JP2014104535A - 電動工具 - Google Patents

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佳孝 市川
健也 ▲柳▼原
Kenya Yanagihara
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Abstract

【課題】誘導電動機を備えた電動工具において、電圧平滑化用のコンデンサや力率改善回路を設けることなく、電源部及びインバータ部を工具本体と一体化できるようにする。
【解決手段】モータ10を駆動制御するインバータ部40には、電源部30から交流電圧を全波整流した電源電圧をそのまま入力し、その入力経路には平滑コンデンサや力率改善回路を設けない。この場合、電源電圧の脈動によりモータ10の駆動トルクが低下し、特に電源電圧の低電圧領域では負のトルクが発生する。そこで、交流電圧のゼロクロス点を検出し、出力停止回路70が、ゼロクロス点前後の所定領域内で、スイッチング回路50からモータ10への出力端を開放させることにより、モータ10のトルク特性を改善する。
【選択図】図2

Description

本発明は、動力源として誘導電動機を備えた電動工具に関する。
この種の電動工具を、外部の交流電源から電源供給を受けて動作させる際には、交流電源からの交流電圧を整流して直流の電源電圧を生成する電源部と、電源部にて生成された電源電圧にて誘導電動機の各相巻線に流れる電流を制御するインバータ部とが用いられる。
そして、電源部とインバータ部とは、通常、電動工具の駆動装置として、誘導電動機が設けられる工具本体とは別体で構成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平7−308871号公報 米国特許第7794305号明細書
このため、動力源として誘導電動機を備えた電動工具においては、ケーブルを介して駆動装置を接続した状態で工具本体を操作する必要があり、使用者が工具本体を使用する際には、駆動装置やケーブルが邪魔になり、使い勝手が悪くなるという問題があった。
また、電動工具の使用箇所を移動する際には、工具本体に加えて、駆動装置も持ち運びする必要があるため、これによっても、電動工具の使い勝手が悪いという問題があった。
一方、こうした問題を解決するために、電源部とインバータ部とを、誘導電動機と共に工具本体に一体的に組み付けることが考えられる。
つまり、電源部及びインバータ部を工具本体と一体化することで、電動工具の使い勝手や電動工具を移動させるときの作業性を向上させるのである。
しかしながら、従来の電動工具では、電源部からインバータ部への電源電圧の出力経路に、電圧平滑化用のコンデンサや、力率改善回路が設けられている。
そして、これら各部には、誘導電動機の駆動電流に対応した電流が流れ、高電圧が印加されることから、高耐圧で体格の大きい電子部品が使用されている。
従って、電動工具において、電源部及びインバータ部を工具本体と一体化する際、電源部からインバータ部への電源電圧の出力経路に、電圧平滑化用のコンデンサや力率改善回路を設けると、これら各部によって電動工具の大型化を招くという問題が生じる。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、電圧平滑化用のコンデンサや力率改善回路を設けることなく、電源部及びインバータ部を工具本体と一体化することのできる電動工具を提供することを目的とする。
請求項1に記載の電動工具においては、動力源となる誘導電動機と、外部から供給される交流電圧を整流して電源電圧を生成する電源部と、電源部から電源供給を受けて誘導電動機を駆動するインバータ部とを備える。
そして、出力制限手段が、交流電圧若しくは電源電圧の電圧変化又は位相変化に基づき、交流電圧の整流に伴う脈動によって生じる電源電圧の低電圧領域を検出し、その低電圧領域内に、インバータ部から誘導電動機への出力を制限又は停止する。
つまり、上述した本発明の目的を達するために、電圧平滑化用のコンデンサや力率改善回路を設けることなく、電源部及びインバータ部を、誘導電動機を備えた電動工具本体と一体化すると、電源部にて生成される電源電圧は、単に交流電圧を整流しただけのものとなる。
この場合、電源電圧は、大きく脈動するものの、正の電圧となるため、インバータ部を介して誘導電動機に駆動電流を供給すれば、誘導電動機を回転させることはできる。
しかし、このように誘導電動機を駆動すると、電源電圧を平滑化した場合に比べて、誘導電動機の駆動トルクが低下し、特に、脈動により電源電圧が低下したときには、負のトルクが発生することが分かった。
そこで、本発明では、電源電圧が脈動により低電圧となる領域(低電圧領域)にて、インバータ部から誘導電動機への出力を制限若しくは停止させることで、誘導電動機のトルク特性を改善し、誘導電動機(延いては電動工具)を効率よく駆動できるようにしているのである。
この結果、本発明の電動工具によれば、電圧平滑用のコンデンサや力率改善回路を設けることなく、電源部及びインバータ部と、誘導電動機を備えた電動工具本体とを一体化することで、小型で使い勝手がよく、しかも、所望のトルク特性が得られる電動工具を提供することが可能となる。
ここで、電源部にて生成される電源電圧の低電圧領域は、交流電圧の電圧変化又は位相変化から検出できるが、請求項2に記載のように、ゼロクロス検出手段を設けて、交流電圧のゼロクロス点を検出するようにすれば、低電圧領域(詳しくはその中心点)を簡単に検出することができる。
そして、この場合、出力制限手段は、請求項2に記載のように、ゼロクロス検出手段にて検出されたゼロクロス点よりも前及び後の少なくとも一方の低電圧領域内に、インバータ部から誘導電動機への出力を制限又は停止するようにすればよい。
つまり、請求項2に記載の電動工具においては、交流電圧のゼロクロス点よりも前の低電圧領域内、ゼロクロス点よりも後の低電圧領域内、及び、これらの両方の低電圧領域内の何れかで、インバータ部から誘導電動機への出力を制限又は停止することで、その低電圧領域内に発生する負のトルクを抑制する。
従って、請求項2に記載の電動工具によれば、負のトルクによって生じる誘導電動機の回転トルクの低下を抑制して、電動工具を効率よく駆動することができるようになる。
なお、出力制限手段は、請求項3に記載のように、ゼロクロス点を含むゼロクロス点前後の低電圧領域内に、連続して、インバータ部から誘導電動機への出力を制限又は停止するようにしてもよい。
また、ゼロクロス検出手段を備えた電動工具にあっては、請求項4に記載のように、出力制限手段がインバータ部から誘導電動機への出力を制限又は停止する低電圧領域(出力制限領域)として、ゼロクロス点の前後で、それぞれ、ゼロクロス点の一周期の20%以下の領域内に設定することが望ましい。
つまり、出力制限手段による出力制限領域を長く設定しすぎると、インバータ部からの出力により誘導電動機を駆動できなくなるが、この出力制限領域を、ゼロクロス点の前後20%の領域内に設定すれば、誘導電動機の駆動時に発生する負のトルクを抑制して、電動工具の駆動効率を改善することができる。
実施形態のグラインダの内部構成を表す断面図である。 実施形態の電源部及びインバータ部の構成を表すブロック図である。 出力停止回路の動作を表す説明図である。 出力停止回路により低減される負のトルクの発生原因を説明する説明図である。 ゼロクロス点前後のオフ領域とトルクとの関係を測定した測定結果を表す説明図である。 制御回路をマイコンにて構成した際に実行されるモータ駆動制御処理を表すフローチャートである。 制御回路をマイコンにて構成した際に実行されるPWM周期割込処理及びゼロクロス割り込み処理を表すフローチャートである。
以下に本発明の実施形態及び変形例を図面と共に説明する。
(実施形態)
図1に示すように、本実施形態の電動工具は、グラインダ2であり、モータハウジング4とギヤハウジング6とからなるハウジング内に、各種機能部品を組み込むことにより構成されている。
モータハウジング4は、使用者が把持できるように筒状に形成されており、その内部には、グラインダ2の動力源となる3相の誘導電動機(以下、単にモータという)10が収納されている。
モータ10は、所謂高周波モータであり、その回転軸12がモータハウジング4の中心軸と一致し、且つ、回転軸12の先端がギヤハウジング6内に突出した状態で、モータハウジング4内に固定されている。
また、回転軸12の先端側及び後端側は、それぞれ、ギヤハウジング6及びモータハウジング4に設けられた軸受14、16を介して、回転可能に支持されている。そして、回転軸12において、モータ10と軸受14との間に位置する部分には、モータ10に向けて冷却用の風を送るためのファン18が設けられている。
一方、ギヤハウジング6には、軸受22、24を介して、スピンドル20が回転自在に固定されている。スピンドル20は、その中心軸が、モータハウジング4の中心軸(延いてはモータ10の回転軸)と直交する方向に固定されている。
そして、スピンドル20において、軸受22と軸受24との間の部分には、ベベルギヤ25が固定されている。ベベルギヤ25は、モータ10の回転軸12の先端に固定されたベベルギヤ19と噛合することにより、モータ10の回転をスピンドル20に伝達し、スピンドル20を回転させるためのものである。
また、スピンドル20の先端は、軸受24からギヤハウジング6の外側へと突出し、円盤状の砥石26を装着できるようになっている。そして、軸受24の外周には、スピンドル20に装着された砥石26のモータハウジング4側を囲むカバー28が取り付けられている。
次に、モータハウジング4において、モータ10の後端側の軸受16よりも後方には、モータ10を駆動するための電源部30及びインバータ部40が収納されている。そして、モータハウジング4の後端は閉塞されており、その閉塞部分には、電源ケーブル33を接続するためのコネクタ34、及び、操作部42が設けられている。
なお、コネクタ34は、外部の交流電源32から電源ケーブル33を介して交流電圧を取り込み、電源部30に供給するためのものである。また、操作部42は、使用者が操作することによって、グラインダ2(換言すればモータ10)の駆動指令を入力するためのものであり、インバータ部40に接続されている。
次に、電源部30及びインバータ部40の回路構成を、図2を用いて説明する。
図2に示すように、電源部30は、4つの整流用ダイオード36、37、38、39からなる全波整流回路にて構成されている。
このため、電源部30からインバータ部40には、図3に示すように、交流電源32から入力される交流電圧を全波整流した電源電圧(以下、バス電圧という)が、そのまま入力される。
一方、インバータ部40には、モータ10の各相巻線への通電状態を切り換えるスイッチング回路50と、このスイッチング回路50を構成するスイッチング素子Q1〜Q6のオン・オフ状態を制御することで、モータ10を駆動制御する制御回路60と、が備えられている。
また、スイッチング回路50は、電源部30からのバス電圧の入力ラインとモータ10の各相巻線との間に設けられた3つのスイッチング素子(所謂ハイサイドスイッチ)Q1、Q2、Q3と、モータ10の各相巻線とグランドラインとの間に設けられた3つのスイッチング素子(所謂ローサイドスイッチ)Q4、Q5、Q6と、から構成されている。
そして、このスイッチング回路50からグランドラインに至る経路上には、モータ10の各相巻線に流れた全電流(以下、バス電流という)を検出するための抵抗R1が設けられている。
この抵抗R1の両端には、抵抗R1の両端電圧からバス電流を検出するバス電流検出回路48が接続されており、バス電流検出回路48からの検出信号は、制御回路60に入力される。
また、インバータ部40には、外部の交流電源32から電源部30に入力された交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出回路44、及び、電源部30からのバス電圧の入力ラインに接続されて、バス電圧を検出するバス電圧検出回路46が設けられている。
そして、これらゼロクロス検出回路44及びバス電圧検出回路46からの検出信号も、制御回路60に入力される。
なお、電源部30からのバス電圧の入力ラインには、一端がグランドラインに接地されたコンデンサC1の他端が接続されている。
このコンデンサC1は、バス電圧を一定電圧に平滑化する平滑コンデンサではなく、バス電圧からスパイク電圧を除去し、制御回路や電源回路を保護するためのバイパスコンデンサである。従って、このコンデンサC1は、平滑コンデンサに比べて極めて容量が小さく、小型である。
次に、制御回路60には、制御量演算回路62、正弦波テーブル64、ゲート駆動信号生成回路66、過電流検出回路68、及び、出力停止回路70が備えられている。
ここで、制御量演算回路62は、操作部42から入力される駆動指令(換言すれば、操作部42の操作量)に基づき、モータ10をその駆動指令に対応した目標速度で回転させるための制御量(駆動周波数及び駆動波形の振幅)を算出し、ゲート駆動信号生成回路66に入力する。
また、ゲート駆動信号生成回路66は、正弦波テーブル64から正弦波データを読み出し、スイッチング回路50内の各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動タイミングを設定し、各スイッチング素子Q1〜Q6のゲート駆動信号を生成する。
そして、制御量演算回路62にて算出された駆動周波数及び駆動波形の振幅は、ゲート駆動信号生成回路66が正弦波テーブル64から正弦波データを読み出す際の位相(つまり周波数)及び正弦波の振幅を制御するのに利用される。
また、過電流検出回路68は、バス電流検出回路48からの検出信号に基づき、モータ10に過電流が流れたことを検出して、ゲート駆動信号生成回路66による各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動(換言すればモータ10への通電)を停止する。つまり、過電流検出回路68は、モータ10を過電流から保護するためのものである。
また、出力停止回路70は、図3に示すように、ゼロクロス検出回路44にて検出されるゼロクロス点の前後、所定領域(図ではゼロクロス点の発生周期の10%、合計20%)の間、ゲート駆動信号生成回路66による各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動を停止(スイッチング素子Q1〜Q6:オフ)させる。
この出力停止回路70は、ゼロクロス点の前後所定領域だけ、スイッチング回路50からモータ10への駆動信号の出力端を全て開放させることで、モータ10駆動時のトルク特性を改善するためのものである。
つまり、本実施形態では、電源部30からスイッチング回路50へのバス電圧の出力経路に、電圧平滑化用のコンデンサや力率改善回路を設けていないので、電源部30にて全波整流したバス電圧(図3の電源電圧参照)が、そのままスイッチング回路50に入力される。
スイッチング回路50からモータ10の各相巻線には、それぞれ、図3に模式的に記載された駆動信号が印加されるが、その駆動信号はバス電圧の脈動により変動することから、バス電圧を平滑化した場合に比べて、モータ10の駆動時に発生するトルクが低下する。
特に、バス電圧の脈動により生じる駆動信号の低電圧領域では、負のトルクが発生しており、この負のトルクによって、モータ10の駆動時のトルクが更に低下することもわかった。
そこで、本実施形態では、モータ10に負のトルクが発生するゼロクロス点付近にて、スイッチング回路50からモータ10への駆動電圧の出力端を一時的に開放することで、モータ10のトルク特性を改善し、モータ10を所望の駆動トルクで駆動できるようにしているのである。
なお、交流電圧のゼロクロス点付近(換言すればバス電圧の低電圧領域)でモータ10に負のトルクが発生する理由は、次のように考えられる。
まず、本実施形態では、電源部30にて全波整流されたバス電圧を平滑化せずにそのままスイッチング回路50に入力する。このため、モータ10の各相巻線には、図3に示す駆動信号を搬送波として、その搬送波を、交流電圧の周波数で変動するバス電圧にて振幅変調した信号が印加されるものと考えられる。
つまり、駆動信号の角周波数をξ、交流電圧の周波数をηとすると、モータ10の駆動信号波形は、「sin(ξ・t)・|sin(η・t)|」と記述することができ、これをフーリエ級数の展開公式に適用すると、次式(1)のようになる。
Figure 2014104535
そして、上記(1)式を、三角関数の公式「sinαcosβ={sin(α+β)+sin(α−β)}/2」を使用して変形すると、次式(2)のようになる。
Figure 2014104535
上記(2)式において、第3項以降の寄与は小さいため省略し、(2)式の第1項と第2項とを使って、駆動信号波形をフーリエ展開すると、次式(3)のようになり、モータ10の実際の駆動信号は、3つの信号成分で表されることになる。
Figure 2014104535
この様子は、ラジオ放送や無線通信で使用される変調方式の一つである振幅変調(AM変調)と全く同様であり、ξが搬送波(Carrier)の角周波数、ηが音声信号の角周波数に対応する。
そして、これら2つの波の相互作用により、変調波には、角周波数「ξ+2η」の上側帯波(USB:UPPER SIDE BAND) と、角周波数「ξ−2η」の下側帯波(LSB:LOWER SIDE BAND) が生じる。つまり、(3)式において、第1項が搬送波(Carrier)、第2項が上側帯波(USB)、第3項が下側帯波(LSB)ということになる。
図4は、駆動信号の周波数を400Hz、交流電圧の周波数を50Hzとして、上記(3)式にて表される駆動信号にてモータ10を駆動した際に発生するトルクを測定(シミュレーション)した測定結果を表している。
なお、図4において、横軸は、モータ10のロータの回転周波数であり、縦軸は、ロータに加わるトルクである。
また、図4において、Carrier、USB、LSBの各波形は、それぞれ、(3)式の第1項、第2項、第3項の信号成分で発生するトルクを表し、Totalは、(3)式で記述される駆動信号により発生するトルクを表している。
また、図4において、DCの波形は、電源部30からスイッチング回路50に至るバス電圧の経路上に平滑コンデンサを設けて、バス電圧を直流(DC)にした場合に発生するトルクを表している。
図4から明らかなように、バス電圧を直流に平滑しない場合、平滑した場合に比べて、モータ10の駆動時に発生するトルク(ロータが無負荷時の駆動周波数(400Hz)よりも若干低い周波数で回転しているときのトルク)は低くなるものの、正のトルクが発生するので、モータ10を駆動することができる。
そして、この場合、400Hz±100Hzの位置に発生する側帯波(USB、LSB)の内、上側帯波(USB)によって生じるトルクは微小であるのに対し、下側帯波(LSB)によって生じるトルクは、モータ10の駆動時に負のトルクとなる。このため、下側帯波(LSB)は、モータ10に対し回生制動を行っていることになる。
これに対し、本実施形態では、交流電圧のゼロクロス点付近で、スイッチング回路50からモータ10への駆動信号(駆動電圧及び駆動電流)の出力端を開放する。
図3に示したように、この出力端開放区間を、ゼロクロス点の前後で、ゼロクロス点の一周期の10%に設定した場合、フーリエ展開が適用できなくなる。そのため、上記(3)式の駆動波形は、次式(4)のように近似される。
Figure 2014104535
上記(4)式は、出力端開放区間ではモータ10を加減速しない大きさの高周波電庄と電流が存在すると想定して、出力端開放区間を連続状態にした駆動波形を表している。
この場合、ゼロクロス点付近での駆動波形の深い落ち込みは無くなるので、搬送波(Carrier)に対応した第1項の係数「1/2+1/π」は、0.82と大きく1に近づき、下側帯波(LSB)に対応した第3項(つまり、負のトルクを発生させる項)は、(3)式の1/2となる。
従って、本実施形態のように、出力停止回路70によって、交流電圧のゼロクロス点の前後所定領域で、スイッチング回路50からモータ10への駆動信号の出力端を開放するようにすれば、モータ10のトルク特性を改善して、グラインダ2を効率よく駆動できるようになる。
このため、本実施形態のグラインダ2によれば、電源部30とインバータ部40との間に平滑コンデンサや力率改善回路を設けなくても、モータ10を所望トルクで駆動することができる。
よって、本実施形態のグラインダ2は、電源部30及びインバータ部40を、モータ10と共にモータハウジング4内に一体的に収納しても、その体格が著しく大きくなるようなことはなく、使用者が手に持ち操作可能なグラインダ2となる。
また、本実施形態のグラインダ2によれば、従来のように、電源部30やインバータ部40からなる駆動装置を、グラインダ本体と別体で構成する必要がないので、グラインダ2の使用時に駆動装置やケーブルが邪魔になることはなく、グラインダ2の使い勝手を向上できる。
次に、図5は、出力停止回路70が、ゲート駆動信号生成回路66からスイッチング回路50への駆動信号の出力を停止させるオフ領域(換言すれば、スイッチング回路50からモータ10の各相巻線への駆動信号の出力端を開放する出力端開放区間)と、モータ10での発生トルクとの関係を測定した測定結果を表す。
なお、図5では、モータ10での発生トルクを、ゼロクロス点の前後でゲート駆動信号生成回路66からスイッチング回路50への駆動信号の出力を停止させないとき(つまり、オフ領域:0のとき)の発生トルクを基準値:100とした場合の、トルクの変化割合にて表している。
また、図5に示す測定結果は、仕様(入力定格電力)の異なる3種類のグラインダA〜Cに本発明を適用して、交流電圧のゼロクロス点よりも前と後の両方で、スイッチング回路50内の全スイッチング素子Q1〜Q6をオフさせた場合の測定結果である。
図5に示すように、外部の交流電源32から入力される交流電圧(230V)の周波数を50Hz、60Hzとした場合、各グラインダA〜Cでは、いずれの周波数でも、ゼロクロス前後のオフ領域が10%〜20%においてピークトルクが存在し、オフ領域が20%を越えるとトルクが低下していることがわかる。
そして、この測定結果から、ゼロクロス点の前後でスイッチング回路50からモータ10への駆動信号の出力端を開放する出力端開放区間(換言すればオフ領域)は、ゼロクロス点の一周期の20%以下にするとよく、より好ましくは、10%程度にするとよいことがわかった。
なお、本実施形態においては、ゼロクロス検出回路44が、本発明のゼロクロス検出手段に相当し、出力停止回路70が、本発明の出力制限手段に相当する。
(変形例)
ここで、上記実施形態では、制御回路60は、各種演算回路にて構成するものとして説明したが、CPU、ROM、RAM等を中心に構成される周知のマイクロコンピュータを用いて構成することもできる。
そして、この場合、制御量演算回路62、ゲート駆動信号生成回路66、出力停止回路70としての機能は、マイクロコンピュータのCPUに、図6に例示するモータ駆動制御処理、及び、図7に例示する割り込み処理を実行させることで実現できる。
以下、このモータ駆動制御処理及び割り込み処理(詳しくはPWM周期割り込み処理及びゼロクロス割り込み処理)について、上記実施形態の変形例として説明する。
まず、モータ駆動制御処理は、マイクロコンピュータの起動後、記憶媒体であるROM内に予め記憶された制御プログラムの一つを、CPUが繰り返し実行することにより実現される処理である。
また、このモータ駆動制御処理を実行するに当たって、マイクロコンピュータのROM内には、正弦波テーブル64としてのデータが予め記憶されているものとする。
図6に示すように、モータ駆動制御処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、ゼロクロス検出回路44からの検出信号に基づき、外部の交流電源32から入力される交流電圧の電源周波数を取得する。
そして、続くS120では、S110で取得した電源周波数に基づき、ゼロクロス付近でスイッチング回路50のオフ制御を開始及び終了するタイミングを表す上下しきい値を設定する。
つまり、ゲート駆動信号生成回路66がスイッチング回路50内の各スイッチング素子Q1〜Q6を交流電圧のゼロクロス点の前後でオフすることにより、スイッチング回路50を介してモータ10の各相巻線に出力される駆動信号はオフ制御される。
したがって、ゲート駆動信号生成回路66が正弦波駆動信号を生成するのに用いるPWM信号を1周期毎にカウントすれば、そのカウント値から、交流電圧のゼロクロス点よりも前でオフ制御を開始する開始タイミング、交流電圧のゼロクロス点よりも後でオフ制御を終了する終了タイミングを検知できる。
そこで、S120では、交流電圧のゼロクロス点毎に、PWM信号のカウント値からオフ制御の開始タイミング及び終了タイミングを検知するためのパラメータとして、そのカウント値に対する上下のしきい値を設定するのである。
そして、続くS130では、操作部42から操作量(具体的には可変抵抗の抵抗値)を読み込み、S140にて、その読み込んだ操作量からグラインダ2の駆動指令が入力されているか否かを判断する。
S140にて、グラインダ2の駆動指令が入力されたと判断されると、S150に移行し、その駆動指令(詳しくは操作部42の操作量)に基づき、モータ10の駆動周波数と、駆動波形の振幅を設定する、制御量演算回路62としての処理を実行する。
そして、続くS160では、モータ10の各相巻線に出力される駆動信号が、S150にて設定された駆動周波数及び振幅となるよう、正弦波テーブル64を用いて、スイッチング回路50内の各スイッチング素子Q1〜Q6の駆動タイミングを設定し、その設定した駆動タイミングで各スイッチング素子Q1〜Q6を個々にオン・オフさせることで、モータを駆動し、再度S130に移行する。
一方、S140にて、操作量が所定の閾値以下で、グラインダ2の駆動指令が入力されていないと判断されると、S170に移行して、モータ10の駆動を停止した後、再度S130に移行する。
次に、図7に示すゼロクロス割り込み処理は、ゼロクロス検出回路44にて交流電圧のゼロクロス点が検出される度に起動される処理であり、起動後、S310にて、PWM信号の1周期毎にカウントアップするPWM周期カウンタをクリアした後、処理を終了する。
また、図7に示すPWM周期割り込み処理は、上述したPWM信号の1周期毎に起動される処理であり、処理が開始されると、S210にて、PWM周期カウンタをインクリメント(+1)する。
そして、続くS220では、そのPWM周期カウンタは、上述したS120にて設定される上下しきい値内にあるか否かを判断する。
つまり、S220では、PWM周期カウンタが、ゼロクロス点よりも所定領域だけ前の上しきい値以上となってから、PWM周期カウンタがゼロクロス割り込みにてクリアされ、その後、ゼロクロス点よりも所定領域だけ後の下しきい値に達するまでの範囲内にあるか否かを判断する。
そして、S220にて、PWM周期カウンタは上下しきい値内にない(つまり、PWM周期カウンタが下しきい値から上しきい値までの上昇過程にある)と判断されると、S230に移行して、S160の処理によるスイッチング回路50へのPWM信号の出力を許可し、当該PWM周期割り込み処理を終了する。
また、S220にて、PWM周期カウンタは上下しきい値内にあると判断されると、S240に移行して、S160の処理によるスイッチング回路50へのPWM信号の出力を禁止し、当該PWM周期割り込み処理を終了する。
従って、制御回路60をマイクロコンピュータにて構成しても、CPUに、上述したモータ駆動制御、PWM周期割り込み処理、及び、ゼロクロス割り込み処理を実行させることで、図2に示した制御回路60と同様に機能させることができる。
なお、この場合、出力停止回路70としての機能は、図6におけるS120の処理と、図7に示した各割り込み処理にて実現されることになる。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、インバータ部40からモータ10への駆動信号の出力を停止する(出力端を開放する)オフ領域を、ゼロクロス検出回路44にて検出される交流電圧のゼロクロス点に基づき設定するものとして説明した。
しかし、オフ領域には、バス電圧が脈動により低電圧となる低電圧領域を設定できればよいので、バス電圧検出回路46にて検出されるバス電圧の電圧変化若しくは位相変化に基づき、オフ領域を設定するようにしてもよい。
同様に、オフ領域は、外部の交流電源32から入力される交流電圧の電圧変化若しくは位相変化に基づき、設定するようにしてもよい。
また次に、上記実施形態では、インバータ部40からモータ10への駆動信号のオフ領域を、交流電圧のゼロクロス点を含む、ゼロクロス点前後の低電圧領域に設定するものとして説明したが、ゼロクロス点前の低電圧領域、若しくはゼロクロス点後の低電圧領域を、オフ領域として設定するようにしてもよい。
つまり、このようにしても、モータ10のトルク低下を抑制して、モータ10のトルク特性を改善することができる。
また更に、上記実施形態では、交流電圧のゼロクロス点前後の所定領域(つまりオフ領域)内に、インバータ部40からモータ10への駆動信号の出力端を開放することで、インバータ部40からモータ10への出力を停止させるものとして説明した。
しかし、交流電圧のゼロクロス点前後の所定領域内では、例えば、ゲート駆動信号生成回路66からスイッチング回路50の各スイッチング素子Q1〜Q6に出力されるPWM信号のデューティ比を充分小さくすることで、スイッチング回路50からモータ10への駆動信号(駆動電圧及び駆動電流)の出力を制限するようにしてもよい。
そして、このようにしても、モータ10のトルク低下を抑制して、モータ10のトルク特性を改善することができる。
また、上記実施形態では、本発明を、グラインダ2に適用した場合について説明したが、本発明は、誘導電動機を動力源とする電動工具であれば、上記実施形態と同様に適用して、同様の効果を得ることができる。
また、誘導電動機は、上記実施形態のような3相モータであっても、単相モータであってもよい。なお、単相モータの場合、スイッチング回路は4つのスイッチング素子による所謂Hブリッジにて構成すればよい。
2…グラインダ、4…モータハウジング、6…ギヤハウジング、10…モータ、12…回転軸、14,16,22,24…軸受、18…ファン、19,25…ベベルギヤ、20…スピンドル、26…砥石、28…カバー、30…電源部、32…交流電源、33…電源ケーブル、34…コネクタ、36〜39…整流用ダイオード、40…インバータ部、42…操作部、44…ゼロクロス検出回路、46…バス電圧検出回路、48…バス電流検出回路、50…スイッチング回路、Q1〜Q6…スイッチング素子、60…制御回路、62…制御量演算回路、64…正弦波テーブル、66…ゲート駆動信号生成回路、68…過電流検出回路、70…出力停止回路。

Claims (4)

  1. 動力源となる誘導電動機と、
    外部から供給される交流電圧を整流して電源電圧を生成する電源部と、
    前記電源部から電源供給を受けて前記誘導電動機を駆動するインバータ部と、
    前記交流電圧若しくは前記電源電圧の電圧変化又は位相変化に基づき、前記交流電圧の整流に伴う脈動によって生じる前記電源電圧の低電圧領域を検出し、該低電圧領域内に、前記インバータ部から前記誘導電動機への出力を制限又は停止する出力制限手段と、
    を備えたことを特徴とする電動工具。
  2. 前記交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段を備え、
    前記出力制限手段は、前記ゼロクロス検出手段にて検出されたゼロクロス点よりも前及び後の少なくとも一方の低電圧領域内に、前記インバータ部から前記誘導電動機への出力を制限又は停止することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記出力制限手段は、前記ゼロクロス点を含むゼロクロス点前後の低電圧領域内に、前記インバータ部から前記誘導電動機への出力を制限又は停止することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  4. 前記出力制限手段が前記インバータ部から前記誘導電動機への出力を制限又は停止する低電圧領域は、前記ゼロクロス点の前後で、それぞれ、前記ゼロクロス点の一周期の20%以下の領域内に設定されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電動工具。
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