお、図9では、一例として、各利用ユニット30a〜30cが冷房運転を行う場合を表している。図9には、約15時をピークとして、午前中から15時にかけては負荷が徐々に大きくなり、15時から夜にかけては負荷が徐々に小さくなる山型のグラフが描かれている。このように、各チラーユニット20a〜20cに課される負荷は、時間帯によって異なっている。更に、各チラーユニット20a〜20cに課される負荷は、時間帯のみならず、曜日、平日や休日、祝日等の違い、季節の種類、外気温度等によっても、負荷の変化の大小及びグラフの形が異なってくる。
そのため、省エネ最適制御では、システムコントローラ80は、熱源機である各チラーユニット20a〜20cの現在の消費エネルギー量(即ち、電力量)と、一次側ポンプ42a〜42c及び二次側ポンプ46それぞれの消費エネルギー量(即ち、電力量)とを加算した総消費エネルギー量(即ち、総電力量)を求める。そして、測定した現在の負荷を各チラーユニット20a〜20cの熱源能力の総量に合わせる条件の下、システムコントローラ80は、総消費エネルギー量の積算値が最小となるための運転パラメータを決定し、決定した運転パラメータを用いて、各種構成要素を制御する。
しかしながら、図1,2に示した構成を有する熱負荷処理システム10には、熱を蓄える要素である所定の蓄熱部が含まれている。所定の蓄熱部としては、利用ユニット30a〜30cが設置されている空調対象空間RMa〜RMcそれぞれを成す躯体や、連絡配管L1〜L5、タンク44が挙げられる。躯体とは、床、天井、側壁、窓等といった、空調対象空間RMa〜RMcの範囲を規定する役割を担う部材が挙げられる。このような所定の蓄熱部においては、熱の吸収または放熱が行われるため、当該蓄熱部に蓄熱される蓄熱量(以下、第1蓄熱量という)は、環境条件等に応じて適宜変化する。故に、第1蓄熱量は、上記省エネ最適制御に対し影響を及ぼす。従って、上述した省エネ最適制御の方法にて各種運転パラメータが決定されたとしても、第1蓄熱量の観点からすると、必ずしも最適であるとは言い難い。
そこで、本実施形態に係るシステムコントローラ80は、上記省エネ最適制御において、更に第1蓄熱量を考慮した制御を行う。具体的には、システムコントローラ80は、所定の蓄熱部に含まれる第1蓄熱量を加味した利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷を予測する。そして、システムコントローラ80は、現在から所定時間経過までの間に、チラーユニット20a〜20c、一次側ポンプ42a〜42c及び二次側ポンプ46にて消費される総消費エネルギー量の積算値が最小となるように、チラーユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42cの制御を行う。
以下では、本実施形態にて行われる上記制御に際し、CPU82が具体的にどのような制御動作を行うのかについて、詳述する。
(4−1)熱負荷の予測動作
先ず、CPU82は、図10のステップS1にて示されるように、熱負荷の予測動作を行う。熱負荷の予測動作には、主として、図10のステップS11に示される“利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷の算出動作”と、ステップS12に示される“制約条件の生成動作”とが含まれる。
(4−1−1)利用ユニットに関する熱負荷の算出動作
本実施形態において、“利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷”とは、上述した第1蓄熱量HSiが加味された、利用ユニット30a〜30c全ての熱負荷の合計値を言う。
具体的に、CPU82は、次式(1)を用いて、利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを求める。
Figure 2014126234
上式(1)において、右辺の“TH”は、第1蓄熱量HSiを含まない純粋な利用ユニット30a〜30c全ての熱負荷を表す。右辺の“HSi”は、第1蓄熱量、つまりは所定の蓄熱部にて蓄えられた蓄熱の増量分を表す。
上式(1)に基づき、CPU82は、現時点における利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを求める。更に、CPU82は、上式(1)を用いて、現在から所定時間が経過するまでの間の、所定間隔Ts毎の利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを求める。所定間隔Tsとしては、例えば30分毎や1時間毎等が挙げられる。つまり、仮に所定間隔Tsが“1時間”である場合、CPU82は、現時点における利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを求めるだけではなく、更に現時点から1時間経過後の利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを予測して求め、更に現時点から2時間経過後の利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを予測して求める。即ちCPU82は、現時点から所定時間(n時間)経過後までの間の所定間隔Ts毎の熱負荷THLを、現時点にて予測していく。
なお、“n”は、所定間隔Tsとの関係により適宜決定される。一例としては、“n”は、1以上の整数であって、具体的には“12”等と決定されることができる。つまり、所定間隔Tsが仮に“1時間”であって、“n”が“12”である場合には、現在から12時間後までの、1時間毎の熱負荷THLが予測されることとなる。
また、上式(1)における右辺の熱負荷TH(つまり、第1蓄熱量HSiを含まない純粋な利用ユニット30a〜30c全ての熱負荷)は、現時点の値については、流量計48によって計測された熱媒体回路40を循環する水の合計流量Q、及び各温度検出センサT1,T2の検出結果等を用いて算出される。現時点から所定時間が経過するまでの間の所定間隔Ts毎の熱負荷THは、現時点における熱負荷THの値の他、曜日や季節、外気温度を考慮しつつ、且つ過去の水の合計流量Q及び過去の各温度検出センサT1,T2の検出結果を基に、算出される。
上式(1)における第1蓄熱量HSi(即ち、所定の蓄熱部にて蓄えられた蓄熱量の増加分)は、例えば所定の蓄熱部の温度や、熱媒体回路40を循環する水の合計水量Q、当該水の温度等に基づいて求められる。所定の蓄熱部の温度としては、空調対象空間RMa〜RMc内の温度、温度検出センサT1,T2の検出結果を含む連絡配管L1〜L5の温度、タンク44の温度等が挙げられる。CPU82は、現在の第1蓄熱量HSiの値を求めるのみならず、現在の第1蓄熱量HSiの値を基に、曜日や季節、外気温度、更には過去の第1蓄熱量HSiを考慮しつつ、現在から所定時間が経過するまでの所定間隔Ts毎の第1蓄熱量HSiを予測する。
まとめると、CPU82は、現在における利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを、現在における第1蓄熱量HSiを含まない純粋な利用ユニット30a〜30c全ての熱負荷TH及び現在における第1蓄熱量HSiの加法により求める。更に、CPU82は、現在から所定時間が経過するまでの間における、所定間隔Ts毎の利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLを、予測した所定間隔Ts毎の熱負荷TH及び予測した所定間隔Ts毎の第1蓄熱量HSiの加法により求めることで、予測する。
(4−1−2)制約条件の生成動作
次に、CPU82は、最適な運転パラメータを算出するにあたり用いる制約条件を、上式(1)にて求めた現在から所定時間が経過するまでの間の各熱負荷THLを用いて生成する。
具体的には、CPU82は、上式(1)を用いて求めた所定間隔Ts毎の熱負荷THLを、チラーユニット20a〜20c全ての熱源能力と蓄熱取り出し量との加算結果に合わせるようにして、制約条件を生成する(下式(2)参照)。
Figure 2014126234
上式(2)において、左辺は、上式(1)にて求めた熱負荷THLそのものである。上式(2)の右辺の“Ab”は、チラーユニット20a〜20c全ての熱源能力を表す。上式(2)の右辺の“Ot”は、利用ユニット30a〜30cにて取り出される第2蓄熱量、つまりは蓄熱量の取り出し分を表す。
チラーユニット20a〜20c全ての熱源能力Abは、例えば、各チラーユニット20a〜20cに流入する水の温度と流出する水の温度との差から求められた各チラーユニット20a〜20cの熱源能力を積算することで、求められる。第2蓄熱量Otは、既に述べた第1蓄熱量HSiと同様の方法にて求められる。具体的には、所定の蓄熱部の温度や熱媒体回路40を循環する水の合計水量Q、当該水の温度等に基づく算出結果がプラスの値であれば、当該算出結果は、増加した分を表す第1蓄熱量HSiであるということができる。逆に、所定の蓄熱部の温度や熱媒体回路40を循環する水の合計水量Q、当該水の温度等に基づく算出結果がマイナスの値であれば、当該算出結果は第2蓄熱量Otであるということができる。
そして、CPU82は、現在から所定時間が経過するまでの間の、所定間隔Ts毎の上式(1)の結果に対し、上式(2)が満たすような制約条件を生成していく。従って、例えば現在から12時間が経過するまでの間において、1時間毎の制約条件を作成する場合には、CPU82は、現時点における制約条件、現在から1時間経過した時点における制約条件、現在から2時間経過した時点における制約条件等を、合計12個分生成することとなる。
更に、既に述べたように、蓄熱量の増加分である第1蓄熱量HSi及び蓄熱量の取り出し分である第2蓄熱量Otは、同様の方法(具体的には、所定の蓄熱部の温度や熱媒体回路40を循環する水の合計水量Q、当該水の温度等に基づく算出)によって算出される。そのため、第1蓄熱量HSiもしくは第2蓄熱量Otの少なくとも一方が、“0”になるはずである。
そこで、本実施形態に係るCPU82は、蓄熱量に関する更なる制約条件をも求める。具体的には、CPU82は、先ずは、現在の蓄熱量Phs(具体的には、現在、所定の蓄熱部が有している蓄熱量)を、次式(3)にて求める。
Figure 2014126234
上式(3)において、右辺の“HWQ”は、保有水量を表し、“Sph”は、比熱を表す。右辺の“Upt”は、使用上限水温を表し、“Ave”は、平均蓄熱水温を表す。例えば、チラーユニット20a〜20cが水を冷却する場合、上式(3)の使用上限水温Uptは、15度程度となり、平均蓄熱水温は、例えば8度程度となる。
次に、「(4−1−1)利用ユニットに関する熱負荷の算出動作」にて求めた現在の第1蓄熱量HSi(即ち、蓄熱量の増加分)が“0”であって、且つ現在の第2蓄熱量Ot(即ち、蓄熱量の取り出し分)が“0”以上の場合(HSi=0,Ot≧0)、CPU82は、次式(4)の制約条件を生成する。
Figure 2014126234
上式(4)において、“Ts”は、既に述べている所定間隔を表し、“n”は、既に述べているように1以上の整数を表す。即ち、利用ユニット30a〜30cにて蓄熱が取り出されている場合(言い換えると、利用ユニット30a〜30cにおいて放熱される場合)には、上式(4)の制約条件が成立することとなるが、上式(4)は、現時点において蓄熱されている蓄熱量Phsを上回る熱量を、取り出すことは物理的に不可能である旨を表した制約条件であると言える。
そして、この場合、CPU82は、少なくとも所定間隔Ts経過後に所定の蓄熱部が有するであろう蓄熱量Phsnを、次式(5)にて算出することが可能となる。
Figure 2014126234
上式(5)における“n”は、既に述べているように1以上の整数である。“Ts×n”は、例えば1時間経過後等の、現在からどの程度経過した後の予測結果であるのかを表している。このように、CPU82は、現時点にて所定の蓄熱部が有する蓄熱量Phsから、少なくとも所定間隔Tsの間にどれだけの蓄熱量が取り出され、その結果どれだけの蓄熱量が残るのかを算出することで、所定の蓄熱部が将来的に有するであろう蓄熱量Phsnを予測することもできる。
逆に、現在の第1蓄熱量HSi(即ち、蓄熱量の増加分)が“0”以上であって、且つ現在の第2蓄熱量Ot(即ち、蓄熱量の取り出し分)が“0”である場合(HSi≧0,Ot=0)、CPU82は、次式(6)の制約条件を求める。
Figure 2014126234
上式(6)において、“Mhs”は、所定の蓄熱部が有することのできる最大蓄熱量を表す。ここで、最大蓄熱量Mhsは、保有水量HWQ、比熱Sph、使用上限水量Upt及び蓄熱水温の設定値Setにより、次式(7)にて求められる。
Figure 2014126234
例えばチラーユニット20a〜20cが水を冷却する場合であって、使用上限水温Uptが15度程度である場合、上式(7)にて求められる最大蓄熱量Mhsは、例えば5度程度となる。
即ち、所定の蓄熱部に蓄えられる熱が増加している場合には、上式(6)の制約条件が成立することとなるが、上式(6)は、物理的に蓄えることのできる熱量の最大値を上回る蓄熱は、行うことができない旨を表した制約条件であると言える。
そして、この場合、CPU82は、少なくとも所定間隔Ts経過後に所定の蓄熱部が有するであろう蓄熱量Phsnを、次式(8)にて算出することが可能となる。
Figure 2014126234
上式(8)により、CPU82は、現時点にて所定の蓄熱部が有する蓄熱量Phsに、少なくとも所定間隔Tsの間にどれだけの蓄熱量が更に蓄えられたか(即ち、“Hsi×Ts×n”)を加算することで、所定の蓄熱部が将来的に有するであろう蓄熱量Phsnを予測することもできる。
なお、上式(5)(8)によって求められる蓄熱量Phsnは、更に、曜日や季節、外気温度、更には過去の各種蓄熱量Phs,Phsn,HSi,Otを考慮して算出されてもよい。
以上をまとめると、CPU82は、現在から所定時間が経過するまでの間の各熱負荷THLが、現在から所定時間が経過するまでの間におけるチラーユニット20a〜20c全ての熱源能力Abと蓄熱取り出し量である第2蓄熱量Otとの各加算結果にほぼ合致するようにして、制約条件を生成していく(上式(2))。言い換えると、CPU82は、連絡配管L1〜L5等の所定の蓄熱部に蓄熱された蓄熱量の増加分(即ち、第1蓄熱量HSi)を考慮した利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLに、取り出される蓄熱量Ot及びチラーユニット20a〜20c全ての熱源能力Abを合わせるようにして、制約条件を生成する。
そして、CPU82は、更に、現在の第1蓄熱量HSi(即ち、蓄熱量の増加分)及び現在の第2蓄熱量Ot(即ち、蓄熱量の取り出し分)それぞれが満たす条件から、蓄熱に関する制約条件を、上式(4)(6)に基づき生成していく。更に、CPU82は、上式(4)(6)の条件の下、現在から所定時間が経過するまでの間における、所定間隔Ts毎の蓄熱量Phsnを、上式(5)(8)に基づき予測していく。
(4−2)総消費エネルギー量の積算値の算出動作
次いで、CPU82は、図10のステップS2に示されるように、総消費エネルギー量の積算値を算出する動作を行う。
具体的に、CPU82は、チラーユニット20a〜20c全てによって消費された消費エネルギー量Eps、一次側ポンプ42a〜42c全てによって消費された消費エネルギー量Ep1及び二次側ポンプ46によって消費された消費エネルギー量Ep2を、次式(9)に示す目的関数Jに当てはめることで、熱負荷処理システム10にて消費される総消費エネルギー量Etoを算出する。
Figure 2014126234
更に詳細には、CPU82は、上式(9)の目的関数Jに対し、現在の各消費エネルギー量Eps,Ep1,Ep2を当てはめることで、現在の総消費エネルギー量Etoを算出する。そして、CPU82は、現在から所定時間が経過するまでの間の各所定間隔Ts毎の各消費エネルギー量Eps,Ep1,Ep2を予測し、当該予測結果を上式(9)に当てはめることで、所定間隔Ts毎の総消費エネルギー量Etoを算出する。そして、CPU82は、算出した各総消費エネルギー量Etoを積算していく。
なお、各消費エネルギー量Eps,Ep1,Ep2の予測方法としては、過去の各消費エネルギー量Eps,Ep1,Ep2や、熱媒体回路40を循環する水の流量Q、各チラーユニット20a〜20cの熱源能力、各ポンプ42a〜42cのパラメータ、回転数、曜日、季節、外気温度、空調対象空間RMa〜RMcの設定温度のうち少なくとも1つに基づいて、予測される。
これにより、CPU82は、現在の熱負荷処理システム10の総消費エネルギー量Etoと当該システム10において将来消費されるであろう総消費エネルギー量Etoとの積算値を、得ることができる。
なお、上式(9)の目的関数Jには、水ポンプ61によって消費された消費エネルギー量は含まれていない。しかし、目的関数Jは、水ポンプ61によって消費された消費エネルギー量が更に加算される式であってもよい。
なお、上記の通り、現在の総消費エネルギー量Etoが、将来消費されるであろう総消費エネルギー量と同様に、上式(9)の目的関数Jによって算出される場合を採用している。しかし、現在の総消費エネルギー量Etoについては、上式(9)の目的関数Jを用いずに、電力計49によって計測された計測結果を用いて得られても良い。
(4−3)運転パラメータの設定及び制御動作
次いで、CPU82は、図10のステップS3に示されるように、総消費エネルギー量の積算値を用いて運転パラメータの設定及び制御動作を行う。
具体的には、CPU82は、上記“(4−1−2)制約条件の生成動作”にて説明した複数の制約条件の下で、上記“(4−2)総消費エネルギー量の積算値の算出動作”にて説明した総消費エネルギー量の積算値が最小となるように、現在から所定時間が経過するまでの間の運転パラメータを設定する。即ち、設定される運転パラメータには、現時点における運転パラメータの他、現時点から所定間隔Ts経過毎の将来的な運転パラメータ(詳細には、1時間後の運転パラメータ、2時間後の運転パラメータ)が含まれる。このような運転パラメータの設定には、例えば線形計画法が採用される。
そして、CPU82は、決定した運転パラメータを用いて、チラーユニット20a〜20cの容量制御、一次側ポンプ42a〜42c及び二次側ポンプ46の回転数制御、タンク44への水の貯留量の制御、更には利用ユニット30a〜30cの利用側弁32a〜32cの開度制御等の、熱負荷処理システム10全体の制御を行う。
ここで、本実施形態に係る運転パラメータとしては、各チラーユニット20a〜20cの熱源負荷率の設定値、各チラーユニット20a〜20cの設定容量値、各チラーユニット20a〜20cから流出される水の設定温度、各種ポンプ42a〜42c、46,61の回転数の設定値の少なくとも1つが含まれる。更に、本実施形態に係る運転パラメータには、二次側ポンプ46によってチラーユニット20a〜20cから利用ユニット30a〜30cへと送られる水の流量Q、第1蓄熱量HSi(即ち、蓄熱量の増加分)と現在の第2蓄熱量Ot(即ち、蓄熱量の取り出し分)との差である蓄熱増減量Hsidが、更に含まれる(下式(10)参照)。
Figure 2014126234
このように、本実施形態では、第1蓄熱量HSi等を加味した利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷THLの予測が行われ、その予測結果を利用して、チラーユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42c等が制御される。更に、本実施形態では、第1蓄熱量HSi等を加味した利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷THLの予測結果を利用して、蓄熱に関する運転パラメータ(即ち、蓄熱増減量Hsid)の設定が行われる。これにより、熱負荷処理システム10は、予測された熱負荷に応じた適切な制御が実現できるだけではなく、予測された蓄熱に適した制御が実現される。従って、例えば、熱負荷処理システム10は、蓄熱を使い切るような制御を行うことも可能である。
(4−4)運転パラメータの補正動作
次いで、CPU82は、図10のステップS4に示されるように、ステップS3にて設定した運転パラメータの補正動作を行う。特に、CPU82は、設定した運転パラメータのうち、比較的応答の早い運転パラメータである各チラーユニット20a〜20cの熱源負荷率の設定値を補正する。これは、予測結果に基づいて将来の運転パラメータを設定しているが、既に設定済みの将来の運転パラメータと、実際の運転状況とが乖離してしまう場合がある。このような乖離は、応答が比較的早い運転パラメータに対して特に顕著となってしまう。そこで、本実施形態に係るCPU82は、比較的応答の早い運転パラメータに対しては、補正を行う。
なお、補正方法としては、CPU82が、予測結果から設定した運転パラメータと、当該パラメータに対応する実際の値との間の比率を求め、未だ訪れていない将来の運転パラメータに対し一律に求めた比率を乗算する方法が挙げられる。例えば、予測結果から設定した熱源負荷率において、現在から2時間経過後の利用ユニット30a〜30cの負荷が“40kw”であったとする。これに対し、2時間経過時の実際の利用ユニット30a〜30cの負荷が“30kw”であったとする。この場合、CPU82は、未だ将来の運転パラメータとなっている利用ユニット30a〜30cの熱源負荷率(具体的には、現時点から更に1時間経過後の熱源負荷率、現時点から更に2時間経過後の熱源負荷率等)に対し、“30/40”の比率を乗算する補正を行う。補正後の運転パラメータは、上書きされ、新たな運転パラメータとして用いられると良い。
なお、設定された運転パラメータには、比較的応答の遅い運転パラメータとして、各チラーユニット20a〜20cから流出される水の設定温度、及び二次側ポンプ46によってチラーユニット20a〜20cから利用ユニット30a〜30cへと送られる水の設定流量も含まれている。このように、比較的応答の遅い運転パラメータについては、CPU82は、補正を行わずに、そのまま用いてもよい。比較的応答の遅い運転パラメータであれば、既に設定済みの将来の運転パラメータと実際の運転状況とが乖離してしまう現象は、応答の速い運転パラメータよりは生じにくいためである。
なお、上記(4−1)〜(4−4)にて説明した、図10のステップS1〜S4におけるCPU82の各種動作は、所定間隔Tsよりも長い例えば2時間おきに繰り返される。これにより、熱負荷処理システム10の実情により適した制御が行われるようになる。
(5)特徴
(5−1)
本実施形態によると、システムコントローラ80は、利用ユニット30a〜30cに関する熱負荷を予測するが、この熱負荷には、所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量HSiが加味される。そして、システムコントローラ80は、現在から所定時間経過までの間に、少なくともチラーユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42cにて消費されるエネルギーの総量である総消費エネルギー量Etoの積算値が最小となるように、少なくともチラーユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42cの制御を行う。このように、本実施形態では、総消費エネルギー量Etoの積算値が最小となるような省エネ最適制御を行うにあたり、第1蓄熱量HSiを考慮する。これにより、予測結果と実際の運転状況とが乖離してしまう現象を防ぎつつ、蓄熱を含む実際の運転状況に即した省エネ最適制御を適切に行うことができる。
特に、冬季の場合、熱負荷処理システム10は、温水を利用した運転を行う。温水を利用する運転の場合には、熱負荷処理システム10全体における総消費エネルギー量が、冷水を利用する運転の場合に比して高くなる。しかしながら、本実施形態に係る熱負荷処理システム10では、所定の蓄熱部に蓄えられる熱を考慮した省エネ最適制御を行うため、蓄熱を最大限有効利用することができ、チラーユニット20a〜20cに課せられる負荷を軽減することができる。従って、特に、熱負荷処理システム10を起動した際に、チラーユニット20a〜20cに課せられる負荷が瞬時に高くなる現象を抑えることも可能となる。
(5−2)
本実施形態に係るシステムコントローラ80は、熱負荷の予測結果及び総消費エネルギー量Etoの積算値に基づいて、チラーユニット20a〜20cの容量及び一次側ポンプ42a〜42cの回転数を決定する。これにより、蓄熱を含む運転状況に更に即したユニット20a〜20c及び一次側ポンプ42a〜42cの制御が行われるようになる。
(5−3)
更に、本実施形態に係るシステムコントローラ80は、熱負荷の予測結果及び総消費エネルギー量Etoの積算値に基づいて、蓄熱増減量Hsidを運転パラメータとして更に設定する。蓄熱増減量Hsidは、所定の蓄熱部にて蓄えられる第1蓄熱量HSiと、利用ユニット30a〜30cにて取り出される第2蓄熱量Otとの差である。従って、本実施形態では、例えば蓄熱を使い切るような制御を含んだ、蓄熱を有効利用した省エネ最適制御が実現できる。
(5−4)
本実施形態に係る熱負荷処理システム10は、図1に示すように、水である熱媒体を貯留するタンク44を備えている。そして、第1蓄熱量HSiの蓄熱源である所定の蓄熱部には、利用ユニット30a〜30cが設置されている室内を成す躯体、連絡配管L1〜L5、タンク44のうち、少なくとも1つが含まれる。室内を成す躯体としては、具体的には、天井、壁、床を構成する各種部材が挙げられる。このような所定の蓄熱部では、熱が吸収されたり放熱されたりする。そこで、本実施形態に係るシステムコントローラ80は、所定の蓄熱部における蓄熱を考慮した省エネ最適制御を行うため、蓄熱を含む運転状況に更に即した省エネ最適制御を行うことができる。
(5−5)
更に、本実施形態に係る熱負荷処理システム10は、図1に示すように、チラーユニット20a〜20cから流出した熱媒体である水を、利用ユニット30a〜30cへと送るインバータ式の二次側ポンプ46を備えている。上式(9)に示すように、総消費エネルギー量Etoには、二次側ポンプ46にて消費される消費エネルギーが更に含まれている。これにより、熱負荷処理システム10が二次側ポンプ46を更に含む場合でも、二次側ポンプ46によって消費される消費エネルギーを更に考慮した省エネ最適制御が実現されるようになる。
(5−6)
また、本実施形態に係るシステムコントローラ80は、熱負荷の予測結果及び総消費エネルギー量Etoの積算値に基づいて、二次側ポンプ46によってチラーユニット20a〜20cから利用ユニット30a〜30cへと送られる水の流量Qを、運転パラメータとして更に設定する。従って、設定された適切な熱媒体の流量Qを用いて、より最適な省エネ最適制御が実現される。
(6)変形例
(6−1)変形例A
上記実施形態において、更に熱負荷処理システム10全体の総消費エネルギー量を抑えたい場合には、システムコントローラ80は、上記実施形態の“(4−1−2)制約条件の生成動作”にて説明した制約条件に加え、更に次式(11)を満たすような制約条件を生成することが好ましい。
Figure 2014126234
上式(11)の“Ct”は、総消費エネルギー量の上限値、即ちピークカット設定値である。つまり、上式(11)から生成される制約条件は、上記実施形態における式(9)の目的関数Jに対し、上限値Ctを設けたものである。
具体的に、システムコントローラ80は、現在の各種消費エネルギー量Eps,Ep1,Ep2を上式(11)に当てはめることで、ピークカットに関する現在の制約条件を生成する。更に、CPU82は、現在から所定時間が経過するまでの間における、所定間隔Ts毎の各種消費エネルギー量Eps,Ep1,Ep2の予測値を上式(11)に当てはめることで、将来のピークカットに関する制約条件を生成する。
このようにして生成された制約条件は、“(4−3)運転パラメータの設定及び制御動作”にて説明したように、運転パラメータの設定動作にて用いられる。
(6−2)変形例B
上記実施形態では、上式(1)に基づき、現在における利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLが求められ、更には現在から所定時間が経過するまでの間における所定間隔Ts毎の利用ユニット30a〜30c全てに関する熱負荷THLが予測されると説明した。
しかし、“(4−4)運転パラメータの補正動作”でも説明したのと同様に、予測した総消費エネルギー量Etoと、実際の総消費エネルギー量Etoとが乖離してしまう可能性がある。そこで、システムコントローラ80は、現在から所定期間経過までの間の所定間隔Ts毎の総消費エネルギー量Etoに対し、現在に近い程大きな重みを付加して積算することで、総消費エネルギー量Etoの積算値を算出してもよい。一例としては、図11に示すように、システムコントローラ80は、現在の総消費エネルギー量Etoに関しては重み“1.0”を乗算し、1時間後の総消費エネルギー量Etoに関しては重み“0.9”を乗算する。システムコントローラ80は、2時間後の総消費エネルギー量Etoに関しては重み“0.8”を乗算する。このようにして、システムコントローラ80は、現在から遠くなる程小さい重みを総消費エネルギー量Etoに付加していき、それぞれ異なる重みが付加された後の総消費エネルギー量Etoを積算していく。
これにより、予測した総消費エネルギー量Etoと、実際の総消費エネルギー量Etoとの乖離を、できるだけ吸収することができる。そのため、当該乖離が最適な運転パラメータの算出に及ぼす影響は、軽減される。
(6−3)変形例C
上記実施形態では、図1に示されるように、水冷式の熱源機であるチラーユニット20a〜20cを複数台、及び冷水または温水を蓄えるタンク44を一台備えた構成の熱負荷処理システム10について説明した。
しかし、本発明に係る熱負荷処理システムは、図1にて示した構成のシステムに限定されるものではない。本発明に係る熱負荷処理システムは、熱源機及びポンプ(第1ポンプ)を少なくとも1つずつ備えると共に、蓄熱されるもの(所定の蓄熱部)が更に含まれている構成であれば、どのような構成のシステムにおいても適用可能である。但し、熱負荷処理システムが、熱源機及びポンプ(例えば一次側ポンプ)を1つずつ備えた構成である場合には、目的関数Jは、上式(9)において消費エネルギーEp2を除いた式で表されることとなる。
図12〜図14は、本発明に係る熱負荷処理システムが適用される構成の図1以外の例を示している。
(6−3−1)システム例1
図12の熱負荷処理システム100は、1台の空冷式の熱源機120と、インバータ式の一次側ポンプ(第1ポンプに相当)142と、配管L10と、システムコントローラ(制御部に相当)180とを備えている。配管L10は、熱源機120と一次側ポンプ142とを繋いでいる。更に、配管L10は、冷水が溜められる冷水タンク144及び利用ユニット130を繋いでいる。これにより、熱源機120は、冷水タンク144及び利用ユニット130にも接続されている。冷水タンク144及び利用ユニット130の間の配管L10上には、インバータ式の二次側ポンプ146が設けられている。熱源機120、一次側ポンプ142、二次側ポンプ146及び利用ユニット130には、システムコントローラ180が電気的に接続されている。システムコントローラ180は、接続された各種機器の制御を行う。
このような熱負荷処理システム100により、熱媒体である水は、配管L10によって、熱源機120と利用ユニット130との間を循環して流れる。熱源機120は、水を空気との熱交換によって冷やし、冷やされた冷水は、冷水タンク144にて貯留される。また、冷水は、利用ユニット130にも供給され、利用ユニット130において利用される。システムコントローラ180は、上記実施形態と同様、配管L10や冷水タンク144である所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量HSiを加味した利用ユニット130に関する熱負荷THLを予測する。そして、システムコントローラ180は、現在から所定時間経過までの間に、少なくとも熱源機120及び一次側ポンプ142にて消費される総消費エネルギー量Etoの積算値が最小となるように、熱源機120及び一次側ポンプ142の制御を行う。
なお、システムコントローラ180の更なる詳細な動作については、上記実施形態と同様であるため、省略する。
(6−3−2)システム例2
図13の熱負荷処理システム200は、1台の空冷式の熱源機220と、2台のインバータ式の一次側ポンプ(第1ポンプに相当)242a,242bと、配管L20a,L20bと、システムコントローラ(制御部に相当)280とを備えている。配管L20a,L20bは、熱源機220と一次側ポンプ242a,242bとを繋いでいる。更に、配管L20a,L20bは、それぞれ、冷水が溜められる冷水タンク244a,温水が溜められる温水タンク244b及び利用ユニット230を繋いでいる。これにより、熱源機120は、冷水タンク244a,温水タンク244b及び利用ユニット230にも接続されている。冷水タンク244aと利用ユニット230との間の配管L20a上、及び、温水タンク244bと利用ユニット230との間の配管L20b上には、それぞれ、インバータ式の二次側ポンプ246a,24bが設けられている。熱源機220、一次側ポンプ242a、242b、二次側ポンプ246a、246b及び利用ユニット230には、システムコントローラ280が電気的に接続されている。システムコントローラ280は、接続された各種機器の制御を行う。
このような熱負荷処理システム200により、熱媒体である水は、配管L20a,L20bによって、熱源機220と利用ユニット230との間を循環して流れる。熱源機220は、水を空気との熱交換によって冷やし、冷やされた冷水は、冷水タンク244aにて貯留される。更に、熱源機220は、水を空気との熱交換によって暖め、暖められた温水は、温水タンク244bにて貯留される。冷水及び温水は、利用ユニット230にも供給され、利用ユニット230において利用される。システムコントローラ280は、上記実施形態と同様、配管L20a,L20bや各種タンク244a,244bである所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量HSiを加味した利用ユニット230に関する熱負荷THLを予測する。そして、システムコントローラ280は、現在から所定時間経過までの間に、少なくとも熱源機220及び一次側ポンプ242a,242bにて消費される総消費エネルギー量Etoの積算値が最小となるように、熱源機220及び一次側ポンプ242a,242bの制御を行う。
なお、システムコントローラ280の詳細な動作については、上記実施形態と同様であるため、省略する。
(6−3−3)システム例3
図14の熱負荷処理システム300は、1台の水冷式の熱源機320と、2台のインバータ式の一次側ポンプ(第1ポンプに相当)342a,342bと、配管L30a,L30bと、システムコントローラ(制御部に相当)380とを備えている。配管L30a,L30bは、熱源機320と一次側ポンプ342a,342bとを繋いでいる。更に、配管L30a,L30bは、それぞれ、冷水が溜められる冷水タンク344a,温水が溜められる温水タンク344b及び利用ユニット330を繋いでいる。これにより、熱源機320は、冷水タンク344a,温水タンク344b及び利用ユニット330にも接続されている。冷水タンク344aと利用ユニット330との間の配管L30a上、及び、温水タンク344bと利用ユニット330との間の配管L30b上には、それぞれ、インバータ式の二次側ポンプ346a,346bが設けられている。水冷式熱源機320には、上記実施形態に係る図1と同様、クーリングタワー370及び水ポンプ361と接続されている。熱源機320、水ポンプ361及びクーリングタワー370によって、放熱回路360が構成されている。熱源機320、一次側ポンプ342a,342b、二次側ポンプ346a,346b及び利用ユニット330には、システムコントローラ380が電気的に接続されている。システムコントローラ380は、接続された各種機器の制御を行う。
このような熱負荷処理システム300により、熱媒体である水は、配管L30a,L30bによって、熱源機320と利用ユニット330との間を循環して流れる。熱源機320は、上記実施形態で説明したチラーユニット20a〜20cと同様、水を冷媒との熱交換によって冷やし、冷やされた冷水は、冷水タンク344aにて貯留される。更に、熱源機320は、水を冷媒との熱交換によって暖め、暖められた温水は、温水タンク344bにて貯留される。冷水及び温水は、利用ユニット330にも供給され、利用ユニット330において利用される。または、冷水及び温水の熱は、放熱回路360のクーリングタワー370に供給され、放熱されることも可能である。システムコントローラ380は、上記実施形態と同様、配管L30a,L30bや各種タンク344a,344bである所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量HSiを加味した利用ユニット330に関する熱負荷THLを予測する。そして、システムコントローラ380は、現在から所定時間経過までの間に、少なくとも熱源機220及び一次側ポンプ342a,342bにて消費される総消費エネルギー量Etoの積算値が最小となるように、熱源機220及び一次側ポンプ342a,342bの制御を行う。
なお、システムコントローラ380の詳細な動作については、上記実施形態と同様であるため、省略する。
(6−4)変形例D
上記実施形態では、図1に示すように、熱源機であるチラーユニット20a〜20cが複数台である場合について説明した。また、上記変形例Cでは、図12〜14に示すように、熱源機120,220,320が1台である場合について説明した。
このように、本発明に係る熱負荷処理システムでは、熱源機の台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。熱源機の台数が1台の場合には、上記実施形態にて説明した“Ab”“Eps”は、それぞれ1台の熱源機における熱源能力、1台の熱源機における消費エネルギー量を表すこととなる。
また、上記実施形態では、図1に示すように、利用ユニット30a〜30cが複数台である場合について説明した。また、上記変形例Cでは、図12〜14に示すように、利用ユニット130,230,330が1台である場合について説明した。
このように、本発明に係る熱負荷処理システムは、仮に利用ユニットを備えるとしても、利用ユニットの台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。熱源機の台数が1台の場合には、上記実施形態にて説明した“TH”は、第1蓄熱量HSiを含まない純粋な1台の熱源機における熱負荷を表し、“THL”は、第1蓄熱量HSiを考慮した1台の熱源機における熱負荷を表すこととなる。
更に、上記実施形態では、図1に示すように、一次側ポンプ42a〜42cが複数台で、二次側ポンプ46が1台である場合について説明した。また、上記変形例Cでは、図12に示すように一次側ポンプ142及び二次側ポンプ146がそれぞれ1台の場合、図13〜14に示すように一次側ポンプ242a,242b及び二次側ポンプ246a,246bがそれぞれ2台ずつの場合について説明した。
このように、本発明に係る熱負荷処理システムでは、一次側ポンプの台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。また、本発明に係る熱負荷処理システムは、仮に二次側ポンプを備えるとしても、二次側ポンプの台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。そして、上式(9)における“Ep1”も、一次側ポンプが1台であれば、1台の一次側ポンプにおける消費エネルギー量を表し、一次側ポンプが複数台であれば、複数台分全ての一次側ポンプにおける消費エネルギー量を表すこととなる。同様に、上式(9)における“Ep2”も、二次側ポンプが1台であれば、1台の二次側ポンプにおける消費エネルギー量を表し、二次側ポンプが複数台であれば、複数台分全ての二次側ポンプにおける消費エネルギー量を表すこととなる。
(6−5)変形例E
上記実施形態では、一次側ポンプ42a〜42c及び二次側ポンプ46が共にインバータ式のポンプであると説明した。しかし、本発明では、一次側ポンプ42a〜42cはインバータ式のポンプである必要があるが、二次側ポンプ46は、インバータ式ではなく、容量一定式のポンプであってもよい。
(6−6)変形例F
上式(9)では、一例として、チラーユニット20a〜20cの消費エネルギー量Eps、一次側ポンプ42a〜42cの消費エネルギー量Ep1及び二次側ポンプ46の消費エネルギー量Ep2を用いた目的関数Jが表わされている。
しかし、目的関数Jには、更に、利用ユニット30a〜30cにおける送風ファン36a〜36cによって消費された消費エネルギーが含まれていても良い。
(6−7)変形例G
上記実施形態では、現在から所定時間が経過するまでの間の所定間隔Ts毎の総消費エネルギー量Etoが上式(9)から算出され、その算出結果が積算される場合について説明した。
しかし、熱負荷処理システム10の構成要素(例えば、チラーユニット20a〜20c、各種ポンプ42a〜42c,46、利用ユニット30a〜30cの少なくとも1つ)が運転を停止する時間が予め確定している場合には、現在から所定時間が経過するまでの間に代えて、現在から構成要素が停止する時間までの間の算出結果が積算対象であってもよい。
(6−8)変形例H
また、上記実施形態では、現在から所定時間が経過するまでの間の一定間隔、つまりは所定間隔Ts毎の総消費エネルギー量Etoが算出される場合について説明した。しかし、総消費エネルギー量Etoの算出は、一定間隔毎ではなくともよい。例えば、現在から30分後、現在から70分経過後、現在から130分経過後のように、一定間隔ではないが、現在から所定時間が経過するまでの間に対して、総消費エネルギー量Etoが算出されてもよい。
(6−9)変形例I
上記実施形態の「(4−4)運転パラメータの補正動作」では、設定した運転パラメータのうち、比較的応答の早い運転パラメータである各チラーユニット20a〜20cの熱源負荷率の設定値が補正される場合について説明した。しかし、補正対象となる運転パラメータは、熱源負荷率の設定値に限定されず、他の運転パラメータであってもよい。
また、本発明に係る熱負荷処理システムでは、補正対象は、運転パラメータではなく、上式(9)で表された目的関数J自体であってもよい。
(6−10)変形例J
上記実施形態では、比較的応答の遅い運転パラメータとして、各チラーユニット20a〜20cから流出される水の設定温度等が挙げられると説明した。このように、比較的応答の遅い運転パラメータに対しては、システムコントローラ80は、現在から将来の運転パラメータ(具体的には、水の設定温度等)の移動平均値または重み付けした平均値等を用いて、設定する直前の運転パラメータを補正し、補正した運転パラメータを設定してもよい。
(6−11)変形例K
上記実施形態では、熱媒体回路40内を循環する水の合計流量Qが、流量計48による計測によって得られる場合について説明した。しかし、熱媒体回路40内を循環する水の合計流量Qは、実際に計測されるのではなく、推定して得られてもよい。熱媒体回路40内を循環する水の合計流量Qの推定方法としては、例えば二次側ポンプ46のインバータ周波数等によって求められる方法等が挙げられる。この場合、熱媒体回路40には、流量計48を設けずに済む。
また、熱媒体回路40内を循環する熱媒体は、水以外であってもよい。
10 熱負荷処理システム
20 チラーユニット群
20a〜20c チラーユニット(熱源機)
21 冷媒回路
22 圧縮機
23 放熱器
24 チラー側膨張弁
25 蒸発器
30 利用ユニット群
30a〜30c 利用ユニット
31a〜31c ケーシング
32a〜32c 利用側弁
33a〜33c 利用側熱交換器
34a〜34c 電気ヒータ
35a〜35c 散水式加湿器
36a〜36c 送風ファン
40 熱媒体回路
41 ヘッダー
42a〜42c 一次側ポンプ(第1ポンプ)
44 タンク(貯留部)
46 二次側ポンプ(第2ポンプ)
48 流量計
49 電力計
60 放熱回路
61 水ポンプ
70 クーリングタワー
80 システムコントローラ(制御部)
81 メモリ
82 CPU
L1〜L4 連絡配管(配管)
T1,T2 温度検出センサ
THL 利用ユニット全てに関する熱負荷
TH 第1蓄熱量を含まない純粋な利用ユニット全ての熱負荷
HSi 第1蓄熱量
HWQ 保有水量
Sph 比熱
Upt 使用上限水温
Ave 平均蓄熱水温
Ab チラーユニット全ての熱源能力
Ot 第2蓄熱量
Ts 所定間隔
Phs 所定の蓄熱部が現在有している蓄熱量
Phsn 少なくとも所定間隔経過後に所定の蓄熱部が有する蓄熱量
Mhs 最大蓄熱量
Set 蓄熱水温の設定値
Eto 総消費エネルギー量
Eps 熱源ユニット全てによって消費された消費エネルギー量
Ep1 一次側ポンプ全てによって消費された消費エネルギー量
Ep2 二次側ポンプによって消費された消費エネルギー量
Hsid 蓄熱増減量
Ct ピークカット設置値
特開2003−106731号公報 特開2009−14300号公報

Claims (7)

  1. 熱媒体を加熱または冷却する熱源機(20a〜20c)と、
    前記熱源機と、前記熱媒体を利用する利用ユニット(30a〜30c)とを、環状に繋ぐ配管(L1〜L4)と、
    前記配管上に設けられており、前記配管内を流れる前記熱媒体を前記熱源機と前記利用ユニットとの間で循環させるインバータ式の第1ポンプ(42a〜42c)と、
    所定の蓄熱部に蓄熱される第1蓄熱量を加味した前記利用ユニットに関する熱負荷を予測すると共に、現在から所定時間経過までの間に少なくとも前記熱源機及び前記第1ポンプにて消費される総消費エネルギー量の積算値が最小となるように前記熱源機及び前記第1ポンプの制御を行う制御部(80)と、
    を備える、熱負荷処理システム(10)。
  2. 前記制御部(80)は、前記熱負荷の予測結果及び前記総消費エネルギー量の積算値に基づいて、前記熱源機の容量及び前記第1ポンプの回転数を決定する、
    請求項1に記載の熱負荷処理システム(10)。
  3. 前記制御部(80)は、前記熱負荷の予測結果及び前記総消費エネルギー量の積算値に基づいて、前記所定の蓄熱部にて蓄えられる前記第1蓄熱量と前記利用ユニットにて取り出される第2蓄熱量との差である蓄熱増減量を、更に決定する、
    請求項1または2に記載の熱負荷処理システム(10)。
  4. 前記熱源機と前記配管を介して接続されており、水である前記熱媒体を貯留可能な貯留部(44)、
    を更に備え、
    前記所定の蓄熱部には、前記利用ユニットが設置されている室内を成す躯体、前記配管、前記貯留部のうち、少なくとも1つが含まれる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の熱負荷処理システム(10)。
  5. 前記第1ポンプは、前記利用ユニットから流出した前記熱媒体を前記熱源機へと送るポンプであって、
    前記配管上に接続されており、前記熱源機から流出した前記熱媒体を前記利用ユニットへと送るインバータ式の第2ポンプ(46)、
    を更に備え、
    前記総消費エネルギー量には、前記第2ポンプにて消費される消費エネルギーが更に含まれている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の熱負荷処理システム(10)。
  6. 前記制御部(80)は、前記熱負荷の予測結果及び前記総消費エネルギー量の積算値に基づいて、前記第2ポンプによって前記熱源機から前記利用ユニットへと送られる前記熱媒体の流量を、更に決定する、
    請求項5に記載の熱負荷処理システム(10)。
  7. 前記制御部(80)は、現在から前記所定期間経過までの間の所定間隔毎の前記総消費エネルギー量に対し、現在に近い程大きな重みを付加して積算することで、前記総消費エネルギー量の積算値を算出する、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の熱負荷処理システム(10)。
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