JP2014113000A - 架空送電線用可搬型アース装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 送電鉄塔上部への持ち運びの労力が軽減できるとともに、送電鉄塔上部での接地作業を容易に行うことができ、しかも停電作業に伴う送電線の揺れに対してもアース機能を確実に維持することが可能な架空送電線用可搬型アース装置を提供する。
【解決手段】 絶縁操作棒110の操作によって任意の位置に移動可能で、送電鉄塔100側のアークホーン108と送電線102側のアークホーン109との間に配置可能な導電部材からなる導通本体部2と、導通本体部2の一端部に固定される第1の弾性支持部材4と、導通本体部2の他端部に固定される第2の弾性支持部材5と、第1の弾性支持部材4の自由端側に連結され永久磁石の吸着力により送電鉄塔100側のアークホーン108と接触可能な第1の導電接触部6と、第2の弾性支持部材5の自由端側に連結され永久磁石の吸着力により送電線102側のアークホーン109と接触可能な第2の導電接触部7と、を備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、架空送電線路の停電作業時にアークホーンを介して送電線に帯電した電気を大地に流すための架空送電線用可搬型アース装置に関する。
架空送電線路の鉄塔での停電作業等においては、鉄塔への昇塔後に検電を行い、乙種アース設置および危険区域表示旗の設置後に、実作業を開始するようにしている。乙種アースの設置おいては、重いリード線を有する専用の接地用具を作業員が背負って鉄塔上部まで人力で運んでいる。
また、乙種アース接地の設置時には、鉄塔腕金の山形鋼に接地端子を取付けた後に、リード線を垂らした状態で格納されているFRP製の絶縁接地棒を伸ばし、送電線側のアークホーンなどの取付け可能な金属部に乙種アースの先端のフックを掛け、絶縁接地棒を回転させて先端のフックを締付けている。この乙種アースの接地作業により、送電線に帯電している電気に対して防護を行い、作業員の作業環境の安全を確保している。
従来から架空送電線路における作業の際のアースに関する技術として、長幹がいし装置用アース取付金具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のアース取付金具は、アークホーンのアーク特性への悪影響を与えないためのリング状の突起部を有している。
特開平7−46730号公報
しかし、乙種アースでは通常一回線(3相)の停電作業では、1本当たり約5kgのリード線を3本背負った状態で鉄塔上部まで昇る必要があり、かなりの労力を要するという問題がある。また、鉄塔上部では、昇塔後、リード線の一端に設けられている接地端子を鉄塔の腕金部に取付け、リード線の他端に設けられているフックを絶縁接地棒を用いて碍子よりも前方にある送電線側のアークホーン等の架線金具に取付け、接地棒を回転させることにより先端のフックを締付け固定している。また、その後、弛んだリード線を手で手繰り寄せ、接地棒の端のリード線を鉄塔部材に巻き付けることが必要となり、接地作業に多くの時間を要するという問題がある。さらに、停電作業中に作業員の靴および送電線への乗り出しによる揺れ等で、乙種アースが外れるという問題がある。
そこで本発明は、送電鉄塔上部への持ち運びの労力が軽減できるとともに、送電鉄塔上部での接地作業を容易に行うことができ、しかも停電作業に伴う送電線の揺れに対してもアース機能を確実に維持することが可能な架空送電線用可搬型アース装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、碍子を介して対向して配置される送電鉄塔側のアークホーンと送電線側のアークホーンとを停電作業時に導通させるための架空送電線用可搬式アース装置であって、絶縁操作棒の操作によって任意の位置に移動可能で、前記送電鉄塔側のアークホーンと前記送電線側のアークホーンとの間に配置可能な導電部材からなる導通本体部と、前記導通本体部の一端部に固定され、導電部材から構成される弾性変形可能な第1の弾性支持部材と、前記導通本体部の他端部に固定され、導電部材から構成される弾性変形可能な第2の弾性支持部材と、前記第1の弾性支持部材の自由端側に連結されるとともに、前記送電鉄塔側のアークホーンに吸着可能な第1の永久磁石を有し、少なくとも前記第1の永久磁石の吸着力により前記送電鉄塔側のアークホーンと接触可能な第1の導電接触部と、前記第2の弾性支持部材の自由端側に連結されるとともに、前記送電線側のアークホーンに吸着可能な第2の永久磁石を有し、少なくとも前記第2の永久磁石の吸着力により前記送電線側のアークホーンと接触可能な第2の導電接触部と、を備えたことを特徴とする架空送電線用可搬式アース装置である。
この発明によれば、送電線の停電作業時には、送電鉄塔側のアークホーンに第1の導電接触部を接触させ、送電線側のアークホーンに第2の導電接触部を接触させた状態では、送電鉄塔側のアークホーンと送電線側のアークホーンが導通状態となる。これにより、送電線は架空送電線用可搬式アース装置を介して大地と接地された送電鉄塔側と導通状態となり、送電線側に帯電している電気は、送電線側から送電鉄塔を介して大地に流れる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の架空送電線用可搬式アース装置において、前記導通本体部は、軸方向に相対移動可能な外筒と内筒から構成され、前記内筒は前記外筒に対して前記軸方向の複数の所定位置に固定可能であることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、従来の接地作業のように、重いリード線を背負って送電鉄塔上部まで運ぶ必要がなくなるので、送電線の停電作業における作業者の労力を著しく軽減することができる。また、第1の導電接触部と第2の導電接触部は、永久磁石の吸引力によってそれぞれのアークホーンに接触するので、従来のようにリード線を送電鉄塔側に巻き付ける必要がなく、送電鉄塔上部での接地作業を迅速かつ容易に行うことが可能となる。さらに、導通本体部と各導電接触部とは、導電部材から構成される弾性変形可能な弾性支持部材を介して連結されているので、送電線の揺れによる振動は弾性支持部材の弾性変形によって吸収することができ、各導電接触部のアークホーンからの離脱を防止することができる。これにより、停電作業に伴う送電線の揺れに対してもアース機能を確実に維持することができる。
請求項2に記載の発明によれば、内筒は外筒に対して軸方向の複数の所定位置に固定可能であるので、第1の導電接触部と第2の導電接触部との距離を可変とすることができる。したがって、送電電圧の種類によってアークホーン間の距離が異なる場合でも、各導電接触部を各アークホーンに確実に接触させることができる。
本発明の実施の形態に係わる架空送電線用可搬型アース装置の使用方法を示す正面図であり、(a)は装置のアークホーンへの取付け前の状態を示す正面図、(b)は装置のアークホーンへの接近状態を示す正面図、(c)は装置のアークホーンへの取付け後の状態を示す正面図である。 図1の架空送電線用可搬型アース装置の拡大正面図である。 図1の架空送電線用可搬型アース装置における導通本体部の軸方向の長さを変えた場合の拡大正面図である。 図1の架空送電線用可搬型アース装置における導電接触部を変位させた場合の拡大正面図である。 図1の架空送電線用可搬型アース装置における第1の導電接触部の拡大側面図である。 図1の架空送電線用可搬型アース装置における第1の導電接触部の動きを示す側面図であり、(a)は第1の導電接触部のアークホーンへの接触前の状態を示す正面図、(b)は第1の導電接触部のアークホーンへの接触時の状態を示す正面図、(c)は第1の導電接触部のアークホーンへの接触後の状態を示す正面図である。
つぎに、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
図1ないし図6は、本発明の実施の形態を示しており、とくに電力供給事業者における送電線の停電作業に伴う乙種アースに適用した場合を示している。図1(a)に示すように、送電線路には、送電線102を支持するための送電鉄塔100が設けられている。送電鉄塔100を構成する鉄骨部材101の下部は、地中に埋設されている。これにより、鉄骨部材101の接地抵抗は極めて小さく、送電鉄塔100は大地に対して接地された状態となっている。送電線102の端部は、碍子107を介して送電鉄塔100における上部の鉄骨部材101に連結されている。碍子107は、例えば複数の懸垂碍子を直列に連結したものから構成されている。碍子107は、送電電圧の種類によって使用される懸垂碍子の個数が5個ないし12個と異なっている。碍子107の送電鉄塔100側は、連結金具103および第1のアークホーン支持金具104を介して鉄塔部材101と連結されている。碍子107の送電線102側は、電線連結金具105および第2のアークホーン支持金具106を介して送電線102と連結されている。
第1のアークホーン支持金具104には、第1のアークホーン108が取付けられている。第2のアークホーン支持金具106には、第2のアークホーン109が取付けられている。第1のアークホーン108と第2のアークホーン109は、碍子107を介して対向して配置されている。上述したように、碍子107は送電電圧の種類によって使用される懸垂碍子の個数が異なることから、第1のアークホーン108と第2のアークホーン109との間の距離も送電電圧の種類によって異なっている。第1のアークホーン108と第2のアークホーン109は、鋼製となっており、永久磁石が吸着可能となっている。この実施の形態においては、第1のアークホーン108と第2のアークホーン109は、略への字型に形成されており、自由端側が碍子107側に傾いた姿勢で取付けられている。
図2は、送電鉄塔側に位置する第1のアークホーン108と送電線側に位置する第2のアークホーン109とを停電作業時に導通させるための架空送電線用可搬式アース装置1を示している。架空送電線用可搬式アース装置1は、導通本体部2と、吊り金具3と、第1の弾性支持部材4と、第2の弾性支持部材5と、第1の導電接触部6と、第2の導電接触部7と、位置決めピン8と、落下防止ロープ9を有している。導通本体部2は、軸方向に相対移動可能な外筒21と内筒22から構成されている。この実施の形態においては、外筒21と内筒22は、例えば軽量化を図るためにアルミニウム合金などの導電部材から構成されている。内筒22は外筒21に対して軸方向の複数の所定位置に固定可能となっている。
図2に示すように、外筒21の外面21aには、吊り金具3が取付けられている。吊り金具3は、後述する絶縁操作棒110の先端が進入可能な円環状に形成されている。外筒21の外面21a側には、位置決めピン8が設けられている。位置決めピン8は、落下防止ロープ9を介して吊り金具3に連結されている。位置決めピン8は、外筒21に対する内筒22の位置を調整するためのもので、外筒21および内筒22に形成された位置決め穴(図示略)に挿入可能となっている。すなわち、外筒21および内筒22から構成される導通本体部2の軸方向(軸心P1に沿う方向)の長さは、位置決めピン8によって調整可能となっている。導通本体部2は、図2では軸方向の長さがL1に調整されており、図3では軸方向の長さがL2に調整されている。内筒22の外面22aには、外筒21に対する内筒22の位置調整のための目盛22cが付与されている。
導通本体部2を構成する外筒21の一端部21bには、第1の弾性支持部材4の一端部4aが固定されている。第1の弾性支持部材4は、導電部材からなるコイルバネから構成されている。第1の弾性支持部材4は、上下方向、左右方向、軸方向に弾性変形可能となっており、送電線102の停電作業に伴う振動伝達を吸収する機能を有している。導通本体部2を構成する内筒22の一端部22bには、第2の弾性支持部材5の一端部5aが固定されている。第2の弾性支持部材5は、導電部材からなるコイルバネから構成されている。第2の弾性支持部材5は、上下方向、左右方向、軸方向に弾性変形可能となっており、送電線102の停電作業に伴う振動伝達を吸収する機能を有している。
第1の弾性支持部材4の自由端4b側には、第1の導電接触部6が連結されている。第1の導電接触部6は、保持板61と、保持軸62と、把持板63と、押込み用バネ64と、第1の永久磁石65を有している。
保持板61の一端部61aは、第1の弾性支持部材4の自由端4b側と連結されている。保持板61には、保持穴61bが形成されている。保持穴61bは、保持板61の左右の側面を貫通している。保持穴61bには、保持軸62が挿入されている。保持軸62は、軸心P2回りに回動可能となっている。把持板63には、第1の永久磁石65を収容する収容部63aが形成されている。第1の永久磁石65は、送電鉄塔100側に位置する第1のアークホーン108に吸着可能となっている。把持板63は、薄板からなる導電部材から構成されており、第1のアークホーン108を外側から把持することが可能となっている。把持板63は、側面形状が略C字状に形成されており、板バネ64の付勢力によって弾性変形可能となっている。
図6は、板バネ64による把持板63の変形状態を示している。把持板63は、第1の連結点W1と第2の連結点W2とを介して板バネ64と連結されている。図6(a)および図6(b)に示すように、板バネ64に外力F1が作用していない状態では、上端部63bと下端部63cは十分に離れており、上端部63bと下端部63cとの間に第一のアークホーン108が進入可能となっている。図6(c)に示すように、板バネ64に矢印F1方向の力が作用した状態では、板バネ64の変形に伴って把持板63も弾性変形し、上端部63bと下端部63cが接触するようになっている。すなわち、把持板63は、板バネ64に矢印F1方向と反対方向の力が作用しない限り、上端部63bと下端部63cは密着した状態を維持するように構成されている。
第2の弾性支持部材5の自由端5b側には、第2の導電接触部7が連結されている。第2の導電接触部7は、保持板71と、保持軸72と、把持板73と、板バネ74と、第2の永久磁石(図示略)を有している。第2の導電接触部7における保持板71の一端部71aは、第2の弾性支持部材5の自由端5b側と連結されている。保持板71には、保持穴(図示略)が形成されている。第2の導電接触部7の構成および動きは、上述した第1の導電接触部6に準じており、図6と同様に板バネ74の外部からの操作によって第2のアークホーンを把持することが可能となっている。
つぎに、架空送電線用可搬式アース装置1を用いた送電線102の停電作業の手順および作用について説明する。
送電線102の停電作業を開始するに際し、まず送電線102への電力供給が停止される。つぎに、送電鉄塔100の上部に昇塔した作業者は、検電器(図示略)によって送電線102への電力供給が確かに停止されたか否かを確認する。ここで、送電線102の電力停止が確認されると、架空送電線用可搬式アース装置1を使用して送電鉄塔100側の第1のアークホーン108と送電線102側の第2のアークホーン109とが導通状態とされる。
図1は、第1のアークホーン108と第2のアークホーン109への架空送電線用可搬式アース装置1への取付け手順を示している。図1(a)に示すように、通常は第1のアークホーン108と第2のアークホーン109は、所定の間隔をおいて対向して配置されており、例えば送電線路に落雷が生じた際には、第1のアークホーン108と第2のアークホーン109との間でアーク放電が行われ、送電線路が保護される。つぎに、送電線102への電力供給が停止されたことが確認された後は、図1(b)に示すように、送電鉄塔100の上部に昇塔した作業者は、絶縁操作棒110のフックを架空送電線用可搬式アース装置1の吊り金具3に引掛ける。その後、作業者は、絶縁操作棒110を操作することによって架空送電線用可搬式アース装置1を第1のアークホーン108と第2のアークホーン109との間に移動させる。この状態では、第1の導電接触部6と第2の導電接触部7は、各アークホーン108、109の形状に合致した角度(姿勢)に調整される。
つぎに、架空送電線用可搬式アース装置1を図1(b)の状態から碍子107側に降下させ、各導電接触部6、7をそれぞれ各アークホーン108、109に近づける。この状態では、第1の導電接触部6の第1の永久磁石65が把持板63を介して鋼製の第1のアークホーン108に吸着し、第2の導電接触部7の第2の永久磁石(図示略)が把持板73を介して鋼製の第2のアークホーン109に吸着することになる。図1(c)は、第1の導電接触部6が第1のアークホーン108に接触し、第2の導電接触部7が第2のアークホーン109に接触した状態を示している。
図1(c)の状態では、送電鉄塔100側の第1のアークホーン108と送電線102側の第2のアークホーン109が導通状態となる。これにより、送電線102は架空送電線用可搬式アース装置1を介して大地と接地された送電鉄塔100側と導通状態となり、送電線102側に帯電している電気は、送電線102側から送電鉄塔100を介して大地に流れる。すなわち、図1(c)の状態では、送電線102への電力供給は停止されているが、送電線102にはまだ電気が帯電しているので、送電線102に帯電している電気が架空送電線用可搬式アース装置1および送電鉄塔100を介して大地に流れることになる。これにより、高電圧から作業者を保護することができ、送電線102の停電作業を開始することが可能となる。
つぎに、架空送電線用可搬式アース装置1がアークホーン108、109に取付けられた状態では、吊り金具3から絶縁操作棒110が取外される。そして、絶縁操作棒110の先端部には、フックに替えて押圧ロッド111が取付けられる。図6(a)および図6(b)に示すように、押込み用バネ64に矢印方向F1の力が作用していない状態では、上端部63bと下端部63cは十分に離れており、上端部63bと下端部63cとの間に第1のアークホーン108が進入可能となっている。
図6(c)に示すように、押込み用バネ64に矢印F1方向の力が作用した状態では、押込み用バネ64の変形に伴って把持板63も弾性変形し、上端部63bと下端部63cが接触する。これにより、第1のアークホーン108は、把持板63によって把持された状態となり、第1の導電接触部6の第1のアークホーン108からの離脱が確実に防止される。第2の導電接触部7においても、第1の導電接触部6と同様な操作が行われ、第2のアークホーン109は、把持板73によって把持された状態となり、第2の導電接触部7の第2のアークホーン109からの離脱が確実に防止される。
送電線102における停電作業を終了する際には、架空送電線用可搬式アース装置1が各アークホーン108、109から取外される。この場合は、第1の導電接触部6の押込み用バネ64の操作用リング64aに押圧ロッド111を挿入し、押圧ロッド111を矢印F1方向と反対方向に移動させる。これにより、押込み用バネ64が元の形状に戻るとともに、把持板63も元の形状に戻り、図6(b)に示すように、上端部63bと下端部63cが離れる。同様に、第2の導電接触部7の押込み用バネ74を押圧ロッド111に操作することにより、板バネ74が元の形状に戻るとともに、把持板73も元の形状に戻り、把持板73による第2のアークホーン109の把持が解除される。
つぎに、架空送電線用可搬式アース装置1の吊り具3に絶縁操作棒110のフックを引掛け、絶縁操作棒110を水平方向に移動させることにより、架空送電線用可搬式アース装置1を各アークホーン108、109から引き離す方向に移動させる。これにより、第1の永久磁石65の磁力によって第1のアークホーン108に吸着していた第1の導電接触部6が第1のアークホーン108から離脱する。同様に、第2の永久磁石(図示略)の磁力によって第2のアークホーン109に吸着していた第2の導電接触部7が第2のアークホーン109から離脱する。その後、架空送電線用可搬式アース装置1は、作業者による絶縁操作棒110の操作によって送電鉄塔100の上部側で回収される。
このように、従来のような重いリード線が不要となるので、重量物を背負って送電鉄塔100の上部まで運ぶ必要がなくなり、従来に比べ送電線102の停電作業における作業者の労力を著しく軽減することができる。また、第1の導電接触部6と第2の導電接触部7は、永久磁石の吸引力によってそれぞれのアークホーン108、109に接触するので、従来のようにリード線を送電鉄塔側に巻き付ける必要がなく、送電鉄塔100の上部での接地作業を迅速かつ容易に行うことが可能となる。さらに、導通本体部2と各導電接触部6、7とは、導電部材から構成される弾性変形可能な弾性支持部材4、5を介して連結されているので、送電線102の揺れによる振動は弾性支持部材4、5の弾性変形によって吸収することができ、各導電接触部6、7のアークホーン108、109からの離脱を防止することができる。これにより、停電作業に伴う送電線の揺れに対してもアース機能を確実に維持することができる。
また、導通本体部2の内筒22は外筒21に対して軸方向の複数の所定位置に固定可能であるので、第1の導電接触部6と第2の導電接触部7との間の距離を可変とすることができる。したがって、送電電圧の種類によって第1のアークホーン108と第2のアークホーン109との間の距離が異なる場合でも、各導電接触部6、7を各アークホーンに確実に接触させることができる。
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態においては、乙種アースに適用した場合を示したが、その他の種類のアースにも適用可能である。また、各導電接触部6、7に把持板63、73を弾性変形させるための押込み用バネ64、74を設けるようしにしているが、形状記憶合金を用いて把持板63、73を弾性変形させる構成としてもよい。さらに、各弾性支持部材4、5は、金属に限定されず、導電性を有するゴムから構成してもよい。
1 架空送電線用可搬式アース装置
2 導通本体部
21 外筒
22 内筒
4 第1の弾性支持部材
5 第2の弾性支持部材
6 第1の導電接触部
63 把持板
64 押込み用バネ
7 第2の導電接触部
73 把持板
74 押込み用バネ
8 位置決めピン
100 送電鉄塔
102 送電線
110 絶縁操作棒

Claims (2)

  1. 碍子を介して対向して配置される送電鉄塔側のアークホーンと送電線側のアークホーンとを停電作業時に導通させるための架空送電線用可搬式アース装置であって、
    絶縁操作棒の操作によって任意の位置に移動可能で、前記送電鉄塔側のアークホーンと前記送電線側のアークホーンとの間に配置可能な導電部材からなる導通本体部と、
    前記導通本体部の一端部に固定され、導電部材から構成される弾性変形可能な第1の弾性支持部材と、
    前記導通本体部の他端部に固定され、導電部材から構成される弾性変形可能な第2の弾性支持部材と、
    前記第1の弾性支持部材の自由端側に連結されるとともに、前記送電鉄塔側のアークホーンに吸着可能な第1の永久磁石を有し、少なくとも前記第1の永久磁石の吸着力により前記送電鉄塔側のアークホーンと接触可能な第1の導電接触部と、
    前記第2の弾性支持部材の自由端側に連結されるとともに、前記送電線側のアークホーンに吸着可能な第2の永久磁石を有し、少なくとも前記第2の永久磁石の吸着力により前記送電線側のアークホーンと接触可能な第2の導電接触部と、
    を備えたことを特徴とする架空送電線用可搬式アース装置。
  2. 前記導通本体部は、軸方向に相対移動可能な外筒と内筒から構成され、前記内筒は前記外筒に対して前記軸方向の複数の所定位置に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の架空送電線用可搬式アース装置。
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