以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付した。また、以下の説明では、無線通信の一例として無線LANを例に挙げて説明を行うが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、その他の無線通信方式に対して適用されてもよい。
図3は、ステーション101において受信されるアクセスポイント102からの電波の受信強度、及びステーション101とアクセスポイント102との間の距離の関係を例示するグラフである。図3において、縦軸はアクセスポイント102からの電波の受信強度であり、横軸はステーション101とアクセスポイント102との間の距離である。図示されるように、受信強度は距離が離れるにつれて、弱くなってゆく。受信強度が一定レベル以下に低下すると、ステーション101はアクセスポイント102と正常にデータを送受信することができなくなる。例えば、無線LANでは、見通しのよい場所で約100mの通信距離を有している。ステーション101が移動し、それ以上の距離に離れてしまうと通信可能な範囲の圏外となり、接続が切断される。この様なステーション101とアクセスポイント102との間の距離が離れることで起こる接続の切断では、電波の受信強度が徐々に弱まってゆき、最終的に通信不可能な受信強度となり、接続が切断される。
しかしながら、アクセスポイント102に何らかの障害が発生し、アクセスポイント102がダウンする場合、ステーション101が受信するアクセスポイント102からの電波の受信強度は距離とは無関係に突然低下する。図4は、何らかの障害が発生しアクセスポイント102がダウンする場合に、ステーション101で受信されるアクセスポイント102からの電波の受信強度を例示するグラフである。図4において、縦軸はステーション101で受信されるアクセスポイント102からの電波の受信強度であり、横軸は時間である。図4に示す例では、ステーション101は移動しておらず、そのため、アクセスポイント102がダウンする前の期間では、アクセスポイント102から安定した受信強度で電波を受信できている。しかしながら、接続先のアクセスポイント102に何らかの障害が発生しダウンしてしまった以降はアクセスポイント102から電波が送出されなくなる。そのため、ステーション101で受信されるアクセスポイント102からの電波の受信強度は急激にゼロに下がり、それによりステーション101とアクセスポイント102との間の接続は切断される。
この様にアクセスポイント102のダウンに起因する接続の切断は、上述した距離が離れることに起因する接続の切断とは、ステーション101において検出されるアクセスポイント102からの電波の受信強度の低下の傾向が異なる。そのため、ステーション101において検出されるアクセスポイント102の電波の受信強度の低下の傾向から、接続の切断の原因が、距離が離れたことに起因するのか、又はアクセスポイント102のダウンに起因するのかを推定することが可能である。
ここで、アクセスポイント102のダウンが、例えば、災害や停電などの発生に起因している場合、その影響は1つのアクセスポイントだけにとどまらず、災害や停電が発生した地域一帯の複数のアクセスポイント102に及ぶ。そして、地域一帯の複数のアクセスポイント102が一斉にダウンしてしまうことが起こり得る。図5は、ステーション101の周辺の複数のアクセスポイント102に一斉に障害が発生しダウンしてしまう場合に、ステーション101において受信される周辺の複数のアクセスポイント102からの電波の受信強度について例示する図である。
図5において、縦軸はステーション101にて受信されるアクセスポイント102からの電波の受信強度を表している。また、横軸にはステーション101によるアクセスポイント102のスキャンの実行タイミングがt1〜t8として示されている。ステーション101は、所定のタイミングで周辺のアクセスポイント102のスキャンを実行する。図5に示すt1〜t8はそれらタイミングの一例である。なお、スキャンとは、ステーション101が周辺にある任意のアクセスポイント102の存在を認識するための処理のことであり、アクセスポイント102から送出される電波を受信することで、ステーション101はアクセスポイント102の存在を認識する。スキャンにより、例えば、周囲に存在する複数のアクセスポイント102が認識されることもあり、或いは、1つもアクセスポイント102が認識されないこともある。ステーション101はスキャンにおいて、例えば、周辺を飛び交うビーコン103から周辺に存在するアクセスポイント102の存在を認識してもよい。或いは、ステーション101はスキャンにおいて、プローブ要求を送出することで周辺のアクセスポイント102を探索し、プローブ応答による返信から、周辺に存在するアクセスポイント102の存在を認識してもよい。更に、ステーション101はスキャンにおいて、ビーコン103と、プローブ要求に対するプローブ応答の返信との両方に基づいて、周辺に存在するアクセスポイント102の存在を認識してもよい。また、ステーション101は、例えば、ビーコン103及びプローブ応答に含まれるSSIDなどの識別子に基づいて、周辺に存在する複数のアクセスポイント102を識別してもよい。
図5において、t1〜t7までのスキャンでは、ステーション101は複数のアクセスポイント102からの電波を受信している。しかしながら、t7からt8までの間の期間において、例えば、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生したとする。この場合、ダウンしたアクセスポイント102はビーコン103の送出やプローブ応答の返信ができなくなる。結果として、t8においてステーション101は周辺に存在するアクセスポイント102から電波を受信することができず、図5に示す例では周辺に存在するアクセスポイント102からの電波の受信強度は全てゼロになっている。即ち、ステーション101の周辺の地域一帯の複数のアクセスポイント102が一斉にダウンしてしまう事象が発生した場合、ステーション101ではスキャンの際に複数のアクセスポイント102からの受信強度の一斉の且つ急激な低下が検出される。
図6は、ステーション101の周辺の複数のアクセスポイント102が一斉にダウンしてしまう事象が発生する場合に、ステーション101において電波を受信できるアクセスポイント102の数を例示するグラフである。図6において、縦軸はステーション101にて電波を受信できるアクセスポイント102の数である。横軸には、ステーション101によるアクセスポイント102のスキャンの実行タイミングがt1〜t8として示されている。
図6において、t1〜t7までの期間では、ステーション101は、その周辺にある複数のアクセスポイント102をスキャンにより検出している。しかしながら、t7からt8までの間の期間において、例えば、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生したとする。この場合、ダウンしたアクセスポイント102はビーコン103の送出やプローブ応答の返信をすることができなくなるため、ステーション101はスキャンにより周辺に存在するアクセスポイント102を検出することができなくなる。結果として、t8においてステーション101で検出された周辺に存在するアクセスポイント102の数は急激に減少し、図6に示す例ではゼロになっている。この様に、例えば、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生した場合には、ステーション101では電波を受信可能なアクセスポイント102の数の急激な減少が観測される。そのため、スキャンにより検出されるアクセスポイント102の数又は受信強度等を監視し、その数又は受信強度の一斉の低下を検出することで、地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象の発生を検知することができる。
また、上述の地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生した場合、ステーション101はアクセスポイント102を見つけられなくなるため、スキャンを繰り返し実行してしまう。しかしながら、周辺に存在するアクセスポイント102がダウンしているため、スキャンにより新たな接続先を探しても見つからない可能性が高い状況が存在する。例えば、災害や停電などの地域一帯の複数のアクセスポイント102が一斉にダウンする事象が発生した場合、その復旧に時間を要してしまうことがある。その場合、ステーション101がスキャンを実行したとしても、アクセスポイント102が未だ復旧していないため、見つからない。そういった状況下で、アクセスポイント102がスキャンを繰り返し実行することは、電力の浪費につながり好ましくない。また、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している状況では、ステーション101のバッテリを充電する手段が断たれてしまうこともある。そのため、災害や停電などの地域一帯に影響を及ぼす事象の発生時に、無線通信機による電力の消費を抑えることのできる技術が望まれている。
地域一帯のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している状況下でのスキャンによる電力の浪費は、例えば、ユーザが手動でステーション101の無線LANなどの無線通信機能をオフにすることで防ぐことができる。しかしながら、すべてのユーザが忘れずに無線機能をオフにする操作を行う保証はなく、ユーザが気が付いた時にはバッテリ切れとなっている危険がある。そこで、いくつかの実施形態では、このような状況を避けるべく、ステーション101の周辺の地域一帯の複数のアクセスポイント102が一斉にダウンする状況を検出した場合には、次のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時よりも長い時間間隔に変更する。それにより、ステーション101のスキャンを実行することによる電力消費を抑えることができる。
図7は、いくつかの実施形態に係る、アクセスポイント102のスキャンを実行する時間間隔を説明するグラフである。図7において、縦軸はステーション101がアクセスポイント102のスキャンを実行する時間間隔の長さを示している。また、横軸にはステーション101によるアクセスポイント102のスキャンの実行タイミングがt1〜tiとして示されている。
図7において、t1からt7までの期間では災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象は発生していない。そのため、ステーション101は、t1からt6までの期間では通常時の時間間隔でアクセスポイント102のスキャンを実行している。しかしながら、t7からt8までの期間においてステーション101が存在する周辺地域において災害が発生している。この様な場合に、制御部900は、スキャンを実行する時間間隔を通常時よりも長い時間間隔に変更する。例えば、図7に示す例では、制御部900は、災害が発生した後のt8以降において、災害が発生する前の通常時(例えばt1〜t7の期間)のスキャンの時間間隔よりも長い時間間隔でスキャンを実行している。これによりアクセスポイント102のスキャンによる消費電力を低減することができる。
ここで、スキャンの実行の時間間隔についてより詳細に説明する。ステーション101は、周辺のアクセスポイント102を探索するために所定のタイミングでスキャンを実行する。このスキャンの実行の時間間隔は、例えば、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生していない通常の状況では、以下のような側面を考慮して設定されてもよい。即ち、ステーション101によるアクセスポイント102のスキャンは、比較的電力を消費する処理であるため、消費電力を抑えるためには、スキャンの回数は極力少なくすることが好ましい。しかしながら、スキャンの回数が少なすぎると、例えば、現在接続中のアクセスポイント102よりも快適に通信可能なアクセスポイント102が周辺にあったとしても、そのアクセスポイント102は認識されていないため、利用できない状況が発生してしまう。この様な状況ができるだけ発生しないように、スキャンを実行してから、次のスキャンを実行するまでの時間間隔は通常は約15秒から約5分の範囲(より好ましくは、30秒から2分の範囲)に設定されている。以上で述べた様に、アクセスポイント102のスキャンを実行する際の時間間隔は、通常時には、例えば、ユーザビリティを極力低下させないようにしながらも、バッテリ消費を抑えるような長さに設定されている。
一方、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生しているような状況では、上述した通常の時間間隔でスキャンを実行したとしても、アクセスポイント102が未だ復旧していない可能性がある。例えば、大規模な災害などが発生している場合には、復旧に1日〜数日単位の時間を要することもあり得る。その様な状況で、ステーション101がアクセスポイント102のスキャンを上述した通常時の時間間隔で繰り返した場合、無駄に電力を消費してしまうことになる。そのため、地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生しているような状況では、通常時とは異なり、ユーザビリティが多少低下したとしても、バッテリ消費を極力抑えることが好ましい。そこで、いくつかの実施形態においては、地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している状況では、アクセスポイント102の復旧に要する時間を考慮してスキャンの時間間隔を通常時よりも長い時間に設定する。このような状況における時間間隔は、例えば、約20分から約2時間の範囲(より好ましくは、約30分から約1時間の範囲)に設定されてもよい。
以上で述べた、通常時におけるスキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔を、以下の実施形態の説明においては第1の時間間隔として参照する。一方、地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している状況におけるスキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔を、以下の実施形態の説明においては第2の時間間隔として参照する。なお、第2の時間間隔は、第1の時間間隔よりも長い時間間隔である。
また、いくつかの実施形態においては、スキャンの時間間隔を、通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に変更する場合に、次のスキャンを実行するまでの期間において、無線LAN機能をオフにするように構成してもよい。図8は、いくつかの実施形態に係る、地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生する場合に無線LAN機能をオフにする例を示す図である。図8において、縦軸はステーション101における無線LAN機能のオン又はオフの状態を示している。横軸にはステーション101によるアクセスポイント102のスキャンの実行タイミングがt1〜t8として示されている。なお、無線LAN機能がオンであるとは、例えば、ステーション101に備えられている無線LAN通信機に電力を供給している状態のことである。一方、無線LAN通信機がオフであるとは、例えば、ステーション101に備えられている無線LAN通信機への電力供給が停止される状態のことである。ここで、t7からt8までの間の期間において、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生したとする。この場合に、いくつかの実施形態においては、ステーション101は、t8に示すように無線LAN機能をオフにする。従って、単にスキャンの時間間隔を通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に変更する場合と比較して、無線LAN機能による電力消費を更に抑えることができる。
図9は、いくつかの実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック構成を例示する図である。ステーション101として利用される情報処理装置1は、例えば、制御部900及び記憶部930を含んでいる。制御部900は、例えば生成部911、判定部912、及び変更部913などの機能部910を含んでいる。また更に、制御部900は、例えば、第2判定部914、第3判定部915、計数部916、第4判定部917、第5判定部918、第6判定部919、第2変更部920、停止部921などの機能部910を含んでいる。情報処理装置1の記憶部930は、例えば、プログラム931、並びに後述する受信強度履歴情報1000,1400、及びプローブ要求の数10などの情報932を記憶している。情報処理装置1の制御部900は、プログラム931を読み出して実行することで例えば上述の各機能部910として機能する。これらの各機能部910の詳細及び記憶部930に格納されている情報932の詳細については後述する。
以下、図10から図13を参照して、第1の実施形態に係る、地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102が一斉にダウンする事象が発生した場合に、無線LANによる消費電力を低減する処理を説明する。
図10は、第1の実施形態に係る受信強度履歴情報1000を例示する図である。受信強度履歴情報1000は、一実施形態においては、ステーション101の記憶部930に記憶されている。受信強度履歴情報1000は、アクセスポイント受信強度履歴1001を含んでいる。各アクセスポイント受信強度履歴1001は、アクセスポイント102を識別するための識別子1002、及びその識別子1002よって識別されるアクセスポイント102からの電波の受信強度の履歴を受信強度履歴1003として時系列に沿って格納している。図10の例では、右端に最新のスキャンによる受信強度履歴1003が登録されるように構成している。従って、受信強度履歴1003のうちで、左側にある受信強度ほど、より古いスキャンのタイミングで検出された電波の受信強度であり、右側にある受信強度ほどより新しいスキャンのタイミングで検出された受信強度である。識別子1002は、一実施形態においてはSSIDであってもよい。また、図10では電波の受信強度がdBm(1mWを0dBとする)で表されている。受信強度履歴1003において、「測定不能」は電波の受信強度が低く測定不能であったことを表している。
続いて、図11を参照して、ステーション101の制御部900によって実行される受信強度履歴情報1000の生成処理を説明する。図11は、ステーション101の制御部900によって実行される受信強度履歴情報1000の生成処理の動作フローを例示する図である。図11の動作フローは、例えば、ステーション101の制御部900が記憶部930に格納されているプログラム931を読み出して実行することで実施される。図11の動作フローは、例えば、周辺のアクセスポイント102のスキャンを実行するタイミングとして定められている所定のタイミングで開始する。一実施形態においては、図11の動作フローは、上述した通常時におけるスキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔である第1の時間間隔の経過後に開始する。
ステップS1101において、ステーション101の制御部900は、周辺のアクセスポイント102を探索するためにスキャンを実行する。スキャンにおいて、ステーション101の制御部900は、例えば、周辺を飛び交うビーコン103から周辺に存在するアクセスポイント102を検出してもよい。或いは、制御部900は、プローブ要求を周辺のアクセスポイント102に送出し、その返信として受信されるプローブ応答により、周辺に存在するアクセスポイント102を検出してもよい。また更に、制御部900は、ビーコン103と、プローブ要求に対するプローブ応答との両方に基づいて、周辺に存在するアクセスポイント102を検出してもよい。なお、例えば、ビーコン103及びプローブ応答には、発信したアクセスポイント102を識別するための識別子1002としてSSIDが含まれている。この様なSSIDなどの識別子1002によりステーション101は周辺に存在するアクセスポイント102を識別することができる。
続いて、ステップS1102において、制御部900は、スキャンにおいて検出されたアクセスポイント102の中に、受信強度履歴情報1000の識別子1002に未だ登録されていない、新たに検出されたアクセスポイント102が有るか否かを判定する。新たに検出されたアクセスポイント102が有る場合には(ステップS1102がYes)、フローはステップS1103へと進む。一方、新たに検出されたアクセスポイント102が無い場合には(ステップS1102がNo)、フローはステップS1104へと進む。ステップS1103において、制御部900は、新たに検出されたアクセスポイント102のアクセスポイント受信強度履歴1001を受信強度履歴情報1000に登録する。登録するアクセスポイント受信強度履歴1001の識別子1002には、新たに検出されたアクセスポイント102を識別可能な識別子、例えば、SSIDなどの情報を登録する。続いて、ステップS1104において、制御部900は、ステップS1101のスキャンにより検出されたアクセスポイント102からの電波の受信強度を、受信強度履歴情報1000の受信強度履歴1003の一番右の列に追加して、本動作フローは終了する。なお、受信強度履歴情報1000に登録されているアクセスポイント受信強度履歴1001のうちで、電波が検出できなかったものについては、電波の受信強度が測定不能であったことを示す値を登録する。図10に示す例では、電波の受信強度が測定不能であったことを示す値として「測定不能」を用いている。以上で述べた、図11の動作フローにより、制御部900は図10に例示される受信強度履歴情報1000を生成する。
以上の図11の動作フローにおいて、ステップS1101からステップS1104までの処理では、制御部900は、例えば、生成部911として機能する。
図12は、第1の実施形態に係る、地域一帯のアクセスポイント102がダウンする事象が発生した場合に、次に周辺のアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を長くする処理の動作フローを例示する図である。図12の動作フローは、例えば、ステーション101の制御部900が記憶部930に格納されているプログラム931を読み出して実行することで実施される。一実施形態においては、図12の動作フローは、図11の動作フローによる周辺のアクセスポイント102のスキャンが、上述した通常時における第1の時間間隔で実行され、受信強度履歴情報1000が更新された後に開始する。
ステップS1201で、ステーション101の制御部900は、受信強度履歴情報1000を参照する。そして、制御部900は、受信強度履歴情報1000において、第1のタイミングのスキャンにより登録された受信強度履歴1003と、第1のタイミングに後続する第2のタイミングのスキャンで登録された受信強度履歴1003の受信強度を比較する。なお、第2のタイミングのスキャンは例えば受信強度履歴情報1000に登録されている最新の受信強度履歴1003のスキャンタイミングであってよい。即ち、例えば、図10においては、アクセスポイント受信強度履歴1001の最も右端に登録されているT0の受信強度履歴1003のスキャンタイミングであってよい。また、第2のタイミングに先行する第1のタイミングのスキャンは、例えば、最新の受信強度履歴1003のスキャンタイミングの1つ前のスキャンタイミングであってもよい。即ち、例えば、図10では、アクセスポイント受信強度履歴1001の右端から2番目に登録されているT−1の受信強度履歴1003のスキャンタイミングであってもよい。
そして、制御部900は、第1のタイミングのスキャンにおいて登録された受信強度が所定の閾値より大きいアクセスポイント102のうちで、第2のタイミングのスキャンにおいて測定不能となるアクセスポイント102が占める割合を求める。なお、この所定の閾値は、例えば、閾値以下の受信強度であると正常にデータを通信することが難しいと判断される値に設定されていてもよい。或いは、別の実施形態では、閾値はステーション101に備えられている無線LANなどの無線通信機によって測定不能となる電波強度に設定されていてもよい。また、測定不能とは、例えば、ステーション101に備えられている無線LANなどの無線通信機によって電波強度を測定することが不可能となることであってよい。そして、制御部900は、この求めた割合が、所定の割合以上であるか否かを判定する。即ち、第1のタイミングにおいて閾値以上の受信強度であったアクセスポイント102のうちで、第2のタイミングにおいて受信強度が測定不能となったアクセスポイント102が占める割合が所定の割合以上であるかを判定する。
ステップS1201において、所定の割合未満であった場合、フローはステップS1202へと進む。ステップS1202において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔に設定し、本動作フローは終了する。一方、ステップS1201において、所定の割合以上であった場合、フローはステップS1203へと進む。ステップS1203において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に変更し、本動作フローは終了する。ここで、第1の時間間隔及び第2の時間間隔の詳細については先に述べている。なお、一実施形態においては、制御部900は、ステップS1203において、更に無線LAN機能をオフにするように構成してもよい。ここで、無線LAN機能をオフにするとは、例えばステーション101が備える無線LAN通信機への電力供給を停止することであってもよい。
以上で述べた、図12の動作フローにより、ステーション101の制御部900は、第1のタイミング(例えば、最新のスキャンの1つ前に実行されたスキャン)での受信強度が所定の閾値以上であるアクセスポイント102を特定する。そして、特定されたアクセスポイント102のうちで、第1のタイミングに後続する第2のタイミング(例えば、最新のスキャン)での受信強度が測定不能となるアクセスポイント102が占める割合が、所定の割合以上であるか否かを判定する。ここで、第1のタイミングから第2のタイミングにかけて測定不能なレベルに下がったアクセスポイント102の割合が高い場合、その原因は、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している可能性が高い。そのため、図12の動作フローでは、制御部900は、スキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔を、通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔へと変更している。そのため、例えば、災害などの発生によりダウンしたアクセスポイント102が復旧していないにも関わらず、通常時の第1の時間間隔でスキャンを繰り返してしまい電力を無駄に消費してしまうことを防ぐことができる。また、スキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔を第2の時間間隔に変更する場合に、次のスキャンを実行するまでの期間において無線LAN機能をオフにすることで、更なる省電力効果が期待できる。
なお、図12の動作フローにおいて、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象の発生の検出に所定の割合を用いて判定している。これは、アクセスポイント102が例えば蓄電池を用いて運用されている場合には、停電が生じている状況下でも動作し続けるため、それらのアクセスポイント102からの電波を受信する可能性がある。或いは、災害や停電などの地域一帯に影響を及ぼす事象の発生した場合にも、その地域外に存在するアクセスポイント102から微弱な電波を受信する可能性がある。そのため、災害や停電などの地域一帯に影響を及ぼす事象が発生した場合にも、周辺にあるアクセスポイント102の全ての電波の受信強度が測定不能にはならない可能性がある。そのため、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象の発生を、所定の割合を用いて判定している。所定の割合は、例えば災害や停電などの地域一帯に影響を及ぼす事象の発生を推定できるような値に設定される。例えば、所定の割合としては、3割以上〜10割以下の値が用いられていても良い。
以上の図12の動作フローにおいて、ステップS1201の処理では、制御部900は、例えば、判定部912として機能する。また、ステップS1202及びステップS1203の処理では、制御部900は、例えば、変更部913として機能する。
続いて、図13を参照して、スキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔を第2の時間間隔から第1の時間間隔へと復帰させる処理について説明する。図13は、第1の実施形態に係る、無線LAN機能の復帰処理の動作フローを例示する図である。図13の動作フローは、例えば、ステーション101の制御部900が記憶部930に格納されているプログラム931を読み出して実行することで実施される。一実施形態においては、図13の動作フローは、スキャンを実行してから次のスキャンを実行するまでの時間間隔が第2の時間間隔に設定されている場合に、スキャンを実行してから第2の時間間隔が経過した際に実行される。
ステップS1301において、ステーション101の制御部900は、周辺に存在するアクセスポイント102を探索するためにスキャンを実行する。なお、例えば、図12のステップS1203の処理などにより、無線LAN機能がオフにされている場合には、無線LAN機能をオンした後でスキャンが実行される。続いて、ステップS1302において、制御部900は、接続可能なアクセスポイント102が周辺に存在するか否かを判定する。なお、接続可能なアクセスポイント102とは、図2を参照して述べたような、例えば、アソシエーション、オーセンティケーションなどの一連の処理を実行して、接続を確立することが可能なアクセスポイント102のことである。
周辺に接続可能なアクセスポイント102が存在しない場合(ステップS1302がNo)には、フローはステップS1303へと進む。ステップS1303において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に設定し、本動作フローは終了する。なお、一実施形態においては、ステップS1303において、制御部900が更に無線LAN機能をオフにするように構成してもよい。ここで、無線LAN機能をオフにするとは、例えばステーション101が備える無線LAN通信機への電力供給を停止することであってもよい。
一方、ステップS1302において、周辺に接続可能なアクセスポイント102が存在する場合(ステップS1302がYes)には、フローはステップS1304へと進む。ステップS1304において、制御部900はステップS1302で検出された接続可能なアクセスポイント102に接続し、フローはステップS1305へと進む。ステップS1305において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を第2の時間間隔から、より短い時間間隔である通常時の第1の時間間隔へと変更し、本動作フローは終了する。
図13の動作フローにより、ステーション101の制御部900は、第2の時間間隔を空けてスキャンを実行した場合に、周辺に接続可能なアクセスポイント102があれば、スキャンの時間間隔を通常時の第1の時間間隔に戻すことができる。一方、周辺に接続可能なアクセスポイント102が存在しない場合には、ダウンしたアクセスポイント102が未だ復旧していない可能性がある。そのため、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を再び第2の時間間隔に設定し、スキャンを実行することで消費される電力を低減する。
以上の図13の動作フローにおいて、ステップS1301、ステップS1302、及びステップS1304の処理では、制御部900は、例えば、第6判定部919として機能する。また、ステップS1303及びステップS1305の処理では、制御部900は、例えば、第2変更部920として機能する。
以上で述べた様に、第1の実施形態では、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している可能性が高い状況を、スキャンを実行した際の周辺のアクセスポイント102からの電波の受信強度の変化に基づいて検出する。例えば、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象がステーション101の周辺で発生した場合、ダウンするアクセスポイント102はかなりの割合を占めると予想される。一方、アクセスポイント102のダウンが、それぞれのアクセスポイント102に生じた個別の原因に起因する場合には、偶然同時に地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102に障害が生じる可能性は低い。そのため、例えば、ステップS1201の所定の割合を適切に設定することで、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象に起因する障害と、個別の原因に起因する障害とを切り分けることが可能である。そして、地域一帯のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生していると推定される状況では、スキャンを実行してから次にスキャンを実行するまでの時間間隔を、通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に設定している。そのため、地域一帯の複数のアクセスポイント102がダウンしている状況で、スキャンを頻繁に実行してしまうことが防止でき、消費電力を低減することができる。
続いて、図14及び図15を参照して、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態においては、受信強度が測定不能となるアクセスポイント102の割合に基づいて、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を変更する例を述べた。しかしながら、例えば、ステーション101の近傍を通過する大型のトラックなどにより、ステーション101の近傍で電波が一時的に遮蔽されてしまうことがある。この様な状況でアクセスポイント102のスキャンを実行した場合、電波が測定不能となるアクセスポイント102が占める割合が所定の割合を上回ってしまう可能性がある。しかしながら、大型のトラックがステーション101の近傍を通過したことなどに起因する電波の遮蔽は一時的なものである。そのため、この様な状況で、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔をより長い時間間隔に変更してしまうことは好ましくない。そこで、第2の実施形態では、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生しているか否かを、より精度よく判定するために更なる判定を行う。
図14は、第2の実施形態に係る受信強度履歴情報1400を例示する図である。受信強度履歴情報1400は、一実施形態においては、ステーション101の記憶部930に記憶されている。受信強度履歴情報1400は、アクセスポイント受信強度履歴1401を含んでいる。各アクセスポイント受信強度履歴1401は、アクセスポイント102を識別するための識別子1402、及びその識別子1402よって識別されるアクセスポイント102からの電波の受信強度の履歴を受信強度履歴1403として時系列に沿って格納している。図14の例では、右端に最新のスキャンによる受信強度履歴1403が登録されるように構成している。従って、受信強度履歴1403のうちで、左側にある受信強度ほど、より古いスキャンのタイミングで検出された電波の受信強度であり、右側にある受信強度ほどより新しいスキャンのタイミングで検出された受信強度である。識別子1402は、一実施形態においてはSSIDであってもよい。また、図14では電波の受信強度がdBm(1mWを0dBとする)で表されている。受信強度履歴1403において、「測定不能」は電波の受信強度が低く測定不能であったことを表している。なお、受信強度履歴情報1400と、受信強度履歴情報1000とは対応する情報である。例えば、アクセスポイント受信強度履歴1401、識別子1402、及び受信強度履歴1403はそれぞれ、アクセスポイント受信強度履歴1001、識別子1002、及び受信強度履歴情報1000と同じ情報であってもよい。
図15は、第2の実施形態に係る、地域一帯のアクセスポイント102がダウンする事象が発生した場合に、次に周辺のアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を長くする処理の動作フローを例示する図である。図15の動作フローは、例えば、ステーション101の制御部900が記憶部930に格納されているプログラム931を読み出して実行することで実施される。一実施形態においては、図15の動作フローは、図11の動作フローによる周辺のアクセスポイント102のスキャンが、上述した通常時における第1の時間間隔で実行され、受信強度履歴情報1000が更新された後に開始する。
ステップS1501において、ステーション101の制御部900は、受信強度履歴情報1400を参照する。そして、制御部900は、受信強度履歴情報1000において、第1のタイミングのスキャンにより登録された受信強度履歴1403と、第1のタイミングに後続する第2のタイミングのスキャンで登録された受信強度履歴1403の受信強度を比較する。なお、第2のタイミングのスキャンは例えば受信強度履歴情報1400に登録されている最新の受信強度履歴1403のスキャンタイミングの1つ前のスキャンタイミングであってよい。即ち、例えば、図14においては、アクセスポイント受信強度履歴1401の右端から2番目に登録されているT−1の受信強度履歴1403のスキャンタイミングであってよい。また、第2のタイミングに先行する第1のタイミングのスキャンは、例えば、最新の受信強度履歴1403のスキャンタイミングの2つ前のスキャンタイミングであってもよい。即ち、例えば、図14では、アクセスポイント受信強度履歴1401の右端から3番目に登録されているT−2の受信強度履歴1403のスキャンタイミングであってもよい。
そして、制御部900は、第1のタイミングのスキャンにおいて登録された受信強度が所定の閾値より大きいアクセスポイント102のうちで、第2のタイミングのスキャンにおいて測定不能となるアクセスポイント102が占める割合を求める。なお、この所定の閾値は、例えば、閾値以下の受信強度であると正常にデータを通信することが難しいと判断される値に設定されていてもよい。或いは、別の実施形態では、閾値はステーション101に備えられている無線LAN通信機によって測定不能となる電波強度に設定されていてもよい。また、測定不能とは、例えば、ステーション101に備えられている無線LAN通信機によって電波強度を測定することが不可能となることであってよい。そして、制御部900は、この求めた割合が、所定の割合以上であるか否かを判定する。即ち、第1のタイミングにおいて閾値以上の受信強度であったアクセスポイント102のうちで、第2のタイミングにおいて受信強度が測定不能となったアクセスポイント102が占める割合が所定の割合以上であるかを判定する。なお、所定の割合は、例えば災害や停電などの地域一帯に影響を及ぼす事象の発生を推定できるような割合に設定される。例えば、所定の割合としては、3割以上〜10割以下の値が用いられていても良い。ステップS1501において、所定の割合未満であった場合(ステップS1501がNo)、フローはステップS1505へと進む。一方、ステップS1501において、所定の割合以上であった場合(ステップS1501がYes)、フローはステップS1502へと進む。
ステップS1502において、制御部900は、ステップS1501で第1のタイミングから第2のタイミングにかけて、閾値より大きい値から測定不能になるアクセスポイント102に対して更なる判定を行う。制御部900は、測定不能になる全てのアクセスポイント102からの電波の受信強度の変動が、過去の所定の期間において、所定の範囲内で安定しているか否かを判定する。例えば、制御部900は、第1のタイミングから、第1のタイミングに所定のタイミングの数だけ先行する第3のタイミングまでの期間において受信強度が安定しているか否かを判定する。第3のタイミングは、例えば、第1のスキャンタイミングの2つ前のスキャンタイミングであってもよい。即ち、第3のタイミングは、図14に示す例では、アクセスポイント受信強度履歴1401の右端から5番目に登録されているT−4の受信強度履歴1403のスキャンタイミングであってもよい。そして、制御部900は、第1のタイミングから第3のタイミングまでの期間(例えば、T−2からT−4までの期間)での受信強度の最大値と最小値の差が、所定の範囲以内に収まっているか否かを判定する。なお、この所定の範囲は、図15に示す例では20dBとしている。
ステップS1502において、変動が所定の範囲に収まっていない場合(ステップS1502がNo)には、フローはステップS1505へと進む。一方、ステップS1502において、変動が20dB以内におさまっている場合(ステップS1502がYes)には、フローはステップS1503へと進む。ステップS1503において、制御部900は、ステップS1501で第1のタイミングから第2のタイミングにかけて測定不能になったアクセスポイント102が、第2のタイミングに後続する第4のタイミングにおいても測定不能であるか否かを判定する。第4のタイミングは、例えば、第2のスキャンタイミングの1つ後のスキャンタイミングであってもよい。即ち、第4のタイミングは、図14に示す例では、アクセスポイント受信強度履歴1401の最も右端に登録されているT0の受信強度履歴1403のスキャンタイミングであってもよく、これは、例えば最新の受信強度履歴1403である。
ステップS1503において、後続のスキャンタイミングでの受信強度が測定不能では無い場合(ステップS1503がNo)、フローはステップS1505へと進む。一方、後続のスキャンタイミングでの受信強度が測定不能である場合(ステップS1503がYes)、フローはステップS1504へと進む。ステップS1504において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に変更し、本動作フローは終了する。ここで、第1の時間間隔及び第2の時間間隔の詳細については先に述べている。なお、一実施形態においては、ステップS1504において、制御部900が更に無線LAN機能をオフにするように構成してもよい。ここで、無線LAN機能をオフにするとは、例えばステーション101が備える無線LAN通信機への電力供給を停止することであってもよい。また、ステップS1501からステップS1503において、Noと判定された場合、フローはステップS1505へと進む。ステップS1505において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔に設定し、本動作フローは終了する。
以上で述べた図15の動作フローにおいて、ステーション101の制御部900は、第1のタイミング(例えば、最新のスキャンの2つ前に実行されたスキャン)での受信強度が所定の閾値以上であるアクセスポイント102を特定する。そして、特定されたアクセスポイント102のうちで、第1のタイミングに後続する第2のタイミング(例えば、最新のスキャンの1つ前に実行されたスキャン)で測定不能となるアクセスポイント102が占める割合が、所定の割合以上であるか否かを判定する。ここで、第1のタイミングから第2のタイミングにかけて受信強度が測定不能に下がったアクセスポイント102の割合が所定の割合よりも多い場合、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している可能性があると考えられる。しかしながら、上述したように、例えば、大型のトラックがステーション101の近傍を通過したことなどに起因して電波の一時的な遮蔽が生じることがある。このような一時的な電波の遮蔽を、災害等の発生と誤認してしまう可能性を低くするために、第2の実施形態では、更にステップS1502及びステップS1503の判定を行っている。
ステップS1502における判定では、第1のタイミングから後続の第2のタイミングにかけて受信強度が測定不能に下がったアクセスポイント102が、第1のタイミングから過去において安定した受信強度を示していたかが判定される。例えば、アクセスポイント102からの電波の受信強度が、第1のタイミングから過去において安定していない場合には、それらのアクセスポイント102における受信強度の低下の原因は災害や停電等の発生とは無関係である可能性が高い。そのため、そのようなアクセスポイント102がある場合には、次にアクセスポイント102をスキャンするまでの時間間隔を変更せず、通常時の第1の時間間隔に設定している。
また、ステップS1503における判定では、第1のタイミングから後続の第2のタイミングにかけて受信強度が測定不能に下がったアクセスポイント102が、第1のタイミングに後続する第4のタイミングにおいても、継続して測定不能であるかが判定される。例えば、アクセスポイント102からの電波の受信強度が、第1のタイミングで測定不能であったとしても、それに後続する第4のタイミングで測定不能から回復していたとする。この場合、それらのアクセスポイント102における受信強度の低下の原因は災害や停電等の発生とは無関係であるか、或いは関係があったとしても早急に復旧が可能である可能性が高い。そのため、そのようなアクセスポイント102がある場合には、次にアクセスポイント102をスキャンするまでの時間間隔を変更せず、通常時の第1の時間間隔に設定している。
従って、第2の実施形態によれば、ステップS1502及びステップS1503で述べた判定により、第1の実施形態と比較して、より高精度に災害や停電などの地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象の発生を検知することができる。
なお、第2の実施形態において、ステップS1504で次にスキャンを実行するまでの時間間隔を第2の時間間隔に変更した場合に、スキャンの実行から第2の時間間隔が経過した際には図13の動作フローを実行するように構成してもよい。図13の動作フローにより、ステーション101の制御部900は、第2の時間間隔を空けてスキャンを実行した場合に、周辺に接続可能なアクセスポイント102があれば、スキャンの時間間隔を通常時の第1の時間間隔に戻すことができる。一方、周辺に接続可能なアクセスポイント102が存在しない場合には、ダウンしたアクセスポイント102が未だ復旧していない可能性がある。そのため、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を再び第2の時間間隔に設定し、スキャンを実行することで消費される電力を低減する。
以上の図15の動作フローにおいて、ステップS1501の処理では、制御部900は、例えば、判定部912として機能する。また、ステップS1502の処理では、制御部900は、例えば、第2判定部914として機能する。ステップS1503の処理では、制御部900は、例えば、第3判定部915として機能する。ステップS1504及びステップS1505の処理では、制御部900は、例えば、変更部913として機能する。
続いて、図16及び図17を参照し、第3の実施形態を説明する。第1及び第2の実施形態では、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102の一斉のダウンを、アクセスポイント102からの電波の受信強度に基づいて検出する例を述べた。第3の実施形態では、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102の一斉のダウンを、周辺に存在する他のステーション101が発信するプローブ要求の数10に基づいて検出する場合の例を述べる。
図16は、第3の実施形態に係る、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102が一斉にダウンする場合に、ステーション101において受信可能な他のステーション101が発信するプローブ要求の数10の変化を例示する図である。図16において、縦軸はステーション101にて電波を受信できるプローブ要求の数10である。横軸にはステーション101によるアクセスポイント102のスキャンの実行タイミングがt1〜t8として示されている。
図16において、t1からt7までの期間では、ステーション101は、一定の増減の範囲内で周辺に存在するステーション101が発信するプローブ要求を検出している。しかしながら、t7からt8の間の期間において、例えば、災害や停電などの地域一帯に存在する複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生したとする。この場合、ダウンしたアクセスポイント102はプローブ応答の返信をすることができなくなる。そのため、周辺のステーション101は、プローブ応答を受信することができないので接続を確立することができず、プローブ要求を頻繁に送出するようになる。結果として、ステーション101において検出される周辺のステーション101が発信するプローブ要求の単位時間当たりの数は急激に増加する(例えば、図16のt8)。そのため、ステーション101において、周辺のステーション101が発信するプローブ要求の数10の急激な増加を検出することで、災害や停電などの地域一帯のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象の発生を検知することが可能である。
図17は、第3の実施形態に係る、周辺のステーション101が発信するプローブ要求の数10の増加に基づいて、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を変更する動作フローを例示する。図17の動作フローは、例えば、ステーション101の制御部900が記憶部930に格納されているプログラム931を読み出して実行することで実施される。一実施形態においては、図17の動作フローは、周辺のアクセスポイント102のスキャンを第1の時間間隔で実行した後に開始する。ステップS1701において、ステーション101の制御部900は、周辺の他のステーション101が発信するプローブ要求の数10を計数し、その数をXとして取得する。ステップS1702において、制御部900は、ステップS1701で計数したプローブ要求の数10が、図17の動作フローを前回実行した際にステップS1701で計数されたプローブ要求の数10であるYよりも所定の数以上増えているか否かを判定する。図17に示す例では、この所定の数として「5」を用いている。なお、図17の動作フローを前回実行した際にステップS1701で計数されたプローブ要求の数10(即ち、Yの値)は、例えば記憶部930に格納されていてもよい。また、図17の動作フローが初めて実行され記憶部930に前回のプローブ要求の数10であるYが格納されていない場合には、タイマAをリセットし、ステップS1701で取得したXの値をYの値として用いて、ステップS1702の処理を実行する。図17の動作フローが初めて実行され記憶部930に前回のプローブ要求の数10であるYが格納されていない場合とは、例えば、ステーション101の電源の投入時などである。
ステップS1702において、Xの値がYの値よりも所定の数以上大きい場合(ステップS1702がYes)には、フローはステップS1703へと進む。ステップS1703において、制御部900は、所定の期間をカウントするタイマAが満了したか否かを判定する。タイマAが満了していない場合(ステップS1703がNo)には、本動作フローは終了する。一方、タイマAが満了している場合(ステップS1703がYes)には、フローはステップS1704へと進む。ステップS1704において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に変更する。続いてステップS1705において、制御部900は、タイマAをリセットし、本動作フローは終了する。
一方、ステップS1702において、Xの値がYの値よりも所定の数以上大きくない場合(ステップS1702がNo)には、フローはステップS1706へと進む。ステップS1706において、制御部900は、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔に設定する。続いて、ステップS1707において、制御部900は、タイマAをリセットし、本動作フローは終了する。ここで、第1の時間間隔及び第2の時間間隔の詳細については先に述べている。なお、一実施形態においては、制御部900は、ステップS1704において、更に無線LAN機能をオフにするように構成してもよい。ここで、無線LAN機能をオフにするとは、例えばステーション101が備える無線LAN通信機への電力供給を停止することであってもよい。
以上の図17の動作フローでは、ステーション101の制御部900は、ステップS1701で今回得られた周辺のステーション101が発信するプローブ要求の数10を、図17の動作フローを前回実行した際に得られたプローブ要求の数10と比較する。そして、プローブ要求の数10が前回に比べて所定の数以上増加しているか否かを判定する。前回から今回にかけてプローブ要求の数10が所定の数以上増加している場合、災害や停電などの地域一帯のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している可能性がある。しかしながら、例えば、ステーション101が地下鉄などで利用されている場合、駅と駅の間の区間では一時的にアクセスポイント102からの電波が遮蔽されてしまう状況が存在する。そのような状況でも、周辺のステーション101はアクセスポイント102を見つけられなくなるため、プローブ要求を頻繁に送信するようになる。そのため、地下鉄の駅と駅の間の区間等の一時的な遮蔽によっても、ステップS1702がYesと判定されてしまう状況が存在する。そこで、図17の動作フローでは、ステップS1703の判定により、プローブ要求の数10が前回に比べて所定の数以上増加している状態がタイマAが満了するまでの期間で継続しているか否かを判定している。地下鉄の駅と駅の間の区間等の一時的な遮蔽が生じている場合でも、タイマAが満了するまでにその遮蔽が解消すれば、フローはステップS1702でNoと判定されることになり、従って、スキャンする時間間隔は第2の時間間隔に変更されない。一方、プローブ要求の数10が前回に比べて所定の数以上増加している状態がタイマAが満了するまで継続しているのであれば、そのプローブ要求の増加は一時的な原因によるものではない可能性が高い。そのため、ステップS1704で、次にアクセスポイント102のスキャンを実行するまでの時間間隔を通常時の第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に変更するように構成している。従って、地域一帯の複数のアクセスポイント102を一斉にダウンさせる事象が発生している状況で、スキャンを頻繁に実行してしまうことが防止でき、消費電力を低減することができる。
以上の図17の動作フローにおいて、ステップS1701の処理では、制御部900は、例えば、計数部916として機能する。また、ステップS1702の処理では、制御部900は、例えば、第4判定部917として機能する。ステップS1703、ステップS1705、及びステップS1707の処理では、制御部900は、例えば、第5判定部918として機能する。ステップS1704及びステップS1706の処理では、制御部900は、例えば、変更部913として機能する。
なお、第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と組み合わせて実施されてもよい。例えば、図12のステップS1203、及び図15のステップS1504の代わりに、図17の動作フローを実行するように構成してもよい。この場合に、例えば、図17のステップS1701でXとして計数するプローブ要求の数10は、図12の動作フローにおける第2のタイミング、又は図15の動作フローの第2のタイミングで計数されたプローブ要求の数10であってもよい。また、図17のステップS1702でYとして用いる前回のプローブ要求の数10は、例えば、図12の動作フローにおける第1のタイミング、又は図15の動作フローの第1のタイミングで計数されたプローブ要求の数10であってもよい。
図18は、いくつかの実施形態に係るステーション101として機能する情報処理装置1を実現するためのコンピュータ1800のハードウェア構成を例示する図である。図18のコンピュータ1800のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1801、メモリ1802、記憶装置1803、読取装置1804、通信インタフェース1806を備えている。また更に、図18のコンピュータ1800のハードウェア構成は、入出力インタフェース1807、及び無線LAN通信機1808も備えている。なお、プロセッサ1801、メモリ1802、記憶装置1803、読取装置1804、通信インタフェース1806、及び入出力インタフェース1807は、例えば、バス1820を介して互いに接続されている。
プロセッサ1801は、メモリ1802を利用して上述の動作フローの手順を記述したプログラム931を実行することにより、上述した各機能部910の一部または全部の機能を提供する。情報処理装置1の制御部900は、例えばプロセッサ1801であり、また、記憶部930は、例えばメモリ1802、記憶装置1803、及び着脱可能記憶媒体1805である。プロセッサ1801は、例えば、記憶装置1803に格納されているプログラム931を読み出して実行することで、例えば、生成部911、判定部912、及び変更部913などの機能部910として機能する。更に、プロセッサ1801は、例えば、記憶装置1803に格納されているプログラム931を読み出して実行することで、例えば、第2判定部914、第3判定部915、第6判定部919などの機能部910として機能する。また更に、プロセッサ1801は、例えば、記憶装置1803に格納されているプログラム931を読み出して実行することで、計数部916、第4判定部917、第5判定部918、第2変更部920、停止部921などの機能部910として機能する。コンピュータ1800の記憶装置1803には、例えば、受信強度履歴情報1000,1400及びプローブ要求の数10が格納されている。
メモリ1802は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含んで構成される。記憶装置1803は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive)等)などの半導体メモリ、又は外部記憶装置である。読取装置1804は、プロセッサ1801の指示に従って着脱可能記憶媒体1805にアクセスする。着脱可能記憶媒体1805は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD等)などにより実現される。
通信インタフェース1806は、例えば、無線LAN通信機1808と接続されており、プロセッサ1801の指示に従ってネットワーク1830を介してデータを送受信する。また、通信インタフェース1806は、Bluetooth(登録商標)、セルラ、IrDA(登録商標)、GPSなどの無線通信方式の無線通信機及びその他の通信機と接続されていてもよい。通信インタフェース1806は、プロセッサ1801の指示に従ってそれらの通信機によりネットワーク1830を介してデータを送受信してもよい。無線LAN通信機1808は無線LAN機能を制御し、無線LAN通信を行う。入出力インタフェース1807は、例えば、マイク、キーボード、マウスなどの入力装置、並びに表示装置及びスピーカなどの出力装置との間のインタフェースに相当する。
実施形態に係るプログラム931は、例えば、下記の形態で情報処理装置1に提供される。
(1)記憶装置1803に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1805により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバ1840から提供される。
図19は、上述の第1から第3の実施形態を含むいくつかの実施形態に係る無線LAN通信機への電力供給のオン及びオフを切り替える制御を例示する図である。制御部900は記憶部930に記憶されているプログラム931を読み出して実行することで、上述した例えば、図12、図13、図15、及び図17の動作フローに示す処理を実行する。そして、これらの動作フローにおいて、例えば、ステップS1203、ステップS1301、ステップS1303、ステップS1504、又はステップS1704で、無線LAN機能のオン又はオフを切り替えるように構成してもよいことについて上述した。この場合に、制御部900は、例えば図19に示すように、制御信号により無線LAN通信機1808への電力供給を切り替えるスイッチSWを制御することで、無線LAN機能のオン又はオフを切り替えるように構成されていてもよい。
また、上述の第1から第3の実施形態を含むいくつかの実施形態において、アクセスポイント102のスキャンの時間間隔は一定でなくてもよい。従って、上述した例えば、第1の時間間隔は、スキャンが実行される度に、所定の範囲(例えば、約15秒から約5分の範囲)の間で変化してもよい。換言すると、第1の時間間隔で実行されるスキャンは、一定の周期で実行されなくてもよい。また、同様に、第2の時間間隔も、スキャンが実行される度に所定の範囲(例えば、約20分から約2時間の範囲)の間で変化してもよい。
以上において、いくつかの実施形態について説明した。しかしながら、本発明に係る実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態及び代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、本発明に係る種々の実施形態を成すことができることが理解されよう。或いは、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して又は置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して本発明に係る種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。