JP2014115016A - 地中熱利用冷暖房システム - Google Patents

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Keizo Ukai
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Abstract

【課題】地中熱を熱源として利用したヒートポンプ式冷暖房システムにおいて、冷暖房効率の向上とコスト削減を図る。
【解決手段】地中熱利用冷暖房システムは、地表から帯水層10の中に互いに離間して掘削された第1及び第2の井戸11、12、第1の井戸11の中に挿入された第1の通水管13と、第2の井戸の12中に挿入された第2の通水管14と、冷媒管21を流れる冷媒と第3の通水管22を流れる地下水との間で熱交換を行う熱交換器23、井戸ポンプ24を備える。そして、井戸ポンプ24により第1の通水管11を通して第1の井戸11から揚水した地下水を第3の通水管21に流して冷媒との間で熱交換した後に、第2の通水管14を通して第2の井戸12に排水する。
【選択図】図1

Description

本発明は、地中熱利用冷暖房システムに関する。
従来、地中熱を熱源として利用したヒートポンプ式冷暖房システムが開発されている。このシステムでは、地中の温度は年間を通して安定しているため、ほぼ一定の高効率(COP)で稼働でき、冷暖房の省エネルギー化が可能である。同時に、室外機の騒音を低減し冷房時の放熱によるヒートアイランド現象の低減にも効果的である。
この種のヒートポンプ式冷暖房システムとして、地中に埋め込んだUチューブより地中熱を吸収するものが知られている。
特開2008−309382号公報
しかしながら、地中の熱拡散熱伝導性は、非常に悪く、年間を通して安定して利用するためには75m〜150mの非常に深い井戸の中にUチューブを設置しなくてはならない。この井戸の掘削のためには非常に高い工事費を必要とし、また、集熱配管としてのUチューブも150m〜300mという長さを必要とする。結果として、冷暖房機本体の5〜10倍のコストを必要として当該システムの普及の大きな弊害となっている。
また、冷房負荷と暖房負荷では、東京地区においても「冷房100:暖房125」と大きな差があるため、熱拡散の悪い地質では、毎年の冷暖房で差分が累積され、結果的にヒートポンプ内の氷結に至り、吸熱ができなくなる。特に、Uチューブが氷結に至った場合、井戸が深いためにその回復は非常に困難である。
上述の課題に鑑み、本発明の地中熱利用冷暖房システムは、地表から帯水層の中に、互いに離間して掘削された第1及び第2の井戸と、前記第1の井戸の中に挿入された第1の通水管と、前記第2の井戸の中に挿入された第2の通水管と、冷媒管を流れる冷媒と第3の通水管を流れる地下水との間で熱交換を行う熱交換器と、井戸ポンプと、を備え、前記井戸ポンプにより前記第1の通水管を通して第1の井戸から揚水した地下水を前記第3の通水管に流して前記冷媒との間で熱交換した後に、前記第2の通水管を通して前記第2の井戸に排水することを特徴とする。
本発明によれば、2つの井戸から地下水を揚水・排水し、この地下水と冷媒との間で熱交換するというヒートポンプシステムを構成したので、10m程度の比較的浅い井戸でも高い冷暖房効率を得ることができ、システムのコスト削減を図ることができる。
また、2つの井戸の揚水・排水を反転させることで冷房運転と暖房運転を切り換えることができる。さらに、冷房運転時に熱交換後の地下水を太陽光集熱器で昇温させて、排水井戸を介して地下に蓄熱することで冬季における地下水の低温化を抑えて、年間の熱バランスを改善することもできる。
本発明の実施形態における地中熱利用冷暖房システムの構成を示す図(暖房運転時)である。 本発明の実施形態における地中熱利用冷暖房システムの構成を示す図(冷房運転時)である。
図1は本発明の実施形態における地中熱利用冷暖房システムの構成図(暖房運転時)であり、図2は冷房運転時の同システムの構成図である。
この地中熱利用冷暖房システムは、地表から地中の帯水層10の中に互いに離間して掘削された第1の井戸11及び第2の井戸12、第1の井戸11の中に挿入された第1の通水管13、第2の井戸12の中に挿入された第2の通水管14、地下水を熱源として熱交換を行う地中熱利用ユニット20、冷暖房用の室外機30、及び冷暖房用の室内機40を含んで構成されている。
地中熱利用ユニット20は、冷媒管21を流れる冷媒(例えば、代替フロン)と第3の通水管22を流れる地下水との間で熱交換を行う熱交換器23、第3の通水管22に挿入された井戸ポンプ24、冷房運転・暖房運転に応じて地下水の通水経路を切り換えるための第1の三方弁25及び第2の三方弁26を含んで構成されている。
室外機30は、よく知られた構成のもので、圧縮機31(コンプレッサ)、膨張弁32、冷房運転/暖房運転に応じて冷媒通路を切り換えるための第3の三方弁33及び第4の三方弁34を含んで構成される。室内機40もよく知られた構成のもので、室内熱交換機41、ファン42を含んで構成されている。
また、第3の通水管22と第1の通水管13の間に太陽光集熱器27を接続することにより、冷房運転時に、第3の通水路22を通して熱交換器23によって熱交換された後の地下水を太陽光集熱器27により昇温させて第1の通水管13を通して第1の井戸11に排水することで、地下水の低温化を抑えることができる。
次に、地中熱利用冷暖房システムの冷暖房運転について詳述する。
(暖房運転時)
暖房運転では、図1の矢印で示すように、第1及び第2の三方弁25、26は、井戸ポンプ24により第1の通水管13を通して第1の井戸11から揚水した地下水を第3の通水管22に流して、冷媒管21を流れる冷媒との間で熱交換した後に、熱交換後の地下水を第2の通水管14を通して第2の井戸12に排水する暖房用通水路を形成するように切り換えられる。
この場合は、第1の井戸11は揚水井戸、第2の井戸12は排水井戸となり、第1の井戸11から揚水した地下水は熱交換器23により冷却されて第2の井戸12に排水される、一方冷媒は加熱される。
また、室外機30の第3及び第4の三方弁33、34は暖房運転に対応するように切り換えられる。すなわち、冷媒管21を流れる冷媒は圧縮機31により圧縮(液化)される。この時に発生する熱は、室内熱交換器41、ファン42を介して温風となって室内に放出される。室内熱交換器41を通った冷媒は次の圧縮に備えて膨張弁32により膨張(気化)される。このように、暖房運転では、圧縮→室内熱交換→膨張→圧縮→・・というサイクルが繰り返される。
(冷房運転)
一方、冷房運転では、図2の矢印で示すように、第1及び第2の三方弁25、26は、井戸ポンプ24により第2の通水管14を通して第2の井戸12から揚水した地下水を第3の通水管22に流して、冷媒管21を流れる冷媒との間で熱交換した後に、第1の通水管13を通して第1の井戸11に排水する冷房用通水路を形成するように通水路が切り換えられる。
この場合は、第1の井戸11は排水井戸、第2の井戸12は揚水井戸となり、
第2の井戸12から揚水した地下水は熱交換器23により加熱されて第2の井戸12に排水される一方、冷媒は冷却される。
また、室外機30の第3及び第4の三方弁33、34は冷房運転に対応するように切り換えられる。すなわち、冷媒管21を流れる冷媒は膨張弁32により膨張(気化)される。この時の気化熱で冷媒の温度が下がり、室内熱交換器41、ファン42を介して冷風となって室内に放出される。室内熱交換器41を通った冷媒は次の膨張に備えて圧縮機により圧縮(液化)される。このように、冷房運転では、膨張→室内熱交換→圧縮→膨張→・・というサイクルが繰り返される。
このように、本発明の実施形態によれば、第1及び第2の井戸11,12から地下水を揚水・排水し、この地下水と冷媒との間で熱交換するというヒートポンプシステムを構成したので、第1及び第2の井戸11,12が10m程度と比較的浅くとも、2m以上の厚さの帯水層10の中に掘削されたものであれば、高い冷暖房効率を得ることができる。また、第1及び第2の井戸11,12の揚水・排水を反転させることで冷房運転と暖房運転を切り換えることができる。
また、前述のように太陽光集熱器27を設けることにより、冷房運転時に、熱交換器23によって熱交換された後の地下水を太陽光集熱器27により昇温させて第1の井戸11に排水し、地下に蓄熱することで冬季における地下水の低温化を抑えて、年間の熱バランスを改善することができる。
次に、第1の井戸11と第2の井戸12の間の距離、排水井戸と敷地境界の間の距離の決め方について説明する。
(1)第1の井戸11と第2の井戸12の間の距離について
暖房運転の場合、熱交換器23により熱交換されて第2の井戸12(排水井戸)に排水され地中に浸透した地下水が、第1の井戸11(揚水井戸)に到達することは好ましくない。同様に、冷房運転の場合は、熱交換器23により熱交換されて第1の井戸11(排水井戸)に排水され地中に浸透した地下水が、第2の井戸12(揚水井戸)に到達することは好ましくない。そこで、第1及び第2の井戸11,12の距離は、排水井戸から排水され地中に浸透した地下水が揚水井戸に到達しないように決定される。
以下、その距離を概算する。水で飽和した砂(または礫)層である、帯水層10の厚さをDm、帯水層10の間隙率をn(比率で表す)とする。間隙率の定義は、土の体積をV、空隙の体積をVvとしたとき、n=Vv/Vである。また熱交換器23の熱交換による地下水の温度差をΔT(℃)する。
熱交換された水が広がった面積をAとすると、熱交換された水で満たされた帯水層10の体積は、A×Dm)となる。すると、体積A×Dの中にある水の体積は、n×A×Dm)となる。体積n×A×Dm)の水の温度がΔT(℃)だけ下降(または上昇)したときに、吸熱(加熱)された熱量Qは、式(1)で表される。
Q=n×A×D×ΔT×1.16(KWh)・・・(1)
暖房(冷房)による年間の負荷量をPKWhとする。熱交換器23により、体積n×A×Dmの水をΔT(℃)だけ下降(上昇)させたとすれば、式(2)が成り立つ。
P=Q=n×A×D×ΔT×1.16(KWh)・・・(2)
そこで、暖房または冷房による年間の負荷量のうち大きいほうをPとする(通常は暖房による負荷量のほうが大きい)。P、D、ΔTを与えると、式(2)から
熱交換された水が広がる面積Aが算出される。面積Aの領域を円であるとすれば、式A=πR12より、その半径R1が求められる。熱交換された水が、揚水井戸に到達することは好ましくないので、排水井戸の中心から揚水井戸までの距離は、R1以上に離すことが好ましい。排水井戸の半径をrとすると、排水井戸と揚水井戸との距離、つまり第1の井戸11と第2の井戸12の距離LはL1=R1−rとなる。
(2)排水井戸と敷地境界の間の距離について
暖房運転の場合を考えると、熱交換器23により熱交換されて第2の井戸12(排水井戸)に排水された地下水は、移流(浸透)により第2の井戸12の周辺に広がっていくが、そのとき、土粒子を冷やしながら進んでいく。この温度が変化する地中領域が、敷地境界(地中熱利用冷暖房システムが設置される自己の敷地と他人の敷地との境界)に到達することは好ましくない。そこで、第2の井戸12と敷地境界の距離は、
温度が変化する地中領域が敷地境界に到達しないように決定される。
以下、その距離を概算する。水で飽和した砂層である帯水層10の密度をρsoil(ton/m)、比熱をcsoil(MJ/ton/Kとする。
熱交換による地下水の温度差をΔT(℃)、熱交換される砂層の面積をBとすれば、B×D(m)の体積の土の温度がΔT(℃)だけ下降したときに吸熱される熱量Qは、式(3)で表される。
Q=ρsoil ×csoil×B×D×ΔT×1.16(KWh)・・・(3)
暖房による年間の負荷量をPKWhとする。熱交換により、体積B×Dm)の土をΔT(℃)だけ下降させたとすれば、式(4)が成り立つ。
P=Q=ρsoil ×csoil×B×D×ΔT×1.16(KWh)・・・(4)
P、D、ρsoil、csoil、ΔTを与えると式(4)から熱交換される砂層の面積Bが算出される。面積Bの領域を円であるとすれば、B=πR22より、その半径R2が求められる。
熱交換される領域(面積)が敷地境界を越えることは好ましくないので、第2の井戸12(排水井戸)の中心と敷地境界までの距離は、R2以上に離すことが好ましい。第2の井戸12(排水井戸)の半径をrとすると、第2の井戸12(排水井戸)と敷地境界との距離はL2はL2=R2−rとなる。
以上暖房運転について説明したが、冷房運転の場合も同様に第1の井戸11(排水井戸)と敷地境界との距離が決定される。
10 帯水層
11 第1の井戸
12 第2の井戸
13 第1の通水管
14 第2の通水管
20 地中熱利用ユニット
21 冷媒管
22 第3の通水管
23 熱交換器
24 井戸ポンプ
25 第1の三方弁
26 第2の三方弁
30 室外機
31 圧縮機
32 膨張弁
33 第3の三方弁
34 第4の三方弁
40 室内機
41 室内熱交換機
42 ファン

Claims (5)

  1. 地表から帯水層の中に、互いに離間して掘削された第1及び第2の井戸と、
    前記第1の井戸の中に挿入された第1の通水管と、
    前記第2の井戸の中に挿入された第2の通水管と、
    冷媒管を流れる冷媒と第3の通水管を流れる地下水との間で熱交換を行う熱交換器と、
    井戸ポンプと、を備え、
    前記井戸ポンプにより前記第1の通水管を通して第1の井戸から揚水した地下水を前記第3の通水管に流して前記冷媒との間で熱交換した後に、前記第2の通水管を通して前記第2の井戸に排水することを特徴とする地中熱利用冷暖房システム。
  2. 暖房運転時は、前記井戸ポンプにより前記第1の通水管を通して前記第1の井戸から揚水した地下水を前記第3の通水管に流して前記冷媒との間で熱交換した後に、熱交換後の地下水を前記第2の通水管を通して前記第2の井戸に排水する暖房用通水路を形成し、冷房運転時は、前記井戸ポンプにより前記第2の通水管を通して前記第2の井戸から揚水した地下水を前記第3の通水管に流して前記冷媒との間で熱交換した後に、前記第1の通水管を通して前記第1の井戸に排水する冷房用通水路を形成するように通水路を切り換える通水路切換弁を備えることを特徴とする請求項1に記載の地中熱利用冷暖房システム。
  3. 前記第3の通水管と前記第1の通水管の間に接続された太陽光集熱器を備え、冷房時に、前記第3の通水路を通して前記熱交換器によって熱交換された後の地下水を前記太陽光集熱器により昇温させて前記第1の通水管を通して前記第1の井戸に排水することを特徴とする請求項2に記載の地中熱利用冷暖房システム。
  4. 前記熱交換器により熱交換されて前記第2の井戸に排水され地中に浸透した地下水が、前記第1の井戸に到達しないように、前記第1の井戸と前記第2の井戸の間の距離が決定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の地中熱利用冷暖房システム。
  5. 前記熱交換器により熱交換されて前記第2の井戸に排水された地下水が地中に浸透することにより温度が変化する地中領域が、敷地境界に到達しないように前記第2の井戸と敷地境界の間の距離が決定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の地中熱利用冷暖房システム。
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