JP2014121722A - レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 - Google Patents

レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造する。
【解決手段】レーザ溶接装置10は、レーザビーム12aを出射するレーザ光照射ヘッド12と、溶融池に対して直流磁場を付与可能な磁場付与手段15と、溶融池に交流電場を付与可能な交流電場付与手段とを備える。レーザ溶接方法は、被溶接材17にレーザビーム12aを照射して溶融池を形成し、溶融池に対して交流電流と直流磁場とを付与することでローレンツ力を発生させて溶接を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置に関する。
レーザ溶接は高溶接速度、低溶接歪みという点で優れた溶接方法であることは広く知られている。また、アーク溶接、レーザ溶接などの溶融溶接においては、溶融溶接部では凝固時に高温割れ、結晶粗大化、気孔発生などの冶金的課題を内在しており、使用材質によっては溶接部の強度や品質が大きく低下する等の問題があった。
従来、厚板を溶接する場合等に必要となる非貫通溶接においては溶接部内部に溶接欠陥(ブローホール)を招きやすいという問題や、ギャップ許容度が非常に小さいという問題を解決するレーザ溶接方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1のレーザ溶接方法は、レーザビームにより形成された被溶接材における溶融池に対して電流と磁場とを付与することでローレンツ力を発生させ、溶融池を攪拌する。溶融池を攪拌しながら溶接を行うことにより、キーホールの開口が安定し、溶接部内部へのガスのトラップが防止されてブローホールの防止が可能となるとしている。溶融池に磁場を付与する磁場付与手段として、電磁石と永久磁石とが挙げられている。
また、アーク溶接、レーザ溶接等の溶融溶接において、ビード形状制御や形状欠陥防止及び冶金的問題を解決する溶接方法が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2の溶接方法は、被溶接材に対向してエネルギー束を投入または照射して被溶接材に溶融池を形成し、エネルギー束または溶融池内に流れる電流と交差させる方向で直流磁界成分を含み交流的に変動する磁界を付与する。凝固結晶微細化の原因として、次のことが考えられるとしている。即ち、非対称電磁力により、溶融金属が板圧方向に強制流動させられ、板幅方向に成長しようとする樹枝状晶に直交する電磁力や強制流動力が作用し、先端部が折られて結晶の成長が抑制され、折られた微細結晶破片が溶融池内に分散し凝固の核として作用するため、結晶数が増加し、1個あたりの成長寸法が抑制される結果となる。また、脱ガス効果として、電磁力による上下振動により、溶湯に過飽和に吸収されているガス成分が強制的にパージされ、ブローホール防止などの効果が認められた。特に、上方向に振動時にはガスの浮力による上昇を加速するため、従来の磁気攪拌法よりも脱ガス効果は顕著であるとしている。
また、電池ケース用のJISA3000系アルミニウム合金板をパルスレーザ溶接する際に、異常部(イレギュラービード)の発生を防止するためのアルミニウム合金が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3では、被溶接材であるJISA3000系アルミニウム合金の組成を調整することにより、パルスレーザ溶接する際に、異常部(イレギュラービード)の発生が防止されるようにしている。
特開2000−280080号公報 特開2008−55446号公報 特開2012−82506号公報
特許文献1及び特許文献2の方法は、物理的にポロシティを削減する方法(以下、物理的方法という)であり、特許文献3の方法は、化学的にポロシティを低減する方法(以下、化学的方法という)である。化学的方法では、ポロシティの低減はできても、ポロシティを消滅させることは非常に難しい。また、被溶接材の種類(組成)が変わると合金組成の調整が必要になる。
一方、物理的方法では、溶融状態の被溶接材に生じた気泡を物理的に破壊することによりポロシティを消滅させることが可能である。ところが、特許文献1のレーザ溶接方法では、溶融池を攪拌することによりキーホールの開口を安定化させて溶接部内部へのガスのトラップを防止することを図っている。即ち、溶融状態の被溶接材に生じた気泡を破壊するということは考慮されていない。また、磁場付与手段として、電磁石と永久磁石とが挙げられているが、永久磁石の磁場では磁場の強度が小さいため、溶融状態の被溶接材に生じた気泡を破壊するキャビテーション効果を生じさせることは難しく、キャビテーション効果は考慮されていないと考えられる。
また、特許文献2では、電磁力による上下振動により、溶湯に過飽和に吸収されているガス成分が強制的にパージされ、ブローホール防止などの効果が認められた。特に、上方向に振動時にはガスの浮力による上昇を加速するため、従来の磁気攪拌法よりも脱ガス効果は顕著であるとしている。したがって、特許文献2の場合も、溶融状態の被溶接材に生じた気泡を物理的に破壊するということは配慮されていない。
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供することにある。
上記課題を解決するレーザ溶接方法は、被溶接材にレーザビームを照射して溶融池を形成し、前記溶融池に対して電流と磁場とを付与することでローレンツ力を発生させて溶接を行うレーザ溶接方法において、前記電流は交流電流であり、前記磁場は直流磁場であることを特徴とする。
この構成によれば、レーザ溶接において、溶融状態になった被溶接材に対して電磁振動プロセス技術により被溶接材に直流磁場と交流電場とを同時に印加することにより、被溶接材に対して周期的なローレンツ力が生じ、被溶接材が交流電場と同じ周波数で振動する。そして、溶融状態の被溶接材に発生した気泡がキャビテーション効果により破壊され、溶融状態になった被溶接材の冷却過程における凝固中にポロシティを消滅させることが可能になる。したがって、レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができる。
前記交流電流の周波数は180〜2500Hzの範囲から設定され、前記磁場の強さが3テスラ以上であることが好ましい。レーザ溶接中に、キャビテーション効果を生じさせる適切な条件は、被溶接材の種類や厚さ等によって異なるが、この構成によれば、キャビテーション効果を発揮し易い。
前記被溶接材がA1000系アルミニウムであることが好ましい。この構成によれば、加工性や熱伝導性、電気伝導性には特に優れている工業用の純アルミニウムのレーザ溶接において、良好な溶接部を得ることができる。
上記課題を解決するレーザ溶接装置は、被溶接材にレーザビームを照射して溶融池を形成するレーザ溶接装置であって、レーザビームを出射するレーザ出射部と、前記溶融池に対して直流磁場を付与可能な磁場付与手段と、前記溶融池に交流電場を付与可能な交流電場付与手段とを備える。
この構成によれば、レーザ溶接を行う際に、溶融状態になった被溶接材に対して、交流電場と、直流磁場を付与することが可能なため、前述のレーザ溶接方法を実施することができる。交流電場の周波数及び直流磁場の強さは、被溶接材の種類や厚さ等によって適切な条件が選択される。したがって、レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができる。
前記交流電場を付与する交流電流の周波数は180〜2500Hzの範囲から設定され、前記磁場の強さが3テスラ以上であることが好ましい。この構成によれば、溶融状態になった被溶接材に対してキャビテーション効果を発揮し易い。
前記交流電場付与手段は、200〜2000Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能であることが好ましい。この構成によれば、付与可能な交流周波数の範囲が180〜2500Hzの装置に比べて、キャビテーション効果を発揮し易い。
前記交流電場付与手段は、800〜2000Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能であることがより好ましい。この構成によれば、付与可能な交流周波数の範囲が200〜2000Hzの装置に比べて、キャビテーション効果をより発揮し易い。
前記磁場付与手段は、5テスラ以上の直流磁場を付与可能であることが好ましい。この構成によれば、付与可能な磁場の強さが5テスラ未満の装置に比べてキャビテーション効果を発揮し易い。
本発明によれば、レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができる。
(a)はレーザ溶接装置の概略構成図、(b)は磁場付与手段の構成図。 直流磁場、交流電流、ローレンツ力の関係を示す模式図。 (a),(b),(c),(d)はキャビテーション効果によるポロシティの破壊作用を説明する模式図。 温度と電磁振動印加のタイミングを示す図。 結晶粒径と振動周波数との関係を示す図。 結晶粒径と磁場強度との関係を示す図。
以下、レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置の一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、レーザ溶接装置10は、レーザ発振器11、レーザ光照射ヘッド12、添加ワイヤトーチ13、シールドガスノズル14及び磁場付与手段15を備えている。レーザ光照射ヘッド12は、光ファイバー16によりレーザ発振器11と接続されている。なお、磁場付与手段15については、一部のみ(磁極21a,21bのみ)図示している。
添加ワイヤトーチ13は、溶接中における溶融池の上方に配設されている。添加ワイヤトーチ13には、図示しないワイヤ供給装置から添加ワイヤ13aが連続供給され、これが上記溶融池に挿入される。また、添加ワイヤ13aは交流電源18の一方の電極に接続され、交流電源18の他方の電極に被溶接材17が接続されるようになっている。添加ワイヤトーチ13、添加ワイヤ13a及び交流電源18が、溶融池に交流電場を付与可能な交流電場付与手段を構成する。交流電源18は、180〜2500Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能に構成されている。即ち、交流電源18は交流の出力周波数を所定の範囲で変更可能(調節可能)に構成されている。
図1(b)に示すように、磁場付与手段15は、励磁用電源19及び電磁石20を備えている。電磁石20は、励磁用電源19に接続された磁化コイル20aと、磁束を所定部へ誘導する鉄芯21とにより構成されている。鉄芯21は略C字状に形成され、対向する磁極21a,21bを備えている。励磁用電源19は磁化コイル20aに直流を供給し、電磁石20は対向する磁極21a,21bの一方から他方へ磁束が流れるように構成されている。即ち、磁場付与手段15は、溶融状態になった被溶接材に対して直流磁場を付与することが可能である。なお、電磁石20は、レーザ光照射ヘッド12から照射されるレーザビーム12aの光路を妨げないように配置されており、例えば、磁極21a,21bの配置位置に対して斜め上方に磁化コイル20aが位置するように配置されている。
そして、両磁極21a,21bは、磁束の方向が、溶接時に被溶接材17の溶融池の表面と平行に、かつ溶融池に流れる電流と直交する方向となるように配置されており、溶融池に対して直流磁場を付与可能になっている。磁場付与手段15は、溶融池に対して3テスラ以上、好ましくは5テスラ以上の直流磁場を付与可能に構成されている。
シールドガスノズル14は、レーザビーム12aに対して添加ワイヤトーチ13と反対側に配設されている。シールドガスノズル14にはHeガスボンベ22が接続されており、溶接時にシールドガスノズル14の先端よりHeガスが噴出されて溶接部をHeガスでシールド可能になっている。
被溶接材17の溶接箇所を連続的に変更可能とするため、レーザ光照射ヘッド12、添加ワイヤトーチ13、シールドガスノズル14及び電磁石20は、被溶接材17に対して相対移動可能に構成されている。この実施形態では、被溶接材17が図示しない支持装置とともに図1(a)において紙面と垂直方向に移動されるようになっている。
次に前記のように構成されたレーザ溶接装置10によるレーザ溶接方法を説明する。
レーザ発振器11から発振されたレーザビーム12aは光ファイバー16及びレーザ光照射ヘッド12を介して被溶接材17の被溶接部上に照射される。レーザビーム12aの照射により被溶接材17は溶融されて、溶融池が形成される。そして、添加ワイヤトーチ13により添加ワイヤ13aが溶融池に挿入され、溶融池に交流電流が流れる。交流電流は被溶接材17の上面に沿って流れる。この状態で磁場付与手段15により、被溶接材17の表面と平行に、即ち溶融池の表面と平行に、かつ溶融池に流れる交流電流と直交する方向となるように直流磁場が付与される。図1(a)の場合、直流磁場の向きは図の左右方向になるため、交流電流は図の紙面と垂直方向に流れる。
すると、図2に模式的に示すように、電流の流れる方向と、直流磁場の方向とが水平面内で直交する状態となり、電場及び磁場の向きと直交する方向にローレンツ力Fが作用する。ローレンツ力Fの向きはフレミング左手の法則で決まり、磁場の方向は一定でも、電流が交流のため、ローレンツ力Fの向きが図2の矢印の方向において交流の周波数に合わせて交互に変化する。なお、図2では図示の都合上、直流磁場の方向を下向きに描いているが、前述したように、電流と磁束とは水平面内で直交するため、ローレンツ力Fの向きは図1(a)において上下方向になる。
図3(a),(b)に示すように、液状の被溶接材17中に気泡30が存在する状態で液相にローレンツ力Fが作用する場合、ローレンツ力Fの方向によって気泡30に対する作用が異なり、図3(a)に示すように、気泡30を膨張させる方向と、図3(b)に示すように、気泡30を圧縮させる方向のローレンツ力Fが交互に繰り返される。そして、キャビテーション効果が発生する状態でローレンツ力Fが作用すると、図3(c),(d)に示すように、気泡30が破裂する。気泡が破裂することにより、その衝撃で、結晶核となる部分が多数発生し、微細結晶粒組織を持ち、強度が向上した溶接部が製造される。
例えば、被溶接材17として二次電池やキャパシタ等の蓄電装置のアルミニウム製のケースと、アルミニウム製の蓋との溶接を行う場合は、ケースと蓋とを当接させた状態で支持装置上に支持する。支持の状態は、ケースが有底四角筒状の場合は、ケースと蓋との当接部の溶接すべき箇所が図1(a)における紙面と垂直方向へ延びる状態にし、前述のようにレーザ溶接を行う。1つの側面に対する溶接が完了するたびに、残りの側面が順次レーザ光照射ヘッド12と対向するように支持状態を変更し、4つの側面全てに対してレーザ溶接を行うことにより、ケースと蓋との溶接箇所に微細結晶粒組織を持ち、強度が向上した溶接部が製造される。
次にレーザ溶接における適切な電磁振動の印加条件を調べるため、JISA1000系アルミニウム合金を試料として、振動周波数及び磁場強度を種々変更してレーザ溶接試験を行った場合の振動周波数及び磁場強度の影響について説明する。
試料として、直径6mm、長さ50mmのJISA1000系アルミニウム合金棒を使用し、一対の銅電極間に黒鉛電極を介在した状態で試料を挟持した。そして、銅電極間に所定周波数の交流を印加するとともに、超電導マグネットを電極より外側に配置して、試料をヒータで加熱した状態でレーザ溶接を行った。
固体状態の試料(被溶接材17)にローレンツ力Fを作用させてもキャビテーション効果は発生しないため、溶接箇所の被溶接材17が液相の状態で電磁振動を開始する。そして、電磁振動を開始後、溶接箇所の温度が液相線温度より低い温度になった後、電磁振動を終了するとともに被溶接材17を急冷する。
詳述すると、図4に示すように、ヒータによる加熱により、試料の溶接箇所の温度を時間に対して一次関数的に上昇させる。液相線温度より充分に高い所定の最高温度に所定時間維持した後、溶接部の温度下降中の液相線温度より充分高い温度で電磁振動を開始する。その後、液相線温度より溶接部の温度が低下した状態において電磁振動を終了し、加熱を終了するとともに、急冷(例えば、冷却水を掛ける。)を行った。試料の温度は熱電対で測定した。
図4において、電磁振動終了時点を液相線温度と固相線温度との中間位置に図示しているが、50%程度凝固した状態において電磁振動を終了することを示すのではなく、充分に液相線温度を過ぎた状態の時点を意味している。また、電磁振動終了と同時に冷却水を掛けているが、これは急冷することにより、溶融状態で結晶粒粗大化が進行することを防止するために行う。実際のレーザ溶接においても溶接箇所の温度はレーザ照射で急上昇し、レーザ照射がされなくなると急下降することに対応させている。
磁場強度を7テスラ一定の条件で、交流電流の周波数を50〜7000Hzの範囲で変更して溶接試練を行った。また、交流電流の周波数を1000Hzで固定し、磁場強度を1〜10テスラの範囲で変更して溶接試験を行った。溶接終了後、溶接部の結晶粒径を顕微鏡写真で計測した。また、溶接部を引き剥がし、目視によりボイドの数を数えた。
図5に振動周波数と結晶粒径の関係を示す。また、図6に結晶粒径の関係を示す。図5及び図6において、dmax(0.8)とは、粒度分布を累積分布で示した場合における累積80%の粒径を意味し、この実施形態ではdmax(0.8)を最大径と定義する。また、Averageとは、粒度分布を累積分布で示した場合におけるdmax(0.8)の値と、累積20%の粒径との平均値である。
振動周波数に対する結晶粒径及びボイド数との関係を表1に示す。なお、ボイド数とは、溶接部長さ145mm中に存在したボイドの個数を意味する。また、結晶粒径は図5のAverageの値に相当する。
図5及び表1より、キャビテーション効果が効率良く発揮されるには適切な周波数が存在することが分かる。振動周波数が大きすぎると、液相のマクロ流動が弱くなり、結晶の微細化ができなくなると考えられる。
図6より、磁場強度が強い方がキャビテーション効果が効率良く発揮され、キャビテーション効果が効率良く発揮され易い振動周波数であっても、磁場強度が小さいと、例えば、3テスラ未満ではキャビテーション効果が発揮され難くなると考えられる。試験に使用した装置は最大磁場強度が10テスラのため、試験データとしては磁場強度の最大値が10テスラとなった。
表1より、磁場強度を7テスラに固定した状態では、振動周波数が120Hz以下の試料番号1,2及び振動周波数が5000Hz以上の試料番号8,9では溶接部にボイドが確認された。しかし、振動周波数が200〜2000Hzの範囲の試料番号3〜7においては溶接部にボイドが発生せず、良好な溶接部が得られたことを確認できる。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)レーザ溶接方法は、被溶接材17にレーザビーム12aを照射して溶融池を形成し、溶融池に対して電流と磁場とを付与することでローレンツ力を発生させて溶接を行うレーザ溶接方法において、電流は交流電流であり、磁場は直流磁場である。そして、交流電流の周波数は180〜2500Hzの範囲から設定され、直流磁場の強さが3テスラ以上である。そのため、溶融状態の被溶接材17に発生した気泡30がキャビテーション効果により破壊され、ポロシティを消滅させることが可能になる。したがって、レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡30を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができる。
(2)被溶接材17としてA1000系アルミニウムを使用した場合に(1)の効果を得ることができる。したがって、加工性や熱伝導性、電気伝導性には特に優れている工業用の純アルミニウムのレーザ溶接において、良好な溶接部を得ることができる。
(3)レーザ溶接装置10は、レーザビーム12aを出射するレーザ出射部(レーザ光照射ヘッド12)と、溶融池に対して3テスラ以上の直流磁場を付与可能な磁場付与手段15と、溶融池に180〜2500Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能な交流電場付与手段(添加ワイヤトーチ13、添加ワイヤ13a及び交流電源18)とを備える。そして、レーザ溶接を行う際に、被溶接材17にレーザビーム12aを照射して溶融池を形成し、溶融状態になった被溶接材17に対して、180〜2500Hzの範囲から設定された周波数の交流電場と、3テスラ以上の直流磁場を付与することが可能なため、前述のレーザ溶接方法を実施することができる。したがって、レーザ溶接中に、キャビテーション効果により気泡30を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができる。被溶接材17の種類や厚さ等によって、交流電場の適切な周波数が変わる場合があるが、交流電場付与手段は、180〜2500Hzの範囲から選択された周波数の交流電場を付与可能なため、条件設定の自由度が大きくなる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 交流電場付与手段を、200〜2000Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能に構成してもよい。この場合、付与可能な交流周波数の範囲は、180〜2500Hzの範囲から設定される装置に比べて狭くなるが、キャビテーション効果を発揮し易くなる。
○ 交流電場付与手段を、800〜2000Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能に構成してもよい。この場合、付与可能な交流周波数の範囲は200〜2000Hzの範囲から設定される装置に比べて狭くなるが、キャビテーション効果をより発揮し易くなる。
○ 交流電場付与手段は、レーザ溶接の際に、溶融状態になった被溶接材17に対して、180〜2500Hzの範囲から選択された周波数の交流電場を付与可能であればよく、周波数の変更範囲が狭い装置であってもよい。溶接可能な被溶接材17の種類が1種類であれば、周波数の変更範囲が狭い装置であっても支障はない。
○ 磁場付与手段15を、5テスラ以上の直流磁場を付与可能に構成してもよい。この場合、付与可能な磁場の強さが5テスラ未満の装置に比べてキャビテーション効果を発揮し易い。
○ 被溶接材17は、A1000系アルミニウムに限らず、A3000系アルミニウム合金や他の金属、例えば、軟鋼等の鉄系金属であってもよい。
○ レーザ溶接方法は、被溶接材にレーザビームを照射して溶融池を形成し、前記溶融池に対して電流と磁場とを付与することでローレンツ力を発生させて溶接を行うレーザ溶接方法において、電流が交流電流であり、磁場が直流磁場であればよい。なぜならば、実施形態では、交流電流の周波数が180〜2500Hzの範囲から選択された周波数で、直流磁場の強さが3テスラ以上の条件で微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することができた。しかし、例えば、直流磁場の強さが10テスラより大きな条件、あるいは交流電流の大きさを変更することにより、交流電流の周波数が180〜2500Hzの以外の条件においても、レーザ溶接中に、気泡30を破壊させてポロシティを消滅させ、微細結晶粒組織を持ち強度が向上した溶接部を製造することが可能になると推測できる。
○ レーザ溶接装置10は、被溶接材17を支持する支持装置側を所定位置に固定して、レーザ光照射ヘッド12、交流電場付与手段及び磁場付与手段15側を移動可能にしてもよい。
○ レーザ溶接装置10は、レーザ発振器11で発生したレーザ光を、光ファイバー16を使用せずに、集光光学系を介して被溶接材17上に照射する構成であってもよい。
○ 交流電場付与手段は、添加ワイヤトーチ13及び添加ワイヤ13a使用せず、交流電源18の2つの電極に接続された2本の配線の一方を被溶接材17の溶接ラインの一端側に接続し、他方を溶接ラインの他端側に接続する構成にしてもよい。なお、溶接ラインとは、溶接時に溶接ビードが直線状に延びる部分に対応する溶接箇所を意味する。例えば、溶接ビードが1本の直線として形成される場合はその両端と対応する位置に各配線が接続され、溶接ビードが屈折して複数の直線部から構成される場合は、各直線部の両端と対応する位置に、2本の配線の接続位置が順次変更される。溶接ビードが曲線状、例えば円弧状に形成される場合は、円弧を複数に分割して、ほぼ直線状になる部分の両端と対応する位置に、2本の配線の接続位置が順次変更される。
○ 磁場付与手段15を構成する電磁石20として超電導マグネットを使用してもよい。
F…ローレンツ力、10…レーザ溶接装置、12…レーザ出射部としてのレーザ光照射ヘッド、12a…レーザビーム、15…磁場付与手段、17…被溶接材、13…交流電場付与手段を構成する添加ワイヤトーチ、13a…同じく添加ワイヤ、18…同じく交流電源。

Claims (8)

  1. 被溶接材にレーザビームを照射して溶融池を形成し、前記溶融池に対して電流と磁場とを付与することでローレンツ力を発生させて溶接を行うレーザ溶接方法において、
    前記電流は交流電流であり、前記磁場は直流磁場であることを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記交流電流の周波数は180〜2500Hzの範囲から設定され、前記磁場の強さが3テスラ以上である請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記被溶接材がA1000系アルミニウムである請求項1又は請求項2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 被溶接材にレーザビームを照射して溶融池を形成するレーザ溶接装置であって、
    レーザビームを出射するレーザ出射部と、
    前記溶融池に対して直流磁場を付与可能な磁場付与手段と、
    前記溶融池に交流電場を付与可能な交流電場付与手段と
    を備えることを特徴とするレーザ溶接装置。
  5. 前記交流電場を付与する交流電流の周波数は180〜2500Hzの範囲から設定され、前記磁場の強さが3テスラ以上である請求項4に記載のレーザ溶接装置。
  6. 前記交流電場付与手段は、200〜2000Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能である請求項5に記載のレーザ溶接装置。
  7. 前記交流電場付与手段は、800〜2000Hzの範囲から設定された周波数の交流電場を付与可能である請求項5又は請求項6に記載のレーザ溶接装置。
  8. 前記磁場付与手段は、5テスラ以上の直流磁場を付与可能である請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
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