JP2014118661A - 産後用ウエストニッパー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯状のベルト本体12を腹部周りに巻くようにした産後用ウエストニッパーであって、巻く方向Xの両端部14,15はその内面にベルト本体12の外面に対して着脱可能な面ファスナー30,31を有し、両端部14,15のいずれか一方の端部15側に寄った一箇所であって、巻く方向Xと直交する幅方向の中央部に、両端部14,15のいずれか他方の端部14が挿入可能な切れ目状の開口孔40を有し、ベルト本体12の内面には、腹部の前側の領域に対応して、柔軟性を有すると共に段部のない円滑領域13が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この点、特許文献4は、全体が単なる筒状であって、大げさな構造ではないため、帝王切開後の使用者等にとっても、傷口への刺激が少なく好ましい。しかし、デザイン性を求めて構造を単純にしたばかりに、締め付け力が弱いのは否めない。
そして、ベルト本体の内面には、腹部の前側の領域に対応して、柔軟性を有すると共に段部のない円滑領域が形成されている。従って、上述のように他方の端部を内側から開口孔に挿入して、両端部とベルト本体とを重着した後、ベルト本体を適宜回して、円滑領域を腹部の前側に配置させ、腹部前側の中央領域に跡が残るのが通常である帝王切開の傷口を刺激してしまうことを有効に防止できる。
しかも、ベルト本体を回す際の引っかかりの原因となる開口孔は一箇所であるため回し易く、帝王切開の傷口を刺激する恐れを低減できる。
また、ベルト本体は帯状であって、そこに開口孔が一箇所だけ配置されたような簡単な構造で上述のように締め付けが可能であるため、大げさな構造とする必要がない。さらに、その一箇所の開口孔自体も切れ目状とされている。従って、本ウエストニッパーの上に他の服を着用した際、当該服のデザインを損ねる恐れも有効に軽減できる。
そうすると、開口孔が脇腹に配置された状態からベルト本体を凡そ180度回して、反対側の脇腹に配置すると、柔軟性を有すると共に段部のない円滑領域を、帝王切開の傷口のある腹部前側の中央領域に配置できる。そして、このベルト本体を回す際、開口孔は背中側を介して傷口のある腹部を通らずに回せるので、傷口を刺激することもない。
また、ベルト本体を凡そ180度回すと、開口孔は当該反対側の脇腹に配置されるため、その開口孔から外側に出ている他方の端部を引っ張って、ベルト本体を回した後であっても、腹部を締め付けることもできる。
このようにして、例えば帝王切開した者が使用者である場合、体の前側で、一旦、開口孔に他方の端部を通して両端部をベルト本体の外面に取り付けて、軽く腹部を締め付け、その後、傷口に刺激を与えないように背中側を経由して、開口孔を反対側の脇腹に配置することで、ベルト本体の円滑領域を傷口のある腹部前側の中央領域に配置でき、そして、この状態で、さらに他方の端部を引っ張って微調整をして、最終的にベルト本体を腹部に固定することができる。
また、開口孔から他方の端部までの間は全体的に、幅方向に伸縮性が有り、かつ、巻く方向に略伸縮性を有していない。従って、幅方向の伸縮性により、使用者毎の異なる腹部の膨らみ具合に対応して腹部を覆うことができると共に、巻く方向の非伸縮性により、上述の隣接する領域の弾性力を損なうことなく、腹部を引き締められる。
ここで、面ファスナーに隣接する領域は、開口孔を脇腹に配置した状態で、腹部の前側の中央部に配置可能である。従って、例えば帝王切開した者が使用者であって、ベルト本体を回して開口孔を反対側の脇腹に配置した場合、腹部前側の中央部にあった面ファスナーに隣接する領域は、凡そ180度回って背中の中央部に配置され、また、この隣接する領域が重ねられるベルト本体の領域も背中の中央に配置されることになる。
そして、面ファスナーに隣接する領域は幅方向に略伸縮性を有さず、この隣接する領域が重ねられるベルト本体の領域(即ち、開口孔と他方の端部までの間)は巻く方向に略伸縮性を有していない。そうすると、これらが背中に重なって配置された状態では、幅方向にも巻く方向にも伸縮性を有しない状態となる。従って、背中側のベルト本体がよれ難くなって、この背中を基準にして、膨らんだ腹部を背中側に適切に引き締めることができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、各図において付した同じ符号は同様の構成を有している。
先ず、本発明の産後用ウエストニッパー(以下、「ニッパー」という)の概要について説明する。
本発明のニッパーは、産後の女性、特に、帝王切開などで腹部を痛めている女性に好適に使用されるが、産後の腹部を痛めていない女性であっても使用することができる。
図1はこの腹部を痛めている女性がニッパー10を装着した状態であり、全体的に長い帯状のベルト本体12の両端部14,15を概ね脇腹から背中の間に配置するようにして、腹部に巻いて使用される。具体的には、両端部14,15は、ベルト本体12に対して面ファスナー30,31で着脱可能になっており、この両端部14,15をベルト本体12に一旦、脇腹から腹部の前側で重着した後、ベルト本体12を回して、図1のように両端部14,15が痛めている腹部に配置されないよう装着している。なお、重着とは重ねて取り付けた状態を意味する。
そして、この図1のニッパー10は、健常者の装着状態を示す図2のように、わざわざベルト本体12を回すことなく、ベルト本体12の両端部14,15が脇腹から腹部の前側でベルト本体12と重着して、そのまま両端部14,15を適宜引っ張って締め付け力を調整し、装着することも可能である。
次に、このニッパー10の詳細な構造等を、主に、上述した図1、及び図3と図4を用いて説明する。図3は図1のニッパー10を展開した表面図、図4は図1のニッパー10を展開した裏面図である。
図3及び図4に示すように、ニッパー10を構成する帯状のベルト本体12は、その長手方向Xの寸法が少なくとも使用者の腹部周りの最大寸法より長く形成されている。
そして、装着時に腹部周りに直接密着する範囲Lの殆どは、幅方向Yの寸法W1が、図1に示すように、概ね使用者USの臍NA辺りから股CRの少し上までの寸法と同様とされている。これは、臍NAから股CRの少し上までの間に、帝王切開の傷口SCが多いためであり、幅方向Yの周縁12a,12bが傷口に触れることを可及的に回避するためである。
一つ目は、図1に示す腹部の傷口SCが大きいために、周縁12a,12bが傷口に接触する事態があったとしても、刺激を少なくする機能であり、具体的には、ベルト本体12を形成する過程で生ずる切断端面を被覆部材17が覆うようにして端部処理がなされている。
二つ目は、被覆部材17が例えばナイロンからなるパワーネットを用いた弾性部材で形成され、巻く方向(長手方向)Xの弾性力を補助する機能である。なお、被覆部材17はベルト本体12に縫合又は熱接着で取付け可能であるが、本実施形態の場合、巻く方向Xの弾性力を損なわないように、縫合により取付けられている。
先ず、図3及び図4に示すように、周縁12a,12bは互いに平行であり、展開した状態において緩やかな円弧状とされている。従って、図1に示すように、装着した際は略円錐台形状となり、上から下に向かうに従って膨らんだ腹部の体形に概ね対応できる。
次に、図3に示す腹部周りに直接密着する範囲(後述する開口孔40から他方の端部14までの間の範囲と同様)Lは、その殆どの部分が幅方向Yに所要の伸縮性を有している。ここにいう「所要の伸縮性」とは、ニッパー10の腹部に対する締付け力を損ねない程度に伸び縮みする性質であり、本実施形態の場合、範囲Lの殆どの部分はラミネート加工により形成され、表材のフレンチパイル(ナイロン100%)と、中材のウレタンと、裏材の綿パイル(綿100%)とを貼り合わせて形成されている。また、上記「殆どの部分」とは主要部を意味し、周縁12a,12bの被覆部材17や、後述する目印部16を除く。従って、範囲Lはその伸縮性により、使用者毎の異なる腹部の膨らみ具合に対応して伸び縮みし、腹部と均一に接触することができる。
なお、腹部周りに直接密着する範囲Lは、締め付け力を確保するため、周縁12a,12bの被覆部材17を除き、長手方向(巻く方向)Xには伸縮性を有していない。
面ファスナー30,31は公知のものを利用でき、例えば、フック状に起立したフック側とループ状に密集して起毛されたループ側とを押し付けて着脱可能なファスナーを利用でき、本実施形態では、両端部14,15の内面がフック側とされ、ベルト本体12の外面がループ状とされている。
このパワーネット等からなる隣接する領域32,33(特に領域32)は、巻く方向Xには弾性力を発揮するが、幅方向Yに沿ってテグス等の複数の非伸縮性部材が互いに平行に配列されているため、幅方向Yには略伸縮性を有していない。従って、引き伸ばしの方向性を付けられると共に、ベルト本体12の縒れを防止しながら、容易に腹部を引き締めることができる。この点については後で説明する。
なお、他方の端部14側の隣接する領域33については、その中間部に、好ましくは幅方向Yに沿って、ループ状の部材45が配設されており、この部材45と面ファスナー30との間を折ることで、部材45と面ファスナー30とが着脱自在になっている。
具体的に、この開口孔40は、図1に示すように、内面12c側から他方の端部14を挿入して、その他方の端部14を外面12d側に露出させ、上述した面ファスナー30をベルト本体12の外面12dに重ねて取付けるための厚み方向に貫通した孔である。
また、幅方向Yの中央部とは、開口孔40が周縁12a,12bに存在しないことを意味するものであり、幅方向Yの中心に開口孔40が配置される必然性はない。しかし、好ましくは、図3の開口孔40を拡げた一点鎖線で囲った図に示すように、開口孔40は幅方向Yのいずれか一方の周縁に偏らずに、仮想中心線CRから均等に幅方向Yに沿って伸びる切れ目状とされ、かつ、その長さL1が可及的に大きく形成されるのがよく、これにより、他方の端部14を開口孔40に挿入してベルト本体12の外面に重着する際、面ファスナー30の幅方向Yの重着位置を選択できる幅が広くなる。
この際、図5や図3の一点鎖線で囲った図に示すように、開口孔40の領域SRはその周辺に比べて可撓性が低くなるように、別部材28,29を縫合又は熱接着により取付けるのが好ましい。これにより、開口孔40を拡げ易くして、他方の端部14の挿入を容易にしている。
また、2つの部材12−1,12−2の重ね合わせ方は、部材12−2に対して、一方の端部15側の部材12−1が外側に配置されるのが好ましい。これにより、後述するようにベルト本体12を装着する際に回す時、開口孔40の領域SRが抵抗とならないようにできる。
具体的には、腹部の前側の領域とは、概ね帝王切開される可能性の高い領域と把握してもよく、帝王切開は縦及び/又は横に切開されるため、図1に示すように、概ね、巻く方向Xについて両腰骨の出た箇所(上前腸骨棘)X1,X2間であって、かつ、幅方向Yについて臍NA辺りから股CRの少し上までの間の領域である。そして、円滑領域13は、柔らかく膨らんで、さらに、その表面全体が滑らかな状態であるため、帝王切開の傷口SCがこの円滑領域13に接触しても、刺激を与えることを有効に防止できる。
先ず、ベルト本体12を回して装着する際に、概ね図1に示す腰骨の出た箇所X1の位置でこの目印16を止めることで、円滑領域13を適切に配置すると共に、一方の端部15の領域32を背骨に配置するためのマークとなる機能である。これについては後で詳述する。
次に、腹部に傷口がない健常者が使用する際、この伸縮性のない目印16を背骨に配置して、ベルト本体12の縒れを防止する機能である。すなわち、図2に示すように、健常者の場合は、両端部14,15を前身頃側で交差するように使用することが想定され、この際、目印16は概ね背中に配置されることになる。そして、目印16は伸縮性を有さないため、ベルト本体12は背中の位置で縒れ難くなり、この背中を基準にして、膨らんだ腹部を背中側に適切に引き締め易くなる。
次に、ニッパー10の使用方法について、腹部に傷がある者が使用者であることを想定して説明する。
図6乃至図8は、上述したニッパー10の使用方法の一例であって、図6は腹部周りにベルト本体12を巻く準備をしている図、図7はベルト本体12を腹部周りに巻いた図、図8はベルト本体12を回した図である。なお、図6乃至図8の前面側は腹部の前側であり、奥側は背骨側である。
先ず、図6に示されるように、使用者は展開したベルト本体12を背中にまわして、両端部14,15を体の前方に配置する。この際、使用者は、両端部14,15の最も固い面ファスナー30,31を把持すると操作がし易い。
この両端部14,15とベルト本体12の外面12d−1,12d−2とを重着して開口孔40を脇腹SD1側に配置した状態では、開口孔40が脇腹の真横に配置されている場合、円滑領域13は背中に配置されることになる。なお、図7では、開口孔40は、脇腹SD1と腹部前側の境目付近にかけて配置されているので、円滑領域13は背中から脇腹の背中側にかけて配置されている。
また、図7のように、開口孔40を脇腹SD1側に配置した状態では、一方の端部15の面ファスナー31に隣接する領域32は、ベルト本体12の外面12d−2に重ねられて、腹部の前側の中央部に配置可能となる。
そして、図8のように、開口孔40を反対側の脇腹SD2に配置すると、柔軟性を有すると共に段部のない円滑領域13は、帝王切開の傷口のある腹部前側の中央領域に配置される。この際、使用者は、目印16を腰骨の出た箇所X1付近に配置することで、円滑領域13を確実に腹部前側の中央領域に配置できる。
すなわち、開口孔40から外側に露出した他方の端部14を、図8の矢印Q方向に引っ張って、さらに腹部を引き締め、図1に示すようにニッパー10の装着を終了する。
なお、ニッパー10を体から取り外す際は、他方の端部14を開口孔40から引き抜かなければならないが、この際、図4に示す領域33を巻く方向Xに折って、ループ状の部材45と面ファスナー30とを接続するとよい。これにより、図1の装着状態から他方の端部14を引き抜く際、面ファスナー30のベルト本体12への不要な付着を防止し、引き抜き易くなる。また、このループ状の部材45と面ファスナー30とを接続する構成は、開口孔40に他方の端部14を挿通するときにも不要な付着を防止できて有効である。
Claims (3)
- 帯状のベルト本体を腹部周りに巻くようにした産後用ウエストニッパーであって、
前記巻く方向の両端部はその内面に前記ベルト本体の外面に対して着脱可能な面ファスナーを有し、
前記両端部のいずれか一方の端部側に寄った一箇所であって、前記巻く方向と直交する幅方向の中央部に、前記両端部のいずれか他方の端部が挿入可能な切れ目状の開口孔を有し、
前記ベルト本体の内面には、腹部の前側の領域に対応して、柔軟性を有すると共に段部のない円滑領域が形成されている
ことを特徴とする産後用ウエストニッパー。 - 前記他方の端部を内側から前記開口孔に挿入して前記ベルト本体の外面に重着し、前記開口孔を脇腹に配置した場合、前記円滑領域は背中側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の産後用ウエストニッパー。
- 前記開口孔を脇腹に配置した場合において、前記一方の端部を腹部の前側の領域にある前記ベルト本体の外面に重着した際、
前記一方の端部は、その先端に前記面ファスナーが設けられ、前記面ファスナーに隣接する領域が腹部の前側の中央部に配置可能であり、
前記隣接する領域は、前記ベルト本体の外面に重ねられ、かつ、幅方向に略伸縮性を有さないと共に、前記巻く方向に弾性力を有し、
前記開口孔から前記他方の端部までの間は全体的に、幅方向に伸縮性が有り、かつ、前記巻く方向に略伸縮性を有していない
ことを特徴とする請求項2に記載の産後用ウエストニッパー。
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