JP2014108843A - フォークリフト装置におけるフォーク部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォーク部材の表面を高周波焼入れにより焼き入れを施すことで、フォーク部材表面の耐摩耗性を高めて長寿命化を図った、フォークリフト装置におけるフォーク部材を提供する。
【解決手段】荷役対象物の荷役作業を行うフォークリフト装置におけるフォーク部材10において、フォークリフト装置の車体前部に着脱可能に装着される取付部10bと、該取付部10bに対して屈曲形成され、荷役対象物を載置するアーム部10Lと、を有し、アーム部10Lの少なくとも荷役対象物を載置する面には、表面熱処理による焼き入れを施した表面熱処理部が形成される。表面熱処理による焼き入れは、高周波焼入れ装置20による高周波焼入れである。
【選択図】図2
【解決手段】荷役対象物の荷役作業を行うフォークリフト装置におけるフォーク部材10において、フォークリフト装置の車体前部に着脱可能に装着される取付部10bと、該取付部10bに対して屈曲形成され、荷役対象物を載置するアーム部10Lと、を有し、アーム部10Lの少なくとも荷役対象物を載置する面には、表面熱処理による焼き入れを施した表面熱処理部が形成される。表面熱処理による焼き入れは、高周波焼入れ装置20による高周波焼入れである。
【選択図】図2
Description
本発明は、フォークリフト装置におけるフォーク部材に関し、特には、フォーク部材の表面に焼き入れを施すことで、荷役対象物や地面と接触するフォーク部材表面の耐摩耗性を高めて長寿命化を図った、フォークリフト装置におけるフォーク部材に関するものである。
従来、図4に示すように、荷役運搬作業車であるフォークリフト装置1は、車体2の前部に、積荷Wを持ち上げ下げして積み降ろしするための荷役機構部3を備えている。
荷役機構部3は、車体2の前部に傾動可能に設けられたマスト4と、昇降機構(図示省略)によりマスト4に沿って昇降されるフォークブラケット5と、フォークブラケット5に取り付けられたフォーク部材6とを有する。
かかるフォーク部材6を積荷W下のパレットPに差し込んで昇降機構により、マスト4に沿ってフォークブラケット5を介してフォーク部材6を昇降させ、積荷Wを持ち上げ下げして積み降ろしする構成である。
荷役機構部3は、車体2の前部に傾動可能に設けられたマスト4と、昇降機構(図示省略)によりマスト4に沿って昇降されるフォークブラケット5と、フォークブラケット5に取り付けられたフォーク部材6とを有する。
かかるフォーク部材6を積荷W下のパレットPに差し込んで昇降機構により、マスト4に沿ってフォークブラケット5を介してフォーク部材6を昇降させ、積荷Wを持ち上げ下げして積み降ろしする構成である。
このようにフォークリフト装置1は、荷役運搬作業を行うものであるから、フォークリフト装置1を構成する各構成体は、所要の強度を持って設計されている。
例えば、フォークリフト装置1の荷役機構部3には大きな力がかかり、そのために、マストに設けられた可動要素であるローラのための転動面に焼入れ部を施すことが提案されている(特許文献1)。
また、フォークリフト装置1において、エンジンにおける手動変速機構に組み込まれるシンクロ機構には、衝撃や過大荷重がかかって破損しやすいシンクロナイザリングがあり、このために、テーパ円筒部と、テーパ円筒部の側端部に形成された爪片と、硬度を変えるなどの対策を施したものも開示されている(特許文献2)。
さらに、上述したように、フォーク部材6は、積荷Wを持ち上げ下げして積み降ろしする際に、積荷W下のパレットPに差し込まれ、引き抜いたりする動作が繰り返される。したがって、フォーク部材6表面は、絶えず、積荷W下のパレットPとの間で接触摺動が繰り返され、また、フォーク部材6の底面が地面や床面と擦れ合うことがあり、フォーク部材6の消耗が進みやすい。したがって、一定期間経過ごとに新しいフォーク部材と交換することが定められている。
これまでは、フォーク部材6の強度を高めるために、焼き入れ処理を行うことが行われてきた(例えばいわゆるずぶ焼き入れ)。
これまでは、フォーク部材6の強度を高めるために、焼き入れ処理を行うことが行われてきた(例えばいわゆるずぶ焼き入れ)。
しかしながら、フォーク部材6に対してずぶ焼き入れを施すことは、全体内部までを電気炉などで必要な温度まで高め,急冷して全体の硬度を高める方法であるから、電気炉などの設備コストと、エネルギーコストとに起因する部品コストの上昇は避けられない。
そこで、部材の熱処理方法としては、消耗が進行しやすい、フォーク部材6表面や底面に対して、表面のみを焼き入れする表面熱処理を施せば、部品コストの上昇は抑えられるであろうという知見に至った。
そこで、部材の熱処理方法としては、消耗が進行しやすい、フォーク部材6表面や底面に対して、表面のみを焼き入れする表面熱処理を施せば、部品コストの上昇は抑えられるであろうという知見に至った。
表面熱処理には、炎焼入れ他、高周波焼き入れ、電子ビーム焼入れ、レーザー焼入れがある。
炎焼入れは表面の温度制御が困難なため、量産品には不向きである。
高周波焼き入れは、高周波電流の通じているコイルの間に加熱対象物を入れ、その表面に生じる過電流に伴うジュール熱によって加熱した後、冷水で焼入れする。この焼き入れ方法によれば、周波数を高くすると鋼の表面の硬化層を薄く、周波数を低くすると硬化層を厚くすることができるという特徴がある。
また、電子ビーム焼入れは、電子ビームによって加熱されるため真空中で行われ、そのために真空槽の大きさの制約を受ける。
さらにレーザー焼入れは、レーザー光の高密度のエネルギーを局部的に集中させるため、局部表面の焼入れに向いている。
炎焼入れは表面の温度制御が困難なため、量産品には不向きである。
高周波焼き入れは、高周波電流の通じているコイルの間に加熱対象物を入れ、その表面に生じる過電流に伴うジュール熱によって加熱した後、冷水で焼入れする。この焼き入れ方法によれば、周波数を高くすると鋼の表面の硬化層を薄く、周波数を低くすると硬化層を厚くすることができるという特徴がある。
また、電子ビーム焼入れは、電子ビームによって加熱されるため真空中で行われ、そのために真空槽の大きさの制約を受ける。
さらにレーザー焼入れは、レーザー光の高密度のエネルギーを局部的に集中させるため、局部表面の焼入れに向いている。
以上、表面処理を検討した結果、高周波焼入れがフォーク部材の表面処理に適していると考えられる。
すなわち、高周波焼入れは、(1)高い表面硬さと圧縮残留応力によって、耐摩耗性と耐疲れ性が向上し、(2)加熱時間が短く、表面の脱炭や酸化が少ない。
また高周波焼入れは、(3)直接加熱のため、熱効率がよく、(4)必要な部分だけの焼入れが可能である。
さらに高周波焼入れは、(5)冷却速度が速く、焼きが入りやすいため、安価な機械構造用炭素鋼が使用でき、(6)作業の自動化が容易である、という数々の利点がある。
本発明は、以上の知見から提案されたものであって、フォーク部材の表面を高周波焼入れにより焼き入れを施すことで、荷役対象物や地面と接触するフォーク部材表面の耐摩耗性を高めて長寿命化を図った、フォークリフト装置におけるフォーク部材を提供することを目的とする。
すなわち、高周波焼入れは、(1)高い表面硬さと圧縮残留応力によって、耐摩耗性と耐疲れ性が向上し、(2)加熱時間が短く、表面の脱炭や酸化が少ない。
また高周波焼入れは、(3)直接加熱のため、熱効率がよく、(4)必要な部分だけの焼入れが可能である。
さらに高周波焼入れは、(5)冷却速度が速く、焼きが入りやすいため、安価な機械構造用炭素鋼が使用でき、(6)作業の自動化が容易である、という数々の利点がある。
本発明は、以上の知見から提案されたものであって、フォーク部材の表面を高周波焼入れにより焼き入れを施すことで、荷役対象物や地面と接触するフォーク部材表面の耐摩耗性を高めて長寿命化を図った、フォークリフト装置におけるフォーク部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1にかかる本発明では、荷役対象物の荷役作業を行うフォークリフト装置におけるフォーク部材において、フォークリフト装置の車体前部に着脱可能に装着される取付部と、取付部に対して屈曲形成され、荷役対象物を載置するアーム部と、を有し、アーム部の少なくとも荷役対象物を載置する面には、表面熱処理による焼き入れを施してなる表面熱処理部が形成されている、ことを特徴とする。
これにより、フォーク部材の表面は、表面熱処理によって焼き入れされ、硬化して耐摩耗性を高めることができる。この場合、フォーク部材の深部側は、焼き入れにより硬化した表面と異なり、焼き入れ前の素材の硬さのままであり、粘り強さが残され、耐久性も兼ね備えることができる。
また請求項2にかかる本発明では、表面熱処理による焼き入れは、高周波焼入れであることを特徴とする。
これにより、必要な表面のみを迅速に焼入れすることができる。
さらに請求項3にかかる本発明では、表面熱処理部は、アーム部と、アーム部から取付部に至る屈曲箇所を越えて取付部側の部位にかけて形成されている、ことを特徴とする。
これにより、最も負荷応力がかかるアーム部から取付部に至る屈曲箇所が、焼き入れによってもたらされた高い表面硬さと圧縮残留応力により、耐摩耗性と耐疲れ性とが向上する。
本発明によれば、フォーク部材表面に焼き入れ処理を施すことにより、フォーク部材の表面に、高い表面硬さと圧縮残留応力がもたらされ、荷役対象物や地面との接触による耐摩耗性が向上する。
以下、本発明に係るフォークリフト装置におけるフォーク部材について、実施形態を挙げ、添付された図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係るフォークリフト装置におけるフォーク部材10の一例を示す。本実施形態において、フォークリフト装置の全体構造は、図4に示す構成と同様の構成を有するものであり、ここではその図示、説明は省略している。
フォーク部材10は、鋼素材を用いて形成されていて、断面扁平な矩形形状で、略L字型に屈曲させた長尺な部材からなる。鋼素材として、硬さ(ブリネル硬さHB)が、207HB~321HBとしている。なお、ブリネル硬さとは押込み硬さの一種で、鋼球圧子を試験面に押し付け、くぼみをつけたときの荷重をくぼみの表面積で割った値をいう。
かかるフォーク部材10の製造の一例を示すと、フォーク部材10には、機械構造用炭素鋼鋼材、例えばS45Cが用いられ、以下の工程で製造することができる。S45Cは比較的硬度が低く、粘り強さがあるといわれる。
(1)鋼材を加熱し圧延工程で、所望の厚さや幅の長尺な部材に圧延し、先端形状を円弧状に、且つ先端に向かって肉薄状に成型する。
(2)テーパ加工された鋼材を曲げ工程により、L字型のアーム形状に曲げる。
(3)曲げ工程後、焼き入れ(ずぶ焼入れ)と焼き戻しを行う。
(1)鋼材を加熱し圧延工程で、所望の厚さや幅の長尺な部材に圧延し、先端形状を円弧状に、且つ先端に向かって肉薄状に成型する。
(2)テーパ加工された鋼材を曲げ工程により、L字型のアーム形状に曲げる。
(3)曲げ工程後、焼き入れ(ずぶ焼入れ)と焼き戻しを行う。
以上のようにして製造されるフォーク部材10は、フォークリフト装置1の荷役機構部3におけるマスト4に沿って昇降されるフォークブラケット5に、着脱可能に装着される取付部10bと、荷役対象物である積荷W下のパレットPに差し込んでパレットPを介して積荷Wを持ち上げ下げするアーム部10Lとからなる。
取付部10bとアーム部10Lとは略直角をなし、例えばアーム部10Lの長さ≒(取付部10bの長さ)×2となっている。
この場合、アーム部10Lは、積荷W下のパレットPに抜き差ししやすいように、先端形状を円弧状に、且つ先端に向かって肉薄状に成型されている。
取付部10bとアーム部10Lとは略直角をなし、例えばアーム部10Lの長さ≒(取付部10bの長さ)×2となっている。
この場合、アーム部10Lは、積荷W下のパレットPに抜き差ししやすいように、先端形状を円弧状に、且つ先端に向かって肉薄状に成型されている。
以上のようにして製造されたフォーク部材10を、本発明の要旨である仕上げ加工を施すようになっている。
すなわち、フォーク部材10の仕上げ加工として、アーム部10Lを斜線で示しているように、アーム部10Lの上面、底面を含む表面に、後述する表面熱処理を施して表面熱処理部hpを形成するようにしている。この場合、表面熱処理部hpの範囲としては、アーム部10Lから取付部10bにかけての屈曲箇所である屈曲点Xより取付部10b側に、すなわち高さ方向に、H=100(mm)程、表面処理を行うようにしている。なお、これは、フォーク部材の規格仕様にかかわらず、規定の高さをH=85mmとしているためである。
すなわち、フォーク部材10の仕上げ加工として、アーム部10Lを斜線で示しているように、アーム部10Lの上面、底面を含む表面に、後述する表面熱処理を施して表面熱処理部hpを形成するようにしている。この場合、表面熱処理部hpの範囲としては、アーム部10Lから取付部10bにかけての屈曲箇所である屈曲点Xより取付部10b側に、すなわち高さ方向に、H=100(mm)程、表面処理を行うようにしている。なお、これは、フォーク部材の規格仕様にかかわらず、規定の高さをH=85mmとしているためである。
そこで、図2にフォーク部材10の仕上げ加工として用いられる表面熱処理方法としての高周波焼き入れを説明する。
この高周波焼入れ処理を行う高周波焼入れ装置20として、内寸が被加熱体であるフォーク部材10の外寸より一回り大きい、角型のボビンケース21Cに導線を巻回して形成された角型コイル21が、フォーク部材10の軸方向に沿って移動可能に設けられている。またかかる角型コイル21を構成するボビンケース21Cには、冷却水を流す内部通路Sが設けられる(図3参照)。
この高周波焼入れ処理を行う高周波焼入れ装置20として、内寸が被加熱体であるフォーク部材10の外寸より一回り大きい、角型のボビンケース21Cに導線を巻回して形成された角型コイル21が、フォーク部材10の軸方向に沿って移動可能に設けられている。またかかる角型コイル21を構成するボビンケース21Cには、冷却水を流す内部通路Sが設けられる(図3参照)。
また、高周波焼入れ装置20は、角型コイル21をフォーク部材10の軸方向に沿ってガイドするためのコイルガイドGが設けられ、角型コイル21は、このコイルガイドGにそって移動できるようにドライブ機構部(図示省略)に支持されている。ドライブ機構部は、高周波焼入れ装置20に搭載された操作盤に対する操作により、コントローラ部(図示省略)により制御される。
コイルガイドGは、フォーク部材10のアーム部10Lから取付部10bに沿って、角型コイル21を移動できるように、フォーク部材10の近傍にフォーク部材10に倣うように所定の曲率の屈曲路として形成されている(図2参照)。
コイルガイドGは、フォーク部材10のアーム部10Lから取付部10bに沿って、角型コイル21を移動できるように、フォーク部材10の近傍にフォーク部材10に倣うように所定の曲率の屈曲路として形成されている(図2参照)。
また、ここでの高周波焼入れ装置20では、角型コイル21に通電される電力として、200kHz×30kWを目安に設定されている。
一般に高周波の電力を用いて鋼を焼入れする場合、コイルと被加熱物に流れる電流は、周波数が高くなるにしたがい、それぞれの表面に集中してくる表皮効果によって、被加熱物の表面のみが発熱する。
電流の流れる表面の深さと周波数との間には、上記表皮効果によって、電流の周波数が高くなるほど、加熱深さが浅くなるとされる。
200kHz×30kWの高周波電流を流すことにより、焼き入れ深さ3mmで、焼入れ後の表面硬さを650HV(ピッカース硬さ)としている。なお、ピッカース硬さとは、ダイヤモンド四角錐圧子を押し込み、くぼみの対角線から表面積を算出し、評価するもので、特に焼き入れ層を計測するのに優れているといわれている。
一般に高周波の電力を用いて鋼を焼入れする場合、コイルと被加熱物に流れる電流は、周波数が高くなるにしたがい、それぞれの表面に集中してくる表皮効果によって、被加熱物の表面のみが発熱する。
電流の流れる表面の深さと周波数との間には、上記表皮効果によって、電流の周波数が高くなるほど、加熱深さが浅くなるとされる。
200kHz×30kWの高周波電流を流すことにより、焼き入れ深さ3mmで、焼入れ後の表面硬さを650HV(ピッカース硬さ)としている。なお、ピッカース硬さとは、ダイヤモンド四角錐圧子を押し込み、くぼみの対角線から表面積を算出し、評価するもので、特に焼き入れ層を計測するのに優れているといわれている。
本実施形態のフォークリフト装置におけるフォーク部材10、並びにフォーク部材に用いられる高周波焼入れ装置20は以上のとおりであり、次にその作用効果について説明する。
フォークリフト装置1のエンジンを始動して、荷役機構部3におけるフォークブラケット5に取り付けられたフォーク部材10を、積荷W下のパレットPに差し込んで昇降機構により、マスト4に沿ってフォークブラケット5を介してフォーク部材10を昇降させ、積荷Wを持ち上げ下げして積荷Wの積み降ろしを行うことができる。
かかる積み降ろし作業の際、フォーク部材10を積荷W下のパレットPに差し込み、引き抜いたりする動作が繰り返されると、フォーク部材10の表面、すなわち、アーム部10L上面が積荷W下のパレットPとの間の接触摺動によって、また、アーム部10Lの底面が地面や床面と擦れ合うことがあり、アーム部10Lの表面に損傷が生じることがある。
しかしながら、本実施形態のように、フォーク部材10は、もともとずぶ焼入れ、および焼き戻しなどが施された上にアーム部10Lから取付部10bにかけて、表面熱処理である、高周波焼入れによって表面熱処理部hpが形成されるため、表面の硬さは、素材が有する硬さ207HB~321HBから、650HVとなる。このため、アーム部10L上面が、積荷W下のパレットPとの間の接触摺動によって、また、アーム部10Lの底面が床面との摺擦により受ける損傷を抑制することができ、フォーク部材10の長寿命化を図ることができる。
フォークリフト装置1のエンジンを始動して、荷役機構部3におけるフォークブラケット5に取り付けられたフォーク部材10を、積荷W下のパレットPに差し込んで昇降機構により、マスト4に沿ってフォークブラケット5を介してフォーク部材10を昇降させ、積荷Wを持ち上げ下げして積荷Wの積み降ろしを行うことができる。
かかる積み降ろし作業の際、フォーク部材10を積荷W下のパレットPに差し込み、引き抜いたりする動作が繰り返されると、フォーク部材10の表面、すなわち、アーム部10L上面が積荷W下のパレットPとの間の接触摺動によって、また、アーム部10Lの底面が地面や床面と擦れ合うことがあり、アーム部10Lの表面に損傷が生じることがある。
しかしながら、本実施形態のように、フォーク部材10は、もともとずぶ焼入れ、および焼き戻しなどが施された上にアーム部10Lから取付部10bにかけて、表面熱処理である、高周波焼入れによって表面熱処理部hpが形成されるため、表面の硬さは、素材が有する硬さ207HB~321HBから、650HVとなる。このため、アーム部10L上面が、積荷W下のパレットPとの間の接触摺動によって、また、アーム部10Lの底面が床面との摺擦により受ける損傷を抑制することができ、フォーク部材10の長寿命化を図ることができる。
ここで、フォーク部材10の高周波焼入れ手順について説明する。
フォーク部材10を高周波焼入れ装置20にセットするべく、角型コイル21を、コイルガイドGに沿って、ドライブ機構部を介して移動できるようにドライブ機構部に取り付ける。このとき、角型コイル21のボビンケース21Cがフォーク部材10に接触しないように調節する。
フォーク部材10を高周波焼入れ装置20にセットするべく、角型コイル21を、コイルガイドGに沿って、ドライブ機構部を介して移動できるようにドライブ機構部に取り付ける。このとき、角型コイル21のボビンケース21Cがフォーク部材10に接触しないように調節する。
高周波焼入れ装置20の操作盤からの操作指令により、角型コイル21に高周波電流を通電し、ドライブ機構部を駆動することで、角型コイル21は、フォーク部材10のアーム部10Lから取付部10bに、コイルガイドGに沿って移動させることができる。
角型コイル21に高周波電流(例えば200kHz×30kW)が通電されると、コイルとフォーク部材10表面に流れる電流は、それぞれの表面に集中してくる表皮効果によって、フォーク部材10の表面のみが表面に生じる過電流に伴うジュール熱によって発熱する。
そして、かかる発熱したフォーク部材10の表面に対し、角型コイル21のボビンケース21Cから、冷却水が噴射されることによって加熱された箇所が急冷され、加熱表面処理がなされる。
このようにして、角型コイル21に200kHz×30kWの高周波電流を流すことにより、焼き入れ深さ3mmで、表面硬さを650HV(ピッカース硬さ)を得ることができる。
そして、かかる発熱したフォーク部材10の表面に対し、角型コイル21のボビンケース21Cから、冷却水が噴射されることによって加熱された箇所が急冷され、加熱表面処理がなされる。
このようにして、角型コイル21に200kHz×30kWの高周波電流を流すことにより、焼き入れ深さ3mmで、表面硬さを650HV(ピッカース硬さ)を得ることができる。
以上のようになされる、高周波焼入れ装置20による焼き入れは、角型コイル21がコイルガイドGに沿って移動しながら行うことができ、フォーク部材10のアーム部10Lから取付部10bまで、焼入れがなされる。
この場合、コイルガイドGは、フォーク部材10のアーム部10Lから取付部10bに沿って、角型コイル21を移動できるように、フォーク部材10に倣うように所定の曲率の屈曲路として形成されているので、アーム部10Lと取付部10bとの屈曲部も支障なく焼き入れを施すことができる(図2参照)。
この場合、コイルガイドGは、フォーク部材10のアーム部10Lから取付部10bに沿って、角型コイル21を移動できるように、フォーク部材10に倣うように所定の曲率の屈曲路として形成されているので、アーム部10Lと取付部10bとの屈曲部も支障なく焼き入れを施すことができる(図2参照)。
そして、以上のような焼き入れは、取付部10bとアーム部10Lとの屈曲点Xより取付部10b側に、すなわち高さ方向に、H=100(mm)程、行うようにしている。
このため、最も負荷応力がかかるフォーク部材の屈曲箇所に、焼き入れによって高い表面硬さと圧縮残留応力がもたらされ、結果、フォーク部材10の、耐摩耗性と耐疲れ性とが向上し、大いに長寿命化を図ることができる。
このため、最も負荷応力がかかるフォーク部材の屈曲箇所に、焼き入れによって高い表面硬さと圧縮残留応力がもたらされ、結果、フォーク部材10の、耐摩耗性と耐疲れ性とが向上し、大いに長寿命化を図ることができる。
以上、フォークリフト装置におけるフォーク部材10、並びにフォーク部材に用いられる高周波焼入れ装置20について、具体的な数値を挙げ、説明した。
上記具体的な数値は、あくまで一例であり、被加熱処理物であるフォーク部材に対応して実際には確性試験を実施し、焼入れ硬さと深さとを確認して決めることができる。
上記具体的な数値は、あくまで一例であり、被加熱処理物であるフォーク部材に対応して実際には確性試験を実施し、焼入れ硬さと深さとを確認して決めることができる。
本発明は、フォークリフト装置におけるフォーク部材の他、特に外的な接触で消耗するような部材であって、耐久性が求められる他の部材に対しても好適に適用され得る。
10 フォーク部材
10L アーム部
10b 取付部
20 高周波焼入れ装置
21 角型コイル
21C ボビンケース
W 積荷
P パレット
hp 表面熱処理部
G コイルガイド
S 内部通路
10L アーム部
10b 取付部
20 高周波焼入れ装置
21 角型コイル
21C ボビンケース
W 積荷
P パレット
hp 表面熱処理部
G コイルガイド
S 内部通路
Claims (3)
- 荷役対象物の荷役作業を行うフォークリフト装置におけるフォーク部材において、
前記フォークリフト装置の車体前部に着脱可能に装着される取付部と、
該取付部に対して屈曲形成され、前記荷役対象物を載置するアーム部と、を有し、
該アーム部の少なくとも前記荷役対象物を載置する面には、表面熱処理による焼き入れを施してなる表面熱処理部が形成されている、ことを特徴とするフォークリフト装置におけるフォーク部材。 - 前記表面熱処理による焼き入れは、高周波焼入れであることを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト装置におけるフォーク部材。
- 前記表面熱処理部は、前記アーム部と、前記アーム部から前記取付部に至る屈曲箇所を越えて前記取付部側の部位にかけて形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のフォークリフト装置におけるフォーク部材。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105000507A (zh) * | 2015-06-30 | 2015-10-28 | 芜湖鸣人热能设备有限公司 | 一种热水炉的搬运装置 |
CN110923409A (zh) * | 2019-12-03 | 2020-03-27 | 燕山大学 | 感应淬火装置及其淬火方法 |
-
2012
- 2012-11-30 JP JP2012262742A patent/JP2014108843A/ja active Pending
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