JP2014109143A - 鋼杭の根固め工法 - Google Patents

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【課題】従来の根固め工法における諸問題点を解決すること。
【解決手段】岩盤支持層Grを削孔し、その孔に鋼杭1を建て込んで根固めする鋼杭の根固め工法において、岩盤支持層Grには、根固めする鋼杭1の外径Do又は対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔し、その下孔2に、鋼杭1をバイブロハンマー22によって強制圧入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、削孔機によって岩盤支持層を削孔し、その孔に鋼杭を建て込んで根固めする鋼杭の根固め工法に関するものである。
従来のプレボーリング根固め工法である鋼杭の根固め工法を図15により説明すると、先ず、同図の(a) 〜(c) に示すように、地盤Gを、ダウンザホールハンマーDHにより、粘土、砂礫等よりなる土砂層Gsから極めて良質の支持地盤である岩盤支持層Grにわたって所定深度まで削孔する。削孔中及び削孔後にダウンザホールハンマーDHを引き上げる際には、(b) 〜(d) に示すように、掘削屑であるスライムをエアブローによって地上へ排出する。その後、ダウンザホールハンマーDHを孔30から引上げ、そしてその孔30内に(g) に示すように鋼杭として例えばH形鋼24を建て込み、(h) に示すように孔30に挿入したモルタル注入管25でモルタル26を注入して根固めを行い、(i) に示すように施工を完了する。この場合、岩盤支持層Grに削孔される孔30は、鋼杭としてのH形鋼24の対角線長よりも大きい。
また、従来のプレボーリング根固め工法としては、図15の(e) 及び(f) に示すようにダウンザホールハンマーDHを孔30から引き上げた後、発生土砂を埋め戻し、そうしてその孔30内に鋼杭を、バイブロハンマーで打撃しながら打ち込んで根固めを行なう方法がある。その他、プレボーリング鋼杭建て込み工法に伴う根固め工法として、セメントミルクを注入したり、あるいは砕石やコンクリートを充填するなどの方法があるが、従来の工法は全て、鋼杭の直径又は対角線長より大きい内径の孔を岩盤支持層に掘削しておいて、その孔に鋼杭を建て込み、そして孔と鋼杭との間にモルタル、セメントミルク、砕石、コンクリート等の根固め材を充填し、又は圧密するという工法である。
従来の根固め工法では、地下水や表面流水があったり、沿岸部などで海水が流れている所では、モルタルやセメントミルクが流出し、充分な根固めができないケースがある。
また、仮橋(仮設桟橋)構台用の鋼杭のように、鋼杭打ち込み後に杭打機(クローラクレーン)等を乗載して施工を行なう場合、モルタルが硬化するのに或る一定の時間を要するため、施工時間が延びる。即ち、モルタルが硬化するまでは仮橋の構台に杭打機を乗載させることができず、従って後の作業が遅れることになる。
また、ダウンザホールハンマー等で削孔した孔が崩壊した時はモルタル等の充填が不可能となるので、ケーシングを併用する必要があり、そのために工費及び工期が更にアップする。更にまた、地下水、特に水中での施工の際、モルタル注入中にモルタルが分離し、根固めの性能が低下する場合がある。
そして、杭の支持層として極めて優良な地層は岩盤である。しかしながら、現在の土木仕様書では、岩に対する杭の支持層としての扱い、分類がなく、全てN値換算した砂礫層としての扱いとなっている。従って、硬質の岩盤支持層へ杭を打ち込んでも、その根固め処理方法のみで支持力及び引抜力が計算されてしまうので、岩盤支持層の中へ5〜10m以上根入れしないと、支持がとれなくなる計算となる。つまり、杭周面が砂となり、充分な摩擦がとれないために必要以上に長い根入れが要求されることになる。
本発明は、上記のような従来の根固め工法における諸問題点を解決し得るもので、モルタル、セメントミルク、コンクリート、その他の根固め材を使用することなく、鋼杭を岩盤支持層に対して充分かつ有効に根固めできる鋼杭の根固め工法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の鋼杭の根固め工法は、岩盤支持層Grを削孔し、その孔に鋼杭1を建て込んで根固めする鋼杭の根固め工法において、岩盤支持層Grには、根固めする鋼杭1の外径Do又は対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔し、その下孔2に、鋼杭1をバイブロハンマー22によって強制圧入するようにしたことを特徴とする。
請求項2は、請求項1に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてH形鋼を使用し、このH形鋼の対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔することを特徴とする。
請求項3は、請求項1に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1として鋼管を使用し、この鋼管の外径Doよりも小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔することを特徴とする。
請求項4は、請求項2に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてのH形鋼には各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3にH形鋼より硬質のカッティングプレート4を取り付けたことを特徴とする。
請求項5は、請求項2に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてのH形鋼には各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除すると共に、各フランジa先端部の内側面に補強プレート5を取り付けたことを特徴とする。
請求項6は、請求項2に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてのH形鋼には各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3にH形鋼より硬質のカッティングプレート4を取り付けると共に、各フランジa先端部の外側面中央部に支持力増大プレート6を取り付けたことを特徴とする。
請求項7は、請求項2、4〜6の何れかに記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてのH形鋼には各フランジa先端部側の両側端面に切欠部7を長手方向一定間隔おきに切欠形成したことを特徴とする。
請求項8は、請求項2、4〜7の何れかに記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてのH形鋼には各フランジa先端部側の両側端面に支持力増大用凸部8を長手方向一定間隔おきに突設したことを特徴とする。
請求項9は、請求項2、4〜8の何れかに記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としてのH形鋼にはウェブb先端部側の両側端面に支持力増大プレート23を取り付けたことを特徴とする。
請求項10は、請求項2、4〜9の何れかに記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼1杭としてのH形鋼には両フランジaの先端部間に補強プレート25を介装したことを特徴とする。
請求項11は、請求項3に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としての鋼管には先端部外周面に支持力増大用リブ9を周方向一定間隔おきに突設したことを特徴とする。
請求項12は、請求項3に記載の鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1としての鋼管には先端部外周面及びこれの上方所要部外周面に夫々縦方向に延びる支持力増大用リブ9を周方向一定間隔おきに突設すると共に、各支持力増大用リブ9は、上下に隣り合うリブ9,9どうしが上下方向に重なり合わないように、周方向に隣り合うリブ9,9の中間に位置するように配設したことを特徴とする。
請求項13は、請求項11又は12に記載の鋼杭の根固め工法において、前記支持力増大用リブ9は、鋼管の外周に沿って固着された金属製の補強バンド10に一体に形成されていることを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の鋼杭の根固め工法によれば、岩盤支持層Grに、根固めする鋼杭1の外径Do又は対角線長Dgより小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔し、その下孔2に鋼杭1をバイブロハンマー22の打撃力によって強制圧入することにより、鋼杭1の外周部が岩盤支持層Grに食い付いて一体化すると共に、鋼杭1が充分な周面摩擦力を確保して、岩盤支持層Grに対する鋼杭1の支持を大きくとることができて、鋼杭1を岩盤支持層Grに対し充分かつ有効に根固めすることができる。また、モルタル、セメントミルク等の根固め材を使用しないから、仮設桟橋工事では、鋼杭1の打設後即時に杭打機等の乗載が可能で、工期の大幅な短縮を図ることができ、また工事完了後の鋼杭1の引抜きが可能となり、環境にも優しく、そして更に地下水、河川等の汚染を防ぐことができる。
請求項2に係る発明のように、鋼杭1としてH形鋼を使用し、このH形鋼の対角線長Dgより小さい内径Diの下孔2をダウンザホールハンマーDH等の削孔機で削孔すれば、このH形鋼を下孔2に強制圧入する時にH形鋼のフランジaの角部が岩盤支持層Grの下孔2内壁を削って、その内壁に食い込んでいき、岩盤本来の有する反力を確保すると共に、鋼杭1が充分な周面摩擦力を確保して、岩盤支持層Grに対する鋼杭1の支持を大きくとることができて、極めて優良な根固めを作ることができる。
請求項3に係る発明のように、鋼杭1として鋼管を使用し、この鋼管の外径Doよりも小さい内径Diの下孔2をダウンザホールハンマーDH等の削孔機によって削孔すれば、この鋼杭を下孔2に強制圧入する時に鋼管の外周部が下孔2の内壁に食い込んで、岩盤本来の有する反力を確保すると共に、鋼杭1が充分な周面摩擦力を確保して、岩盤支持層Grに対する鋼杭1の支持を大きくとることができて、極めて優良な根固めを作ることができる。
請求項4に係る発明のように、鋼杭1としてのH形鋼の各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3にH形鋼より硬質のカッティングプレート4を取り付けた場合には(図1参照)、H形鋼11の先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となる。
請求項5に係る発明のように、鋼杭1としてのH形鋼の各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除すると共に、各フランジa先端部の内側面に補強プレート5を取り付けた場合には(図2参照)、H形鋼11の先端部が岩盤支持層Grの下孔2に食い込み易くなり、また補強プレート5を取り付けたことにより、食い込み時にフランジaの先端部が破損し難く、且つ変形し難くなる。
請求項6に係る発明のように、鋼杭1としてのH形鋼の各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3にH形鋼より硬質のカッティングプレート4を取り付け、各フランジa先端部の外側面中央部に支持力増大プレート6を取り付けた場合には(図3参照)、H形鋼の先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となり、そしてこのH形鋼は、各フランジaの先端部外側面中央部に取り付けた支持力増大プレート6が岩盤支持層Grの下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持をより大きくとることができる。
請求項7に係る発明のように、鋼杭1としてのH形鋼の各フランジa先端部側の両側端面に切欠部7を長手方向一定間隔おきに形成した場合に(図4参照)、この切欠部7は、H形鋼を岩盤支持層Grの下孔2に強制圧入する時に、下孔2の内壁に対する各フランジa先端部両側端面の摺動摩擦抵抗を軽減して、下孔2に対するH形鋼の圧入作業を容易にすることができる。
請求項8に係る発明のように、鋼杭1としてのH形鋼の各フランジa先端部側の両側端面に支持力増大用凸部8を長手方向一定間隔おきに突設した場合には(図5参照)、このH形鋼は、各フランジaの先端部外側面中央部に突設した支持力増大用凸部8が下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持をより大きくとることができる。
請求項9に係る発明のように、鋼杭1としてのH形鋼にはウェブb先端部側の両側端面に支持力増大プレート23を取り付けた場合には(図6参照)、岩盤支持層Grに対する支持をより一層大きくとることができる。
請求項10に係る発明のように、鋼1杭としてのH形鋼には両フランジaの先端部間に補強プレート25を介装した場合には(図7参照)、補強プレート25によりH形鋼71の両フランジa,a先端部間が閉塞された状態となるから、下孔2に掘削土砂などが溜まっている時にフランジa,a先端部間の閉塞による土砂等の抵抗により鋼杭1の支持力を増大することができる。
請求項11に係る発明のように、鋼杭1としての鋼管に先端部外周面に支持力増大用リブ9を周方向一定間隔おきに突設した場合には(図8の(a-1) ,(a-2) 参照)、鋼管を岩盤支持層Grの下孔2に強制圧入する時に、それらの支持力増大用リブ9が、下孔2内壁に食い込んで一体化して、岩盤支持層Grに対する鋼管の支持力を増大させ、優良な根固めを作ることができる。
請求項12に係る発明のように、各支持力増大用リブ9を、上下に隣り合うリブ9,9どうしが上下方向に重なり合わないように、周方向に隣り合うリブの中間に位置するように配設すれば(図8の(b-1) ,(b-2) 参照)、鋼管の横断面上において支持力増大用リブ9の数が倍増するから、岩盤支持層Grに対する鋼管の支持力を一層増大できる。
請求項13に係る発明のように、前記支持力増大用リブ9を、鋼管の外周に沿って固着される金属製の補強バンド10に一体に形成することにより、リブ9の取付けが容易となり、またこの補強バンド10によって鋼管自体を補強することができる。
本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の一例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用する鋼管からなる鋼杭の種々の例を示すもので、(a-1) はその一例の斜視図、(a-2) は(a-1) のX−X線断面図、(b-1) は他の例の斜視図、(b-2) は(b-1) のY−Y線断面図である。 (a) は本発明工法の一実施形態を示す説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図9の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図10の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図11の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図12の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) 及び(b) は本発明工法の他の実施形態を示す説明断面図である。 (a) 〜(i) は従来工法を説明する説明図である。
以下に本発明工法の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図6は本発明に係る鋼杭根固め工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の種々の例を示し、図6は鋼管からなる鋼杭の例を示し、そして図7〜図11は本発明工法を仮橋構台用の鋼杭の根固めに実施した実施形態を示したものである。
先ず、図1に示す鋼杭1として使用するH形鋼11は、両フランジa,aとウェブbとからなるもので、地盤をプレボーリングするにあたって、地盤Gの岩盤支持層Gr(図7〜図11参照)には、図1の(b) に示すように両フランジa,aの対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2をダウンザホールハンマー等の削孔機によって削孔する。そして、このH形鋼11は、図1の(c) から分かるように、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除し、その切除部3,3にH形鋼11よりも硬質のカッティングプレート4,4を取り付けてなるもので、削孔した岩盤支持層Grの下孔2に、バイブロハンマー22(図11参照)の打撃力によって強制圧入することで根固めを行なう。フランジaの先端部を先細りテーパ状に形成したのは、H形鋼11の先端部が下孔2に嵌まり込み易くするためである。
この場合、鋼杭1としてのH形鋼11は、図1の(b) に示すように、両フランジa,aの対角線長Dgがプレボーリングされる下孔2の内径Diより大きいため、このH形鋼11を下孔2にバイブロハンマー22(図11参照)の打撃力で強制圧入することにより、H形鋼11のフランジa角部が岩盤支持層Grの下孔2内壁を削ってその内壁に食い込んで、岩盤本来の持つ反力を確保すると共に、H形鋼11が充分な周面摩擦力を確保して、岩盤支持層Grに対する支持を大きくとることができ、極めて優良な根固めを作ることができる。またこの場合、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けることにより、H形鋼11の先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となる。なお、H形鋼11の材質をSS400とすれば、カッティングプレート4には、S35C、S45C、S50C、S55C、SCM等を使用する。
図2に示す鋼杭1としてのH形鋼21は、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除する(その切除部を3で示す)と共に、各フランジaの先端部内側面に補強プレート5,5を溶接により取り付けたもので、図1のH形鋼11と同様に、両フランジa,aの対角線長よりも小さい内径の下孔2に対し、バイブロハンマーで強制圧入することによって根固めを行なう。
この場合も、H形鋼21は、図2の(b) に示すように、両フランジa,aの対角線長が下孔2の内径よりも大きいため、下孔2に切削圧入することにより、H形鋼11が岩盤支持層Grと密着一体化し、岩盤支持層Grに対する支持を大きくとれて、極めて優良な根固めを作ることができる。そして、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に形成すると共に、各フランジaの先端部内側面に補強プレート5,5を取り付けていることにより、H形鋼11の先端部が岩盤支持層Grの下孔2に食い込み易くなり、また補強プレート5を取り付けたことにより、食い込み時にフランジaの先端部が破損したり変形することがない。なお、補強プレート5としては、H形鋼11の材質と同様のSS400を使用することができる。
図3に示す鋼杭1としてのH形鋼31は、図1のH形鋼11と同様、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にH形鋼よりも硬質のカッティングプレート4,4を取り付け、更に各フランジaの先端部の外側面中央部に一つ又は複数の支持力増大プレート6を溶接により取り付けたものであり、図1のH形鋼11と同様に、両フランジa,aの対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2に対し、バイブロハンマーで強制圧入することによって根固めを行なう。
この場合も、H形鋼31は、図3の(b) に示すように両フランジa,aの対角線長Dgが下孔2の内径よりも大きいため、下孔2に切削圧入することにより、岩盤支持層Grに対する支持を大きくとれて、極めて優良な根固めを作ることができ、また各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けていることにより、H形鋼31先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となる。そして特に、このH形鋼31は、各フランジaの先端部外側面中央部に取り付けた支持力増大プレート6が岩盤支持層Grの下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持を一層大きくとることができる。
図4に示す鋼杭1としてのH形鋼41は、図1のH形鋼11及び図3のH形鋼31と同様に、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にH形鋼よりも硬質のカッティングプレート4,4を取り付けているが、特にこのH形鋼41では、各フランジaの先端部両側端面に切欠部7を長手方向一定間隔おきに切欠形成している点が特徴である。この切欠部7は、H形鋼41を岩盤支持層Grの下孔2に強制圧入する時に、下孔2の内壁に対する各フランジa先端部両側端面の摺動摩擦抵抗を軽減して、下孔2に対するH形鋼41の圧入作業を容易にすることができる。なお、このH形鋼41に設けてあるような切欠部7は、図2に示すH形鋼21や図3に示すH形鋼31のフランジaにも設けることができる。
図5に示す鋼杭1としてのH形鋼51は、図2のH形鋼21と同様に、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除する(その切除部を3で示す)と共に、各フランジaの先端部内側面に補強プレート5,5を取り付けているが、特にこのH形鋼51では、各フランジaの先端部側両側端面に支持力増大用凸部8を長手方向一定間隔おきに突設した点が特徴である。従って、このH形鋼51は、各フランジaの先端部外側面中央部に突設した支持力増大用凸部8が下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持を一層大きくとることができる。
図6に示す鋼杭1としてのH形鋼61は、図1のH形鋼11や図3のH形鋼31と同様に、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けているが、特にこのH形鋼61では、ウェブbの先端部側の両側端面に支持力増大プレート23を一つ又は複数取り付けた点を特徴としている。この支持力増大プレート23の外側端面先端部は、下孔2に嵌まり込み易くするために斜めにカットしてあり、その斜めカット部を23aで示す。また、各フランジaの先端部側の外側面中央部には、図3に示すH形鋼31の支持力増大プレート6と同様な支持力増大プレート24を取り付けている。この支持力増大プレート6の外側端面先端部も斜めカット部を24aを形成している。従って、このH形鋼61は、フランジaに支持力増大プレート24を取り付けたうえに、ウェブbにも支持力増大プレート23を取り付けているから、岩盤支持層Grに対する支持をより一層大きくとることができる。
図7に示す鋼杭1としてのH形鋼71は、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けているが、特にこのH形鋼71では、両フランジa,a の先端部間に一つ又は複数の補強プレート25を介装した点を特徴としている。また、各フランジaの先端部側の外側面中央部には、図6のH形鋼61と同様、支持力増大プレート26を取り付け、その外側端面先端部には斜めカット部を24aを形成している。このように両フランジa,aの先端部間に補強プレート25を介装したH形鋼71では、補強プレート25によりH形鋼71の両フランジa,a先端部間が閉塞された状態となるから、下孔2の下部に土砂等が溜まっている時にフランジa,a先端部間の閉塞による土砂等の抵抗により鋼杭1の支持力を増大することができる。
図8は鋼杭1として鋼管81を使用した場合を示している。鋼管81は、図示は省略するが、岩盤支持層Gr(図9〜図13参照)にプレボーリングされた、当該鋼管81の外径Doよりも小さい内径の下孔2に対し、バイブロハンマーで強制圧入することによって根固めを行なうようになっている。
そして、図8の(a-1) に示す鋼管81には、先端部外周面に縦方向に延びる支持力増大用リブ9を周方向一定間隔おきに突設しており、また(a-2) に示す鋼管81には、先端部外周面とこれの上方所要部外周面に夫々、支持力増大用リブ9を周方向一定間隔おきに突設すると共に、各支持力増大用リブ9は、上下に隣り合うリブ9,9どうしが上下方向に重なり合わないように、周方向に隣り合うリブの中間に位置するように配設している。
この支持力増大用リブ9は、鋼管81の外周面に直接、溶接して固着させることもできるが、そうした場合には鋼管81のリブ9の取付部分が変形を生じ易いため、図示のように鋼管81の所要部外周に沿って金属製の補強バンド10を固着し、この補強バンド10にリブ9を溶接して取り付けることが好ましい。また当然のことながら、補強バンド10は、鋼管81先端部側の強度を補強する機能を有する。また、補強バンド10を鋼杭1に取り付けるには、補強バンド10を円環状に形成しておいて、これを鋼杭1に嵌め込んで溶接し、あるいはその円環を複数に分割したような分割体を形成しておいて、それら複数の分割体を鋼杭1に嵌め合わせて溶接することにより取り付けることができる。
図8の(a-1) ,(a-2) に示すように鋼杭1としての鋼管81の先端部外周面に縦方向に延びる支持力増大用リブ9を周方向一定間隔おきに突設しておくことにより、鋼管81を岩盤支持層Grの下孔2に強制圧入する時に、それらの支持力増大用リブ9が、下孔2内壁に食い込んで一体化して、岩盤支持層Grに対する鋼管81の支持力を増大させ、優良な根固めを作ることができる。また、(b-1) ,(b-2) のように各支持力増大用リブ9を、上下に隣り合うリブ9,9どうしが上下方向に重なり合わないように、周方向に隣り合うリブの中間に位置するように配設すれば、(b-2) に示すように鋼管81の横断面上において支持力増大用リブ9の数が倍増するから、岩盤支持層Grに対する鋼管81の支持力をより一層増大させることができる。
図9〜図13は、本発明に係る鋼杭根固め工法の実施形態を示すもので、海岸等の水際にあるの傾斜岩盤支持層Grに鋼杭1(H形鋼や鋼管)を打ち込んで仮橋(仮設桟橋)の構台を施工する場合を示しており、この施工について以下に説明すると、図7の(a) は、地盤Gの傾斜土砂層Gsから傾斜岩盤支持層Grにわたり打設されて根固めされた複数本の鋼杭1により仮橋構台12の一部が架設された状態で、反力架台16(図10以降参照)の施工を開始した状態を示している。なお、図9、図10、図11及び図12の(a) に夫々示される鋼杭1は、上述した本発明工法によって既に根固めされたものである。
図9の(a) においては、一部架設された仮橋構台12上に乗載させたクローラクレーン(図示省略)の昇降ワイヤー17に吊持したバイブロハンマー13によって、反力架台用の杭14を複数本、地盤Gの土砂層Gsに所要深さ打設し、その後同図の(b) に示すように、反力架台用の架台本体15を前記クレーンの昇降ワイヤー18により吊り上げて複数本の杭14上に横架し、図10の(a) ,(b) に示すような反力架台16を施工する。
上記のように施工した反力架台16の架台本体15上には図10の(a) に示すように、テーブルマシーンである全周回転圧入装置19を前記クレーンの昇降ワイヤー17により吊り上げて設置し、しかしてこの全周回転圧入装置19には、図10の(b) に示すようにダウンザホールハンマーDHをセットし、このハンマーDHにより、土砂層Gsから岩盤支持層Grにわたって、仮橋構台用の鋼杭1の外径又は対角線長よりも小さい内径の下孔2(図11参照)を削孔する。なお、ダウンザホールハンマーDHは、掘孔の進行に従ってハンマーロッドを継ぎ足していく必要があり、その継ぎ足し作業は、反力架台16の上で行なう。
しかして、図11の(a) に示すように所定深度まで掘孔したならば、ダウンザホールハンマーDHを引き上げて下孔2から抜き取る。このダウンザホールハンマーDHを下孔2から抜き取ると、下孔2に水が入り込んでくるため、下孔2の土砂層Gs部分が崩壊し、その崩壊した土砂20が水と共に泥土砂状態となって、図11の(b) に示すように下孔2に充満した状態となる。
それから、反力架台16上に設置していた全周回転圧入装置19(テーブルマシーン)を図12の(a) に示すようにクレーンの昇降ワイヤー17により吊り上げて撤去した後、同図の(b) に示すように鋼杭1(例えばH形鋼)をクレーンで吊り込み、そして図13の(a) に示すようにバイブロハンマー22により鋼杭1を打撃しながら下孔2に強制圧入する。バイブロハンマー22としては、高出力超高周波型バイブロハンマー(ICE・20RF又はICE・28RF )が好ましい。この高出力超高周波型バイブロハンマーでは、起振力が113〜160tと、普通型バイブロハンマー(SR・45で起振力47t)の約3〜4倍となり、未削孔部の岩盤に対し強烈な切削圧入を行い、岩盤支持層Grに対する鋼杭1の支持力を増大させることができる。
図13の(b) に示すように、鋼杭1を岩盤支持層Grの所定深度まで打撃圧入し終えたならば、鋼杭1の沈下量を測定し、支持力を算出して記録する。
上述した図9〜図13の実施形態は、仮橋構台の鋼杭1を根固めする施工例であるが、本発明に係る鋼杭の根固め工法は、仮橋構台の鋼杭に限らず、土留め用鋼杭、地滑り抑止杭、その他、根固めを必要とする全ての鋼杭に適用可能である。図14の(a) は、土留め用鋼杭1として利用する場合を示したもので、この図に示す地盤Gは、シルト(泥土)、粘性土、礫土等よりなる土砂層Gsと、その下方の岩盤支持層Grとからなる。また同図の(b) は地滑り抑止杭として利用する場合を示したもので、この図に示す地盤Gは、表土層Gaと粘性土層Gbと礫土層Gcと岩盤支持層Grとからなる。
以上説明した本発明の実施形態の鋼杭の根固め工法は、岩盤支持層Grに、根固めする鋼杭1の外径Do又は対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2をダウンザホールハンマーDHにより削孔し、この下孔2に、鋼杭1として例えばH形鋼11〜51をバイブロハンマー、好ましくは高出力超高周波型バイブロハンマー22にて強制圧入するようにしたもので、鋼杭1であるH形鋼11〜51のフランジaが岩盤支持層Grに対し直接圧入されることから、H形鋼11〜51の外周部に充分な摩擦力を確保し得ることが期待される。また、フランジaの先端部は、岩着となり、H形鋼11〜51のフランジaの角部が岩盤支持層Grの下孔2内壁を削ってその内壁に食い込んで、岩盤本来の持つ反力を確保することができる。
また、本発明の根固め工法では、モルタル、セメントミルク、コンクリートK等の根固め材を使用しないから、実施形態に示すような仮橋構台の工事においては、地盤Gの下孔2に鋼杭1を打設した後、即時に杭打機(クローラクレーン)の乗載が可能となるから、工期を大幅に短縮することができる。また、モルタル等を使用する根固め工法の場合は、工事完了後に鋼杭の引抜きが困難となり、従って切断して地中に残置しなければならず、不経済であり、環境への問題も残るが、本発明の根固め工法ではモルタルやセメント等を用いないから、工事完了後に鋼杭の引抜きが可能となり、環境にも優しくなる。
また、岩盤支持層への根入れ長さを計算する時に、前述したように、現在の土木仕様書では、岩盤に対する杭の支持層としての扱い、分類がなく、全てN値換算した砂礫層として扱われ、岩盤支持層へ杭を打ち込んでも、その根固め処理方法のみで支持力及び引抜力が計算されてしまうので、岩盤支持層の中へ5〜10m以上根入れしないと、支持がとれなくなる計算となり、図9〜図13の実施形態で示した仮橋構台用鋼杭のような根固め工事においては、鋼杭の根入れ長さは例えば7.5mと比較的深く設計される。しかるに、仮橋構台用鋼杭では岩としての考え方が未解であり、砂質、粘性土としての計算となるため、根固め、根入れ共に支持力が不足することになるが、本発明に係る鋼杭の根固め工法によれば、前述したように鋼杭周面側に充分な周面摩擦力を確保できることから、岩としての考え方をすれば上記例示した7.5mの有効根入れ長さを確保でき、尚且つ先端部を打撃圧入しているために計算以上の支持が発現するものと考えられる。
また図9〜図13の実施形態で示した仮橋構台用鋼杭の根固め工事では、図11の(a) に示すようにダウンザホールハンマーDHで所定深度掘孔した後、このダウンザホールハンマーDHを下孔2から抜き取ると、下孔2は水が入り込んで崩壊状態となり、空洞部は全て無い状況となるが、その後図12〜図13に示すように鋼杭1がバイブロハンマー22によって強制圧入されることから、下孔2内部の土砂20が密に圧縮されて、摩擦力を増大させ、H形鋼の場合ではフランジ部のみではなくH形鋼周面全体が圧密され、極めて安定した根固め状態となる。なお、下孔2が崩壊しない状況にある場合は、削孔時の発生土砂を事前に埋め戻すことによって、上記の下孔崩壊時と同様な作用効果を発揮させることができる。
また、本発明の根固め工法は、モルタル、セメントミルク、コンクリート等の根固め材を使用しないため、地下水や河川の汚染を防止し、仮橋構台等の解体時の鋼杭の引抜きも容易に行なうことができる。
1 鋼杭
2 下孔
3 切除部
4 カッティングプレート
5 補強プレート
6 支持力増大プレート
7 切欠部
8 支持力増大用凸部
9 支持力増大用リブ
10 補強バンド
11 H形鋼
21 H形鋼
31 H形鋼
41 H形鋼
51 H形鋼
61 鋼管
本発明は、削孔機によって岩盤支持層を削孔し、その孔に鋼杭を建て込んで根固めする鋼杭の根固め工法に関するものである。
従来のプレボーリング根固め工法である鋼杭の根固め工法を図13により説明すると、先ず、同図の(a) 〜(c) に示すように、地盤Gを、ダウンザホールハンマーDHにより、粘土、砂礫等よりなる土砂層Gsから極めて良質の支持地盤である岩盤支持層Grにわたって所定深度まで削孔する。削孔中及び削孔後にダウンザホールハンマーDHを引き上げる際には、(b) 〜(d) に示すように、掘削屑であるスライムをエアブローによって地上へ排出する。その後、ダウンザホールハンマーDHを孔30から引上げ、そしてその孔30内に(g) に示すように鋼杭として例えばH形鋼24を建て込み、(h) に示すように孔30に挿入したモルタル注入管25でモルタル26を注入して根固めを行い、(i) に示すように施工を完了する。この場合、岩盤支持層Grに削孔される孔30は、鋼杭としてのH形鋼24の対角線長よりも大きい。
また、従来のプレボーリング根固め工法としては、図13の(e) 及び(f) に示すようにダウンザホールハンマーDHを孔30から引き上げた後、発生土砂を埋め戻し、そうしてその孔30内に鋼杭を、バイブロハンマーで打撃しながら打ち込んで根固めを行なう方法がある。その他、プレボーリング鋼杭建て込み工法に伴う根固め工法として、セメントミルクを注入したり、あるいは砕石やコンクリートを充填するなどの方法があるが、従来の工法は全て、鋼杭の対角線長より大きい内径の孔を岩盤支持層に掘削しておいて、その孔に鋼杭を建て込み、そして孔と鋼杭との間にモルタル、セメントミルク、砕石、コンクリート等の根固め材を充填し、又は圧密するという工法である。
従来の根固め工法では、地下水や表面流水があったり、沿岸部などで海水が流れている所では、モルタルやセメントミルクが流出し、充分な根固めができないケースがある。
また、仮橋(仮設桟橋)構台用の鋼杭のように、鋼杭打ち込み後に杭打機(クローラクレーン)等を乗載して施工を行なう場合、モルタルが硬化するのに或る一定の時間を要するため、施工時間が延びる。即ち、モルタルが硬化するまでは仮橋の構台に杭打機を乗載させることができず、従って後の作業が遅れることになる。
また、ダウンザホールハンマー等で削孔した孔が崩壊した時はモルタル等の充填が不可能となるので、ケーシングを併用する必要があり、そのために工費及び工期が更にアップする。更にまた、地下水、特に水中での施工の際、モルタル注入中にモルタルが分離し、根固めの性能が低下する場合がある。
そして、杭の支持層として極めて優良な地層は岩盤である。しかしながら、現在の土木仕様書では、岩に対する杭の支持層としての扱い、分類がなく、全てN値換算した砂礫層としての扱いとなっている。従って、硬質の岩盤支持層へ杭を打ち込んでも、その根固め処理方法のみで支持力及び引抜力が計算されてしまうので、岩盤支持層の中へ5〜10m以上根入れしないと、支持がとれなくなる計算となる。つまり、杭周面が砂となり、充分な摩擦がとれないために必要以上に長い根入れが要求されることになる。
本発明は、上記のような従来の根固め工法における諸問題点を解決し得るもので、モルタル、セメントミルク、コンクリート、その他の根固め材を使用することなく、鋼杭を岩盤支持層に対して充分かつ有効に根固めできる鋼杭の根固め工法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の鋼杭の根固め工法は、岩盤支持層Grを削孔し、その孔に鋼杭1を建て込んで根固めする鋼杭の根固め工法において、前記鋼杭1として、ウェブbと両端部のフランジa,aとからなるH形鋼1(11〜61)からなり、且つ各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3にH形鋼より硬質のカッティングプレート4を取り付けたH形鋼1を使用し、しかして岩盤支持層Grには、根固めする前記H形鋼1の対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔し、その下孔2に、前記H形鋼1を高出力超高周波型バイブロハンマー22によって強制圧入するようにしたことを特徴とする。
請求項は、請求項に記載の鋼杭の根固め工法において、図2に示すように、前記H形鋼21(1)の各フランジa先端部の外側面中央部に支持力増大プレート6を取り付けたことを特徴とする。
請求項は、請求項1又は2に記載の鋼杭の根固め工法において、図3に示すように、前記H形鋼31(1)の各フランジa先端部側の両側端面に切欠部7を長手方向一定間隔おきに切欠形成したことを特徴とする。
請求項は、請求項1又は2に記載の鋼杭の根固め工法において、図4に示すように、前記H形鋼41(1)の各フランジa先端部側の両側端面に支持力増大用凸部8を長手方向一定間隔おきに突設したことを特徴とする。
請求項は、請求項1〜4の何れかに記載の鋼杭の根固め工法において、図5に示すように、前記H形鋼51(1)のウェブb先端部側の両側端面に支持力増大プレート23を取り付けたことを特徴とする。
請求項は、請求項1〜5の何れかに記載の鋼杭の根固め工法において、図6に示すように、前記H形鋼61(1)の両フランジaの先端部間に補強プレート25を介装したことを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の鋼杭の根固め工法によれば、岩盤支持層Grに、根固めする鋼杭1としてH形鋼11〜16を使用し、該H形鋼11〜16の対角線長Dgより小さい内径Diの下孔2を削孔機DHによって削孔し、その下孔2にH形鋼11〜16をバイブロハンマー22の打撃力によって強制圧入することにより、H形鋼のフランジaの角部が岩盤支持層Grの下孔2内壁を削って、その内壁に食い付いて一体化すると共に、H形鋼11〜16が充分な周面摩擦力を確保して、岩盤支持層Grに対するH形鋼11〜16の支持を大きくとることができて、H形鋼11〜16を岩盤支持層Grに対し充分かつ有効に根固めすることができる。また、モルタル、セメントミルク等の根固め材を使用しないから、仮設桟橋工事では、鋼杭1の打設後即時に杭打機等の乗載が可能で、工期の大幅な短縮を図ることができ、また工事完了後の鋼杭1の引抜きが可能となり、環境にも優しく、そして更に地下水、河川等の汚染を防ぐことができる。
この際、本発明によれば、図1に示すように、前H形鋼11〜16の各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3にH形鋼より硬質のカッティングプレート4を取り付け、該H形鋼11〜16の先端部の先細りテーパ状で硬質のカッティングプレート4で、岩盤支持層Grの下孔2を、切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となる。
しかも、前記H形鋼11〜16を、普通型バイブロハンマー(SR・45で起振力47t)ではなく、高出力超高周波型バイフロハンマー(ICE・28RF)で、起振力が113〜160tと普通型バイブロハンマーの約3〜4倍のバイフロハンマーによって岩盤の下孔に対して強烈に切削圧入を行うことができ、岩盤支持層Grに対する前記H形鋼11〜16の支持力を大幅に増大させることができ、極めて優良な根固めを作ることができる。
請求項2に係る発明によれば図2に示すように、前記H形鋼21(1)の各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3に該H形鋼21(1)より硬質のカッティングプレート4を取り付け、各フランジa先端部の外側面中央部に支持力増大プレート6を取り付けてなるため、H形鋼の先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となり、そしてこのH形鋼21(1)は、各フランジaの先端部外側面中央部に取り付けた支持力増大プレート6が岩盤支持層Grの下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持をより大きくとることができる。
請求項3に係る発明によれば図3に示すように、前記H形鋼31(1)の各フランジa先端部側の両側端面に切欠部7を長手方向一定間隔おきに形成してなるため、この切欠部7は、H形鋼31(1)を岩盤支持層Grの下孔2に強制圧入する時に、下孔2の内壁に対する各フランジa先端部両側端面の摺動摩擦抵抗を軽減して、下孔2に対する該H形鋼31(1)の圧入作業を容易にすることができる。
請求項4に係る発明によれば図4に示すように、前記H形鋼41(1)の各フランジa先端部側の両側端面に支持力増大用凸部8を長手方向一定間隔おきに突設してなるため、このH形鋼41(1)は、各フランジaの先端部側の両側端面に突設した支持力増大用凸部8が下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持をより大きくとることができる。
請求項5に係る発明によれば図5に示すように、前記H形鋼51(1)のウェブb先端部側の両側端面に支持力増大プレート23を取り付けてなるため、岩盤支持層Grに対する支持をより一層大きくとることができる。
請求項6に係る発明によれば図6に示すように、前記H形鋼61(1)の両フランジaの先端部間に補強プレート25を介装してなるめため、補強プレート25により当該H形鋼61(1)の両フランジa,a先端部間が閉塞された状態となるから、下孔2に掘削土砂などが溜まっている時にフランジa,a先端部間の閉塞による土砂等の抵抗により当該H形鋼71(1)の支持力を増大することができる。
本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の一例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 本発明工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の更に他の例を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、(c) は側面図である。 (a) は本発明工法の一実施形態を示す説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図7の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図8の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図9の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) は図10の(b) に続く本発明工法の説明図、(b) は(a) に続く説明図である。 (a) 及び(b) は本発明工法の他の実施形態を示す説明断面図である。 (a) 〜(i) は従来工法を説明する説明図である。
以下に本発明工法の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図6は本発明に係る鋼杭根固め工法に使用するH形鋼からなる鋼杭の種々の例を示し、そして図7〜図11は本発明工法を仮橋構台用の鋼杭の根固めに実施した実施形態を示したものである。
先ず、図1に示す鋼杭1として使用するH形鋼11は、両フランジa,aとウェブbとからなるもので、地盤をプレボーリングするにあたって、地盤Gの岩盤支持層Gr(図7〜図11参照)には、図1の(b) に示すように両フランジa,aの対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2をダウンザホールハンマー等の削孔機によって削孔する。そして、このH形鋼11は、図1の(c) から分かるように、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除し、その切除部3,3にH形鋼11よりも硬質のカッティングプレート4,4を取り付けてなるもので、削孔した岩盤支持層Grの下孔2に、バイブロハンマー22(図10参照)の打撃力によって強制圧入することで根固めを行なう。フランジaの先端部を先細りテーパ状に形成したのは、H形鋼11の先端部が下孔2に嵌まり込み易くするためである。
この場合、鋼杭1としてのH形鋼11は、図1の(b) に示すように、両フランジa,aの対角線長Dgがプレボーリングされる下孔2の内径Diより大きいため、このH形鋼11を下孔2にバイブロハンマー22(図11参照)の打撃力で強制圧入することにより、H形鋼11のフランジa角部が岩盤支持層Grの下孔2内壁を削ってその内壁に食い込んで、岩盤本来の持つ反力を確保すると共に、H形鋼11が充分な周面摩擦力を確保して、岩盤支持層Grに対する支持を大きくとることができ、極めて優良な根固めを作ることができる。またこの場合、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けることにより、H形鋼11の先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となる。なお、H形鋼11の材質をSS400とすれば、カッティングプレート4には、S35C、S45C、S50C、S55C、SCM等を使用する。
図2に示す鋼杭1としてのH形鋼21は、図1のH形鋼11と同様、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にH形鋼よりも硬質のカッティングプレート4,4を取り付け、更に各フランジaの先端部の外側面中央部に一つ又は複数の支持力増大プレート6を溶接により取り付けたものであり、図1のH形鋼11と同様に、両フランジa,aの対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2に対し、バイブロハンマーで強制圧入することによって根固めを行なう。
この場合も、H形鋼21は、図2の(b) に示すように両フランジa,aの対角線長Dgが下孔2の内径よりも大きいため、下孔2に切削圧入することにより、岩盤支持層Grに対する支持を大きくとれて、極めて優良な根固めを作ることができ、また各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けていることにより、H形鋼21先端部が岩盤支持層Grの下孔2をカッティングプレート4で切削しながら食い込んでいくから、下孔2に対する圧入作業が容易となる。そして特に、このH形鋼21は、各フランジaの先端部外側面中央部に取り付けた支持力増大プレート6が岩盤支持層Grの下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持を一層大きくとることができる。
図3に示す鋼杭1としてのH形鋼31は、図1のH形鋼11及び図2のH形鋼21と同様に、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にH形鋼よりも硬質のカッティングプレート4,4を取り付けているが、特にこのH形鋼31では、各フランジaの先端部両側端面に切欠部7を長手方向一定間隔おきに切欠形成している点が特徴である。この切欠部7は、H形鋼31を岩盤支持層Grの下孔2に強制圧入する時に、下孔2の内壁に対する各フランジa先端部両側端面の摺動摩擦抵抗を軽減して、下孔2に対するH形鋼31の圧入作業を容易にすることができる。なお、このH形鋼31に設けてあるような切欠部7は、図2に示すH形鋼21のフランジaにも設けることができる。
図4に示す鋼杭1としてのH形鋼41は、各フランジaの先端部側両側端面に支持力増大用凸部8を長手方向一定間隔おきに突設した点が特徴である。従って、このH形鋼41は、各フランジaの先端部側両側端面に突設した支持力増大用凸部8が下孔2内壁に食い込んで一体化するから、岩盤支持層Grに対する支持を一層大きくとることができる。
図5に示す鋼杭1としてのH形鋼51は、図1のH形鋼11や図2のH形鋼21と同様に、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けているが、特にこのH形鋼51では、ウェブbの先端部側の両側端面に支持力増大プレート23を一つ又は複数取り付けた点を特徴としている。この支持力増大プレート23の外側端面先端部は、下孔2に嵌まり込み易くするために斜めにカットしてあり、その斜めカット部を23aで示す。また、各フランジaの先端部側の外側面中央部には、図2に示すH形鋼21の支持力増大プレート6と同様な支持力増大プレート24を取り付けている。この支持力増大プレート24の外側端面先端部も斜めカット部を24aを形成している。従って、このH形鋼51は、フランジaに支持力増大プレート24を取り付けたうえに、ウェブbにも支持力増大プレート23を取り付けているから、岩盤支持層Grに対する支持をより一層大きくとることができる。
図6に示す鋼杭1としてのH形鋼61は、各フランジaの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部3,3にカッティングプレート4,4を取り付けているが、特にこのH形鋼61では、両フランジa,a の先端部間に一つ又は複数の補強プレート25を介装した点を特徴としている。また、各フランジaの先端部側の外側面中央部には、図5のH形鋼51と同様、支持力増大プレート26を取り付け、その外側端面先端部には斜めカット部を26aを形成している。このように両フランジa,aの先端部間に補強プレート25を介装したH形鋼61では、補強プレート25によりH形鋼61の両フランジa,a先端部間が閉塞された状態となるから、下孔2の下部に土砂等が溜まっている時にフランジa,a先端部間の閉塞による土砂等の抵抗により鋼杭1の支持力を増大することができる。
図7〜図11は、本発明に係る鋼杭根固め工法の実施形態を示すもので、海岸等の水際にあるの傾斜岩盤支持層Grに鋼杭1(H形鋼や鋼管)を打ち込んで仮橋(仮設桟橋)の構台を施工する場合を示しており、この施工について以下に説明すると、図7の(a) は、地盤Gの傾斜土砂層Gsから傾斜岩盤支持層Grにわたり打設されて根固めされた複数本の鋼杭1により仮橋構台12の一部が架設された状態で、反力架台16(図8以降参照)の施工を開始した状態を示している。なお、図7、図8、図9及び図10の(a) に夫々示される鋼杭1は、上述した本発明工法によって既に根固めされたものである。
図7の(a) においては、一部架設された仮橋構台12上に乗載させたクローラクレーン(図示省略)の昇降ワイヤー17に吊持したバイブロハンマー13によって、反力架台用の杭14を複数本、地盤Gの土砂層Gsに所要深さ打設し、その後同図の(b) に示すように、反力架台用の架台本体15を前記クレーンの昇降ワイヤー18により吊り上げて複数本の杭14上に横架し、図8の(a) ,(b) に示すような反力架台16を施工する。
上記のように施工した反力架台16の架台本体15上には図8の(a) に示すように、テーブルマシーンである全周回転圧入装置19を前記クレーンの昇降ワイヤー17により吊り上げて設置し、しかしてこの全周回転圧入装置19には、図8の(b) に示すようにダウンザホールハンマーDHをセットし、このハンマーDHにより、土砂層Gsから岩盤支持層Grにわたって、仮橋構台用の鋼杭1の外径又は対角線長よりも小さい内径の下孔2(図10参照)を削孔する。なお、ダウンザホールハンマーDHは、掘孔の進行に従ってハンマーロッドを継ぎ足していく必要があり、その継ぎ足し作業は、反力架台16の上で行なう。
しかして、図9の(a) に示すように所定深度まで掘孔したならば、ダウンザホールハンマーDHを引き上げて下孔2から抜き取る。このダウンザホールハンマーDHを下孔2から抜き取ると、下孔2に水が入り込んでくるため、下孔2の土砂層Gs部分が崩壊し、その崩壊した土砂20が水と共に泥土砂状態となって、図9の(b) に示すように下孔2に充満した状態となる。
それから、反力架台16上に設置していた全周回転圧入装置19(テーブルマシーン)を図10の(a) に示すようにクレーンの昇降ワイヤー17により吊り上げて撤去した後、同図の(b) に示すように鋼杭1(H形鋼)をクレーンで吊り込み、そして図11の(a) に示すようにバイブロハンマー22により鋼杭1を打撃しながら下孔2に強制圧入する。バイブロハンマー22としては、高出力超高周波型バイブロハンマー(ICE ・20RF又はICE ・28RF )が好ましい。この高出力超高周波型バイブロハンマーでは、起振力が113〜160tと、普通型バイブロハンマー(SR・45で起振力47t)の約3〜4倍となり、未削孔部の岩盤に対し強烈な切削圧入を行い、岩盤支持層Grに対する鋼杭1の支持力を増大させることができる。
図11の(b) に示すように、鋼杭1を岩盤支持層Grの所定深度まで打撃圧入し終えたならば、鋼杭1の沈下量を測定し、支持力を算出して記録する。
上述した図7〜図11の実施形態は、仮橋構台の鋼杭1を根固めする施工例であるが、本発明に係る鋼杭の根固め工法は、仮橋構台の鋼杭に限らず、土留め用鋼杭、地滑り抑止杭、その他、根固めを必要とする全ての鋼杭に適用可能である。図12の(a) は、土留め用鋼杭1として利用する場合を示したもので、この図に示す地盤Gは、シルト(泥土)、粘性土、礫土等よりなる土砂層Gsと、その下方の岩盤支持層Grとからなる。また同図の(b) は地滑り抑止杭として利用する場合を示したもので、この図に示す地盤Gは、表土層Gaと粘性土層Gbと礫土層Gcと岩盤支持層Grとからなる。
以上説明した本発明の実施形態の鋼杭の根固め工法は、岩盤支持層Grに、根固めする鋼杭1(H形鋼)の対角線長Dgよりも小さい内径Diの下孔2をダウンザホールハンマーDHにより削孔し、この下孔2に、鋼杭1として例えばH形鋼11〜61をバイブロハンマー、好ましくは高出力超高周波型バイブロハンマー22にて強制圧入するようにしたもので、鋼杭1であるH形鋼11〜61のフランジaが岩盤支持層Grに対し直接圧入されることから、H形鋼11〜61の外周部に充分な摩擦力を確保し得ることが期待される。また、フランジaの先端部は、岩着となり、H形鋼11〜61のフランジaの角部が岩盤支持層Grの下孔2内壁を削ってその内壁に食い込んで、岩盤本来の持つ反力を確保することができる。
また、本発明の根固め工法では、モルタル、セメントミルク、コンクリートK等の根固め材を使用しないから、実施形態に示すような仮橋構台の工事においては、地盤Gの下孔2に鋼杭1を打設した後、即時に杭打機(クローラクレーン)の乗載が可能となるから、工期を大幅に短縮することができる。また、モルタル等を使用する根固め工法の場合は、工事完了後に鋼杭の引抜きが困難となり、従って切断して地中に残置しなければならず、不経済であり、環境への問題も残るが、本発明の根固め工法ではモルタルやセメント等を用いないから、工事完了後に鋼杭の引抜きが可能となり、環境にも優しくなる。
また、岩盤支持層への根入れ長さを計算する時に、前述したように、現在の土木仕様書では、岩盤に対する杭の支持層としての扱い、分類がなく、全てN値換算した砂礫層として扱われ、岩盤支持層へ杭を打ち込んでも、その根固め処理方法のみで支持力及び引抜力が計算されてしまうので、岩盤支持層の中へ5〜10m以上根入れしないと、支持がとれなくなる計算となり、図7〜図11の実施形態で示した仮橋構台用鋼杭のような根固め工事においては、鋼杭の根入れ長さは例えば7.5mと比較的深く設計される。しかるに、仮橋構台用鋼杭では岩としての考え方が未解であり、砂質、粘性土としての計算となるため、根固め、根入れ共に支持力が不足することになるが、本発明に係る鋼杭の根固め工法によれば、前述したように鋼杭周面側に充分な周面摩擦力を確保できることから、岩としての考え方をすれば上記例示した7.5mの有効根入れ長さを確保でき、尚且つ先端部を打撃圧入しているために計算以上の支持が発現するものと考えられる。
また図7〜図11の実施形態で示した仮橋構台用鋼杭の根固め工事では、図9の(a) に示すようにダウンザホールハンマーDHで所定深度掘孔した後、このダウンザホールハンマーDHを下孔2から抜き取ると、下孔2は水が入り込んで崩壊状態となり、空洞部は全て無い状況となるが、その後図10〜図11に示すように鋼杭1がバイブロハンマー22によって強制圧入されることから、下孔2内部の土砂20が密に圧縮されて、摩擦力を増大させ、H形鋼の場合ではフランジ部のみではなくH形鋼周面全体が圧密され、極めて安定した根固め状態となる。なお、下孔2が崩壊しない状況にある場合は、削孔時の発生土砂を事前に埋め戻すことによって、上記の下孔崩壊時と同様な作用効果を発揮させることができる。
また、本発明の根固め工法は、モルタル、セメントミルク、コンクリート等の根固め材を使用しないため、地下水や河川の汚染を防止し、仮橋構台等の解体時の鋼杭の引抜きも容易に行なうことができる。
1 鋼杭
2 下孔
3 切除部
4 カッティングプレート
5 補強プレート
6 支持力増大プレート
7 切欠部
8 支持力増大用凸部
11 H形鋼
21 H形鋼
22 高出力高周波型バイブロハンマー
23 支持力増大プレート
24 支持力増大プレート
25 補強プレート
31 H形鋼
41 H形鋼
51 H形鋼
61 H形鋼

Claims (13)

  1. 岩盤支持層を削孔し、その孔に鋼杭を建て込んで根固めする鋼杭の根固め工法において、岩盤支持層には、根固めする鋼杭の外径又は対角線長よりも小さい内径の下孔を削孔機によって削孔し、その下孔に、鋼杭をバイブロハンマーによって強制圧入するようにしたことを特徴とする鋼杭の根固め工法。
  2. 前記鋼杭としてH形鋼を使用し、このH形鋼の対角線長よりも小さい内径の下孔を削孔機によって削孔することを特徴とする請求項1に記載の鋼杭の根固め工法。
  3. 前記鋼杭として鋼管を使用し、この鋼管杭の外径よりも小さい内径の下孔を削孔機によって削孔することを特徴とする請求項1に記載の鋼杭の根固め工法。
  4. 前記鋼杭としてのH形鋼には各フランジの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部にH形鋼より硬質のカッティングプレートを取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の鋼杭の根固め工法。
  5. 前記鋼杭としてのH形鋼には各フランジの先端部を先細りテーパ状に切除すると共に、各フランジ先端部の内側面に補強プレートを取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の鋼杭の根固め工法。
  6. 前記鋼杭としてのH形鋼には各フランジの先端部を先細りテーパ状に切除して、その切除部にH形鋼より硬質のカッティングプレートを取り付けると共に、各フランジ先端部の外側面中央部に支持力増大プレートを取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の鋼杭の根固め工法。
  7. 前記鋼杭としてのH形鋼には各フランジ先端部側の両側端面に切欠部を長手方向一定間隔おきに切欠形成したことを特徴とする請求項2、4〜6の何れかに記載の鋼杭の根固め工法。
  8. 前記鋼杭としてのH形鋼には各フランジ先端部側の両側端面に支持力増大用凸部を長手方向一定間隔おきに突設したことを特徴とする請求項2、4〜7の何れかに記載の鋼杭の根固め工法。
  9. 前記鋼杭としてのH形鋼にはウェブ先端部側の両側端面に支持力増大プレートを取り付けたことを特徴とする請求項2、4〜8の何れかに記載の鋼杭の根固め工法。
  10. 前記鋼杭としてのH形鋼には両フランジの先端部間に補強プレートを介装したことを特徴とする請求項2、4〜9の何れかに記載の鋼杭の根固め工法。
  11. 前記鋼杭としての鋼管には先端部外周面に支持力増大用リブを周方向一定間隔おきに突設したことを特徴とする請求項3に記載の鋼杭の根固め工法。
  12. 前記鋼杭としての鋼管には先端部外周面及びこれの上方所要部外周面に夫々縦方向に延びる支持力増大用リブを周方向一定間隔おきに突設すると共に、各支持力増大用リブは、上下に隣り合うリブどうしが上下方向に重なり合わないように、周方向に隣り合うリブの中間に位置するように配設したことを特徴とする請求項3に記載の鋼杭の根固め工法。
  13. 前記支持力増大用リブは、鋼管の外周に沿って固着された金属製の補強バンドに一体に形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の鋼杭の根固め工法。
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