以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の点灯装置10の回路構成図を図1に示す。本実施形態の点灯装置10は、電力変換回路1,制御部2,スイッチ電流検出回路3,インダクタ電流検出回路4,ゲートドライブ回路5を主構成とする。そして、点灯装置10は、直流電源E1を入力電源として、光源負荷6に点灯電力を供給するものである。以下に、本実施形態の点灯装置10の構成について説明する。
直流電源E1は、直流の入力電圧Viを点灯装置10(電力変換回路1)に印加する。また、直流電源E1の出力端間に、コンデンサC1が接続されている。このコンデンサC1は、入力電圧Viのノイズを除去する。
電力変換回路1は、スイッチング素子Q1,インダクタL1,コンデンサC2,ダイオードD1からなる降圧チョッパ回路で構成されている。そして、電力変換回路1は、所望の直流出力を光源負荷6に供給する。
直流電源E1の出力端間に、コンデンサC2,インダクタL1,スイッチング素子Q1,抵抗R1からなる直列回路が接続されている。そして、コンデンサC2,インダクタL1からなる直列回路と並列にダイオードD1が接続されている。
スイッチング素子Q1は、nチャネルMOSFETで構成されており、制御部2によってスイッチング制御される。スイッチング素子Q1がオンすると、直列接続されたインダクタL1に電流(インダクタ電流Il)が流れることでインダクタL1にエネルギーが蓄積される。また、スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1に蓄積されたエネルギーが回生用のダイオードD1を介してコンデンサC2に回生される。コンデンサC2は、平滑用のコンデンサであり、スイッチング素子Q1がオン・オフ駆動されてインダクタ電流Ilが断続制御されることで、入力電圧Viを降圧した出力電圧Voが両端間に生成される。
また、コンデンサC2と並列に、複数(図示例では4つ)のLED素子Ld1(発光素子)が直列接続されることで構成された光源負荷6が接続されている。したがって、コンデンサC2の両端間に生成された出力電圧Voが光源負荷6に印加されることで、各LED素子Ld1にLED電流Ild(負荷電流)が流れて点灯する。
また、スイッチング素子Q1に直列接続された抵抗R1は、スイッチング素子Q1に流れる電流(スイッチ電流Iq)、すなわちスイッチング素子Q1のオン時におけるインダクタ電流Ilを検出する電流検出用抵抗である。スイッチ電流検出回路3は、抵抗R1の両端電圧を検出することで、スイッチング素子Q1に流れるスイッチ電流Iqを検出し、検出結果を制御部2に出力する。
インダクタ電流検出回路4は、スイッチング素子Q1のドレイン(インダクタL1とダイオードD1との接続点)に接続されている。そして、インダクタ電流検出回路4は、スイッチング素子Q1のドレイン電圧を分圧し、この分圧値を検出することで、スイッチング素子Q1のオフ時におけるインダクタ電流Ilを検出し、検出結果を制御部2に出力する。なお、インダクタ電流検出回路4は、上記に限定するものではなく、インダクタL1に二次巻線を設け、この二次巻線に発生する誘導電圧を検出する構成でもよい。
なお、スイッチ電流検出回路3とインダクタ電流検出回路4とで、本願発明のインダクタ電流検出部を構成している。
制御部2は、光源負荷6の調光レベルが目標レベルとなるように、スイッチング素子Q1のスイッチング制御するための制御信号をゲートドライブ回路5に出力する。
ゲートドライブ回路5は、スイッチング素子Q1の駆動回路(例えば汎用のプリドライバ)であり、出力がスイッチング素子Q1のゲートに接続されている。また、ゲートドライブ回路5の出力は、抵抗R2を介して直流電源E1の負極(回路グランド)に接続されている。そして、ゲートドライブ回路5は、制御部2から出力される制御信号に同期した駆動信号をスイッチング素子Q1に出力することで、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する。
図2に、インダクタ電流Ilの波形図を示す。制御部2は、スイッチング素子Q1をターンオンしてから、インダクタ電流Ilが予め設定された所定のピーク値Ip(閾値)以上になるとスイッチング素子Q1をターンオフするスイッチング制御を行っている。スイッチング素子Q1がオンしている期間は、インダクタ電流Ilが増加し、インダクタL1にエネルギーが蓄積される。そして、インダクタ電流Ilがピーク値Ip以上になるとスイッチング素子Q1がターンオフされる。スイッチング素子Q1がターンオフされると、インダクタL1に蓄積されたエネルギーがダイオードD1を介してコンデンサC2に回生され、インダクタ電流Ilが徐々に低減してゼロとなる。そして、スイッチング素子Q1をターンオンしてから、スイッチング周期Tが経過すると、再びスイッチング素子Q1がターンオンされる。以下に、制御部2の構成および、スイッチング素子Q1のスイッチング制御について、具体的に説明する。
制御部2は、マイクロコンピュータで構成されており、出力制御部21,調光信号判定部22,AD変換部23,カウンター24を有している。なお、汎用のアナログICを用いて制御部2を構成してもよい。この場合、AD変換部23を省略することができる。
調光信号判定部22は、光源負荷6の調光レベルの目標レベル(以降、目標調光レベルと称す)を示す調光信号が外部から入力される。この調光信号は、PWM信号で構成され、デューティが目標調光レベルを示している。調光信号判定部22は、調光信号のHエッジ,Lエッジを検出するコンパレータと、調光信号のH期間(またはL期間)をカウントするカウンターとを有し、調光信号のデューティを検出する。そして、調光信号判定部22は、調光信号のデューティから得られる目標調光レベルを出力制御部21に出力する。なお、調光信号判定部22の構成は、上記に限定するものではなく、例えば、調光信号を平滑してDCレベル(電圧値)に変換し、このDCレベルから得られる目標調光レベルを出力制御部21に出力する構成でもよい。
AD変換部23は、スイッチ電流検出回路3からスイッチング素子Q1に流れるスイッチ電流Iqの検出値が入力される。そして、AD変換部23は、スイッチ電流Iqの検出値をAD変換し、カウンター24および出力制御部21に出力する。また、AD変換部23は、インダクタ電流検出回路4からインダクタL1に流れるインダクタ電流Ilの検出値が入力される。そして、AD変換部23は、インダクタ電流Ilの検出値をAD変換し、カウンター24に出力する。
カウンター24は、スイッチ電流Iqの検出値とインダクタ電流Ilの検出値から、インダクタL1に電流が流れている第1のオン期間(以降、インダクタオン期間Tlonと称す)を算出する。具体的には、カウンター24は、スイッチ電流Iqが所定値(例えばゼロ)を上回った時間を始点とし、スイッチ電流Iqが予め設定されたピーク値Ip以上になるまでの期間(以降、スイッチオン期間Tqonと称す)を計時する。また、カウンター24は、スイッチ電流Iqがピーク値Ip以上になった時間を始点とし、インダクタ電流Ilが所定値(例えばゼロ)になるまでの期間(以降、ダイオードオン期間Tdonと称す)を計時する。そして、カウンター24は、計時したスイッチオン期間Tqonとダイオードオン期間Tdonとを足した期間を、インダクタオン期間Tlonとして出力制御部21に出力する(下記式(1)参照)。
出力制御部21は、目標調光レベル,スイッチ電流Iq,インダクタ電流Il,インダクタオン期間Tlonに基づいて、スイッチング素子Q1をスイッチング制御するための制御信号を生成してゲートドライブ回路5に出力する。なお、出力制御部21が、本願発明の電流量算出部としての機能を有している。
出力制御部21は、予め設定されたピーク値Ipとスイッチ電流Iqとを比較しており、スイッチ電流Iqがピーク値Ip以上になるととスイッチング素子Q1をターンオフする。そして、出力制御部21は、スイッチング素子Q1をターンオンしてから、スイッチング周期Tが経過すると再びスイッチング素子Q1をターンオンする。このスイッチング周期Tは、目標調光レベルに基づいて算出される。
制御部2は、図示しない記憶部を備えており、この記憶部には、目標調光レベルと目標電流値α(本願発明の目標値に相当)との関係を示すデータテーブルが格納されている。目標電流値αは、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値を示している。また、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流量は、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの積分値M(以降、インダクタ電流Ilの積分値Mと略称する)に相当する。したがって、目標電流値αは、下記式(2)で表される。
目標電流値αは、目標調光レベルと比例関係にあり、目標調光レベルが増加するにつれて目標電流値αも大きくなる。なお、目標調光レベルと目標電流値αとの関係を示すデータテーブルは、点灯装置10の個体差(インダクタL1のインダクタンスLのバラツキ)によらず、同種の点灯装置10であれば同じデータテーブルが用いられる。
そして、出力制御部21は、調光信号判定部22から入力される目標調光レベルに対応する目標電流値αを記憶部から取得する。
また、出力制御部21は、インダクタ電流Ilの積分値Mを算出する。具体的には、予め設定されているインダクタ電流Ilのピーク値Ipと、カウンター24によって計時されたインダクタオン期間Tlonとを用いて、インダクタ電流Ilの積分値Mを算出する。インダクタ電流Ilの積分値Mは、図2における斜線部分の面積に相当し、下記式(3)によって算出される。
そして、出力制御部21は、算出したインダクタ電流Ilの積分値Mから、記憶部から取得した目標電流値αを除算することで、スイッチング周期Tを算出する(下記式(4)参照)。
そして、出力制御部21は、算出したスイッチング周期Tを、スイッチング素子Q1のスイッチング制御に適用する。上記演算は、スイッチング周期T毎におけるインダクタ電流Ilがゼロであるインダクタオフ期間Tloffに行われ、算出結果は次のスイッチング周期Tに適用される。
ここで、インダクタ電流Ilの積分値Mは、インダクタL1のインダクタンスLによって決定される。インダクタオン期間Tlonを構成するスイッチオン期間Tqon,ダイオードオン期間Tdonは、下記式(5)(6)で表される。なお、インダクタL1の両端電圧をVlとする。
上記式(5)(6)より、インダクタL1のインダクタンスLが小さくなるにつれて、スイッチオン期間Tqon,ダイオードオン期間Tdonが短くなるので、インダクタ電流Ilの積分値Mも小さくなる(式(1)(3)参照)。
例えば、同種の点灯装置10であっても、インダクタL1のインダクタンスLにバラツキが発生する場合がある。インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を図3(a)、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタ電流Iの波形図を図3(b)に示す。なお、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタオン期間をTlon1、スイッチオン期間をTqon1、ダイオードオン期間をTdon1、インダクタ電流Ilの積分値をM1とする。また、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタオン期間をTlon2、スイッチオン期間をTqon2、ダイオードオン期間をTdon2、インダクタ電流Ilの積分値をM2とする。なお、図3(a)(b)は、目標調光レベルが同じ場合の波形図である。
インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタオン期間Tlon1は、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタオン期間Tlon2よりも短くなる(式(1)(5)(6)参照)。したがって、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタ電流Ilの積分値M1は、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタ電流Ilの積分値M2よりも小さくなる(式(3)参照)。これにより、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるスイッチング周期T1は、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるスイッチング周期T2よりも短くなる(式(4)参照)。
すなわち、インダクタンスLが小さくなるにつれて、インダクタ電流Ilの積分値Mが小さくなるが、スイッチング周期Tも短くなる。したがって、インダクタンスLの大小に関わらず、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が一定(目標電流値α)となる。スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値は、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値と等しい。つまり、本実施形態では、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が目標電流値αとなるようにスイッチング周期Tを設定することで、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値が目標電流値αとなる。これにより、LED電流Ildのバラツキが抑制され、光源負荷6の明るさのバラツキを抑制することができる。
また、目標電流値αは、上述したように目標調光レベルに基づいて決定される。図4(a)に目標調光レベルが上限値(定格点灯)である場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を示す。また、図4(b)に目標調光レベルが中レベルである場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を示す。また、図4(c)に目標調光レベルが下限値である場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を示す。なお、目標調光レベルが上限値である場合におけるスイッチング周期をT3、目標調光レベルが中レベルである場合におけるスイッチング周期をT4、目標調光レベルが下限値である場合におけるスイッチング周期をT5とする。
目標調光レベルと目標電流値αとは比例関係にあり、目標調光レベルが高くなるにつれて目標電流値αも大きくなるので、スイッチング周期Tが短くなる(式(4)参照)。したがって、図4(a)〜(c)に示すように、各スイッチング周期Tの関係はT3<T4<T5となる。すなわち、目標調光レベルが高くなるにつれてスイッチング周期Tが短くなるので、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Il(LED電流Ild)の平均値が高くなり、光源負荷の調光レベルが高くなる。
このように、本実施形態では、目標調光レベルに基づいてスイッチング周期Tを可変制御することで、光源負荷6を調光制御している。これにより、光源負荷6を調光制御した場合であっても、明るさのバラツキを抑制することができる。
なお、図4(a)に示すように、本実施形態では、目標調光レベルの上限値に対応する目標電流値αは、インダクタ電流Ilが不連続モードとなる値に設定されている。
ここで、目標調光レベルと目標電流値αとの関係を示すデータテーブルは、同種の点灯装置10であれば、インダクタンスLの大小に関わらず同じデータテーブルが用いられる。したがって、複数の点灯装置10を用いる場合、インダクタンスLにバラツキが発生しても、光源負荷6の明るさのバラツキを抑制することができる。
なお、実施形態では、インダクタ電流Ilの積分値Mを算出し、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が目標電流値αとなるようにスイッチング周期Tを設定している。しかし、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流量(LED電流Ildの積分値)を算出し、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値が目標電流値αとなるようにスイッチング周期Tを設定してもよい。
なお、本実施形態では、電力変換回路1は、降圧チョッパ回路で構成されているが、これに限定するものではなく、昇圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路等で構成されていてもよい。また、光源負荷6を構成する発光素子はLED素子Ld1に限定するものではなく、有機EL素子等で構成されていてもよい。
(実施形態2)
本実施形態の点灯装置10は、図1に示す実施形態1の点灯装置10と同様の構成であるが、スイッチング素子Q1のスイッチング制御方法が異なる。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
実施形態1では、予め設定された所定のピーク値Ipと、計時したインダクタオン期間Tlonとを用いてインダクタ電流Ilの積分値Mを算出している(式(1)(3)参照)。一方、本実施形態では、予め所定のスイッチオン期間Tqon(第2のオン期間)が設定されており、インダクタ電流Ilのピーク値Ip(ターンオフ時におけるインダクタ電流Il)を検出して、インダクタ電流Ilの積分値Mを算出する。
まず、出力制御部21は、目標調光レベルに対応した目標電流値αを記憶部から取得する。
次に、出力制御部21は、インダクタ電流Ilの積分値Mを算出する。本実施形態では、予め所定のスイッチオン期間Tqonが設定されている。したがって、カウンター24は、実施形態1と同様の方法でダイオードオン期間Tdonのみを計時し、計時したダイオードオン期間Tdonと、予め設定されているスイッチオン期間Tqonとを足したインダクタオン期間Tlonを出力制御部21に出力する(式(1)参照)。
また、出力制御部21は、スイッチング素子Q1のターンオフ時におけるスイッチ電流Iq(インダクタ電流Il)をピーク値Ipとして取得する。そして、出力制御部21は、インダクタオン期間Tlonとピーク値Ipとから、インダクタ電流Ilの積分値Mを算出する(式(3)参照)。そして、出力制御部21は、記憶部から取得した目標電流値αと、算出したインダクタ電流Ilの積分値Mとを用いてスイッチング周期Tを算出し、スイッチング素子Q1のスイッチング制御に適用する(式(4)参照)。
ここで、ピーク値Ip,インダクタオン期間Tlon,インダクタ電流Ilの積分値Mは、インダクタL1のインダクタンスLによって決定される。インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を図5(a)、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタ電流Iの波形図を図5(b)に示す。なお、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタオン期間をTlon11、ピーク値をIp11、ダイオードオン期間をTdon11、インダクタ電流Ilの積分値をM11とする。また、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタオン期間をTlon12、ピーク値をIp12、ダイオードオン期間をTdon12、インダクタ電流Ilの積分値をM12とする。なお、図5(a)(b)は、目標調光レベルが同じ場合の波形図である。
上記式(5)(6)より、インダクタンスLが小さくなるにつれて、ピーク値Ipが大きくなる。したがって、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるピーク値Ip11は、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるピーク値Ip12よりも大きくなる。
したがって、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタ電流Ilの積分値M11は、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタ電流Ilの積分値M12よりも大きくなる(式(3)参照)。これにより、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるスイッチング周期T11は、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるスイッチング周期T12よりも長くなる(式(4)参照)。
すなわち、インダクタンスLが小さくなるにつれて、インダクタ電流Ilの積分値Mが大きくなるが、スイッチング周期Tも長くなる。したがって、インダクタンスLの大小に関わらず、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が一定(目標電流値α)となる。スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値は、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値と等しい。つまり、本実施形態では、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が目標電流値αとなるようにスイッチング周期Tを設定することで、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値が目標電流値αとなる。これにより、LED電流Ildのバラツキが抑制され、光源負荷6の明るさのバラツキを抑制することができる。
また、本実施形態でも実施形態1と同様に、目標調光レベルに対応した目標電流値αを設定し、スイッチング周期Tを可変制御することで光源負荷6を調光制御してもよい(図4参照)。これにより、光源負荷6を調光制御した場合であっても、明るさのバラツキを抑制することができる。
また、本実施形態では、予めスイッチオン期間Tqonが所定値に設定されているため、スイッチ電流Iqとピーク値Ipとを比較するコンパレータを省略することができる。
(実施形態3)
本実施形態の点灯装置10は、図1に示す実施形態1の点灯装置10と同様の構成であるが、光源負荷6の調光制御方法が異なる。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
実施形態1では、目標調光レベルに対応した目標電流値αを設定し、スイッチング周期Tを可変制御することで、光源負荷6を調光制御している(図4参照)。
一方、本実施形態では、目標調光レベルに基づいて、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する期間と、スイッチング素子Q1のオン・オフ駆動を停止する期間との割合を変動させるバースト調光を行っている。具体的には、本実施形態では、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する期間を、低周波のPWM信号からなるバースト信号のオン期間に同期させている。図6(a)にバースト信号の波形図を示す。また、図6(b)にインダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタ電流Ilの波形図、図6(c)にインダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を示す。なお、インダクタンスLが比較的小さい場合におけるインダクタオン期間をTlon21、インダクタ電流Ilの積分値をM21、スイッチング周期をT21とする。また、インダクタンスLが比較的大きい場合におけるインダクタオン期間をTlon22(>Tlon21)、インダクタ電流Ilの積分値をM22(>M21)、スイッチング周期をT22(>T21)とする。
本実施形態では、予め所定の目標電流値αが製造時に設定されている。具体的には、目標電流値αは、光源負荷6を定格点灯させた場合における、スイッチング周期Tの1周期あたりのLED電流Ild(インダクタ電流Il)の平均値が設定されている。そして、出力制御部21は、この目標電流値αを用いてスイッチング周期Tが算出され、スイッチング素子Q1のスイッチング制御に適用される。なお、スイッチング素子Q1のスイッチング制御は、実施形態1と同様であるので詳細な説明は省略する。
そして、本実施形態では、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する期間を、低周波(周期Tb)のPWM信号からなるバースト信号のオン期間Tbonに同期させている。具体的には、出力制御部21は、バースト信号のオン期間Tbon(H期間)にスイッチング素子Q1をオン・オフ駆動し、バースト信号のオフ期間Tboff(L期間)にスイッチング素子Q1のオン・オフ駆動を停止する。そして、このバースト信号のオンデューティ(オン期間Tbon)は、目標調光レベルに基づいて設定される。出力制御部21は、目標調光レベルが調光上限値である場合、バースト信号のオンデューティを100%に設定し、目標調光レベルが低下するにつれて、バースト信号のオンデューティを低減(オン期間Tbonを短く)させる。これにより、バースト信号の周期Tbの1周期あたりにおけるインダクタ電流Il(LED電流Ild)の平均値を増減させることができ、光源負荷6を調光制御することができる。
このように、本実施形態では、予め所定の目標電流値αを設定して、スイッチング周期Tを算出する。これにより、実施形態1と同様に、インダクタンスLの大小に関わらず、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Il(LED電流Ild)の平均値が一定(目標電流値α)となる。そして、目標調光レベルに基づいて、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する期間を間欠制御することで、光源負荷6の調光制御(バースト調光)している。ここで、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が一定(目標電流値α)であるので、バースト信号の周期Tbの1周期あたりにおけるインダクタ電流Il(LED電流Ild)の平均値も一定となる。これにより、調光時における光源負荷6の明るさのバラツキも抑制される。
さらに、本実施形態では、光源負荷6をバースト調光するので、スイッチング周期Tを可変制御することで調光制御する実施形態1(図4参照)よりも、深い調光が可能となる。
なお、本実施形態では、実施形態1と同様にピーク値Ipを一定にして、スイッチング素子Q1をスイッチング制御しているが、実施形態2と同様に、スイッチオン期間Tqonを一定にして、スイッチング素子Q1をスイッチング制御してもよい。
(実施形態4)
本実施形態の点灯装置10は、図1に示す実施形態1の点灯装置10と同様の構成であるが、インダクタ電流Ilのモードが異なる。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
実施形態1,2では、目標調光レベルが上限値であっても、目標電流値αは、インダクタ電流Ilが不連続モードとなる値に設定されていた(図2,4,5参照)。
一方、本実施形態では、目標調光レベルが上限値である場合、目標電流値αは、インダクタ電流Ilが連続モードとなる値が設定され、目標調光レベルが下限値である場合、目標電流値αは、インダクタ電流Ilが不連続モードとなる値が設定される。
図7(a)に目標調光レベルが上限値である場合におけるインダクタ電流Ilの波形図、図7(b)に目標調光レベルが下限値である場合におけるインダクタ電流Ilの波形図を示す。なお、図7(a)におけるピーク値をIp31、ダイオードオン期間をTdon31、インダクタオン期間をTlon31、インダクタ電流Ilの積分値をM31、スイッチング周期をT31とする。また、図7(b)におけるピーク値をIp32、ダイオードオン期間をTdon32、インダクタオン期間をTlon32、インダクタ電流Ilの積分値をM32、スイッチング周期をT32とする。
実施形態2と同様に予め所定のスイッチオン期間Tqonが設定されており、スイッチング素子Q1のスイッチング制御は、実施形態2と同様であるので詳細な説明は省略する。
本実施形態では、目標調光レベルの上限値に対応する目標電流値αが、実施形態1,2よりも大きい値が設定されており、算出されるスイッチング周期Tが短くなる(式(4)参照)。図7(a)に示すように、目標調光レベルが上限値である場合、算出されるスイッチング周期T31が短く、インダクタ電流Ilがゼロとなる前に、スイッチング素子Q1がターンオンされる。すなわち、インダクタオン期間Tlon31と、スイッチング周期T31とが一致し、インダクタ電流Ilが連続モードとなる。
ここで、連続モード時におけるインダクタ電流Ilの積分値Mは、下記式(7)で算出される。なお、スイッチング素子Q1のターンオン時におけるインダクタ電流Ilをボトム値Ibとする。図7(a)におけるインダクタ電流Ilのボトム値をIb31とする。
一方、目標調光レベルが低い場合、目標電流値αが小さくなるので、算出されるスイッチング周期Tが長くなる(式(4)参照)。図7(b)に示すように、目標調光レベルが下限値である場合、算出されるスイッチング周期T32が長くなり、インダクタ電流Ilがゼロとなる期間が発生する不連続モードとなる。なお、インダクタ電流Ilの積分値Mは、実施形態1と同様に式(3)で算出することができる。
このように、本実施形態の目標電流値αは、目標調光レベルが上限値である場合、インダクタ電流Ilが連続モードとなる値に設定され、目標調光レベルが下限値である場合、インダクタ電流Ilが不連続モードとなる値に設定される。これにより、スイッチング周期Tの変動範囲が実施形態1,2よりも広くなるので、光源負荷6の調光範囲も広くなり、より深い調光も可能となる。
また、実施形態3では、光源負荷6をバースト調光するため、スイッチング素子Q1のオン・オフ駆動する期間が間欠制御されるので、容量の大きいコンデンサC2を用いて出力を平滑する必要があった。しかし、本実施形態(および実施形態1,2)では、スイッチング素子Q1のオン・オフ駆動が継続して行われるので出力のリップルが小さくなり、コンデンサC2の容量を小さくすることができ、小型化および低コストが可能となる。
なお、本実施形態は、目標調光レベルの上限値に対応する目標電流値αが、実施形態1,2よりも大きい値が設定されることで、目標調光レベルが上限値である場合にインダクタ電流Ilを連続モードで制御している。しかし、目標調光レベルの上限値に対応する目標電流値αを実施形態1,2と同じ値に設定し、インダクタL1のインダクタンスLを調整することで、目標調光レベルが上限値である場合にインダクタ電流Ilを連続モードで制御してもよい。
なお、本実施形態では、実施形態2と同様にスイッチオン期間Tqonを一定にして、スイッチング素子Q1をスイッチング制御しているが、実施形態1と同様に、ピーク値Ipを一定してスイッチング素子Q1をスイッチング制御してもよい。
(実施形態5)
本実施形態の点灯装置10の回路構成図を図8に示す。なお、実施形態1の点灯装置10と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。実施形態1〜4の電力変換回路1は降圧チョッパ回路で構成されているが、本実施形態の電力変換回路1aは、フライバックコンバータ回路で構成されている。
本実施形態の点灯装置10は、電力変換回路1a,制御部2,スイッチ電流検出回路3,インダクタ電流検出回路4,ゲートドライブ回路5を主構成とする。そして、点灯装置10は、直流電源E11を入力電源として、光源負荷6に点灯電力を供給するものである。以下に、本実施形態の点灯装置10の構成について説明する。
直流電源E11は、直流の入力電圧Viを点灯装置10(電力変換回路1a)に印加する。また、直流電源E11の出力端間に、コンデンサC11が接続されている。このコンデンサC11は、入力電圧Viのノイズを除去する。
電力変換回路1aは、トランスT11,スイッチング素子Q11,ダイオードD11,コンデンサC12からなるフライバックコンバータ回路(チョッパ回路)で構成されている。そして、電力変換回路1aは、所望の直流出力を光源負荷6に供給する。
トランスT11は、一次側に設けられる一次巻線L11と、二次側に設けられる二次巻線L12,検出巻線L13とで構成される。
直流電源E11の出力端間に、トランスT11の一次巻線L11,スイッチング素子Q11,抵抗R11からなる直列回路が接続されている。また、トランスT11の二次巻線L12の両端間に、ダイオードD11,コンデンサC12の直列回路が接続されている。また、トランスT11の検出巻線L13は、一端が回路グランドに接続され、他端がインダクタ電流検出回路4に接続されている。
スイッチング素子Q11は、nチャネルMOSFETで構成されており、制御部2によってスイッチング制御される。スイッチング素子Q11がオンすると、直列接続された一次巻線L11に電流が流れることで、トランスT11にエネルギーが蓄積される。そして、スイッチング素子Q11がオフすると、トランスT11に蓄積されたエネルギーが二次巻線L12から放出されてコンデンサC12に蓄積される。このとき、二次巻線L12からダイオードD11を介してインダクタ電流Ilが流れる。なお、二次巻線L12が本願発明のインダクタに相当する。コンデンサC12は、平滑用のコンデンサであり、スイッチング素子Q11がオン・オフ駆動されてインダクタ電流Ilが断続制御されることで、出力電圧Voが両端間に生成される。
また、コンデンサC12と並列に、複数(図示例では4つ)のLED素子Ld1(発光素子)が直列接続されることで構成された光源負荷6が接続されている。したがって、コンデンサC12の両端間に生成された出力電圧Voが光源負荷6に印加されることで、各LED素子Ld1にLED電流Ild(負荷電流)が流れて点灯する。
また、スイッチング素子Q11に直列接続された抵抗R11は、スイッチング素子Q11に流れる電流(スイッチ電流Iq)を検出する電流検出用抵抗である。スイッチ電流検出回路3は、抵抗R11の両端電圧を検出することで、スイッチング素子Q11に流れるスイッチ電流Iqを検出し、検出結果を制御部2に出力する。
インダクタ電流検出回路4は、トランスT11の検出巻線L13に接続されている。インダクタ電流検出回路4は、検出巻線L13に生じる電圧を検出することで、二次巻線L12に流れるインダクタ電流Ilを検出し、検出結果を制御部2に出力する。なお、インダクタ電流検出回路4は、必要であればフォトカプラ等を用いて制御部2と絶縁するように構成してもよい。また、インダクタ電流検出回路4は、二次巻線L12とダイオードD11との接続点電圧を分圧し、この分圧値を検出することでインダクタ電流Ilを検出するように構成してもよい。
制御部2は、光源負荷6の調光レベルが目標レベルとなるように、スイッチング素子Q11のスイッチング制御を行う。なお、制御部2の構成および動作は実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
また、ゲートドライブ回路5は、スイッチング素子Q11の駆動回路であり、出力が抵抗R12,R13の直列回路を介して回路グランドに接続されており、抵抗R12,R13間がスイッチング素子Q11のゲートに接続されている。そして、ゲートドライブ回路5は、出力制御部21から入力される制御信号に同期した駆動信号をスイッチング素子Q11に出力することで、スイッチング素子Q11をオン・オフ駆動する。
図9に、二次巻線L12に流れるインダクタ電流Ilの波形図を示す。本実施形態の電力変換回路1aは、フライバックコンバータで構成されている。そのため、スイッチング素子Q11がオンするスイッチオン期間Tqon41に、一次巻線L11に電流が流れトランスT11にエネルギーが蓄積される。このとき、二次巻線L12には、ダイオードD11が逆接続されているためインダクタ電流Ilが流れない。そして、スイッチング素子Q11がターンオフすると、トランスT11に蓄積されたエネルギーによって、二次巻線L12からダイオードD11を介してインダクタ電流Ilが流れる(ダイオードオン期間Tdon41)。本実施形態では、ダイオードオン期間Tdon41が、本願発明の第1のオン期間に相当する。
本実施形態でも、実施形態1と同様に、目標調光レベルに基づいた目標電流値α、インダクタ電流Ilの積分値Mを用いて、スイッチング周期Tを算出し、スイッチング素子Q11のスイッチング制御に適用する。ここで、電力変換回路1aをフライバックコンバータで構成した場合におけるスイッチオン期間Tqon、ダイオードオン期間Tdonは、下記式(8)(9)で算出される。なお、スイッチング素子Q11(一次巻線L11)に流れる電流のピーク値をIp、二次巻線L12のインダクタンスをL、一次巻線L11と二次巻線L12との巻数比をkとする。
ここで、二次巻線L12に流れるインダクタ電流Ilのピーク値は、一次巻線L11に流れる電流のピーク値Ipと、一次巻線L11と二次巻線L12との巻数比kとによって決定される。すなわち、インダクタ電流Ilのピーク値は、k×Ipとなる。
そして、電力変換回路1aをフライバックコンバータで構成した場合、スイッチオン期間Tqonにインダクタ電流Ilが流れないため、ダイオードオン期間Tdonがインダクタオン期間Tlonとなる。したがって、インダクタ電流Ilの積分値Mは、下記式(10)で算出される。
そして、出力制御部21は、算出したインダクタ電流Ilの積分値Mから、記憶部から取得した目標電流値αを除算することで、スイッチング周期Tを算出する(下記式(4)参照)。なお、図9におけるインダクタ電流Ilの積分値をM41、スイッチング周期をT41とする。
このように、電力変換回路1aをフライバックコンバータで構成した場合であっても、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるインダクタ電流Ilの平均値が目標電流値αとなるようにスイッチング周期Tを設定することで、スイッチング周期Tの1周期あたりにおけるLED電流Ildの平均値が目標電流値αとなる。これにより、LED電流Ildのバラツキが抑制され、光源負荷6の明るさのバラツキを抑制することができる。
なお、電力変換回路1aを昇降圧コンバータまたは昇圧コンバータとして動作させる場合、巻数比k=1として上記演算を行う。また、電力変換回路1aを昇圧コンバータとして動作させる場合におけるダイオードオン期間Tdonは、下記式(11)によって算出される。
(実施形態6)
本実施形態の照明器具11の概略構成図を図10に示す。本実施形態の照明器具11は、実施形態1〜5のうちいずれかの点灯装置10と、この点灯装置10から所望の直流出力が供給される光源負荷6と、点灯装置10および光源負荷6が取り付けられる器具本体12とを主構成とし、住宅等の天井面に取り付けられるものである。
器具本体12は、金属製板部材をプレス成形や、硬質の樹脂材料を用いた成形によって、円筒形に形成された筐体であり、内部に点灯装置10,光源負荷6を収納する。
光源負荷6は、複数のLED素子Ld1を実装した実装基板(図示なし)が、円筒状に形成されたケース61に収納されている。また、ケース61には、LED素子Ld1の照射方向に透光部材62が設けられている。このように構成された光源負荷6は、器具本体12の下面開口を閉塞するように取り付けられる。
点灯装置10は、電力変換回路1,制御部2,スイッチ電流検出回路3,インダクタ電流検出回路4,ゲートドライブ回路5を構成する回路素子が実装基板に実装されることで構成されており、器具本体12内に収納される。そして、点灯装置10は、光源負荷6に電気的に接続される。
また、器具本体12の上端部には、ブラケット13が設けられ、このブラケット13には器具本体12の外部に電源端子台14を固定している。電源端子台14は、外部電源(例えば、直流電源E1)を点灯装置10に電気的に接続する。
そして、上記構成の照明器具11は、天井面に設けられた取付穴に埋込配設され、床面に向かって光を照射する。
本実施形態の照明器具11は、実施形態1〜5のうちいずれかの点灯装置10を備えているため、光源負荷6の明るさのバラツキが抑制される。特に、一室に複数の照明器具11を設ける場合であっても、各照明器具11間の明るさのバラツキが抑制されるため、ユーザーの違和感を低減させることができる。