まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠(図示略)と、外枠に開閉可能に取り付けられた前面枠(図示略)と、で主に構成されており、前面枠の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠(図示略)に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、それを構成する板状の透光性を有する合成樹脂材からなる透光板と、その透光板に取り付けられた種々の部品とを含む構造体であり、これらの詳細な構造に関しては後述することとする。遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。遊技領域7は、ガラス扉枠102に設けられた透明なガラス板からなる透視窓102aを透して遊技者側から視認可能とされている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の演出図柄(飾り図柄)を変動表示する複数の変動表示部を含む第1演出表示装置(演出図柄表示装置)9を有する映像表示ユニット200が、遊技盤6の背面側に一体的に組み付けられている。図3に示すように、遊技盤6における第1演出表示装置9の第1表示部9aに対応する領域には表示用開口6aが形成されており、映像表示ユニット200が遊技盤6の背面側に組み付けられた状態において、第1演出表示装置9の第1表示部9aが表示用開口6aを介して前面側に臨むようになっている。
映像表示ユニット200は、透視窓102aに対し反射面201aが傾斜した状態で設けられた反射板201と、反射板201における透視窓102aと反対側、つまり、反射板201の背面側に配置され、該反射板201を透過して透視窓102aから視認可能とされる透過映像を表示する第1表示部9aを有する第1演出表示装置9と、反射板201の反射面201aが傾斜する側、つまり、反射板201の上方位置に配置され該反射板201を反射して透視窓102aから視認可能とされる反射映像を表示する第2表示部12aを有する第2演出表示装置12と、第1表示部9aと反射板201との間で左右方向にスライド移動可能に配置される演出用の構造物としての可動部材210L,210R(図8参照)及び該可動部材210L,210Rを駆動する演出用モータ250L,250R(図2参照)等を含む駆動ユニットと、から主に構成されている。
第1演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示部(図柄表示エリア)がある。第1演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行う。演出図柄の変動表示を行う第1演出表示装置9、第2演出表示装置12、可動部材210L,210Rは、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ等の各デバイスによって制御される。また、遊技盤6における第1演出表示装置9の第1表示部9aに対応する開口6a周囲には、環状のステージ飾り枠11が設けられている。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED+1セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED+1セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つのセグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
第1演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、第1演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、第1演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、第1演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
また、第1演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8a及び第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に演出図柄の変動表示を行う表示装置であって、本実施例では、液晶パネル9b(図2参照)とバックライト9c(光源)とを有する液晶表示モジュールにて形成されており、該液晶表示モジュールの液晶パネル9bにより第1表示部9aが形成されている。このように、本実施例では液晶表示モジュールを使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第1演出表示装置9は、所定の画像等を所定の解像度で表示することのできるものであれば、液晶以外の画像表示形態の表示装置、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクスLED、有機或いは無機のエレクトロルミネッセンス(EL)パネル等の表示装置により構成されてもよい。
第1演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは第1演出表示装置9の直下に設けられているが、第1演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLED+1セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、第1演出表示装置9の第1表示部9aには、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部18cと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部18dとが設けられている。尚、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
尚、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば、変動表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLED+1セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLED+1セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を変動表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30a、30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、第1演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、第1演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当り」または「非確変大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、特定遊技状態としての大当り状態(例えば、15ラウンド大当り状態など)に移行する。大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の前面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出球(賞球)が得られる。
「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば、100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このような「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。こうした「確変大当り」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
第1演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示(変動表示)が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、第1演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された演出図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリアなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける全部又は一部で演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
パチンコ遊技機1の背面には、第1演出表示装置9及び第2演出表示装置12を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている(図2参照)。
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板(図示略)やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板(図示略)には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、第1演出表示装置9、第2演出表示装置12、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23および各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する第1演出表示装置9と演出に関連する映像(画像)を表示する第2演出表示装置12との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPU120およびRAM(図示略)を含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に、第1演出表示装置9や第2演出表示装置12に表示する画像の生成やバックライト9c,12cの発光強度(輝度、明るさ)の調整等の第1演出表示装置9や第2演出表示装置12の表示制御を行わせる第1表示制御処理や、第2演出表示装置12に表示する画像の生成等の第2演出表示装置12の表示制御を行わせる第2表示制御処理を実施する。
演出制御用CPU120は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、第1演出表示装置9や第2演出表示装置12に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120は、キャラクタROMから読み出したデータをVDP262に出力する。VDP262は、演出制御用CPU120から入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
VDP262は、VDP262の各種設定などが格納されるシステムレジスタ、アトリビュート(キャラクタを描画する際に使用されるパラメータであり、キャラクタの描画順序や、色数、拡大縮小率、パレット番号、座標などを指定するデータ)が格納されるアトリビュートレジスタ(図示略)、VRAM領域の後述する描画領域への画像の描画制御を行う描画制御部(図示略)、CGROMに格納されているCGデータをVRAM領域に転送する制御を行うデータ転送制御部(図示略)、VRAM領域の後述する表示領域に格納されている画像データを表示するためのビデオ信号(R(赤)、G(緑)、B(青))信号及び同期信号を出力する表示制御部(図示略)、該表示制御部から出力されたビデオ信号をアナログ信号に変換して第1演出表示装置9や第2演出表示装置12に出力するDAコンバータなどが搭載された集積回路である。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU120は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対して各種LEDを駆動する信号を出力する。また、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。また、出力ポートを介して演出用モータ250L,250Rが接続されており、演出制御用マイクロコンピュータが演出用モータ250L,250Rの駆動を制御することで、演出用可動部材210L,210Rの移動動作が制御されるようになっている。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25a、後述する表示用LED310に駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1に使用した第1演出表示装置9及び第2演出表示装置12と反射板201とについて説明する。
第2演出表示装置12は、反射板201を反射して透視窓102aから視認可能とされる反射映像を表示するための表示装置であり、本実施例では、第1演出表示装置9と同様に、液晶パネル12bとバックライト12c(光源)とを有する液晶表示モジュールを使用しており、該液晶表示モジュールの液晶パネル12bにより第1表示部12aが形成されている。尚、これら第2演出表示装置12は、所定の表示位置に所定の画像を所定の解像度にて表示することのできるものであれば、液晶以外の画像表示形態の表示装置、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクスLED、有機或いは無機のエレクトロルミネッセンス(EL)パネル等の表示装置により構成されてもよい。
図3(A)に示すように、第1演出表示装置9及び第2演出表示装置12は、ともに平板状でその表示面が矩形をなすいわゆるフラットパネルディスプレイである。第1演出表示装置9は、その第1表示部9aが前方の透視窓102aを向くように略垂直状態で、映像表示ユニット200の筐体の背壁に取り付けられている。第2演出表示装置12は、第1演出表示装置9よりも若干高い位置にその第2表示部12aが下方を向くように略水平状態で筐体の上壁に取り付けられている。
また、第1表示部9a及び第2表示部12aの中心軸がほぼ交差する位置において、平板状の反射板201が、その反射面201aを透視窓102a側に向けながら水平面に対し約45度の仰角をなすように傾斜した状態で設置されている。
反射板201は、入射した光の一部を反射させ、他を透過させる性質を有する所謂ハーフミラーである。すなわち、図3(A)に示すように、第1表示部9aからの映像光の一部は反射板201を透過して透視窓102a側へ進行し、第2表示部12aからの映像光の一部は、反射板201を反射して透視窓102a側へ進行する。
尚、本実施例の反射板201は、ガラス板あるいはアクリル樹脂板などに、錫や銀のめっきや蒸着が施された反射膜を薄く形成して半透明にしたものが適用されているが、このような反射板に限定されるものではなく、例えば、偏光の向きにより反射と透過とを区別する偏光型反射板等を適用してもよい。また、反射膜を形成したものにあっては、反射膜の厚みにより反射率と透過率との割合を変更することができ、偏光型反射板にあっては、特定の方向の振幅成分をもつ光(偏光)だけを透過させ他の方向の振幅成分をもつ光(偏光)は反射させる偏光フィルム等を使用することにより反射率と透過率との割合を変更することができる。
このように、第1演出表示装置9は、透過型の液晶パネル9bの背面側にバックライト9cが設置された映像表示モジュールであり、バックライト9cからの光が液晶パネル9bを通過することで画像情報を含む映像光に変調され、変調された映像光IMPが反射板201に入射する。映像光IMPの一部は、反射板201を透過して透視窓102a側へ進行する。また、第2演出表示装置12も第1演出表示装置9と同じく、バックライト12cを有する液晶パネル12bからなる映像表示モジュールである。液晶パネル12bを通過して変調された映像光IMRの一部は、反射板201で反射して透視窓102a側へ進行する。
これにより、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態で着座する遊技者が所定の視点位置EPから見たとき、透視窓102aを透して、第1表示部9a及び第2表示部12aからの映像が合成された多重映像IMMを視認できる。このとき、多重映像IMMは、第1表示部9aに表示される透過映像IMPの前方に第2表示部12aに表示される反射映像IMRが重ねて表示されるため、立体的な映像表現が可能となる。また、バックライト9c,12cからの照射光がそれぞれ第1表示部9a,第2表示部12aを通過して映像光に変調され、反射板201を介して遊技者側に到達するため、これらの映像光が合成された多重映像IMMを明るく表示することができる。
また、第2表示部12aに表示される反射映像IMRは、遊技者からは、第1表示部9aに表示される透過映像IMPの前方位置に表示されているように視認される。本実施例では、反射板201は水平面に対し約45度の仰角をなすように傾斜した状態で設置されているため、図8(C)に示すように、反射映像IMRの視認位置Eは、第2表示部12aから反射面201aまでの距離P1,P2とほぼ同距離P1’,P2’だけ、反射面201aから背面側に離れた位置となる。
よって、本実施例では、第1表示部9aに対し視認位置Eが所定の隙間を隔てて前方に設定されるように、第1表示部9aは視認位置Eよりも後方の所定位置に配置されている。これにより、第1表示部9aに表示される透過映像IMPに対し第2表示部12aに表示される反射映像IMRが前方位置に表示されているように見えるため、立体感が生じる。また、本実施例では、後述する可動部材210L,210Rが、その前面210aがこの視認位置Eに合致するように配置されている。
また、本実施例では、第2演出表示装置12は筐体の上壁に取り付けられていたが、図3(B)に示すように、筐体の下壁に取り付けられていてもよい。具体的には、第2演出表示装置12は、第1演出表示装置9よりも若干低い位置にその第2表示部12aが上方を向くように略水平状態で筐体の下壁に取り付けられる。このようにしても、第2演出表示装置12を筐体の上壁に取り付けたときと同じように映像を表示することが可能である。
図4(A)は、第1表示部9aに表示される映像例、図4(B)は、第2表示部12aに表示される映像例、図4(C)は、これらの映像が合成され透視窓102aを透して視認される映像例、図4(D)は図4(C)の状態を示す斜視図である。
図4(A)に示すように、第1表示部9a(表示画面)は、演出図柄Dが変動表示される変動表示領域E1と、表示画面下部に横長長方形状に設けられ第1保留記憶表示部18c及び第2保留記憶表示部18dが表示される保留表示領域E2と、に分かれており、演出図柄Dは保留表示領域E2には表示されないようになっている。
変動表示領域E1の「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアには、演出図柄Dが上下方向に変動表示される。各演出図柄Dは、それぞれ所定の表示色にて表示される。また、第2表示部12aに表示されるキャラクタCの映像表示位置に対応する箇所には、キャラクタCのマスク映像S1が固定表示される。このようにマスク映像S1を表示する処理を行うことで、前方位置に表示されて見えるキャラクタCの背面が暗く(黒く)なるので、キャラクタCの背面が明るすぎたり演出図柄Dが表示されて見難くなってしまうことが防止されている。
尚、本実施例では、第1表示部9aの変動表示領域E1において第2表示部12aに表示されるキャラクタCの映像表示位置に対応する箇所にマスク映像S1を表示することでキャラクタCの映像の視認性を向上させているが、必ずしも第2表示部12aに表示される映像に対応する位置にマスク映像S1を表示しなくてもよい。
また、本実施例では、第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときに、バックライト9cの発光強度(輝度)を低下させることにより第1表示部9aに表示される演出図柄Dや第1保留記憶表示部18c及び第2保留記憶表示部18d等の透過映像IMPが暗くなるようにしている。
尚、本実施例では、第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときに、変動表示領域E1及び保留表示領域E2双方の輝度を低下させるようにしているが、キャラクタCが変動表示領域E1に対応する箇所のみに表示される場合、変動表示領域E1のみが暗くなるようにしてもよい。
図4(B)に示すように、第2表示部12a(表示画面)には、キャラクタC及び該キャラクタCの周囲に広がるエフェクトEFの映像が表示されるとともに、その周囲には背景のないマスク映像S2が表示される。図4(B)は、第2表示部12aを下から見上げた状態を示しているので、キャラクタCは、頭を第2表示部12aの後側に向けた状態で表示されている。
また、キャラクタC及びエフェクトEFの反射映像IMRは、多重映像IMMとして表示されているときに、変動表示領域E1にのみ表示され、保留表示領域E2には表示されないように予め設定された映像とされている。
図4(C)(D)に示すように、これら第1表示部9aと第2表示部12aとにより透視窓102aに表示される多重映像IMMは、第1表示部9aに表示される演出図柄Dの変動の透過映像IMPの前方に、第2表示部12aに表示されるキャラクタC及びエフェクトの反射映像IMRが重なって多重に表示されるため、奥行き感を有する立体的な映像表示が可能となっている。
尚、キャラクタCの背面側にはマスク映像S1が表示されていることで、キャラクタCの背面側を通過する演出図柄DをキャラクタCの透過映像IMPを透して視認することはできないが、マスク映像S1以外の演出図柄の変動の透過映像IMPにおいてエフェクトEFの映像と重なる領域においては、エフェクトEFの映像を透してその背面側の演出図柄Dを視認することができる。
本実施例では、演出制御用CPU120は、通常、第1演出表示装置9の第1表示部9aを表示状態とし、第2演出表示装置12の第2表示部12aを非表示状態としている。そして、特別図柄の変動が停止している状態(遊技待機状態)では、第1表示部9aにてデモ画面を表示し、特別図柄の変動が開始されたことに応じて演出図柄の変動表示を開始する。
また、演出図柄の変動表示中において実行される予告演出として、例えば、遊技者がスティックコントローラまたはプッシュボタン(図1参照)等を操作したことを条件に実行される操作予告、所定の画像が段階的に切り替わるステップアップ予告、キャラクタが登場してセリフを喋るセリフ予告、所定の画像が割り込み表示されるカットイン予告といった大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、擬似連になるか否かを予告する擬似連予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、可変表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を実行可能としている。
演出制御用CPU120は、これら各種予告演出の実行中の所定タイミングや、大当り遊技状態にて実行する大当り演出、遊技待機状態において実行するデモ演出といった種々の演出の実行中において、第2表示部12aを表示状態とし、上記したような多重映像表示を実行可能としている。
そして、第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときに、第1演出表示装置9のバックライト9cの発光強度(輝度)を低下させることにより、第1表示部9aに表示される演出図柄Dや第1保留記憶表示部18c及び第2保留記憶表示部18d等の透過映像IMPが暗くなるようにしている。
ここで、演出制御用CPU120が行う予告演出と第1演出表示装置9及び第2演出表示装置12の表示制御の一例について、図5のタイミングチャートに基づいて説明する。
図5に示すように、演出制御用CPU120は、通常、第1表示部9aを表示状態とし、第2表示部12aを非表示状態としている。そして、第1表示部9aにて演出図柄の変動表示を開始した後(図7(A)参照)、予告演出として前述したキャラクタCが登場するセリフ予告を実行するか否か及び実行を決定した場合は、第1表示部9aにキャラクタCの映像を表示する通常映像パターン(図7(B)参照)及び第2表示部12aにキャラクタCの映像を表示する多重映像パターン(図7(C)参照)を含む複数種類の演出パターンのうちからいずれを選択する。
ここで、第2表示部12aにキャラクタCの映像を表示する多重映像パターンが決定されている場合、該セリフ予告の実行開始とともに、第2表示部12aを表示状態に切り替えてキャラクタCの反射映像IMRの表示を開始する。このとき、第1表示部9aにマスク映像S1を表示するとともに、第1演出表示装置9のバックライト9cの発光強度(輝度)を通常(第2表示部12aが非表示状態のとき)よりも低くする。これにより、第2表示部12aにて表示するキャラクタCの反射映像IMRよりも背面側にある第1表示部9aにて表示する透過映像IMPが暗くなるため、キャラクタCの周囲の演出図柄の変動表示の透過映像IMPが明る過ぎて該キャラクタCの反射映像IMRがかき消されて見難くなってしまうことがない。
尚、本実施例では、第1表示部9aにて表示する透過映像IMPを暗くするために、演出制御用CPU120はバックライト9cの発光強度を低下させる制御を行っているが、バックライト9cの発光強度を低下させるものに限定されるものではなく、例えば、第1表示部9aに明度を反転させた反転映像を表示したり、第1表示部9aのコントラストを低減させること等により、第1表示部9aにて表示する透過映像IMPの明るさを低減するようにしてもよい。
そして、セリフ予告の終了とともに第2表示部12aを非表示状態に切り替えるとともに、バックライト9cの発光強度を通常の発光強度に戻す。これにより、第1表示部9aによる演出図柄の変動表示の透過映像IMPのみになり、例えば、リーチ状態などに発展していく(図7(D)参照)。
以上説明したように、第1表示部9aに表示された透過映像IMPの映像光の一部は反射板201を透過して透視窓102a側へ進行し、第2表示部12aに表示された反射映像IMRの一部は反射板201で反射して透視窓102a側へ進行するため、遊技者は、第1表示部9aに表示される透過映像IMPの前方に第2表示部12aに表示される反射映像IMRが重ねられた多重映像IMMを視認することができる。また、第2表示部12aに反射映像IMRが表示されるときに遊技者から見てその奥側(背面側)にある第1表示部9aが暗くなることで、第1表示部9aと第2表示部12aとのコントラストが高くなり、これにより第2表示部12aに表示された反射映像IMRの視認性が向上するため、視覚的な演出効果を高めることができる。
例えば、反射板201の反射率及び透過率が50%で、バックライト9c,12cの発光強度を同一にした場合、キャラクタC等の反射映像IMRの背面側に同じ明るさの透過映像IMPが表示されるため、背面側の透過映像IMPにより反射映像IMRがかき消されてしまう。よって、上記のように透過映像IMPを表示する第1表示部9aのバックライト9cの発光強度をバックライト12cの発光強度よりも低くすることで、手前側の反射映像IMRを目立たせて立体的な映像を表示することが可能となる。
また、第2表示部12aを明るくすることにより第1表示部9aを第2表示部12aよりも暗くすることができるが、バックライト12cの発光強度を高めると装置が高価になってしまうため、上記のようにバックライト9cの発光強度を低減させることにより第1表示部9aの明るさを低減させる方が好ましい。
すなわち、本実施例では、バックライト9c,12cの発光強度は同じとされており、第2表示部12aに映像を表示するときにはバックライト9cの発光強度を通常時よりも低減させることで、第1表示部9aの映像を第2表示部12aの映像よりも暗くすることができる。
また、通常時における第1表示部9aの明るさに関係なく、第2表示部12aに映像を表示するときに、第1表示部9aの明るさが第2表示部12aの明るさよりも暗くなれば、第2表示部12aの映像の視認性を高めることが可能となる。
さらに、第2表示部12aに映像を表示するときに、第1表示部9aの明るさが第2表示部12aより明るくても、第1表示部9aが通常時よりも暗くなれば、第2表示部12aの映像の視認性が高まることになる。
また、第2表示部12aに映像を表示するときに第1表示部9aを暗くしたときに、少なくとも演出図柄の視認性が著しく低下して図柄を識別できなくなることがなければ、明るさの低減の度合いは任意である。
また、例えば、図7(B)に示すように第1表示部9aに表示されたキャラクタC等の透過映像IMPを、任意のタイミングで図7(C)に示すように第2表示部12aに切り替えて表示させることで、突然、前方に迫ってくるような臨場感のある演出映像を表示することもできる。このように、臨場感のある立体的な映像を表示することでパチンコ遊技機1における視覚的な演出効果を高めることができる。
本実施例では、第2表示部12aに特定系統の色のキャラクタCの反射映像IMRを表示するときには、第1表示部9aにおけるキャラクタCに対応する領域(例えば、マスク映像S1)以外の非対応領域(例えば、マスク映像S1の周囲)において該特定系統とは異なる系統の色の演出図柄の透過映像IMPを表示するようにしている。
例えば、図4(C)に示すキャラクタCにおいて、キャラクタCの髪や胴体の周縁領域(例えば、太線で示す部分やその近傍領域など)、つまり、キャラクタCの反射映像IMRにおいてその周囲の透過映像IMPに近接して見える領域の表示色が緑色である場合、透過映像IMPの表示色は緑色とは異なる表示色(例えば、緑色の補色であるマゼンタ(M)など)にて表示されるようにしている。
このようにすることで、第2表示部12aに周縁領域が緑色の反射映像IMRを表示するときに、遊技者から見てその奥側にある第1表示部9aの非対応領域において緑色以外の表示色の透過映像IMPを表示することで、反射映像IMRを色の違いによりその周囲に広がる透過映像IMPと識別しやすくなり、これにより第2表示部12aに表示された反射映像IMRの視認性が向上するため、視覚的な演出効果を高めることができる。
尚、反射映像IMRにおける周縁領域の表示色が複数の表示色を含む場合、周縁領域において表示色が異なる各縁部と、これら各縁部に近接する透過映像IMPの表示色を、各縁部の表示色とは異なる表示色となるように表示してもよい。
また、周縁領域の表示色が複数の表示色を含む場合において、周縁領域において表示占有面積が最も大きい表示色と異なる表示色の透過映像IMPを表示してもよい。さらに、透過映像IMPにおいて反射映像IMRに隣接する領域のみが、この反射映像IMRにおいて表示占有面積が最も大きい表示色と異なる表示色で表示されていればよい。
また、このように、透過映像IMPと反射映像IMRとの境界部の表示色をそれぞれ異ならせることで、透過映像IMPにより反射映像IMRがかき消されないようにしていたが、このように境界部の表示色を異ならせるだけでなく、透過映像IMPにおいて反射映像IMRと重ならない領域において最も表示占有面積が広い表示色と、反射映像IMRにおいて最も表示占有面積が広い表示色と、透過映像IMPにおいて反射映像IMRと重ならない領域において最も表示占有面積が広い表示色と、が異なるようにしてもよい。
さらに、第1表示部9aにて白色の表示面積が大きい透過映像IMPを表示すると、明度が高くなって反射映像IMRがより見え難くなるため、第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときに、第1表示部9aに表示している透過映像IMPにおける白色表示領域を他の表示色にて表示したり、低減または消去するようにしてもよい。
また、図6の色相環に示されるように、表示色は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色だけでなく、赤色(R)の補色であるシアン(C)、緑色(G)の補色であるマゼンタ(M)、青色(B)の補色である黄色(Y)や、これらの中間色も多数存在する。つまり、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかに他の表示色が少しでも混ざれば異なる色であると考えると、色相の違いが強調されない場合も考えられる。
そこで、例えば図6に示す色相環において、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)それぞれを基準とし、その周辺の表示色を基準色と同系統の表示色としてとらえるようにしてもよい。例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)がそれぞれ120度の間隔で配置された色相環において、赤色(R)を基準として緑側及び青色側に広がる約120度の範囲C1内にある表示色は同系色(赤色)とし、緑色(G)を基準として赤側及び青色側に広がる約120度の範囲C2内にある表示色は同系色(緑色)とし、青色(B)を基準として赤側及び緑色側に広がる約120度の範囲C3内にある表示色は同系色(青色)としてもよい。尚、同系統の色の範囲は種々に変更可能であり、120度以下の範囲ごとに色の系統が異なるように細分化してもよい。
次に、演出用の可動部材210L,210Rを用いた映像例について、図8及び図9に基づいて説明する。
まず、図8に示すように、可動部材210L,210Rは、前面210aに予告演出などに出現するキャラクタが表示された立体状の構造物にて構成されている。例えば、非透光性の合成樹脂材からなるベース板と、その前面を被覆する透光性を有するカバー部材と、からなり、内部には演出用発光ダイオード(演出用LED)などが内蔵され、演出用LEDによりカバー部材が発光されるようにされていてもよい。尚、前面210aは、顔や衣装などに合わせて凹凸状に形成されているが、構造物としての可動部材210L,210Rは、前面210aが平面状の板状部材にて形成されていてもよい。また、可動部材210L,210Rは、正面視略L字、逆L字形状の支持部材211により下方から支持されている。
支持部材211の水平部は、第1表示部9aの下方位置に左右方向に延設されたガイドレール(図示略)により左右方向に移動可能に案内支持されているとともに、図示しない演出用モータ250L,250Rに対しギヤなどの駆動力伝達機構(図示略)を介して個別に連結されている。よって、演出用モータ250L,250Rにより、第1表示部9aの左右側方に退避する退避位置(図8(A)参照)と、第1表示部9aの前面側に重畳する演出位置(図8(B)参照)と、の間で左右方向に往復移動されるようになっている。
このように構成された可動部材210L,210Rは、通常は退避位置に退避されており、前述した予告演出などにおいて演出位置に移動して、図8(B)に示すように、第1表示部9aに表示される透過映像IMPに応じた所定の演出を実行することが可能とされている。
演出位置においては、ベース板が非透光性であることから、その背面側の第1表示部9aにおいて重なる領域は隠蔽されるようになっているとともに、第1表示部9aに対し所定の隙間を隔てて前方に配置されていることから、第1表示部9aに表示される透過映像IMPと可動部材210L,210Rとで奥行き感を有する立体的な表示が可能となっている。
尚、演出制御用CPU120は、可動部材210L,210Rが退避位置と演出位置との間を移動するときには、支持部材211が保留表示領域E2に重畳して第1保留記憶表示部18c及び第2保留記憶表示部18dを視認できなくなる虞があるため、移動する直前に保留表示領域E2は消去するようにしている。
次に、可動部材と第1表示部及び第2表示部とによるスーパーリーチ演出の一例を、図9に基づいて説明する。
具体的には、スーパーリーチを伴う変動パターンに基づく変動表示において、第1表示部9aにおいて演出図柄によるリーチ状態が成立した後、スーパーリーチ演出に発展した場合の演出態様の一例について説明する。
まず、図9(A)に示すように、第1表示部9aにおいて演出図柄によるリーチ状態が成立した後、可動部材210Lに描かれた味方キャラクタと可動部材210Rに描かれた敵キャラクタとが対決するバトル演出が実行されるスーパーリーチ演出に発展する。スーパーリーチ演出が開始されると、図9(B)に示すように、可動部材210L,210Rが演出位置まで移動されるとともに、第1表示部9aには、対決場所となるリングの背景の透過映像IMPが表示されるとともに、左右の可動部材210L,210Rの間に「VS」の文字が表示される。
本実施例では、このスーパーリーチの演出パターンとして、例えば、図9(B)に示すように、第1表示部9aに対決場所となるリングの背景の透過映像IMPが表示されるだけの演出パターンAと、図9(C)に示すように、第1表示部9aに対決場所となるリングの背景の透過映像IMPが表示されるとともに、第2表示部12aに味方キャラクタがハンマー(柄無し)を持つ反射映像IMRが表示される演出パターンBと、図9(D)に示すように、第1表示部9aに対決場所となるリングの背景の透過映像IMPが表示されるとともに、第2表示部12aに味方キャラクタがハンマー(柄有り)を持ち、かつ、味方キャラクタと敵キャラクタの衣装の色が変化する反射映像IMRが表示される演出パターンCと、が設定されており、当該変動表示の表示結果に応じて演出パターンA〜Cのいずれかが選択されるようになっている。
尚、本実施例では、第2表示部12aにおいても映像を表示する演出パターンB、Cは、第1表示部9aだけで映像を表示する演出パターンAよりも大当り期待度が高くなるように設定されている。さらに、味方キャラクタと敵キャラクタの衣装の色が変化する反射映像IMRが表示される演出パターンCは、ハンマーの柄や衣装の色が変化しない演出パターンBよりも大当り期待度が高くなるように設定されている。
このように、第2表示部12aに表示されるハンマーや衣装及びこれらキャラクタの周囲に表示されるエフェクトなどの映像は、可動部材210L,210Rの前面210aに表示されるため、奥行き感を有する立体的な表示が可能となっている。特に味方キャラクタが前側に突き出した右手に持たせたハンマーは、キャラクタの顔の前面側に重なるように表示されることから、より奥行き感を持たせることができる。
さらに、可動部材210L,210Rの前面210aに第2表示部12aの反射映像IMRを重ねて表示することができるため、前面210aの装飾(色や絵柄など)を種々に変更することが可能となり、演出パターンを多様化することが可能となる。また、このように非透光性のベース板を有する可動部材210L,210Rの前面210a側をスクリーンとして利用し反射映像IMRを表示することで、第1表示部9aにマスク映像S等を表示する制御を行わなくても、反射映像IMRの視認性を高めることができる。
また、キャラクタの前面210aは凹凸状に形成されていることで、場所によって反射面201aからの距離が異なるため、第2表示部12aに表示されるハンマーや衣装の映像の一部が歪んで見えるようになることを防止するため、予め前面210aの形状に応じて補正した映像を表示することで、正面から見たときに歪みのない映像を視認することが可能となる。
特に、第2表示部12aに表示されるハンマーの映像は、可動部材210L,210Rの前面210aに重なるように、かつ、その周囲に広がるように表示されるため、キャラクタの顔よりも前側にあるように見せることができる。
また、上記したような多重映像IMMの表示演出や可動部材210L,210Rの可動を実行する場合、本発明の遊技関連情報となる保留記憶の情報を表示する保留表示領域E2を一時的に消去したり、あるいは表示位置を移動する制御が実行される。
具体的には、図10(A)に示すように、演出図柄の変動開始時においては、保留表示領域E2において第1保留記憶数や第2保留記憶数が表示されている。そして、変動開始後において予告演出を実行するときに演出制御用CPU120は、該予告演出を開始する段階において図10(B)に示すように、保留表示領域E2を消去する。
そして、図10(C)に示すように、セリフ予告の表示態様が多重映像である場合には、キャラクタが表示される演出が開始される。つまり、キャラクタの反射映像IMRが、保留表示領域E2にもかかるように大きく表示される、すなわち、該保留表示領域E2とキャラクタの反射映像IMRとが重なるようになるので、演出制御用CPU120は、保留表示領域E2における保留記憶数の表示を中止することで、これら保留記憶数の表示とキャラクタの反射映像IMRとが重なって保留記憶数が誤認されてしまうことを防止する。
そして、セリフ予告を終了するときに演出制御用CPU120は、図10(D)に示すように、該セリフ予告の開始時において消去した保留表示領域E2における保留記憶数の表示を再開させる。
尚、本実施例では、保留表示領域E2における保留記憶数の表示を中止することで、これら保留記憶数の表示とキャラクタの反射映像IMRとが重なって保留記憶数が誤認されてしまうことを防止していたが、特に図示しないが、例えば、第1表示部9aの下部に表示している保留表示領域E2を上部または左右側部に移動させることにより、保留記憶数の表示とキャラクタの反射映像IMRとが重なって保留記憶数が誤認されてしまうことを防止してもよい。さらに、このように保留表示領域E2全体の表示を中止したり移動させるものだけでなく、第1保留記憶表示部18c及び第2保留記憶表示部18dのみの表示を中止したり移動させるようにしてもよい。
また、本実施例では、保留記憶表示を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら以外の遊技関連情報、例えば、スーパーリーチ演出が第1演出表示装置9の画面全体において実施される場合において、演出図柄の変動表示が継続していることを遊技者に知覚させるための第4図柄や、時短状態や確変状態の残り回数を示す回数表示や、第1表示部9aや第2表示部12aにて実行される演出に関連する関連演出および可変入賞球装置15が開状態になるか否かを示唆する演出等を実行するために演出図柄の変動表示領域とは別個に設けられたサブ演出領域の表示などの表示位置を消去または移動させるようにしても良い。
また、本実施例では、遊技関連情報が表示されているときに第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときにこれら遊技関連情報の表示位置を消去または移動させる例を示したが、第2表示部12aに反射映像IMRを表示しているときに遊技関連情報を表示する際には、反射映像IMRと重ならない位置に表示したり、あるいは表示することを一時的に中止するようにすればよい。
また、本実施例では、演出制御用CPU120は、遊技に異常(エラー)が発生したか否かを判定し、いずれかの異常が発生したと判定したときに、第1表示部9aに該異常の発生を特定可能な透過映像IMPを表示する一方、第2表示部12aにおいて反射映像IMRを表示することを制限する制御を実行する。具体的には、例えば、下皿4が満杯になったこと、電波による不正行為が行われている可能性があること、パチンコ遊技機1に外力が加えられて振動していること、磁石による不正行為が行われている可能性があること等の異常をセンサ等の検出手段により検出し、該検出結果に基づいてこれら異常が発生したか否かを判定する。
このような異常が発生したときの表示制御の一例として、例えば、大当り演出において第2表示部12aに反射映像IMRを表示する制御を実行しているときに下皿4が満杯になるエラーが発生した場合について、図11及び図12を用いて説明する。
図11及び図12(A)に示すように、演出制御用CPU120は、大当り遊技状態における大当り演出の実行中において、例えば、第1表示部9aにラウンド数や背景映像(図示略)を表示させ、第2表示部12aに「大当り」の文字を表示させるとともに、可動部材210L,210Rを演出位置に移動させる。尚、第2表示部12aによる反射映像IMRの表示中においてはバックライト9cの発光強度を低下させている。
このような大当り演出の実行中において、例えば、下皿4の遊技球が満杯になったことが検出された場合、演出制御用CPU120は、図11及び図12(B)に示すように、第2表示部12aに表示していた「大当り」の文字を消去し、第2表示部12aを非表示状態にするとともに、可動部材210L,210Rを退避位置まで移動させる。また、第2表示部12aによる反射映像IMRの表示を中止したときにバックライト9cの発光強度を通常の発光強度に戻す。これと同時に、第1表示部9aに「下皿が満杯です。球を抜いてください。」というエラーメッセージを表示し、遊技者に下皿エラーが発生したことを報知する。
このように、演出制御用CPU120がエラー判定したときに、第1表示部9aに該エラーの発生を特定可能な透過映像IMPとしてエラーメッセージ等を表示する一方、第2表示部12aに反射映像IMRを表示することを中止することで、第1表示部9aに異常の発生を特定可能な反射映像IMRが重ねて表示されることがないので、エラー報知が妨げられることを防止できる。
また、下皿エラーが解消されたときに大当り演出が終了していなければ、演出制御用CPU120は、図11に示すように、再び第1表示部9aにラウンド数や背景映像(図示略)を表示させ、第2表示部12aに「大当り」の文字を表示させるとともに、可動部材210L,210Rを演出位置に移動させる。また、バックライト9cの発光強度を再度低下させる。そして、大当り演出の終了に伴い、バックライト9cの発光強度を通常の発光強度に戻し、第2表示部12aを非表示状態に切り替える。
また、本実施例では、第2表示部12aに反射映像IMRを表示しているときにこれらエラーが発生したときの一例を示したが、エラー発生中に第2表示部12aに反射映像IMRを表示したり可動部材210L,210Rを演出位置に移動する際には、第2表示部12aの反射映像IMRをエラーメッセージなどのエラー表示と重ならない位置に表示したり、あるいは表示することを一時的に中止するようにすればよい。
次に、変形例としての映像表示ユニットについて、図13に基づいて説明する。図13は、(A)は変形例としての映像表示ユニットの構成を示す断面図、(B)は映像の視認態様、(C)は第2表示部の映像例、(D)は映像表示ユニットの構成を示す斜視図である。
前記実施例では、映像表示ユニット200に反射板201は1枚設けられていたが、第2表示部12aに対し反射板201を前後方向に複数(2枚以上)配置してもよい。図13(A)に示すように、2枚の反射板201A,201Bを前後に離間して配置するとともに、第2表示部12aにおいては、図13(C)に示すように、各反射板201A,201Bの反射面201aに対応する表示領域E10,E11それぞれに反射映像IMR1,IMR2を表示すればよい。
具体的には、図13(C)に示すように、反射板201Aの反射面201aに対応する表示領域E10にキャラクタC10の反射映像IMR1を表示し、反射板201Bの反射面201aに対応する表示領域E11にキャラクタC11の反射映像IMR2を表示すると、図13(B)及び図13(D)に示すように、第1表示部9aの前方位置にキャラクタC11が表示されるとともに、キャラクタC11の前方位置にキャラクタC12が表示されているように見える。つまり、キャラクタC10の映像は、反射板201Bの前方位置に表示されているように見えるため、奥行き感を有する立体的な表示が可能となる。
また、第2表示部12aにキャラクタC10,C11同士が左右方向に一部が重なるように表示されることで、正面から見たときに、キャラクタC10を透してその背面側のキャラクタC11の一部を視認することができるため、立体感が生じやすくなる。
また、前記実施例及び変形例では、演出制御用CPU120は、第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときに、第1演出表示装置9のバックライト9cの発光強度(輝度)を下げる制御を実行するようにしていたが、例えば、遊技盤6が透光板等により形成されている場合において、遊技盤6の背面側に映像表示ユニット200の周囲に発光ダイオード等の照明装置が配設され、遊技盤6を背面側から照らすようにしたものや、第1表示部9aの周囲に照明装置を備えた可動部材210L,210Rが設けられた場合においては、このような周囲の光により第2表示部12aの反射映像IMRが見えにくくなることを防止するため、第2表示部12aに反射映像IMRを表示するときには、その周囲にある照明装置による照明を中止する制御を行うことが好ましい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、パチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技媒体としてメダルを使用して遊技を行うスロットマシンであってもよく、図14、図15は、本発明をスロットマシン1001に適用した例である。
図14及び図15に示すように、スロットマシン1001は、前面が開口する筐体1001aと、この筐体1001aの側端に回動自在に枢支された前面扉1001bと、から構成されている。
スロットマシン1001の筐体1001aの内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール1002L、1002C、1002R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図14に示すように、これらリール1002L、1002C、1002Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1001bに設けられた透視窓1003から見えるように配置されている。
また、筐体1001aの内上部には、映像表示ユニット1200が設けられている。映像表示ユニット1200は、前面扉1001bの上部に設けられた透明な演出用透視窓1202に対し反射面1201aが傾斜した状態で設けられた反射板1201と、反射板1201における演出用透視窓1202と反対側、つまり、反射板1201の背面側に配置され、該反射板1201を透過して演出用透視窓1202から視認可能とされる透過映像を表示する第1表示部1209aを有する液晶パネルとバックライトとからなる液晶表示器である第1演出表示装置1209と、反射板1201の反射面1201aが傾斜する側、つまり、反射板1201の上方位置に配置され該反射板1201を反射して演出用透視窓1202から視認可能とされる反射映像を表示する第2表示部1212aを有する液晶パネルとバックライトとからなる液晶表示器である第2演出表示装置1212とから主に構成されている。また、遊技に関連する演出の実行を制御する演出制御手段は、映像表示ユニット200と同様に、第1演出表示装置1209と第2演出表示装置1212とにより多重映像の表示制御を実行可能としている。
スロットマシン1001においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部1004から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ1006を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図14参照)が有効となり、スタートスイッチ1007の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1〜L5が有効となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール1002L、1002C、1002Rの透視窓1003に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図14に示すように、各リール1002L、1002C、1002Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール1002L、1002C、1002Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール1002L、1002C、1002Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール1002Lの上段、リール1002Cの中段、リール1002Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール1002Lの下段、リール1002Cの中段、リール1002Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ1007を操作すると、各リール1002L、1002C、1002Rが回転し、各リール1002L、1002C、1002Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ1008L、1008C、1008Rを操作すると、対応するリール1002L、1002C、1002Rの回転が停止し、透視窓1003に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール1002L、1002C、1002Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化され入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール1002L、1002C、1002Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口1009(図14参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化され複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化され入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化され入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール1002L、1002C、1002Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
このようなスロットマシン1001においても、第1表示部1209aに表示された透過映像IMPの映像光の一部は反射板1201を透過して演出用透視窓1202側へ進行し、第2表示部1212aに表示された反射映像IMRの一部は反射板1201で反射して演出用透視窓1202側へ進行するため、遊技者は、第1表示部1209aに表示される透過映像IMPの前方に第2表示部1212aに表示される反射映像IMRが重ねられた多重映像IMMを演出用透視窓1202を透して視認することができる。また、第2表示部1212aに反射映像IMRが表示されるときに遊技者から見てその奥側(背面側)にある第1表示部1209aが暗くなることで、上記映像表示ユニット200と同様に、第1表示部1209aと第2表示部1212aとのコントラストが高くなり、これにより第2表示部1212aに表示された反射映像IMRの視認性が向上するため、視覚的な演出効果を高めることができる。
また、第2表示部1212aに周縁領域が所定の表示色の反射映像IMRを表示するときに、遊技者から見てその奥側にある第1表示部1209aの非対応領域において所定の表示色以外の表示色の透過映像IMPを表示することで、上記映像表示ユニット200と同様に、反射映像IMRを色の違いによりその周囲に広がる透過映像IMPと識別しやすくなり、これにより第2表示部1212aに表示された反射映像IMRの視認性が向上するため、視覚的な演出効果を高めることができる。
また、映像表示ユニット1200は、反射板1201と、液晶パネルとバックライトとからなる液晶表示モジュールである第1演出表示装置1209と、液晶パネルとバックライトとからなる液晶表示モジュールである第2演出表示装置1212とから構成されていたが、第1演出表示装置及び第2演出表示装置のうち一方をリール1002L、1002C、1002Rとしてもよい。
例えば、特に図示はしないが、第1演出表示装置を、識別情報としての図柄の可変表示が可能なリール1002L、1002C、1002Rと、これら各リール1002L、1002C、1002Rの内側に発光ダイオードからなるリールLED等の照明装置と、により構成し、透視窓1003側に位置しリールLEDによって照射された図柄が明るく表示され反射板1201を介して透視窓1003から視認可能となるようにする。
このようにすることで、各リール1002L、1002C、1002Rにおいて透視窓1003を透して図柄の可変表示が視認可能とされる可変表示部(第1表示部)に表示される透過映像IMPの映像光の一部は反射板1201を透過して透視窓1003側へ進行し、第2表示部1212aに表示された反射映像IMRの一部は反射板1201で反射して透視窓1003側へ進行するため、遊技者は、可変表示部(第1表示部)に表示される透過映像IMPの前方に第2表示部1212aに表示される反射映像IMRが重ねられた多重映像IMMを透視窓1003を透して視認することができる。また、第2表示部1212aに反射映像IMRが表示されるときに遊技者から見てその奥側(背面側)にある可変表示部(第1表示部)が暗くなることで、上記映像表示ユニット1200と同様に、各リール1002L、1002C、1002Rの可変表示部(第1表示部)と第2表示部1212aとのコントラストが高くなり、これにより第2表示部1212aに表示された反射映像IMRの視認性が向上するため、視覚的な演出効果を高めることができる。
また、遊技機が変形例のスロットマシン1001である場合において表示する遊技関連情報としては、例えば、再遊技役の発生確率が通常よりも高い確率とされたリプレイタイム(RT)が終了するまでのゲーム数や、ストップスイッチ1008L、1008C、1008Rの操作順序が報知されるアシストタイムが終了するまでのゲーム数や、アシストタイムを発生させる権利の獲得数(ナビストック数)や、ボーナス中の払出枚数や獲得枚数や、リプレイタイム(RT)中の払出枚数や獲得枚数等の情報が例示され、これらの情報の1つまたは複数を、特定領域を構成する所定の表示領域に表示するようにすれば良い。
また、前記実施例及び変形例では、映像表示ユニット200は遊技盤6の背面側に設けられ,映像表示装置200Aは筐体1001a内上部に設けられていたが、このような映像表示ユニットの配設位置は上記位置に限定されるものではなく、例えば、パチンコ遊技機1ではガラス扉枠102の前面所定箇所に設けてもよいし、スロットマシン1001であれば前面扉1001bの前面所定箇所に設けてもよい。
また、前記実施例や変形例では、パチンコ遊技機1やスロットマシン1001を例示したが、これら以外の遊技機、例えば、遊技媒体が、遊技機内部に内封され、貸し出されたパチンコ球やメダルの数や、入賞に応じて付与されたパチンコ球やメダルの数が加算される一方、遊技に使用されたパチンコ球やメダルの数が減算されて記憶される封入式遊技機や、パチンコ球やメダルを用いずに、例えば貸出要求に応じて貸し出されたポイントや点数等の価値や入賞に応じて付与されたポイントや点数等の価値を全てクレジットとして記憶し、クレジットとして記憶された価値のみを使用して遊技を行うことが可能な遊技機であっても良い。尚、この場合には、これらポイントや点数等が遊技媒体に相当し、クレジットが遊技用価値となる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。