JP2014119068A - デュアルクラッチ式変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクチュエータの駆動力の伝達効率を向上させて信頼性の高い変速操作を実現できると共に、部品点数の減少により製造コストの低減や小型軽量化を達成できるデュアルクラッチ式変速機を提供する。
【解決手段】油圧シリンダ10の駆動操作によりピストンロッド16に沿って案内されるストライカ17の移動をシフトレール19に伝達し、シフトレール19の軸方向の摺動に伴ってスリーブ9aによりシンクロ機構9を作動させて所望の変速段を達成するデュアルクラッチ式変速機において、ストライカ17の下端を操作部17b及び当接部17cからなる二股状に形成し、これらの操作部17b及び当接部17cでシフトレール19を挟み込むことにより、ピストンロッド16を中心とするストライカ17の回転を規制する。
【選択図】図3
【解決手段】油圧シリンダ10の駆動操作によりピストンロッド16に沿って案内されるストライカ17の移動をシフトレール19に伝達し、シフトレール19の軸方向の摺動に伴ってスリーブ9aによりシンクロ機構9を作動させて所望の変速段を達成するデュアルクラッチ式変速機において、ストライカ17の下端を操作部17b及び当接部17cからなる二股状に形成し、これらの操作部17b及び当接部17cでシフトレール19を挟み込むことにより、ピストンロッド16を中心とするストライカ17の回転を規制する。
【選択図】図3
Description
本発明はデュアルクラッチ式変速機に係り、詳しくはアクチュエータの駆動力をシフトレールを介してシンクロ機構のスリーブに伝達して所望の変速段を達成する伝達機構に関する。
この種のデュアルクラッチ式変速機は、奇数変速段の歯車機構及び偶数変速段の歯車機構を相互に独立した動力伝達系として備え、それぞれの歯車機構をクラッチを介してエンジンなどの走行用動力源に連結したシステムである。このようなデュアルクラッチ式変速機では、一方のクラッチを接続して対応する歯車機構を介して動力を伝達しているときに、クラッチを切断した他方の歯車機構を次に予測される次変速段に事前に切り換えておく(プリセレクト)。そして、その後に変速タイミングに至ると、両クラッチの断接状態を逆転させることにより動力伝達を中断することなく次変速段への切換を完了するようになっている。
デュアルクラッチ式変速機の歯車機構には、従来からの平行軸常時噛合式の手動変速機と同様の構成が採用されている。歯車機構の各変速段のギヤにはそれぞれシンクロ機構が付設されており、シンクロ機構のスリーブを操作してギヤを回転同期させながら結合することにより、所望の変速段を達成するようになっている。各スリーブは個別にシフトレールに連結されており、任意のシフトレールをアクチュエータにより軸方向に摺動させることで、目的のスリーブを操作するように構成されている。
このようなアクチュエータからスリーブまでの伝達機構の一例として、例えば特許文献1及び特許文献2の技術を挙げることができる。
このようなアクチュエータからスリーブまでの伝達機構の一例として、例えば特許文献1及び特許文献2の技術を挙げることができる。
特許文献1及び特許文献2の技術では、各シフトレール上に環状をなすシフトジョーが嵌め込まれてスプリングピンで固定され、各シフトジョーにはそれぞれ操作凹部が形成されている。シフトレールの上方位置には直交方向に1本のスプライン軸が配設され、スプライン軸上には環状をなすストライカが軸方向に摺動可能且つ相対回転不能に嵌め込まれている。ストライカからはレバー部が下方に延設され、レバー部の下端は何れかのシフトジョーの操作凹部内に位置している。
スプライン軸の回転及びスプライン軸上でのストライカの摺動は、図示しないアクチュエータにより行われるようになっている。従って、アクチュエータの駆動によりスプライン軸上でストライカを移動させることにより、レバー部の下端は目的の変速段に対応するシフトジョーの操作凹部内に位置する。
そして、この状態でアクチュエータによりスプライン軸を回転させると、ストライカのレバー部の下端によりシフトジョーと共にシフトレールが軸方向に摺動してスリーブが操作され、これによりシンクロ機構が作動して変速段が達成される。
ところで、特許文献1及び特許文献2の技術のようにストライカをスプライン軸上で移動させる代わりに、各シフトレールを個別にアクチュエータで駆動操作する形式のデュアルクラッチ式変速機も存在する。
そして、この状態でアクチュエータによりスプライン軸を回転させると、ストライカのレバー部の下端によりシフトジョーと共にシフトレールが軸方向に摺動してスリーブが操作され、これによりシンクロ機構が作動して変速段が達成される。
ところで、特許文献1及び特許文献2の技術のようにストライカをスプライン軸上で移動させる代わりに、各シフトレールを個別にアクチュエータで駆動操作する形式のデュアルクラッチ式変速機も存在する。
このような変速機では、例えば各シフトレールの上方位置に、スプライン軸に代えてシフトレールと対応する数のピストンロッドがそれぞれ平行に配設され、これらのピストンロッドが個別にアクチュエータで軸方向に摺動されるようになっている。各ピストンロッド上にはそれぞれストライカが固定され、各ストライカからはレバー部が下方に延設されている。各シフトレール上には操作凹部を備えたシフトジョーが固定され、各シフトジョーの操作凹部内にストライカのレバー部の下端がそれぞれ挿入されてストライカとシフトジョーとの相対移動が規制されている。
所望の変速段を達成するには、その変速段に対応するアクチュエータを作動させてピストンロッドを摺動させる。ピストンロッドと共にストライカも移動し、ストライカの移動はシフトジョーを介してシフトレールに伝達される。そして、シフトレールと共にスリーブが移動して、シンクロ機構の作動により変速段が達成される。
所望の変速段を達成するには、その変速段に対応するアクチュエータを作動させてピストンロッドを摺動させる。ピストンロッドと共にストライカも移動し、ストライカの移動はシフトジョーを介してシフトレールに伝達される。そして、シフトレールと共にスリーブが移動して、シンクロ機構の作動により変速段が達成される。
しかしながら、各シフトレールに対応して個別にアクチュエータを設けた形式のデュアルクラッチ式変速機では、ストライカを回転規制する対策を講じる必要があり、その構造が複雑化するという問題がある。
即ち、ストライカはピストンロッド上に固定・支持されているが、断面円形状をなすピストンロッド自体は回転自在であることから、ストライカを回転規制する役割は果たさない。ピストンロッドを中心としてストライカが回転すると、そのレバー部の下端がシフトレールの操作凹部内から離脱してしまい、アクチュエータの駆動力をシフトレール側に伝達できなくなる。
即ち、ストライカはピストンロッド上に固定・支持されているが、断面円形状をなすピストンロッド自体は回転自在であることから、ストライカを回転規制する役割は果たさない。ピストンロッドを中心としてストライカが回転すると、そのレバー部の下端がシフトレールの操作凹部内から離脱してしまい、アクチュエータの駆動力をシフトレール側に伝達できなくなる。
そこで、ピストンロッドに沿ったストライカの移動を妨げることなくストライカを回転規制するために、ガイドロッドを利用した対策が講じられている。その構成を具体的に述べると、変速機のハウジング内には各ストライカに対応してガイドロッドがそれぞれ配設され、これらのガイドロッドがストライカに貫設されたロッド孔内に挿入されている。このガイドロッドによりピストンロッドを中心としたストライカの回転が規制される一方、ピストンロッドに沿ったストライカの移動は、ガイドロッド上をストライカが摺動することにより許容される。
しかしながら、このような対策のためには、ストライカと同等の数のガイドロッドが必要になると共に、そのガイドロッドが挿入されるロッド孔を各ストライカに形成する必要が生じる。結果として部品点数が増加して部品コストや組付け性の点で良好とは言えず、従来からコスト低減の対策が要望されていた。
しかしながら、このような対策のためには、ストライカと同等の数のガイドロッドが必要になると共に、そのガイドロッドが挿入されるロッド孔を各ストライカに形成する必要が生じる。結果として部品点数が増加して部品コストや組付け性の点で良好とは言えず、従来からコスト低減の対策が要望されていた。
また、ストライカはガイドロッド上を摺動しながら移動するため、アクチュエータの駆動力の一部は摺動抵抗によって無駄に消費されてしまう。よって、駆動力の伝達効率が良好でなく、変速操作の信頼性の点でも今一つ改良の余地があった。
加えて、変速機には所期の性能を確保した上で小型軽量化が要望されているが、変速機のハウジング内に複数本のガイドロッドを配設する必要があることから、このような要望を十分に満足することもできなかった。
加えて、変速機には所期の性能を確保した上で小型軽量化が要望されているが、変速機のハウジング内に複数本のガイドロッドを配設する必要があることから、このような要望を十分に満足することもできなかった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、アクチュエータの駆動力の伝達効率を向上させて信頼性の高い変速操作を実現できると共に、部品点数の減少により製造コストの低減や小型軽量化を達成することができるデュアルクラッチ式変速機を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、各変速段のシンクロ機構のスリーブに対してシフトレールをそれぞれ連結し、各シフトレールと対応するように、アクチュエータの駆動操作により案内部材に沿って案内されるストライカをそれぞれ設け、ストライカの移動を対応するシフトレールに伝達してシフトレールの軸方向への摺動に伴ってシンクロ機構を作動させて所望の変速段を達成するデュアルクラッチ式変速機において、各シフトレールに対してストライカの一側を係合させて、アクチュエータによる案内部材に沿ったストライカの移動をシフトレールに伝達して摺動させる一方、シフトレールに対するストライカの係合により案内部材を中心とするストライカの回転を規制するものである。
請求項2の発明は、請求項1において、ストライカの一側が二股状に形成され、一側によりシフトレールを両側から挟み込むことにより案内部材を中心とする回転が規制されているものである。
請求項3の発明は、請求項1において、シフトレールに孔が形成され、ストライカの一側がシフトレールの孔に挿入されることにより案内部材を中心とする回転が規制されているものである。
請求項3の発明は、請求項1において、シフトレールに孔が形成され、ストライカの一側がシフトレールの孔に挿入されることにより案内部材を中心とする回転が規制されているものである。
以上説明したように請求項1の発明のデュアルクラッチ式変速機によれば、アクチュエータにより案内部材に沿って案内されるストライカの移動をシフトレールに伝達し、シフトレールの軸方向の摺動に伴ってスリーブによりシンクロ機構を作動させて所望の変速段を達成するデュアルクラッチ式変速機において、各シフトレールにストライカの一側を係合させてストライカの移動をシフトレールに伝達して摺動させる一方、シフトレールに対するストライカの係合により案内部材を中心とするストライカの回転を規制するようにした。
従って、案内部材を中心とするストライカの回転がシフトレールにより規制されることから、回転規制のためのガイドロッドを省略でき、且つガイドロッドが挿入されるロッド孔を各ストライカに形成する必要がなくなる。このため部品点数を減少させて製造コストを低減できると共に。変速機の小型軽量化を実現できる。さらに、ストライカとガイドロッドとの間の摺動抵抗に起因する伝達効率の低下を未然に防止でき、ひいては変速操作の信頼性を向上することができる。
従って、案内部材を中心とするストライカの回転がシフトレールにより規制されることから、回転規制のためのガイドロッドを省略でき、且つガイドロッドが挿入されるロッド孔を各ストライカに形成する必要がなくなる。このため部品点数を減少させて製造コストを低減できると共に。変速機の小型軽量化を実現できる。さらに、ストライカとガイドロッドとの間の摺動抵抗に起因する伝達効率の低下を未然に防止でき、ひいては変速操作の信頼性を向上することができる。
請求項2の発明のデュアルクラッチ式変速機によれば、請求項1に加えて、ストライカの一側を二股状としてシフトレールを両側から挟み込んで回転規制するようにした。
従って、ストライカの一側を二股状に形成してシフトレールを挟み込むだけで回転規制の作用を得ることができる。
請求項3の発明のデュアルクラッチ式変速機によれば、請求項1に加えて、シフトレールに形成した孔内にストライカの一側を挿入して回転規制するようにした。
従って、シフトレールに孔を形成してストライカの一側を挿入するだけで回転規制の作用を得ることができる。
従って、ストライカの一側を二股状に形成してシフトレールを挟み込むだけで回転規制の作用を得ることができる。
請求項3の発明のデュアルクラッチ式変速機によれば、請求項1に加えて、シフトレールに形成した孔内にストライカの一側を挿入して回転規制するようにした。
従って、シフトレールに孔を形成してストライカの一側を挿入するだけで回転規制の作用を得ることができる。
[第1実施形態]
以下、本発明をトラック用のデュアルクラッチ式変速機に具体化した第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態のデュアルクラッチ式変速機を示す全体構成図である。トラック(以下、車両という)1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1の出力軸1aは車両後方(図の右方)に突出し、変速機2の入力軸2aに接続されている。変速機2は前進6段(1速段〜6速段)及び後退1段の変速段を備えている。エンジン1の動力は入力軸2aを介して変速機2に入力された後に、変速段に応じて変速されて出力軸2bから出力され、プロペラ軸3a、差動装置3b及び駆動軸3cを介して左右の後輪3dに伝達されるようになっている。
以下、本発明をトラック用のデュアルクラッチ式変速機に具体化した第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態のデュアルクラッチ式変速機を示す全体構成図である。トラック(以下、車両という)1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1の出力軸1aは車両後方(図の右方)に突出し、変速機2の入力軸2aに接続されている。変速機2は前進6段(1速段〜6速段)及び後退1段の変速段を備えている。エンジン1の動力は入力軸2aを介して変速機2に入力された後に、変速段に応じて変速されて出力軸2bから出力され、プロペラ軸3a、差動装置3b及び駆動軸3cを介して左右の後輪3dに伝達されるようになっている。
変速機2は、所謂デュアルクラッチ式変速機として構成されている。当該デュアルクラッチ式変速機の詳細は、例えば特開2009−035168号公報などに記載されているため、本実施形態では概略説明にとどめる。このため、図1では変速機2を実際の機構とは異なる模式的な表現で示しており、以下の説明でも変速機2の構成及び作動状態を概念的に述べる。
周知のようにデュアルクラッチ式変速機は、奇数変速段の歯車機構G1及び偶数変速段の歯車機構G2を相互に独立した動力伝達系として備え、それぞれの歯車機構G1,G2をクラッチC1,C2を介してエンジン1に連結したシステムである。
即ち、図1に示すように、変速機2の入力軸2aにはクラッチC1を介して奇数変速段(1,3,5速段)からなる歯車機構G1が接続されると共に、同じくクラッチC2を介して偶数変速段(2,4,6速段)からなる歯車機構G2が接続され、これらの歯車機構G1,G2の出力側が上記した共通の出力軸2bに連結されている。
周知のようにデュアルクラッチ式変速機は、奇数変速段の歯車機構G1及び偶数変速段の歯車機構G2を相互に独立した動力伝達系として備え、それぞれの歯車機構G1,G2をクラッチC1,C2を介してエンジン1に連結したシステムである。
即ち、図1に示すように、変速機2の入力軸2aにはクラッチC1を介して奇数変速段(1,3,5速段)からなる歯車機構G1が接続されると共に、同じくクラッチC2を介して偶数変速段(2,4,6速段)からなる歯車機構G2が接続され、これらの歯車機構G1,G2の出力側が上記した共通の出力軸2bに連結されている。
クラッチC1及びクラッチC2にはそれぞれ油圧シリンダ4が接続され、両油圧シリンダ4は電磁弁5が介装された油路6を介して油圧供給源7に接続されている。電磁弁5の開閉に応じて油圧シリンダ4に作動油が供給され、油圧シリンダ4の駆動によりクラッチC1,C2が接続または切断されるようになっている。
また、歯車機構G1,G2にはギヤシフトユニット8が設けられている。図2に基づき後述するが、ギヤシフトユニット8は、歯車機構G1,G2の各変速段のギヤg1,g2をシンクロ機構9により回転同期させながら切り換えるための3つの油圧シリンダ10(アクチュエータ)、それらの油圧シリンダ10の駆動力をシンクロ機構9に伝達する伝達機構11、及び油圧シリンダ10を作動させる複数の電磁弁12を内蔵している。図1に示すように、ギヤシフトユニット8は油路13を介して上記した油圧供給源7と接続されており、各電磁弁12の開閉に応じて油圧供給源7からの作動油が対応する油圧シリンダ10に供給され、その油圧シリンダ10が作動して歯車機構G1,G2の変速段が切り換えられる。
また、歯車機構G1,G2にはギヤシフトユニット8が設けられている。図2に基づき後述するが、ギヤシフトユニット8は、歯車機構G1,G2の各変速段のギヤg1,g2をシンクロ機構9により回転同期させながら切り換えるための3つの油圧シリンダ10(アクチュエータ)、それらの油圧シリンダ10の駆動力をシンクロ機構9に伝達する伝達機構11、及び油圧シリンダ10を作動させる複数の電磁弁12を内蔵している。図1に示すように、ギヤシフトユニット8は油路13を介して上記した油圧供給源7と接続されており、各電磁弁12の開閉に応じて油圧供給源7からの作動油が対応する油圧シリンダ10に供給され、その油圧シリンダ10が作動して歯車機構G1,G2の変速段が切り換えられる。
本実施形態の車両1は2速発進を前提としているため、車両の加減速時には2速段以上で各変速段がシフトアップ側或いはシフトダウン側に順次切り換えられる。
この変速時において、基本的にクラッチC1及びクラッチC2の断接状態は常に逆方向に切り換えられる。このため、一方のクラッチC1,C2の接続により対応する歯車機構G1,G2の何れかの変速段が達成されて動力伝達されているときには、他方のクラッチC1,C2が切断されることで対応する歯車機構G1,G2では何れの変速段も動力伝達していない状態にある。よって、他方の歯車機構G1,G2では次変速段(現在の変速段に隣接する高ギヤ側または低ギヤ側の変速段)への事前の切換(プリセレクト)が可能となる。そして、その後に変速タイミングに至ると、クラッチC1及びクラッチC2の断接状態を逆転させることにより動力伝達を中断することなく変速が完了する。
この変速時において、基本的にクラッチC1及びクラッチC2の断接状態は常に逆方向に切り換えられる。このため、一方のクラッチC1,C2の接続により対応する歯車機構G1,G2の何れかの変速段が達成されて動力伝達されているときには、他方のクラッチC1,C2が切断されることで対応する歯車機構G1,G2では何れの変速段も動力伝達していない状態にある。よって、他方の歯車機構G1,G2では次変速段(現在の変速段に隣接する高ギヤ側または低ギヤ側の変速段)への事前の切換(プリセレクト)が可能となる。そして、その後に変速タイミングに至ると、クラッチC1及びクラッチC2の断接状態を逆転させることにより動力伝達を中断することなく変速が完了する。
次に、上記ギヤシフトユニット8の構成、特に油圧シリンダ10の駆動力を各変速段のシンクロ機構9に伝達するための伝達機構11の構成について述べる。
図2は変速段に付設したシンクロ機構9に油圧シリンダ10の駆動力を伝達するための伝達機構11を示すギヤシフトユニット8の部分断面図、図3は同じく伝達機構11を示す図2のIII−III線断面図、図4は同じく伝達機構11を示す図3のIV−IV線断面図である。
ギヤシフトユニット8のハウジング15内には3本のピストンロッド16(案内部材)が配設され(図2では1本のみを図示)、各ピストンロッド16は車両の前後方向に延び且つ左右方向に並ぶように配置されている。各ピストンロッド16はハウジング15に設けられたガイド孔15a内にそれぞれ挿入され、ガイド孔15aの案内により個別に前後方向に摺動可能となっている。
各ピストンロッド16の後端には上記した油圧シリンダ10がそれぞれ連結され、上記油圧供給源7からの作動油の供給により各油圧シリンダ10がピストンロッド16を軸方向に駆動操作するようになっている。
図2は変速段に付設したシンクロ機構9に油圧シリンダ10の駆動力を伝達するための伝達機構11を示すギヤシフトユニット8の部分断面図、図3は同じく伝達機構11を示す図2のIII−III線断面図、図4は同じく伝達機構11を示す図3のIV−IV線断面図である。
ギヤシフトユニット8のハウジング15内には3本のピストンロッド16(案内部材)が配設され(図2では1本のみを図示)、各ピストンロッド16は車両の前後方向に延び且つ左右方向に並ぶように配置されている。各ピストンロッド16はハウジング15に設けられたガイド孔15a内にそれぞれ挿入され、ガイド孔15aの案内により個別に前後方向に摺動可能となっている。
各ピストンロッド16の後端には上記した油圧シリンダ10がそれぞれ連結され、上記油圧供給源7からの作動油の供給により各油圧シリンダ10がピストンロッド16を軸方向に駆動操作するようになっている。
各ピストンロッド16には環状をなすストライカ17がそれぞれ嵌め込まれ、各ストライカ17はスプリングピン14が貫通・挿入されることによりピストンロッド16上の所定位置に固定されている。各ストライカ17からはそれぞれレバー部17aが下方に延設され、レバー部17aの下端は操作部17b及び当接部17cからなる二股状をなしている。
ハウジング15内のピストンロッド16の下方位置には、各ピストンロッド16と対応するように前後方向に延びる3本のシフトレール19が配設されている。各シフトレール19はハウジング15に設けられたガイド孔15b内にそれぞれ挿入され、ガイド孔15bの案内により個別に前後方向に摺動可能となっている。
各シフトレール19にはストライカ17と対応する前後位置に操作凹部20が形成されている。図4に示すように、各操作凹部20は平面視で四角状をなして左方或いは右方に向けて開口し、それぞれ前方及び後方(シフトレール19の摺動方向)に面した一対の押圧操作面20aを有している。
ハウジング15内のピストンロッド16の下方位置には、各ピストンロッド16と対応するように前後方向に延びる3本のシフトレール19が配設されている。各シフトレール19はハウジング15に設けられたガイド孔15b内にそれぞれ挿入され、ガイド孔15bの案内により個別に前後方向に摺動可能となっている。
各シフトレール19にはストライカ17と対応する前後位置に操作凹部20が形成されている。図4に示すように、各操作凹部20は平面視で四角状をなして左方或いは右方に向けて開口し、それぞれ前方及び後方(シフトレール19の摺動方向)に面した一対の押圧操作面20aを有している。
上記各ストライカ17のレバー部17aの操作部17bは、それぞれ対応するシフトレール19の操作凹部20内に挿入されている。操作部17bは操作凹部20と対応する略四角状の断面をなし、操作凹部20の前後の押圧操作面20aにそれぞれ当接することにより前後方向への相対移動が規制されている。
また、レバー部17aの当接部17cは、それぞれ対応するシフトレール19の反操作凹部20側の周面に当接している。結果としてシフトレール19はレバー部17aの操作部17bと当接部17cとにより左右から挟み込まれ、これによりピストンロッド16を中心としたストライカ17の回転が規制されている。
また、レバー部17aの当接部17cは、それぞれ対応するシフトレール19の反操作凹部20側の周面に当接している。結果としてシフトレール19はレバー部17aの操作部17bと当接部17cとにより左右から挟み込まれ、これによりピストンロッド16を中心としたストライカ17の回転が規制されている。
各シフトレール19の前端にはシフトフォーク21が固定され、各シフトフォーク21は変速機2内の回転軸L上に設けられたシンクロ機構9のスリーブ9aに係合している。シンクロ機構9の前後には異なる変速段のギヤg1,g2が配設され、両ギヤg1,g2にはそれぞれシンクロ機構9のシンクロリング9bが付設されている。各変速段のギヤg1,g2は回転軸L上で回転可能に支持され、これに対してスリーブ9aは回転軸Lに対して回転規制されている。
シンクロ機構9の原理については周知であるため詳細は述べないが、所望の変速段のギヤg1,g2側にスリーブ9aを移動させてシンクロリング9bとギヤg1,g2との間に摩擦力を発生させて回転同期させながら、スリーブ9aとギヤg1,g2とをドグ歯で噛合させることにより結合して変速段を達成するようになっている。
図2では1本のシフトレール19により達成される一対の変速段のギヤg1,g2のみが示されているが、他の2本のシフトレール19も同様に一対の変速段を達成するように構成されており、合計で前進6段分の変速段を任意に達成可能となっている。
図2では1本のシフトレール19により達成される一対の変速段のギヤg1,g2のみが示されているが、他の2本のシフトレール19も同様に一対の変速段を達成するように構成されており、合計で前進6段分の変速段を任意に達成可能となっている。
従って、所望の変速段を達成するには、その変速段に対応する油圧シリンダ10を作動させてピストンロッド16をシフトレール19に沿って前方または後方に摺動させる。ピストンロッド16と共にストライカ17も前後動し、ストライカ17の前方への移動時には、そのレバー部17aの操作部17bの前面がシフトレール19の操作凹部20の前側の押圧操作面20aを前方に押圧する。これによりストライカ17の移動がシフトレール19に伝達されてシフトレール19も前方に摺動し、スリーブ9aの移動によりシンクロ機構9が作動して所望の変速段(前側のギヤg1の変速段)が達成される。
また、ストライカ17の後方への移動時には、そのレバー部17aの操作部17bの後面がシフトレール19の操作凹部20の後側の押圧操作面20aを後方に押圧する。これによりストライカ17の移動がシフトレール19に伝達され、シフトレール19と共にスリーブ9aが後方に移動し、シンクロ機構9により所望の変速段(後側のギヤg2の変速段)が達成される。
また、ストライカ17の後方への移動時には、そのレバー部17aの操作部17bの後面がシフトレール19の操作凹部20の後側の押圧操作面20aを後方に押圧する。これによりストライカ17の移動がシフトレール19に伝達され、シフトレール19と共にスリーブ9aが後方に移動し、シンクロ機構9により所望の変速段(後側のギヤg2の変速段)が達成される。
そして、以上の説明から明らかなように、本実施形態ではストライカ17の回転規制作用がシフトレール19により奏される。従って、[発明が解決しようとする課題]で説明したストライカ17を回転規制するためのガイドロッドを省略でき、しかもガイドロッドが挿入されるロッド孔を各ストライカ17に形成する必要がなくなる。このため部品点数が減少することから、部品コストの低減や組付け性の向上によって製造コストを低減することができる。
また、ガイドロッドの省略により変速機2が小型化すると共に軽量化にもつながるため、所期の性能を確保した上で変速機2の小型軽量化を実現することができる。
また、ガイドロッドの省略により変速機2が小型化すると共に軽量化にもつながるため、所期の性能を確保した上で変速機2の小型軽量化を実現することができる。
さらに、ストライカ17を回転規制するためのガイドロッドを備えた場合には、ガイドロッド上をストライカ17が摺動するときの摺動抵抗によって油圧シリンダ10の駆動力の一部が無駄に消費されてしまうが、このような不具合を回避できる。よって、油圧シリンダ10の駆動力をシンクロ機構9に効率的に伝達でき、ひいては変速操作の信頼性を向上することができる。
しかも、ストライカ17のレバー部17aを二股状に形成してシフトレール19を挟み込むだけの簡単な構成により、上記種々の作用効果を達成することができる。
しかも、ストライカ17のレバー部17aを二股状に形成してシフトレール19を挟み込むだけの簡単な構成により、上記種々の作用効果を達成することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別のデュアルクラッチ式変速機2に具体化した第2実施形態を説明する。
本実施形態のデュアルクラッチ式変速機2は、第1実施形態で述べたものと図1に示した全体構成については同様であり、相違点は、ストライカ31とシフトレール19との係合状態にある。そこで、共通する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
次に、本発明を別のデュアルクラッチ式変速機2に具体化した第2実施形態を説明する。
本実施形態のデュアルクラッチ式変速機2は、第1実施形態で述べたものと図1に示した全体構成については同様であり、相違点は、ストライカ31とシフトレール19との係合状態にある。そこで、共通する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
図5は本実施形態の伝達機構11を示す第1実施形態の図3に対応する断面図、図6は同じく伝達機構11を示す図5のVI−VI線断面図である。
各ストライカ31のレバー部31aは下方に延設され、レバー部31aの下端は前後方向に長い板状断面をなしている。各シフトレール19には、レバー部31aの下端の断面形状に対応する長孔状の操作孔32が上下に貫設され、操作孔32の前後の半円状の箇所を押圧操作面32aとしている。
各ストライカ31のレバー部31aの下端は対応するシフトレール19の操作孔32内に上方より挿入され、前後の押圧操作面20aにそれぞれ当接して前後方向への相対移動が規制されている。結果として第1実施形態と同様に、シフトレール19によりピストンロッド16を中心としたストライカ31の回転が規制されている。
各ストライカ31のレバー部31aは下方に延設され、レバー部31aの下端は前後方向に長い板状断面をなしている。各シフトレール19には、レバー部31aの下端の断面形状に対応する長孔状の操作孔32が上下に貫設され、操作孔32の前後の半円状の箇所を押圧操作面32aとしている。
各ストライカ31のレバー部31aの下端は対応するシフトレール19の操作孔32内に上方より挿入され、前後の押圧操作面20aにそれぞれ当接して前後方向への相対移動が規制されている。結果として第1実施形態と同様に、シフトレール19によりピストンロッド16を中心としたストライカ31の回転が規制されている。
従って、重複する説明はしないが、本実施形態においても回転規制のためのガイドロッドを省略できることから、部品点数の減少により製造コストの低減や小型軽量化を達成できると共に、油圧シリンダ10の駆動力の伝達効率を向上させて信頼性の高い変速操作を実現することができる。
しかも、シフトレール19に操作孔32を形成してストライカ31のレバー部31aの下端を挿入するだけの簡単な構成により、上記種々の作用効果を達成することができる。
しかも、シフトレール19に操作孔32を形成してストライカ31のレバー部31aの下端を挿入するだけの簡単な構成により、上記種々の作用効果を達成することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、トラック1用のデュアルクラッチ式変速機2に具体化したが、これに限るものではなく、例えば乗用車やバスなどに搭載するデュアルクラッチ式変速機2に具体化してもよい。
また上記実施形態では、前進6段を有する変速機2として具体化し、その変速操作を行うためのアクチュエータとしてギヤシフトユニット8に油圧シリンダ10を備えたが、これらに限るものではない。例えば変速機2の変速段の数を変更したり、或いはアクチュエータの種類を変更したりしてもよい。具体的には油圧シリンダ10に代えて、エアシリンダ或いは電動式のアクチュエータなどを用いてもよい。
また上記実施形態では、前進6段を有する変速機2として具体化し、その変速操作を行うためのアクチュエータとしてギヤシフトユニット8に油圧シリンダ10を備えたが、これらに限るものではない。例えば変速機2の変速段の数を変更したり、或いはアクチュエータの種類を変更したりしてもよい。具体的には油圧シリンダ10に代えて、エアシリンダ或いは電動式のアクチュエータなどを用いてもよい。
9 シンクロ機構
9a スリーブ
10 油圧シリンダ(アクチュエータ)
16 ピストンロッド(案内部材)
17,31 ストライカ
19 シフトレール
32 操作孔(孔)
9a スリーブ
10 油圧シリンダ(アクチュエータ)
16 ピストンロッド(案内部材)
17,31 ストライカ
19 シフトレール
32 操作孔(孔)
Claims (3)
- 各変速段のシンクロ機構のスリーブに対してシフトレールをそれぞれ連結し、各シフトレールと対応するように、アクチュエータの駆動操作により案内部材に沿って案内されるストライカをそれぞれ設け、該ストライカの移動を上記対応するシフトレールに伝達して該シフトレールの軸方向への摺動に伴って上記シンクロ機構を作動させて所望の変速段を達成するデュアルクラッチ式変速機において、
上記各シフトレールに対して上記ストライカの一側を係合させて、上記アクチュエータによる上記案内部材に沿った上記ストライカの移動を上記シフトレールに伝達して摺動させる一方、該シフトレールに対する上記ストライカの係合により上記案内部材を中心とする該ストライカの回転を規制するようにしたことを特徴とするデュアルクラッチ式変速機。 - 上記ストライカの一側が二股状に形成され、該一側により上記シフトレールを両側から挟み込むことにより上記案内部材を中心とする回転が規制されていることを特徴とする請求項1記載のデュアルクラッチ式変速機。
- 上記シフトレールには孔が形成され、
上記ストライカの一側が上記シフトレールの孔に挿入されることにより上記案内部材を中心とする回転が規制されていることを特徴とする請求項1記載のデュアルクラッチ式変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012275782A JP2014119068A (ja) | 2012-12-18 | 2012-12-18 | デュアルクラッチ式変速機 |
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ID=51174076
Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105443745A (zh) * | 2014-07-29 | 2016-03-30 | 广州汽车集团股份有限公司 | 双离合变速器的换挡执行机构 |
CN108757924A (zh) * | 2018-07-18 | 2018-11-06 | 江苏中车电机有限公司 | 一种一体桥式电动车用自动换挡驱动器 |
-
2012
- 2012-12-18 JP JP2012275782A patent/JP2014119068A/ja active Pending
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