JP2014119479A - 画像形成装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触方式で現像を行う画像形成装置において、低融点トナーによる感光体へのトナー固着を防止し、耐久性に優れるとともに、低コスト、かつ省エネルギーを実現可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像を担持する像担持体2と、像担持体2の表面を露光して潜像を形成する露光手段6と、像担持体2に接触し、印加された交流電圧により表面を帯電させる帯電手段3と、像担持体2上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有する現像剤を供給し、非接触で現像する現像手段4と、像担持体2の表面に接触するブレード状の部材を有し、不要な現像剤を除去するクリーニング手段5と、からなる作像手段、及び帯電手段3の電圧を制御する電圧制御手段を少なくとも備え、前記電圧制御手段は、帯電手段3の交流電圧の周波数を、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御する画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関する。
従来より、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、像担持体に形成された静電潜像を現像するのに様々な現像装置が使用されている。現像装置としては、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像方式の現像装置の他に、キャリアを含まない現像剤を用いる一成分現像方式の現像装置が知られており、後者は比較的簡易な構成で安価な現像装置である。
一成分現像方式の現像装置としては、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を、静電潜像が形成された像担持体の表面に接触させて現像を行なう接触式の現像装置の他に、現像剤担持体と像担持体とを接触させないで空間を介して対向するように設け、現像剤担持体に交番電圧を印加して像担持体との間に交番電界を作用させ、現像剤担持体表面に保持された現像剤を、静電潜像が形成された像担持体に供給して現像を行なう非接触式の現像装置が知られている。
現像剤担持体としては、一般的に、ゴム等で弾性層を形成したものや、金属の表面をブラスト処理して粗さを付与したようなローラが用いられる。しかし、このようなローラを用いた場合、現像剤担持体とトナー層の厚みを規制する規制部材との間の圧力がトナーに直接かかるため、トナーが劣化しやすくなり、早くから現像性の低下が発生してしまう。また、劣化したトナーがトナー層規制手段に固着してしまい、画像にノイズが生じたりするという問題があった。
この問題に対し、トナー層規制手段のトナーへ圧力をかけることなくトナー薄層を形成し、耐久性を向上させることが可能な現像装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1には、周期的に配列された複数の凸部および該凸部を取り囲む凹部を表面に有する現像剤担持体を用いる現像装置が記載されている。また、特許文献2には、周方向に対して傾斜する方向に略等間隔で形成された複数の第1の溝と、該第1の溝と交差する複数の第2の溝とが形成され、溝の横断面はU字形状をなし、溝で囲まれる頂面が略平面である凸部が設けられ、溝の幅と頂面の長さの関係が規定され、溝の最大深さをトナー粒子の平均粒径に対し0.5〜2倍の範囲とした現像ローラを備える現像装置が記載されている。
静電潜像が形成される像担持体である感光体の帯電方式も、様々な方法が知られている。
接触式のローラを用いた帯電方式では、非接触チャージャ(コロトロン、スコロトロン)を用いる方式に比べ、オゾン発生量が少ないという大きなメリットを有する。また、接触式のローラを用いる方式中でも、AC電圧を印加する方式は、DC電圧のみを印加する場合に比べ、帯電の均一性が良く、高品質な画像を提供することができることが知られている。
AC電圧の周波数は、画像形成装置の感光体プロセス線速毎に設定されるのが一般的である。各プロセス線速毎の帯電AC周波数は、異常画像や感光体へのハザードを考慮して最適な値に設定される。
一般的に、周波数が低すぎる場合は、AC周波数の周期で帯電不均一性が生じ、画像濃度ムラとなって顕在化するという問題がある。また、周波数が高過ぎる場合は、AC周波数のムラは目立たないが、感光体への放電ハザードが大きくなり、感光体ダメージによる感光体表層(電荷輸送層や保護層)の膜削れの促進や放電生成物によるフィルミングなどの感光体汚染につながるという問題がある。
一方、近年では複写機やプリンタなどの高画質化が進んでおり、その高画質を維持することが重要になっている。高画質を維持するためには、感光体や転写ベルト上などのクリーニング工程が非常に重要である。このクリーニング工程は、トナーの帯電量や流動性等の要素に大きく影響される。特に流動性は重要であり、ブレードなどのクリーニング部材によりトナー粒子がきれいに剥ぎ取られるように、トナー粒子の流動性が最適化されることが必要になる。
クリーニング性が良好であり高画質が得られる静電荷現像用トナーにおいては、さらに、省エネルギー性の観点から、低温定着性に優れたトナーが求められている。
低温定着性が向上したトナーとしては、例えば、結晶性ポリエステルを含むトナーが提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
しかしながら、特許文献3及び4に記載されたような結晶性ポリエステルを含む低融点トナーを、上述のような一成分現像方式、非接触式の現像装置に用いた場合、該低融点のトナーが感光体に固着して、画像に白斑点となって現れてしまうという問題がある。
低融点トナーが感光体へ固着するメカニズムを以下のステップにより示す。
(1)ステップ1
低融点トナーが感光体の画像領域に現像される、または非画像領域に地肌汚れとして付着する。
(2)ステップ2
転写部において転写しきれなかった残トナー、またはタンデム型画像形成装置においては上流から中間転写体によって運ばれてくるトナーが、感光体に転写されてしまう所謂逆転写トナーが感光体クリーニングブレードまで運ばれる。
(3)ステップ3
感光体クリーニングブレードによってトナーはせき止められる。
(4)ステップ4
感光体表面とトナーとの摩擦により、トナーが摩擦熱を受ける。また摩擦によって、トナーはブレードと感光体の間、つまりブレードニップ部に引き込まれる。低融点トナーは従来のトナーに比べ、熱と圧力を同時に受けたときに塑性変形しやすく、前記摩擦熱とブレード圧とを受けることにより潰れる。
(5)ステップ5
潰れたトナーがクリーニングブレードニップ部をすり抜けて、感光体に付着して凝集体の核となる。
(6)ステップ6
すり抜けたトナーが何度もクリーニングブレードニップ部を通過し、より強固に固着し、また他のトナーと凝集して巨大化する。
上述のメカニズムにおいて、特に、低コスト・省スペース化のために感光体に潤滑剤を塗布する機構を持たない作像システムにおいては、トナーと感光体との付着力が大きいため、よりトナーが感光体に固着しやすい。
一方、接触式の二成分現像方式では、クリーニングブレードニップ部をすり抜けたトナーが、凝集体になる前に高速で回転するキャリア(磁性体)による磁気穂で掻き取られてしまうため、感光体に固着が発生しない。また、融点の高いトナーでは熱と圧により塑性変形が起こりにくく、固着が発生しない。
上述のように、非接触式の現像方式で、一成分現像剤として結晶性ポリエステルを含む低融点トナーを用いる現像においては、感光体へのトナーの固着の問題、及び耐久性、コスト面、省エネルギー性において問題がある。
そこで、本発明は上記課題を鑑み、非接触方式で現像を行う画像形成装置において、低融点トナーによる感光体へのトナー固着を防止し、耐久性に優れるとともに低コストかつ省エネルギーを実現可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体表面を露光して潜像を形成する露光手段と、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加され、前記像担持体に接触して前記像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有する現像剤を供給し、非接触で現像する現像手段と、前記像担持体表面に接触するブレード状の部材を有し、不要な前記現像剤を除去するクリーニング手段と、からなる作像手段、及び前記帯電手段の電圧を制御する電圧制御手段を少なくとも備え、前記電圧制御手段は、前記帯電手段に印加される交流電圧の周波数を、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の画像形成装置によれば、非接触方式で現像を行う画像形成装置において、低融点トナーによる感光体へのトナー固着を防止し、耐久性に優れるとともに低コストかつ省エネルギーを実現可能な画像形成装置を提供することができる。
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を示す断面図である。 現像装置の概略構成の一例を示す断面図である。 現像装置の外観の一例を示す斜視図である。 現像装置の外観の一例を示す斜視図である。 現像装置の概略構成の一例を示す断面図である。 現像装置の一部分を拡大したZ−X断面の斜視図である。 現像装置の一方の端部近傍を拡大した斜視図である。 現像装置の一方の端部近傍を拡大した斜視図である。 現像装置の他方の端部近傍を拡大した斜視図である。 現像装置の他方の端部近傍を拡大した斜視図である。 現像ローラの一例を示す外観の斜視図である。 現像ローラの一例を示す外観の側面図である。 現像ローラの一例を示す全体概略図(A)及び表面の部分拡大図(B)である。 供給ローラの一例を示す外観の斜視図である。 供給ローラの一例を示す外観の側面図である。 ドクタブレードの一例を示す外観の斜視図である。 ドクタブレードの一例を示す外観の側面図である。 現像装置のトナー収容部内の撹拌パドルの一例を示す外観の斜視図である。 現像装置のトナー収容部内の撹拌パドルの一例を示す外観の側面図である。 ドクタブレードの現像ローラの表面に対する当接状態の例を示す説明図である。 帯電手段の帯電AC周波数の制御の態様の例を示す説明図である。
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施例の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体表面を露光する露光手段と、前記像担持体に接触し、印加された交流電圧により前記像担持体表面を帯電させて前記潜像を形成する帯電手段と、前記像担持体上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有する現像剤を供給し、非接触で現像する現像手段と、前記像担持体表面に接触するブレード状の部材を有し、不要な前記現像剤を除去するクリーニング手段と、からなる作像手段、及び前記帯電手段の電圧を制御する電圧制御手段を少なくとも備える。
前記電圧制御手段は、前記帯電手段の交流電圧の周波数を、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御する。
前記画像形成装置の一例の概略構成を図1に示す。
図1は、画像形成装置としての複写機500であり、複写装置本体(以下、「プリンタ部」という)100、給紙テーブル(以下、「給紙部」という)200、及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、「スキャナ部」という)300から構成される。
プリンタ部100は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)、複数の張架ローラに張架されて図2中の矢印A方向に移動する中間転写体としての中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。
四つのプロセスカートリッジ1の、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。4つのプロセスカートリッジ1(1Y,1M,1C,1K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、Y,M,C,Kという添字を省略して説明する。
前記作像装置であるプロセスカートリッジ1は、前記像担持体である感光体2、前記帯電手段である帯電部材3、前記現像手段である現像装置4、及び前記クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット状とした構成となっている。
各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体クリーニング装置5は、不要な現像剤(以下、「トナー」ともいう)を除去する手段であり、感光体2の表面に接触して残留トナーをせき止めるブレード状の部材(以下、「クリーニングブレード」という)を有する。前記クリーニングブレードは、例えば、ウレタン製やゴム製の部材である。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。
帯電部材3は、ローラ状の部材(帯電ローラ)であり、感光体2の表面に圧接され、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により交流(AC)電圧が印加される。
前記電圧制御手段(不図示)は、印字動作時の帯電部材3の交流電圧の周波数を、感光体2を帯電ムラがなく、かつ放電ハザードがなるべく少なくなるように感光体2のプロセス線速毎に最適化する。
本実施形態において、前記電圧制御手段は、帯電手段3のAC電圧の周波数を、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御する。具体的には、感光体2へのトナー固着防止のため、非印字時の交流電圧の周波数(以下、「帯電AC周波数」ともいう)を、感光体2の共振周波数と同一ないし略同一となるように制御する。
なお、感光体2の共振周波数は、感光体2の大きさ、材質、感光体2に接するクリーニング部材や帯電部材3、感光体プロセス線速等の様々な要因によって異なる。
非印字動作時における帯電手段3の交流電圧の周波数を、感光体2の共振周波数と同一ないし略同一に設定することについて、以下に説明する。
低融点トナーが感光体2に固着するメカニズムにおいて上記説明したように、摩擦熱とブレード圧とを受けることによりトナーが潰される現象がみられる。これは、ブレードニップを形成するブレードの先端が、感光体2に対してしっかりと固定されていることにある。感光体2に対してクリーニングブレードをしっかりと固定する設計思想は、昨今の高画質のためのトナーの円形化、小粒径化に対応するため、また低コスト化のために感光体への潤滑材塗布を使用しない(所謂、潤滑剤塗布レス化)作像手段において満足なクリーニング機能を得る為である。
しかしながら、感光体2に対してクリーニングブレードをしっかり固定すると、ブレードニップにおけるトナーの動きがなくなり、動きのないトナーは引き込まれて感光体2に固着してしまうという問題があった。
一方、トナーに動きを与えるために、ブレードニップにトナーを絶えず供給し続ける場合には、トナーがブレードニップで対流し、感光体2へのトナー固着が生じ難くなるという現象が確認された。(なお、当該現象は、非接触現像(一成分現像)方式において、結晶性ポリエステルを含む低融点重合トナーを用い、AC電圧が印加可能な接触式帯電ローラを有する作像手段を備えた画像形成装置において確認されたものである。)ただし、トナーを大量にクリーニング部5に供給し続けることにより、画像面積率の低い印字時では、トナー固着は発生してしまう。
そこで、印字動作時に最適な帯電部材3の帯電AC周波数と、感光体2の共振周波数とは異なる場合が多いが、帯電ACの周波数を感光体2の共振周波数に設定し、感光体2を共振させることによりトナー固着が発生しないという結果を得た。
しかしながら、印字動作時に感光体2の共振周波数で帯電し続けることは、画像濃度ムラなどの異常画像や、放電ハザードが高いことによる感光体寿命の低下を招く。また、共振による感光体2の振動が画像にバンディングとして現れることになる。
そこで、非印字動作時の帯電AC周波数のみ、感光体2の共振周波数とする制御を行うことにより、画像濃度ムラなどの異常画像が形成される画像に顕在化することを防止することができる。
感光体2の共振周波数は、共振の基本周波数fに対して、2f、3f、4f…と整数倍になるのが一般的である。なお、fの値は感光体2周囲の構成により異なる。また、非印字動作時の帯電AC周波数fr(Hz)は、感光体2へのハザードを考慮し、同じ感光体プロセス線速の印字時周波数fpになるべく近い値に設定するのが好ましい。
以下、感光体2へのトナー固着を防止するために帯電手段3の帯電AC電圧を感光体2の共振周波数とする制御を行う状態を「固着防止モード」という。
本実施形態の画像形成装置は、帯電手段3の帯電AC周波数を、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御するが、非印字動作時を前記固着防止モードとする。
図21に、帯電手段3の帯電AC周波数の制御の態様を示す。
図21に示す様に、前記トナー固着防止モードでは、帯電手段3の帯電AC周波数を、fpからfrに変更し、感光体2を共振させることによりトナーを流動させている。なお、図21は、fp>frの場合の帯電AC周波数制御を示している。
図21(A)及び(B)に示す制御は、画像形成に関する印刷ジョブに基づく印刷モードと、前記印刷ジョブと独立した非印刷モードとを有し、前記電圧制御手段は、帯電手段3の帯電AC周波数を、前記印刷モードと前記非印刷モードとで異なるように制御する態様である。
印刷ジョブに基づく印刷モードの前後に、固着防止モードを入れることにより、クリーニングブレードニップのトナーを流動させ、トナーがブレードにつぶされないようにすることができる。
図21(C)示す制御は、複数の記録媒体へ連続して画像形成を行う印刷ジョブに基づく連続印刷を実行中に、前記電圧制御手段が、帯電手段3の帯電AC周波数を、前記記録媒体の印字領域と非印字領域とで異なるように制御する態様である。
上述の図21(A)及び(B)の態様では、感光体2が共振しない(振動しない)時間帯が長く続く場合(例えば、低画像面積率印字の連続印刷ジョブ等)に対応することができない。そこで、図21(C)に示すように、連続印字時の紙間である非印字領域(非画像領域)のみ、帯電AC周波数を感光体2の共振周波数にすることで、トナーがブレードにつぶされないようにすることができる。
感光体2の共振周波数が、印字動作時の帯電AC周波数より低い場合は、画像濃度ムラが形成される画像に顕在化することもなく、また放電ハザードも小さいため、感光体2の寿命に対する懸念はない。また、感光体2の交換寿命に対して、非印字動作時に感光体2の共振周波数を印加する時間は非常に短く設定することができるため、仮に共振周波数が印字動作時の帯電AC周波数より高い値であっても、感光体2への放電ハザードの影響を無視できるレベルまで小さくすることができる。
なお、帯電AC周波数を感光体2の共振周波数と同一とすることにより、振動音が発生する可能性があるが、本実施形態において、振幅はブレード近傍のトナーを微小に振動させるレベルであり、騒音として認識されるには十分に小さいものである。万一振動音が認識される場合には、PCUなどにゴム材、スポンジ材などのカバー(包装材)を設けて部分的に覆うことや、PCUと本体筐体との間に制振材を設けること介させることにより、共振音を低減させることができる。
また、ヘルムホルツ共鳴の原理を用いた消音機能を付与する方法(例えば、特開2006−251590参照)を採用することもできる。例えば、特開2006−251590は、感光体個体の振動と感光体内の空気の振動を減らす手段が記載されているが、本実施形態に適用する場合には、空気の振動のみを低減させることができればよく、例えば、図5に示す例も好適に採用することができる。
さらに、異音をマイクロフォンで集音し、逆位相音をスピーカーから流すことで雑音を消す公知のノイズキャンセリング技術を搭載することもできる。
具体的な実施形態の例を以下に示す。
〔例1〕
・クリーニングブレード:ウレタンをベーストしたゴム部材
・クリーニング角度(感光体とブレードエッジ部のなす角度):80°
・ブレード接触線圧:20N/m
・感光体:直径30mmの円筒状アルミニウム素管の上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層で構成
・帯電ローラ:DCにAC重畳のバイアス印加方式。金属軸に導電剤を含むゴム層を被覆したローラ。感光体と接触する。
・プロセス線速:150mm/sec
・作像時の帯電周波数fp:1050Hz
・共振周波数fr:900Hz(基本周波数:900Hzの倍数で共振)
以上の条件で、前記トナー固着防止モードとして帯電AC周波数を900Hzとしたとき、トナー固着の発生が抑制されることが確認された。
また、帯電手段3の帯電AC周波数は、感光体2の共振周波数と略同一であっても、トナー固着防止の効果が得られる。以下に例を示す。
〔例2〕
上述の実施形態1において、印字動作時の周波数をfp(固定値)とし、紙間の周波数fx変更しながら、画素印字率5%で連続出力を行った。
一定枚数(500枚)の印刷時の感光体上のトナー固着数をカウントしたところ、下記表1に示す結果が得られた。
表1の結果から、作像システムのトナー固着の程度に余裕がある場合や、異音などの副作用の発生が懸念される場合等において、感光体の共振周波数と同一ではなく、数十Hzずらした略同一の周波数に設定しても、トナー固着防止の効果が得られることがわかる。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。
プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
四つのプロセスカートリッジ1(1Y、1M、1C、1K)は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーは、感光体クリーニング装置5により除去される。
図1に示す画像形成装置において、各感光体2に対し中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に、一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。
一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。
中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが、不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に、各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aが配置され、二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。
二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から給紙された記録媒体である転写紙Pは、二次転写ニップを通過する際に、前記二次転写電界により中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が転写される。
二次転写ニップに対し転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。
二次転写ニップを通過した転写紙Pは、定着装置12における加熱及び加圧により、転写されたフルカラー画像が定着される。画像が定着された転写紙Pは、複写機500の装置外に出力される。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
また、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。
各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
<現像装置>
本実施形態の画像形成装置を構成する現像装置4は、感光体2上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーを供給し、非接触で現像する手段である。
また、トナーを担持した状態で回転して感光体2へトナーを供給する現像剤担持体(以下、「現像ローラ」ともいう)と、現像剤担持体上に形成されるトナーの層の厚みを規制する規制部材(以下、「ドクタブレード」ともいう)とを備える。現像剤担持体の表面は、規則的に配置された凹凸部を有する。
現像装置4を、図2〜10に基づき説明する。
図2は、現像装置4の概略構成であり、図1の紙面奥側から見た断面図である。また、現像装置4の外観斜視図を図3及び図4に示す。
現像装置4の外形を形成する現像ケーシング41は、上ケース411、中ケース412及び下ケース413が組み合わさることで形成される。中ケース412はトナー収容部43を形成し、上ケース411にはトナー収容部43と外部とを連通する現像剤補給部であるトナー補給口55が形成されている。また、上ケース411には、現像ローラ42と上ケース411との隙間をシールする入口シール47が設けられている。
図5は、現像装置4の概略構成であり、図1と同じ方向から見た断面図である。
図6は、現像装置4の一部分を拡大したZ−X断面の斜視図である。
中ケース412には、現像ローラ42、供給ローラ44、ドクタブレード45、パドル46、供給スクリュ48及びトナー残量センサ49等が設けられている。
現像装置4には、内部と外部とを連通する開口部56が長手方向(図中Y軸方向)に沿って設けられている。開口部56内にはトナーを内部から外部(感光体と対向する現像領域α)まで担持搬送する円筒状の現像ローラ42が設けられている。
図7は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の一方の端部(図2中の奥側端部)近傍の拡大斜視図であり、図8は、図7の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
図9は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の他方の端部(図2中の手前側端部)近傍の拡大斜視図であり、図10は、図9の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
現像装置4は、供給ローラ44が図2中の矢印C方向(図の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、トナー収容部43内のトナーTを供給ニップβに搬送し、現像ローラ42の表面に供給する。
現像ローラ42は、供給されたトナーTを表面上に担持して、図2中の矢印B方向(図の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、現像ローラ42上のトナーを所定量に規制するドクタブレード45との対向部までトナーを搬送する。
ドクタブレード45との対向部で所定量に規制されたトナーは、現像ローラ42の回転によって感光体2との対向部である現像領域αに到達する。
また、供給ニップβでは、供給ローラ44の表面は下方から上方に向かって移動し、現像ローラ42の表面は上方から下方に向かって移動する。
現像領域αでは、現像バイアス電源142から現像ローラ42に印加された現像バイアスと感光体2表面上の潜像との電位差によって形成される現像電界に応じて、現像ローラ42の表面上のトナーTが感光体2の表面に移動し、感光体2の表面上の静電潜像部分にトナーが付着し、現像が行われる。
感光体2は、現像ローラ42に対して非接触で、図2中の矢印D方向に回転する。このため、現像領域αにおいて、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とは同方向となる。
また、現像バイアス電源142は、現像領域αに搬送されたトナーによる潜像の現像のために、現像ローラ42から感光体2へトナーを向かわせるための第一電圧と、感光体2から現像ローラ42へトナーを向かわせるための第二電圧とを備えた交番電圧を現像ローラ42に印加する電圧印加部である。
詳細は後述するが、現像ローラ42の表面には、凸部42aの高さや凹部42bの深さが実質的に一定の規則的に配置された凹凸部からなる形状を有する。
現像領域αで現像に寄与せず現像領域αを通過した現像ローラ42の表面上のトナーTは、供給ニップβで供給ローラ44によって回収され、現像ローラ42表面のリセットがなされる。
現像ローラ42の表面上に規則的に形成された凹部42bに担持されたトナーTは、回収され難い。そして、現像領域αを通過したトナーTが供給ニップβを通過し、現像ローラ42に担持されたままとなると、トナーTが現像ローラ42に固着してトナーフィルミングが発生する。トナーフィルミングが発生すると、現像ローラ42上のトナーTの単位重量当たりの帯電量や現像ローラ42の単位面積当たりのトナー量が不安定になり、現像時の濃度ムラの発生の原因となる。
本実施形態の現像装置4において、現像ローラ42と供給ローラ44とが対向する供給ニップβでは、現像ローラ42の表面移動方向と供給ローラ44の表面移動方向とが逆方向となっている。これにより、供給ニップβにおける現像ローラ42の表面と供給ローラ44の表面との線速差が大きくなり、供給ニップβでの供給ローラ44による回収性能の向上を図ることが出来る。
よって、トナーが現像ローラ42に担持されたままとなることを抑制し、現像ローラ42の表面にトナーが固着することを抑制できる。すなわち、現像剤担持体の表面に現像剤が固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
また、本実施形態の現像装置4は、図2に示すように、供給ローラ44をトナー収容部43の上部に配置し、供給ローラ44の少なくとも一部がパドル46の回転を停止した状態のトナー収容部43内のトナーTの剤面よりも上方となるようになっている。そして、供給ニップβに対して供給ローラ44の表面移動方向下流側の領域(以下、「供給ニップ下流側領域」という)が、トナーTの剤面よりも上方となっている。供給ニップ下流側領域にトナーが充填されていると、供給ニップ下流側領域に充填された状態のトナーが新たなトナーが供給ニップ下流側領域に入ってくることを阻害し、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収効率を低下させるおそれがある。一方、本実施形態の現像装置4は、供給ニップ下流側領域にはトナーが充填されておらず、供給ニップ下流側領域に存在するトナーによって供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収を阻害されることがなく、効率的にトナーの回収を行うことができ、トナーのリセット性を向上させることができる。
ドクタブレード45の現像ローラ42の表面に対する当接状態の例を図20に示す。
図20に示すように、ドクタブレード45をエッジ当ての状態で現像ローラ42に接触させることにより、凸部42aの頂面に存在するトナーTをすり切ることができるため、好ましい。ここで、エッジ当てとは、ドクタブレード45の対向面と先端面との間の稜線を形成するエッジ部が現像ローラ42の表面(凸部表面)に接触する状態である。稜線を形成するエッジ部において、稜線は丸みを帯びていてもよく、面取りされていてもよい。
具体的には、平板状のドクタブレード45の自由端側の先端の現像ローラ側の角部(丸みがあっても、面取りされてても良い)が現像ローラの凸部42aに接触するようになっていれば良い。なお、ドクタブレード45を折り曲げてその曲げ部分を接触させる方法もあるが、トナーTをすりきる効果については、上記の自由端側の先端を接触させるほうが、効果が高く望ましい。
〔現像ローラ〕
次に、現像ローラ42について図11〜図13に基づき説明する。
図11は、現像ローラ42の外観斜視説明図であり、図12は、現像ローラ42の側面図である。また、図13は、現像ローラ42の表面形状の説明図であり、図13(A)は、現像ローラ42全体の概略図であり、図13(B)は、図13(A)に示した現像ローラ42の表面の一部の拡大図である。
現像ローラ42は、現像ローラ軸421に表面にトナーを担持する現像ローラ円筒部420を設けた構成であり、現像ローラ円筒部420に対して軸方向外側である軸方向両端部近傍の現像ローラ軸421には、スペーサー422が設けられている。
現像ローラ42は、現像ローラ軸421を中心に回転可能に設けられており、現像ローラ軸421の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。現像ローラ42の現像ローラ軸421の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。現像ローラ42の表面の一部は開口部56から現像装置4の外部に露出し、この露出した表面が下方から上方に表面移動してトナーを搬送するように、現像ローラ42は図2中の矢印B方向に回転する。
また、現像ローラ42は、軸方向両端部近傍に設けられたスペーサー422が感光体2の表面に接触することにより、現像領域αにおける現像ローラ円筒部420の表面と感光体2の表面との距離(現像ギャップ)を一定に保っている。
現像ローラ42は、アルミ合金、鉄合金等からなる部材である。
現像ローラ42の現像ローラ円筒部420は、図13(A)に示すように、その表面の構造の相違に基づき、主として、2つの部分(溝形成部420a、非溝形成部420b)に分けられる。
溝形成部420aは、現像ローラ42の軸方向において中央部を含む部分であり、トナーを適切に担持させるために凹凸加工がその表面に施されている。
本実施形態の現像ローラは、凹凸加工として所謂転造加工が用いられ、凸部42aは互いに巻き方向の異なる螺旋状の第一溝L1および第二溝L2に囲まれて形成されている。図13(B)に示す現像ローラ42では、凸部42aの軸方向のピッチ幅W1は80[μm]であり、凸部42aの頂面の軸方向長さW2は40[μm]である。さらに、凹部42bから凸部42aの頂面までの高さである凹部深さは10[μm]である。ピッチ幅W1、頂面の軸方向長さW2及び凹部深さの値は一例であり、この値に限られるものではない。
現像ローラ42としては、その表面がトナーを正規帯電させる材料であることが望ましい。フィルミングによって低帯電トナーが生まれた場合においても、ジャンピングしたトナーTによってたたき出された低帯電トナーが、凸部42aや凹部42bのフィルミングがおきていない部分で帯電できるため、低帯電トナーを減少させることができ、画像濃度が安定化する。
また、現像ローラ42としては、その表層材料がドクタブレード45(ブレード部材450)よりも硬い材質であることが望ましい。これにより、現像ローラ42の表面の凸部42aがドクタブレード45によって削れ難くなり、凸部42aとドクタブレード45で囲まれる凹部42bの体積変化が生じにくくなり、M/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
また、現像ローラ42の凸部42aの高さとして、使用するトナーTの重量平均粒径よりも大きいことが望ましい。平均的な大きさのトナーTが凹部42b内に収まるため、粒径の選択が起こりにくくなり、経時でのM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
〔供給ローラ〕
次に、供給ローラ44について図14及び図15に基づき説明する。
図14は、供給ローラ44の外観の斜視説明図であり、図15は、供給ローラ44の側面図である。
現像装置4の内部のトナー収容部43の上方の現像ローラ42側には、円筒状の供給ローラ44が設けられている。供給ローラ44は、その軸部である供給ローラ軸441を中心に円筒状の発泡材が巻きついた構成であり、この円筒状の発泡材が表面にトナーを担持する供給ローラ円筒部440となる。
供給ローラ44は、供給ローラ軸441を中心に回転可能に構成され、当該軸は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。供給ローラ44は、供給ローラ円筒部440の外周面の一部は、現像ローラ42の現像ローラ円筒部420の外周面と供給ニップβで接触するように配置されており、図2及び図5に示すように、供給ローラ軸441は、現像ローラ軸421よりも上方に配置されている。
また、上述したように、供給ローラ44は現像ローラ42と対向する箇所である供給ニップβで現像ローラ42の表面移動方向に対して逆方向に表面が移動するように回転する。さらに、現像装置4は、図2に示すように、供給ニップβの位置が、現像ローラ42に対するドクタブレード45の当接位置に対して、上方に位置する配置となっている。
供給ローラ44は、の供給ローラ円筒部440に発泡材料を用いており、現像ローラ42に接触する表面層は表面に多数の微小孔が分散しているスポンジ層となっている。供給ローラ44の表面層をスポンジ状にすることで、凹部42bの底まで供給ローラ44が届きやすくなるため、現像ローラ42上トナーのリセット性が向上する。
また、下記式
(現像ローラ42の半径)+(供給ローラ44の半径)−(現像ローラ42と供給ローラ44との軸間距離)
により求められる供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量は、現像ローラ42の凸部42aの高さよりも大きくなるように設定している。
凸部42aの高さよりも供給ローラ44の食い込み量を大きくすることで、凹部42bにおけるトナーのリセット性を向上できる。なお、供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量が凸部42aの高さに対して大きすぎると、トナーが凹部42bに押し込まれてしまい、凝集の原因となるため、食い込み量は大きくなりすぎないように設定する必要がある。
供給ローラ44の供給ローラ円筒部440に用いる発泡材料は、10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定されている。
供給ローラ44には、供給バイアス電源144によって供給バイアスが印加され、供給ニップβで予備帯電されたトナーを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。供給ローラ44は図2及び図5中の時計回りの方向に回転し、表面に付着させた現像剤を現像ローラ42の表面に塗布供給する。
また、供給バイアス電源144が供給ローラ44に印加する電圧としては、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、トナーの正規帯電極性(本実施形態のトナーTではマイナス極性)に対して逆極性(プラス極性)の直流電圧を印加する。
このとき、現像ローラ42に印加する電圧よりも、供給ローラ44に印加する電圧の方がトナーの正規帯電極性に対して逆極性(プラス極性)となる。これにより、現像ローラ42に対して供給ローラ44側にトナーTを引き付ける方向の電界を供給ニップβに形成し、現像ローラ42上トナーのリセット性を向上することができる。なお、供給バイアス電源144を備える構成では、直流電源を別途必要となり、コスト高となるため、現像装置4の仕様に応じて、供給バイアス電源144を設けない構成としても良い。
〔ドクタブレード〕
次に、ドクタブレード45について図16及び図17に基づき説明する。
図16は、ドクタブレード45の斜視説明図であり、図17は、ドクタブレード45の側面図である。
また、上述の図5〜図10に示したように、現像ローラ42の下方で下ケース413の内側となる中ケース412には、ドクタブレード45が設けられている。
ドクタブレード45は、薄い板状の金属部材であるブレード部材450と、ブレード部材450の一端が固定されている金属製の台座部452とを有する。そして、ブレード部材450の他端側が現像ローラ42に接触するように構成されている。ブレード部材450の現像ローラ42に対する接触状態は、先端が接触する先端当て状態、及び先端よりも根元側の面部が接触する腹当て状態の何れでもよい。しかし、先端当て状態の方が、凸部42aの頂面に存在するトナーをすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーのみを現像領域αに搬送することで、現像領域αに搬送するトナー量が安定するため、より好ましい。
ドクタブレード45のブレード部材450は台座部452に対して複数のリベット451によって固定されている。台座部452はブレード部材450よりも厚い金属で構成されており、ブレード部材450を現像装置4の本体(中ケース412の側面部)に固定するための基板として機能している。台座部452の長手方向端部にはピン穴454が設けられており、一方は真円形状の主基準穴454aであり、もう一方は主基準穴454a方向に長径を有する楕円形状の従基準穴454bである。主基準穴454aに不図示のピンが入ることで台座部452の現像装置4本体に対する位置が決定し、従基準穴454bで支えられる。ブレード部材450が固定された台座部452が、現像装置4本体(中ケース412)にドクタ固定ネジ455で固定されることによってブレード部材450が現像装置4に固定されることになる。
ドクタブレード45のブレード部材450は、SUS304CSPやSUS301CSP、またはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ42表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過したトナーを所定量に規制すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。さらにブレード部材450には、摩擦帯電を補助するために、ドクタバイアス電源145からバイアスが印加される。
また、ドクタブレード45のブレード部材450としては、導電性を有するものであることが望ましい。ブレード部材450が導電性であることにより、Q/M値(単位体積当りの帯電量)が大きなトナーTの帯電量を下げることが出来、トナーTのQ/M値の均一化を図ることができる。これにより、トナーTの現像ローラ42に対する張り付きを防ぐことが出来る。
また、ドクタバイアス電源145がブレード部材450に印加する電圧としては、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、±200[V]の範囲で直流電圧を印加できる構成とし、使用環境により直流電圧の値を制御出来る構成としても良い。これにより、環境変動によるM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)の変動を抑制することができる。
〔撹拌パドル(パドル)〕
現像装置4内には、トナーが収容される空間としてトナー収容部43が設けられており、このトナー収容部43内には撹拌パドル(以下、単に「パドル」という)46が現像ケーシング41に対して回転可能に取り付けられている。
パドル46について図18及び図19に基づき説明する。
図18は、パドル46の斜視説明図であり、図19は、パドル46の側面図である。
パドル46は、その軸部であるパドル軸461と、マイラー等の弾性シート材からなる薄い羽部材としてのパドル羽460とを備える。パドル軸461は、向かい合う二つの平面部を有し、この二つの平面部にパドル羽460がそれぞれ取り付けられている。二枚のパドル羽460は、パドル軸461を中心に互いに反対方向に突出するように、パドル軸461の平面部に固定されている。
パドル羽460の付け根部分には穴が複数の穴がパドル軸461の軸方向に平行になるように並べて設けられており、パドル軸461は、その軸方向に平行になるように複数の凸部が並べて設けられている。そして、パドル羽460の穴にパドル軸461の凸部を挿入して、熱カシメすることによって、パドル軸461に対してパドル羽460を固定する。
パドル46は、パドル軸461の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。パドル軸461の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
パドル46は、パドル軸461から伸びるパドル羽460の先端がトナー収容部43の内壁面に接触する程度の長さにパドル羽460の突出量が設定されている。図2及び図5等に示すように、トナー収容部43の底面部43bはパドル46の回転方向に沿った円弧状であり、パドル46の回転に伴う摺擦動作でパドル羽460がトナー収容部43の底面部43bに引っかからないようになっている。
トナー収容部43の現像ローラ42側には底面部43bから垂直に立ち上がる側壁面部43sが形成されており、この側壁面部43sはパドル軸461の中心と同等若しくは若干低い程度のところでX軸に平行なローラに向かう方向に水平になり、段部50を形成している。
側壁面部43sとパドル軸461との距離は、底面部43bとパドル軸461との距離よりも短く設定されている。そのため、底面部43bを摺擦してきたパドル羽460は側壁面部43sに突き当たり、より大きくたわむことになる。その後、段部50にパドル羽460の先端部が差し掛かるとパドル羽460を押さえるものが無くなり、パドル羽460の先端部は開放されることで上方に跳ね上がる。このようなパドル羽460の動きによってトナーは上方へと跳ね上げられ攪拌、搬送、供給される。
段部50は、X−Y平面に平行な水平面で、現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)に延在するように形成されている。本実施形態の現像装置4では、段部50が幅方向の全域に設けられているが、パドル羽460が跳ね上がるようになっていれば、現像装置4内の一部分に設けられていても良い。
〔供給スクリュ〕
供給スクリュについて、図5及び図6に基づき説明する。
供給スクリュ48は、供給スクリュ軸481と、この供給スクリュ軸481に固定された螺旋状の羽部である供給スクリュ羽部480となるスクリュ部材である。供給スクリュ軸481を中心に回転可能に設けられており、供給スクリュ軸481の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。供給スクリュ軸481の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
供給スクリュ48の軸方向端部は、現像装置4の長手方向端部に形成されたトナー補給口55の下方に位置している。そして、供給スクリュ48が回転することによって螺旋状の供給スクリュ羽部480がトナー補給口55から補給されたトナーを長手方向における現像装置4の中央部方向に搬送する。
〔入り口シール〕
入り口シールについて、図5、及び図7〜10に基づき説明する。
上ケース411の開口部56を形成する縁部分には、入口シール47としてマイラー等のシート部材が長手方向に沿って貼着されている。入口シール47は略矩形のシートであってその短手の一端が上ケース411の縁部分に貼着され、他端は自由端とされている。入口シール47の自由端側は現像装置4の内部方向に突出されており、さらに、現像ローラ42に接触するように設けられている。
入口シール47は、現像ローラ42の回転方向上流側が上ケース411に固定されており、現像ローラ42の回転方向下流側が自由端とされ、現像ローラ42に対して、入口シール47の面部分が接触するように配置している。また、上ケース411の現像装置4の内部側は供給ローラ44の上部形状に沿うように湾曲形状をしており、上ケース411の湾曲形状の表面と供給ローラ44の表面との隙間は、1.0[mm]である。
〔サイドシール〕
サイドシールについて、図7〜図10に基づき説明する。
図7〜図10に示すように、現像装置4の開口部56の長手方向両端部にあたる中ケース412の一部にはサイドシール59が貼着されている。サイドシール59は、現像ローラ42の軸方向両端近傍に設けられたスペーサー422よりも軸方向における内側で、且つ、現像ローラ42にドクタブレード45が接触する軸方向の端部が重なる領域に設けられている。このようなサイドシール59によって現像ケーシング41における開口部56の長手方向端部からトナーが漏れ出ることを防止している。
また、中ケース412に設けられたトナー残量センサ49は、トナー収容部43内のトナーの量を検知するものである。
<トナーの動き>
次に、現像装置4内でのトナーの動きについて図5に基づき説明する。
トナー補給口55から現像装置4内に補給されたトナーは、供給スクリュ48によってトナー収容部43に供給され、パドル46によって攪拌される。また、パドル46の跳ね上げによって現像ローラ42及び供給ローラ44の方向に跳ね上げ、搬送される。供給ローラ44に供給されたトナーは、供給ローラ44が現像ローラ42と接触する供給ニップβで現像ローラ42の表面に受け渡される。現像ローラ42の表面に受け渡されたトナーのうち現像領域αに搬送する所定量を超えた分のトナーは、ドクタブレード45によって現像ローラ42の表面から掻き落とされる。
ドクタブレード45との対向部を通過した現像ローラ42の表面に残ったトナーは、そのまま現像ローラ42の回転による表面移動方によって搬送され、感光体2と対向する現像領域αに到達する。現像に用いられることなく現像領域αを通過したトナーは、入口シール47が接触する位置を通過し、供給ローラ44との対向位置である供給ニップβにまで搬送される。現像ローラ42によって供給ニップβに到達したトナーは、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面から掻き取られ、供給ローラ44によって搬送される。
以上、非接触方式の現像手段である態様について説明したが、本実施形態の画像形成装置においては、非接触方式の現像手段と、接触方式の現像手段とを備える態様であってもよい。
すなわち、上記作像手段とともに、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体表面を露光する露光手段と、印加された交流電圧により前記像担持体表面を帯電させて前記潜像を形成する帯電手段と、前記像担持体上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有する現像剤を供給し、接触して現像する現像手段と、前記像担持体表面に接触するブレード状の部材を有し、不要な前記現像剤を除去するクリーニング手段と、からなる作像手段をさらに備える態様であってもよい。
非接触現像方式であるときは、帯電方式は接触式AC帯電である必要があるが、接触現像方式(2成分現像方式など)の場合は、帯電方式は接触DC帯電や非接触のAC帯電(コロトロンやスコロトロンなどのチャージャー)でもよい。
<トナー>
次に、本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーについて説明する。
前記トナーとしては、低融点のトナーであり、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーである。
また、前記トナーとしては、高速のトナー搬送に対応可能な流動性の高いトナーであることが好ましく、具体的には、加速凝集度が40[%]以下のトナーであることが好ましい。この加速凝集度とは、トナーの流動性を示す指数である。
トナーの加速凝集度の測定方法を以下に示す。
<測定装置>
・ホソカワミクロン製 パウダテスタ
<測定方法>
・測定対象サンプルを恒温槽に放置(35±2[℃],24±1[h])
・パウダテスタを用いて測定
・目開きの異なる三種の篩を使用(例えば、75[μm],44[μm],22[μm])
・篩ったときのトナー残量から算出、以下の計算により、凝集度を求める。
{(上段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100
{(中段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×3/5
{(下段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×1/5
上記三つの計算値の合計をもって加熱凝集度[%]とする。
トナーの加速凝集度は上述のように目開きの異なる三種類のメッシュを目開きの大きい順に積み重ね、最上段に粒子をおき、一定の振動でふるい、各メッシュ上のトナー重量から求める指数である。
さらに、前記トナーとしては、平均円形度が0.90以上のトナー(0.90〜1.00のトナー)であることが好ましい。
下記(式1)により得られた値を円形度aと定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度a=L/L・・・・(式1)
(L:粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長、L:粒子の投影像の周囲長)
平均円形度が0.90〜1.00の範囲のトナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体2との接触面積が小さいために転写性に優れる。
また、平均円形度が0.90〜1.00の範囲のトナー粒子には角がないため、現像装置4内での現像剤(トナー)の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像の発生を防止できる。例えば、ドットを形成するトナーの中に角張ったトナー粒子がないため、転写において転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
さらに、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体2や、帯電部材3等の表面を傷つけたり、摩耗させたりすることを防止できる。
次に円形度の測定方法について説明する。円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料を0.1〜0.5[g]程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜10000[個/μl]として前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
600[dpi]以上の微少ドットを再現するためには、トナーの重量平均粒径(D4)として3〜8[μm]が好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150[mL]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5[mL]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1[%]NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
本実施形態で用いられるトナーは、少なくともポリエステル、着色剤、及び離型剤を有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであり、重合トナーと呼ばれる。
〔ポリエステル〕
含有するポリエステルとしては、結晶性ポリエステルの他、未変性ポリエステル、及び有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステルが挙げられる。
以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(i)未変性ポリエステル
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。 多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
(ii)変性ポリエステル
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40[wt%]、好ましくは1〜30[wt%]、さらに好ましくは2〜20[wt%]である。0.5[wt%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40[wt%]を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
[NCO]/[NHx]が2を超えるか1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140[℃]にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140[℃]にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
多価イソシアネート化合物(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などの多価イソシアネート化合物(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性および複写機500に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。45[℃]未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65[℃]を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(iii)結晶性ポリエステル
結晶性ポリエステルとしては、炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびこれらの誘導体を含有するアルコール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、およびこれらの誘導体を含有する酸成分とを用いて合成される下記一般式(1)で表される繰返し講造単位を有する結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
(式中、R1、R2は炭化水素基であり、その炭素数は1〜20である。また、nは自然数である。)
また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点を制御する方法として、ポリエステル合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステルなどを設計、使用するなどの方法が挙げられる。
結晶性ポリエステルの分子構造は、固体NMRなどにより確認することができる。分子量については、上記の分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れるという観点から鋭意検討した結果、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で1000〜6500、数平均分子量(Mn)で500〜2000、Mw/Mnが2〜5であることが好ましいことを見出した。
融解温度およびF1/2温度については耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましく、50〜130℃の範囲に有ることが好ましいことを見出した。
融解温度およびF1/2温度が50℃以下の場合は耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しやすくなり、130℃以上の場合には定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。
トナー中の、結晶性ポリエステル樹脂の分散粒径は長軸径で0.2〜3.0μmであることが好ましい。
結晶性ポリエステルの酸価は、紙と樹脂との親和性の観点から、目的とする低温定着性を達成するためにはその酸価が8mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であることが好ましく、一方、ホットオフセット性を向上させるには45mgKOH/g以下のものであることが好ましい。更に、結晶性高分子の水酸基価については、所定の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには0〜50mgKOH/g、より好ましくは5〜50mgKOH/gのものが好ましい。
トナー中の結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性をもつがゆえに定着開始温度付近において、急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。つまり、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性が良く、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)し、定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーを設計することが出来る。また、離型幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)についても、良好な結果を示すことが判った。
〔着色剤〕
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量[%]、好ましくは3〜10重量[%]である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
<離型剤>
離型剤としては、融点が50〜120[℃]の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着装置12の定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもでき、有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラ42との静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
荷電制御剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもでき、有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
〔外添剤〕
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2[μm]以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置4内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。
しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5[wt%]の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法の一例を示すが、これに限られるものではない。
<トナーの製造方法>
トナーバインダーは以下の方法などで製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらに(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際および(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。未変性ポリエステルを併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で変性ポリエステルを製造し、反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
本実施形態に係る画像形成装置に用いられるトナーは以下の方法で製造することができるが、勿論これらに限定されることはない。
(水系媒体中でのトナー製造法)
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(ii)を用いても良い。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(ii)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(ii)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、ウレア変性ポリエステル(ii)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステル(ii)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(ii)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いる事が出来る。
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
上述のように、結晶性ポリエステルを含む低融点トナーを用いた非接触(一成分)現像方式の作像手段を備える本実施形態の画像形成装置によれば、感光体へのトナー固着を防止することができ、高い耐久性を有するとともに、低コストかつ省エネルギー性を実現可能な低環境負荷の画像形成装置を提供することができる。
1 作像手段(プロセスカートリッジ)
2 像担持体(感光体)
3 帯電手段(帯電部材)
4 現像装置
5 クリーニング手段(クリーニング部)
6 露光手段
42 現像剤担持体(現像ローラ)
44 供給ローラ
45 規制部材(ドクタブレード)
500 画像形成装置(複写機)
T 現像剤(トナー)
特開2009−122642号公報 特開2008−020862号公報 特開2008−065097号公報 特開2004−302458号公報

Claims (8)

  1. 潜像を担持する像担持体と、
    前記像担持体表面を露光する露光手段と、
    前記像担持体に接触し、印加された交流電圧により前記像担持体表面を帯電させて前記潜像を形成する帯電手段と、
    前記像担持体上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有する現像剤を供給し、非接触で現像する現像手段と、
    前記像担持体表面に接触するブレード状の部材を有し、不要な前記現像剤を除去するクリーニング手段と、からなる作像手段、及び前記帯電手段の電圧を制御する電圧制御手段を少なくとも備え、
    前記電圧制御手段は、前記帯電手段の交流電圧の周波数を、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記電圧制御手段は、前記非印字動作時における前記帯電手段の交流電圧の周波数を、前記像担持体の共振周波数と同一ないし略同一となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 画像形成に関する印刷ジョブに基づく印刷モードと、前記印刷ジョブと独立した非印刷モードとを有し、
    前記電圧制御手段は、前記帯電手段の交流電圧の周波数を、前記印刷モードと前記非印刷モードとで異なるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 複数の記録媒体へ連続して画像形成を行う印刷ジョブに基づく連続印刷を実行中に、
    前記電圧制御手段が、前記帯電手段の交流電圧の周波数を、前記記録媒体の印字領域と非印字領域とで異なるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  5. 前記現像手段は、前記現像剤を担持した状態で回転して前記像担持体へ前記現像剤を供給する現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に形成される現像剤の層の厚みを規制する規制部材とを備え、前記現像剤担持体の表面に規則的に配置された凹凸部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記作像手段を複数備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 潜像を担持する像担持体と、
    前記像担持体表面を露光する露光手段と、
    印加された交流電圧により前記像担持体表面を帯電させて前記潜像を形成する帯電手段と、
    前記像担持体上の前記潜像に結晶性ポリエステル樹脂を含有する現像剤を供給し、接触して現像する現像手段と、前記像担持体表面に接触するブレード状の部材を有し、不要な前記現像剤を除去するクリーニング手段と、からなる作像手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置に用いられ、前記帯電手段に印加される交流電圧の周波数が、印字動作時と非印字動作時とで異なるように制御されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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