JP2014120287A - リチウム電池の負極材料、その製造方法、電極、及び電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属粒子が炭素材料に埋め込まれた構造を有し、金属粒子がリチウムイオンを吸蔵及び放出できる金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M1(スズなど)とリチウムイオンを吸蔵及び放出しない金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M2(コバルトなど)を含み、かつ5〜50質量%の炭素と3〜25質量%の酸素と0.1〜3質量%の窒素を含み、元素M2が元素M1と合金を形成しているリチウム二次電池の負極材料、及びその製造方法。
【選択図】なし
Description
携帯機器の小型軽量化及び高機能化に伴い、リチウム二次電池の高容量化が求められている。そのため、これまでのリチウム二次電池の負極材に使用されてきた黒鉛の理論電気容量である372mAh/gを超える材料が検討されている。黒鉛に代わる材料として、より高容量を示すケイ素、スズ、アルミニウム、タングステン材料等のリチウムイオンの吸蔵及び放出できる金属を用いた合金系の負極材料が報告されている。
しかしながら、これらの提案を実施しても、合金系の負極材料のサイクル特性を実用レベルにするには難しいのが実状である。
[1]金属粒子が炭素材料に埋め込まれた構造を有し、金属粒子がリチウムイオンを吸蔵及び放出できる金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M1とリチウムイオンを吸蔵及び放出しない金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M2とを含み、元素M2が元素M1と合金を形成しているリチウム二次電池の負極材料。
[2]前記負極材料の比表面積が30〜350m2/gである前項1に記載の負極材料。
[3]元素M1が、アルミニウム、ケイ素、及びスズからなる群から選択される少なくとも1種である前項1または2に記載の負極材料。
[4]元素M2が、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト、モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、ランタン、マグネシウム、セリウムのからなる群から選択される少なくとも1種である前項1〜3のいずれかに記載の負極材料。
[5]元素M1がスズであり、元素M2がコバルトである前項1〜4のいずれかに記載の負極材料。
[6]前記負極材料が、5〜50質量%の炭素を含むである前項1〜5のいずれかに記載の負極材料。
[7]前記負極材料が、3〜25質量%の酸素を含む前項1〜6のいずれかに記載の負極材料。
[8]前記負極材料が、0.1〜3質量%の窒素を含む前項1〜7のいずれかに記載の負極材料。
[9]前項1〜8のいずれかに記載の負極材料を有するリチウムイオン電池用の電極。
[10]前項9記載の電極を有するリチウムイオン二次電池。
[11]前項10記載のリチウムイオン二次電池を有する組電池。
[12]前項1〜8のいずれかに記載の負極材料の製造方法であって、少なくとも元素M1を含む化合物(1)と、少なくとも元素M2を含む化合物(3)と、窒素含有有機化合物(2)とを混合して負極材料前駆体溶液を得る工程1、前記負極材料前駆体溶液から溶液を分離して固形分残渣を得る工程2、及び前記固形分残渣を500〜1300℃の温度で熱処理して負極材料を得る工程3を含む負極材料の製造方法。
[13]前記工程1で、化合物(1)と化合物(3)と窒素含有有機化合物(2)とを溶媒に添加し混合して溶解して負極材料前駆体溶液を得る前項12に記載の負極材料の製造方法。
[14]前記工程1で、化合物(1)、化合物(3)及び窒素含有有機化合物(2)をそれぞれ溶媒に溶解して溶液を得、それら溶液を混合して負極材料前駆体溶液を得る前項12に記載の負極材料の製造方法。
[15]前記化合物(1)と化合物(3)が、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属有機酸塩、金属酸ハロゲン化物、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属過ハロゲン酸塩、金属次亜ハロゲン酸塩及び金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である前項12〜14のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
[16]前記工程1で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が、さらに、酸素原子を有する前項16に記載の製造方法。
[17]前記工程1で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が、さらに、酸素原子を有する前項16に記載の負極材料の製造方法。
[18]前記工程1で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が、さらに、窒素原子を有する前項17に記載の負極材料の製造方法。
[19]前記窒素含有有機化合物(2)が、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、及びニトロソ基、ならびにピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、及びピラジン環から選ばれる1種類以上を分子中に有する前項12〜18のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
[20]前記窒素含有有機化合物(2)が、さらに、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハライド基、スルホ基、リン酸基、ケトン基、エーテル基、及びエステル基から選ばれる1種類以上を分子中に有する前項19に記載の負極材料の製造方法。
[21]さらに、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる金属から選ばれる少なくとも一種の金属粒子を前記負極材料前駆体溶液に添加する工程を有する前項12〜20のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
[22]前記工程3の熱処理が、水素ガスを1〜100体積%含む雰囲気中で行われる前項12〜21のいずれかに記載の製造方法。
本発明の負極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、体積膨張緩和の相乗効果により優れた充放電サイクル特性を示す。
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、少なくとも金属粒子が炭素材料に埋め込まれた構造を有し、金属粒子がリチウムイオンを吸蔵及び放出できる金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M1とリチウムイオンを吸蔵及び放出しない金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M2とを含み、さらに元素M2は元素M1と合金を形成していることを特徴とする。
元素M1としては、をアルミニウム、ケイ素、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム。銀、カドミウム、インジュウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマスなどが挙げられ、アルミニウム、ケイ素、及びスズが好ましく、比較的安価で、分散した金属粒子にしやすいので特にスズが好ましい。
本発明の負極材料は、炭素を含む。炭素含有量は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%)である。炭素は、リチウムイオンを吸蔵/放出できない金属がリチウム二次電池用負極材料として機能するときの導電性を付与する効果がある。炭素含有量は、多い方が導電性が得やすく、また、少ない方が電極単位質量当たりの電池容量が大きくなるので、導電性及び電池容量の両方を得ようとするならば前記範囲内であることが好ましい。
本発明の負極材料は、さらに窒素を含んでいる。窒素含有量は、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.3〜2質量%、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。
酸素原子、窒素原子が存在することから、金属酸化物、金属窒化物が生成していると推察される。金属酸化物、金属窒化物により、充放電に伴う膨張、収縮が軽減され、それに伴う応力を緩和することができる。
本発明の負極材料は、上記で述べたように、体積膨張緩和の相乗効果がある。そのため、本発明の負極材料を負極電極に用いて、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を構成することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極電極と、電解液と、セパレータと、前述のような複合材料を有する負極電極(電極)とを備えており、その形態は特に限定されないが、例えば、円筒形、角形、コイン型、あるいはシート型等の形状のものが挙げられる。
集電体としては、例えば、ニッケル箔、銅箔、ニッケルメッシュまたは銅メッシュなどが挙げられる。
負極活物質としては、本発明の複合材料のみで用いてもよいし、リチウムイオンを吸収/放出することができる他の物質を加えてもよい。リチウムイオンを吸収/放出することができる他の物質としては、炭素材料等が挙げられる。炭素材料としては、人造黒鉛、熱分解黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛などの黒鉛材料;または易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、ガラス状炭素、非晶質炭素、低温焼成炭などの結晶未発達の炭素質材料が用いられる。
リチウムイオン二次電池を構成する正極電極は、集電体と、該集電体を被覆する正極電極層とを有するものである。
また、電解液には、リチウムイオン電池の初回充電時に分解反応が起きる物質を少量添加してもよい。このような物質としては、例えば、ビニレンカーボネート、ビフェニール、プロパンスルトンなどが挙げられる。添加量としては0.01〜5質量%が好ましい。
図10には、本発明の実施形態であるリチウムイオン二次電池1の一例を示す。
本例のリチウムイオン二次電池1は、円筒型と呼ばれるもので、シート状の負極電極2(電極)と、シート状の正極電極3と、これら負極電極2と正極電極3との間に配置されたセパレータ4と、主として負極電極2、正極電極3、及びセパレータ4に含侵されている電解液と、円筒状の電池容器5と、電池容器5を封口する封口部材6とを主体として構成されている。そして、このリチウムイオン二次電池1は、負極電極2と正極電極3とセパレータ4とが重ね合わされ、これらが巻回された状態で電池容器5に収納されて構成されている。
本発明の負極材料の製造方法は、少なくとも元素M1を含む化合物(1)と、少なくとも元素M2を含む化合物(3)と、窒素含有有機化合物(2)とを混合して負極材料前駆体溶液を得る工程1、前記負極材料前駆体溶液から溶液を分離して固形分残渣を得る工程2、及び前記固形分残渣を500〜1300℃の温度で熱処理して負極材料を得る工程3を含む。
リチウムイオンを吸蔵及び放出できる少なくとも1種の金属元素M1を含む化合物(1)と少なくとも元素M2を含む化合物(3)と窒素含有有機化合物(2)を混合して負極材料前駆体溶液を得る工程である。
化合物(1)と化合物(3)と窒素含有有機化合物(2)のいずれかに酸素元素が含まれることを特徴する。
工程1においては、化合物(1)と化合物(3)と、窒素含有有機化合物(2)以外に、後述する任意の物質(4)を添加してもよい。任意の物質(4)を添加する場合は、化合物(1)と化合物(3)と、窒素含有有機化合物と任意の物質(4)の少なくとも1つが酸素原子を有してもよい。
(i)化合物(1)と窒素含有有機化合物(2)を溶媒に添加し混合して負極材料前駆体溶液を得る。
(ii)化合物(1)を溶媒に溶解した溶液と、窒素含有有機化合物(2)を溶媒に溶解した溶液とを混合して負極材料前駆体溶液を得る。
混合は、溶解速度を高めるために、撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌棒、撹拌羽根、撹拌子などを用いることができる。
溶媒を加熱して溶解、混合させてもよい。また、オートクレーブ等の加圧可能な容器で加圧して、溶解、混合を行ってもよい。
化合物(1)は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる少なくとも1種の金属元素M1を1種以上含むことを特徴とする。また、化合物(3)は、リチウムイオンを吸蔵及び放出しない金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M2を含むことを特徴とする。
化合物(1)と化合物(3)は、酸素原子及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種を有していることが好ましい。化合物(1)としては、アルコキシド、アセチルアセトン、有機酸塩、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物、リン酸塩、硫酸塩及び硝酸塩などが挙げられる。コストの面から、金属アルコキシド、アセチルアセトンがより好ましく、前記溶媒への溶解性の観点から、金属アルコキシド、アセチルアセトン錯体がさらに好ましい。アルコキシドとしては、メトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、エトキシド、ブトキシド、及びイソブトキシドなどが挙げられる。化合物(1)と化合物(3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素含有有機化合物(2)としては、前記化合物(1)中の元素M1、化合物(3)中の元素M2に配位可能であることが好ましい。窒素含有有機化合物(2)としては、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基などの官能基、またはピロール環、ポルフィリン環、ピロリジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、プリン環等の環(以下、これらの官能基及び環をまとめて「含窒素分子団」と略記することがある。)を有するものが好ましい。
含窒素分子団を分子内に有する窒素含有有機化合物(2)は、化合物(1)の元素M1と化合物(3)中の元素M2に配位して、工程1の混合において溶解性を高めると考えられる。
前記溶媒としては、例えば水、アルコール類及び酸類が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール及びエトキシエタノールが好ましく、エタノール及びメタノールがさらに好ましい。酸類としては、酢酸、硝酸(水溶液)、塩酸、リン酸水溶液及びクエン酸水溶液が好ましく、酢酸及び硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
任意の物質(4)としては、沈殿抑制剤、及び金属の粒子が挙げられる。沈殿抑制剤を添加することにより、化合物(1)と化合物(2)の沈殿を抑制して、負極前駆体溶液を得ることができる。例えば、化合物(1)と化合物(2)が、ハロゲン原子を含み、溶媒として水を使用する場合は、沈殿抑制剤として酸を添加するとよい。
工程2は、工程1で得られた前記負極前駆体溶液から溶媒を除去する工程である。
溶媒の除去は大気下で行っても、減圧下で行ってもよく、また不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)雰囲気下で行ってもよい。
溶媒の除去の際の温度は、特に制限はないが、負極前駆体を分解させないという観点から、好ましくは350℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
溶媒の除去は、工程1で得られた混合物を静置した状態で行ってもよいが、混合物を回転させながら溶媒を除去することが好ましい。例えばエバポレーターを用いることができる。
混合、解砕方法としては、例えば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機、ジェトミルを用いることができる。
工程3は、工程2で得られた固形分残渣を熱処理して負極材料を得る工程である。
熱処理の温度は、500〜1300℃であり、好ましくは500〜1100℃であり、より好ましくは600〜1050℃であり、さらに好ましくは700〜950℃である。熱処理の温度が高いと、電極材料が、焼結、粒成長する。熱処理の温度が低いと、高い活性の電極材料負極を得ることができない。
前記熱処理の方法としては、例えば、静置法、撹拌法、落下法、粉末捕捉法が挙げられる。
撹拌法とは、ロータリーキルンなどの電気炉中に前記固形分残渣を入れ、これを撹拌しながら加熱する方法である。加熱時間は、通常10分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。
粉末捕捉法とは、微量の酸素ガスを含む不活性ガス雰囲気中で、前記固形分残渣を飛沫にして浮遊させ、これを所定の加熱温度に保たれた垂直の管状炉中に捕捉して、加熱する方法である。加熱時間は、0.2秒〜1分、好ましくは0.2〜10秒である。
熱処理に用いる炉としては、管状炉、上蓋型炉、トンネル炉、箱型炉、試料台昇降式炉(エレベーター型)、台車炉などが挙げられる。
不活性ガス中に反応性ガスを含有させると、電極負材料が高い活性を発現するので好ましい。反応ガスとしては、水素ガス、アンモニアガス及び酸素ガスが挙げられる。
反応ガスは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。窒素ガスと水素ガスとの混合ガスの雰囲気で行うと、高い負極性能を有する電極負極が得られる傾向がある。
不活性ガス中に水素ガスを含有させる場合には、水素ガスの濃度は、好ましくは0.01〜10体積%、より好ましくは1〜5体積%である。
熱処理後には、熱処理物を解砕してもよい。解砕には、例えば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機またはジェトミルを用いることができる。
実施例及び比較例で得た負極材料についての各種の分析方法は以下のとおりである。
理学電機株式会社製 ロータフレックスを用いて、試料の粉末X線回折を行った。
測定条件の詳細は以下のとおりである。
X線出力(Cu−Kα):50kV、180mA、
走査軸:θ/2θ、
測定範囲(2θ):10.00°〜89.98°、
測定モード:FT、
読込幅:0.02°、
サンプリング時間:0.70秒、
DS、SS、RS:0.5°、0.5°、0.15mm、
ゴニオメーター半径:185mm。
各試料の粉末X線回折における回折線ピークの本数は、信号(S)とノイズ(N)の比(S/N)が2以上で検出できるシグナルを1つのピークとみなして数えた。
なお、ノイズ(N)は、ベースラインの幅とした。
[炭素・硫黄]
試料約0.01gを量り取り、炭素硫黄分析装置(堀場製作所製EMIA−920V)にて測定を行った。
[窒素・酸素]
試料約0.01gを量り取り、Niカプセルに試料を封入して、酸素窒素分析装置(LECO製TC600)にて測定を行った。
[金属(スズ、コバルト、バナジウム、チタン、タンタル、鉄、アルミニウム、ケイ素など]
試料約0.1gを石英ビーカーに量り取り、硫酸,硝酸及びフッ酸を用いて試料を完全に加熱分解した。冷却後、この溶液を100mlに定容し、さらに適宜希釈し、ICP−OES(SII社製VISTA−PRO)またはICP−MS(Agilent社製HP7500)を用いて定量を行った。
マウンテック株式会社製 Macsorb,M−model 1201を用いてBET比表面積を測定した。前処理時間、前処理温度は、それぞれ30分、200℃に設定した。
4.平均粒径
SEM観察により粒子径を実測し、これより数平均粒子径(本発明では「平均粒径」と略記する)を求めた。
1.負極材料の製造
ビーカーに、酢酸(和光純薬(株)製)1000ml、水1000mlを入れ、これを撹拌しながら酢酸スズ(和光純薬(株)製)11.51g(48.59mmol)、酢酸コバルト(和光純薬(株)製)8.07g(32.39mmol)を加えて、完全に溶解させた。さらにグリシン(和光純薬(株)製)24.56g(327.20mmol)を加えてから、6時間撹拌を行い、負極前駆体溶液を得た。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記負極前駆体溶液を加熱かつ撹拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形物残渣を自動乳鉢ですり潰して、35.51gの焼成用粉末(1)を得た。
7.2gの焼成用粉末(1)を、ロータリーキルン炉に水素ガスを4体積%含む窒素ガス(すなわち、水素ガス:窒素ガス=4体積%:96体積%の混合ガス)を20ml/分の速度で流しながら、昇温速度10℃/分で、950℃で1.5時間焼成し、自然冷却することにより、粉末状の負極材料(1)2.13gを得た。
負極材料(1)を構成する各元素の割合(原子数の比)及び負極材料(1)のBET比表面積を表1に示し、負極材料(1)のSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)写真(×100000)を図2(A)に示す。金属粒子が炭素材料に埋め込まれた構造をしており、金属粒子径は0.1μm(100nm)以下であることがわかる。また図2(B)に負極材量(1)のSEM写真(×5000)を示した。図2(B)の写真の視野について、EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometry;エネルギー分散型X線分析)による元素分析を行った図2(C)〜(F)(C kα線の分布を示す写真(C)、O kα線の分布を示す写真(D)、Co kα線の分布を示す写真(E)、Sn Lα線の分布を示す写真(F))に各元素の分布を示す。これらの写真から負極材料(1)はスズ粒子を含み(図2(F))、またコバルトを含むことがわかる(図2(E))。
(リチウムイオン電池の作製)
次に、前述の方法で作製した実施例1係る複合材料(負極材料(1))を用いて、電池の負極を作製した。まず、複合材料60質量部、結合剤30質量部、及び導電助剤10質量部に、適量のN−メチル−2−ピロリドンを加え、撹拌混合し、負極用ペーストを調製した。結合剤には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、導電助剤には、カーボンブラックを使用した。次に、ドクターブレード法により、厚さ20μmの銅箔上に、負極用ペーストを、約100μmの厚さで塗布し、これを80℃で一晩真空乾燥した。これにより、負極電極層が形成された。なお、負極電極層は、ハンドプレスにより、直径15mmの円柱状に切り出して使用した。一方、厚さ0.5mmのリチウム箔を、直径15mmの円柱状に切り出して正極を形成した。
セパレータ部材として、厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンからなるフィルムを準備した。また、エチレンカーボネート30体積%と、メチルエチルカーボネート70体積%とを混合して得られた混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3の濃度で溶解し、非水電解液を調製した。
これらの負極電極層、非水電解液、正極、及びセパレータを用いて、2032型コインセル(直径20mm、厚み3.2mm)形状のリチウムイオン電池(以下、「実施例1に係る電池」と略記する。)を作製した。
[充放電試験]
次に、作製した各リチウムイオン電池を用いて、25℃で充放電試験を行った。
充放電試験は、電池電位をレストポテンシャルから20mVまで、定電流で充電した後、定電流で、1.5Vまで放電することにより実施した。
電流値は、充放電の際に負極(複合材料)に対し1Cになるように設定した(ただし、1Cとは公称容量値の容量を有するセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値である。)。なお、複合材料の理論容量は、スズの理論容量(994mAh/g)とし、元素分析のスズ含有量46.4%から、461mAh/gと算出される。
この操作を1サイクルとして、合計25サイクルの充放電処理を実施した。
また、電池の1サイクル目の放電容量(初期放電容量)と、25サイクル目の放電容量から、次式により、各電池のサイクル特性を求めた。結果を表1に示す。
1.負極材料の製造
焼成用粉末を4.8g使用し、1100℃で焼成したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、粉末状の負極材料(2)1.46gを得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は35.51gであった。負極材料(2)の粉末X線回折スペクトルを図3に示す。35.55°付近は、Sn−Co合金を示している。負極材料(2)を構成する各元素の割合(原子数の比)及び負極材料(2)のBET比表面積を表1に示す。また、負極材料(2)のSEM観察では、金属粒子の粒径が1μmを超えるものはほとんどなかったことから、その平均粒径は1μm以下である。
実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
3.リチウム電池の評価
実施例1と同様にして、充放電試験を行った。結果を表1の「サイクル特性」の欄に示す。
1.負極材料の製造
ビーカーに、酢酸(和光純薬(株)製)1000ml、水1000mlを入れ、これを撹拌しながら酢酸スズ(和光純薬(株)製)11.51g(48.59mmol)、酢酸コバルト(和光純薬(株)製)8.07g(32.39mmol)を加えて、完全に溶解させた。さらに酢酸鉄(アルドリッチ(株)製)1.42g(8.18mmol)、グリシン(和光純薬(株)製)24.56g(327.20mmol)を加えてから、6時間撹拌を行い、負極前駆体溶液を得た。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記負極前駆体溶液を加熱かつ撹拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形物残渣を自動乳鉢ですり潰して、36.02gの焼成用粉末(1)を得た。
7.2gの焼成用粉末(3)を、ロータリーキルン炉に水素ガスを4体積%含む窒素ガス(すなわち、水素ガス:窒素ガス=4体積%:96体積%の混合ガス)を20ml/分の速度で流しながら、昇温速度10℃/分で、950℃で1.5時間焼成し、自然冷却することにより、粉末状の負極材料(3)2.11gを得た。
負極材料(3)の粉末X線回折スペクトルを図4に示す。35.55°付近は、Sn−Co合金を示している。
負極材料(3)を構成する各元素の割合(原子数の比)及び負極材料(3)のBET比表面積を表1に示す。また、負極材料(3)のSEM観察では、金属粒子の粒径が1μmを超えるものはほとんどなかったことから、その平均粒径は1μm以下である。
実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
3.リチウム電池の評価
実施例1と同様にして、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
1.負極材料の製造
酢酸コバルトの代わりに硝酸コバルト(和光純薬(株)製)2.38g(8.18mmol)を加え、また4.8gの焼成用粉末(4)にした以外は実施例1と同様の操作を行い、粉末状の負極材料(4)1.39gを得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は12.87gであった。
負極材料(4)の粉末X線回折スペクトルを図5に示す。35.55°は、Sn−Co合金を示している。負極材料(4)を構成する各元素の割合(原子数の比)及び負極材料(4)のBET比表面積を表1に示す。また、負極材料(4)のSEM観察では、金属粒子の粒径が1μmを超えるものはほとんどなかったことから、その平均粒径は1μm以下である。
実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
3.リチウム電池の評価
実施例1と同様にして、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
1.負極材料の製造
実施例1の焼成用粉末7.20gにSi微粉末(アルドリッチ(株)製)600mgを自動乳鉢で30分間混練させ、焼成用粉末にこの混練粉末を3.60g用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、粉末状の負極材料(5)1.36gを得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は7.78gであった。また、負極材料(5)のSEM観察では、金属粒子の粒径が1μmを超えるものはほとんどなかったことから、その平均粒径は1μm以下である。
負極材料(5)の粉末X線回折スペクトルを図6に示す。28.43°、47.32°は、Siを示し、35.55°は、Sn−Co合金を示している。
負極材料(5)を構成する各元素の割合(原子数の比)及び負極材料(5)のBET比表面積を表1に示す。図7(A)に負極材量(5)のSEM写真(A)(×5000)、及びEDXによるSi kα線の分布を示す写真(B)、Sn Lα線の分布を示す写真(C)を示す。
実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
3.リチウム電池の評価
実施例1と同様にして、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
1.負極材料の製造
Co粉((株)高純度化学研究所製;5μmパスの篩分品)660mg、Sn粉((株)高純度化学研究所製;38μmパスの篩分品)1124mg、Fe粉(ジョンソンマッセイ(株)製;5μmパスの篩分品)16mg、カーボン(ライオン(株)製)200mgをアルゴン雰囲気下で遊星ボールミル((株)フリッチュ製PL7 ステンレス製8mmボール使用、310rpm、10分稼働、10分停止の繰り返しで、30時間)、粉砕混合して、1602mgの粉末状の負極材料(c1)を得た。
負極材料(c1)の粉末X線回折スペクトルを図8に示す。
負極材料(c1)を構成する各元素の割合(質量の比)及び負極材料(c1)のBET比表面積を表1に示す。
実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
3.リチウム電池の評価
実施例1と同様にして、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
1.負極材料の製造
ビーカーに、酢酸700ml、水700mlを入れ、これを撹拌しながら酢酸スズ5.75g(24.30mmol)、酢酸コバルト4.04g(16.20mmol)を加えて、完全に溶解する。コハク酸19.32g(163.60mmol)を加えてから、6時間撹拌を行い、負極前駆体溶液を得た。この負極前駆体溶液を用いたこと、また6.0gの焼成用粉末(c2)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、粉末状の負極材料(c2)1.63gを得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末(c2)の質量は22.05gであった。負極材料(c2)の粉末X線回折スペクトルを図9に示す。負極材料(c2)を構成する各元素の割合(質量の比)及び負極材料(c2)のBET比表面積を表1に示す。
実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
3.リチウム電池の評価
実施例1と同様にして、充放電試験を行った。結果を表1に示す。
2 シート状の負極電極
3 正極電極
4 セパレータ
5 電池容器
6 封口部材
Claims (22)
- 金属粒子が炭素材料に埋め込まれた構造を有し、金属粒子がリチウムイオンを吸蔵及び放出できる金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M1とリチウムイオンを吸蔵及び放出しない金属の元素から選ばれる少なくとも1種の元素M2とを含み、元素M2が元素M1と合金を形成しているリチウム二次電池の負極材料。
- 前記負極材料の比表面積が30〜350m2/gである請求項1に記載の負極材料。
- 元素M1が、アルミニウム、ケイ素及びスズからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の負極材料。
- 元素M2が、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト、モリブデン、タングステン、バナジウム、タンタル、ランタン、マグネシウム、セリウムのからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の負極材料。
- 元素M1がスズであり、元素M2がコバルトである請求項1〜4のいずれかに記載の負極材料。
- 前記負極材料が、5〜50質量%の炭素を含むである請求項1〜5のいずれかに記載の負極材料。
- 前記負極材料が、3〜25質量%の酸素を含む請求項1〜6のいずれかに記載の負極材料。
- 前記負極材料が、0.1〜3質量%の窒素を含む請求項1〜7のいずれかに記載の負極材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の負極材料を有するリチウムイオン電池用の電極。
- 請求項9記載の電極を有するリチウムイオン二次電池。
- 請求項10記載のリチウムイオン二次電池を有する組電池。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の負極材料の製造方法であって、少なくとも元素M1を含む化合物(1)と、少なくとも元素M2を含む化合物(3と、窒素含有有機化合物(2)とを混合して負極材料前駆体溶液を得る工程1、前記負極材料前駆体溶液から溶液を分離して固形分残渣を得る工程2、及び前記固形分残渣を500〜1300℃の温度で熱処理して負極材料を得る工程3を含む負極材料の製造方法。
- 前記工程1で、化合物(1)と化合物(3)と窒素含有有機化合物(2)とを溶媒に添加し混合し溶解して負極材料前駆体溶液を得る請求項12に記載の負極材料の製造方法。
- 前記工程1で、化合物(1)、化合物(3)及び窒素含有有機化合物(2)をそれぞれ溶媒に溶解して溶液を得、それら溶液を混合して負極材料前駆体溶液を得る請求項12に記載の負極材料の製造方法。
- 前記化合物(1)と化合物(3)が、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属有機酸塩、金属酸ハロゲン化物、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属過ハロゲン酸塩、金属次亜ハロゲン酸塩及び金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項12〜14のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
- 前記工程1で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が、さらに、酸素原子を有する請求項16に記載の製造方法。
- 前記工程1で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が、さらに、酸素原子を有する請求項16に記載の負極材料の製造方法。
- 前記工程1で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が、さらに、窒素原子を有する請求項17に記載の負極材料の製造方法。
- 前記窒素含有有機化合物(2)が、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、及びニトロソ基、ならびにピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、及びピラジン環から選ばれる1種類以上を分子中に有する請求項12〜18のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
- 前記窒素含有有機化合物(2)が、さらに、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハライド基、スルホ基、リン酸基、ケトン基、エーテル基、及びエステル基から選ばれる1種類以上を分子中に有する請求項19に記載の負極材料の製造方法。
- さらに、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる金属から選ばれる少なくとも一種の金属粒子を前記負極材料前駆体溶液に添加する工程を有する請求項12〜20のいずれかに記載の負極材料の製造方法。
- 前記工程3の熱処理が、水素ガスを1〜100体積%含む雰囲気中で行われる請求項12〜21のいずれかに記載の製造方法。
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