JP2014106053A - 放射性廃棄物収容容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底板部2a及び円筒状の側壁部2bを有する外枠体2と、放射性廃棄物4を収容するための円筒状の内枠体3を含む放射性廃棄物収容容器。外枠体2は、高強度のモルタル成形体の中に補強筋6、7を配設してなる。内枠体3は、発泡スチロール、段ボール、硬質紙等によって形成されるものであり、外枠体2の内周面との距離を変えることができるように用意された大きさ(外径)の異なる2種以上の内枠体の中から選択して配設される。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1に、特定の材料からなる放射線遮蔽用コンクリート組成物製であって、放射性廃棄物を収容する内缶と、前記内缶が装填されて密閉される金属製の外缶とを有することを特徴とする放射性廃棄物収容器が記載されている。
この放射性廃棄物収容器の内缶の材料である放射線遮蔽用コンクリート組成物は、セメントと、前記セメントに対して重量比が1〜4の範囲で添加され平均粒径100〜250μmの粉末状ないし球状の小鋼球群と、前記セメントに対して重量比が1〜4の範囲で添加され平均粒径600〜850μmの粉末状ないし球状の大鋼球群とを含み、硬化後の密度が4.0g/cm3以上のものである。
特許文献1に記載されている放射性廃棄物収容器は、高い放射線遮蔽能力を均一に発揮することができる反面、放射性廃棄物の有する放射能の強弱に応じて、放射線遮蔽能力を加減しうるものではない。
本発明は、放射性廃棄物の有する放射能の強弱に応じて、放射線遮蔽能力を加減することのできる放射性廃棄物収容容器を提供することを目的とする。
[1] 底板部及び該底板部の周縁から上方に延びる周壁部からなる、上方に開口した外枠体と、該外枠体の内方でかつ該外枠体の底板部の上に載置して配設される、上方に開口した、放射性廃棄物を収容するための内枠体を含む放射性廃棄物収容容器であって、上記内枠体は、上記外枠体の周壁部の内周面との距離を変えることができるように用意された大きさの異なる2種以上の内枠体の中から選択して配設されるものであることを特徴とする放射性廃棄物収容容器。
[2] 上記外枠体は、上記底板部が、凸状に湾曲した略円盤状の板体からなり、かつ、上記側壁部が、円筒状の板体からなるものである、上記[1]に記載の放射性廃棄物収容容器。
[3] 上記外枠体は、セメント組成物によって形成されている、上記[1]又は[2]に記載の放射性廃棄物収容容器。
[4] 上記外枠体は、上記底板部と上記側壁部との接続部分の中に円環状の補強筋を配設してなるセメント組成物の成形体である、上記[3]に記載の放射性廃棄物収容容器。
[5] 上記セメント組成物が、8N/mm2以上の曲げ強度を有する、上記[3]又は[4]に記載の放射性廃棄物収容容器。
[6] 上記内枠体は、合成樹脂、紙、木材、金属またはセメント組成物によって形成されている、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の放射性廃棄物収容容器。
[7] 上記放射性廃棄物収容容器は、800kg以下の質量を有し、かつ、放射性廃棄物の最大収容可能量が1m3以上のものである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の放射性廃棄物収容容器。
これによって、強い放射能を有する放射性廃棄物を収容する場合と、弱い放射能を有する放射性廃棄物を収容する場合のいずれであっても、放射性廃棄物収容容器から放出される放射線量を、例えば、特定の値以下に抑えるように調整することができる。
図1は、放射性廃棄物等を収容した状態で略円柱状の全体形状を有する本発明の放射性廃棄物収容容器1を、その軸線を通る面で鉛直方向に切断した状態を示す断面図である。
図1中、本発明の放射性廃棄物収容容器1は、下端が底板部2aで閉じられかつ円筒状の周壁部2bを有する、上方が開口した外枠体2と、円筒状の内枠体3とからなる。
内枠体3には、放射性廃棄物4が収容されている。また、外枠体2の内周面と内枠体3の外周面の間の空間には、放射線遮蔽物5が収容されている。
放射性廃棄物3から放出される放射線は、主に、放射線遮蔽物5及び外枠体2によって遮蔽される。なお、放射線は、内枠体3によっても遮蔽されることがある。
ここで、上方に開口した部分は、内枠体3、放射性廃棄物4及び放射線遮蔽物5を収容する作業のために設けたものである。本発明の容器1を上下に積み重ねた場合における最上段の容器1や、上下に積み重ねずに保管される容器1については、上方に開口した外枠体2の上に、蓋体(図示せず)を配設してもよい。この場合、蓋体は、外枠体2に対して回動可能に取り付けてもよい。
外枠体2は、底板部2aが、凸状に湾曲した略円盤状の板体(換言すると、中央が高くなるように形成された円形ドーム状の板体)からなり、かつ、側壁部2bが、円筒状の板体からなるものとして形成することが好ましい。
セメント組成物としては、「JIS R 5201(セメント物理試験方法)」による測定値として、8N/mm2以上の曲げ強度を有するモルタルまたはコンクリートが好ましく用いられる。該曲げ強度は、好ましくは12N/mm2以上、より好ましくは16N/mm2以上、特に好ましくは20N/mm2以上である。この場合、外枠体2を構成する底板部2a及び側壁部2bの厚みを小さくすることができる。底板部2a及び側壁部2bの厚みは、例えば、10〜30mmである。
このような高強度のモルタルまたはコンクリートの材料の一例としては、セメント、ポゾラン質微粉末、該ポゾラン質微粉末よりも大きな粒径を有する無機粉末(ただし、セメントを除く。)、平均粒度1mm以下の繊維状又は薄片状の粒子、骨材(モルタルの場合:細骨材、コンクリートの場合:細骨材及び粗骨材)、繊維(金属繊維と有機繊維のいずれか一方または両方)、減水剤、及び、水を含むセメント組成物が挙げられる。
ポゾラン質微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ等が挙げられる。ポゾラン質微粉末のBET比表面積は、好ましくは5〜25m2/gである。ポゾラン質微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部である。
平均粒度が1mm以下の繊維状粒子または薄片状粒子としては、ウォラストナイト(繊維状粒子)、マイカフレーク(薄片状粒子)等が挙げられる。なお、粒子の粒度とは、粒子の最大寸法の大きさ(繊維状粒子の場合、粒子の長さ)である。該繊維状粒子または薄片状粒子の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは5〜35質量部である。
粗骨材としては、砂利、砕石又はこれらの混合物等が挙げられる。
粗骨材の配合量は、セメント組成物中の体積割合で、好ましくは20〜40%である。
有機繊維としては、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維等が挙げられる。有機繊維の寸法は、好ましくは、直径が0.1〜0.4mmで、長さが10〜20mmである。有機繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは40〜100である。有機繊維の配合量は、混練物中の体積百分率で、好ましくは0.5〜5%である。
水量は、セメント及び他の粉体(上述のポゾラン質微粉末、ポゾラン質微粉末よりも大きな粒径を有する無機粉末、平均粒度1mm以下の繊維状又は薄片状の粒子)の合計量100質量部に対して、好ましくは10〜38質量部である。
内枠体3は、下方が閉じていてもよいし(図示せず)、下方が開口していてもよい。
内枠体3の好ましい一例として、図1に示すような、上方及び下方が開口した、円筒状の板体からなるものが挙げられる。この場合、上面が球面状(より具体的には、球面上の一点から特定の距離の範囲内の表面領域である球面の一部、またはそれに類する形状)である底板部2aの上に、内枠体3を安定して載置することができる。
内枠体3は、好ましくは、合成樹脂、紙、木材、金属またはセメント組成物(例えば、モルタル、コンクリート等)によって形成される。
合成樹脂としては、発泡スチロール、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。紙としては、段ボール、硬質紙等が挙げられる。金属としては、鋼、ステンレス等が挙げられる。
内枠体3を構成する円筒状の側壁の厚みは、内枠体3の内方に収容される放射性廃棄物4からの圧力に耐え得るものであればよく、例えば、発泡スチロールの場合、20〜80mmである。
外枠体2の内周面と内枠体3の外周面の距離は、例えば、最も大きな外径を有する内枠体で、30〜50mm、2番目に大きな直径を有する内枠体で、75〜200mmである。
内枠体3の種類は、放射性廃棄物4の放射能の大きさに応じて、定められる。具体的には、例えば、容器1内に放射性廃棄物4及び放射線遮蔽物5を収容した状態で、外枠体2の外表面から15cm隔てた地点における放射線線量率が、要求される値以下になるように、内枠体3の種類が定められる。要求される線量率は、放射性廃棄物4を容器に詰めて処分場以外の場所で保管するといった厳しい条件下では、0.23μSv/h以下であり、中間置き場や最終処分場への移動・設置などの作業環境下では、作業員の年間被曝線量を50mSvとした場合に25μSv/h以下、作業員の5年間被曝線量を100mSvとした場合に10μSv/h以下が想定される。
本発明の容器1の質量は、好ましくは800kg以下、より好ましくは700kg以下である。該質量の下限は、外枠体2の強度の確保等の観点から、200kgである。本発明の容器1は、高強度のモルタル等を用いることによって、従来より用いられているコンクリート製の容器(質量:約1,000kg)よりも質量を小さくすることができる。
特に、本発明の容器1の質量が800kg以下であると、放射性廃棄物の封入後であっても、ユニック車(クレーンを装備したトラック)によって、容器1を吊り下げることが容易になる。
放射線遮蔽物5としては、鉛ガラスのカレット(鉛ガラス砕砂)、廃散弾、劣化ウラン等が挙げられる。
本発明の容器1を用いると、放射線遮蔽物5として、鉛ガラスのカレットを用いた場合であっても、外枠体2が設けられているために、外部に鉛成分が溶出することはない。この点、従来より検討されている鉛ガラスのカレットを配合したコンクリートからなる容器の場合、外部に鉛成分が溶出する可能性があり、収容されている放射性廃棄物の放射線量が低下した場合であっても、管理型として扱う必要がある。
2 外枠体
2a 底板部
2b 側壁部
2c 接続部分
2d リブ
3,11 内枠体
4,12 放射性廃棄物
5 放射線遮蔽物
6,7 補強筋
Claims (7)
- 底板部及び該底板部の周縁から上方に延びる周壁部からなる、上方に開口した外枠体と、該外枠体の内方でかつ該外枠体の底板部の上に載置して配設される、上方に開口した、放射性廃棄物を収容するための内枠体を含む放射性廃棄物収容容器であって、
上記内枠体は、上記外枠体の周壁部の内周面との距離を変えることができるように用意された大きさの異なる2種以上の内枠体の中から選択して配設されるものであることを特徴とする放射性廃棄物収容容器。 - 上記外枠体は、上記底板部が、凸状に湾曲した略円盤状の板体からなり、かつ、上記側壁部が、円筒状の板体からなるものである請求項1に記載の放射性廃棄物収容容器。
- 上記外枠体は、セメント組成物によって形成されている請求項1又は2に記載の放射性廃棄物収容容器。
- 上記外枠体は、上記底板部と上記側壁部との接続部分の中に円環状の補強筋を配設してなるセメント組成物の成形体である請求項3に記載の放射性廃棄物収容容器。
- 上記セメント組成物が、8N/mm2以上の曲げ強度を有する請求項3又は4に記載の放射性廃棄物収容容器。
- 上記内枠体は、合成樹脂、紙、木材、金属またはセメント組成物によって形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射性廃棄物収容容器。
- 上記放射性廃棄物収容容器は、800kg以下の質量を有し、かつ、放射性廃棄物の最大収容可能量が1m3以上のものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射性廃棄物収容容器。
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