JP2014121244A - 電動機の固定子及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】軸受の保守点検時に、ブラケットと固定子鉄心とを分解、再組立してもブラケットと固定子鉄心との同軸度が低下せず、性能が低下することのない電動機の固定子を得ること。
【解決手段】環状の鋼板を複数枚積層して回転子収容孔を有する柱状に形成された鋼板積層体と、前記鋼板積層体の複数の貫通孔と連通する複数の貫通孔が設けられ、中央孔を有し、内縁部に軸方向に突出するリング状の嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記鋼板積層体の両端部に配置された端板と、前記端板及び鋼板積層体の複数の貫通孔に挿通され両者を締結するリベットピンと、を備え、前記リベットピンで締結後に、前記回転子収容孔に心合わせして前記嵌合凸部の外周部又は嵌合凹部の内周部が仕上げ加工された固定子鉄心と、前記嵌合凸部又は嵌合凹部に嵌合する嵌合凹部又は嵌合凸部及び回転子を支持する軸受を保持する軸受保持部を有するブラケットと、を備える。
【選択図】図１１

Description

本発明は、分解、保守点検後に再組立が容易な電動機の固定子及びその製造方法に関する。

従来、ベアリングを介してロータを回転可能に支持する一対のハウジングと、該ハウジングによって軸線方向に挟持されて電動機の外被の一部を構成する四角柱状のステータとを備え、該ステータが薄板の積層構造を有している同期電動機において、前記ステータの前記薄板は前記ステータの厚肉部（コーナー部）を軸線方向に貫通する複数個のリベットによって締結され、前記四角柱状のステータの外側面のコーナー部の面取り部は、ステータの中心軸線を中心とする共通円筒面の一部をなすように形成されている４つのインロー部（面取り部）を構成し、前記ハウジングはこれら面取り部に適合する４つのインロー部を有し、面取り部とインロー部との嵌合いによりハウジングがステータに対して心合わせされた同期電動機が開示されている（例えば、特許文献１参照）。

特開昭６１−１７３６４２号公報（明細書第３頁右上欄）

しかしながら、上記特許文献１に記載された従来の技術によれば、ステータの積層鉄心の厚肉部（コーナー部）を加工してインロー部（面取り部）を設けているので、積層鉄心の隙間に切粉が入るなど、加工の作業性及び寸法精度が低い、という問題がある。また、ステータの、互いに分離され接触面積が狭い４つの面取り部と、ハウジングの４つのインロー部との嵌合いにより、ハウジングがステータに対して心合わせされているので、両者間の同軸度が低いという問題がある。また、ベアリングの保守点検時に、ハウジングとステータとを分解、再組立すると、さらに同軸度が低下し、同期電動機の性能が低下するという問題がある。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、加工の作業性及び寸法精度が高く、軸受の保守点検時に、ハウジング（ブラケット）と固定子鉄心とを分解、再組立してもハウジング（ブラケット）と固定子鉄心との同軸度が低下せず、性能が低下することのない電動機の固定子及びその製造方法を得ることを目的とする。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、複数の貫通孔が設けられ、内縁部に複数のスロットが設けられた環状の鋼板を複数枚積層して回転子収容孔を有する柱状に形成された鋼板積層体と、前記鋼板積層体の複数の貫通孔と連通する複数の貫通孔が設けられ、内径が前記スロットに装着されるコイルのコイルエンド部の外径よりも大きい中央孔を有し、内縁部に軸方向に突出するリング状の嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記鋼板積層体の両端部に配置された端板と、前記端板及び鋼板積層体の複数の貫通孔に挿通され両者を締結するリベットピンと、を備え、前記リベットピンで締結後に、前記回転子収容孔に心合わせして前記嵌合凸部の外周部又は嵌合凹部の内周部が仕上げ加工された固定子鉄心と、前記鋼板積層体のスロットに装着されたコイルと、前記嵌合凸部又は嵌合凹部に嵌合する嵌合凹部又は嵌合凸部及び回転子を支持する軸受を保持する軸受保持部を有するブラケットと、を備えることを特徴とする。

本発明によれば、加工の作業性及び寸法精度が高く、軸受の保守点検時に、ブラケットと固定子鉄心とを分解、再組立しても、ブラケットと固定子鉄心との同軸度が低下せず、性能が低下することのない電動機の固定子及びその製造方法が得られる。

図１は、本発明に係る電動機の固定子の実施の形態の固定子鉄心を示す分解斜視図である。 図２は、実施の形態の端板を示す斜視図である。 図３は、実施の形態のリベットピンを示す斜視図である。 図４は、実施の形態の固定子の第１の製造工程を示す部分断面図である。 図５は、実施の形態の固定子の第２の製造工程を示す部分断面図である。 図６は、実施の形態の固定子の第３の製造工程を示す部分断面図である。 図７は、実施の形態の固定子の第４の製造工程を示す断面図である。 図８は、実施の形態の固定子の第４の製造工程を示す正面図である。 図９は、実施の形態の固定子の第５の製造工程を示す断面図である。 図１０は、実施の形態の固定子の第５の製造工程を示す正面図である。 図１１は、実施の形態の固定子を示す断面図である。 図１２は、実施の形態の固定子を示す正面図である。

以下に、本発明に係る電動機の固定子及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

実施の形態．
図１は、本発明に係る電動機の固定子の実施の形態の固定子鉄心を示す分解斜視図であり、図２は、実施の形態の端板を示す斜視図であり、図３は、実施の形態のリベットピンを示す斜視図である。

図１〜図３に示すように、実施の形態の固定子鉄心８０は、複数の貫通孔１１が設けられ、内縁部に複数のスロット１２が設けられた環状の鋼板１３を複数枚積層して回転子収容孔１４を有する柱状に形成された鋼板積層体１０と、鋼板積層体１０の複数の貫通孔１１と連通する複数の貫通孔２１が設けられ、中央孔２４（中央孔２４の内径は、後述のコイル４０のコイルエンド部４１の外径よりも大きくなっている）を有し、内縁部に軸方向に突出するリング状の嵌合凸部２２が設けられ、鋼板積層体１０の両端部に配置された端板２０と、端板２０及び鋼板積層体１０の複数の貫通孔１１，２１に挿通され両者を締結するリベットピン３０と、を備えている。

リベットピン３０は、頭部３１を有し、中空構造であり、冷却通風路３２を有している。端板２０の貫通孔２１には、リベットピン３０の頭部３１を収容するザグリ部２３が設けられている。端板２０は、金属製としてもよいが、絶縁性を有し、高強度、耐熱性に優れ、樹脂成型も可能なポニフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）等の樹脂製としてもよい。樹脂成型品を用いることにより、コストを低減することができる。

次に、図４〜図１２を参照して実施の形態の固定子の製造方法を説明する。図４は、実施の形態の固定子の第１の製造工程を示す部分断面図であり、図５は、実施の形態の固定子の第２の製造工程を示す部分断面図であり、図６は、実施の形態の固定子の第３の製造工程を示す部分断面図であり、図７は、実施の形態の固定子の第４の製造工程を示す断面図であり、図８は、実施の形態の固定子の第４の製造工程を示す正面図であり、図９は、実施の形態の固定子の第５の製造工程を示す断面図であり、図１０は、実施の形態の固定子の第５の製造工程を示す正面図であり、図１１は、実施の形態の固定子を示す断面図であり、図１２は、実施の形態の固定子を示す正面図である。

図４に示すように、第１の製造工程で、治具（図示せず）を用い、鋼板積層体１０の端部に端板２０を配置する。次に、図５に示すように、第２の製造工程で、端板２０の貫通孔２１及び鋼板積層体１０の貫通孔１１に、リベットピン３０を挿通する。

次に、図６に示すように、第３の製造工程で、リベットピン３０の先端に、プレス機で専用ポンチ（図示せず）を押し当て、リベットピン３０をカシメて鋼板積層体１０と端板２０とを締結する。リベットピン３０の頭部３１及びカシメ部３３は、端板２０のザグリ部２３に収容される。

次に、図７及び図８に示すように、第４の製造工程で、鋼板積層体１０の回転子収容孔１４に心合わせして、締結された端板２０のリング状の嵌合凸部２２の外周部２５を仕上げ加工し、回転子収容孔１４及び嵌合凸部２２の同軸度を高精度に出し、実施の形態の固定子鉄心８０を完成させる。

次に、図９及び図１０に示すように、第５の製造工程で、鋼板積層体１０のスロット１２に、予め巻き形成されたコイル４０を装着する。前述のように、端板２０を樹脂製とすれば、コイル４０のコイルエンド部４１と鋼板積層体１０との間の絶縁を図ることができる。

次に、図１１及び図１２に示すように、外周部２５が仕上げ加工された端板２０の嵌合凸部２２に、負荷側のブラケット５１及び反負荷側のブラケット５２のリング状の嵌合凹部５３を嵌合させ、ボルト（図示せず）を、ブラケット５１，５２のボルト孔５４を通して端板２０のネジ孔（図示せず：端板２０が樹脂製である場合は、金属片をインサート成型しておき、金属片にネジ孔を切る）にネジ込み、ブラケット５１，５２を固定子鉄心８０に締結し、実施の形態の電動機の固定子９０を完成させる。

なお、実施の形態の固定子９０では、端板２０の内縁部に軸方向に突出するリング状の嵌合凸部２２を設け、ブラケット５１，５２にリング状の嵌合凹部５３を設けたが、端板２０にリング状の嵌合凹部（５３）を設け、ブラケット５１，５２にリング状の嵌合凸部（２２）を設けるようにしてもよい。その場合、端板２０の嵌合凹部（５３）の内周部を仕上げ加工することになる。

ブラケット５１の軸受保持部５５には、軸受７０を介して回転子６０が組付けられていて、ブラケット５１，５２の固定子鉄心８０への組付け時に、回転子６０も同時に固定子９０内に組込まれ、電動機１００が完成する。なお、負荷側のブラケット５１に設けられたボルト孔５６は、電動機１００を負荷となる機械に取付けるためのものである。

反負荷側のブラケット５２に冷却ファン（図示せず）を取付けて反負荷側へ送風することにより、図１１に矢印で示すように、リベットピン３０の冷却通風路３２を通して通風して電動機１００を冷却することができる。

以上説明したように、実施の形態の電動機の固定子９０は、リベットピン３０で締結後に、回転子収容孔１４に心合わせしてリング状の嵌合凸部２２の外周部２５又は嵌合凹部の内周部が仕上げ加工された固定子鉄心８０と、嵌合凸部２２又は嵌合凹部に嵌合するリング状の嵌合凹部５３又は嵌合凸部及び回転子６０を支持する軸受７０を保持する軸受保持部５５を有するブラケット５１，５２と、を備えるので、軸受７０の保守点検時に、ブラケット５１，５２と固定子鉄心８０とを分解、再組立しても、ブラケット５１，５２と固定子鉄心８０との同軸度が低下せず、電動機１００の性能が低下することはない。また、端板２０のリング状の嵌合凸部２２の外周部２５又は嵌合凹部の内周部を仕上げ加工するので、加工の作業性及び寸法精度が高い。

１０ 鋼板積層体、１１ 貫通孔、１２ スロット、１３ 鋼板、１４ 回転子収容孔、２０ 端板、２１ 貫通孔、２２ 嵌合凸部、２３ ザグリ部、２４ 中央孔、２５ 外周部、３０ リベットピン、３１ 頭部、３２ 冷却通風路、３３ カシメ部、４０ コイル、４１ コイルエンド部、５１ 負荷側のブラケット、５２ 反負荷側のブラケット、５３ 嵌合凹部、５４ ボルト孔、５５ 軸受保持部、５６ ボルト孔、６０ 回転子、７０ 軸受、８０ 固定子鉄心、９０ 固定子、１００ 電動機。

Claims (4)

1. 複数の貫通孔が設けられ、内縁部に複数のスロットが設けられた環状の鋼板を複数枚積層して回転子収容孔を有する柱状に形成された鋼板積層体と、
   前記鋼板積層体の複数の貫通孔と連通する複数の貫通孔が設けられ、内径が前記スロットに装着されるコイルのコイルエンド部の外径よりも大きい中央孔を有し、内縁部に軸方向に突出するリング状の嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記鋼板積層体の両端部に配置された端板と、
   前記端板及び鋼板積層体の複数の貫通孔に挿通され両者を締結するリベットピンと、
   を備え、前記リベットピンで締結後に、前記回転子収容孔に心合わせして前記嵌合凸部の外周部又は嵌合凹部の内周部が仕上げ加工された固定子鉄心と、
   前記鋼板積層体のスロットに装着されたコイルと、
   前記嵌合凸部又は嵌合凹部に嵌合する嵌合凹部又は嵌合凸部及び回転子を支持する軸受を保持する軸受保持部を有するブラケットと、
   を備えることを特徴とする電動機の固定子。
2. 前記端板は、絶縁性を有する樹脂により成型されていることを特徴とする請求項１に記載の電動機の固定子。
3. 前記リベットピンは、中空構造であり、冷却通風路となっていることを特徴とする請求項１に記載の電動機の固定子。
4. 複数の貫通孔が設けられ、内縁部に複数のスロットが設けられた環状の鋼板を複数枚積層して回転子収容孔を有する柱状に形成された鋼板積層体と、
   前記鋼板積層体の複数の貫通孔と連通する複数の貫通孔が設けられ、内径が前記スロットに装着されるコイルのコイルエンド部の外径よりも大きい中央孔を有し、内縁部に軸方向に突出するリング状の嵌合凸部又は嵌合凹部が設けられ、前記鋼板積層体の両端部に配置された端板とを、前記端板及び鋼板積層体の複数の貫通孔にリベットピンを挿通し、該リベットピンをカシメて締結して固定子鉄心を製造する工程と、
   前記リベットピンで締結された固定子鉄心の回転子収容孔に心合わせして前記端板の嵌合凸部の外周部又は嵌合凹部の内周部を仕上げ加工する工程と、
   前記鋼板積層体のスロットにコイルを装着する工程と、
   前記嵌合凸部又は嵌合凸部に、ブラケットの嵌合凹部又は嵌合凸部を嵌合させ、該ブラケットをボルトにより前記固定子鉄心に固定する工程と、
   を含むことを特徴とする電動機の固定子の製造方法。

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