JP2014035101A - 空調システム - Google Patents

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康令 岡本
Koichi Ishida
耕一 石田
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善博 中川
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Abstract

【課題】流量計を用いずに、熱媒体の流量を把握する。
【解決手段】チラーユニット20a〜20cは、水を加熱または冷却する。利用ユニット30a〜30cは、利用側熱交換器33a〜33cと、送風ファン36a〜36cとを有する。熱媒体回路40は、インバータ駆動式の二次側ポンプ46,47を有し、チラーユニット20a〜20c及び利用ユニット30a〜30cの間で水を循環させる。流量推定部82aは、熱媒体回路40内を循環する水の流量を推定する。チラー関連制御部82bは、推定された水の流量Qに基づいて、チラーユニット20a〜20cに関する制御を行う。そして、流量推定部82aは、二次側ポンプ46,47の送水圧力の計測値あるいは二次側ポンプ46,47の消費電力値と、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数とを用いて、水の流量Qを推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空調システムに関する。
空調対象空間内の空気を加熱または冷却するシステムとしては、例えば特許文献1(特開2005−24112号公報)に示されるシステムが知られている。特許文献1に係るシステムでは、一次側ポンプ、熱源機器、二次側ポンプ、バルブ、及び負荷側機器(即ち、利用側機器)が順次接続されることで、負荷側系統つまりは熱媒体回路が構成されている。この熱媒体回路内には、熱媒体としての水が循環している。熱媒体回路内における熱媒体としての水と空調対象空間内の空気とが、熱交換器において熱交換されることにより、空気は、加熱または冷却される。
ところで、熱媒体回路内におけるバルブの開度制御及び二次側ポンプの回転数制御においては、負荷側機器から流出した水の合計流量、つまりは熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量が必要となる。そこで、特許文献1に係るシステムでは、熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量を計測するための流量計が、熱媒体回路内に取り付けられている。
しかしながら、流量計は、比較的高価である。そのため、特許文献1に示すように流量計を備える空調システムでは、該システム全体のコストがかさんでしまう。
そこで、本発明の課題は、流量計を用いずに、熱媒体の流量を把握することである。
本発明の第1観点に係る空調システムは、熱源機と、利用ユニットと、熱媒体回路と、流量推定部と、制御部とを備える。熱源機は、熱媒体を加熱または冷却する。利用ユニットは、熱交換器と、ファンとを有する。熱交換器は、熱媒体と空気との間で熱交換を行わせて、空気を加熱または冷却させる。ファンは、加熱または冷却された空気を空調対象空間に供給する。熱媒体回路は、インバータ駆動式の循環ポンプを少なくとも1台有し、熱源機及び利用ユニットの間で熱媒体を循環させる。流量推定部は、熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量を推定する。制御部は、流量推定部により推定された熱媒体の流量に基づいて、熱源機に関する制御を行う。そして、流量推定部は、循環ポンプの送水圧力の計測値あるいは循環ポンプの消費電力値と、循環ポンプのインバータ周波数とを用いて、熱媒体の流量を推定する。
この空調システムでは、循環ポンプの送水圧力の計測値と循環ポンプのインバータ周波数との組み合わせ、ないしは循環ポンプの消費電力値と循環ポンプのインバータ周波数との組み合わせにより、熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量が推定される。そして、推定された熱媒体の流量は、熱源機に関する制御に用いられる。このように、この空調システムでは、流量計がなくとも、推定された熱媒体の流量を用いて熱源機に関する制御が行われる。従って、流量計を必要とせず、安価に空調システムを実現することができる。
本発明の第2観点に係る空調システムは、第1観点に係る空調システムであって、熱源機は、複数台あって、互いに並列接続されている。熱源機に関する制御には、運転する熱源機の台数を可変する熱源機の台数制御が含まれる。
熱源機の台数制御においては、その性質上、熱媒体回路内を流れる熱媒体の流量が必要となる。従って、熱源機の台数制御を行う際には、流量計が必須となる。しかしながら、この空調システムでは、熱媒体の流量を推定することができる。そのため、熱媒体の流量が必須となる熱源機の台数制御を、流量計を用いずに行うことが可能となる。
本発明の第3観点に係る空調システムは、第2観点に係る空調システムであって、制御部は、熱源機の台数制御において熱源機の台数を1台から2台へと増やした際に必要となる熱媒体の流量が、流量推定部が推定できる熱媒体の下限流量を上回るように、送水圧力の下限値とインバータ周波数の下限値とを設定する。
推定により得られた熱媒体の流量を、どんな場合においても熱源機の台数制御において使用するのであれば、運転する熱源機の台数を1台から2台へと増台する際の熱媒体の流量が推定できることが必要となってくる。そこで、この空調システムでは、熱源機の台数が1台から2台へと増台した際の熱媒体の流量が、流量推定部が推定できる熱媒体の下限流量を上回るように、送水圧力の下限値とインバータ周波数の下限値とが設定される。これにより、空調システムは、熱源機の台数制御を行う際、どのような場合においても、推定により得られた熱媒体の流量を常に用いることができる。
本発明の第4観点に係る空調システムは、第3観点に係る空調システムであって、熱源機は、定速熱源機である。熱源機の台数を1台から2台へと増やした際に必要となる熱媒体の流量とは、各熱源機の定格流量の合計値である。
これにより、空調システムは、熱源機の台数制御を行う場合にも、推定により得られた熱媒体の流量を、確実に用いることが可能となる。
ここで、定速熱源機とは、一定容量タイプの圧縮機を含むために、一定速度で運転する熱源機を言う。
本発明の第5観点に係る空調システムは、第1観点から第4観点に係る空調システムであって、熱媒体回路は、流量調節弁を更に有する。流量調節弁は、該熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量を調節する。そして、流量推定部は、更に流量調節弁の開度情報を用いて、熱媒体の流量を推定する。
この空調システムでは、熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量の推定において、流量調節弁の開度による熱媒体の戻り流量が、更に用いられる。具体的には、循環ポンプの送水圧力の計測値あるいは循環ポンプの消費電力値と、循環ポンプのインバータ周波数とを用いて推定された熱媒体の流量が、流量調節弁の開度による熱媒体の戻り流量によって、補正される。これにより、熱源機側の流量に対して利用ユニット側の流量が少なくなり、流量調節弁の開度が大きくなった場合であっても、熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量の推定を行うことが可能となる。
本発明の第1観点に係る空調システムは、流量計がなくとも、推定された熱媒体の流量を用いて熱源機に関する制御を行う。従って、流量計を必要とせず、安価に空調システムを実現することができる。
本発明の第2観点に係る空調システムは、熱媒体の流量が必須となる熱源機の台数制御を、流量計を用いずに行うことができる。
本発明の第3観点に係る空調システムは、熱源機の台数制御を行う際、どのような場合においても、推定により得られた熱媒体の流量を常に用いることができる。
本発明の第4観点に係る空調システムは、熱源機の台数制御を行う場合にも、推定により得られた熱媒体の流量を、確実に用いることが可能となる。
本発明の第5観点に係る空調システムは、流量調整弁の開度が大きくなった場合であっても、熱媒体回路内を循環する熱媒体の流量の推定を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る空調システムの概略構成図。 チラーユニットの概略構成図。 冷房除湿運転のときの空気の冷却及び除湿を示す湿り空気線図。 冷房加湿運転のときの空気の冷却及び加湿を示す湿り空気線図。 暖房除湿運転のときの空気の加熱及び除湿を示す湿り空気線図。 暖房加湿運転のときの空気の加熱及び加湿を示す湿り空気線図。 空調システムコントローラに接続された各種機器と該コントローラ内部とを、模式的に示すブロック図。 二次側ポンプの特性を表すグラフ。 変形例Aに係る二次側ポンプの特性を表すグラフ。
以下、本発明に係る空調システムについて、図面を参照しつつ詳述する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)空調システムの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空調システム10の概略構成図である。空調システム10は、該システム10全体の消費電力を最小限にする最適制御運転を行いつつ、最適な温度に調節された空気を空調対象空間内に供給することができる。主に、空調システム10は、ビルや工場、病院及びホテル等の、比較的大きい建物内に設置されている。
このような空調システム10は、図1〜2,7に示すように、主として、チラーユニット群20、利用ユニット群30、一次側ポンプ44a〜44c、二次側ポンプ46,47(循環ポンプに相当)及び空調システムコントローラ80を備える。更に、空調システム10には、差圧計48及びポンプ電力計49の、いずれか1つが備えられている。
チラーユニット群20を構成する複数のチラーユニット20a,20b,20c内部には、図2に示す冷媒回路21が構成されている。更に、図1に示すように、チラーユニット群20は、クーリングタワー70とも接続されており、これらによって放熱回路60が構成されている。また、図1に示すように、一次側ポンプ44a〜44c、チラーユニット群20、二次側ポンプ46,47及び利用ユニット群30等によって、熱媒体回路40が構成されている。
(2)空調システムの詳細構成
(2−1)チラーユニット群及び冷媒回路
本実施形態に係るチラーユニット群20は、複数のチラーユニット20a〜20c(熱源機に相当)を有している。各チラーユニット20a〜20cは、互いに並列に接続されており、図2に示す冷媒回路21を含んでいる。本実施形態では、各チラーユニット20a〜20cが、定速熱源機である場合を例に採る。定速熱源機とは、チラーユニット20a〜20cの有する圧縮機22が、運転容量可変タイプではなく、運転容量を可変することのできない一定容量タイプであるが故に、一定速度で運転を行う熱源機である。
冷媒回路21は、圧縮機22、放熱器23、チラー側膨張弁24及び蒸発器25等が順次接続されることで構成されている。冷媒回路21内部には、冷媒が充填されている。
圧縮機22は、上述したように、一定容量タイプの圧縮機であって、冷媒回路21内の冷媒を圧縮する。なお、圧縮機22は、例えば直流モータを駆動源として運転する。
放熱器23は、冷媒回路21と接続された第1伝熱管と、放熱回路60と接続された第2伝熱管とを有している。放熱器23は、冷媒回路21側の第1伝熱管内を流れる冷媒と放熱回路60側の第2伝熱管を流れる熱媒体との間で、熱交換を行わせる。
チラー側膨張弁24は、冷媒回路21内の冷媒を減圧させ、減圧させた冷媒を流出するためのものであり、電動膨張弁で構成される。
蒸発器25は、冷媒回路21と接続されている第1伝熱管と、熱媒体回路40と接続されている第2伝熱管とを有している。蒸発器25は、冷媒回路21側の第1伝熱管内を流れる冷媒と、熱媒体回路40側の第2伝熱管を流れる熱媒体との間で、熱交換を行わせる。
このような冷媒回路21を含む各チラーユニット20a〜20cは、熱媒体としての水を冷却または加熱する。
(2−2)放熱回路
放熱回路60には、熱媒体としての水が充填されている。放熱回路60は、主として、各チラーユニット20a〜20c内の放熱器23、水ポンプ61、及びクーリングタワー70が、順次接続されることで構成されている。水ポンプ61は、吐出流量の調節が可能であり、放熱回路60内の水を循環させる。クーリングタワー70では、放熱回路60を循環する水が冷却される。
なお、図1において、水ポンプ61に付された矢印は、放熱回路60における水の流れ方向を表している。
(2−3)熱媒体回路、差圧計、ポンプ電力計
熱媒体回路40は、熱媒体としての水が充填された閉回路を構成しており、各チラーユニット20a〜20cと利用ユニット30a〜30cとの間で水を循環させる。熱媒体回路40には、主として、一次側ポンプ44a,44b,44cと、各チラーユニット20a〜20c内の蒸発器25と、流量調節弁45と、二次側ポンプ46,47と、利用ユニット群30を構成する各利用ユニット30a,30b,30c内の利用側弁32a,32b、32c及び利用側熱交換器33a,33b,33c(熱交換器に相当)とが、順次接続されることで構成されている。
一次側ポンプ44a〜44cは、各利用ユニット30a〜30cの出口側と各チラーユニット20a〜20cの入口側とを繋ぐ配管L1上に接続されている。より具体的には、配管L1は、各利用ユニット30a〜30cの出口側となる各利用側弁32a〜32cの出口側を、一旦合流した状態にて戻りヘッダー41に連結すると共に、該ヘッダー41を介して各チラーユニット20a〜20cに繋いでいる。一次側ポンプ44a〜44cは、戻りヘッダー41と各チラーユニット20a〜20cとの間に、各チラーユニット20a〜20cに対応して3つ設けられている。一次側ポンプ44a〜44cは、定量ポンプであって、後述する空調システムコントローラ80により駆動制御される。このような一次側ポンプ44a〜44cは、図1において、一次側ポンプ44a〜44cに付された矢印に示されるように、各利用側熱交換器33a〜33cから流出した熱媒体としての水を、各チラーユニット20a〜20cへと送ることで、熱媒体回路40内の水を循環させる。
なお、蒸発器25では、熱媒体回路40内を循環する水が、例えば冷却される。
流量調節弁45は、熱媒体回路40内に流れる水の流量を調節する。つまり、利用側流量すなわち熱媒体回路40側で必要な水量が少なくなり、利用側弁32a〜32cが閉まりぎみ且つ二次側ポンプ46,47のインバータ周波数が下限値であっても、第2送りヘッダー43の送水圧力Hは、チラーユニット20aを流れる水の流量に対し熱媒体回路40側で必要な水量が少なくない場合には上昇する。そのため、流量調節弁45は、その開度を可変させることによって第2送りヘッダー43から第1送りヘッダー42に戻る水の流量を調節することで、熱媒体回路40内に流れる水の流量を調節する。
二次側ポンプ46,47は、各チラーユニット20a〜20cの出口側と各利用ユニット30a〜30cの入口側とを繋ぐ配管L2上に接続されている。より具体的には、配管L2は、各チラーユニット20b,20cの出口側を、第1送りヘッダー42及び第2送りヘッダー43を介して各利用ユニット30a〜30cにおける利用側熱交換器33a〜33cの入口側に繋いでいる。二次側ポンプ46,47は、配管L2上であって且つ第1送りヘッダー42と第2送りヘッダー43との間に、チラーユニット20b,20cに対応して2つ設けられている。二次側ポンプ46,47は、一次側ポンプ44a〜44cとは異なり、容量調整が可能であって吐出容量を調整することができる容量可変型のポンプであって、空調システムコントローラ80によりインバータ駆動される。このような二次側ポンプ46,47は、図1において、二次側ポンプ46,47に付された矢印に示されるように、各チラーユニット20b,20cから流出した熱媒体としての水を、各利用側熱交換器33a〜33cへと送ることで、熱媒体回路40内の水を循環させる。
なお、各利用ユニット30a,30b,30c内の利用側弁32a〜32c及び利用側熱交換器33a〜33cについては、「(2−4)利用ユニット群」にて詳述する。
また、差圧計48が空調システム10に備えられている場合には、差圧計48は、熱媒体回路40の第1送りヘッダー42及び第2送りヘッダー43の間に1つ取り付けられている。差圧計48は、流量調節弁45及び二次側ポンプ46,47に対し並列となるように、各送りヘッダー42,43の間に取り付けられている。差圧計48は、第1送りヘッダー42と第2送りヘッダー43との間の圧力差、つまりは二次側ポンプ46,47の送水圧力を計測する。
また、ポンプ電力計49が空調システム10に備えられている場合には、ポンプ電力計49は、各二次側ポンプ46,47に取り付けられている。ポンプ電力計49は、二次側ポンプ46,47それぞれにおいて消費された電力を、二次側ポンプ46,47の消費電力量として計測する。
(2−4)利用ユニット群
利用ユニット群30は、複数の利用ユニット30a,30b,30cで構成されている。各利用ユニット30a,30b,30cは、それぞれ同一ないしは異なる空調対象空間内に設置されている。
各利用ユニット30a〜30cは、概ね直方体形状のケーシング31a〜31cを有している。各ケーシング31a〜31cの内部には、空気が流通する空気通路が形成されている。空気通路の流入端には、吸い込みダクト(図示せず)の一端が接続され、空気通路の流出端には、給気ダクト(図示せず)の一端が接続されている。吸い込みダクト及び給気ダクトの他端は、それぞれ空調対象空間に接続されている。
各ケーシング31a〜31cの内部には、熱媒体回路40を構成する利用側弁32a〜32c及び利用側熱交換器33a〜33cの他、電気ヒータ34a,34b,34c、散水式加湿器35a,35b,35c及び送風ファン36a,36b,36c(ファンに相当)が配備されている。特に、各ケーシング31a〜31c内の空気通路には、上流側から下流側に向かって順に、利用側熱交換器33a〜33b、電気ヒータ34a〜34c、散水式加湿器35a〜35c及び送風ファン36a〜36cが配備されている。
利用側弁32a〜32cは、利用側熱交換器33a〜33cそれぞれに流れる水の量を調節する。つまり、利用側熱交換器33a〜33c内の水の流量は、利用側弁32a〜32cそれぞれの開度によって決まる。
利用側熱交換器33a〜33cは、水と空気との間で熱交換を行わせて、空気を加熱または冷却させる。具体的に、利用側熱交換器33a〜33cは、複数の伝熱フィンと、該伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。利用側熱交換器33a〜33cが有する伝熱管には、熱媒体回路40を循環する水が流れ、伝熱管及び伝熱フィンを介して水の熱が空気に供給されることで、空気が加熱または冷却されるようになっている。
電気ヒータ34a〜34cは、空気の温度を上げるための機器である。電気ヒータ34a〜34cは、出力を段階的に変化させることが可能であって、空気の加熱量を調節できる。
散水式加湿器35a〜35cは、ケーシング31a〜31cの外部に設置されたタンク(図示せず)と接続されている。散水式加湿器35a〜35cは、タンク内の水をノズルから空気中へ散布することで、ケーシング31a〜31c内を流れる空気を加湿する。つまり、散水式加湿器35a〜35cは、空気の湿度を高めるための機器であり、空気への加湿量を調節できる。
送風ファン36a〜36cは、インバータ制御によって回転数を段階的に変化させることが可能であって、加熱または冷却された空気の送風量を調節できる送風機である。送風ファン36a〜36cは、利用側熱交換器33a〜33c、電気ヒータ34a〜34c及び散水式加湿器35a〜35cを経て空調対象空間内へと吹き出される空気の流れを生成する。
(2−5)空調システムコントローラ
空調システムコントローラ80は、空調システム10を統括的に制御するためのものである。空調システムコントローラ80については、後に詳述する。
(3)空調システムの基本動作
次に、空調システム10の運転動作について説明する。空調システム10は、空気の冷却と除湿とを行う冷房除湿運転(図3)、空気の冷却と加湿とを行う冷房加湿運転(図4)、空気の除湿と加熱とを行う暖房除湿運転(図5)、及び空気の加熱と加湿とを行う暖房加湿運転(図6)、のいずれかを行うことができる。これにより、空調システム10は、例えば空調対象空間内の温度及び湿度を、設定温度である23℃及び設定湿度である50%になるように、空気調和運転を行うことができる。
(3−1)冷房除湿運転
図3に示す冷房除湿運転では、圧縮機22、各種ポンプ44a〜44c,46,47,61、及び送風ファン36a〜36cの運転が行われる。
冷房除湿運転では、基本的には、電気ヒータ34a〜34cが停止状態となり、散水式加湿器35a〜35cの散水も停止状態となる。冷房除湿運転では、冷媒回路21において冷凍サイクルが行われる。具体的に、圧縮機22で圧縮された冷媒が、放熱器23において、放熱回路60を流れる水に放熱して凝縮する。放熱器23で冷却された冷媒は、チラー側膨張弁24で減圧された後に、蒸発器25において、熱媒体回路40を流れる水から吸熱して蒸発する。蒸発器25で蒸発した冷媒は、圧縮機22に吸入されて圧縮される。なお、放熱器23で加熱された放熱回路60を流れる水は、クーリングタワー70において室外空気へ放熱する。熱媒体回路40では、冷媒回路21の蒸発器25で冷却された水が、各利用側熱交換器33a〜33cにおいて、各ケーシング31a〜31c内の空気通路を流れる空気を冷却する。各利用側熱交換器33a〜33cを通過した水は、冷媒回路21の蒸発器25に戻って再び冷却される。熱媒体回路40では、蒸発器25において水が冷媒から得た冷熱が、各利用側熱交換器33a〜33cに搬送され空気に供給される。
各利用ユニット30a〜30cでは、既に述べたように、吸込ダクト(図示せず)によって室内空間から取り込まれた室内空気が、ケーシング31a〜31c内の空気通路を流れる。この空気は、各利用側熱交換器33a〜33cにおいて熱媒体回路40の水によって冷却されて除湿される。各利用側熱交換器33a〜33cで冷却及び/または除湿された空気は、給気ダクト(図示せず)を介して、供給空気として室内空間へ供給される。
(3−2)冷房加湿運転
図4に示す冷房加湿運転は、除湿冷房運転に加えて各散水式加湿器35a〜35cの散水による加湿が行われる運転である。各利用側熱交換器33a〜33cにおいて熱媒体回路40の水によって空気が冷却されて除湿されるまでは、上述の冷房除湿運転と同じであり、その冷却及び/または除湿された空気に各散水式加湿器35a〜35cによる散水が行われる。
各利用側熱交換器33a〜33cによる冷却及び/または除湿にて、供給空気の温度は、所望される設定温度に達することができる。しかし、この冷房加湿運転は、冷却に伴う除湿効果によって空調対象空間内の湿度が所望される設定湿度を下回ってしまう場合に、行われる。
(3−3)暖房除湿運転
図5に示す暖房除湿運転は、再熱除湿運転とも呼ばれる運転である。各利用側熱交換器33a〜33cによる除湿及び/または冷却にて、供給空気の湿度は、所望される設定湿度に達することができる。しかし、この暖房除湿運転は、除湿に伴う冷却効果によって空調対象空間内の温度が所望される設定温度を下回ってしまう場合に、行われる。
この除湿暖房運転では、各利用側熱交換器33a〜33cにおいて除湿のために空気に供給された冷熱量が大きく、必要以上に空気が冷やされた場合に、電気ヒータ34a〜34cが作動して空気再加熱する。
(3−4)暖房加湿運転
図6に示す暖房加湿運転では、電気ヒータ34a〜34c、散水式加湿器35a〜35c及び送風ファン36a〜36cの運転が行われる。一方、圧縮機22、及び各種ポンプ44a〜44c,46,47,61の運転は、停止される。
暖房加湿運転では、各利用ユニット30a〜30cにおいて、空調対象空間から取り込まれた空気が、まずは各電気ヒータ34a〜34cによって加熱され、次に各散水式加湿器35a〜35cによって加熱されて、供給空気として空調対象空間内に供給される。
(4)空調システムコントローラについての詳細説明
図7は、本実施形態に係る空調システムコントローラ80の内部構成と、該コントローラ80に接続された各種機器とを、模式的に表すブロック図である。図7に示すように、空調システムコントローラ80は、主として、メモリ81及びCPU82にて構成されており、チラーユニット20a〜20c、利用ユニット30a〜30c、各種ポンプ44a〜44c,46,47,61、及び流量調節弁45と接続されている。また、空調システムコントローラ80は、空調システム10が差圧計48を備えている場合には差圧計48と、空調システム10がポンプ電力計49を備えている場合にはポンプ電力計49とも、接続されている。空調システムコントローラ80は、接続されたこれらの機器を制御することで、上述した空調システム10の基本動作を行わせる。
メモリ81は、ROMとRAMとで構成されており、ROMには、CPU82が読み出して実行する各種プログラム等が格納されている。RAMは、CPU82のワークメモリとして機能する他、CPU82によって書き換え可能な情報が格納されている。
CPU82は、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数の可変制御や利用側弁32a〜32cの開度制御等により熱媒体回路40内を流れる水の流量制御等を行う。図1に示すように、空調システム10においては、複数の利用ユニット30a〜30cが備えられているため、CPU82は、チラーユニット群20側からみて最も遠い位置にある利用ユニット30a〜30c(即ち、末端の利用ユニット30a〜30c)にも適した流量の水を供給する制御、つまりは末端差圧制御を行っている。
例えば、個々の利用ユニット30a〜30cが、建物における別々の階層に設置されており、一方でチラーユニット群20が一番下の階層に設置されているとする。一番上の階層に設置されている利用ユニット(例えば、利用ユニット30a)が、チラーユニット群20から見て一番遠いところに設置されているユニットであるとする。この場合、一番遠い位置にある利用ユニット30aにおいては、利用側弁32aの開度を全開にしたとしても、二次側ポンプ46,47における送水圧力Hが不足していれば、流量の適量な水が利用ユニット30aに供給されないこととなってしまう。そこで、CPU82は、上記送水圧力Hを適切に保つことで、各利用ユニット30a〜30cに水を確実に送る制御として、末端差圧制御を行う。また、この末端差圧制御では、水の流量が少量時の二次側ポンプ46,47の消費電力も抑えられるようにするため制御も行われる。
具体的に、末端差圧制御においては、CPU82は、二次側ポンプ46,47の送水圧力Hの目標値を目標圧力として決定し、実際の二次側ポンプ46,47の送水圧力Hが該目標圧力となるように、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数を増減させる。つまり、CPU82は、目標圧力に基づいて、二次側ポンプ46,47の回転数に対してPID制御を行い、二次側ポンプ46,47の容量を可変させる。そして、CPU82は、空調対象空間内の温度に対してもPID制御を行い、且つ各利用側弁32a〜32cの開度を増減させることで、配管L1及びL2の有する抵抗成分を増減させて、該配管L1,L2内、つまりは熱媒体回路40内を循環する水の流量を調節する。
特に、本実施形態に係るCPU82は、空調システム10における二次側の負荷(具体的には、利用ユニット30a〜30c)に応じて、運転するチラーユニット20a〜20cの台数を可変させる熱源機台数制御を、チラーユニット20a〜20cに関する制御として行う。例えば、チラーユニット20a〜20cから見て負荷側となる利用ユニット30a〜30cの負荷が小さい場合には、運転するべきチラーユニット20a〜20cは1台等でも足りるが、利用ユニット30a〜30cの負荷が大きい場合には、運転するべきチラーユニット20a〜20cの台数は比較的多く必要となるはずである。特に、全てのチラーユニット20a〜20cは、いわゆる定速熱源機であるが故に、チラーユニット1台あたりの熱源機としての能力は決定されている。また、仮に、利用ユニット30a〜30cの負荷が小さい一方で、全てのチラーユニット20a〜20cが運転している場合には、空調システム10全体としての消費電力量が大きくなってしまう。そこで、空調システム10全体の消費電力量が小さくなり、且つ利用ユニット30a〜30cの負荷にも十分対応できる程度に、チラーユニット20a〜20cの運転台数を確保することが好ましい。
このような熱源機台数制御の実施にあたり、熱媒体回路40内を循環する水の流量Qは、重要な要素の一つとなる。熱媒体回路40内を循環する水は、チラーユニット20a〜20cから利用ユニット30a〜30cへと熱を運ぶ媒体であり、その流量Qは、流量調節弁45の開度制御や二次側ポンプ46,47のインバータ周波数制御、更には、運転させるべきチラーユニット20a〜20cの台数等にも、幅広く影響を及ぼす。そこで、本実施形態に係るCPU82は、熱媒体回路40内を循環する水の流量Qの推定も行う。
このような動作を行うため、図7に示すように、CPU82は、主として、流量推定部82a、及びチラー関連制御部82b(制御部に相当)として機能する。
(4−1)流量推定部
流量推定部82aは、二次側ポンプ46,47に関連する各種情報を用いて、水の流量Qの推定を行う。具体的には、流量推定部82aは、以下の組み合わせのいずれかを用いて、水の流量Qを推定する。
(組み合わせ1)二次側ポンプ46,47の送水圧力Hの計測値と、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数
(組み合わせ2)二次側ポンプ46,47の消費電力値と、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数
上記組み合わせ1が採用される場合には、空調システム10は、差圧計48を備えている。上記組み合わせ1において、二次側ポンプ46,47の送水圧力を“H1”、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数を“f1”、水の流量を“Q1”とすると、これら二次側ポンプ46,47に関する各種情報及び水の流量Q1の関係は、例えば次式(1)における関数にて表される。
Figure 2014035101
上式(1)において、右辺の“a1”“a2”“a3”“a4”は、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数の定格値、二次側ポンプ46,47のポンプ特性に関するパラメータである。流量推定部82aは、上記組み合わせ1にて水の流量Q1を求める場合には、差圧計48による計測値を“H1”に代入すると共に、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数を“f1”、に代入する。そして、流量推定部82aは、各種数値が代入された上式(1)を、水の流量Q1について解くことで、熱媒体回路40内を循環する水の流量Q1を求めることができる。
上記組み合わせ2が採用される場合には、空調システム10は、ポンプ電力計49を備えている。上記組み合わせ2において、二次側ポンプ46,47の消費電力値を“Ppump”、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数を“f2”、水の流量を“Q2”とすると、これら二次側ポンプ46,47に関する各種情報及び水の流量Q2の関係は、例えば次式(2)における関数にて表される。
Figure 2014035101
上式(2)において、左辺の“g1(Q2,f2)”“g2(Q2,f2)”“g3(Q2,f2)”“g4(Q2,f2)”は、それぞれ水の流量Q2及び二次側ポンプ46,47のインバータ周波数f2を変数とする関数を表しているが、これらは互いに別々の関数である。流量推定部82aは、上記組み合わせ2にて水の流量Q2を求める場合には、ポンプ電力計49による計測値を“Ppump”に代入すると共に、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数を“f2”、に代入する。そして、流量推定部82aは、各種数値が代入された上式(2)を、水の流量Q2について解くことで、熱媒体回路40内を循環する水の流量Q2を求めることができる。なお、上式(2)は、非線形方程式であるため、流量推定部82aは、上式(2)を、二分法、セカント法、ニュートン・ラフソン法等を用いて解く。
(4−2)チラー関連制御部
チラー関連制御部82bは、上記のようにして推定された水の流量Q(具体的には、流量Q1または流量Q2)に基づいて、チラーユニット20a〜20cに関する制御を行う。具体的には、チラー関連制御部82bは、推定された水の流量Qを用いて、上述した熱源機台数制御を行う。
ところで、熱源機台数制御には、運転するチラーユニット20a〜20cの台数が2台から3台に増台する場合等の他、1台から2台に増台する場合も含まれる。特に、運転するチラーユニット20a〜20cの台数が1台から2台に増台する場合には、水の流量Qは、流量値が比較的小さな範囲内にて変化することとなる。このような場合にも、水の流量Qが確実に推定されなければ、熱源機台数制御は適切に行われなくなってしまう。
そこで、チラー関連制御部82bは、熱源機台数制御において、運転するチラーユニット20a〜20cの台数を1台から2台へと増台した際に必要となる水の流量Qが、流量推定部82aが推定できる水の下限流量を上回るように、二次側ポンプ46,47の送水圧力Hの下限値と該ポンプ46,47のインバータ周波数fの下限値とを、設定する。
図8は、二次側ポンプ46,47の特性を表すグラフである。図8では、横軸に水の流量Qを、縦軸に送水圧力Hをそれぞれ採っており、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数が一定の場合における水の流量Qと送水圧力Hとの関係をグラフ化している。二次側ポンプ46,47のインバータ周波数が一定の場合、水の流量Qが大きい程送水圧力Hが小さく、逆に水の流量Qが小さい程送水圧力Hが大きい関係を有しつつ、水の流量Qと送水圧力Hとは、図8に示すような曲線を描く(グラフj1,j2)。そして、インバータ周波数が大きい程、水の流量Qと送水圧力Hとが描く曲線は、流量Q及び送水圧力Hが全体的に大きくなるようにシフトし(グラフj2)、逆にインバータ周波数が小さい程、該曲線は、流量Q及び送水圧力Hが全体的に小さくなるようにシフトする(グラフj1)。
そして、図8に示すように、流量推定部82aが推定できる水の下限流量は、送水圧力Hの下限値とインバータ周波数の下限値とにより決定する。ここで、運転台数が1台から2台へと増台した際の水の流量Qは、熱源機台数制御において考えられる最低限の水量である。そのため、このような水量も確実に推定できるようにしておくため、チラー関連制御部82bは、送水圧力Hの下限値とインバータ周波数の下限値とを、推定できる水の下限流量よりも、チラーユニット20a〜20cの台数を1台から2台へと増台した際に必要となる水の流量Qの方が大きくなる条件を満たすようにして、設定するのである。
ここで、本実施形態に係るチラーユニット20a〜20cは、いわゆる定速熱源機であることから、運転するチラーユニット20a〜20cの台数を1台から2台へと増台した際に必要となる水の流量Qとは、例えば、各チラーユニット20a〜20cの定格流量の合計値が挙げられる。
(5)空調システムの特徴
(5−1)
本実施形態に係る空調システム10では、二次側ポンプ46,47の送水圧力の計測値Hと二次側ポンプ46,47のインバータ周波数との組み合わせ1、ないしは、二次側ポンプ46,47の消費電力値と二次側ポンプのインバータ周波数との組み合わせ2、のいずれかにより、熱媒体回路40内を循環する熱媒体としての水の流量Qが推定される。そして、推定された水の流量Qは、チラーユニット20a〜20cに関する制御に用いられる。このように、本実施形態に係る空調システム10では、流量計がなくとも、推定した水の流量Qを用いてチラーユニット20a〜20cに関する制御が行われる。従って、流量計を必要とせず、安価に空調システム10を実現することができる。
(5−2)
本実施形態に係る空調システム10は、互いに並列接続された複数台のチラーユニット20a〜20cを有している。そして、チラーユニット20a〜20cに関する制御には、運転するチラーユニット20a〜20cの台数を可変する熱源機台数制御が含まれる。
熱源機台数制御においては、その性質上、熱媒体回路40内を流れる水の流量Qが必要となる。そのため、熱源機台数制御を行う際には、従来より流量計が必須となる。しかしながら、本実施形態に係る空調システム10では、水の流量Qを推定することができる。そのため、空調システム10は、水の流量Qが必須となる熱源機台数制御を、流量計を用いずに行うことが可能となる。
(5−3)
推定により得られた水の流量Qを熱源機台数制御において確実に使用するのであれば、運転するチラーユニット20a〜20cの台数を1台から2台へと増台する際の水の流量Qが推定できることが必要となってくる。そこで、本実施形態に係る空調システム10では、運転するチラーユニット20a〜20cの台数が1台から2台へと増台した際の水の流量Qが、流量推定部82aとして機能するCPU82が推定できる水の下限流量を上回るように、送水圧力の下限値とインバータ周波数の下限値とが設定される。これにより、空調システム10は、熱源機台数制御を行う際、どのような場合においても、推定により得られた水の流量Qを常に用いることができる。
(5−4)
本実施形態に係る空調システム10のチラーユニット20a〜20cそれぞれは、一定容量タイプの圧縮機22を含む定速熱源機である。そして、チラーユニット20a〜20cの台数を1台から2台へと増やした際に必要となる水の流量Qとは、各チラーユニット20a〜20cの定格流量の合計値である。これにより、空調システム10は、熱源機台数制御を行う場合にも、推定により得られた水の流量Qを、確実に用いることが可能となる。
(6)変形例
(6−1)変形例A
上記実施形態では、インバータ駆動される容量可変タイプのポンプが、二次側ポンプ46,47として、互いに並列に接続された場合について説明した。しかし、二次側ポンプ46,47のうち一方がインバータ駆動される容量可変タイプのポンプであり、他方が定量タイプのポンプであってもよい。この場合、図9及び次式(3)にて示されるように、熱媒体回路40内を流れる水の流量Qは、容量可変タイプのポンプにおける水の流量q1と、定量タイプのポンプにおける水の流量q2との合計値によって推定される。
Figure 2014035101
上式(3)において、“m”は、容量可変タイプのポンプの運転台数、“n”は、定量タイプのポンプの運転台数を表す。なお、図9のグラフj11は、定量タイプのポンプの特性を表すグラフで、グラフj12は、容量可変タイプのポンプ特性を表している。水の流量q1は、例えば、設定された送水圧力Hの計測値及び容量可変タイプのポンプのインバータ周波数によって決定する。水の流量q2は、例えば、送水圧力Hの目標値と、定量タイプのポンプの周波数とによって決定する。つまり、水の流量q1は、インバータ周波数の変化に伴い変化する。一方、定量タイプのポンプの周波数は一定のため、水の流量q2は、周波数によって変化することはない。
(6−2)変形例B
上記実施形態において、二次側ポンプ46,47に並列接続されている流量調節弁45の開度を表す開度情報を更に考慮して、水の流量Qが推定されてもよい。
既に述べたように、CPU82は、実際の二次側ポンプ46,47の送水圧力Hが該目標圧力となるように、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数を増減させる制御を行っている。ここで、二次側ポンプ46,47のインバータ周波数の下限値は、一般的には決められているため、インバータ周波数が下限値を採る場合には、CPU82は、二次側ポンプ46,47の送水圧力を、流量調節弁45の開度によって制御する。なお、インバータ周波数の下限値は、例えば利用ユニット30a〜30cにおける利用側弁32a〜32cが開いたことにより、利用ユニット30a〜30c側において急に負荷が変化した場合にも対応できるように、設定されている。
この場合、流量推定部82aは、インバータ周波数が下限値を採る場合の二次側ポンプ46,47における水の流量q3を、送水圧力H等から推定する。そして、流量推定部82aは、流量調節弁45によって第2送りヘッダー43側から二次側ポンプ46,47の入口側である第1送りヘッダー42へと戻っている水の流量q4を、例えば流量調節弁45の弁開度、差圧計48による計測値(即ち、二次側ポンプ46,47の送水圧力H)、及び流量調節弁45の設計流量(具体的には、流量調節弁45が全開であって送水圧力Hが設計圧力である時の、水の流量)等を用いて、推定する。次いで、流量推定部82aは、これらの水の流量q3,q4の差を求めることで、熱媒体回路40内を実際に循環している水の流量Qを、より正確に推定することが可能である(Q=q3−q4)。
(6−3)変形例C
上記実施形態の空調システム10では、図1に示すように、インバータ駆動される容量可変タイプの二次側ポンプ46,47が、2台備えられている場合について説明した。しかし、空調システム10が備える容量可変タイプのポンプの台数は、2台に限定されず、1台であってもよい。即ち、空調システム10は、インバータ駆動される容量可変タイプのポンプを、少なくとも1台備えることができる。
また、上記実施形態では、インバータ駆動される容量可変タイプのポンプが、二次側ポンプ46,47にて採用されている場合について説明した。しかし、インバータ駆動される容量可変タイプのポンプは、二次側ポンプ46,47でなく、一次側ポンプ44a〜44cにて採用されていてもよい。または、二次側ポンプ46,47及び一次側ポンプ44a〜44cの両方が、インバータ駆動される容量可変タイプのポンプであってもよい。
(6−4)変形例D
上記実施形態では、複数台のチラーユニット20a〜20cに対して熱源機台数制御が行われる場合について説明した。しかし、熱源機台数制御を行わないのであれば、空調システム10は、チラーユニットを1台のみ備えていても良い。この場合、空調システム10も、熱媒体回路40内を循環する水の流量Qの推定は、上述した通り行われる。
(6−5)変形例E
上記実施形態の空調システム10は、図1,7に示すように、差圧計48もしくはポンプ電力計49を備えている場合について説明した。しかし、二次側ポンプ46,47の送水圧力Hや、該ポンプ46,47の消費電力量は、実際に計測されるのではなく、演算によって求められてもよい。これにより、空調システム10は、より低コストにて実現される。
(6−6)変形例F
上記実施形態では、熱媒体回路40内を循環する熱媒体が水である場合について説明した。しかし、熱媒体は、水以外であってもよい。
(6−7)変形例G
上記実施形態では、空調システム10が、複数の利用ユニット30a〜30cを備えている場合について説明した。しかし、空調システム10が備える利用ユニット30a〜30cの数は、複数台ではなく、1台であってもよい。
(6−8)変形例H
上記実施形態では、空調システム10が利用ユニット群30を備えるとして説明した。しかし、利用ユニットは、プロセス用の冷却または加熱熱交換器、すなわちファンを伴わない水熱交換器であってもよい。
(6−9)変形例I
上記実施形態では、熱源機であるチラーユニット20a〜20cが水冷チラーユニットである場合について説明した。しかし、チラーユニットは、空冷チラーユニット、すなわち放熱回路60を有しないものであってもよい。また、熱源機は、温水ボイラなどの冷媒回路を有しない機器であってもよい。
(6−10)変形例J
上記実施形態では、複数の利用ユニット30a〜30cが1つの第2送りヘッダー43に接続された構成を有する空調システム10について説明した。しかし、第2送りヘッダーは、複数設けられていてもよい。この場合には、第2送りヘッダーごとの二次側ポンプにおいて計測された水の流量の合計値によって、熱源機(例えば、チラーユニット20a〜20c)に関する制御等が行われる。
10 空調システム
20 チラーユニット群
20a〜20c チラーユニット(熱源機)
21 冷媒回路
22 圧縮機
23 放熱器
24 チラー側膨張弁
25 蒸発器
30 利用ユニット群
30a〜30c 利用ユニット
31a〜31c ケーシング
32a〜32c 利用側弁
33a〜33c 利用側熱交換器(熱交換器)
34a〜34c 電気ヒータ
35a〜35c 散水式加湿器
36a〜36c 送風ファン(ファン)
40 熱媒体回路
41 戻りヘッダー
42 第1送りヘッダー
43 第2送りヘッダー
44a〜44c 一次側ポンプ
45 流量調節弁
46,47 二次側ポンプ(循環ポンプ)
48 差圧計
49 ポンプ電力計
60 放熱回路
61 水ポンプ
70 クーリングタワー
80 空調システムコントローラ
81 メモリ
82 CPU
82a 流量推定部
82b チラー関連制御部(制御部)
H 送水圧力
Q 水(熱媒体)の流量
特開2005−24112号公報

Claims (5)

  1. 熱媒体を加熱または冷却する熱源機(20a〜20c)と、
    前記熱媒体と空気との間で熱交換を行わせて前記空気を加熱または冷却させる熱交換器(33a〜33a)と、加熱または冷却された前記空気を空調対象空間に供給するファン(36b〜36b)と、を有する利用ユニット(30a〜30c)と、
    インバータ駆動式の循環ポンプ(46,47)を少なくとも1台有し、前記熱源機及び前記利用ユニットの間で前記熱媒体を循環させる熱媒体回路(40)と、
    前記熱媒体回路内を循環する前記熱媒体の流量を推定する流量推定部(82a)と、
    前記流量推定部により推定された前記熱媒体の流量に基づいて、前記熱源機に関する制御を行う制御部(82b)と、
    を備え、
    前記流量推定部(82a)は、前記循環ポンプの送水圧力の計測値あるいは前記循環ポンプの消費電力値と、前記循環ポンプのインバータ周波数とを用いて、前記熱媒体の流量を推定する、
    空調システム(10)。
  2. 前記熱源機は、複数台あって、互いに並列接続されており、
    前記熱源機に関する制御には、運転する前記熱源機の台数を可変する前記熱源機の台数制御が含まれる、
    請求項1に記載の空調システム(10)。
  3. 前記制御部(82b)は、前記熱源機の台数制御において前記熱源機の台数を1台から2台へと増やした際に必要となる前記熱媒体の流量が、前記流量推定部が推定できる前記熱媒体の下限流量を上回るように、前記送水圧力の下限値と前記インバータ周波数の下限値とを設定する、
    請求項2に記載の空調システム(10)。
  4. 前記熱源機は、定速熱源機であって、
    前記熱源機の台数を1台から2台へと増やした際に必要となる前記熱媒体の流量とは、各前記熱源機の定格流量の合計値である、
    請求項3に記載の空調システム(10)。
  5. 前記熱媒体回路は、該熱媒体回路内を循環する前記熱媒体の流量を調節する流量調節弁(45)を更に有し、
    前記流量推定部は、更に前記流量調節弁の開度情報を用いて、前記熱媒体の流量を推定する、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空調システム(10)。
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