JP2014115375A - 感光性平版印刷版 - Google Patents

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Abstract

【課題】高感度でかつ、長期保管した後であっても印刷汚れが発生することのない感光性平版印刷版を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム支持体上に、印刷時に非画像部として作用する親水性層と、該親水性上に重合性二重結合基を有する化合物を含有し印刷時にインキ受理部となる感光層とを少なくとも有する感光性平版印刷版において、親水性層が酸化防止剤を含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックフィルム支持体上に親水性層と重合性二重結合基を含有する感光層とを少なくとも有する感光性平版印刷版に関する。詳しくは実質的にアルカリ剤を含有しないケミカルレス現像に好適であり、高感度でかつ、長期保管した後の印刷汚れが改善された感光性平版印刷版に関する。
光重合を利用した感光性組成物として種々の応用分野があるが、特に平版印刷版に関わる分野においては、近年、コンピューター上で作製したデジタルデータをもとにフィルム上に出力せずに直接印刷版上に出力するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)技術が開発され、出力機として種々のレーザーを搭載した各種プレートセッターとこれらに適合する感光性平版印刷版の開発が盛んである。
CTP方式の普及と共にクローズアップされてきた重要な問題点あるいは要望として、現像処理に関わる諸点が挙げられる。通常のCTP方式では、感光性平版印刷版をレーザー露光した後、アルカリ性現像液により非画像部を溶出し、水洗及びガム引き工程を経て印刷に供される。しかし、アルカリ性現像液は人体に有害であり、その取扱い及び保管には十分な注意と管理が必要とされる。また購入コスト及び廃液処理に関わるコストはユーザーに多大の負担を強いるものであり、加えてアルカリ性現像液の液性としてpH、温度等の管理を細心の注意を以て管理しなければならず、極めて取扱いが煩雑であった。
このようなアルカリ性現像液を用いることを回避し、水などで現像が可能な感光性組成物の提案がされている。例えば特開平5−27437号公報(特許文献1)には、カルボキシル基含有樹脂、アミン化合物、光硬化性不飽和化合物、光重合開始剤及び水を含む水系感光性組成物が開示されている。さらに、特開2003−215801号公報(特許文献2)や特開2008−265297号公報(特許文献3)等には側鎖に重合性二重結合基を有するカチオン性あるいはアニオン性の水溶性ポリマーをバインダーポリマーとして用いる、水で現像可能な感光性組成物及びこれを利用する感光性平版印刷版が開示されている。
上記した感光性組成物を用いたCTP方式の平版印刷版においては、レーザーによる短時間露光で画像を形成することが必要で、高感度であることが要求される。前述した特許文献1〜3の技術はこの要求を満たすものであるが、これらの方法では長期保管した後の印刷汚れを解消することはできず、改善が求められていた。
一方、特開2005−84302号公報(特許文献4)には、保護層に酸化防止剤を添加することで、長期保管に伴う感度低下が改善できることが記載され、特開2002−333707号公報(特許文献5)には、感光層に酸化防止剤を添加することで保存安定性に優れた印刷版が得られることが記載されている。
特開平5−27437号公報 特開2003−215801号公報 特開2008−265297号公報 特開2005−84302号公報 特開2002−333707号公報
本発明は、高感度でかつ、長期保管した後であっても印刷汚れが発生することのない感光性平版印刷版を提供することを課題とする。
本願の上記課題は以下の発明により解決された。
(1)プラスチックフィルム支持体上に、印刷時に非画像部として作用する親水性層と、該親水性上に重合性二重結合基を有する化合物を含有し印刷時にインキ受理部となる感光層とを少なくとも有する感光性平版印刷版において、親水性層が酸化防止剤を含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
本発明により、高感度でかつ、長期保管した後であっても印刷汚れが発生することのない感光性平版印刷版を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の親水性層に含まれる酸化防止剤としては、(株)大成社出版の「酸化防止剤ハンドブック」(昭和51年10月25日初版)12頁から16頁に記載されている酸化防止剤や、メルカプト基含有化合物、チオエーテル基含有化合物のような含硫黄化合物;亜リン酸エステル類のような含リン化合物;アミン類;フェノール類;ハイドロキノン類;アスコルビン酸類などが挙げられる。中でも、アミン類、フェノール類、アスコルビン酸類が好ましく用いられる。
アミン類としてはヒンダードアミン系化合物が好ましく用いられる。このようなヒンダードアミン系化合物としては、LA52、LA57,LA62((株)アデカ製)、TINUVIN144、765、770DF(チバ・ジャパン(株)製)、サイアソーブUV−3346、UV−3529、UV−3853(サンケミカル(株)製)などが挙げられる。
フェノール類の市販品としては、ノクラックNS−5、NS−6、NS−30(大内新興化学工業(株)製)、サイアノックスCY1790、CY2777、CY−XS4(サンケミカル(株)製)、スミライザーGA80、GM、GS、WXR、MDP(住友化学(株)製)のようなヒンダードフェノール系化合物が本発明に用いることができる。
アスコルビン酸類としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記酸化防止剤の親水性層への添加量は、親水性層全体の質量に対して0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
本発明の親水性層は、水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。水溶性高分子化合物としては、例えばゼラチンやポリビニルアルコール、澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、好ましいものは、ゼラチン、ポリビニルアルコールである。
ゼラチンとしては、動物のコラーゲンを原料としたゼラチンであればいずれでも使用できるが、豚皮、牛皮、牛骨を原料としたコラーゲンを原料としたゼラチンが好ましい。さらにゼラチンの種類としては特に制限はないが、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば特公昭38−4854号、同昭39−5514号、同昭40−12237号、同昭42−26345号、米国特許第2525753号、同第2594293号、同第2614928号、同第2763639号、同第3118766号、同第3132945号、同第3186846号、同第3312553号、英国特許第861414号、同第1033189号等に記載のゼラチン誘導体)を単独またはそれらを組み合わせて用いることができる。また、ゼラチンのゼリー強度(PAGI法、ブルーム式ゼリー強度計による)としては、150g以上、特に200g以上であることが好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、水性塗布に必要な水溶性の発現に必要な実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有してさえいれば、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を含有しても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的にはクラレ(株)製、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−405、PVA−420、PVA−613等が挙げられる。上記の共重合体としては88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマール及びポリビニルアセタール及びそれらの共重合体が挙げられる。
また、ゼラチン、ポリビニルアルコールを用いる際には他の水溶性高分子化合物を併用することができる。このような水溶性高分子としては、天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、カゼイン及びコラーゲン等のタンパク質、キチン及びその誘導体等が挙げられる。また、半天然物(半合成物)類としては、セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。一方、合成品には、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物等が挙げられる。
上記したゼラチン、ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子化合物を使用する際には、ゼラチン、ポリビニルアルコールに対して100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、30%質量以下であることがより好ましい。
本発明の親水性層は無機フィラーを含有することが好ましく、親水性層が含有する水溶性高分子化合物の含有量は、全無機フィラー100質量部に対して5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であればより好ましい。水溶性高分子化合物の含有量が30質量%を超えるとフィラー充填密度が低下し十分な親水性が付与できず、耐地汚れ性や耐網がらみ性が低下する場合がある。一方、5質量%未満では塗工液のハンドリング性が低下したり、親水性層形成後にひび割れが生じたりする場合がある。
本発明の親水性層が含有する無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、コロイダルシリカ、細孔シリカ、カオリン等が挙げられるが、中でも二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムが好ましい。また、コロイダルシリカや細孔シリカ、及びカオリン等といった珪素含有化合物を用いないことが好ましく、これら珪素含有化合物の含有量を親水性層中の全無機フィラーに対して5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、特に1質量%以下、とりわけ0.5質量%以下とすることが好ましい。
無機フィラーとして好ましく用いられる二酸化チタンは、ルチル型、アナタース型のいずれでもよく、その製法についても硫酸法、塩素法いずれかに限定されるものではない。それらを単独または混合して使用してもよい。更に、分散安定性や他の機能性の観点から、各種表面処理を施したものを選択的に用いることも可能である。市販されている二酸化チタンとしては、例えば堺化学工業(株)からSR−1、R−650、R−5N、R−7E、R−3L、A−110、A−190等、石原産業(株)からタイペークR−580、同R−930、同A−100、同A−220、同CR−58、チタン工業(株)からクロノスKR−310、同KR−380、同KA−10、同KA−20等、テイカ(株)からチタニックスJR−301、同JR−600A、同JR−800、同JR−701等、デュポン(株)からタイピュアR−900、同R−931等が挙げられる。
硫酸バリウムは、バリウム塩素溶液に硫酸塩水溶液を加えて化学的に沈殿させて製造される沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。沈降性硫酸バリウムは例えば堺化学工業(株)から“バリエース”として様々な粒子径のものや表面処理が施されたものなどが市販されているが、本発明ではいずれも用いることができる。
水酸化アルミニウムは、アルミナ含有鉱石であるボーキサイトを苛性ソーダもしくはアルミン酸ナトリウム溶液と混合し、高温高圧条件下でアルミナ成分を抽出し、その抽出液から溶解残分である赤泥を分離除去して、清澄化したアルミン酸ナトリウム溶液を得る。その後、該溶液に種子を添加して水酸化アルミニウムを晶析させ、得られた水酸化アルミニウムを粉砕することで得ることができる。水酸化アルミニウムは昭和電工(株)から“ハイジライト”として各種グレードが市販されており、本発明ではいずれも用いることができる。
本発明の親水性層が含有する無機フィラーの粒度分布は、0.2μm以上0.6μm未満の範囲と0.6μm以上1.5μm未満の範囲の少なくとも2カ所にピークが存在し、0.2μm以上0.6μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度をfx、0.6μm以上1.5μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度をfyとしたとき、fx/fy比が1.5以上であり、かつ分布頻度fyが25%以上であることが好ましい。またfx/fy比は2.0以上であることが好ましい。なお、上限は3.5未満であることが望ましい。これにより耐刷性や耐地汚れ性にとりわけ優れた感光性平版印刷版が得られる。なお上記した範囲で、例えば0.2μm以上0.6μm未満の範囲に複数のピークが存在する場合は高い方のピークにて分布頻度fxを求めれば良いが、この2つのピークが隣接し、2つのピーク間の凹部の高さが高い方のピークの60%以上であるような場合においては、本発明では1つのピークと見なすこととする。
本発明における粒度分布とは体積基準の粒度分布であり、測定対象となるサンプル粒子群がどのような粒子径のものでどのような割合で構成されているかを表す指標であり、一般に知られる公知の方法により測定することができる。測定方法としては例えば、ふるい法、コールター法(コールター原理)、動的光散乱法、画像解析法、レーザー回折散乱法等が知られているが、本発明においては、測定する粒子サイズや再現性、操作性等の観点からレーザー回折散乱法が好ましく用いられ、例えば(株)堀場製作所製LA−920(レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置)により測定することができる。また分布頻度はその測定結果に基づき、測定結果を大きさ(粒子径)毎の存在比率の分布として求めることができる。
本発明における粒度分布と分布頻度は、塗工液中で分散された無機フィラーを測定することで、あるいは塗布された親水性層の乾燥塗膜をアルカリにより再溶解した溶液中の無機フィラーを測定することで求めることができる。また後述するように、本発明では2種以上の無機フィラーを併用することができるが、本発明にて好ましく用いられるレーザー回折散乱法ではFraunhofer回折理論とMie散乱理論より光強度の分布パターンを求めるため対象物固有の屈折率が必要となり、屈折率の異なる2種以上の無機フィラーを含有する塗工液の粒度分布や分布頻度を正確に測定することは困難である。しかしこのような場合、予めそれぞれの無機フィラー単体での粒度分布と分布頻度を測定し、得られた測定結果に塗工液中での添加比率を係数として乗じることによって2種以上の無機フィラーを併用する塗工液の粒度分布と分布頻度を求めることができる。
親水性層が含有する無機フィラーは、上記のような粒度分布を有する無機フィラーであればフィラーは1種類でもよいが、2種以上を併用すると上記のような粒度分布を比較的容易に得られるため好ましい。中でも平均一次粒子径が0.1μm以上0.6μm未満の無機フィラーと、平均一次粒子径が0.6μm以上2.0μm未満の無機フィラーを組み合わせて用いることが好ましく、このような組み合わせであれば無機フィラーは更に3種、4種と組み合わせて用いてもよい。無機フィラーの添加量は該親水性層の全固形分量に対して60質量%以上とすることが好ましく、70質量%以上であればより好ましい。
本発明の親水性層は硬膜剤を含有することが好ましい。用いる硬膜剤としては例えば、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホン等を好適に用いることができるが、特に好ましい硬膜剤はジビニルスルホンである。硬膜剤の配合量は前記水溶性高分子化合物の固形分量に対して5〜35質量%が好ましく、更には10〜25質量%とすることが好ましい。硬膜剤の添加方法については、該親水性層の塗工液を製造する際に添加したり、塗布直前にインラインで添加したりする方法などがあるが、いずれでも良い。
親水性層を十分に架橋させるため、例えば親水性層を形成し感光層を塗布するまでの間に30〜60℃、好ましくは40〜50℃の温度下の条件で0.5〜10日間、好ましくは1〜7日間の加温処理を施すことが好ましい。このような加温処理によって該親水性層は露光後の現像処理により露出され、印刷時に非画像部として印刷に供されても、印刷適性としては当然であるが、耐傷性という観点において十分な性能が発現できる。
本発明の親水性層の乾燥固形分量は、1平方メートル当たり1〜15gの範囲であることが好ましく、更に、2〜10gの範囲であることが、保水性及び耐刷性を確保する上で好ましい。
本発明の感光層は、重合性二重結合基を有する化合物を含有するが、感光層は該化合物と共に光重合開始剤を含有することが好ましい。
感光層が含有する光重合開始剤としては、従来から知られる公知の化合物を用いることができる。例えば、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、有機ホウ素塩、ヘキサアリールビイミダゾール、チタノセン化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの光重合開始剤の中でも、特にトリハロアルキル置換化合物、有機ホウ素塩が好ましく用いられる。更に好ましくは、トリハロアルキル置換化合物と有機ホウ素塩を組み合わせて用いることである。トリハロアルキル置換化合物と有機ホウ素塩を組み合わせることで、更に感度を向上することができるため好ましい。
光重合開始剤であるトリハロアルキル置換化合物は、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2014115375
Figure 2014115375
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式1で表される。
Figure 2014115375
式中、R、R、R及びRは各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらのうちで、R、R、R及びRのうちの一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン及びオニウム化合物が挙げられるが、好ましくはオニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
Figure 2014115375
Figure 2014115375
上述したような光重合開始剤の含有量は、後述する重合性二重結合基を有する化合物に対して、1〜50質量%の範囲が好ましく、更には5〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
近年400〜430nmに発信波長を有する青色半導体レーザーを搭載した出力機が開発されている。この出力機は最大エネルギー量が数百μJ/cm程度で、用いられる感光材料も高感度が要求される。本発明の感光性平版印刷版において、下記の増感色素を組み合わせることでこの出力機に対応した感光性平版印刷版を得ることができる。
Figure 2014115375
Figure 2014115375
Figure 2014115375
上述の増感色素の含有量は、光重合開始剤に対して0.01〜3質量%の範囲が好ましく、更には0.5〜1.5質量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の感光層が含有する重合性二重結合基を有する化合物は、重合性二重結合基を有する高分子化合物あるいは重合性二重結合基を有する低分子化合物であり、重合性二重結合基を有する高分子化合物及び重合性二重結合基を有する低分子化合物を併用することが光重合効率の上から好ましい。
重合性二重結合基を有する高分子化合物について説明する。この重合性二重結合基を有する高分子化合物は、任意の繰り返し単位によって形成された高分子化合物であり、任意の連結基を介して重合性二重結合基が側鎖に結合した高分子化合物である。中でもビニル基を重合性二重結合基として有した高分子化合物が好ましく用いられ、ビニル基が置換したフェニル基が直接もしくは任意の連結基を介して主鎖と結合した高分子化合物が特に好ましく用いられる。また、アルカリ性現像液、もしくは中性現像液での現像を可能にするため、任意の連結基を介して主鎖に連結するカルボキシル基、スルホ基、四級アンモニウム基等を導入することが好ましいが、中でも現像性の高さからスルホ基を有する高分子化合物を好ましく用いることができる。該スルホ基は塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アミン塩等)を形成しても良い。これらの連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。ビニル基が置換したフェニル基及びスルホ基は、それぞれ独立して主鎖に結合していても良いし、あるいはビニル基が置換したフェニル基とスルホ基が連結基の一部または全部を共有する形で結合していても良い。
上記ビニル基が置換したフェニル基において、該フェニル基は置換されていても良く、また、該ビニル基はハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。
本発明のビニル基が置換したフェニル基が直接もしくは任意の連結基を介して主鎖と結合した高分子化合物は、詳細には、下記一般式2で表される基を側鎖に有するものが好ましい。
Figure 2014115375
式中、R、R及びRは、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、R、Rが水素原子であり、Rが水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であるものが特に好ましい。
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表す。また、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
式中、Lは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群からなる多価の連結基を表す。具体的には下記に例示される構造単位より構成される基及び下記に示す複素環基が挙げられる。これらの基は単独でも任意の2つ以上が組み合わされていても良い。
Figure 2014115375
連結基Lとしては複素環を含むものが好ましい。Lを構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
式中、mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表し、qは1〜4の整数を表す。
本発明の重合性二重結合基を有する高分子化合物は、上述した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する繰り返し単位、及びスルホ基を有する繰り返し単位からのみなる重合体であっても良いし、あるいは本発明の効果を妨げない限り、更に他の繰り返し単位を導入した重合体であっても良い。また更に、他のモノマーとの共重合体であっても良く、このようなモノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
また、本発明の重合性二重結合基を有する高分子化合物は連鎖移動剤を用いることで、任意の置換基を高分子主鎖の末端に導入することができる。具体的には直鎖アルカンチオール、特にアルコキシ基やハロゲン原子が結合した珪素原子が置換した直鎖アルカンチオールを連鎖移動剤として重合時に用いることで、高い画像強度を得ることができるため好ましく用いることができる。このような連鎖移動剤の例として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリクロロシラン、3−メルカプトプロピルジクロロメチルシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルジメトキシメチルシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリクロロシラン、4−メルカプトブチルジクロロメチルシラン等が挙げられ、これらの分子末端の珪素原子同士は加水分解縮合することで酸素原子を介して結合してシロキサン結合を形成しても良い。
本発明の重合性二重結合基を有する高分子化合物の好ましい例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2014115375
Figure 2014115375
本発明の重合性二重結合基を有する高分子化合物の重量平均分子量は、1000から100万の範囲であることが好ましく、更に5万から60万の範囲にあることが特に好ましい。本発明における重合性二重結合基を有する高分子化合物は1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
次に、本発明に使用する重合性二重結合基を有する低分子化合物について述べる。この場合の重合性二重結合基を有する低分子化合物とは、上記の光重合開始剤の光分解により発生するラジカルにより重合を行う化合物であればいずれも好ましく用いることができる。更には、分子内に2個以上の重合性二重結合基を有する化合物を含んで用いた場合には、ラジカルによる重合の結果、架橋物が生成するため、感光性平版印刷版を構成した場合に、架橋した堅い画像部皮膜を形成することから耐刷性及びインキ乗り性に優れた印刷版を与えるため極めて好ましく用いることができる。こうした目的で用いることのできる重合性二重結合基を有する化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性アクリル系モノマーなどを挙げることができ、あるいはアクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用される。
本発明の感光性平版印刷版の感光層を構成するその他の要素として、視認性を高める目的で種々の着色剤を添加することが好ましく行われる。こうした目的で添加される着色剤として着色顔料の水系分散物が最も好ましく用いることができる。こうした顔料の水系分散物の例として各種、黒色、青色、赤色、緑色、黄色等の着色した顔料が水溶性である各種分散剤の存在下に水中で分散された任意の素材が使用可能である。顔料として特に、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等は入手が容易であり水中での分散も比較的容易であるため特に好ましく用いることができる。また、こうした顔料を水中で分散させるために用いることのできる分散剤の例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン基を有する水溶性であるノニオン系界面活性剤や、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、その他各種水溶性高分子化合物が挙げられる。こうした分散剤は着色顔料100質量部に対して5〜50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。更に着色顔料を用いる場合には、重合性二重結合基を有する化合物100質量部に対して0.5〜30質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明の感光性平版印刷版の感光層はシランカップリング剤を含有することが好ましい。感光層がシランカップリング剤を含有することによって優れた耐刷性が得られるが、本発明の親水性層を有する感光性平版印刷版においては、耐地汚れ性、耐網がらみ性、及びインキ脱離性等が低下することなく耐刷性が向上するため、特に好ましい。
シランカップリング剤としては、その目的を達成するものであれば特に限定されず任意のものを用いることができる。例えば、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリス(3−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。中でも、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランが特に好ましい。なお、シランカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
感光層が含有するシランカップリング剤の量としては、感光層が含有する重合性二重結合基を有する化合物に対して、0.05〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
本発明の感光層は、感光層を塗設する際に用いる塗布液状態での感度維持可能時間(ポットライフ)を長寿命化するために重合禁止剤を添加することが可能である。こうした目的で好ましく使用される重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物やキノン類化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩類等が好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、感光層の総固形分質量100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
更に感光性組成物の液状態での感度維持可能時間(ポットライフ)の長寿命化にあたっては、感光性組成物が前記した光重合開始剤と重合性二重結合基を有する低分子化合物の少なくとも一方を水中乳化物とし、これを含有する水性分散液であることが好ましく、特に感光性組成物が光重合開始剤と重合性二重結合基を有する低分子化合物を含有する水中乳化物を含有した、水性分散液であることがより好ましい。
光重合開始剤や重合性二重結合基を有する低分子化合物の水中乳化物の作製にあたっては、これら化合物をアニオン性界面活性剤の存在下で水中に乳化分散することで、ある程度高温に晒しても安定に乳化分散状態が保てる水中乳化物が得られる。このようなアニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、オクチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルアンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、アセチルアルコール硫酸エステルナトリウム等の脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウリル燐酸ナトリウム、ステアリル燐酸ナトリウム等のアルキル燐酸エステル塩類、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸アンモニウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ラウリルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができる。これらの内で、特にジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及びアルキルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類が最も安定な水中乳化物を形成することから極めて好ましい。
またこの系にさらに、前述した重合性二重結合基を有する高分子化合物であって、重合性二重結合基と、カルボキシル基やスルホ基などの酸性基の塩を有する高分子化合物を加えることで、乳化分散安定性はさらに向上する。該高分子化合物は、光重合開始剤あるいは重合性二重結合基を有する化合物の乳化分散時に添加してもよいし乳化分散後に添加してもよいが、乳化分散時に添加することで、水中乳化物の水中における分散粒子径が顕著に減少し、極めて微小な液滴、微粒子の形態で分散するため、経時による沈降あるいは浮上などの問題発生が抑えられることからより好ましい。さらに、該高分子化合物は、その一部を分散時に使用して先ず水中乳化物を作製し、安定な乳化物が作製された後にさらに該高分子化合物を添加することも好ましく行うことができる。
光重合開始剤あるいは重合性二重結合基を有する低分子化合物を水中に乳化分散するには、それぞれの化合物を溶解もしくは分散可能な有機溶剤を使用して溶液を作製し水と混合した上で、前記したアニオン性界面活性剤や重合性二重結合基とカルボキシル基やスルホ基などの酸性基の塩を有する高分子化合物を用いて乳化分散させる方法が好ましい。但し、重合性二重結合基を有する低分子化合物が液体であり、光重合開始剤がこれに溶解して両者の混合物が液状である場合には、敢えて有機溶剤を使用せずとも両者の混合物を水中に乳化分散させることも可能である。光重合開始剤及び重合性二重結合基を有する低分子化合物を予め混合して、両者が混合した水中乳化物を作製することも可能であるが、各々別々に水中乳化物を作製しても良い。
乳化分散の際に使用できる有機溶剤としては、常温で液体であり、光重合開始剤あるいは重合性二重結合基を有する低分子化合物を溶解もしくは分散可能である有機溶剤を意味する。本発明で用いることのできる有機溶剤の例として、揮発性有機溶剤と不揮発性有機溶剤が挙げられる。揮発性有機溶剤を用いた場合には、作製した水中乳化物から揮発性有機溶剤を加熱もしくは放置することなどで系中から取り除くことが好ましい。不揮発性有機溶剤を用いる場合には、不揮発性有機溶剤が50℃より高い引火点を示し、通常の取扱いにおいて危険物としての対策が軽減できる場合があり、好ましい。
上記の揮発性有機溶剤として、本発明で好ましく使用できる溶剤の例を挙げると、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の低級アルカノールの酢酸エステル類、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコール系酢酸エステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられるが、これらの内で酢酸エチルが後述する種々の理由から、最も好ましく使用することができる。
本発明で用いることのできる不揮発性有機溶剤として、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等が挙げられる。具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1′−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点溶剤が挙げられる。
本発明において、光重合開始剤あるいは重合性二重結合基を有する低分子化合物の乳化分散に用いる有機溶剤は、揮発性有機溶剤であることがより好ましい。この場合、水中乳化物が最も安定して製造でき、かつ室温より高い温度に晒しても乳化分散状態が安定に保たれることから好ましい。揮発性有機溶剤としては、特に酢酸エチルが好ましい。酢酸エチルは揮発性が高いため、加熱もしくは減圧下に置くだけで簡便に水中乳化物から溜去でき、酢酸エチルを溜去した後の水中乳化物は固体分散状態であり、酢酸エチル等の有機溶剤を含んだ状態よりもさらに安定な塗布液を形成することから極めて好ましい。
次に、本発明の光重合開始剤あるいは重合性二重結合基を有する化合物を分散した水中乳化物を作製する製造方法について、具体的に説明する。
前述の酢酸エチルなどの有機溶剤を使用して光重合開始剤あるいは重合性二重結合基を有する低分子化合物を溶解もしくは分散した溶液を作製する。これを、アニオン性界面活性剤や重合性二重結合基とカルボキシル基やスルホ基などの酸性基の塩を有する高分子化合物等を含む水中に添加する際に、ホモミキサーやホモジナイザーなどの高速剪断が可能である公知の攪拌装置を使用して乳化分散を行うことで水中乳化物を作製することができる。有機溶剤には、本発明の感光層を塗設するための塗布液に含まれる他の水不溶性の化合物を添加してもよいし、分散媒として用いる水には、塗布液に含まれる他の水可溶性の化合物を添加してもよい。また乳化分散方式はバッチ式で行う場合や、連続的方式で配管系を流れる状態で連続して乳化分散を行うことが可能であり、その際0〜70℃の温度範囲で乳化分散を行うことが好ましい。
本発明の感光性平版印刷版に用いられる支持体としては各種プラスチックフィルムが挙げられる。好ましいプラスチックフィルム支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース等が代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。また、前述した親水性層を設ける前に、フィルム支持体表面に親水化加工が施されていることが好ましく、こうした親水化加工としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。更なる親水化加工として支持体上に設ける親水性層との接着性を高めるため支持体上に下引き層を設けても良い。
本発明において感光層自体の乾燥固形分塗布量に関しては、乾燥質量で1平方メートルあたり0.3〜10gの範囲の乾燥固形分塗布量で形成することが好ましく、さらに0.5〜3gの範囲であることが良好な解像度を発揮し、かつ細線画像や微小網点画像の耐刷性を確保し、同時にインキ乗り性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層の塗設に用いる塗布液には、感光性平版印刷版としての諸特性を向上するために任意の添加剤を加えてもよい。
本発明の感光性平版印刷版においては、上記した感光層の上にさらに保護層を設けることも好ましく行われる。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光感度をさらに向上させる好ましい効果を有する。さらには感光層表面を傷から防止する効果も併せて期待される。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低く力学的強度に優れ、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。本発明の感光性平版印刷版においては、水現像の過程においてこうした保護層と感光層の未露光部の除去が同時に行うことも可能であるため、特に保護層の除去工程を設ける必要がないことが特徴である。さらに、先に述べたような感光層に含まれる該重合体が水溶性であるが故に大気中の水分を吸湿しブロッキングが発生する場合があるが、保護層を感光層の上部に設けることでこうしたブロッキングを解消することが可能である。加えて、特に半導体レーザー等を使用して走査露光を行う場合、特に高感度である感光層が要求される。こうした場合に、保護層を設けることでさらに感度が上昇するため特に好ましく適用することができる。
このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報等に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが良く、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に最も良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。こうした保護層を適用する際の乾燥固形分塗布量に関しては好ましい範囲が存在し、感光層上に乾燥質量で1平方メートルあたり0.1〜10gの範囲の乾燥固形分塗布量で形成することが好ましく、さらには0.2〜2gの範囲が好ましい。保護層は、公知の種々の塗布方式を用いて感光層上に塗布、乾燥される。
本発明の感光性平版印刷版における下引き層、親水性層、感光層、保護層等を塗布する場合は、支持体上に、上述した要素から構成される組成物の塗液を塗布、乾燥して作製される。塗布方法としては、公知の種々の方法を用いることができ、例えば、バーコーター塗布、カーテン塗布、ブレード塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、回転塗布、ディップ塗布等を挙げることができる。
本発明の感光性平版印刷版に画像パターンを形成するための露光に用いる光源としては、カーボンアーク、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、ディープUVランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、エキシマーUVランプ、LED灯、各種蛍光ランプ等(白色蛍光灯、ブラックライト、ケミカルライト等)を用いることが可能であるが、製版効率の上からレーザーによる走査露光が非常に好ましい。レーザー光源としては、青紫色半導体レーザー(バイオレットレーザー)、アルゴンレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、赤色LED、近赤外レーザー、赤外レーザー等が挙げられる。中でも390〜430nmの波長域のGaN等が生産性、画像の精細性から好ましく用いられる。また、走査方法としては、内面ドラム方式あるいは外面ドラム方式、平面走査方式等のいずれであってもよいが、内面ドラム方式が好ましい。また、版面におけるレーザー強度は、1〜600μJ/cmとするのが好ましく、30〜400μJ/cmとするのが特に好ましい。
本発明の感光性平版印刷版の現像処理における現像液としては、画質向上、現像時間の短縮等を目的として、必要に応じて、活性剤もしくはアルカリ剤を含有して良い。前述の重合性二重結合基を有する化合物がカルボキシル基やスルホ基などの酸性基を有し、該酸性基が感光層中において、金属塩もしくはアンモニウム塩の形態になっている場合には、後述するアルカリ剤を実質的に含有しない現像液、すなわち、pHが9未満の中性現像液で現像することが可能である。特に重合性二重結合基を有する化合物がスルホ基の中和塩を有する場合には良好な現像性を得ることが可能であり、純水で溶出可能であるが、カルボキシル基中和塩の場合やスルホ基中和塩を有していても十分な溶解性を得ることができない場合は、該中性現像液に現像性の向上を目的として活性剤を添加することができる。該活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン性、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性、アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性の界面活性剤、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤等が挙げられる。
一方、前述の重合性二重結合基を有する化合物がカルボキシル基やスルホ基など中和されていない酸性基を有する場合には、現像液にアルカリ剤を含有していることが好ましい。アルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸アンモニウム、第三燐酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等の無機アルカリ塩、またはモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられ、これらを添加し、pH9以上に調整することでアルカリ性現像液として用いることができる。また、前述の中性現像液として用いた活性剤等を該アルカリ現像液に添加することも現像性改善の上で好ましい。
なお、現像は、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の公知の現像法により、通常、好ましくは10〜60℃程度、更に好ましくは15〜45℃程度の温度で、5秒〜10分程度の時間でなされる。その際、感光層上に必要に応じて設けられる保護層は、予め水等で除去しておいてもよいし、現像時に除去することとしてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は断りのない限り質量基準である。
<本発明1〜10の感光性平版印刷版の作製>
厚みが約200μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記組成の親水性層塗工液1〜10をスライドホッパーコーティング法によりそれぞれ塗布した。その際、湿分塗布量が35g/mになるように予め設定して行った。塗布後直ちに1〜5℃の冷風にて塗膜をゲル化、その後は50℃に設定された乾いた風を用いて乾燥を行った。乾燥後には40℃40%RHに調整された恒温恒湿機に入れ7日間の加温を施した。
<親水性層塗工液1〜10>
ゼラチン(ゼリー強度210g) 1.2部
無機フィラー1:二酸化チタン 4.0部
(TISR1、堺化学工業(株)製、平均一次粒子径≒0.3μm、相対屈折率≒2.04)
無機フィラー2:硫酸バリウム 1.6部
(B35、堺化学工業(株)製、平均一次粒子径≒0.3μm、相対屈折率≒1.23)
無機フィラー3:水酸化アルミニウム 0.4部
(H42、昭和電工(株)製、平均一次粒子径≒1.0μm、相対屈折率≒1.24)
分散剤(アクリル酸共重合金属塩、10%溶液) 1.0部
界面活性剤(POEノニルフェニルエーテル硫酸Na、10%溶液) 0.4部
硬膜剤(ジビニルスルホン、5%溶液) 4.0部
酸化防止剤(表1記載)
水で全量を35部とした。
上記親水性層塗工液1が含有する無機フィラーの粒度分布と分布頻度に関しては、上記親水性層塗工液が含有する無機フィラー2と3を添加せず、親水性層塗工液中に無機フィラー1が単独で存在する塗工液を作製し、また同様の手法で親水性層塗工液中に無機フィラー2や3が単独で存在する塗工液をそれぞれ作製し、各々の無機フィラーの粒度分布と分布頻度をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製LA920)を用いて測定し、得られた各々単体分散液の粒度分布に添加比率を係数として乗じ、上述の親水性層塗工液1の粒度分布と分布頻度を算出した。この結果0.2μm以上0.6μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度fxが64.8%、0.6μm以上1.5μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度fyが30.1%、fx/fy比が2.15以上であった。
下記の組成の溶液Aを作製した。
<溶液A>
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 6部
有機ホウ素塩(BC−7) 2部
トリハロアルキル置換化合物(T−8) 1.5部
増感色素(VS−1) 0.05部
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.08部
酢酸エチル 200部
下記の組成の溶液Bを作製した。
<溶液B>
水溶性ポリマー(SP−2)平均分子量80000 20部
ペレックスOTP(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム:花王(株)製) 5部
イオン交換水 300部
水中乳化物の作製には、密閉容器内にホモミキサーが配置され、減圧下で加熱しながら溶媒を溜去可能な、みずほ工業(株)製卓上型真空乳化装置PVQ−1Dを使用して作製を行った。ホモミキサーの回転速度は5000rpmに設定した。上記で作製した溶液Aと溶液Bを、真空乳化装置内に導入し、室温下でホモミキサーの20分間高速攪拌により乳化分散を行った。その後、着色剤としてピグメントブルー15を0.2部加えて攪拌し、真空乳化装置内をアスピレーターで減圧状態にし、大気圧の20%の減圧条件下で温度を50℃に上昇させて酢酸エチルを減圧溜去した。冷却器にて回収した酢酸エチルの量から、用いた全ての酢酸エチルが水中乳化物から溜去されたことを確認した。こうして感光層の塗布液1を作製した。
上記感光層の塗布液1を、親水性層塗工液1〜10を塗布して得られた親水性層上にそれぞれ塗布、乾燥することで、感光層を形成した。感光層の塗布量は乾燥質量で1平方メートル当たり1.6gになるようにワイヤーバーを使用して塗布を行った。乾燥は80℃の乾燥器で10分間加熱して行った。
さらに下記保護層をそれぞれ乾燥質量で2g/mになるよう感光層上に塗布を行い、75℃の乾燥器内にて10分間乾燥し、本発明1〜10の感光性平版印刷版を得た。
<保護層処方>
ポリビニルアルコール PVA−105((株)クラレ製) 1質量部
イオン交換水 9質量部
<比較例1の感光性平版印刷版の作製>
上記した本発明1〜10の感光性平版印刷版の作製において、親水性層塗布液に酸化防止剤を添加しなかった以外は同様にして親水性層塗布液11を作製し、これを用いた以外は本発明1〜10の感光性平版印刷版の作製と同様にして、比較例1の感光性平版印刷版を得た。
<比較例2及び比較例3の感光性平版印刷版の作製>
上記した比較例1の感光性平版印刷版の作製で得られた親水性層(酸化防止剤を含有しない親水性層)上に、感光層の塗布液1に対し、アスコルビン酸を1.0部添加することで感光層の塗布液2を作製し(比較例2の感光性平版印刷版)、また感光層の塗布液1に対し、ノクラックNS5を1.0部添加して感光層の塗布液3を作製し(比較例3の感光性平版印刷版)、上記した親水性層上に塗布液2または塗布液3を乾燥質量で1平方メートル当たり1.6gになるようにワイヤーバーを使用して塗布、乾燥した。その後本発明1〜10の感光性平版印刷版の作製と同様にして保護層を設け、比較例2及び比較例3の感光性平版印刷版を得た。
<露光・現像処理>
上記で得られた本発明1〜10及び比較例1〜3の感光性平版印刷版のそれぞれについて、405nmに発光する青紫半導体レーザー(出力120mW)を露光光源に用いて露光し、25℃のイオン交換水に15秒間漬けてセルローススポンジで感光層/保護層を有する側の面を擦り現像し、その後乾燥することにより印刷刷版を作製した。このときに露光した画像は、解像度が2450dpiで50μmのネガポジ細線を有する画像であり、現像後のネガポジ細線の線幅が共に一致する露光エネルギーを適正露光値として求め、これを表1に感度として記載した。
<印刷汚れ性>
上記した露光、及び現像処理により得た印刷刷版のそれぞれについて、印刷汚れ性の評価を実施した。また前記した本発明1〜10及び比較例1〜3の感光性印刷版を40℃の環境下で2週間保管した感光性平版印刷版それぞれについても、同様に露光及び現像処理を行い、印刷汚れ性の評価を実施した。印刷機はオフセット枚葉印刷機ハイデルベルグQM46を使用、印刷インキにはDIC(株)製のニューチャンピオンFグロス紫(S)、給湿液には(株)日研化学研究所製アストロマークIIIの1%希釈液を用いて印刷を行った。評価としては、3000枚印刷時の印刷紙面の非画像部を入念に観察し、以下の評価基準を用いて判定した。この結果を表1に示す。
◎:非画像部の汚れが全く見られない。
○:ブランケットの当たらないところの境界部分にうっすらと汚れが見られる。
△:非画像部全体がうっすらと汚れている。
×:紙面全体が汚れている。
Figure 2014115375
以上の結果から、本発明によって、高感度でかつ、長期保管した後であっても印刷汚れが発生することのない感光性平版印刷版が得られることが判る。

Claims (1)

  1. プラスチックフィルム支持体上に、印刷時に非画像部として作用する親水性層と、該親水性上に重合性二重結合基を有する化合物を含有し印刷時にインキ受理部となる感光層とを少なくとも有する感光性平版印刷版において、親水性層が酸化防止剤を含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
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