以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
図1に、本発明を適用する送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムの一例の概要図を示す。この送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムは、送電線101を架設(支持)する鉄塔列の各鉄塔100にそれぞれ配置された無線局1を備えると共に、外部通信回線にアクセス(接続)可能な親局2を少なくとも1台の無線局1に接続して備えている。この送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムでは、これらの複数の無線局1により、鉄塔列に沿って情報を順次中継可能な連絡経路を形成している。これにより、各無線局1から親局2に、又は親局2から任意の無線局1に、双方向に情報を順次中継可能になっている。
同図では、一列に並んだ7基の鉄塔100a〜鉄塔100gに、無線局1a〜無線局1gが設置されており、鉄塔列の端部に位置する無線局1gに親局2が設置されている例を示している。各無線局1は、通信範囲が広くなるように、見通し距離が長くなる鉄塔100の高部に固定設置されている。
親局2は、携帯電話回線、固定電話回線、光ケーブル回線、又はインターネット回線などの外部通信回線に接続可能になっている。親局2は外部通信回線を介して、本発明の送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステム外の上位ホスト局110と通信を行う。又、親局2は、上位ホスト局110の他にも、任意の外部通信回線接続機器である携帯電話111に通信して保守情報を通知する。同図の例では、親局2が携帯電話回線に接続してインターネット回線を通して、上位ホスト局110や携帯電話111と通信を行う例を示している。具体的には、例えば親局2から上位ホスト局110に電子メールを送信する場合、親局2が、携帯電話回線で携帯電話用のメールサーバー(SMTPサーバー、不図示)に電子メールを送信し、携帯電話用のメールサーバーがインターネット回線を通して、上位ホスト局110用のメールサーバー(不図示)に電子メールを送り、上位ホスト局110用のメールサーバーから上位ホスト局110が電子メールを受け取る。親局2から携帯電話111に電子メールを送る場合も同様に、携帯電話回線、インターネット回線やメールサーバーを介して行う。電子メール以外の方法で通信するようにしてもよい。
なお、親局2を設置する数は1台に限られず、例えば2台の親局2を、無線局1dと無線局1gとに1台ずつ設置するように、任意の複数の無線局1に、各々親局2を設置してもよい。又、同図の例では、親局2を端部の無線局1gに設置した例を示しているが、親局2を無線局1a〜1gのうちの任意の無線局1に設置してもよい。又、同図の例では、無線局1の配置された鉄塔列(連絡経路)が一列型の例を示しているが、鉄塔列がツリー型(木型)になっていてもよい。
同図の送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムの例では、地絡の発生を検出した無線局1cは、図中に白抜き矢印で示すように、鉄塔列の一方側(図の右側)の無線局1d、及び鉄塔列の他方向(図の左側)の無線局1bに対し、地絡の発生を示す情報を送信する。一方側に送信された情報は、無線局1c→無線局1d→無線局1e→無線局1f→無線局1gの順にリレー中継されて親局2まで伝送される。親局2は外部通信回線で上位ホスト局110等に地絡の発生を通知する。他方側に送信された情報は、無線局1c→無線局1b→無線局1aの順にリレー通信されて鉄塔列の他方の端部まで伝送される。端部の無線局1aは、情報を破棄する。このように、無線局1が地絡等のイベント情報を鉄塔列に沿う双方向に送信するようにしておくと、親局2をいずれの無線局1に接続したとしても、イベント情報が親局2に伝送されるため、好ましい。ただし、このように無線局1が双方向に情報を送信する場合、本発明を適用しない送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムでは、地絡等のイベントが多数発生したときに情報が停滞する輻輳状態になりやすい。又、特に、無線局1の設置時には試験通信を頻繁に行うため、本発明を適用しない送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムでは、情報が停滞する輻輳状態になりやすい。
又、無線局1cが親局2の設置されている鉄塔列の一方側の無線局1dだけに情報を送信するようにしてもよいが、このようにしても、各無線局1からのイベント情報と、親局2からの無線局1に対する指示コマンドとが数多く重なると、情報を双方向に中継する必要性が生じ、本発明を適用しない送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムでは、輻輳状態になりやすい。
本発明の送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムでは、鉄塔列に沿う双方向の通信が頻繁に行われたとしても、情報が停滞せず確実な中継伝送を行うことが可能である。以下、具体的に説明する。
図2に無線局1のブロック図を示す。
無線局1は、CPU(中央演算処理装置)10、無線部11、第1の通信用メモリ12a、第2の通信用メモリ12b、標準電波受信機13、RTC(リアルタイムクロック)14、記憶部15、電源部16、親局接続用インタフェース(I/F)回路17a、地絡検出器接続用インタフェース回路17b、地絡表示器接続用インタフェース回路17c、カメラユニット接続用インタフェース回路17d、外部アナログ信号入力端子18、及び外部接点信号入力端子19を備えている。
CPU10は、記憶部15に記憶されたプログラムにしたがって動作して、無線局1を統括的に制御するものである。CPU10は、主に無線通信の制御を行う通信制御部4、及び電源部16の監視を行う電源監視部6として機能する。
無線部11は、一例として、標準規格ARIB STD-T66に準拠した、データ通信が可能な2.4GHz帯の小電力無線である。小電力無線は、使用するために免許が不要であるので好ましく用いることができる。無線部11は、変調器21、復調器22、送信用高周波回路23、受信用高周波回路24、受信電界強度測定回路25、高周波スイッチ26、及びアンテナ27などを備えている。無線部11は、CPU10から出力される送信データを、変調器21が例えばFSK(Frequency-shift keying)変調し、それを送信用高周波回路23が増幅及びフィルタリングしてアンテナ27から無線送信する。送信周波数は、2400MHz以上2483.5MHz以下の所定の周波数であり、送信出力は10mWである。又、回線速度は一例として125kbpsである。アンテナ27は、一例として基板上に1/2波長アンテナ(利得2.14dBi)が形成されたものを用いる。アンテナ27として、外部アンテナを接続して用いてもよい。無線部11は、アンテナ27から入力される無線信号を受信用高周波回路24が中間周波数に直交復調し、それを復調器22がFSK復調して、受信データをCPU10に出力する。高周波スイッチ26などの無線部11の送受信は、CPU10によって切り換えられて半二重通信が可能になっている。又、受信電界強度測定回路25は、受信電界強度(キャリアレベル)を測定し、CPU10に出力する。このような無線部11は、市販されている小電力無線用のモジュールやICなど、公知の種々のものを用いることができる。無線部11は、CPU10の制御により、例えば電源をオン/オフされたり、無線部11に用いたモジュールやICを動作モード/動作停止モード(省電力モード)に制御されたりすることで、送受信を行うウェークアップ期間と送受信を行わないスリープ期間とを交互に繰り返す間欠動作が可能になっている。なお、CPU10自体も、ウェークアップ期間とスリープ期間とに連動するように、消費電力の多い通常動作モードと消費電力の少ない小電力モードとを切り替えて動作するようにしてもよい。
この2.4GHz帯の小電力無線(無線部11)でデータ通信可能な距離を測定したところ、屋外見通しでアンテナ高さ10m時に、少なくとも1200m、最大2000m程度の距離で通信が可能であった。回線速度を遅くすると、通信可能な距離をさらに長くすることができる。例えば回線速度を1/nにすると感度が√(n)倍上がる。無線局1が設置される鉄塔100の間隔は、一律ではなく場所や鉄塔種類にもよるが、概ね50m〜500m程度の間隔になっている。したがって、小電力無線のデータ通信可能な距離内に、複数の鉄塔が存在する場合が多い。例えば、鉄塔間距離を300m、データ通信可能距離を1200mとしたときに、無線局1は、1〜4本先の鉄塔に配置された複数の他の無線局1とデータ通信が可能である。このように通信範囲がオーバーリーチするように無線局1が配置される。
なお、免許が不要な無線機として、400MHz帯、900MHz帯、1200MHz帯を使用する特定小電力無線がある。このような特定小電力無線を本発明に用いてもよいが、2.4GHz帯の小電力無線を用いると、周波数が高いため回路素子やアンテナなどを小型化でき、ひいては装置全体を小型化することができるので好ましい。又、必要性に応じて、送受周波数や送信出力などが異なる、小電力無線や特定小電力無線以外の他の規格の無線機を用いてもよい。
第1の通信用メモリ12aは、鉄塔列の一方側から送られた情報を、一時的に記憶するメモリ(バッファメモリ)である。第2の通信用メモリ12bは、鉄塔列の他方側から送られた情報を、一時的に記憶するメモリ(バッファメモリ)である。通信用メモリ12a,12bとしては、RAMやFIFO(First In, First Out)メモリが用いられる。
標準電波受信機13は、長波用のバーアンテナによって受信される標準電波を復調して、標準電波に含まれる時刻情報をCPU10に出力する。標準電波受信機13は、市販されている標準電波受信用のモジュールやICなど、公知のものを使用することができる。標準電波とは、正確な時刻情報と正確な周波数情報を含む電波放送であり、わが国では独立行政法人情報通信研究機構が40kHz及び60kHzで運用を行っている。標準電波には、時刻情報として、時、分、通算日、年などの情報が含まれている。
RTC14は、時計であり、年、月、日、時、分、秒の時刻をCPU10に出力する。RTC14は、CPU10に制御されて、標準電波受信機13の受信する正確な時刻に設定される。
記憶部15は、例えばEEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリ、CPU10の動作用のプログラムを記憶するフラッシュROMや、CPU10の作業用エリアとなるRAMなどで構成されている。書き換え可能な不揮発性メモリは、CPU10に制御されて後述する識別番号、転送テーブル、無線通信周波数、再送回数などの各種設定情報を記憶する。
電源部16は、太陽電池31、リチウムイオンキャパシタ32、充電回路33、レギュレータ34、過放電保護回路35、A/D変換器36a,36bを備え、無線局1の各部に動作用の電力を供給する。太陽電池31の発電した電力は、充電回路33によってリチウムイオンキャパシタ32に蓄電されると共に、レギュレータ34により動作用電圧に安定化されて各部に供給される。リチウムイオンキャパシタ32(蓄電体の一例)は、満充電時に日照なしで少なくとも4日間、より望ましくは8日間、無線局1を動作させることができる電力容量であることが好ましい。又、太陽電池31やリチウムイオンキャパシタ32を必要性に応じて増設できるようにすることが好ましい。又、リチウムイオンキャパシタ32は、過放電に対して弱いので、同図に示すように、電圧低下したときに、CPU10(電源監視部6)に制御されて出力を遮断する過放電保護回路35を介して電力を出力させることが好ましい。太陽電池31の発電電圧は、A/D変換器36a(検出器の一例)によりアナログ/デジタル変換されてCPU10に入力されている。又、リチウムイオンキャパシタ32の電圧は、A/D変換器36b(検出器の他の一例)によりアナログ/デジタル変換されてCPU10に入力されている。CPU10は、太陽電池31の発電状態やチウムイオンキャパシタ32の電圧を監視する。
このように、太陽電池31を用いると、外部から無給電で無線局1を動作させることができるので、交通不便な設置場所も多く、さらに鉄塔の高所に設置される装置のメンテナンスが簡便になるので好ましい。又、リチウムイオンキャパシタ32を用いると、電気二重層コンデンサと比べて、エネルギー密度が高く、静電容量が大きいため、装置を小型化、軽量化しつつ動作可能期間を長くすることができるので好ましい。なお、蓄電する電力容量、重量、形状の大きさなどが許容できる場合には、電気二重層コンデンサや、リチウムイオン2次電池、ニッケルカドミウム2次電池、鉛蓄電池といった2次電池など公知の種々の蓄電体を用いてもよい。又、外部電源を使用可能なときには、太陽電池31やリチウムイオンキャパシタ32を備えなくてもよい。
無線局1は、各インタフェース回路17a〜17dを備え、親局2、地絡検出器41、地絡表示器42、カメラユニット43が接続可能になっている。又、無線局1は、A/D変換器に接続された外部アナログ信号入力端子18、及び外部接点信号入力端子19を備えて、アナログ信号や外部接点信号の入力が可能になっている。
無線局1には、地絡検出器41、地絡表示器42、及びカメラユニット43が標準装備として接続されて備えられている。なお、図1では、各無線局1(1a〜1g)への地絡検出器41、地絡表示器42、及びカメラユニット43の図示を省略している。無線局1へのこれらの装備の有無は、必要性に応じて、適宜決めればよい。親局2は、前述したように、少なくとも1台以上の任意の無線局1に接続される。
地絡検出器41は、鉄塔100(図1参照)に設置されて使用され、検出対象現象として送電故障の一例である地絡を検出したときに検出情報を出力する。地絡検出器41として、公知の装置を使用できる。地絡検出器41は、フォトカプラで電気的に絶縁して検出情報の受け渡しをするインタフェース回路17bを介して、CPU10に接続されている。なお、地絡検出器41と共に、又は地絡検出器41に換えて、地絡以外の他の送電故障を検出する他の検出器を備えてもよい。検出器の検出する検出対象現象は、例えば落雷による閃絡を検出してもよい。閃絡を検出する場合、閃絡検出器を用いる。
地絡表示器42は、検出器41が検出対象現象を検出(この場合、地絡を検出)したときに、例えば、目立つ色の布製の吹き流しを外部に放出したり、色を変色させたりするように外観を変えることで、巡回者等が目視で地絡の発生した鉄塔を発見可能にするものである。地絡表示器42として公知の装置を使用できる。地絡表示器42は、電気的に絶縁して表示開始用の信号の受け渡しをしたり、作動用電力の受け渡しをしたりする地絡表示器接続用インタフェース回路17cを介して、CPU10に接続されている。
外部アナログ信号入力端子18には、A/D変換器が接続されており、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU10に入力可能になっている。これにより、アナログ信号を出力する検出器が接続可能になっている。CPU10は、例えばアナログ信号のレベルに基づき、所定イベントが発生したと判別する。外部接点信号入力端子19には、ハイレベル/ローレベル(又はオープン/クローズ)の接点信号を出力する検出器が接続可能になっている。これら、入力端子18,19に、温度センサ、湿度センサ、積雪センサ、雷撃電流センサなどを検出器として接続してもよい。このように、無線局1は、各種イベントの検出が可能であり、各種イベント検出情報を無線通信で発信できるようになっている。
親局2は、携帯電話回線を介してインターネット回線に接続が可能であると共に、電子メールを送信可能なものである。親局2は、親局接続用インタフェース回路17aを介して、シリアル通信でCPU10と相互に通信して、CPU10に動作を制御されたり、CPU10の動作を制御したりする。
カメラユニット43は、データ取得装置の一例であり、鉄塔や送電線自体やその周囲、又は天候等の状態を撮像して画像データを取得するためのものであり、鉄塔100に設置されて使用される。
次に、送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムの動作について説明する。
各々の無線局1には、無線局1を個別に識別可能な識別番号が付与されている。この識別番号が無線局1のアドレスとして使用されることで、無線局1と他の無線局1とが1対1で無線通信(選択呼出し)することが可能になっている。
各無線局1には、自局の位置から鉄塔列(連絡経路)に沿って順に並ぶ順番に対応づけて、自局に対し鉄塔列の一方向、及び他方向に配置されているかを区別可能に、通信可能な複数の他の無線局1の識別番号を、転送テーブルとして記憶部15(図2参照)に予め記録しておく。
この転送テーブルの記録を行うために、最初に、設置者が無線局1と他の無線局1とデータ通信を行わせ、無線部11の受信電界強度測定回路25の測定結果に基づき所定の電界強度以上で互いが通信できる、及び/又は所定の符号誤り率以下で互いが通信できる他の無線局1の識別番号を、自局から近い順に確認する。通信ができなくなったときには、それよりも先の無線局1は通信不能であるとして確認しない。このとき連絡経路に沿って最大でも所定の複数台先(例えば4台先)まで離れた他の無線局1と通信の可否を確認するようにして、記録する複数台数の最大値を規定してもよい。なお、隣接する無線局1を1台先、その次に隣接する無線局1を2台先というように数える。複数台数先の無線局1とは、2台以上先の無線局1のことをいう。
次に、設置者は、無線局1に対して、保守・設定用の無線局(不図示)から記録用のコマンドを付して記録すべき転送テーブルを無線送信する。これにより、この無線通信を受信した無線局1の通信制御部4(図2参照)が自局宛ての転送テーブルを記憶部15(図2参照)に記録する。なお、無線局1に接続した設定用のコンピュータ(不図示)を操作して転送テーブルを記録するようにしてもよい。
又、転送テーブルの中に、親局2の接続されている無線局1の識別番号がある場合、親局2の接続を、識別可能に転送テーブルに記憶しておく。又、各無線局1は、自局に親局2が接続されているか否かを認識可能である。
各無線局1は、自局が情報の発信元になる場合、通信制御部4は、記憶部15の転送テーブルを確認し、鉄塔列の一方側及び他方側の無線局1の識別番号を指定して情報を発信する。つまり、無線局1は、鉄塔列の両方向に情報を発信する。無線局1は、最初に一方側(又は他方側)の無線局1に情報を発信し、続いて、他方側(又は一方側)の無線局1に情報を発信するように、順番に両方向の無線局1に発信する。なお、無線局1は、一度に両方向の識別番号を指定して情報を発信するようにしてもよい。
無線局1は、緊急性が高い例えば地絡の検出情報などの予め設定されている特別なイベントの発生を示す情報を発信する場合、転送テーブルを確認し、一方側で自局から最も離れている無線局1、及び他方側で自局から一番離れている無線局1に情報を発信することが好ましい。このように、複数台数先の無線局1へ飛び越す通信(飛越通信)を行うことにより、親局2に短時間で情報を伝送することができる。なお、無線局1は、転送テーブル中の自局から最も離れた無線局1と通信できなかったときには、次に自局から離れた無線局1に情報を発信する。このように、通信できるまで、転送テーブル中の最も離れた無線局1から順次1台ずつ近い無線局1と通信を試みることで、短時間かつ確実に情報を伝送することができる。転送テーブル中に親局2の接続された無線局1がある場合には、親局2を飛び越さずに、親局2の無線局1に情報を発信する。
無線局1は、緊急性の低いイベントを示す情報や、親局2から各無線局1に伝送すべき情報を発信する場合、一方側及び他方側の隣接する無線局1に情報を発信する(逐次リレー通信)。
各無線局1が情報を中継する場合、転送テーブルを確認して、鉄塔列の他方側の無線局1が送信した情報を、一方側の無線局1に送信(中継)し、一方側の無線局1が送信した情報を、他方側の無線局1に中継する。この際に、無線局1は、特別なイベントの発生を示す情報である場合、前述した飛越通信を行い、隣接する無線局1を飛び越して複数台数先の無線局1に情報を中継する。又、無線局1は、特別なイベントの発生を示す情報でなければ、隣接する無線局1に情報を中継する(逐次リレー通信)。
図3に、無線局1が情報を中継する場合の動作を示す要部ブロック図を示す。同図には、隣接し合う無線局1d、無線局1eが逐次リレー通信で情報を中継する例を示している。
無線局1eの通信制御部4は、一方側(図の右側)の無線局1fが送信した情報Daを受信したときに、一方側から送られた情報を記憶するための第1の通信用メモリ12aに情報Daを記憶させる。続いて、無線局1eの通信制御部4は、第1の通信用メモリ12aに記憶されている情報Daを、他方側の無線局1dに中継する。
同様に、無線局1dの通信制御部4は、一方側(図の右側)の無線局1eが送信した情報Daを受信したときに、第1の通信用メモリ12aに情報Daを記憶させる。続いて、無線局1dの通信制御部4は、第1の通信用メモリ12aに記憶されている情報Daを、他方側の無線局1cに中継する。
このように、無線局1は、一方側から他方側に中継する情報を、第1の通信用メモリ12aをバッファとして使用して中継する。鉄塔列の端部の無線局1a(図1参照)は、中継先が無いので情報を認識してから破棄する。
又、無線局1dの通信制御部4は、他方側(図の左側)の無線局1cが送信した情報Dbを受信したときに、他方側から送られた情報を記憶するための第2の通信用メモリ12bに情報Dbを記憶させる。続いて、無線局1dの通信制御部4は、第2の通信用メモリ12bに記憶されている情報Dbを、一方側の無線局1eに中継する。
同様に、無線局1eの通信制御部4は、他方側(図の左側)の無線局1dが送信した情報Dbを受信したときに、第2の通信用メモリ12bに情報Dbを記憶させる。続いて、無線局1eの通信制御部4は、第2の通信用メモリ12bに記憶されている情報Dbを、一方側の無線局1fに中継する。
このように、無線局1は、他方側から一方側に中継する情報を、第2の通信用メモリ12bをバッファとして使用して中継する。鉄塔列の端部の無線局1g(図1参照)は、中継先が無いので情報を認識して、必要性に応じて親局2に受け渡してから破棄する。
通信制御部4は、通信用メモリ12a,12bに記憶されている情報を、先入れ先出し(FIFO)方式で読み込んで中継する。無線局1は、中継済みの情報を、通信用メモリ12a,12bから消去する。
次に、鉄塔列の両方向に向かい多数の情報が伝送される場合について説明する。一方側から他方側に向かう情報が多数発生して、同図に示すように、無線局1dの第1の通信用メモリ12aが複数の情報Da1、Da2、Da3・・・で一杯(バッファフル)の状態になっており、他方側から一方側に向かう情報が多数発生して、無線局1eの第2の通信用メモリ12bが複数の情報Db1、Db2、Db3・・・で一杯(バッファフル)の状態になっているものとする。
この場合、無線局1dの通信制御部4は、第1の通信用メモリ12aに先に記憶された情報Da1を他方側の無線局1cに中継し、次に情報Da2を中継し、その次に情報Da3を中継するというように、先入れ先出し方式で順番に中継する。無線局1dが情報Da1を中継すると、第1の通信用メモリ12aに空き領域ができるので、無線局1eは無線局1dに対し新たに情報Daを無線局1dに中継することができる。
端部の無線局1a(図1参照)は、中継されて来た情報を認識して、第1の通信用メモリ12aから消去(破棄)するので、端部の無線局1aの第1の通信用メモリ12aには必ず空き領域ができる。従って、仮に無線局1a〜無線局1gの第1の通信用メモリ12aが全て一杯の状態になったとしても、無線局1aに空き領域ができるので、必ず無線局1b(図1参照)から無線局1aに情報を中継できるようになり、無線局1cから無線局1bに情報を中継できるようになり、無線局1dから無線局1cに情報を中継できるようになり、無線局1eから無線局1dに情報を中継できるようになる。従って、最終的に全ての情報が無線局1aまで中継される。
他方側から一方側に中継される情報も同様であり、無線局1eの第2の通信用メモリ12bが情報Db1,Db2,Db3・・・で一杯の状態であっても、無線局1eが先に記憶されている情報Db1を一方側の無線局1f(図1参照)に中継すると、無線局1eの第2の通信用メモリ12bに空きができ、無線局1dは、新たな情報Dbを無線局1eに中継することができる。
一方側の端部の無線局1g(図1参照)は、中継されてきた情報を認識して親局2に渡してから、第2の通信用メモリ12bから消去するので、無線局1gの第2の通信用メモリ12bには必ず空き領域ができる。従って、仮に無線局1a〜無線局1gの第2の通信用メモリ12bが全て一杯の状態になったとしても、上記と同様に、最終的に全ての情報が無線局1gまで中継される。
このように、各無線局1に、中継する方向別に情報を一時的に記憶する第1及び第2の通信用メモリ12a,12bを備えることで、情報が中継されず停滞してしまうことを防止できる。飛越通信を行う場合も同様である。
各無線局1(通信制御部4)は、自局に対する情報を受信したときに、その情報を送信した無線局1に対し、正常に情報を受信したことを示すACK(ACKnowledgement)を送信することが好ましい。又、各無線局1(通信制御部4)は、自局に対する情報を正常に受信できなかった場合に、送信した無線局1に対し、情報を正常に受信できなかったことを示すNACKを送信することが好ましい。
情報を送信した無線局1は、ACKの返信があったときに、第1又は第2の通信用メモリ12a,12bから送信した情報を消去する。ACKの返信が所定時間内に無いとき、又は、NACKの返信があったときは、ACKが返信されるまで情報を再送する。情報を再送することで、情報の伝送が確実になる。再送回数は、例えば3〜10回等、適宜決めればよい。
情報を正常に受信した無線局1(送信先の無線局1)がACKを返信したにもかかわらず、情報を送信した無線局1(送信元の無線局1)がそのACKを受信できない場合がある。この場合、送信元の無線局1は情報を再送するので、送信先の無線局1は同じ情報を複数回受信することになる。
送信先の無線局1は、同じ情報を複数回受信したときに、重複する情報を破棄することが好ましい。このようにすることで、重複して同じ情報を中継してしまうことが防止される。
情報の重複を確認するために、情報を発信したり中継したりする各無線局1が、各々独自の管理番号を情報に付して発信することが考えられる。管理番号とは、例えば1〜256までのように所定範囲の整数であり、各無線局1は、異なる情報を送信する度に、管理番号を1から順に1ずつ大きく変化させる。管理番号が最大値(この例では256)になったら次は1に戻して使用する。再送時には、管理番号を変化させない。情報を中継する各無線局1は、情報中の管理番号を、自局の管理する管理番号に換えて情報を中継する。各無線局1は、情報を受信したときに、中継方向に対応する第1又は第2の通信用メモリ12a,12bに、管理番号が同じ情報が記憶されていると判別したときは、重複した情報を受信したものとして、第1又は第2の通信用メモリ12a,12bに記憶させず、受信した情報を破棄すればよい。
ところが、無線局1の設置時には、数多くの試験通信が行われたり、無線局1(CPU10)のリセットが頻繁に行われたりする。通常の動作状態になっても、雷の影響で無線局1がリセットされる場合がある。無線局1がリセットされると、管理番号も1にリセットされてしまう。そのため、異なる情報を中継するのにもかかわらず、最近使った管理番号と同じ管理番号を付した情報を中継してしまう場合がある。この場合、情報を受信した無線局1は、管理番号が同じであるため、情報を破棄してしまうため、情報の欠落が発生する。
そこで、情報の発信元になる無線局1(発信局)が、自局の識別番号と、情報の発生時刻とを情報に付して発信して、各無線局1は、発信局の識別番号、及び発生時刻により、情報の重複を判別することが好ましい。
具体的に説明すると、図2に示す無線局1は、例えば地絡検出器41が地絡を検出したときに、通信制御部4は、地絡の発生時刻をRTC14から読み込んで、自局の識別番号と地絡の発生時刻とを付した地絡発生情報を無線部11から発信する。地絡以外の他のイベントの発生を示す情報を発信する場合も同様に行う。
情報を中継する各無線局1は、情報に付された発信局の識別番号及び発生時刻を変えずに中継する。
各無線局1は、情報を受信したときに、中継方向に対応する第1又は第2の通信用メモリ12a,12bに、発信局の識別番号及び発生時刻の同じ情報が記憶されているか判別し、重複する情報が記憶されているときは、第1又は第2の通信用メモリ12a,12bに記憶させず、受信した情報を破棄する。又、各無線局1は、第1又は第2の通信用メモリ12a,12bに、発信局の識別番号及び発生時刻の同じ情報が記憶されていないと判別したときは、中継方向に対応する第1又は第2の通信用メモリ12a,12bに記憶させて、その情報を中継する。
発生時刻として、例えば秒単位、又は1/10秒単位等のように、高い精度の詳細な時刻まで情報に含めることが、重複する情報の判別精度の観点から好ましい。
このようにすると、情報を中継する各無線局1が頻繁にリセットされたとしても、情報中の識別番号及び発生時刻は中継する無線局1に依存せず変わらないので、情報が重複していると誤って判別して破棄してしまうことが防止でき、情報の欠落を防止できる。又、情報の発信局が頻繁にリセットされたとしても、イベントの発生時刻は時々刻々と変わるので、中継局が重複していると誤って判別して情報を破棄してしまうことが防止できる。
なお、地絡等のイベントが複数の鉄塔で発生する場合、それら情報の発生時刻が一致する確率は低いので、発信局が情報に発生時刻を付して送信し、中継する無線局1は、情報に付された発生時刻が一致したときに、情報が重複していると判別するようにしてもよい。この場合、時刻情報のみで判定するので、秒単位等の詳細な時刻を使用することが好ましい。このように、発生時刻のみに基づいて、受信した情報の重複を判別しても、実用上問題ない。
又、無線局1は、発信局の識別番号、発生時刻、及び情報の内容の全てが一致したときに、情報が重複していると判別するようにしてもよい。
情報を示す通信パケットの構成例を下記に示す。
パケット=0200,003,2011/11/22,12:34:56
パケットの中の「0200」が地絡発生イベント(情報)を示すコード番号(情報コード)を表し、「003」が発信局の識別番号を表し、「2011/11/22,12:34:56」がイベントの発生時刻を表している。イベントの内容に応じて、使用するコード番号を予め設定しておく。
発生時刻には、年月日を含めなくてもよいが、年月日を含めたほうが一層確実に情報の重複の有無を判別できるため好ましい。発生したイベントを表す情報の内容は、上記の「0200」のように予め設定したコード番号で表すことができるので、情報の内容の一致まで判別したとしても、CPU10(図2参照)の演算負荷はさほど高くならない。従って、情報の内容も含めて判別したほうが、一層確実に情報の重複を判別できるため、より好ましい。なお、パケットには、他のデータ等が含まれていてもよい。
なお、無線局1は、全てのイベントで、上記のように発生時刻等を用いて情報の重複の判別するようにしてもよいが、特定のイベントの例えば地絡の発生情報を中継するときにだけ発生時刻等を用いて情報の重複を判別し、他の情報のときには前述した管理番号によって情報の重複を判別するようにしてもよい。
次に、親局2について説明する。
親局2は、無線局1g(図1参照)の受信した情報を、電子メールで上位ホスト局110や携帯電話111に発信する。電子メールの宛先は任意の相手先に設定することができる。無線局1gが前記の情報(パケット)を受信したときに、親局2は、電子メールの本文に、前記のパケットの内容をそのまま記載して送ってもよい。例えば、前記のパケット例である「0200,003,2011/11/22,12:34:56」を無線局1gが受信した場合、親局2は、電子メールの本文に「0200,003,2011/11/22,12:34:56」と記載して送る。
無線局1の設置工事を行うときには、上位ホスト局110の他に、現地作業員が携帯する携帯電話111(図1参照)や携帯情報端末にも電子メールを送るようにして、現地作業員が動作確認試験を実施する。又、通常動作時においては、保守作業員の携帯する携帯電話111や携帯情報端末にも電子メールを送るようにして、迅速に保守作業が行えるようにすることが好ましい。作業員は、親局2から送られた電子メールの内容から、地絡等のイベントの発生した無線局1がどれであるか判別し、その無線局1の設置されている鉄塔100に行き、動作を確認したり、保守作業を行ったりする。
ところが、無線局1に付与された識別番号と、鉄塔100に付与された鉄塔番号とは異なる場合が多い。そのため、作業員は、無線局1の識別番号を鉄塔番号に変換する必要があり、その変換作業は煩雑である。又、一つの鉄塔100に複数の送電線(送電線路)が併架されている場合、送電線路ごとに異なる鉄塔番号が付与されて、同一の鉄塔100であるのに複数の鉄塔番号を有していることがある。この場合の識別番号から鉄塔番号への変換作業はさらに煩雑である。
又、電子メールに記載されている情報コードは数字であるので、作業員はその数字を、発生したイベントの内容に変換して理解する必要があり、煩雑である。
そこで、親局2が、無線局1の識別番号を鉄塔番号に変換して、鉄塔番号を記載した電子メールで送信するようにすることが好ましい。さらに、親局2が、発生したイベントの内容を示す情報コードを、人間が内容を認識できる語句で表したメッセージに変換して、メッセージを記載した電子メールで送信するようにすることが好ましい。以下、具体的に説明する。
図4に、親局2のブロック図を示す。
親局2は、無線局接続用インタフェース回路51、接続制御部52、携帯電話装置53、アンテナ54、電子メール作成処理部55、変換用メモリ60、添付ファイル用メモリ65、及び親局通信用メモリ68を備えている。
無線局接続用インタフェース回路51は、無線局1の親局接続用インタフェース回路17aに接続されるシリアル通信用の回路である。インタフェース回路51には、接続制御部52が接続されている。接続制御部52には、携帯電話装置53が接続されていて、携帯電話装置53には送受信用のアンテナ54が接続されている。又、接続制御部52には、電子メール作成処理部55、及び親局通信用メモリ68が接続されている。
携帯電話装置53は、携帯電話網を介してインターネット回線に接続可能であると共に、電子メールを送受信可能である公知の携帯電話と同様の機能を有し、その動作を接続制御部52によって制御される。接続制御部52及び電子メール作成処理部55は、一例としてCPUで構成されている。接続制御部52は、携帯電話装置53が受信した上位ホスト局110(図1参照)からの指令コマンドを、インタフェース回路51を介して無線局1に出力する。又、接続制御部52は、インタフェース回路17aを介して無線局1が出力する情報に基づいて電子メールを作成し、携帯電話装置53から上位ホスト局110等の任意の相手先に送信させる。
電子メール作成処理部55は、親局2が送信する電子メールを作成するためのものである。電子メール作成処理部55は、電子メールの通信文を作成する通信文作成部56、及び電子メールの添付ファイルを作成する添付ファイル作成部57を備えている。通信文作成部56には、変換用メモリ60が接続されている。変換用メモリ60には、無線局ID変換テーブル(識別番号変換テーブル)61及び情報コード変換テーブル62が記憶されている。変換用メモリ60は書き換え可能な不揮発性メモリである。メモリ添付ファイル作成部57は、ブロック結合/再送要求部58を備え、そこに添付ファイル用メモリ65が接続されている。添付ファイル用メモリ65は書き換え可能な不揮発性メモリである。
親局通信用メモリ68は、無線局1から送られた情報を一時的に記憶するためのメモリ(バッファメモリ)である。親局通信用メモリ68としては、RAMやFIFO(First In, First Out)メモリが用いられる。
親局2のインタフェース回路51には、無線局1がインタフェース回路17aを介して出力する情報が入力される。この情報には、無線局1の受信した「情報コード、発信局の識別番号、イベントの発生時刻」を含んでいる。
親局2の接続制御部52は、無線局1のインタフェース回路17aから情報が送られてきたときに、発信局の識別番号及び発生時刻により、情報の重複を判別することが好ましい。具体的に説明すると、接続制御部52は、無線局1から情報が送られてきたときに、親局通信用メモリ68に、発信局の識別番号及び発生時刻の同じ情報が既に記憶されているか判別し、重複する情報が記憶されている場合には、親局通信用メモリ68に記憶させず、受信した情報を破棄する。又、接続制御部52は、親局通信用メモリ68に、発信局の識別番号及び発生時刻の同じ情報が記憶されていないと判別した場合に、その情報を親局通信用メモリ68に記憶させる。
このように、発信局の識別番号及び発生時刻によって親局2が重複する情報を判別し破棄するようにすることで、次の効果が得られる。つまり、複数の無線局1を経由して通信を行うと、連絡経路の形や長さ、飛越通信の発生によって、場合により異なる経路を経由して、内容の同じ複数の情報(パケット)が親局2に送られてしまう場合がある。例えば各無線局1が中継するときに独自の管理番号(パケットID)をパケットに付すようにして、親局2がこのパケットIDの異同で重複を判別するようにすると、異なる経路を通ったパケットは、パケットIDが異なるため、異なるパケットとして扱われ、親局2は複数の同じ情報を外部通信回線に出力してしまう。一方、パケットの重複を、発信局の識別番号及び発生時刻で判別するようにすると、異なる経路を通ったパケットであっても、発信局の識別番号及び発生時刻は変わらないので、情報が重複しているか判別することができる。そのため、同じ内容の情報を、外部通信回線に複数回数出力してしまうことを防止できる。
親局通信用メモリ68には、親局2が外部通信回線(携帯電話装置53)から情報の出力を完了するまでの間だけ一時的に記憶(保持)して、その間に重複する情報が送られてこないか判別するようにしてもよい。又、連絡経路の形や後述する間欠動作により情報の中継に時間が掛かり、親局2まで複数の情報が大きな時間差を有して到着する場合も考えられるので、携帯電話装置53から情報を出力した後にも、例えば1〜60分間のように一時的に所定期間だけ、情報を保持してそれまでの間に重複する情報が送られてこないか判別するようにしてもよい。情報を記憶する期間は、メモリ容量や、情報の大きさに対応させて、予め適宜決定しておく。なお、情報全体を親局通信用メモリ68に所定期間、記憶させてもよいが、携帯電話装置53から情報を出力完了後には、発信局の識別番号及び情報の発生時刻だけを記憶させるようにしてもよい。又、接続制御部52は、重複する情報の有無を、発生時刻だけで判別するようにしてもよい。
次に、親局2の電子メールの送信動作について、図5を参照して説明する。
図5は、複数の送電線路が、分岐を有する鉄塔列に架設されていて例を示す。この例では、A線、B線、C線の3つの送電線路が鉄塔列に架設されている。各鉄塔100に1台ずつ無線局1が設置されている。同図では、各鉄塔100の符号「100」の末尾に付したアルファベットと、同じアルファベットを無線局1の符号「1」の末尾に付して、鉄塔100と無線局1との組を対応付けて示している。
この例では、無線局1hに親局2が設置されている。各無線局1は、ツリー型の連絡経路を形成している。各無線局1は、図の右側(一方側)から送信された情報を、図の左側(他方側)の無線局1に中継し、図の左側から送信された情報を、図の右側の無線局1に中継する。分岐箇所に位置する例えば無線局1iは、無線局1pから送信された情報を、親局2方向の無線局1hに中継すると共に、無線局1jに中継する。無線局1jにも中継する理由は、ツリー状の連絡路の根方向に親局2(不図示)が配置される場合もあるからである。つまり、分岐箇所に位置する無線局1は、ツリーの枝方向から来た情報を、ツリーの頂部方向、及び、情報が来た枝以外の残りの全ての枝方向に中継する。又、分岐箇所に位置する例えば無線局1iは、無線局1hから送信された情報を、無線局1j及び無線局1pに順次中継する。つまり、分岐箇所に位置する無線局1は、ツリーの頂部方向から来た情報をツリーの全ての枝方向に中継する。分岐箇所の無線局1には、中継する方向に対応させて、情報を何れの無線局1に中継すればよいかを示す転送テーブルを有している。このようなツリー状の連絡経路を形成することで、各無線局1が発信した情報は親局2に伝送され、親局2の発信する情報は各無線局1に伝送される。親局2が無線局1に対して問い合わせを行い、その問いに対して無線局1が返答するような通信も可能である。他の無線局1に、親局2をさらに配置してもよい。
同図に示すように、無線局1hには識別番号(ID)「031」、無線局1iには識別番号「032」のように、各無線局1には個別に識別番号が付与されている。
又、鉄塔100hには、A線の鉄塔番号「11」、B線の鉄塔番号「21」、C線の鉄塔番号「51」のように3つの鉄塔番号が付与され、鉄塔100iには、A線の鉄塔番号「11−1」、B線の鉄塔番号「22」、C線の鉄塔番号「52」のように3つの鉄塔番号が付与されている。このように、同図に示すように、各鉄塔100には、各送電線路に対応する1つ以上の鉄塔番号が付与されている。
鉄塔番号として、鉄塔100iのA線の鉄塔番号「11−1」のように、数字の後にハイフン「−」と数字とを付した番号が付与される場合もある。このような番号は、割番鉄塔番号と呼ばれている。
図4に示す親局2の変換用メモリ60には、無線局の識別番号と、鉄塔番号とを変換するための無線局ID変換テーブル61が、予め記憶されている。無線局ID変換テーブル61には、1つの識別番号に対し複数の鉄塔番号が設定可能である。又、無線局ID変換テーブル61には、鉄塔番号として割番鉄塔番号も設定可能である。下記の表1に、無線局ID変換テーブル61の例を示す。
又、親局2の変換用メモリ60には、イベントの内容を示す情報コードの番号と、人間が内容を認識可能な語句で表したメッセージとを変換するための情報コード変換テーブル62が、予め記憶されている。下記の表2に、情報コード変換テーブル62の例を示す。イベント情報として無線局1が発信する情報(イベント)の種別は必要性に応じて適宜設定すればよい。又、メッセージの内容は、適宜設定すればよい。
無線局ID変換テーブル61及び情報コード変換テーブル62の内容は、携帯電話装置53を介するインターネット接続により、上位ホスト局110から設定が可能である。
図4に示す親局2のインタフェース回路51には、無線局1がインタフェース回路17aを介して出力する情報が入力される。この情報は、前述したように、無線局1の受信した「情報コード、発信局の識別番号、イベントの発生時刻」を含んでいる。
親局2の接続制御部52は、前述したように情報が重複しているか判別し、重複したパケットを破棄し、重複していないときに、その情報を親局通信用メモリ68に記憶させる。
又、親局2の接続制御部52は、親局通信用メモリ68に記憶させた情報を読み込み、電子メール作成処理部55に出力する。情報は、先入れ先出しで親局通信用メモリ68から出力する。
電子メール作成処理部55は、この情報を確認し、電子メールの本文を作成すべき情報か、添付ファイルを作成すべき情報か判別する。この場合、情報中に汎用データが含まれていないので、電子メール作成処理部55は、電子メールの本文だけを作成すればよいと判別し、通信文作成部56に情報を受け渡す。
通信文作成部56は、無線局ID変換テーブル61を参照して、「発信局の識別番号」を「鉄塔番号」に変換する。又、通信文作成部56は、情報コード変換テーブル62を参照して、「情報コード」を「メッセージ」に変換する。通信文作成部56は、鉄塔番号、メッセージ、発生時刻を用いて、電子メールの本文になる通信文を作成する。
例えば、情報が「0200,032,2011/11/22,12:34:56」である場合、通信文作成部56は、上記表1及び表2のテーブルを参照して、下記の本文を作成する。
「A線No.11−1 地絡故障発生
B線No.22 地絡故障発生
C線No.52 地絡故障発生
発生時刻:2011/11/22,12:34:56」
電子メール作成処理部55は、通信文作成部56の作成した本文と、予め不図示の記憶部に設定されている電子メールの送信に必要な送信先アドレスなど送信設定項目と組み合わせて、電子メールを作成する。電子メール作成処理部55は、作成した電子メールを接続制御部52に出力し、接続制御部52は、その電子メールを携帯電話装置53に送信させる。
この電子メールを、作業員が携帯電話111(図1参照)により受信して、直ちにイベントの発生内容や鉄塔番号を認識して、作業に取り掛かることができる。
なお、電子メール作成処理部55は、通信文作成部56の作成した通信文を本文とすると共に、件名としても用いて電子メールを作成してもよい。このようにすると、件名に通信文が表示されることで、作業者はメールの内容を、一層迅速に確認することができるため、より好ましい。又、電子メール作成処理部55は、通信文作成部56の作成した通信文を、件名にだけ表示するように電子メールを作成してもよい。この場合、本文は空であってもよく、他の事柄を記載してもよい。
又、電子メール作成処理部55は、識別番号の鉄塔番号への変換、及び情報コードのメッセージへの変換の両方を行うことが好ましいが、必要性に応じて、いずれか一方だけ変換して、他方は変換前の数字を電子メールに記載するようにしてもよい。発生時刻は、必要性に応じて通信文に記載しないようにしてもよい。
次に、画像データなどの汎用データを電子メールに添付して通信する例について説明する。
現地作業員や上位ホスト局110の監視作業員が鉄塔や送電線の状態を、電子メールに添付された画像で確認できるようにすると、送電線の保守管理性に優れた送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムになる。又、鉄塔に振動センサや集音用のマイク(データ取得装置の例)を設置して、その収集データ自体を、上位ホスト局110に伝送できるようにすると、送電線の保守管理性に優れた送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムになる。
送電鉄塔保守情報無線ネットワークシステムでは、もともと画像データや振動波形データ、音データのような大容量の汎用データの伝送は想定していない。そのため、例えば数kバイト以上のデータ量の汎用データを、例えば数10バイトずつ複数のブロックに分割して、少しずつ親局2に全て伝送し、親局2で再結合することが考えられる。
電子メールでは、添付ファイルとしてバイナリデータをそのまま添付することができないため、電子メールの添付ファイルに適した形式に変換(エンコード)する必要がある。そのため、親局2が、添付ファイルの形式に変換する必要がある。しかしながら、バイナリデータの汎用データを変換するためには、親局2のメモリに、変換前の汎用データのデータ量と、変換後の汎用データのデータ量とを合わせた空き領域が少なくとも必要になる。画像データ等の汎用データはデータ量が大きいため、必要なメモリ容量はかなり大きくなる。大容量のメモリは高価であるため、必要なメモリ容量を可及的に小さくしたい。
そこで、画像データなどの汎用データを、電子メールに添付するために必要な親局2のメモリ容量を、可及的に小さくできるようにした。以下、具体的に説明する。
図6に、カメラユニット43のブロック図を示す。
カメラユニット43は、デジタルカメラ71、画像メモリ72、ブロックエンコード部73、及び無線局接続用インタフェース回路74を、この順に接続して備えている。カメラユニット43は、鉄塔や送電線、周囲や天候等の状態を撮像するために、鉄塔に設置されて使用される。
デジタルカメラ71は、CCD(電荷結合素子)イメージセンサやCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサなどの固体撮像素子で静止画又は動画を撮影して、デジタルデータで記録するカメラである。デジタルカメラ71は、撮像した画像データを、例えば静止画であればJPG形式、TIFF形式などの公知の形式のバイナリデータで、動画であればAVI形式やMPEG形式などの公知の形式のバイナリデータで、画像メモリ72に記録する。画像メモリ72は、書き換え可能なメモリであり、例えばフラッシュメモリである。
ブロックエンコード部73は、画像メモリ72に記録された画像データを所定サイズの複数のブロックに分割し、ブロック単位で、バイナリデータを電子メールの添付ファイルの形式にエンコードする。ブロックエンコード部73は、エンコードしたデータを、ブロック番号と共に、インタフェース回路74を介して無線局1に出力可能である。ブロックエンコード部73は、ハードウエア、又はソフトウエアにより実現されている。
ブロック番号は、ブロックの順番を示す番号であり、例えば0(又は1)から1ずつ順に大きくなる整数である。
電子メールの添付ファイルの形式としては、一例として、BASE64が挙げられる。BASE64は、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension:多目的インターネットメール拡張)により規定されていて、バイナリデータを64種類の英数字のみを用いて表現するエンコード方式である。インターネット上の電子メールでは、現在、BASE64が標準的に用いられている。なお、電子メールの添付ファイルの形式は、他の形式であってもよく、例えばuuencodeなどを用いてもよく、又、将来的に他の形式が標準的に用いられるようになれば、その形式を用いてもよい。
カメラユニット43は、無線局1(CPU10)からインタフェース回路17dを介して出力される指示により、制御される。例えば、無線局1は、カメラユニット43に対し、デジタルカメラ71への撮像指示や、ブロックエンコード部73へのブロックのサイズの指定、ブロックエンコード部73へのブロックの出力要求(動作開始)、次のブロックの出力要求、特定のブロック番号のブロックのみの出力要求などを出力する。
無線局1は、例えば、親局2から撮影指示コマンドが中継されて送られてきたときにカメラユニット43に撮像指示を行ったり、予め決められた定時ごとに撮像指示を行ったりする。カメラユニット43は、無線局1からの撮影指示等によりデジタルカメラ71が撮像を行い、ブロックエンコード部73は、無線局1からブロック出力要求があるごとに、インタフェース回路74を介して順にブロックを無線局1に出力する。無線局1は、1つのブロックの発信(送信)が完了すると、次のブロックの出力要求を行う。
図7に、カメラユニット43を備える無線局1aから、親局2まで画像データが伝送される様子を示す。無線局1aは、カメラユニット43から出力されるブロックごとに、通信パケットを生成し、画像データを情報として発信する。パケットを受信した他の無線局1b〜1fは、このパケットを順に中継し、無線局1gまで送る。無線局1gは、受信したパケットを親局2に出力する。
下記に、一例として各無線局1がブロックの無線送信に使用する通信パケットの構成例を示す。
パケット中の識別符号は、ブロックデータ(汎用データ)のパケットであることを示すフラグ、ブロック番号、及びブロックの発信局(この場合、無線局1a)の識別番号などを示す。宛先アドレスは、パケットを送る相手局(隣接局等)の識別番号を示す。送信局アドレスは、自局の識別番号を示す。ペイロードには、ブロックデータが入れられる。
図4に示す親局2に、無線局1gの出力するパケットが入力されると、接続制御部52は、パケットを電子メール作成処理部55に出力する。電子メール作成処理部55は、汎用データのパケットであることから、電子メールの添付ファイルとすべきブロックを含んでいることを認識する。これにより、ブロック結合/再送要求部58が、パケット中のブロック番号からブロックの順番を認識し、添付ファイル用メモリ65に、ブロック番号の位置に対応させてブロックを記憶させる。全てのブロックが伝送されると、添付ファイル用メモリ65に、添付ファイルの形式でエンコードされた画像データが完成する。
電子メール作成処理部55は、添付ファイル用メモリ65内に完成した画像データを添付ファイルとする電子メールを作成する。なお、電子メールの仕様により76バイト毎に改行コード(CRLF)を入れる必要があるため、電子メール作成処理部55は、添付ファイル中に適宜改行コードを挿入する。電子メール作成処理部55は、電子メールの本文や件名に、「画像」のように汎用データの種類を記載したり、発信局である無線局1aの識別番号を、鉄塔番号及び送電路線名に変換して記載したりすることが好ましい。鉄塔番号への変換方法は前述した通りである。接続制御部52は、電子メール作成処理部55の作成した添付ファイル付の電子メールを携帯電話装置53から送信させる。
なお、ブロック結合/再送要求部58は、全てのブロックの受信完了後(結合完了後)に、添付ファイル用メモリ65中のデータを確認して、欠落しているブロック(欠落ブロック)の有無を判別して、欠落ブロックのみを再送させるための欠落ブロック再送要求コマンドを、情報として親局2の接続された無線局1gに発信させることが好ましい。欠落ブロックの再送要求は、ブロック番号を指定して行う。欠落ブロックの発生理由は、例えば通信の途中で再送回数オーバーが生じた場合にそのブロックが中継されず消失してしまうことによる。
欠落ブロックの判定方法の一例について説明すると、親局2は、例えば1番目のブロックを添付ファイル用メモリ65に記憶する前や、後述する通信開始コマンドを受信したときのように、汎用データの保存を開始する前に、添付ファイル用メモリ65を予めリセットしておく。このリセットで、添付ファイル用メモリ65の内容は全て0(ゼロ)データになる。添付ファイルの形式(BASE64)ではブロックがゼロデータになることはない。そのため、全てのブロックの受信完了後に、ブロック結合/再送要求部58は、ゼロデータになっているブロックを欠落ブロックであると判定できる。なお、ブロック中のデータの一部に欠落データがある場合に、そのブロックを欠落ブロックとして判定するようにしてもよい。
添付ファイル用データの発信元の無線局1aは、カメラユニット43に対し、親局2から通知されたブロック番号のみのブロックを再送する。
このように、欠落データがあったとしても、必要最小限のブロックのみを再送させるため、全てのブロックを再送させる場合のように通信データ量を増大させることがなく、短時間で全てのブロックが親局2に揃う。
次に、間欠動作について説明する。
無線局1は、鉄塔100(図1参照)の上部に設置されているため、外部から無給電で動作するように、太陽電池31(図2参照)の発電電力を動作電源に用いている。夜間や曇りの日には、太陽電池31は殆ど発電しないので、リチウムイオンキャパシタ32(図2参照)に蓄電された電力で無線局1を動作させる。曇りの日が続いたとしても長時間動作できるよう、無線局1は、送受信を行うウェークアップ期間と送受信を行わないスリープ期間とを交互に繰り返す間欠動作を行って、消費電力を低減させることが好ましい。
図8に、各無線局1a〜1gが、間欠動作する状態を示す。各無線局1は、各々のRTC14(図2参照)の時刻に基づく時刻同期により、一斉にウェークアップ期間Wとスリープ期間Sとを、所定周期Tで繰り返す。ウェークアップ期間Wは、一例として2秒間であり、スリープ期間Sは一例として178秒であり、その繰り返し周期Tは一例として180秒である。この場合、各無線局1は、例えば毎時0分、3分、6分・・・57分というように、記憶部15に予め記憶されている時刻でウェークアップ期間Wを開始する。
無線局1は、標準電波受信機13(図2参照)の受信した時刻情報によりRTC14(図2参照)の時刻を修正する。このため、正確な時刻同期が可能である。無線局1は、例えば0時及び12時の1日2回、標準電波受信機13から時刻情報を取得してRTC14を時刻修正する。
図8に示すように、一例として、無線局1aが情報を発信する場合、無線局1aは、ウェークアップ期間W中に、無線局1bに対して情報を送信する。これを無線局1bが正常に受信したときは、無線局1bは、データ転送が正常に終了したことを示すACKを無線局1aに送信する。無線局1aは、無線局1bの送信したACKを受信できたときに、無線通信が正常に行えたと判別する。無線局1bは、無線局1aにACKを送信後、無線局1cに対して情報を送信し、無線局1cからACKを受信したときは、正常に無線通信できたと判別する。以下同様に無線局1dまで情報が無線中継されていく。
同図の例では、無線局1dが、無線局1eに対して情報を送信するときに、ウェークアップ期間Wが終了してしまう。このようにウェークアップ期間Wが過ぎてしまう場合には、無線局1dは、送信できなかったデータを記憶部15にバックアップ記録して、次のウェークアップ期間Wに無線局1eに情報を送信する。以下同様に、無線局1gまで情報が中継される。
図示しないが、無線局1gから無線局1aに向かう通信の場合も、同様に、ウェークアップ期間W中に情報を中継する。
地絡発生情報のように情報コードで表せるデータ量の少ない情報を中継する場合には、このような間欠動作を行っていても、比較的短時間で情報を伝送できる。しかしながら画像データなどの汎用データを中継伝送する場合、データ量が多いため伝送に長時間を要する。
そこで、汎用データの発信元になる無線局1が、そのデータを中継する他の無線局1に対し、データの中継前に、間欠動作から連続動作に切り替えるための連続動作コマンドを送信することが好ましい。以下、具体的に説明する。
図9(a)に示すように、汎用データの発信元になる無線局1aは、間欠動作を止めて連続動作になり、送信先の無線局1bに連続動作コマンドを送信する。連続動作コマンドを受信した無線局1bは、ACKを返信(不図示)し、図9(b)に示すように、間欠動作を止めて連続動作になり、無線局1cに連続動作コマンドを中継する。このように、順次、連続動作コマンドが中継されていき、連続動作コマンドを中継する各無線局1c〜1gが連続動作を行うようになる。なお、図9〜図11では、各無線局1a〜1gが返信するACKの記載を省略している。
図10に示すように、親局2の接続された無線局1gは、連続動作コマンドを受信して、連続動作になったときに、連続動作完了コマンドを発信する。連続動作完了コマンドは、無線局1gから無線局1aまで順次中継される。連続動作完了コマンドを受信した無線局1aは、各無線局1a〜1gが連続動作になり汎用データの発信が可能になったと認識する。
続いて、無線局1aは、汎用データの発信を開始する通信開始コマンドを発信する。無線局開始コマンドには、例えば「汎用データの発信局(この例では無線局1a)の識別番号、発信する汎用データの全データ長、分割する1ブロックのデータ長」を含める。
続いて、無線局1aは、汎用データを分割したブロック1〜Nを、順に発信する。このとき、無線局1aは、カメラユニット43(図6参照)にブロック1〜Nを順番に出力させている。各ブロック1〜Nには、ブロック番号が付されている。
全てのブロックを発信した無線局1aは、通信終了コマンドを発信する。
同図に示すように、無線局1aの発信した通信開始コマンド、各ブロック1〜N、終了コマンドが、連続動作状態の無線局1b〜1gにより中継伝送される。
各無線局1a〜1gは、通信終了コマンドの送信完了から、例えば10〜100秒の所定の待機期間Teの経過後に、各々スリープ状態になる。スリープ状態になった各無線局1a〜1gは、時刻同期して次のウェークアップ期間Wを開始して、間欠動作に戻る。
図11に、欠落ブロックの再送の様子を図示する。
親局2が、全てのブロック1〜Nを受信後に、例えばブロック3、ブロック5が欠落ブロックであると判別した場合、親局2は、無線局1gに欠落ブロック再送要求コマンドを発信させる。ブロック再送要求コマンドには、例えば「汎用データ(ブロック)の発信局(この例では無線局1a)の識別番号、欠落ブロックのブロック番号」を含ませる。欠落ブロックが複数ある場合、1回の欠落ブロック再送要求コマンドに、複数のブロック番号を含ませられるようにすることが、好ましい。
同図に示すように、欠落ブロック再送要求コマンドは、無線局1gから無線局1aまで中継される。再送要求コマンドを受信した無線局1aは、再度、連続動作コマンドを発信する。これは、待機期間Te(図10参照)の長さによっては、通信終了コマンドを受信した無線局1がスリープ期間に入ってしまうことがあるので、各無線局1a〜1gを再度連続動作にさせるためである。連続動作コマンドが無線局1aから無線局1gまで中継されて、連続動作完了コマンドが無線局1aから無線局1gまで中継されると、無線局1aは、再び通信開始コマンドを発信する。続いて、無線局1aは、再送要求のあったブロック3、ブロック5を順に発信する。このとき、無線局1aは、カメラユニット43(図6参照)に欠落ブロックだけを順番に出力させている。最後に、無線局1aは、通信終了コマンドを発信する。
同図に示すように、通信開始コマンド、ブロック3、ブロック5、通信終了コマンドが無線局1aから無線局1gに中継される。
図示しないが、各無線局1a〜1gは、通信終了コマンドの送信完了から、待機期間Teの経過後に、各々スリープ状態になり、間欠動作に戻る。
このように、データ量の大きい汎用データを伝送するときは、間欠動作から連続動作に切り替え、通常は間欠動作を行うことで、汎用データを短時間で伝送することができ、又、連続作動時間も可及的に長くすることができる。
なお、汎用データの中継を、飛越通信で行ってもよい。又、親局2は、複数存在する欠落ブロックを、一度に全て発信局に通知することが好ましいが、1つずつ発信局に通知するようにしてもよい。
又、間欠動作時に、各無線局1は、太陽電池31(図2参照)が発電可能な昼間の所定の時間帯には、ウェークアップ期間Wの長さを、夜間の所定の時間帯よりも長くするようにしてもよい。例えば、昼間である7時から17時までは、ウェークアップ期間Wを10秒、スリープ期間Sを170秒とし、夜間である17時から7時までは、ウェークアップ期間Wを2秒、スリープ期間Sを178秒とする。このようにすることで、昼間は短時間で情報を伝送することができる。
又、太陽電池31の発電電力やリチウムイオンキャパシタ32等の蓄電体の電力容量に余裕があるときは、間欠動作を行わず、常時、連続動作するようにしてもよい。
又、親局2のメモリに余裕がある場合、汎用データの発信元のデータ取得装置がバイナリデータのまま複数のブロックに分割して、無線局1が各ブロックを順次親局2に中継し、親局2が各ブロックを結合して元のバイナリデータを完成してから電子メールの添付ファイルの形式に変換するようにしてもよい。