JP2014102091A - 超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置、及び超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法 - Google Patents

超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置、及び超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超音波信号の検出時刻を判定するための閾値を上げずに、ノイズ信号又は反射波信号を排除して超音波信号を高精度に受信する。
【解決手段】超音波受信器は、温度の測定対象空間に配置されたセンサユニットから送信された超音波信号を受信する。プロセッサは、受信信号の包絡線の信号レベルが、センサユニットから送信された超音波信号と判定するための第1所定値と第1所定値より大きい第2所定値との間となる受信信号の包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定する。プロセッサは、受信信号の包絡線が所定の条件を満たす場合に、受信信号を超音波信号と判定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、測定対象空間における超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置及び超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法に関する。
空気中を伝搬する音波(例えば超音波)の速度が温度に応じて変化する原理を用いて、測定対象空間の温度を測定する技術が知られている。測定対象空間の温度を高精度に測定するためには、空気中を伝搬する音波(例えば超音波)の検出が失敗しないように、超音波受信器は、受信信号が超音波送信器から送信された超音波であるのか又はノイズ信号であるかを高精度に判定する必要がある。
例えば、特許文献1に示す超音波検知装置は、一定周期毎に一定のパルス幅で超音波パルスを送信する送信ユニットと、超音波パルスの反射波を受信して超音波パルスを検知したことを示す検知信号を出力する受信ユニットを含む。超音波検知装置は、受信信号のパルス幅を計測して記憶し、今回の受信信号のパルス幅の計測値と記憶された前回の受信信号のパルス幅の計測値とを比較し、計測値の差分が所定値以上である場合に今回の受信信号がノイズ信号であると判定する。
特公平7−7056号公報
特許文献1を含む従来技術における超音波の受信時の課題について、図20を参照して説明する。図20(A)は、受信信号が計測対象の超音波である場合の受信信号包絡線の一例を示す図である。図20(B)は、超音波が受信される前に突発的に信号レベルの高いノイズ信号(例えば機器の破壊等によって発生する超音波を含む、以下同様)が受信された場合の受信信号包絡線の一例を示す図である。図20(C)は、超音波が受信される前に前回の計測時に送信された超音波の反射波が受信された場合の受信信号包絡線の一例を示す図である。図20(D)は、図20(B)のようなノイズ信号が含まれる可能性があるので、閾値TH1より大きい閾値TH2を用いた場合に受信信号レベルが変動した超音波の受信信号包絡線の一例を示す図である。各図において、横軸は時間を示し、縦軸は信号レベルを示す。
超音波受信器は、例えば受信信号包絡線の信号レベルが所定の閾値TH1以上となる時刻を、超音波検出時刻と判定する(図20(A)参照)。閾値TH1は、受信信号が計測対象の超音波であると判定するために用いられる所定値である。図20(A)に示すΔtは、受信信号包絡線の信号レベルが閾値TH1以上となったか否かの判定処理によって生じる既知の時間誤差である。超音波受信器は、受信信号包絡線の信号レベルが閾値TH1となる時刻を超音波検出時刻と判定しても良いし、超音波検出時刻よりΔt前の時刻(図20(A)に示す真の到達時刻)を超音波検出時刻と判定しても良い。
超音波の伝搬距離又は伝搬環境によって、超音波の受信信号の信号レベルが変化し、受信信号包絡線の立ち上がり部分がなだらかであったり、急峻であったりする。また、伝搬距離又は空気の吸収による減衰量を見込んで信号レベルの補正を加えても、人間の存在、特に衣服による音の吸収、或いは、密閉空間か、窓若しくは扉が閉まっているか開いているか等によっても受信信号の信号レベルは変動する。このため、超音波受信器が超音波検出時刻を高精度に把握するためには、閾値THはできるだけ小さな値を用いることが好ましい。
しかし、図20(B)又は図20(C)に示すように、閾値TH1が小さい値であると、超音波受信器は、超音波検出時刻を誤検出することがある。例えば図20(B)では、超音波受信器は、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が閾値TH1以上となる高レベルのノイズ信号(例えば突発的に生じた電磁ノイズ又は器物破壊による超音波)を受信した場合、高レベルのノイズ信号の検出時刻を超音波検出時刻と判定することがあり得るという課題があった。
また、例えば図20(C)では、超音波受信器は、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が閾値TH1以上となる反射波(例えば前回の計測時に送信された超音波の反射波)を受信した場合、反射波の検出時刻を超音波検出時刻と判定することがあり得るという課題があった。
従って、超音波受信器が超音波検出時刻を誤検出しないためには、閾値TH1の値を上げることが考えられる。
一方で、受信信号が計測対象の超音波であると判定するために用いられる閾値として閾値TH1より大きな値である閾値TH2を用いた場合(図20(D)参照)、例えば受信信号包絡線の直線部分の傾きが小さくなる、即ち信号レベルが減少するようなレベル変動が生じると、超音波の真の到達時刻と受信信号包絡線の信号レベルが閾値TH2となる時刻との差分の時刻(Δt’)が、図20(A)に示す時間誤差Δtより大きくなる。この場合、超音波受信器が超音波検出時刻を誤検出することがあり得るため、超音波受信器における超音波の検出精度が劣化するという課題があった。
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するために、超音波信号の検出時刻を判定するための閾値を上げずに、ノイズ信号又は反射波信号を排除して超音波信号を高精度に受信する超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置、及び超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法を提供することを目的とする。
本発明は、温度の測定対象空間内に配置された超音波送信装置から送信された超音波信号を受信する受信部と、受信信号の包絡線の信号レベルが、前記超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値と前記第1所定値より大きい第2所定値との間となる前記受信信号の包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信信号の包絡線が前記所定の条件を満たす場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
また、本発明は、超音波受信装置における超音波の伝搬時間計測のための受信方法であって、前記超音波受信装置が、温度の測定対象空間内に配置された超音波送信装置から送信された超音波信号を受信するステップと、前記超音波受信装置が、受信信号の包絡線の信号レベルが、前記超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値と前記第1所定値より大きい第2所定値との間となる前記受信信号の包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定するステップと、前記超音波受信装置が、前記受信信号の包絡線が前記所定の条件を満たす場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定するステップと、を有する、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法である。
本発明によれば、超音波信号の検出時刻を判定するための閾値を上げずに、ノイズ信号又は反射波信号を排除して超音波信号を高精度に受信できる。
超音波伝搬時間計測システムのシステム構成を模式的に示す図 超音波伝搬時間計測システムにおける動作概要を時系列に示す説明図 (A)コントローラの内部構成を示すブロック図、(B)センサユニットの内部構成を示すブロック図 第1の実施形態のセンサユニットにおける超音波の受信時(検出時)の動作の流れを示す説明図 超音波の波形解析の動作過程と超音波検出時刻とを示す説明図 (A)受信信号包絡線を用いて受信信号が計測対象の超音波であるか否かを判定するための第1の実施形態における説明図、(B)超音波の最大包絡線と最小包絡線と時間t,tとの関係を示す図 (A)突発的に生じた定常ノイズレベルよりも高いレベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図、(B)突発的に生じた高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図、(C)超音波が受信される前に、前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図 第1の実施形態のセンサユニットを含む超音波伝搬時間計測システムの動作概要を示す説明図、(A)測定対象空間の壁面に配置されたセンサユニットの配置例を示す模式図、(B)マスタとして指定されたセンサユニットとスレーブとして指定されたセンサユニットとの間で行われる超音波の送受信の流れを示す説明図 (A)超音波伝搬時間計測システムにおける測定対象空間の壁面に配置された8個のセンサユニットの具体的な配置例を示す図、(B)各々の計測経路を構成するセンサユニットの組み合わせを示す図 (A)コントローラからセンサユニットSU6に送信される初期設定データの一例を示す図、(B)コントローラからセンサユニットSU1に送信される初期設定データの一例を示す図、(C)コントローラから全てのセンサユニットに送信されるセットデータの一例を示す図 超音波の伝搬時間の計測原理の一例を説明するタイムチャート 超音波の伝搬時間の計測原理の他の一例を説明するタイムチャート コントローラの動作手順を説明するフローチャート 第1の実施形態におけるコントローラと各センサユニットとにおける計測経路毎の超音波の伝搬時間を計測するための動作手順を時系列に説明するシーケンス図 第2の実施形態のセンサユニットにおける超音波の受信時(検出時)の動作の流れを示す説明図 (A)受信信号包絡線を用いて受信信号が超音波であるか否かを判定するための第2の実施形態における説明図、(B)例えば突発的に生じた定常ノイズレベルよりも高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図 (A)例えば突発的に生じた高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図、(B)超音波が受信される前に、例えば前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図 第2の実施形態におけるコントローラと各センサユニットとにおける計測経路毎の超音波伝搬時間を計測するための動作手順を時系列に説明するシーケンス図 第2の実施形態のセンサユニットにおける受信信号が超音波であるか否かを判定する動作手順の詳細を説明するフローチャート (A)受信信号が計測対象の超音波である場合の受信信号包絡線の一例を示す図、(B)超音波が受信される前に突発的に信号レベルの高いノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線の一例を示す図、(C)超音波が受信される前に前回の計測時に送信された超音波の反射波が受信された場合の受信信号包絡線の一例を示す図、(D)閾値TH1より大きい閾値TH2を用いた場合に受信信号レベルが変動した超音波の受信信号包絡線の一例を示す図
以下、本発明に係る超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置及び超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法の各実施形態を、図面を参照して説明する。本発明に係る超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば図1に示す超音波伝搬時間計測システム100では、他のセンサユニットとの間で超音波を送受信するセンサユニットである。
(第1の実施形態)
先ず、超音波伝搬時間計測システムのシステム構成について簡単に説明する。図1は、超音波伝搬時間計測システムのシステム構成を模式的に示す図である。図2は、超音波伝搬時間計測システムにおける動作概要を時系列に示す説明図である。
図1に示す超音波伝搬時間計測システム100は、コントローラ1と、少なくとも2個のセンサユニットSU1,SU2,SU3,SU4,SU5とを含む。超音波伝搬時間計測システム100では、コントローラ1は、無線通信によって所定の初期設定データ(後述参照)とセットデータ(後述参照)とを各々のセンサユニットに送信し、センサユニット間において超音波を送受信させる。
なお、図1に示す超音波伝搬時間計測システム100では、各々のセンサユニットは、特別な場合を除いて他のセンサユニットとの間では無線通信を行わず、コントローラ1に対してのみ無線通信を行い、他のセンサユニットとの間では超音波の送受信を行う。特別な場合とは、例えばセンサユニットが他のセンサユニットから送信された超音波ではない外部信号(例えばノイズ信号)を受信したことをコントローラ1に通知する場合などである(後述参照)。
超音波の送信元のセンサユニット(例えばセンサユニットSU3)は、コントローラ1から送信されたセットデータによって指定された送信先のセンサユニット(例えばセンサユニットSU1)に超音波を発振して送信する。超音波の送信先のセンサユニット(例えばセンサユニットSU1)は、送信元のセンサユニット(例えばセンサユニットSU3)から送信された超音波を受信した時から所定の固定待機時間(後述参照)の経過後に、送信元のセンサユニット(例えばセンサユニットSU3)に超音波を発振して送信する。
送信元のセンサユニット(例えばセンサユニットSU3)は、送信先のセンサユニット(例えばセンサユニットSU1)から超音波を受信した場合、センサユニット間(例えばセンサユニットSU3とセンサユニットSU1との間)の計測経路を伝搬する超音波の伝搬時間を導出する。送信元のセンサユニット(例えばセンサユニットSU3)は、導出された超音波の伝搬時間のデータをコントローラ1に送信する。図1では、送信元のセンサユニットとしてセンサユニットSU3、送信先のセンサユニットSU1を例示して説明しているが、超音波伝搬時間計測システム100では、全ての計測経路(例えば図2の左上参照)において超音波の伝搬時間が導出される。
また、図1に示す超音波伝搬時間計測システム100では、コントローラ1は、全ての計測経路において導出された超音波の伝搬時間のデータ(図2の右上参照)を各々のセンサユニットから受信した場合、全ての計測経路の距離(既知の値)と伝搬時間とを基にして超音波の音速を導出する(図2の右下参照)。コントローラ1は、導出された超音波の音速のデータを基に、音速と温度との所定の関係式(後述参照)から、測定対象空間の温度を導出し、測定対象空間の温度分布を表示装置5(図3(A)参照)に表示させる(図2の左下参照)。図1に示すコントローラ1及び各々のセンサユニットの動作の詳細は後述する。
(コントローラとセンサユニットとの具体的構成の説明)
次に、図1に示す超音波伝搬時間計測システム100におけるコントローラ1と、例えばセンサユニットSU1との具体的構成について、図3(A)及び図3(B)を参照して説明する。図3(A)は、コントローラ1の内部構成を示すブロック図である。図3(B)は、センサユニットSU1の内部構成を示すブロック図である。図3(B)では、図1に示す合計5個のセンサユニットSU1,SU2,SU3,SU4,SU5のうちセンサユニットSU1の内部構成が示されているが、各々のセンサユニットSU1,SU2,SU3,SU4,SU5の内部構成は同一である。
また、センサユニットSU1における超音波の受信時(検出時)の動作について、図4〜図7を参照して説明する。図4は、第1の実施形態のセンサユニットSU1における超音波の受信時(検出時)の動作の流れを示す説明図である。図5は、超音波の波形解析の動作過程と超音波検出時刻とを示す説明図である。
コントローラ1は、プロセッサ2と、アンテナAntcが接続された無線回路部3と、温湿度センサ4と、表示装置5と、入力部6とを含む。プロセッサ2は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成され、コントローラ1の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理及びデータの記憶処理を実行する。
プロセッサ2は、例えば他のセンサユニットから送信された超音波の伝搬時間のデータと既知の全ての計測経路の距離のデータとを基に、超音波の音速を導出する。更に、プロセッサ2は、導出された超音波の音速のデータを基に、音速と温度との所定の関係式を基に、測定対象空間の温度を導出し、測定対象空間の温度分布を表示装置5に表示させる(図2の左下参照)。
無線回路部3は、アンテナAntcを介して、各々のセンサユニットに対し、無線通信(例えばDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)又はZIGBEE(登録商標)、以下同様)を行う。例えば、無線回路部3は、プロセッサ2から出力された初期設定データ又はセットデータ(後述参照)を、アンテナAntcを介して各々のセンサユニットに送信する。無線回路部3は、超音波の伝搬時間のデータを、アンテナAntcを介して他のセンサユニットから受信する。
温湿度センサ4は、コントローラ1が配置されている場所の周囲の温度及び湿度を計測してプロセッサ2に出力する。超音波は空間を伝播する間に、エネルギーが空気中の水蒸気に吸収されて減衰するので、プロセッサ2は、温湿度センサ4から出力された測定結果データ(温度及び湿度)を基に、空気吸収減衰係数を導出し、空気吸収減衰係数を含むセットデータ(例えば図10(C)参照)を生成する。
また、プロセッサ2は、温湿度センサ4の測定結果データを用いて、絶対的な水蒸気圧を導出し、導出された絶対的な水蒸気圧を用いて測定対象空間の温度のデータを補正しても良い。空気中を伝搬する超音波の音速は、温度の影響を受けて変化するが、更に、空気中の水蒸気圧(絶対的な水蒸気圧)の影響も受けて変化することが知られている。従って、コントローラ1は、温湿度センサ4の測定結果データを用いて、プロセッサ2において空気中の水蒸気圧(絶対的な水蒸気圧)を導出する。これにより、コントローラ1は、センサユニットから送信された超音波の伝搬時間のデータを基にして導出された温度のデータを、測定対象空間の温度データの導出時点における空気中の水蒸気圧(絶対的な水蒸気圧)を用いてリアルタイムに補正するので、測定対象空間の正確な温度を測定することができる。
表示装置5は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイを用いて構成され、例えばプロセッサ2により導出された測定対象空間の温度分布を画面に表示する。
入力部6は、コントローラ1を操作するユーザの入力操作を受け付け、当該入力操作によって入力されたデータをプロセッサ2に出力する。入力部6は、例えば表示装置5に対応して配置されたタッチパネルを用いて構成される。また、入力部6は、タッチパネルに限らず、マウス、キーボード等の入力媒体を用いて構成されても良い。
次に、センサユニットSU1は、プロセッサ11と、メモリ12と、アンテナAnt1が接続された無線回路部13と、駆動回路14と、超音波送信器15と、超音波受信器16と、増幅回路17、A/D変換器18とを含む。制御部としてのプロセッサ11は、例えばCPU、MPU又はDSPを用いて構成され、タイマ機能を含み、センサユニットSU1の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理及びデータの記憶処理を実行する。プロセッサ11の具体的な動作は後述する。
メモリ12は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリなどの半導体メモリを用いて構成され、プロセッサ11の動作におけるワークメモリとしての機能を有し、更に、プロセッサ11の動作を規定するプログラム及びデータを記憶する。例えば、メモリ12は、後述する初期設定データ(図10(A)参照)に含まれる距離及び角度減衰量を少なくとも一時的に記憶する(図4参照)。
無線回路部13は、アンテナAnt1を介して、コントローラ1に対して無線通信を行う。例えば、無線回路部3は、超音波の伝搬時間の計測に用いられる初期設定データ又はセットデータを、アンテナAnt1を介してコントローラ1から受信する。無線回路部13は、プロセッサ11から出力された超音波の伝搬時間のデータを、アンテナAnt1を介してコントローラ1に送信する。
駆動回路14は、プロセッサ11から出力されたパルス信号を増幅し、増幅後のパルス信号を超音波送信器15に出力する。
超音波送信器15は、駆動回路14から出力されたパルス信号を発振させて所定周波数(例えば40kHz)の超音波信号(超音波)を生成する。超音波送信器15は、生成された超音波を所定時間の間において送信する。
受信部としての超音波受信器16は、他のセンサユニットから送信された超音波信号(以下、単に「超音波」と記載する)を受信して増幅回路17に出力する。超音波受信器16において受信された超音波は、他のセンサユニットの超音波送信器から送信された超音波に比べて減衰している(図5参照)。
増幅回路17は、例えば増幅器とバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)とを用いて構成され、超音波受信器16から出力された超音波(受信信号)を増幅し、増幅後の受信信号に対してBPFにおいて定められた所定範囲の周波数帯域の信号だけを通過させてA/D変換器18に出力する。
A/D変換器18は、増幅回路17から出力されたアナログの受信信号をAD(Analog Digital)変換してデジタルの受信信号を生成してプロセッサ11に出力する。
プロセッサ11は、コントローラ1から送信されたセットデータ(例えば図10(C)参照)に含まれる空気吸収減衰係数と、センサユニットSU1と計測経路を構成するセンサユニットとの距離とを乗算することで、超音波の空気吸収減衰量を導出する。また、プロセッサ11は、メモリ12に一時的に記憶されている初期設定データのうち、センサユニットSU1と計測経路を構成するセンサユニットとに応じた距離から求められる距離減衰量と、同じくメモリ12に一時的に記憶されている角度減衰量と、更には導出された空気吸収減衰量とに応じて、受信信号の包絡線(エンベロープ、以下、単に「受信信号包絡線」と記載する)の直線部分の傾きが所定値となるように、プロセッサ11内に設けられた可変利得増幅器の利得を調整する。なお、プロセッサ11は、センサユニットSU1と計測経路を構成するセンサユニットとに応じた距離(初期設定データに含まれる)と、空気吸収減衰係数(セットデータに含まれる)とを乗算して距離減衰量を導出する。また、距離減衰量は、プロセッサ11が導出する乗算方法に従って、コントローラ1によって導出されても良く、この場合には初期設定データ(例えば図10(A)又は図10(B)参照)に含まれる。
一群の曲線の全てに接する定曲線があるとき、これをその曲線群の「包絡線」という。従って、本実施形態における包絡線は、図5の超音波信号の複数の波形(検波処理時の波形参照)に接する定曲線である。なお、包絡線は、必ずしも完全な意味での包絡線に限る必要はなく、実質的な意味での包絡線を含む。例えば、包絡線は、必ずしも全ての波形に接する必要はなく、一部の波形をスキップしてもよい。また、隣り合ういくつか(例えば3つ)の波形のピークから求めた平均値を取り、それらの平均値をつなげた波形でもよい。すなわち、実質的な意味での包絡線は、完全な意味での包絡線に一致する必要はない。
プロセッサ11は、調整された利得によって、A/D変換器18から出力された受信信号を増幅し、検波及び平滑化の各処理を実行する。平滑化の処理では、プロセッサ11内に設けられたデジタルフィルタの応答によって、受信信号の検出タイミング(検出時刻)が真の到達時刻、即ち実際にセンサユニットが超音波を検出した時刻からΔt11ほど遅延する。Δt11は既知の値である。プロセッサ11は、平滑化の処理後の受信信号包絡線(図5参照)を基に、受信信号包絡線の信号レベルがノイズレベルより大きい所定の閾値THを超えた時を、超音波検出時刻と判定する。但し、プロセッサ11内の閾値を超えたか否かの判定処理により、超音波検出時刻は、真の到達時刻からΔt11遅延した時刻から更にΔt12ほど遅延する。
図5の右側のグラフに示すように、センサユニットは、受信信号包絡線の信号レベルが閾値TH以上となった時を超音波検出時刻と判定するが、実際には真の到達時刻から(Δt11+Δt12)の分だけ遅延している。閾値THは、受信信号包絡線の信号レベルを基にして、受信信号が超音波であると判定するために設定された値である。このため、各センサユニットは、図5の右側のグラフに示す真の到達時刻、真の到達時刻からΔt11遅延した時刻、及び真の到達時刻から(Δt11+Δt12)遅延した時刻のうち、いずれかの時刻を超音波検出時刻として判定する。
図6(A)は、受信信号包絡線を用いて受信信号が計測対象の超音波であるか否かを判定するための第1の実施形態における説明図である。図6(B)は、超音波の最大包絡線と最小包絡線と時間t,tとの関係を示す図である。
超音波の送信側のセンサユニットは、超音波を発振する場合に、駆動回路14からの共振周波数の交流駆動電力の供給に応じて、立ち上がり部分から振幅を単調に増加して一定値の振幅になると飽和するような超音波を生成する。従って、超音波の受信側のセンサユニットにおいて受信された超音波の受信信号包絡線の立ち上がり部分は直線状又は略直線状となる。
例えば図6(A)では、センサユニットにおいて超音波が受信された場合の受信信号包絡線が示され、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線は直線状又は略直線状となっている。閾値検出時刻は、受信信号包絡線の信号レベルが閾値THとなる時の検出時刻である。判定値JVは、上述した閾値THより大きな値であって、受信信号包絡線が直線状又は略直線状となる時間範囲における信号レベルの所定値である。判定値検出時刻は、受信信号包絡線の信号レベルが判定値JVとなる時の検出時刻である。
第1の実施形態では、プロセッサ11は、受信信号包絡線の信号が閾値THと判定値JVとの間において所定の条件を満たす場合に、センサユニットが受信した受信信号を他のセンサユニットから送信された超音波と判定する。より具体的には、プロセッサ11は、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)である場合に、センサユニットが受信した受信信号を計測対象の超音波と判定する。
時間tは、所定の基準時刻tから超音波の最大包絡線の信号レベルが判定値JVとなる判定値検出時刻までの時間である(図6(B)参照)。時間tは、所定の基準時刻tから超音波の最小包絡線の信号レベルが判定値JVとなる判定値検出時刻までの時間である(図6(B)参照)。所定の基準時刻tは、例えば図5に示す真の到達時刻からΔt遅延した時刻である。
超音波の最大包絡線は、超音波の信号波形となり得る受信信号包絡線の信号レベルの最大値をプロットした包絡線である。超音波の最小包絡線は、超音波の信号波形となり得る受信信号包絡線の信号レベルの最小値をプロットした包絡線である。従って、センサユニットが受信した受信信号の包絡線が最小包絡線と最大包絡線との間であれば、受信信号が計測対象の超音波である蓋然性が高いと考えられる。
最大包絡線の信号レベルが判定値JVとなる時の検出時刻と最小包絡線の信号レベルが判定値JVとなる時の検出時刻との時間差分は、本実施形態のセンサユニットにおける超音波の検出許容差として予め定められている。言い換えると、受信信号が超音波となる場合の受信信号包絡線の直線部分又は略直線部分の傾きにも許容差が設けられる(図6(B)参照)。
従って、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)であれば、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が略直線状又は直線状となり、受信信号が計測対象の超音波である蓋然性が高くなる。従って、センサユニットは、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)内である場合に、センサユニットが受信した受信信号を計測対象の超音波と判定し、超音波の伝搬時間を導出する(後述参照)。
図7(A)は、突発的に生じた定常ノイズレベルよりも高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図である。図7(B)は、突発的に生じた高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図である。図7(C)は、超音波が受信される前に、前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図である。
図7(A)に示す受信信号包絡線の信号波形(例えば定常ノイズレベルよりも高い信号レベルのノイズ信号)がセンサユニットにおいて受信された場合では、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)内ではなく、t>tとなっている。従って、プロセッサ11は、センサユニットが受信した受信信号を計測対象の超音波と判定せずに、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号を生成して無線回路部13に出力する。無線回路部13は、プロセッサ11から出力された異常信号をアンテナAnt1からコントローラ1に送信する。
図7(B)に示す受信信号包絡線の信号波形(例えば突発的に生じた高いレベルのノイズ信号)がセンサユニットにおいて受信された場合では、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)内ではなく、t<tとなっている。従って、プロセッサ11は、センサユニットが受信した受信信号を計測対象の超音波と判定せずに、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号を生成して無線回路部13に出力する。無線回路部13は、プロセッサ11から出力された異常信号をアンテナAnt1からコントローラ1に送信する。
図7(C)に示す受信信号包絡線の信号波形(例えば前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波が受信された後に超音波が受信された場合の信号波形)では、超音波の反射波は測定対象空間K(後述参照)の壁面又は物体にて反射された後に届くため、壁面での吸収又は散乱、また伝搬距離が長くなるため、超音波の反射波の信号レベルは小さくなっている。このため、超音波の反射波の受信信号包絡線は判定値JVに達せず、センサユニットは判定値検出時刻を検出できない。
更に、センサユニットは、前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波の受信後に受信した超音波の受信信号包絡線では、判定値検出時刻を検出できる。従って、図7(C)に示す先に受信された受信信号の受信信号包絡線の信号波形の場合では、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)内ではなく、t>tとなっている。即ち、プロセッサ11は、センサユニットが最初に受信した受信信号、即ち受信信号包絡線が判定値JVに達しない受信信号を計測対象の超音波と判定せずに、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号を生成して無線回路部13に出力する。無線回路部13は、プロセッサ11から出力された異常信号をアンテナAnt1からコントローラ1に送信する。
図8は、第1の実施形態のセンサユニットを含む超音波伝搬時間計測システム100の動作概要を示す説明図である。図8(A)は、測定対象空間Kの壁面に配置されたセンサユニットの配置例を示す模式図である。図8(B)は、マスタとして指定されたセンサユニットSU6とスレーブとして指定されたセンサユニットSU1との間で行われる超音波の送受信の流れを示す説明図である。以下の説明において、コントローラ1から送信されたセットデータ(例えば図10(C)参照)に応じて、超音波を能動的に送信するセンサユニットを「マスタ」と記載し、マスタからの超音波の受信に対する受信応答として超音波をマスタに受動的に送信するセンサユニットを「スレーブ」と記載する。
本実施形態では、図8(A)に示す測定対象空間Kの壁面に少なくとも2個(例えば合計8個)のセンサユニットが配置され、不図示のコントローラ1から各々のセンサユニットに対し、初期設定時に初期設定データ(例えば図10(A)参照)が送信される。コントローラ1は、無線通信によってセンサユニットSU1〜SU8にデータの送受信が可能な位置に配置され、コントローラ1の配置位置は以下の各実施形態においても同様である。また超音波の伝搬時間の計測毎に、コントローラ1が全てのセンサユニットSU1〜SU8にセットデータ(図10(C)参照)を送信し、各センサユニットSU1〜SU8はセットデータを基にして自己が計測の動作をするのか又は休止するのかを判断する。
マスタとして指定されたセンサユニット(例えばセンサユニットSU6)は、スレーブとして指定されたセンサユニット(例えばセンサユニットSU1)に超音波を送信する(図8(B)参照)。センサユニットSU6からセンサユニットSU1への超音波の伝搬時間をt61と示す。
次に、センサユニットSU1は、図6(A)に示した方法に従ってセンサユニットSU6から送信された超音波を受信(検出)した時から所定の固定待機時間(t)が経過した後、受信応答としての超音波をセンサユニットSU6に送信する。センサユニットSU1からセンサユニットSU6への超音波の伝搬時間をt16と示す。センサユニットSU6は、同様に図6(A)に示した方法に従ってセンサユニットSU1から送信された超音波を受信(検出)する。
センサユニットSU6は、センサユニットSU1に超音波を送信した時からセンサユニットSU1から超音波を受信(検出)した時までの計測時間tを計時し、計測時間tと固定待機時間tとを基に、センサユニットSU6−SU1間の計測経路における超音波の伝搬時間を導出する(図11又は図12参照)。なお、図8(B)では、マスタの一例としてセンサユニットSU6、スレーブの一例としてセンサユニットSU1を用いて説明したが、図9(A)に示す全ての計測経路(例えばセンサユニットが合計8個の場合には24個の計測経路)において、各計測経路における超音波の伝搬時間がマスタとして指定されたセンサユニットにおいて導出される。
図9(A)は、超音波伝搬時間計測システム100における測定対象空間Kの壁面に配置された8個のセンサユニットの具体的な配置例を示す図である。図9(B)は、各々の計測経路を構成するセンサユニットの組み合わせを示す図である。各実施形態では、測定対象空間Kの壁面に合計8個のセンサユニットSU1,SU2,SU3,SU4,SU5,SU6,SU7,SU8が配置されているため、2個のセンサユニット間を結ぶ直線(計測経路)は合計24個となる。以下の説明において、計測経路の序数を示す変数をiと示す。iは1から24までの自然数である。例えば、図8(B)に示すセンサユニットSU6−SU1間の計測経路はi=1の計測経路である。
図10(A)は、コントローラ1からセンサユニットSU6に送信される初期設定データの一例を示す図である。図10(B)は、コントローラ1からセンサユニットSU1に送信される初期設定データの一例を示す図である。図10(A)に示す初期設定データは、センサユニットSU6から送信される超音波の受信対象のセンサユニットの識別番号及び当該センサユニットとの間で構成される計測経路の序数と、計測経路の距離dと、自己のセンサユニット(センサユニットSU6)と受信対象のセンサユニットとの配置(角度条件)によって生じる角度減衰量aaと、自己のセンサユニット(センサユニットSU6)の固定待機時間tとを含む。他のセンサユニットに送信されるセットデータも、同様な項目を含む。
図10(C)は、コントローラ1から全てのセンサユニットに送信されるセットデータの一例を示す図である。センサユニット毎に生成された初期設定データは、コントローラ1による温度測定において、コントローラ1及び全てのセンサユニットの初期設定時に一度だけコントローラ1からそれぞれのセンサユニットに対して送信される。一方、セットデータは、各々の計測経路における超音波の伝搬時間が計測される度に、コントローラ1から全てのセンサユニットSU1〜SU8に対して一様に送信される。セットデータは、全センサユニットに共通の内容であって、マスタを示すデータ(例えば2桁の2進数「10」)、スレーブを示すデータ(例えば2桁の2進数「01」)、休止させるセンサユニットを示すデータ(例えば2桁の2進数「00」)と、測定対象空間K内における空気吸収減衰係数のデータとを含む。例えば、図10(C)に示すセットデータでは、センサユニットSU6がマスタ、センサユニットSU1がスレーブとして指定されている。
距離d及び角度減衰量aaの各データは、計測経路を構成する2個のセンサユニットの配置位置に応じて異なるが、一度センサユニットの配置位置が定まれば常に同じ値となる。このため、距離d及び角度減衰量aaの各データは、各センサユニットに共通の固定待機時間と共に、初期設定時にコントローラ1から各センサユニットに送信されてメモリ12に記憶される(図4参照)。
超音波の伝搬時間の計測順序と空気吸収減衰係数とは、全ての計測経路における超音波の伝搬時間の計測のサイクル毎に異なっても良い。空気吸収減衰係数は、全ての計測経路における超音波の伝搬時間の計測時に、測定対象空間K内における最新の値を用いることが好ましく、セットデータとして、計測経路毎の超音波の伝搬時間の計測時にコントローラ1からセンサユニットに対して送信される。
初期設定データのうち、距離d、角度減衰量aa、固定待機時間tの各データは既知の値であり、コントローラ1において入力部6を介して入力されたセンサユニットの設置位置の情報から算出されたデータである。計測順序のデータは、計測経路毎に、マスタとしてのセンサユニットとスレーブとしてのセンサユニットとが指定された情報である(図9(B)参照)。
図11は、超音波の伝搬時間の計測原理の一例を説明するタイムチャートである。マスタとしてのセンサユニットSU6は、図10(C)に示すセットデータをコントローラ1から受信した後、時刻T11に超音波を発振し、スレーブとしてのセンサユニットSU1に送信する。センサユニットSU6は、超音波の送信開始時刻T11から所定の固定待機時間tが経過する時刻T14までの間は、超音波受信器において超音波を受信しない。
なお、固定待機時間tは、センサユニット自身が送信する超音波とその反響音を受信しないように、センサユニットの配置位置に応じて決められた既知の値である。また、センサユニットSU6は、送信開始時刻T11における超音波の送信後の時刻T12から所定の固定待機時間tが経過する時刻T14までの間は、超音波受信器において超音波を受信しなくても良い(図12参照)。図12は、超音波の伝搬時間の計測原理の他の一例を説明するタイムチャートである。
センサユニットSU1は、超音波を時刻T13において受信(検出)し、受信時(検出時)の時刻T13から所定の固定待機時間tが経過した時刻T15に超音波をセンサユニットSU6に送信する。センサユニットSU6は、センサユニットSU1からの超音波を時刻T16に受信する。センサユニットSU6は、センサユニットSU1からの超音波を受信した後、センサユニットSU1に超音波を送信した時刻T11からセンサユニットSU1からの超音波を受信した時刻T16までの計測時間tを計時し、数式(1)(図11又は図12参照)に従って、超音波の伝搬時間(TOF:Time Of Flight)を導出する。センサユニットSU6からセンサユニットSU1への超音波の伝搬時間t61は、T13−T11である。センサユニットSU1からセンサユニットSU6への超音波の伝搬時間t16は、T16−T15である。
これにより、マスタとしてのセンサユニットSU6は、センサユニットSU6,SU1により構成される計測経路の往復間の超音波の伝搬時間を簡易に導出でき、数式(1)に従って導出することで、測定対象空間K内における計測経路の往復間において風の影響を相殺することができる。また、センサユニットSU6,SU1の時間同期も不要である。なお、固定待機時間tは、固定待機時間tとセンサユニットの配置位置の環境における残響時間から決定される。
Figure 2014102091
(コントローラの動作)
次に、コントローラ1の動作手順を、図13を参照して説明する。図13は、コントローラ1の動作手順を説明するフローチャートである。コントローラ1の動作手順は、各実施形態において共通である。
図13において、コントローラ1は、初期設定の動作を行う(ST11)。具体的には、プロセッサ2は、入力部6を介して入力されたセンサユニットの配置位置のデータを基に、図9(B)に示す計測経路及びその距離を決定する。更に、プロセッサ2は、図9(B)に示す計測経路を基に、各々のセンサユニットに応じた初期設定データを生成する。プロセッサ2は、各々のセンサユニットに応じて生成された初期設定データを、無線回路部3において各センサユニットに送信する。
初期設定データのうち、各々の計測経路を構成するセンサユニット間の距離dと角度減衰量aaは、入力されたセンサユニットの配置位置のデータと予め測定されている超音波発振器及び超音波受信器の各特性から算出され、固定待機時間tはセンサユニットの配置位置の残響時間を基に決定して、入力部6を介して入力される。
また、初期設定時では、プロセッサ2は、温度測定のための超音波の音速を導出するために必要となる経路マトリクス(図2の右下参照)を導出する。例えばセンサユニットは合計8個であり、計測経路mは合計24個であり、測定対象空間Kの分割ブロック数nは合計20である。測定対象空間Kの分割ブロック数nは、図9(A)に示す測定対象空間Kを、例えば縦方向を均等に4個に区分し、横方向を均等に5個に区分した場合に生じる分割ブロックの総数である。経路マトリクスLは、計測経路が各々の分割ブロックの領域を通過する場合の距離を表し、例えばLm,nは、第m番目の計測経路において第n番目の分割ブロックの領域を通過する計測経路の距離を表し、マトリクスにしたものである。
ステップST12では、プロセッサ2は、温湿度センサ4の測定結果データを用いて、測定対象空間K内における最新の空気吸収減衰係数を計算する。ステップST12の後、コントローラ1の動作はステップST13に進む。
ステップST13では、プロセッサ2は、計測経路の序数を示す変数iを初期化し(ST13)、第1番目の計測経路(i=1)を構成する2個のセンサユニットSU6,SU1を指定し、2個のセンサユニットSU6,SU1間の超音波の伝搬時間を計測する(ST14)。超音波の伝搬時間の計測に関する動作(ST14)の詳細は、図14を参照して後述する。
ステップST14の後、プロセッサ2は、変数iが最後の計測経路(i=m=24)であるか否かを判定する(ST15)。プロセッサ2は、変数iが最後の計測経路ではないと判定した場合には(ST15、NO)、変数iをインクリメントし(ST16)、インクリメント後の変数iに対応する計測経路を構成する2個のセンサユニット間の伝搬時間を計測する(ST14)。
一方、プロセッサ2は、変数iが最後の計測経路であると判定した場合には(ST15、YES)、全ての計測経路(24個)における超音波の伝搬時間TOF〜TOFの情報と経路マトリクスとを基に、数式(2)に従って最小二乗法を用いて、各計測経路における超音波の音速C〜Cを導出する。
Figure 2014102091
ここで、空気中を伝搬する超音波の音速C[m/sec]と空間の温度Temp[℃]との関係は、数式(3)又は数式(4)によって表されることが知られている。
Figure 2014102091
Figure 2014102091
プロセッサ2は、数式(2)に従って導出された超音波の音速C〜Cと数式(3)又は(4)とを用いて、測定対象空間Kの分割ブロック毎における空間の温度Temp〜Tempを導出し、湿度補正を加えて温度を求める(ST17)。プロセッサ2は、測定対象空間Kの分割ブロック毎における空間の温度Temp〜Tempを用いて、測定対象空間Kにおける温度分布を表示装置5に表示させる(ST18)、更に、温度分布のデータを不図示の記憶装置に記憶する(ST18)。
ステップST18の後、コントローラ1が再び測定対象空間Kの温度を測定する場合には(ST19、YES)、コントローラ1の動作はステップS12に戻る。また、ステップST18の後、コントローラ1が測定対象空間Kの温度を測定しない場合には(ST19、NO)、コントローラ1は、全センサユニットSU1〜SU8の各動作を終了(停止)させる(ST20)。ステップST20の後、コントローラ1の動作は終了する。
(コントローラと各センサユニットとの間における動作)
図14は、ステップST14を詳細に説明した内容を示し、第1の実施形態におけるコントローラ1と各センサユニットとにおける計測経路毎の超音波の伝搬時間を計測するための動作手順を時系列に説明するシーケンス図である。図14では、第1番目の計測経路(i=1)において、コントローラ1と、例えばマスタとして指定されたセンサユニットSU6と、例えばスレーブとして指定されたセンサユニットSU1とにおける動作を時系列に説明する。また、他の計測経路(i=2〜24)においても、コントローラ1と、各計測経路においてマスタとして指定されたセンサユニットと、同様にスレーブとして指定されたセンサユニットとの間でも図14と同様の動作が実行される。
図14において、ステップST14の開始時の動作として、コントローラ1は、超音波の伝搬時間の計測対象の1つの計測経路においてマスタ、スレーブをそれぞれ指示するセンサユニットのデータと空気吸収減衰係数のデータとを含むセットデータ(図10(C)参照)を生成し、又は全計測経路における超音波の伝搬時間の2回目以降の計測ではセットデータを更新し(ST21)、当該セットデータを全てのセンサユニットSU1〜SU8に送信する(ST22)。
各々のセンサユニットは、コントローラ1から送信された各セットデータを受信する(ST31)。セットデータでは、第1番目の計測経路(i=1)において、センサユニットSU6がマスタ、センサユニットSU1がスレーブとして指定されている。センサユニットSU6は、マスタとして動作する旨の受信応答(例えばAck信号)をコントローラ1に送信する(ST41)。同様に、センサユニットSU1は、スレーブとして動作する旨の受信応答(例えばAck信号)をコントローラ1に送信する(ST41)。なお、第1番目の計測経路(i=1)では、センサユニットSU2,SU3,SU4,SU5,SU7,SU8は休止中となり、各々のセンサユニット自身は、次の計測開始指示に関するセットデータ(例えば次の計測経路における超音波の伝搬時間の計測時のセットデータ)を受信するまで待機する(ST32)。
なお、センサユニットSU1は、受信応答をコントローラ1に送信した後、センサユニットSU1の超音波受信器において受信された受信信号の波形解析を開始する(ST61)。
コントローラ1は、センサユニットSU6,SU1からそれぞれ送信された受信応答(例えばAck信号)を受信する(ST23)。コントローラ1は、受信応答を受信した後、第1番目の計測経路(i=1)における超音波の伝搬時間の計測開始指示を、マスタとしてのセンサユニットSU6に送信する(ST24)。
センサユニットSU6は、コントローラ1から送信された超音波の伝搬時間の計測開始指示を受信し(ST51)、計測開始指示を基にして、超音波送信器から超音波をセンサユニットSU1に送信する(ST52)。センサユニットSU6は、ステップST52において超音波を送信開始時から所定の固定待機時間tが経過するまでの間は、センサユニットSU6の超音波受信器が受信した受信信号の波形を解析しない(ST53)。従って、センサユニットST6は、ステップST52において超音波を送信開始してから所定の固定待機時間tが経過した後、センサユニットSU6の超音波受信器において受信された受信信号の波形の解析を開始する(ST54)。
センサユニットSU1は、ステップST61において受信信号の波形解析を開始しているため、ステップST52において送信された超音波又は外部信号を受信することができる(ST62)。ここでいう外部信号とは、例えば突発的に生じた電磁ノイズによるノイズ信号、器物の破壊、衝突若しくは摺動によって発生する超音波、又は前回の超音波の伝搬時間の計測時に送信された超音波の反射波(信号)であり、以下同様である。センサユニットSU1は、ステップS62において受信した受信信号が、ステップS52において送信された超音波であるか否かを判定する(ST63)。
具体的には、センサユニットSU1のプロセッサ11は、ステップS62において受信した受信信号の受信信号包絡線において(図6(A)参照)、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)であるか否かを判定する(ST63)。センサユニットSU1は、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)であると判定した場合には(ST63、YES)、ステップST62において受信した受信信号は超音波であると判定し、ステップST62において超音波を受信した時(閾値検出時刻)から所定の固定待機時間tが経過するまで超音波の送信を待機する(ST64)。従って、センサユニットSU1は、ステップST62において超音波を受信した時から所定の固定待機時間tが経過した後、受信応答としての超音波をセンサユニットSU6に送信する(ST66)。センサユニットSU1は、ステップST66の後、次の計測経路に関するセットデータを受信するまで待機する(ST32)。
一方、センサユニットSU1は、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)でないと判定した場合には(ST63、NO)、ステップST62において受信した受信信号は超音波であると判定せず、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号をコントローラ1に送信する(ST65)。更に、センサユニットSU1は、センサユニット間の無線通信によって、異常信号をマスタとしてのセンサユニットSU6に送信しても良い。
コントローラ1は、マスタとしてのセンサユニットSU6又はスレーブとしてのセンサユニットSU1からの異常信号を受信した場合に、同じ計測経路における超音波の伝搬時間の計測を再実施する(ST22)。ステップST65又はステップST66の後、センサユニットSU1は、次の計測経路に関するセットデータを受信するまで待機する(ST32)。
なお、センサユニットSU1は、ステップST62において受信した受信信号が超音波であると判定しなかった場合でも、ステップST62において超音波を受信した時(閾値検出時刻)から所定の固定待機時間tが経過した後に、受信応答としての超音波をセンサユニットSU6に送信しても良い。
センサユニットSU6は、ステップST54において受信信号の波形解析を開始しているため、ステップST66において送信された超音波又は外部信号を受信することができる(ST55)。センサユニットSU6は、ステップST55において受信した受信信号が、ステップS66において送信された超音波であるか否かを判定する(ST56)。
具体的には、センサユニットSU6は、ステップS55において受信した受信信号の受信信号包絡線において(図6(A)参照)、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)であるか否かを判定する(ST56)。センサユニットSU6は、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)であると判定した場合には(ST56、YES)、ステップST55において受信した受信信号は超音波であると判定し、センサユニットSU1に超音波を送信した時からセンサユニットSU1から超音波を受信した時までの計測時間tと、所定の固定待機時間tとを基に、数式(1)(図9参照)に従って、第1番目の計測経路(i=1)における超音波の伝搬時間(TOF:Time Of Flight)を導出する(ST57)。センサユニットSU6は、ステップST57において導出された超音波の伝搬時間TOFのデータをコントローラ1に送信する(ST58)。センサユニットSU6は、ステップST58の後、次の計測経路に関するセットデータを受信するまで待機する(ST32)。
一方、センサユニットSU1は、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分tが所定の時間範囲(t≦t≦t)でないと判定した場合には(ST56、NO)、ステップST55において受信した受信信号は超音波であると判定せず、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号をコントローラ1に送信する(ST59)。
コントローラ1は、マスタとしてのセンサユニットSU6からの異常信号を受信した場合に、同じ計測経路における超音波の伝搬時間の計測を再実施する(ST22)。ステップST59の後、センサユニットSU1は、次の計測経路に関するセットデータを受信するまで待機する(ST32)。
コントローラ1は、ステップST58において送信された超音波の伝搬時間TOFのデータを受信する(ST25)。コントローラ1は、上述したように、マスタとしてのセンサユニットSU6又はスレーブとしてのセンサユニットSU1からの異常信号を受信した場合には(ST26、YES)、同じ計測経路における超音波の伝搬時間の計測を再実施する(ST22)。コントローラ1は、マスタとしてのセンサユニットSU6又はスレーブとしてのセンサユニットSU1からの異常信号を受信しなかった場合には(ST26、NO)、ステップST14の動作は終了する。
なお、次の計測経路における超音波の伝搬時間の計測では、全てのセンサユニットSU1〜SU8は、ステップST21で更新された次の計測経路に基づいたセットデータ(図8(C)参照)に従い、マスタ、スレーブ、休止のうちいずれであるかを判別し、ステップST31〜ステップST32までの動作を同様に実行して全ての計測経路の計測を順次行う。
以上により、本実施形態の超音波伝搬時間計測システム100では、空気中を伝搬する超音波の速度を基にして測定対象空間Kの温度を測定する場合に、例えばマスタとして指定されたセンサユニットSU6は、スレーブとして指定されたセンサユニットSU1に超音波を送信した時から、センサユニットSU1から超音波を受信した時までの計測時間tと、所定の固定待機時間tとを基に、センサユニットSU6−SU1間の計測経路における超音波の伝搬時間を導出する。
即ち、超音波伝搬時間計測システム100では、センサユニットSU6が超音波を送信したタイミングをセンサユニットSU1に知らせることなく、更に、センサユニットSU1が超音波を送信したタイミングをセンサユニットSU6に知らせることなく、センサユニットSU6は、超音波の伝搬時間を導出できる。従って、本実施形態の超音波伝搬時間計測システム100は、超音波を送受信するセンサユニットSU6の超音波送信部とセンサユニットSU1の超音波受信部との間、更に、超音波を送受信するセンサユニットSU1の超音波送信部とセンサユニットSU6の超音波受信部との間のそれぞれの同期を必要とせずに、超音波の伝搬時間を簡易かつ高精度に計測することができる。
また、本実施形態のセンサユニットは、測定対象空間の空気中を伝搬する超音波の速度を基にして温度を測定する場合に、受信信号包絡線の信号レベルが、送信側のセンサユニットから送信された超音波と判定するための閾値THと閾値THより大きい判定値JVとの間となる受信信号包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、センサユニットは、受信信号包絡線において、判定値検出時刻と閾値検出時刻との時間差分が所定範囲内である場合に受信信号が超音波であると判定し、所定範囲外である場合には受信信号が超音波信号と判定せず、例えば超音波でない外部信号であると簡単に判定できる。
これにより、本実施形態のセンサユニットは、例えば突発的に生じたノイズ信号又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号(残響波信号)を受信した場合でも、閾値THの値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波検出時刻を判定するための閾値THを上げずに、ノイズ信号又は反射波信号(残響波信号)を排除し、送信側のセンサユニットから送信された超音波を高精度に受信できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、プロセッサ11a(図15参照)は、受信信号包絡線の信号が閾値THと判定値JVとの間において所定の条件を満たす場合に、センサユニットが受信した受信信号を他のセンサユニットから送信された超音波と判定する。より具体的には、プロセッサ11aは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、判定値検出時刻と閾値検出時刻との間の受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって略直線状又は直線状である場合に、センサユニットが受信した受信信号を超音波と判定する。
図15は、第2の実施形態のセンサユニットにおける超音波の受信時(検出時)の動作の流れを示す説明図である。本実施形態のセンサユニットにおける超音波の受信時(検出時)の動作の流れでは、図4に示すセンサユニットにおける超音波の受信時(検出時)の動作に比べ、更に、検波及び平滑化の各処理後の出力結果に対し、微分及び直線検出の各処理が行われる。
即ち、本実施形態のセンサユニットでは、プロセッサ11aは、図4に示すプロセッサ11を構成する各部に対して微分回路及び直線検出回路を更に備え、検波及び平滑化の各処理後に出力された受信信号を一階微分又は二階微分する。プロセッサ11aは、一階微分又は二階微分の微分結果としての一階微分信号又は二階微分信号を基に、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、判定値検出時刻と閾値検出時刻との間の受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって略直線状又は直線状であるか否かを判定する。以下、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と異なる内容について説明し、第1の実施形態と同一の内容の説明を省略する。
図16(A)は、受信信号包絡線を用いて受信信号が超音波であるか否かを判定するための第2の実施形態における説明図である。図16(A)では、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線は所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状となっている。tは、超音波の受信信号包絡線において、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が略直線状又は直線状とみなすための所定時間である。
より具体的には、図16(A)では、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号の一階微分信号の出力は所定時間(t)以上にわたって一定であり、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号の二階微分信号の出力は所定時間(t)以上にわたってゼロである。このため、プロセッサ11aは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状であると判定し、受信信号が超音波であると判定する。
図16(B)は、例えば定常ノイズレベルよりも高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図である。図16(B)では、受信信号包絡線の信号レベルの最大値は判定値JV未満であり、更に、閾値検出時刻から所定時間tの経過時点までの受信信号の1階微分信号の出力は一定でなく、閾値検出時刻から所定時間tの経過時点までの受信信号の2階微分信号の出力は所定時間(t)以上にわたってゼロでない。このため、プロセッサ11aは、受信信号が超音波であると判定しない。
図17(A)は、例えば突発的に生じた高い信号レベルのノイズ信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図である。図17(A)では、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であるが、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号の1階微分信号の出力が一定となる時間が所定時間(t)未満であり、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号の2階微分信号の出力がゼロとなる時間が所定時間(t)未満である。このため、プロセッサ11aは、受信信号が超音波であると判定しない。
図17(B)は、超音波が受信される前に、例えば前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号が受信された場合の受信信号包絡線を示す図である。図17(B)に示す先に受信された受信信号の受信信号包絡線では、閾値検出時刻から所定時間(t)の経過時点までの受信信号の1階微分信号の出力は一定であり、閾値検出時刻から所定時間(t)の経過時点までの受信信号の2階微分信号の出力はゼロである。
しかし、図17(B)では、先に受信された受信信号の受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV未満であり、判定値検出時刻が検出されない。なお、後に受信された受信信号の受信信号包絡線において、受信信号包絡線の信号レベルの最大値は判定値JV以上となる。
従って、プロセッサ11aは、図17(B)に示す先に受信された受信信号は超音波であると判定しない。なお、プロセッサ11aは、図17(B)に示す後に受信された受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線は所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状と判定するので、後に受信された受信信号は超音波であると判定する。
(コントローラと各センサユニットとの間における動作)
図18は、図14と同様にステップST14を詳細に説明した内容を示し、第2の実施形態におけるコントローラと各センサユニットとにおける計測経路毎の超音波伝搬時間を計測するための動作手順を時系列に説明するシーケンス図である。以下、図14に示す内容と同一の説明は省略し、異なる内容について説明する。
センサユニットSU1は、ステップST61において受信信号の波形解析を開始しているため、ステップST52において送信された超音波又は外部信号を受信することができる(ST62)。センサユニットSU1は、ステップS62において受信した受信信号が、ステップS52において送信された超音波であるか否かを判定する(ST63a)。
具体的には、センサユニットSU1のプロセッサ11aは、ステップS62において受信した受信信号の受信信号包絡線において(図16(A)参照)、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状であるか否かを判定する(ST63a)。
ここで、ステップST63aの動作の詳細を、図19を参照して説明する。図19は、第2の実施形態のセンサユニットにおける受信信号が超音波であるか否かを判定する動作手順の詳細を説明するフローチャートである。
図19において、プロセッサ11aは、ステップST62において受信された受信信号の受信信号包絡線の信号レベルが閾値THとなる閾値検出時刻を検出する(ST71)。プロセッサ11aは、閾値検出時刻以降の受信信号包絡線の1階微分信号又は2階微分信号の出力結果を基に、ステップST71において検出された閾値検出時刻以降の受信信号包絡線が直線状又は略直線状であるか否かを判定する(ST72)。閾値検出時刻以降の受信信号包絡線が直線状又は略直線状でないとプロセッサ11aが判定した場合には(ST72、NO、図16(B)参照)、センサユニットSU1の動作はステップST65aに進む。
プロセッサ11aは、閾値検出時刻以降の受信信号包絡線が直線状又は略直線状であると判定した場合には(ST72、YES)、閾値検出時刻以降の受信信号包絡線の信号レベルが判定値JVに達するか否か、即ち、受信信号包絡線の信号レベルが判定値JVとなるか否かを判定する(ST73)。受信信号包絡線の信号レベルが判定値JVとならないとプロセッサ11aが判定した場合には(ST73、NO、図16(B)又は図17(B)参照)、センサユニットSU1の動作はステップST65aに進む。
プロセッサ11aは、閾値検出時刻以降の受信信号包絡線の信号レベルが判定値JVに達する、即ち受信信号包絡線の信号レベルが判定値JVとなると判定した場合には(ST73、YES)、ステップST72において検出された受信信号包絡線の直線部分が最初の直線部分であるか否かを判定する(ST74)。ステップST72において検出された受信信号包絡線の直線部分が最初の直線部分ではないとプロセッサ11aが判定した場合には(ST74、NO、図17(B)参照)、センサユニットSU1の動作はステップST65aに進む。
プロセッサ11aは、ステップST72において検出された受信信号包絡線の直線部分が最初の直線部分であると判定した場合には(ST74、YES)、その最初の直線部分の時間は所定時間t以上であるか否かを判定する(ST75)。ステップST72において検出された受信信号包絡線の最初の直線部分の時間が所定時間t未満であるとプロセッサ11aが判定した場合には(ST75、NO、図17(A)参照)、センサユニットSU1の動作はステップST65aに進む。
ステップST72において検出された受信信号包絡線の最初の直線部分の時間が所定時間t以上であるとプロセッサ11aが判定した場合には(ST75、NO、図16(A)参照)、センサユニットSU1の動作はステップST64に進む。
図18において、センサユニットSU1のプロセッサ11aは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状であると判定した場合には(ST63a、YES)、ステップST62において受信した受信信号は超音波であると判定し、ステップST62において超音波を受信した時(閾値検出時刻)から所定の固定待機時間tが経過するまで超音波の送信を待機する(ST64)。
一方、センサユニットSU1のプロセッサ11aは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV未満、又は閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状ではないと判定した場合には(ST63a、NO)、ステップST62において受信した受信信号は超音波であると判定せず、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号をコントローラ1に送信する(ST65a)。
コントローラ1は、マスタとしてのセンサユニットSU6又はスレーブとしてのセンサユニットSU1からの異常信号を受信した場合に、同じ計測経路における超音波の伝搬時間の計測を再実施する(ST22)。ステップST65又はステップST66の後、センサユニットSU1は、次の計測経路に関するセットデータを受信するまで待機する(ST32)。
センサユニットSU6は、ステップST54において受信信号の波形解析を開始しているため、ステップST66において送信された超音波又は外部信号を受信することができる(ST55)。センサユニットSU6は、例えばステップST54において受信信号の波形解析を開始した時から所定時間以内にステップST55において信号を受信したか否かを判定する(ST56a)。
センサユニットSU6は、例えば受信信号の波形解析を開始した時から所定時間以内に信号を受信した場合には(ST56a、YES)、ステップST55において受信した受信信号が、ステップS66において送信された超音波であるか否かを判定する(ST56b)。センサユニットSU6におけるステップST56の動作の詳細は、図19に示す動作と同じであるため、説明を省略する。
センサユニットSU1のプロセッサ11aは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって直線状又は略直線状であると判定した場合には(ST63a、YES)、ステップST62において受信した受信信号は超音波であると判定し、センサユニットSU1に超音波を送信した時からセンサユニットSU1から超音波を受信した時までの計測時間tと、所定の固定待機時間tとを基に、数式(1)(図9参照)に従って、第1番目の計測経路(i=1)における超音波の伝搬時間(TOF:Time Of Flight)を導出する(ST57)。
また、センサユニットSU6が例えば受信信号の波形解析を開始した時から所定時間以内に信号を受信しなかった場合(ST56a、NO)、又は、センサユニットSU6がステップST55において受信した受信信号の受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV未満、若しくは、閾値検出時刻から判定値検出時刻までの受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって直線状でも略直線状でない場合には(ST56b、NO)、センサユニットSU6は、ステップST55において受信した受信信号は超音波であると判定せず、超音波の受信ができなかったことを示す異常信号をコントローラ1に送信する(ST58a)。
コントローラ1は、マスタとしてのセンサユニットSU6からの異常信号を受信した場合に、同じ計測経路における超音波の伝搬時間の計測を再実施する(ST22)。ステップST59の後、センサユニットSU1は、次の計測経路に関するセットデータを受信するまで待機する(ST32)。
以上により、本実施形態のセンサユニットは、測定対象空間の空気中を伝搬する超音波の速度を基にして温度を測定する場合に、受信信号包絡線の信号レベルが、送信側のセンサユニットから送信された超音波と判定するための閾値THと閾値THより大きい判定値JVとの間となる受信信号包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、センサユニットは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV以上であって、判定値検出時刻と閾値検出時刻との間の受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって略直線状又は直線状である場合に、センサユニットが受信した受信信号を計測対象の超音波と判定する。従って、センサユニットは、受信信号包絡線の信号レベルの最大値が判定値JV未満である場合、又は、判定値検出時刻と閾値検出時刻との間の受信信号包絡線が所定時間(t)以上にわたって略直線状又は直線状でない場合には、センサユニットが受信した受信信号を計測対象の超音波と簡単に判定できる。
なお、本実施形態では、一階微分と二階微分の両方を用いて説明したが、センサユニットが直線部分を判断する場合には、一階微分又は二階微分のうちどちらかだけを用いても構わない。
送信側のセンサユニットは、超音波を発振する場合に、駆動回路14からの共振周波数の交流駆動電力の供給に応じて、立ち上がり部分から振幅を単調に増加して一定値の振幅になると飽和するような超音波を生成する。従って、受信側のセンサユニットにおいて受信された超音波の受信信号包絡線の立ち上がり部分は、直線状又は略直線状となる。
従って、センサユニットは、例えば定常ノイズレベルより高いノイズ信号を受信した場合には、判定値検出時刻と閾値検出時刻との間の受信信号包絡線が略直線状にも直線状にもならないので、受信信号が計測対象の超音波信号でないと簡単に判定できる。
また、センサユニットは、例えば突発的に生じた高いレベルのノイズ信号を受信した場合には、判定値検出時刻と閾値検出時刻との間の時間が所定時間t以上にならないので、受信信号が計測対象の超音波信号でないと簡単に判定できる。
また、センサユニットは、例えば前回の超音波の伝搬時間の計測時に送信された超音波の反射波信号を受信した場合には、同反射波信号の信号レベルが例えば測定対象空間K内の壁面又は物体に衝突して反射を繰り返したために受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値に満たないので、受信信号が計測対象の超音波信号でないと簡単に判定できる。
これにより、センサユニットは、受信信号が超音波信号であると判定するために用いられる閾値THの値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波の検出時刻を判定するための閾値THを上げずに、外部信号を排除して他のセンサユニットから送信された超音波信号を高精度に受信できる。
以下、上述した本発明に係る超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置及び超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法の構成、作用及び効果を説明する。
本発明の一実施形態は、温度の測定対象空間内に配置された超音波送信装置から送信された超音波信号を受信する受信部と、受信信号の包絡線の信号が、前記超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値と前記第1所定値より大きい第2所定値との間において、所定の条件を満たすか否かを判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信信号の包絡線の信号が前記所定の条件を満たす場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
この構成によれば、測定対象空間の空気中を伝搬する超音波の速度を基にして温度を測定する場合に、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線の信号が、超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値(閾値TH)と第1所定値(閾値TH)より大きい第2所定値(判定値JV)との間において、所定の条件を満たすか否かを判定する。超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線の信号が所定の条件を満たす場合に、受信信号を超音波送信装置から送信された超音波信号と判定し、受信信号の包絡線の信号が所定の条件を満たさない場合には、受信信号を超音波送信装置から送信された超音波信号と判定せず、例えばノイズ信号若しくは機器の破壊によって発生した超音波、又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号と簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば突発的に生じたノイズ信号若しくは機器の破壊によって発生した超音波、又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号(残響波信号)を受信した場合でも、受信信号が超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、ノイズ信号又は反射波信号(残響波信号)を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
本発明の一実施形態は、前記制御部が、前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる第2所定値検出時刻と前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第1所定値となる第1所定値検出時刻との時間差分が所定範囲内である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
超音波送信装置は、超音波信号を発振する場合に、共振周波数の交流駆動電力の供給に応じて、立ち上がり部分から振幅を単調に増加して一定値の振幅になると飽和する超音波信号を生成する。従って、超音波受信装置において受信された超音波信号の包絡線の立ち上がり部分は直線状となる。
この構成によれば、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値(判定値JV)となる第2所定値検出時刻(判定値検出時刻)と同信号レベルが第1所定値(閾値TH)となる第1所定値検出時刻(閾値検出時刻)との時間差分が所定範囲内である場合に受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号であると判定し、所定範囲外である場合には受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号と判定せず、例えばノイズ信号や機器の破壊によって発生した超音波、又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号と簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば突発的に生じたノイズ信号や機器の破壊によって発生した超音波、又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号(残響波信号)を受信した場合には、第2所定値検出時刻と第1所定値検出時刻との時間差分が所定範囲外となるので、受信信号が超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、ノイズ信号や機器の破壊によって発生した超音波又は反射波信号(残響波信号)を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
本発明の一実施形態は、前記所定範囲が、所定の基準時刻から前記超音波信号の最大包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる検出時刻までの時間から、前記所定の基準時刻から前記超音波信号の最小包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる検出時刻までの時間までである、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
この構成によれば、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、第2所定値検出時刻(判定値検出時刻)と第1所定値検出時刻(閾値検出時刻)との時間差分が、所定の基準時刻から超音波信号の最大包絡線の信号レベルが第2所定値となる検出時刻までの時間から、同基準時刻から超音波信号の最小包絡線の信号レベルが第2所定値となる検出時刻までの時間までであれば、受信信号を超音波送信装置から送信された超音波信号と簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば突発的に生じたノイズ信号又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号(残響波信号)を受信した場合には、第2所定値検出時刻と第1所定値検出時刻との時間差分が上述した所定範囲外となるので、受信信号が超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、ノイズ信号や機器の破壊によって発生した超音波又は反射波信号(残響波信号)を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
本発明の一実施形態は、前記制御部が、前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる第2所定値検出時刻と前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第1所定値となる第1所定値検出時刻との間の前記受信信号の包絡線が略直線状である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
超音波送信装置は、超音波信号を発振する場合に、共振周波数の交流駆動電力の供給に応じて、立ち上がり部分から振幅を単調に増加して一定値の振幅になると飽和する超音波信号を生成する。従って、超音波受信装置において受信された超音波信号の包絡線の立ち上がり部分は直線状となる。
この構成によれば、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば信号レベルが高いノイズ信号を受信した場合には、受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値となる第2所定値検出時刻と受信信号の包絡線の信号レベルが第1所定値となる第1所定値検出時刻との間の受信信号の包絡線が略直線状とならないので、受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号でないと簡単に判定できる。また、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値となる第2所定値検出時刻と受信信号の包絡線の信号レベルが第1所定値となる第1所定値検出時刻との間の受信信号の包絡線が略直線状となる場合には、受信信号を超音波送信装置から送信された超音波信号と簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、例えば信号レベルの高いノイズ信号を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
本発明の一実施形態は、前記制御部が、前記受信信号の包絡線が前記略直線状である時間が所定の時間以上である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
この構成によれば、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば突発的に生じたノイズ信号を受信した場合には、受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値となる第2所定値検出時刻と受信信号の包絡線の信号レベルが第1所定値となる第1所定値検出時刻との間の時間が所定の時間以上にならないので、受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号でないと簡単に判定できる。また、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値となる第2所定値検出時刻と受信信号の包絡線の信号レベルが第1所定値となる第1所定値検出時刻との間の時間が所定の時間以上である場合には、受信信号を超音波送信装置から送信された超音波信号と簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、例えば突発的に生じたノイズ信号を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
本発明の一実施形態は、前記制御部が、前記受信信号の包絡線の信号レベルの最大値が前記第2所定値未満である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定しない、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置である。
この構成によれば、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号を受信した場合には、同反射波信号の信号レベルが例えば測定対象空間内の壁面又は物体に衝突して反射を繰り返したために受信信号の包絡線の信号レベルが第2所定値に満たないので、受信信号が超音波送信装置から送信された超音波信号でないと簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号が超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、例えば前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
本発明の一実施形態は、超音波受信装置における超音波の伝搬時間計測のための受信方法であって、前記超音波受信装置が、温度の測定対象空間内に配置された超音波送信装置から送信された超音波信号を受信するステップと、前記超音波受信装置が、受信信号の包絡線の信号レベルが、前記超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値(閾値TH)と前記第1所定値より大きい第2所定値(判定値JV)との間となる前記受信信号の包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定するステップと、前記超音波受信装置が、前記受信信号の包絡線が前記所定の条件を満たす場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定するステップと、を有する、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法である。
この方法によれば、測定対象空間の空気中を伝搬する超音波の速度を基にして温度を測定する場合に、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線の信号レベルが、超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値(閾値TH)と第1所定値(閾値TH)より大きい第2所定値(判定値JV)との間となる受信信号の包絡線が所定の条件を満たすか否かを判定する。超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、受信信号の包絡線が所定の条件を満たす場合に、受信信号を超音波信号と判定し、受信信号の包絡線が所定の条件を満たさない場合には、受信信号を超音波信号と判定せず、例えばノイズ信号又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号と簡単に判定できる。
これにより、超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置は、例えば突発的に生じたノイズ信号又は前回の超音波の伝搬時間計測時に送信された超音波の反射波信号(残響波信号)を受信した場合でも、受信信号が超音波信号であると判定するために用いられる第1所定値(閾値TH)の値として大きな値を用いることなく、即ち、超音波信号の検出時刻を判定するための第1所定値(閾値TH)を上げずに、ノイズ信号又は反射波信号(残響波信号)を排除し、超音波送信装置から送信された超音波信号を高精度に受信できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した各実施形態において説明した伝搬時間の計測方法は、温度測定のために限定されず、例えばセンサユニット間の距離が不明である場合の距離測定のためにも適用可能である。
また、上述した各実施形態では温度測定はコントローラ1により算出されるが、マスタとして指定されたセンサユニットが同様な導出方法によって、温度を測定しても良い。
また、上述した実施形態では超音波の伝搬時間(TOF)はマスタとして指定されたセンサユニット(例えばセンサユニットSU6)によって導出されたが、コントローラ1によって導出されても良い。例えば、コントローラ1は、第1番目の計測経路(i=1)を構成する2個のセンサユニットSU6,SU1から計測時間(τ及びτ)を取得することによって、超音波の伝搬時間(TOF)を導出しても良い。なお、他の計測経路(i=2〜24)においても同様である。
なお、マスタとして指定されたセンサユニットがスレーブとして指定された他のセンサユニットからTOFを受け取って、湿度補正前の温度分布まで計算してコントローラ1に送信しても良い。この場合、コントローラ1は、マスタとして指定されたセンサユニットから送信されたデータを基に、湿度補正以降の処理を行う。また、セットデータもコントローラ1からでなく、マスタとして指定されたセンサユニットから送信されても良い。この場合、コントローラ1と送受信するのは、マスタとして指定されたセンサユニットだけとなる。
本発明は、空気中を伝搬する音波の速度を基にして測定対象空間の温度を測定する場合に、超音波送信器と超音波受信器との間における同期を必要とせずに、超音波の伝搬時間を簡易かつ高精度に計測する、温度測定のための伝搬時間計測システム及び温度測定のための伝搬時間計測方法として有用である。
1 コントローラ
2、11 プロセッサ
3、13 無線回路部
4 温湿度センサ
5 表示装置
12 メモリ
14 駆動回路
15 超音波送信器
16 超音波受信器
17 増幅回路
18 A/D変換器
SU1、SU2、SU3、SU4、SU5、SU6、SU7、SU8 センサユニット

Claims (7)

  1. 温度の測定対象空間内に配置された超音波送信装置から送信された超音波信号を受信する受信部と、
    受信信号の包絡線の信号が、前記超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値と前記第1所定値より大きい第2所定値との間において、所定の条件を満たすか否かを判定する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記受信信号の包絡線の信号が前記所定の条件を満たす場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置。
  2. 請求項1に記載の超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置であって、
    前記制御部は、前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる第2所定値検出時刻と前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第1所定値となる第1所定値検出時刻との時間差分が所定範囲内である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置。
  3. 請求項2に記載の超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置であって、
    前記所定範囲は、所定の基準時刻から前記超音波信号の最大包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる検出時刻までの時間から、前記所定の基準時刻から前記超音波信号の最小包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる検出時刻までの時間までである、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置。
  4. 請求項1に記載の超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置であって、
    前記制御部は、前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第2所定値となる第2所定値検出時刻と前記受信信号の包絡線の信号レベルが前記第1所定値となる第1所定値検出時刻との間の前記受信信号の包絡線が略直線状である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置。
  5. 請求項4に記載の超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置であって、
    前記制御部は、前記受信信号の包絡線が前記略直線状である時間が所定の時間以上である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定する、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置。
  6. 請求項1に記載の超音波の伝搬時間のための超音波受信装置であって、
    前記制御部は、前記受信信号の包絡線の信号レベルの最大値が前記第2所定値未満である場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定しない、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信装置。
  7. 超音波受信装置における超音波の伝搬時間計測のための受信方法であって、
    前記超音波受信装置が、温度の測定対象空間内に配置された超音波送信装置から送信された超音波信号を受信するステップと、
    前記超音波受信装置が、受信信号の包絡線の信号が、前記超音波送信装置から送信された超音波信号と判定するための第1所定値と前記第1所定値より大きい第2所定値との間において、所定の条件を満たすか否かを判定するステップと、
    前記超音波受信装置が、前記受信信号の包絡線の信号が前記所定の条件を満たす場合に、前記受信信号を前記超音波信号と判定するステップと、を有する、
    超音波の伝搬時間計測のための超音波受信方法。
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