JP2014117791A - ショットピーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒径および硬さや特性が異なる2種類の投射材を、ショットピーニングによる投射後に適切に分級して回収することができるショットピーニング方法を提供する。
【解決手段】粒径および特性が異なる2種類の投射材をワークに投射するショットピーニング方法において、前記投射材として、相対的に粒径が小さくかつ密度が小さい第1投射材1と、前記第1投射材1よりも粒径が大きくかつ密度が大きい第2投射材2とを選定して使用するとともに、投射後の前記第1投射材1と前記第2投射材2との混合粒を、流体3を流動させることが可能な所定の容器4内で前記流体3と共に流動化させて、前記第1投射材1と前記第2投射材2とに分級して回収する分級工程を設けた。
【選択図】図2
【解決手段】粒径および特性が異なる2種類の投射材をワークに投射するショットピーニング方法において、前記投射材として、相対的に粒径が小さくかつ密度が小さい第1投射材1と、前記第1投射材1よりも粒径が大きくかつ密度が大きい第2投射材2とを選定して使用するとともに、投射後の前記第1投射材1と前記第2投射材2との混合粒を、流体3を流動させることが可能な所定の容器4内で前記流体3と共に流動化させて、前記第1投射材1と前記第2投射材2とに分級して回収する分級工程を設けた。
【選択図】図2
Description
この発明は、ショットピーニングで用いる投射材(ショット)を分級して回収する分級工程を有するショットピーニング方法に関するものである。
従来、金属製部材の疲労強度や耐摩耗性を向上させるための表面改質技術としてショットピーニングが行われている。ショットピーニングは、金属の表面に投射材もしくはショットと称される硬質の粒状体を高速で衝突させることにより、表面層を硬化させ、また表面層に圧縮残留応力を付与する金属の冷間加工の一種である。
上記のようなショットピーニングに関連する発明の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている浸炭処理部品の強化方法は、浸炭処理した部品の表面に、鋼製のショット粒と、セラミックス粒子からなる研磨剤とを混合して投射することにより、その浸炭処理部品の表面に形成された浸炭異常層を除去するとともに、その浸炭処理部品の表面に圧縮残留応力を付与するショットピーニングに関するものである。
この特許文献1に記載されているショットピーニングでは、粒径が約0.8mmで、硬度がHv800である鋼製のショットと、粒径が約0.5mmの酸化アルミニウム製の研磨剤粒子とが混合される。そして、それら鋼製のショットとセラミック製の粒子とが投射材として浸炭処理部品に投射される。
そして、この特許文献1には、上記のように混合される鋼製ショットとセラミック製粒子とは、鋼製ショットの重量がセラミック製粒子の重量の2倍となるように混合した状態のものを使用することが記載されている。
上記のように特許文献1に記載されているショットピーニングでは、鋼製のショット粒とセラミック粒子とのように、粒径や硬さが異なる2種類の投射材が適宜設定された割合で混合されて投射される。そのため、投射後の上記の2種類の投射材を回収して再使用する場合には、それら粒径および硬さの異なる2種類の投射材を分別して回収する必要がある。その場合、使用する投射材の粒径と硬さとに相関を持たせておけば、投射後に互いに混ざり合った投射材を分級することにより、それら粒径および硬さの異なる2種類の投射材を分別することができる。
粒子や粉体を分級する場合の分級方法の一つとして、ふるいを用いた分級がある。ふるいによる分級は、他の方法と比較しても分級能力が高く、かつ、分級のための作業や装置を構成することが容易である。ただし、そのようなふるいによる分級であっても、粒径や硬さが異なる2種類の投射材を完全に分別することができない場合がある。例えば、粒径が0.4mm、ビッカース硬さが800であるショットA、および、粒径が0.8mm、ビッカース硬さが400であるショットBの2種類のショットを分級する場合、目開き0.6mm(26メッシュ相当)のふるいを用いることにより、ショットAとショットBとを概ね分別することができる。しかしながら、各ショットの粒径には不可避的なばらつきがあるので、各ショットの粒度分布が互いに重なる範囲が存在し、その粒度分布が互いに重なる範囲の粒径のものは、ショットAとショットBとに完全に分別することができなくなってしまう。
すなわち、図3に示すように、ショットAとショットBとは、粒度分布のピークはそれぞれ0.4mmと0.8mmとなっていて異なっているものの、図3のグラフにおいて範囲aと範囲bとで示す粒度分布の範囲は互いに重複している。そのため、ショットAのうち粒度分布が範囲aに属する粒径のものは、ふるいの目を通らずにショットBと一緒に分級されてしまう。反対に、ショットBのうち粒度分布が範囲bに属する粒径のものは、ふるいの目を通過してショットAと一緒に分級されてしまう。すなわち、ショットAの中にショットBの一部が一緒に分級され、また、ショットBの中にショットAの一部が一緒に分級されてしまう。したがって、各ショットの中に、硬さが異なる他のショットが混ざり込んで分級されてしまうことになる。ショットの中に硬さが異なるものが混在していると、そのショットを用いてショットピーニングを実施した場合に、適切な加工品質を得られなくなってしまうおそれがある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、粒径が異なるとともに、粒径以外に硬さや特性が異なる2種類の投射材を、ショットピーニングによる投射後に適切に分級して回収することができるショットピーニング方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、粒径および特性が異なる2種類の投射材をワークに投射するショットピーニング方法において、前記投射材として、相対的に粒径が小さくかつ密度が小さい第1投射材と、前記第1投射材よりも粒径が大きくかつ密度が大きい第2投射材とを選定して使用するとともに、投射後の前記第1投射材と前記第2投射材との混合粒を、流体を流動させることが可能な所定の容器内で前記流体と共に流動化させて、前記第1投射材と前記第2投射材とに分級して回収する分級工程を有していることを特徴とするショットピーニング方法である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1投射材が、セラミック製の粒状体を含み、前記第2投射材が、鋼製の粒状体を含むことを特徴とするショットピーニング方法である。
この発明によれば、粒径および硬さや材質などの特性が異なる2種類の投射材を用いてショットピーニングを実施した場合に、ワークに投射された後に混ざり合った第1投射材と第2投射材との混合粒が、この発明のショットピーニング方法における分級工程で、所定の容器内で流体と共に流動化される。流動層における混合粒は、流動層での見かけ密度が小さい第1投射材が浮上し、流動層での見かけ密度が大きい第2投射材が沈下する。すなわち、流動層内で混合粒が第1投射材と第2投射材とに分級される。そのため、投射後の第1投射材と第2投射材との混合粒を、容易にかつ適切に分級して回収することができる。
次に、この発明を図面を参照して具体的に説明する。この発明に係るショットピーニング方法は、粒径および特性が異なる2種類の投射材(ショット)をワークに投射するショットピーニングの加工方法および加工工程に関するものである。この発明でショットピーニングの加工対象とするワークは、例えば、低炭素鋼や低炭素合金鋼などを材料として加工あるいは成形された機械部品や自動車部品であって、耐摩耗性や疲労強度を向上させるために浸炭処理や浸炭窒化処理された部材である。
そして、上記のように浸炭処理あるいは浸炭窒化処理を施した部材に対して、この発明に係るショットピーニングを実施することにより、耐摩耗性や疲労強度を一層向上させることを狙いとしている。そのために、この発明に係るショットピーニング方法では、上記のように粒径および特性が異なる2種類の投射材として、図1に示すように、相対的に粒径が小さくかつ密度が小さいショット1(すなわち、この発明における第1投射材)と、ショット1よりも粒径が大きくかつ密度が大きいショット2(すなわち、この発明における第2投射材)とが選定されて使用される。ショット1としては、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミック製の粒状体が使用される。一方、ショット2としては、鋼製の粒状体が使用される。
前述の特許文献1(特開2011−38127号公報)に記載されているように、浸炭処理された鋼材は、浸炭により表面が硬化するとともに、その一方で表面層に浸炭が不完全であった浸炭異常層が生成されている。この浸炭異常層は軟質であるため、ショットピーニングにより圧縮残留応力を付与する際の障害となる場合がある。
そこで、この発明に係るショットピーニング方法では、上記のようにセラミック製のショット1および鋼製のショット2の2種類の投射材が用いられる。通常のショットピーニングで用いられるような鋼製のショット2に加えて、セラミック製のショット1を同時にもしくは連続して、浸炭処理されたワークに投射することにより、セラミック製のショット1によってワークの浸炭異常層を除去することができる。それとともに、ワーク表面の浸炭異常層が除去された状態で鋼製のショット2をワークに投射させることができる。そのため、ワークの表面を適切に加工硬化させ、かつワークの表面層に適切に圧縮残留応力を付与することができ、ワークの耐摩耗性や疲労強度をより一層向上させることができる。これらセラミック製のショット1および鋼製のショット2を用いて浸炭処理材に対するショットピーニングを施した場合の詳細な作用・効果等については、前述の特許文献1に記載されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
そして、この発明に係るショットピーニング方法は、図2に示すように、投射された後の上記のショット1とショット2との混合粒を、流体3(この図2に示す例では、空気や窒素ガスなどの気体)を流動させることが可能な所定の容器4の内部で流体3と共に流動化させて、ショット1とショット2とに分級して回収する分級工程を有している。
上記のように、この発明に係るショットピーニング方法では、セラミック製のショット1と鋼製のショット2との、粒径および特性が異なる2種類のショットが使用される。したがって、ショットピーニングが実施された後に、ショット1およびショット2を再び使用するためには、投射後のショット1とショット2との混合粒を分級もしくは分別して回収する必要がある。そのため、この発明に係るショットピーニング方法では、上記のような分級工程が設けられている。
この発明のショットピーニング方法における分級工程では、投射後にショット1とショット2とが混ざり合った状態の混合粒が、流動化機構を備えた容器4内で流体3と共に流動化される。流体3の中で流動化されたショット1とショット2との混合粒は、流動層における‘見かけ密度’の小さい固体が浮上し、‘見かけ密度’の大きい固体が沈下する。
ここで、流動層における固体の‘見かけ密度’は、固体の密度および体積の影響を受けることが分かっている。すなわち、流動層においては、体積(もしくは粒径)が小さくかつ密度が小さい固体の‘見かけ密度’が小さくなるのに対して、体積(もしくは粒径)が大きくかつ密度が大きい固体の‘見かけ密度’が大きくなる。
したがって、上記のように、この発明の分級工程で流体3と共に流動化されたショット1およびショット2は、それぞれ、ショット1の‘見かけ密度’が相対的に小さくなり、ショット2の‘見かけ密度’が相対的に大きくなる。その結果、容器4内で流体3と共に流動化されたショット1とショット2との混合粒は、流動層での‘見かけ密度’が小さいショット1が浮上して上層部を形成し、流動層での‘見かけ密度’が大きいショット2が沈下して下層部を形成することになる。すなわち、容器4内の流動層において、ショット1とショット2とが分級される。
そして、上記のように容器4内の流動層で分級された状態のショット1およびショット2が、それぞれ、別個に容器4から取り出される。すなわち、容器4の上層部に設けられた回収口5から、容器4内の流動層の上層部に浮上したショット1が回収される。そして、容器4の下層部に設けられた回収口6から、容器4内の流動層の下層部に沈下したショット2が回収される。これにより、投射後の互いに混合されていたショット1とショット2とを分別して回収することができる。
以上のように、この発明に係るショットピーニング方法によれば、粒径および硬さや材質などの特性が異なる2種類の投射材、すなわち、例えばセラミック製のショット1および鋼製のショット2を用いてショットピーニングを実施した場合に、ワークに投射された後に混ざり合ったショット1とショット2との混合粒が、この発明のショットピーニング方法における分級工程で、流動化機構を備えたの容器4内で流体3と共に流動化される。容器4内の流動層におけるショット1とショット2との混合粒は、流動層での‘見かけ密度’が小さいショット1が浮上し、流動層での‘見かけ密度’が大きいショット2が沈下することになる。すなわち、流動層内で混合粒がショット1とショット2とに分級される。そのため、投射後に互いに混ざり合ったショット1とショット2との混合粒を、容易にかつ適切に分級して回収することができる。
1…セラミック製のショット(第1投射材)、 2…鋼製のショット(第2投射材)、 3…流体、 4…容器、 5,6…回収口。
Claims (2)
- 粒径および特性が異なる2種類の投射材をワークに投射するショットピーニング方法において、
前記投射材として、相対的に粒径が小さくかつ密度が小さい第1投射材と、前記第1投射材よりも粒径が大きくかつ密度が大きい第2投射材とを選定して使用するとともに、
投射後の前記第1投射材と前記第2投射材との混合粒を、流体を流動させることが可能な所定の容器内で前記流体と共に流動化させて、前記第1投射材と前記第2投射材とに分級して回収する分級工程を有している
ことを特徴とするショットピーニング方法。
- 前記第1投射材は、セラミック製の粒状体を含み、
前記第2投射材は、鋼製の粒状体を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のショットピーニング方法。
Priority Applications (1)
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JP2012276952A JP2014117791A (ja) | 2012-12-19 | 2012-12-19 | ショットピーニング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2014117791A (ja) |
Cited By (1)
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CN115008350A (zh) * | 2022-06-20 | 2022-09-06 | 海安宏宇合金材料有限公司 | 清除高硬度铝合金材料表面氧化层装置及其工艺 |
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2012
- 2012-12-19 JP JP2012276952A patent/JP2014117791A/ja active Pending
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