JP2014120384A - 有機led素子の製造方法、および有機led素子 - Google Patents

有機led素子の製造方法、および有機led素子 Download PDF

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Abstract

【課題】プロセスをより簡略化することが可能な、有機LED素子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】透明基板、散乱層、第1の透明電極、金属補助配線、有機発光層、および第2の電極を有する有機LED素子の製造方法であって、(a)透明基板上に散乱層を形成するステップであって、前記散乱層は、ガラスからなるベース材と、該ベース材中に分散された複数の散乱物質とを有するステップと、(b)第1の透明電極のパターンを形成するステップであって、前記第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるステップと、(c)金属補助配線を形成するステップと、を有し、前記(b)および(c)のステップは、(b)から(c)の順、または(c)から(b)の順に実施されることを特徴とする製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機LED素子の製造方法、および有機LED素子に関する。
有機LED(Light Emitting Diode)素子は、ディスプレイ、バックライト、および照明用途等に広く用いられている。
一般的な有機LED素子は、基板上に設置された第1の電極(陽極)と、第2の電極(陰極)と、これらの電極間に設置された有機発光層とを有する。電極間に電圧を印加すると、それぞれの電極から、有機発光層にホールおよび電子が注入される。このホールと電子が有機発光層内で再結合された際に、結合エネルギーが生じ、この結合エネルギーによって有機発光層中の有機発光材料が励起される。励起した発光材料が基底状態に戻る際に発光が生じるため、これを利用することにより、発光(LED)素子が得られる。
通常、第1の電極、すなわち陽極には、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明薄膜が使用され、第2の電極、すなわち陰極には、アルミニウムおよび銀等の金属薄膜が使用される。
また、最近では、ITO電極を設置するためのガラス板の表面に、散乱層を形成する技術が開示されている。この方法では、有機発光層で生じた発光の一部は、散乱層によって散乱されるため、有機LED素子内に閉じ込められる光の量(全反射の光量)が少なくなり、有機LED素子からの光取り出し効率を高めることができることが開示されている(例えば特許文献1)。
国際公開第WO2012/133832号
前述のように、ITO電極とガラス基板の間に散乱層を設けることにより、有機LED素子からの光取り出し効率を高めることができる。
ここで、通常の場合、ITO電極は、エッチング処理等によりパターン化される。
しかしながら、散乱層の中には、ITO電極のエッチング処理に使用されるエッチング液に対して、良好な耐性を有さないものが存在する。そのような散乱層を使用した場合、ITO電極のパターン処理の際に、エッチング液によって散乱層が劣化または損傷してしまう。そこで、前述の特許文献1には、このような問題を回避するため、散乱層とITO電極の間に、エッチング液に対して耐性を有する被覆層を設置することが記載されている。
なお、一般に、このような被覆層は、成膜処理、乾燥処理、および熱処理の各プロセスを経て形成される。さらに、厚い被覆層を形成する場合、これらのプロセスが2回以上繰り返される場合もあり得る。
しかしながら、そのような被覆層を形成するプロセスを含む有機LED素子の製造方法では、製造プロセスが煩雑になる上、有機LED素子の製造コストが上昇してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑み成されたものであり、本発明では、プロセスをより簡略化することが可能な、有機LED素子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明では、簡略化されたプロセスで製造することが可能な、有機LED素子を提供することを目的とする。
本発明では、少なくとも、透明基板、散乱層、第1の透明電極、および該第1の透明電極と接する金属補助配線を有する有機LED素子の製造方法であって、
(a)透明基板上に散乱層を形成するステップであって、
前記散乱層は、ガラスからなるベース材と、該ベース材中に分散された複数の散乱物質とを有するステップと、
(b)第1の透明電極のパターンを形成するステップであって、前記第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるステップと、
(c)金属補助配線を形成するステップと、
を有し、
前記(b)および(c)のステップは、(b)から(c)の順、または(c)から(b)の順に実施されることを特徴とする製造方法が提供される。
ここで、本発明による製造方法において、前記第1の透明電極は、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウムドープ亜鉛酸化物)、GZO(ガリウムドープ亜鉛酸化物)、SnO、ZnO、NbドープTiO、TaドープTiO、および有機導電性材料からなる群から選定された少なくとも一つを含んでも良い。
また、本発明による製造方法は、さらに、
(d)有機発光層を形成するステップ
を有しても良い。
また、本発明による製造方法において、前記(b)のステップは、前記(c)のステップの後に実施され、
前記(b)のステップの後、前記有機発光層のうちの少なくとも最初の層の成膜が、第1の透明電極のパターンを形成する装置と同じ装置内で、連続的に実施されても良い。
あるいは、本発明による製造方法は、前記(c)のステップは、前記(b)のステップの後に実施され、
前記(c)のステップの後、前記有機発光層のうちの少なくとも最初の層の成膜が、金属補助配線のパターンを形成する装置と同じ装置内で、連続的に実施されても良い。
また、本発明による製造方法において、前記(c)のステップは、マスク成膜法または印刷法により実施されても良い。
また、本発明による製造方法は、前記(c)のステップの後、前記金属補助配線のエッジ部に、エッジカバー層を形成するステップを有しても良い。
また、本発明による製造方法は、さらに、
(e)前記有機発光層の上に、第2の電極を形成するステップ
を有しても良い。
さらに、本発明では、少なくとも、透明基板、散乱層、第1の透明電極、および該第1の透明電極と接する金属補助配線を有する有機LED素子であって、
前記散乱層は、ガラスからなるベース材と、該ベース材中に分散された複数の散乱物質とを有し、
前記金属補助配線は、全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下のシート抵抗を有し、
前記第1の透明電極は、450nmから650nmにおける内部透過率が96%以上であることを特徴とする有機LED素子が提供される。
本発明では、プロセスをより簡略化することが可能な、有機LED素子の製造方法を提供することができる。また、本発明では、簡略化されたプロセスで製造することが可能な、有機LED素子を提供することができる。
従来の有機LED素子の概略的な構成を示した断面図である。 本発明の一実施例による有機LED素子の概略的な構成を示した断面図である。 本発明による第1の製造方法のフローを概略的に示した図である。 滑らかな端部を有する金属補助配線を有する有機LED素子の一例を概略的に示した図である。 本発明の一実施例による第2の有機LED素子の概略的な構成を示した断面図である。 本発明による第2の製造方法のフローを概略的に示した図である。 滑らかな端部を有する金属補助配線を有する第2の有機LED素子の一例を概略的に示した図である。
以下、図面を参照して、本発明について詳しく説明する。
(従来の有機LED素子)
まず、本発明の特徴をより良く理解するため、図1を用いて、従来の有機LED素子の構成について簡単に説明する。図1には、従来の有機LED素子の概略的な断面図を示す。
図1に示すように、従来の有機LED素子100は、ガラス基板110と、散乱層120と、被覆層130と、第1の電極(陽極)140としてのITO電極と、金属補助配線150と、有機発光層160と、第2の電極(陰極)170とを、この順に積層することにより構成される。
図1の例では、有機LED素子100の下側の表面(すなわちガラス基板110の露出面)が光取り出し面190となる。
散乱層120は、ベース材121と、該ベース材121中に分散された複数の散乱物質124とを有する。散乱層120は、有機発光層160から生じる光を効果的に散乱させ、有機LED素子100内で全反射される光の量を低減する役割を有する。従って、図1の構成の有機LED素子100では、光取り出し面190から出射される光量を向上させることができる。
ここで、散乱層120の中には、ITO電極140のエッチング処理に使用されるエッチング液に対して、良好な耐性を有さないものが存在する。そのような散乱層120を使用した場合、ITO電極140のパターン処理の際に、エッチング液によって散乱層120が劣化または損傷してしまう。
しかしながら、図1の例では、有機LED素子100は、散乱層120とITO電極140の間に配置された被覆層130を有する。
被覆層130は、ITO電極140のエッチング処理に使用されるエッチング液に対して耐性を有する。このため、被覆層130を形成することにより、ITO電極140のエッチング処理の際に、エッチング液によって散乱層120が劣化することを抑制することができる。
しかしながら、このような被覆層130を含む有機LED素子100の製造方法では、製造プロセスが煩雑になる上、有機LED素子の製造コストが上昇してしまうという問題がある。例えば、被覆層130は、成膜処理、乾燥処理、および熱処理の各プロセスを経て形成される。さらに、厚い被覆層130を形成する場合、これらのプロセスが2回以上繰り返される場合もあり得る。従って、このような被覆層130の形成プロセスを含む従来の有機LED素子100の製造方法では、プロセスの簡略化および製造コストの抑制に限界がある。
(本発明による有機LED素子の製造方法)
次に、本発明による有機LED素子の製造方法について説明する。
本発明では、
少なくとも、透明基板、散乱層、第1の透明電極、および該第1の透明電極と接する金属補助配線を有する有機LED素子の製造方法であって、
(a)透明基板上に散乱層を形成するステップであって、
前記散乱層は、ガラスからなるベース材と、該ベース材中に分散された複数の散乱物質とを有するステップと、
(b)第1の透明電極のパターンを形成するステップであって、前記第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるステップと、
(c)金属補助配線を形成するステップと、
を有し、
前記(b)および(c)のステップは、(b)から(c)の順、または(c)から(b)の順に実施されることを特徴とする製造方法が提供される。
ここで、本発明による有機LED素子の製造方法では、第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるという特徴を有する。
なお、本願において、「マスク成膜法」とは、マスクを介して、被処理表面に所望の膜のパターンを成膜する工程全般を意味する。例えば、「マスク成膜法」には、蒸着法、スパッタ法、PVD(物理気相成膜法)、またはCVD(化学気相成膜法)法等により、マスクを介して被処理表面に第1の透明電極のパターンを形成する方法等が含まれる。
また、印刷法とは、被処理表面に第1の透明電極のパターンを印刷する方法全般を意味する。印刷方法は、特に限られず、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、ダイコート法、凸版印刷法、凹版印刷法、およびスプレー印刷法等を利用しても良い。
このような第1の透明電極のパターンの製造方法では、エッチング処理を実施せずに、第1の透明電極のパターンを形成することができる。そのため、このような有機LED素子の製造方法では、従来の被覆層130を形成する工程が不要となる。また、これにより、本発明による有機LED素子の製造方法では、プロセスをより簡略化することができ、有機LED素子の製造コストを低減することが可能になる。
(本発明の一実施例による有機LED素子の製造方法)
次に、図2および図3を参照して、本発明の一実施例による有機LED素子の製造方法(第1の製造方法)について説明する。
図2には、後述する本発明の一実施例による有機LED素子の製造方法によって製造される有機LED素子の構成の一例を、概略的に示す。
図2に示すように、本発明の第1の製造方法によって製造される有機LED素子200は、透明基板210と、散乱層220と、第1の電極240と、金属補助配線250と、エッジカバー層255と、有機発光層260と、第2の電極(陰極)270とを有する。
ここで、透明基板210は、上部に有機LED素子を構成する各層を支持する役割を有する。
散乱層220は、第1の屈折率を有するガラス製のベース材221と、該ベース材221中に分散された、前記ベース材221とは異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質224とで構成される。散乱層220の厚さは、例えば5μm〜50μmの範囲である。
第1の電極240は、例えばITO(インジウムスズ酸化物)のような透明金属酸化物薄膜で構成される。一方、第2の電極270は、例えばアルミニウムや銀のような金属で構成される。
金属補助配線250は、例えば銅または銀のような金属で構成される。金属補助配線250は、第1の電極240の抵抗を下げ、第1の電極240への通電を容易にする役割を有する。
エッジカバー層255は、絶縁材料で構成される。エッジカバー層255は、金属補助配線250のエッジ部の輪郭形状を滑らかにして、以降に成膜される層の連続性を確保したり、第2の電極270が金属補助配線250と短絡することを抑制したりする役割を有する。
有機発光層260は、通常の場合、発光層の他、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層など、複数の層で構成される。
図2の例では、有機LED素子200の下側の表面(すなわち透明基板210の露出面)が光取り出し面290となる。
散乱層220は、有機発光層260から生じる光を効果的に散乱させ、有機LED素子200内で全反射される光の量を低減する役割を有する。従って、図2の構成の有機LED素子200では、光取り出し面290から出射される光量を向上させることができる。
ここで、図2に示した有機LED素子200は、散乱層220の上部に、従来の有機LED素子100にあった被覆層130を有さないことに留意する必要がある。
次に、図3を参照して、図2に示したような有機LED素子200を製造する際の製造方法(第1の製造方法)について説明する。
図3には、第1の製造方法の概略的なフロー図を示す。
図3に示すように、第1の製造方法は、
透明基板上に散乱層を形成するステップ(ステップS110)と、
前記散乱層の上に、第1の透明電極のパターンを形成するステップであって、前記第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるステップ(ステップS120)と、
前記第1の透明電極のパターンの上に、金属補助配線を形成するステップ(ステップS130)と、
前記金属補助配線のエッジ部に、エッジカバー層を形成するステップ(ステップS140)と、
前記第1の透明電極のパターン、金属補助配線、およびエッジカバー層の上に、有機発光層を形成するステップ(ステップS150)と、
前記有機発光層の上に、第2の電極を形成するステップ(ステップS160)と、
を有する。
以下、各工程について説明する。
(ステップS110)
まず、透明基板210が準備される。通常、透明基板210には、ガラス基板やプラスチック基板が用いられる。
次に、透明基板210上に、ガラス製のベース材221中に散乱物質224が分散された散乱層220が形成される。散乱層220の形成方法は、特に限られないが、ここでは、特に、「フリットペースト法」により、散乱層220を形成する方法について説明する。ただし、その他の方法で、散乱層220を形成しても良いことは、当業者には明らかである。
フリットペースト法とは、フリットペーストと呼ばれるガラス材料を含むペーストを調製し(調製工程)、このフリットペーストを被設置基板の表面に塗布して、パターン化し(パターン形成工程)、さらにフリットペーストを焼成すること(焼成工程)により、被設置基板の表面に、所望のガラス製の膜を形成する方法である。以下、各工程について簡単に説明する。
(調製工程)
まず、ガラス粉末、樹脂、および溶剤等を含むフリットペーストが調製される。
ガラス粉末は、最終的に散乱層のベース材を形成する材料で構成される。ガラス粉末の組成は、所望の散乱特性が得られ、フリットペースト化して焼成することが可能なものであれば特に限られない。ガラス粉末の組成は、例えば、Pを20〜30mol%、Bを3〜14mol%、Biを10〜20mol%、TiOを3〜15mol%、Nbを10〜20mol%、WOを5〜15mol%含み、LiOとNaOとKOの総量が10〜20mol%であり、以上の成分の総量が、90mol%以上のものであっても良い。また、SiOは0〜30mol%、Bは10〜60mol%、ZnOは0〜40mol%、Biは0〜40mol%、Pは0〜40mol%、アルカリ金属酸化物は0〜20mol%であり、以上の成分の総量が、90mol%以上のものであっても良い。ガラス粉末の粒径は、例えば、1μm〜100μmの範囲である。
なお、最終的に得られる散乱層の熱膨張特性を制御するため、ガラス粉末には、所定量のフィラーを添加しても良い。フィラーには、例えば、ジルコン、シリカ、またはアルミナなどの粒子が使用され、粒径は、通常、0.1μm〜20μmの範囲である。
樹脂には、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂、酢酸ビニル、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、およびロジン樹脂などが用いられる。なお、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、およびロジン樹脂を添加すると、フリットペースト塗布膜の強度が向上する。
溶剤は、樹脂を溶解し、粘度を調整する役割を有する。溶剤には、例えば、エーテル系溶剤(ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、酢酸ブチルセロソルブ)、アルコール系溶剤(α−テルピネオール、パインオイル)、エステル系溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、フタル酸エステル系溶剤(DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート))がある。主に用いられているのは、α−テルピネオールや2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)である。なお、DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)は、可塑剤としても機能する。
その他、フリットペーストには、粘度の調整やフリット分散促進のため、界面活性剤を添加しても良い。また、表面改質のため、シランカップリング剤を使用しても良い。
次に、これらの原料を混合し、ガラス原料が均一に分散されたフリットペーストを調製する。
(パターン形成工程)
次に、前述の方法で調製したフリットペーストを、透明基板上に塗布し、パターン化する。塗布の方法およびパターン化の方法は、特に限られない。例えば、スクリーン印刷機を用いて、透明基板上にフリットペーストをパターン印刷しても良い。あるいは、ドクターブレード印刷法またはダイコート印刷法を利用しても良い。
その後、フリットペースト膜は、乾燥される。
(焼成工程)
次に、フリットペースト膜が焼成される。通常、焼成は、2段階のステップで行われる。第1のステップでは、フリットペースト膜中の樹脂が分解、消失され、第2のステップでは、ガラス粉末が軟化、焼結される。
第1のステップは、大気雰囲気下で、フリットペースト膜を200℃〜400℃の温度範囲に保持することにより行われる。ただし、処理温度は、フリットペーストに含まれる樹脂の材料によって変化する。例えば、樹脂がエチルセルロースの場合は、処理温度は、350℃〜400℃程度であり、樹脂がニトロセルロースの場合は、処理温度は、200℃〜300℃程度であっても良い。なお処理時間は、通常、30分から1時間程度である。
第2のステップは、大気雰囲気下で、フリットペースト膜を、含まれるガラス粉末の軟化温度±30℃の温度範囲に保持することにより行われる。処理温度は、例えば、450℃〜600℃の範囲である。また、処理時間は、特に限られないが、例えば、30分〜1時間である。
第2のステップ後に、ガラス粉末が軟化、焼結して、散乱層のベース材が形成される。また、フリットペースト膜中に内包させた散乱物質によって、例えば内在する気泡などによって、ベース材中に均一に分散された散乱物質が得られる。
その後、透明基板を冷却することにより、側面部分が上面から前記底面に向かって、直角よりも緩やかな角度で傾斜した表面を有する散乱層が形成される。
最終的に得られる散乱層の厚さは、5μm〜50μmの範囲であっても良い。
ここで、本発明による第1の製造方法は、第1の電極240をエッチング処理してパターン化する工程を有さない。このため、散乱層220は、従来の製造方法において、第1の電極をエッチング処理する際に使用されるエッチング液(例えば強酸)に対して耐性のない材料で構成することもできる。このため、散乱層220の材料選択の自由度が広がるという利点が得られる。
例えば、散乱層220は、以下の表1に示す組成を有しても良い。
Figure 2014120384
このような組成を有する散乱層220は、例えば塩酸のような強酸に対して、耐久性が
ない。従って、これまでの有機LED素子の製造方法では、このような散乱層を使用する場合、散乱層の上部に被覆層を設置することが必須となる。しかしながら、本発明による第1の製造方法では、このような組成の散乱層220も、適正に使用することができる。
(ステップS120)
次に、ステップS110で形成された散乱層220の上に、第1の透明電極240のパターンが形成される。
ここで、本発明の第1の製造方法では、このステップは、マスク成膜法または印刷法により実施されるという特徴を有する。
前述のように、マスク成膜法または印刷法では、エッチング処理工程を経ずに、第1の透明電極240を、所望の態様でパターン化することができる。
従って、従来、散乱層220を第1の透明電極240のエッチング液から保護するために実施されていた、被覆層を形成するステップを省略することができる。また、これにより、本発明の第1の製造方法では、処理プロセスを簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
マスク成膜法により形成される第1の透明電極240の材質は、これに限られるものではないが、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物:Indium Zinc Oxide)、AZO(アルミニウムドープ亜鉛酸化物:ZnO−Al)、GZO(ガリウムドープ亜鉛酸化物:ZnO−Ga)、SnO、ZnO、NbドープTiO、およびTaドープTiOなどであっても良い。
また、印刷法により形成される第1の透明電極240の材質は、これに限られるものではないが、例えば、有機導電性材料であっても良い。
第1の透明電極240の厚さは、特に限られないが、例えば5nm〜10μmの範囲である。
なお、本発明による第1の製造方法では、以降のステップS130で形成される金属補助配線250のパターンを適切に設計することにより、従来よりも薄い厚さの第1の透明電極240を使用することができる。
さらに、薄い厚さの第1の透明電極240を使用した場合、第1の透明電極240の透過性を高めることができる。例えば、450nm〜650nmの波長範囲における第1の透明電極240の内部透過率を、96%以上、例えば97%以上または98%以上にすることができる。ここで内部透過率とは、入射光強度をIo、反射光強度をIr、透過光強度をIt、基板による吸収された光の強度をAsとすると、内部透過率=It/(Io−Ir−As)で求められる。
(ステップS130)
次に、ステップS120で形成された第1の透明電極240のパターンの上に、金属補助配線250が形成される。
金属補助配線250の形成方法は、特に限られない。例えば、金属補助配線250は、従来から一般的に実施されている各種方法(例えばスパッタ法等)により、第1の透明電極240のパターンの上に成膜しても良い。
なお、金属補助配線250は、一般に、弱酸溶液など、強酸を含まないようなエッチング液を用いてエッチング処理することができる。また、一般的な散乱層220は、このような強酸を含まないエッチング液に対して、良好な耐性を有する。このため、金属補助配線250は、エッチング処理工程を含むような処理方法で成膜しても良い。
ただし、別の目的で、金属補助配線250は、マスク成膜法または印刷法により形成されても良い。
すなわち、マスク成膜法では、形成される金属補助配線250の端部は、鋭いエッジを有さず、比較的滑らかな形状となる傾向になる。同様に、印刷法で成膜される金属補助配線250は、比較的端部が滑らかな形状となる。従って、金属補助配線250をマスク成膜法または印刷法により形成した場合、以降のエッジカバー層を形成するステップ(ステップS140)を省略することが可能となる。
図4には、そのような滑らかな端部を有する金属補助配線250'を有する有機LED素子200'の一例を示す。図4に示した有機LED素子200'では、図2に示したエッジカバー層255が省略されていることに留意する必要がある。
さらに、エッジカバー層を形成するステップ(ステップS140)を省略する場合、金属補助配線250の成膜は、以降のステップS150において、有機発光層260のうちの少なくとも最初の層の成膜が実施される装置と同じ装置内で実施されることが好ましい。この場合、金属補助配線250の成膜から、有機発光層260の少なくとも最初の層の成膜までを連続的に実施することが可能となり、製造時間を短縮することができる。
特に、金属補助配線250の成膜から、有機発光層260の全ての層の成膜までを、同一の装置内で実施することが好ましい。
金属補助配線250は、第1の電極240上に、いかなるパターンで構成されても良い。ただし、金属補助配線250を1次元または2次元のグリッドパターンで形成した場合、グリッドの間隔(ピッチ)を調整することにより、金属補助配線250のシート抵抗を、比較的容易に制御することが可能となる。なお、「1次元のグリッドパターン」とは、同一平面内において、複数のグリッドが略同一の方向に沿って延伸しているパターンを意味し、「2次元のグリッドパターン」とは、同一平面内において、異なる2方向(例えば直交する方向)に沿って、複数のグリッドが延伸しているパターンを意味する。
ここで、金属補助配線250を1次元または2次元のグリッドパターンで形成する場合、金属補助配線250のシート抵抗は、全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□0.1Ω/□以下、好ましくは0.05Ω/□以下となるようにグリッドを配置することが好ましい。金属補助配線250のシート抵抗を全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下とした場合、陽極側の抵抗が十分に低くなるため、第1の電極240の抵抗は、有機LED素子200全体の特性にあまり寄与しなくなる。
従って、この場合、前述のように、第1の電極240の厚さを薄くすることが可能となり、第1の透明電極240の透過性を高めることが可能となる。
金属補助配線250を構成する材料は、特に限られず、金属補助配線250は、例えば、銅(銅合金を含む)および/または銀(銀合金を含む)で構成されても良い。
金属補助配線250の厚さは、特に限られない。金属補助配線250の厚さは、例えば、100nm〜10μmであっても良い。
(ステップS140)
次に、金属補助配線250のエッジ部に、エッジカバー層255が形成される。
なお、前述のように、ステップS130で形成された金属補助配線250のエッジ部が滑らかな形状を有する場合(例えば、図4における金属補助配線250'参照)、本ステップは、省略しても良い。
エッジカバー層255を形成する場合、その形成方法は、特に限られない。例えば、エッジカバー層255は、従来から実施されている典型的な方法(例えば感光性樹脂等)を用いて、形成しても良い。
なお、エッジカバー層255は、一般に、弱酸溶液など、強酸を含まないようなエッチング液を用いてエッチング処理することができる。一般に、散乱層220は、このような強酸を含まないエッチング液に対して、良好な耐性を有する。このため、エッジカバー層255は、エッチング処理工程を含むような処理方法で成膜しても良い。
エッジカバー層255を構成する材料は、絶縁体である限り特に限られない。エッジカバー層255は、例えば有機材料で形成されても良い。
以上の工程により、透明基板、散乱層、第1の電極、金属補助配線、およびエッジカバー層(必要な場合)を有する積層体が製造される。
なお、ここまでの工程で得られた積層体は、「透光性基板」とも称される。次工程以降に設置される有機発光層260、および第2の電極270等の仕様は、最終的に製造される有機LED素子200の適用用途によって、様々に変化する。従って、慣用的には、この「透光性基板」は、この状態のまま、中間製品として市場に流通される場合も多く、これ以降の工程が省略される場合も多々ある。
(ステップS150)
次に、散乱層220、第1の電極240、金属補助配線250、およびエッジカバー層255を覆うように、有機発光層260が形成される。有機発光層260を構成する各層の形成方法は、特に限られず、例えば、蒸着法および/または塗布法を使用しても良い。
なお、有機発光層260を構成する各層は、同一装置内で連続的に成膜できることが好ましい。これにより、成膜時間を短縮することができる。
また、前述のように、有機LED素子200の製造時間の短縮化のため、エッジカバー層を形成するステップ(ステップS140)を省略する場合、有機発光層260のうちの少なくとも最初の層の成膜は、金属補助配線250の成膜に使用される装置内で実施することが好ましい。特に、金属補助配線250の成膜から、有機発光層260の全ての層の成膜までを、同一の装置内で実施することが好ましい。
(ステップS150)
次に、有機発光層260上に、第2の電極270が形成される。
第2の電極260の形成方法は、特に限られず、例えば、蒸着法、スパッタ法、気相成膜法等を使用しても良い。
以上の工程により、図2および図4に示したような有機LED素子200、200'が製造される。
前述のように、本発明の第1の製造方法は、従来の被覆層130を形成するステップを有さない。このため、本発明の第1の製造方法では、処理プロセスを簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
(本発明の一実施例による有機LED素子の別の製造方法)
次に、図5および図6を参照して、本発明の一実施例による有機LED素子の別の製造方法(第2の製造方法)について説明する。
図5には、本発明の第2の製造方法によって製造される有機LED素子(第2の有機LED素子)の構成の一例を、概略的に示す。
図5に示すように、本発明の第2の製造方法によって製造される第2の有機LED素子300は、透明基板310と、散乱層320と、金属補助配線350と、エッジカバー層355と、第1の電極340と、有機発光層360と、第2の電極(陰極)370とを有する。
第2の有機LED素子300は、基本的に図2に示した有機LED素子200と同様の構成を有する。ただし、図5に示すように、第2の有機LED素子300は、第1の電極340が、金属補助配線350およびエッジカバー層355を覆うように形成されている点が、図2に示した有機LED素子200とは異なっている。
なお、第2の有機LED素子300を構成する各部材の役割は、前述の図2を参照して示した有機LED素子200の各部材と同様である。従って、ここでは、各部材に関する詳しい説明は、省略する。ただし、図5に示す第2の有機LED素子300においても、第2の有機LED素子300は、散乱層320の上部に、従来の被覆層130を有さないことに留意する必要がある。
次に、図6を参照して、図5に示したような第2の有機LED素子300を製造する際の製造方法(第2の製造方法)について説明する。
図6には、第2の製造方法の概略的なフロー図を示す。
図6に示すように、第2の製造方法は、
透明基板上に散乱層を形成するステップ(ステップS210)と、
前記散乱層の上に、金属補助配線を形成するステップ(ステップS220)と、
前記金属補助配線のエッジ部に、エッジカバー層を形成するステップ(ステップS230)と、
前記金属補助配線および前記エッジカバー層の上に、第1の透明電極のパターンを形成するステップであって、前記第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるステップ(ステップS240)と、
前記第1の透明電極のパターンの上に、有機発光層を形成するステップ(ステップS250)と、
前記有機発光層の上に、第2の電極を形成するステップ(ステップS260)と、
を有する。
以下、各工程について説明する。
(ステップS210)
本ステップS210は、前述の第1の製造方法におけるステップS110と実質的に同様であり、ここでは、これ以上説明しない。
(ステップS220)
ステップS210の後、散乱層320の上に、金属補助配線350が形成される。
金属補助配線350の形成方法は、特に限られない。例えば、金属補助配線350は、従来から一般的に実施されている各種方法(例えばスパッタ法等)により、散乱層320の上に成膜しても良い。
なお、金属補助配線350は、一般に、弱酸溶液など、強酸を含まないようなエッチング液を用いてエッチング処理することができる。一般的な散乱層320は、このような強酸を含まないエッチング液に対して、良好な耐性を有する。このため、金属補助配線350は、エッチング処理工程を含むような処理方法で成膜しても良い。
ただし、別の目的で、金属補助配線350は、マスク成膜法または印刷法により形成されても良い。
すなわち、マスク成膜法では、形成される金属補助配線350の端部は、鋭いエッジを有さず、比較的滑らかな形状となる傾向になる。同様に、印刷法で成膜される金属補助配線350は、比較的端部が滑らかな形状となる。従って、金属補助配線350をマスク成膜法または印刷法により形成した場合、以降のエッジカバー層を形成するステップ(ステップS230)を省略することが可能となる。
図7には、そのような滑らかな端部を有する金属補助配線350'を有する有機LED素子300'の一例を示す。図7に示した有機LED素子300'では、図5に示したエッジカバー層355が省略されていることに留意する必要がある。
金属補助配線350は、散乱層320上に、いかなるパターンで構成されても良い。ただし、金属補助配線350を1次元または2次元のグリッドパターンで形成した場合、グリッドの間隔(ピッチ)を調整することにより、金属補助配線350のシート抵抗を、比較的容易に制御することが可能となる。
ここで、金属補助配線350を1次元または2次元のグリッドパターンで形成する場合、金属補助配線350のシート抵抗は、全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下、好ましくは0.05Ω/□以下となるようにグリッドを配置することが好ましい。金属補助配線350のシート抵抗を全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下とした場合、陽極側の抵抗が十分に低くなるため、第1の電極340の抵抗は、第2の有機LED素子300全体の特性にあまり寄与しなくなる。
従って、この場合、以降のステップS240において形成される、第1の電極340の厚さを薄くすることが可能となり、第1の透明電極340の透過性を高めることが可能となる。
金属補助配線350を構成する材料は、特に限られず、金属補助配線350は、例えば、銅(銅合金を含む)および/または銀(銀合金を含む)で構成されても良い。
金属補助配線350の厚さは、特に限られない。金属補助配線350の厚さは、
例えば、100nm〜10μmであっても良い。
(ステップS230)
次に、必要な場合、金属補助配線350の端部に、エッジカバー層355が形成される。
なお、前述のように、ステップS220で形成された金属補助配線の端部が滑らかな形状を有する場合(例えば、図4における金属補助配線350'参照)、本ステップは、省略しても良い。
エッジカバー層255を形成する場合、その形成方法は、特に限られない。例えば、エッジカバー層255は、従来から実施されている典型的な方法(例えば感光性樹脂層の形成プロセス等)を用いて、形成しても良い。
なお、エッジカバー層355は、一般に、弱酸溶液など、強酸を含まないようなエッチング液を用いてエッチング処理することができる。一般的な散乱層320は、このような強酸を含まないエッチング液に対して、良好な耐性を有する。このため、エッジカバー層355は、エッチング処理工程を含むような処理方法で成膜しても良い。なおエッジカバー層255は、ステップS240で形成される第1の透明電極340と電気的に接触させる必要があり、金属補助配線上に開口部を有する。
(ステップS240)
次に、金属補助配線350、および存在する場合、エッジカバー層355の上に、第1の透明電極340のパターンが形成される。
前述の第1の製造方法におけるステップS120と同様、このステップS240は、マスク成膜法または印刷法により実施されるという特徴を有する。
これにより、エッチング処理工程を経ずに、第1の透明電極340を、所望の態様でパターン化することができる。
従って、従来、散乱層320を第1の透明電極340のエッチング液から保護するために実施されていた、被覆層130を形成するステップを省略することができる。また、これにより、本発明の第2の製造方法では、処理プロセスを簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
マスク成膜法により形成される第1の透明電極340の材質は、これに限られるものではないが、例えば、ITO、IZO、AZO、GZO、SnO、ZnO、NbドープTiO、およびTaドープTiOなどであっても良い。
また、印刷法により形成される第1の透明電極340の材質は、これに限られるものではないが、例えば、有機導電性材料であっても良い。
第1の透明電極340の厚さは、特に限られないが、例えば5nm〜10μmの範囲である。
なお、本発明による第2の製造方法においても、第1の製造方法の場合と同様、金属補助配線350のパターンを適切に設計することにより、従来よりも薄い厚さの第1の透明電極340を使用することができる。また、これにより、第1の透明電極340の透過性を高めることができる。例えば、450nm〜650nmの波長範囲における第1の透明電極340の内部透過率は、96%以上、例えば97%以上または98%以上であっても良い。
ここで、第1の透明電極340のパターンの成膜は、以降のステップS250において、有機発光層360のうちの少なくとも最初の層の成膜が実施される装置と同じ装置内で実施されることが好ましい。この場合、第1の透明電極340のパターンの成膜から、有機発光層360の少なくとも最初の層の成膜までを連続的に実施することが可能となり、製造時間を短縮することができる。
特に、第1の透明電極340のパターンの成膜から、有機発光層360の全ての層の成膜までを、同一の装置内で実施することが好ましい。
その後のステップS250〜ステップS260は、それぞれ、前述の第1の製造方法におけるステップS250およびステップS260と実質的に同様であり、ここでは、これ以上説明しない。
以上の工程により、図5および図7に示したような有機LED素子300、300'が製造される。
(有機LED素子について)
次に、再度図2を参照して、本発明の一実施例による有機LED素子200を構成する各部材について説明する。なお、以下に示す記載は、図2以外の構成を有する有機LED素子、例えば有機LED素子200'、300、および300'にも、同様に適用できることは、当業者には明らかである。また第1の透明電極340は、有機材料などを用いて印刷で形成する場合には、膜厚を厚くすることにより、下部にある金属補助配線350の段差形状を平坦化できる。これによって、第1の透明電極340と第2の電極270との間の短絡を防止することが可能となる。
(透明基板210)
透明基板210は、可視光に対する内部透過率が高い材料で構成される。透明基板210は、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板であっても良い。
ガラス基板の材料としては、アルカリガラス、無アルカリガラスまたは石英ガラスなどの無機ガラスが挙げられる。また、プラスチック基板の材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールならびにポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーが挙げられる。
透明基板210の厚さは、特に限られないが、例えば、0.1mm〜2.0mmの範囲であっても良い。強度および重量を考慮すると、透明基板210の厚さは、0.5mm〜1.4mmであることが好ましい。
(散乱層220)
散乱層220は、ベース材221と、該ベース材221中に分散された複数の散乱物質224とを有する。ベース材221は、第1の屈折率を有し、散乱物質224は、ベース材とは異なる第2の屈折率を有する。
散乱層220中の散乱物質224の存在量は、散乱層220の内部から外側に向かって小さくなっていることが好ましく、この場合、高効率の光取り出しを実現することができる。
ベース材221は、ガラスで構成され、ガラスの材料としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、および石英ガラスなどの無機ガラスが使用される。
散乱物質224は、例えば、気泡、析出結晶、ベース材とは異なる材料粒子、分相ガラス等で構成される。分相ガラスとは、2種類以上のガラス相により構成されるガラスをいう。
ベース材221の屈折率と散乱物質224の屈折率の差は、大きい方が良く、このためには、ベース材221として高屈折率ガラスを使用し、散乱物質224として気泡を使用することが好ましい。
ベース材221用の高屈折率のガラスのため、ネットワークフォーマとして、P、SiO、B、GeO、およびTeOのうちの一種類または二種類以上の成分を選定し、高屈折率成分として、TiO、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO、ZnO、BaO、PbO、およびSbのうちの一種類または二種類以上の成分を選定しても良い。さらに、ガラスの特性を調整するため、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、フッ化物などを、屈折率に影響を及ぼさない範囲で、添加しても良い。
従って、ベース材221を構成するガラス系としては、例えば、B−ZnO−La系、P−B−R'O−R"O−TiO−Nb−WO−Bi系、TeO−ZnO系、B−Bi系、SiO−Bi系、SiO−ZnO系、B−ZnO系、P−ZnO系などが挙げられる。ここで、R'はアルカリ金属元素、R"はアルカリ土類金属元素を示す。なお、以上の材料系は、一例に過ぎず、上記条件を満たすような構成であれば、使用材料は、特に限られない。
ベース材221に、着色剤を添加することにより、発光の色味を変化させることもできる。着色剤としては、遷移金属酸化物、希土類金属酸化物、および金属コロイドなどを、単独でまたは組み合わせて使うことができる。
(第1の電極240)
第1の電極240には、有機発光層260で生じた光を外部に取り出すため、80%以上の透光性が要求される。また、多くの正孔を注入するため、仕事関数が高いことが要求される。
第1の電極240には、例えば、ITO、IZO、AZO、GZO、SnO、ZnO、NbドープTiO、およびTaドープTiOなどの材料が用いられる。
第1の電極240の屈折率は、1.75〜2.2の範囲である。例えば、第1の電極240としてITOを使用した場合、キャリア濃度を増加させることにより、第1の電極240の屈折率を低下させることができる。市販のITOでは、SnOが10wt%含まれるものが標準となっているが、Sn濃度をさらに増加させることにより、ITOの屈折率を下げることができる。ただし、Sn濃度の増加により、キャリア濃度は増加するが、移動度および内部透過率は、低下する。従って、全体のバランスを考慮して、Sn量を決める必要がある。
また、第1の電極240の屈折率は、散乱層220を構成するベース材221の屈折率や第2の電極270の屈折率を考慮して、決定することが好ましい。導波路計算や第2の電極270の反射率等を考慮すると、第1の電極240とベース材221の屈折率の差は、0.2以下であることが好ましい。
従来の有機LED素子の構成では、例えば10cm□の発光領域を3000cd/m以上の輝度で均一に発光させるとき、第1の電極240の厚さを100nmよりも薄くすることは難しい。これは、第1の電極240の厚さを薄くすると、有機LED素子の特性に影響を及ぼすほど、抵抗が上昇してしまうためである。
しかしながら、本発明の一実施例による有機LED素子200の場合、前述のように、第1の電極240の厚さは、金属補助配線250のパターンを調整することにより、薄くすることができる。
第1の電極240の厚さは、5nm〜10μmの範囲であっても良い。これにより、第1の電極240の内部透過率を高めることが可能になる。第1の電極240の内部透過率は、例えば、450nm〜650nmの波長範囲において、96%以上、例えば97%以上または98%以上であっても良い。
(金属補助配線250)
前述のように、金属補助配線250は、第1の電極240上に、1次元または2次元のグリッドパターンで形成されても良い。
また、金属補助配線250は、全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下のシート抵抗を有しても良い。金属補助配線250のシート抵抗は、0.05Ω/□以下であり、0.03Ω/□以下であることが好ましい。
金属補助配線250のシート抵抗を全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下とした場合、第1の電極240の抵抗は、有機LED素子200全体の特性にあまり寄与しなくなる。従って、この場合、前述のように、第1の電極240の厚さを薄くすることが可能となり、第1の透明電極240の透過性を高めることが可能となる。
(有機発光層260)
有機発光層260は、発光機能を有する層であり、通常の場合、ホール注入層と、ホール輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層とにより構成される。ただし、有機発光層260は、発光層を有していれば、必ずしも他の層の全てを有する必要はないことは、当業者には明らかである。なお、通常の場合、有機発光層260の屈折率は、1.7〜1.8の範囲である。
ホール注入層は、第1の電極240からのホール注入の障壁を低くするため、イオン化ポテンシャルの差が小さいものが好ましい。電極からホール注入層への電荷の注入効率が高まると、有機LED素子100の駆動電圧が下がり、電荷の注入効率が高まる。
ホール注入層の材料としては、高分子材料または低分子材料が使用される。高分子材料の中では、ポリスチレンスルフォン酸(PSS)がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT:PSS)が良く使用され、低分子材料の中では、フタロシアニン系の銅フタロシアニン(CuPc)が広く用いられる。
ホール輸送層は、前述のホール注入層から注入されたホールを発光層に輸送する役割をする。ホール輸送層には、例えば、トリフェニルアミン誘導体、N,N'−ビス(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(NPD)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス[N−フェニル−N−(2−ナフチル)−4'−アミノビフェニル−4−イル] −1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(NPTE)、1,1'−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(HTM2)、およびN,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−1,1'−ジフェニル−4,4'−ジアミン(TPD)などが用いられる。
ホール輸送層の厚さは、例えば10nm〜150nmの範囲である。ホール輸送層の厚さが薄いほど、有機LED素子を低電圧化できるが、電極間短絡の問題から、通常は、10nm〜150nmの範囲である。
発光層は、注入された電子とホールが再結合する場を提供する役割を有する。有機発光材料としては、低分子系または高分子系のものが使用される。
発光層には、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体(Alq3)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウムフェノキサイド(Alq'2OPh)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウム−2,5−ジメチルフェノキサイド(BAlq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体(Liq)、モノ(8−キノリノラート)ナトリウム錯体(Naq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ナトリウム錯体およびビス(8−キノリノラート)カルシウム錯体(Caq2)などのキノリン誘導体の金属錯体、テトラフェニルブタジエン、フェニルキナクドリン(QD)、アントラセン、ペリレン、並びにコロネンなどの蛍光性物質が挙げられる。
ホスト材料としては、キノリノラート錯体を使用しても良く、特に、8−キノリノールおよびその誘導体を配位子としたアルミニウム錯体が使用されても良い。
電子輸送層は、電極から注入された電子を輸送する役割をする。電子輸送層には、例えば、キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)、オキサジアゾール誘導体(例えば、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(END)、および2−(4−t−ブチルフェニル) −5−(4−ビフェニル))−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)など)、トリアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、およびシロール誘導体などが用いられる。
電子注入層は、例えば、第2の電極270との界面に、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属をドープした層を設けることにより構成される。
(第2の電極270)
第2の電極270には、仕事関数の小さな金属またはその合金が用いられる。第2の電極270は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および周期表第3属の金属などであっても良い。第2の電極270には、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、またはこれらの合金などが用いられる。
また、アルミニウム(Al)、マグネシウム銀(MgAg)の共蒸着膜、フッ化リチウム(LiF)または酸化リチウム(LiO)の薄膜上に、アルミニウム(Al)を蒸着した積層電極が用いられても良い。さらに、カルシウム(Ca)またはバリウム(Ba)と、アルミニウム(Al)との積層膜が用いられても良い。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明した。ただし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、変更したり、変形したり、および/または組み合わせたりすることができる。
100 従来の有機LED素子
110 ガラス基板
120 散乱層
121 ベース材
124 散乱物質
130 被覆層
140 第1の電極(陽極)
150 金属補助配線
160 有機発光層
170 第2の電極
190 光取り出し面
200、200' 有機LED素子
210 透明基板
220 散乱層
221 ベース材
224 散乱物質
240 第1の電極(陽極)
250 金属補助配線
250' 金属補助配線
255 エッジカバー層
260 有機発光層
270 第2の電極
290 光取り出し面
300、300' 有機LED素子
310 透明基板
320 散乱層
321 ベース材
324 散乱物質
340 第1の電極(陽極)
350 金属補助配線
350' 金属補助配線
355 エッジカバー層
360 有機発光層
370 第2の電極
390 光取り出し面

Claims (9)

  1. 少なくとも、透明基板、散乱層、第1の透明電極、および該第1の透明電極と接する金属補助配線を有する有機LED素子の製造方法であって、
    (a)透明基板上に散乱層を形成するステップであって、
    前記散乱層は、ガラスからなるベース材と、該ベース材中に分散された複数の散乱物質とを有するステップと、
    (b)第1の透明電極のパターンを形成するステップであって、前記第1の透明電極のパターンは、マスク成膜法または印刷法により形成されるステップと、
    (c)金属補助配線を形成するステップと、
    を有し、
    前記(b)および(c)のステップは、(b)から(c)の順、または(c)から(b)の順に実施されることを特徴とする製造方法。
  2. 前記第1の透明電極は、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウムドープ亜鉛酸化物)、GZO(ガリウムドープ亜鉛酸化物)、SnO、ZnO、NbドープTiO、TaドープTiO、および有機導電性材料からなる群から選定された少なくとも一つを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. さらに、
    (d)有機発光層を形成するステップ
    を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記(b)のステップは、前記(c)のステップの後に実施され、
    前記(b)のステップの後、前記有機発光層のうちの少なくとも最初の層の成膜が、第1の透明電極のパターンを形成する装置と同じ装置内で、連続的に実施される、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記(c)のステップは、前記(b)のステップの後に実施され、
    前記(c)のステップの後、前記有機発光層のうちの少なくとも最初の層の成膜が、金属補助配線のパターンを形成する装置と同じ装置内で、連続的に実施される、請求項3に記載の製造方法。
  6. 前記(c)のステップは、マスク成膜法または印刷法により実施される、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の製造方法。
  7. 前記(c)のステップの後、前記金属補助配線のエッジ部に、エッジカバー層を形成するステップを有する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の製造方法。
  8. さらに、
    (e)前記有機発光層の上に、第2の電極を形成するステップ
    を有する、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の製造方法。
  9. 少なくとも、透明基板、散乱層、第1の透明電極、および該第1の透明電極と接する金属補助配線を有する有機LED素子であって、
    前記散乱層は、ガラスからなるベース材と、該ベース材中に分散された複数の散乱物質とを有し、
    前記金属補助配線は、全面ベタで形成した場合に0.1Ω/□以下のシート抵抗を有し、
    前記第1の透明電極は、450nmから650nmにおける内部透過率が96%以上であることを特徴とする有機LED素子。
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