JP2014100650A - 微生物の増殖抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製紙工場の工程水、洗浄水、冷却水、あるいは工場で使用される冷却塔の冷却水などの処理水が使用される状況下において、設備の腐食を起こすことなく、水中の微生物の増殖を抑制する方法を提供し、殺菌力が高く、その殺菌力が長時間持続する殺菌剤を提供する。また、製造管理が容易であり、高い殺菌力を示す殺菌剤が製造可能な製造方法を提供することも課題としている。
【解決手段】次亜ハロゲン酸塩を含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2を混合した後、製紙工場の工程水に代表される工程水、洗浄水、冷却水などの処理水に添加することによって、微生物の増殖を抑制することが可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、製紙工場の工程水、洗浄水、冷却水、あるいは工場で使用される冷却塔の冷却水などの処理水が使用される状況下において、設備の腐食を起こすことなく、水中の微生物の増殖を抑制する方法に関する。
製紙工場の工程水、洗浄水、冷却水、あるいは工場で使用される冷却塔の冷却水などの処理水が使用される状況下において、環境中および工業原料などから微生物が混入することにより、水中で微生物が増殖し、その結果様々なトラブルが生じることが問題となっている。
製紙工場で使用される白水と呼称される工程水や冷却水中において、微生物より代謝産生された粘性物質が水中の填料などの無機物、パルプ繊維、添加薬剤などの有機物を巻き込んだスライムと称されるバイオフィルムを形成する。このことが原因となって紙切れを起こして操業が中断したり、紙の品質低下を招く問題が発生する。
冷却水の循環再利用においても系外へ排出される水が極力少なくなり、冷却水中に微生物の栄養素などが蓄積されやすくなり、微生物が増殖する危険性が高くなっている。微生物の増殖によって、冷却効率の低下という問題が発生する。
このため、従来から産業活動において水を使用する場合、これらの水の中に有機塩素系殺菌剤、有機臭素系殺菌剤などの有機系殺菌剤を添加することによって、微生物の増殖を抑え、バイオフィルムの形成を防ぐことが行われてきた。しかしこれらの有機系殺菌剤は、皮膚刺激性の高いものがほとんどであり、また環境毒性に関しても高いものが多いという欠点を有していた。このため取り扱いに非常に注意を要し、現場作業員が安易に取り扱えないと言う問題点があった。
また近年では、次亜塩素酸ナトリウムに代表される次亜ハロゲン酸塩などの各種殺菌剤を添加し、微生物の増殖を防止することが行われている。しかし、次亜塩素酸ナトリウムのような次亜ハロゲン酸塩からなる殺菌剤は、殺菌力があまり高くないという欠点を有していて、かなり大量の薬剤を系内に連続的に添加しなければならない。しかも次亜ハロゲン酸塩は金属に対する腐食性を有しているため、あまり大量に使用すると製造機器や系内の設備を腐食させ、寿命を短くするという重大な欠点があった。さらに、製紙工場の工程水では還元性物質が含有されていることが多く、次亜塩素酸ナトリウムのような次亜ハロゲン酸塩は酸化剤であるため、特に殺菌効果を発揮しにくいという問題があった。
次亜塩素酸ナトリウムは、工業的に塩素と苛性ソーダから製造され、水溶液はアルカリ性のpHを示す。pHがアルカリ性の領域においては、ClOイオンが化学種として多く存在しており、酸性のpH、特にpHが5より低くなった場合に次亜塩素酸(HClO)が化学種として優勢となる。微生物に対する殺菌効果に関してはClOイオンよりもHClOの方が高く、pHが酸性領域において高い殺菌効果を示す。しかし次亜塩素酸は不安定であり、また酸性領域のpH範囲では金属腐食性が特に高いことから、次亜塩素酸そのものを殺菌剤として使用することは困難であった。
このような状況において、次亜ハロゲン酸塩の欠点を緩和するため、種々の無機塩を併用する方法が開発されてきた。例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、アンモニウム塩として臭化アンモニウムなどを、塩素とアンモニウムを等モルで反応させながら系内に添加し、殺菌する方法があった。
アンモニウムイオンと次亜塩素酸ナトリウムを反応させると、アンモニウムイオンの酸化によりクロラミン類が反応生成物として生じる。クロラミン類は結合塩素と呼ばれ、クロラミン類としてモノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミンの3種が存在する。アンモニウムイオンと次亜塩素酸ナトリウムの反応がアルカリ性で起こるときは、生成物としてモノクロラミンが優勢となり、酸性では逆にトリクロラミンが生成物として優勢となる。殺菌力に関してはモノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミンの順に高いことが知られており、高い殺菌力を維持するためには次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウムイオンとの反応液をアルカリ性のpH領域に維持する必要がある。
アンモニウムイオン源として臭化アンモニウムを使用し、次亜塩素酸ナトリウムと反応させる方法に関してもpHをアルカリ性の7以上に保持する必要があり、しかも臭化アンモニウムを使用すると、pHが7より低くなった場合は有毒な臭素ガスが発生し、重大な金属腐食を起こす危険性があった。
また次亜塩素酸ナトリウムと硫酸アンモニウムを反応させて系内に添加することによって殺菌する方法も提案されている。しかし硫酸アンモニウムを用いた場合も、次亜塩素酸ナトリウムと硫酸アンモニウムの混合比率を調整し、pHをアルカリ性の8〜11に調整する必要があった。
このように、アンモニウムイオンと次亜塩素酸ナトリウムの反応生成物の殺菌力の強弱について考慮した場合、反応液のpHによって存在する化学種が変化するため、安定した殺菌力を得るためにはpH調節が重要な要因を占めていた。
さらに、次亜ハロゲン酸塩とアンモニウム塩とを反応させ、アルカリ性に調整した反応液を対象とする処理水に添加して殺菌を行っても、製紙工場における処理水そのもののpHは中性から弱酸性であり、アルカリ性に調製した反応液を系内に注入しても即座にpHは処理水のpHまで低下し、十分に殺菌力を発揮できない問題があった。
特許第3497171号公報 特開2008−43836号公報 特開2008−221152号公報
本発明は、製紙工場の工程水、洗浄水、冷却水、あるいは工場で使用される冷却塔の冷却水などの処理水が使用される状況下において、設備の腐食を起こすことなく、水中の微生物の増殖を抑制する方法を提供することが課題である。さらに本発明は、殺菌力が高く、その殺菌力が長時間持続する殺菌剤を提供することを解決すべき課題としている。また製造管理が容易であり、高い殺菌力を示す殺菌剤が製造可能な製造方法を提供することも解決すべき課題としている。
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意研究を行った結果、次亜ハロゲン酸塩類とリン酸アンモニウム塩類を使用することで、製紙工場の工程水や洗浄水、冷却水を効率的に殺菌し、微生物の増殖を抑制することが可能であることを見出した。
すなわち本発明は、(1)次亜ハロゲン酸塩を含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2を混合した後、対象とする処理水に添加し、微生物の増殖を抑制する処理水の微生物増殖抑制方法であり、(2)リン酸アンモニウム塩が、リン酸一水素二アンモニウムおよび/またはリン酸二水素一アンモニウムである、処理水の微生物増殖抑制方法であり、(3)次亜ハロゲン酸塩が次亜塩素酸ナトリウムである、処理水の微生物増殖抑制方法であり、(4)次亜塩素酸ナトリウムを含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2の混合比が、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素量とリン酸アンモニウム塩のアンモニウムイオンのモル比率として1:1.5〜1:4である、処理水の微生物増殖抑制方法であり、(5)次亜塩素酸ナトリウムを含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2を混合した後、対象とする処理水に1〜5分以内に添加して微生物の増殖を抑制する、処理水の微生物増殖抑制方法であり、(6)処理水が製紙工場における製紙工程の白水である、処理水の微生物増殖抑制方法である。
本発明により、効率よく安価に、しかも高い殺菌効果も有する微生物の増殖を抑制する方法を提供することが可能となる。従来の塩化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムや、臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムを用いる方法では、混合条件によっては塩素イオンあるいは臭素イオンと次亜塩素酸ナトリウムとの反応によって塩素ガスあるいは臭素ガスが発生し、このようなガスが設備の金属部分の腐食を起こし、設備の寿命を大幅に短縮させる危険性を含み、さらに設備の安定な稼動を妨げる危険性を生じる。本発明は、次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩の両方を使用して、処理水中の微生物の増殖を抑制する方法であり、金属に対する腐食性が極めて低いことから次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩の混合液のpHを酸性領域まで含めた広いpH範囲で使用することができ、高い殺菌力による微生物の増殖抑制効果を発揮し、設備にダメージを与えることなく操業することを可能にする。さらに次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩の両方を使用することによって、還元剤を含有するような製紙工場の工程水であっても効率的に微生物の増殖を抑制することが可能となる。
本発明の方法について以下に詳しく述べる。本発明に使用する次亜ハロゲン酸塩には、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩および次亜ヨウ素酸塩を挙げることができ、これらの中で次亜塩素酸塩の使用が好ましく、塩としてはナトリウム塩の使用が好ましい。次亜塩素酸ナトリウムは、有効塩素の含有量として10〜12%の工業用の原料を使用することができる。
本発明に使用するリン酸アンモニウム塩には、リン酸一水素二アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウムが挙げられ、これらを混合して使用しても差し支えない。またこれらのリン酸アンモニウム塩は、いずれのグレードを使用しても差し支えなく、工業用の原料を簡便に使用することができる。リン酸アンモニウム塩としてリン酸二水素一アンモニウムを単独で用いた場合、水溶液のpHは約4であり、リン酸一水素二アンモニウムを単独で用いた場合の水溶液のpHは約9となる。従ってこの二種類の塩を混合して使用することによってpH4〜9の範囲の任意のpHの水溶液を自由に調製することができる。またその他のリン酸アンモニウム塩として、ポリリン酸アンモニウムを併用しても差し支えない。
次亜塩素酸ナトリウムとリン酸アンモニウム塩を混合して反応させた場合、例えばリン酸アンモニウム塩の水溶液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加した場合、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHはアルカリ性で通常はpH11程度であるにもかかわらず、リン酸アンモニウム塩の水溶液のpHは低下する。このため、未反応の次亜塩素酸ナトリウムは次亜塩素酸となり、高い殺菌力を示すようになる。さらに通常であればpHが低下すると、金属に対する腐食性を生じるという問題が発生するが、リン酸塩を使用することによって金属に対する腐食性を軽減することができ、またリン酸塩の緩衝作用によりpH変動のない安定したpHの反応液を得ることができる。製紙工場の工程水のpHは通常5〜7であり、殺菌によって微生物の増殖を抑制しようとする対象の処理水のpHに合わせるように、リン酸アンモニウム塩の水溶液を調製することが可能となる。
次亜塩素酸ナトリウムとリン酸アンモニウム塩を混合する比率に関しては、いずれかが極端に高くなければ十分な殺菌力をしめすが、より安定して高い殺菌力を維持するためには次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素とリン酸アンモニウム塩のアンモニウムの比が1:1.5〜1:4が好ましく、1:2〜1:4がより好ましい。この範囲の比率で反応させることによって、より高い殺菌力を得ることが可能となる。
次亜ハロゲン酸塩水溶液とリン酸アンモニウム塩水溶液を添加する場合、添加順序に制限はなく、次亜ハロゲン酸塩水溶液にリン酸アンモニウム塩水溶液を添加しても、また逆にリン酸アンモニウム塩水溶液に次亜ハロゲン酸塩水溶液を添加しても差し支えない。しかし、次亜ハロゲン酸塩の水溶液とリン酸アンモニウム塩の水溶液を、お互いに高濃度で混合すると反応が急激になって窒素ガスを発生する恐れがあるため、ある程度希釈された濃度で混合する方が好ましい。
低濃度で混合した方がガスの発生が緩慢になるため、次亜ハロゲン酸塩の濃度はハロゲン濃度として0.01〜3重量%、リン酸アンモニウム塩の濃度は0.01〜20重量%で混合することができ、好ましくは次亜ハロゲン酸塩の濃度0.05〜2重量%およびリン酸アンモニウム塩の濃度0.05〜14重量%、さらに好ましくは次亜ハロゲン酸塩の濃度0.05〜1重量%およびリン酸アンモニウム塩の濃度0.05〜7重量%で混合することができる。
このように希釈された各々の液のタンクを、微生物の増殖を抑制しようとする処理水がある施設内、例えば製紙工場内に設置することは、タンクの容量を大きくすることが必要となるため、製紙工場の工程水などに次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩を添加する方法としては、両方の化合物を溶解した高濃度の希釈液を、添加時に配管内で希釈しながら混合し、処理水に添加する方法が適している。
希釈しながら処理水に添加する場合、次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩の水溶液は高濃度のものを使用することができ、設置するタンクの容量を小さくコンパクトにすることができる。この場合の次亜ハロゲン酸塩の希釈液濃度は、例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液であれば塩素濃度10〜12%の工業用原料そのものを使用することも可能である。リン酸アンモニウム塩の水溶液についても、溶解度を越えない範囲で高濃度にすることができ、10〜30%、好ましくは10〜20%の範囲で希釈液を調製することができる。
本発明が対象とする処理水とは、製紙工場の工程水、洗浄水、冷却水、あるいは工場で使用される冷却塔の冷却水を示す。微生物の増殖を抑制しようとする対象の処理水への添加濃度は、ハロゲン濃度として0.1〜200ppmの範囲とすることで効率的に殺菌効果を得ることができ、好ましくはハロゲン濃度を0.5〜50ppm、さらに好ましくは0.7〜20ppm、よりさらに好ましくは1〜10ppmとするのが良い。ハロゲン濃度が200ppmよりも高い濃度で添加した場合には殺菌効力は十分であるが経済的に好ましくなく、またハロゲン濃度は0.1ppmよりも下回ると十分な殺菌力が得られず、微生物の増殖を抑制することが困難となる。
また、次亜ハロゲン酸塩の水溶液とリン酸アンモニウム塩の水溶液を混合して系内に連続的に注入する場合にはハロゲンの上記濃度範囲1〜10ppmとするのが最適であるが、間歇的に注入する場合にはより高濃度で添加する方が効果的な場合がある。間歇的に添加を行う場合、添加時間と1日の添加回数に制限はないが、1回の添加時間は5〜60分、好ましくは10〜30分であり、1日の添加回数は3〜24回/日、好ましくは6〜12回/日とするのが良い。例えば30分間の注入を6回/日行うような場合には、工程水中のハロゲン濃度が100〜200ppmの濃度となるように添加を行うことができる。
次亜ハロゲン酸塩の水溶液とリン酸アンモニウム塩の水溶液を水で希釈しながら添加する場合の設備に関して説明する。次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩のそれぞれの高濃度液のタンクを設置し、そこからポンプを用いた配管を設ける。また別に希釈水の配管を設け、その配管に次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩の水溶液の配管を別々に接合することによって希釈ラインとし、希釈された液が殺菌すべき処理水に添加される。希釈水の配管に接合する場所に関しては、次亜ハロゲン酸塩の水溶液を上流側あるいは下流側にしても差し支えないが、上流側とする方が好ましい。
次亜ハロゲン酸塩の水溶液とリン酸アンモニウム塩の水溶液を混合した液を微生物の増殖を抑制しようとする対象の処理水に添加する場合には、混合を行ってから一定時間内に添加することによって高い殺菌力を維持することができる。その一定時間としては添加直後から10分以内、1〜5分以内であることがより好ましい。
次亜ハロゲン酸塩およびリン酸アンモニウム塩を希釈するには通常、水を使用する。水については殺菌性能に影響がない範囲であれば特に制限はないが、有機物や金属塩などの不純物をできるだけ含有しないものが好ましい。特に鉄分を含有しないものが適している。
添加設備の配管の材質に関しては、影響がない限りいかなる材質のものを使用しても差し支えないが、リン酸アンモニウム塩の水溶液についてはステンレス製、塩ビ製、ポリプロピレン製、PTFEなどのフッ素樹脂製などを使用することができる。次亜ハロゲン酸塩の水溶液については塩ビ製、ポリプロピレン製、PTFE製などを使用することができ、金属製の配管の使用は避けたほうが良い。
次亜ハロゲン酸塩およびリン酸アンモニウム塩の水溶液を送液するためのポンプについては、材質などに影響がない限り、どのような方式のポンプを使用しても差し支えないが、例えばダイヤフラム式、ギヤー式、蠕動式、プランジャー式などのポンプを使用することができる。
次亜ハロゲン酸塩の水溶液またはリン酸アンモニウム塩の水溶液を配管内で希釈する場合、配管に混合を促進させる装置を設置することが可能である。このような装置としては、ラインミキサーなどを使用することができる。
配管を用いた希釈設備には、適正な希釈が行われるように流量をモニターし、コンピュータを利用した制御で管理することが好ましい。流量をモニターするためには、流量計を設置することが必要となり、このような流量計としては、例えば電磁式流量計やベンチュリ管などを使用することができる。
本発明の次亜ハロゲン酸塩とリン酸アンモニウム塩を用いた微生物の増殖抑制方法に、従来から使用されていた有機系の殺菌剤を併用して工程に適用することも可能である。このような殺菌剤は、本発明の効果を妨げない範囲において制限されないが、例えばジクロログリオキシム、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2−メチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オン、2−オクチルイソチアゾリン−3−オン、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、メチレンビスチオシアネート、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドなどが挙げられる。これらの殺菌剤の内、特に水溶性のものが適している。これらの殺菌剤を併用する場合には、本発明の次亜ハロゲン酸塩の水溶液に混合することは避ける方が良く、リン酸アンモニウム塩水溶液に配合することが可能である。また次亜ハロゲン酸塩の水溶液およびリン酸アンモニウム塩の水溶液とは別に、殺菌剤を含有する薬剤を添加することも可能である。
次に本発明の実施例および試験例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験例1)モデル白水における殺菌効果確認試験
製紙会社の白水は抄き物によって主原料であるパルプの組成や添加される各種製紙用薬剤の構成が異なるためそれが効力評価結果に多大な影響を与える。そのため供試試料として、均質かつ他製紙用薬剤の影響を受けない状態で薬剤自身の殺菌力を比較するために、モデル白水を用いることとした。
精製水98.8部にセルロースパウダー1部、栄養分として普通ブイヨン培地(栄研化学製:普通ブイヨン培地(肉エキス3g、ペプトン10g、塩化ナトリウム5g)を精製水1000mlに溶解)0.2部を加えたものに、供試菌としてEscherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniaeを生菌数値としてLog値6〜7になるように添加したものをモデル白水とした。
表1に示す各供試薬剤を有効塩素としてそれぞれの濃度で混合し1分間保持し反応を行った後モデル白水に添加し、15分間接触させた後、モデル白水の生菌数を測定した。その結果を表2に示す。表中の生菌数はLog値である。なお、次亜塩素酸ナトリウム(和光純薬製:NaClO有効塩素濃度12%以上)溶液とリン酸一水素二アンモニウム(和光純薬製:(NH)HPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸二水素一アンモニウム(和光純薬製:NHPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と臭化アンモニウム(和光純薬製:NHBr)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と硫酸アンモニウム(和光純薬製:(NH4)SO)溶液とを混合した供試薬剤は、それぞれの成分中の有効塩素およびアンモニウムのモル比が、有効塩素:アンモニウム=4:1〜1:4となるように調製した。以下の試験例においても同様とする。なお表中の%は重量%を示す。
Figure 2014100650
Figure 2014100650
次亜塩素酸ナトリウムにリン酸アンモニウム塩類を添加した実施例1〜15は同濃度での次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と臭化アンモニウム(NHBr)溶液とを混合した比較例1〜3、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と硫酸アンモニウム((NH)SO)溶液とを混合した比較例4〜6、および次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液単独の比較例7よりも優れた殺菌力が得られた。
(試験例2)モデル白水における静菌効果確認試験
精製水に栄養分として10倍濃度変性ワックスマン液体培地(ペプトン10g、塩化ナトリウム5g)を精製水1000mlに溶解)1%を加えたものに、供試菌としてEscherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus
aureus、Klebsiella pneumoniaeを生菌数値としてLog値6〜7になるように添加し、表2に示す各供試薬剤を有効塩素としてそれぞれの濃度で混合し1分間保持し反応を行った後添加したものをマイクロプレートに分注しマイクロプレートリーダーにセットし、30℃で振盪培養を行い試料の濁度を測定した。
濁度が急激に上がった時間(濁度の立上がり時間)を表3に示す。なお、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO有効塩素濃度12%)溶液とリン酸一水素二アンモニウム((NH)HPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸二水素一アンモニウム(NHPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と臭化アンモニウム(NHBr)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と硫酸アンモニウム((NH)SO)溶液とを混合した供試薬剤は、それぞれの成分中の有効塩素およびアンモニウムのモル比が、有効塩素:アンモニウム=4:1〜1:4となるように調製した。
Figure 2014100650
次亜塩素酸ナトリウムとリン酸二水素一アンモウムとの混合液が最も濁度の立ち上がりを抑えており細菌の活性を抑える静菌力に優れていた。
(試験例3)還元剤共存状態における殺菌効果確認試験
原料の漂白に用いられる二酸化チオ尿素(某製紙会社より入手パルプ漂白剤FAS:CHNOS)を5ppm添加したモデル白水を用いて試験例1と同様に殺菌力を評価し表4に示す。
Figure 2014100650
次亜塩素酸ナトリウムは二酸化チオ尿素が共存状態では殺菌効果が著しく低下していたが、リン酸アンモニウム塩との混合系では殺菌効果の低下はほとんど認められなかった。
(試験例4)金属腐食性試験
蒸留水に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸一水素二アンモニウム((NH)HPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸二水素一アンモニウム(NHPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と臭化アンモニウム(NHBr)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と硫酸アンモニウム((NH)SO)溶液とを混合した供試薬剤を、それぞれの成分中の有効塩素およびアンモニウムのモル比が、有効塩素:アンモニウム=4:1〜1:4となるようにそれぞれの濃度で混合し1分間保持し反応を行い調製した後添加した。そこにSUS316製の金網300メッシュを浸漬し、40℃において4週間保管し、経時による外観の変化および重量変化を表5に示す。
Figure 2014100650
臭化アンモニウムもしくは硫酸アンモニウムと次亜塩素酸を混合した系では金属腐食性が進行することが確認された。 一方、リン酸アンモニウム塩を加えた系では金属腐食性が認められなかった。
(試験例5)薬剤接触時間における殺菌効果確認試験
次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸一水素二アンモニウム((NH)HPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸二水素一アンモニウム(NHPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と臭化アンモニウム(NHBr)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と硫酸アンモニウム((NH)SO)溶液とを混合した供試薬剤を、それぞれの成分中の有効塩素およびアンモニウムのモル比が、有効塩素:アンモニウム=4:1〜1:4となるように調製した直後、1分後、5分後、10分後にモデル白水に、濃度が有効塩素として3ppmとなるように添加し殺菌力を評価した。その結果を表6に示す。表中の生菌数はLog値である。
Figure 2014100650
*供試薬剤(有効塩素)添加濃度:3ppm
(試験例6)白水における殺菌効果確認試験
某製紙工場の白水(印刷・情報用紙抄造 pH=7.3 菌数=2×10cfu/mL)を供試白水とし、各供試薬剤を有効塩素としてそれぞれの濃度で混合し5分間保持し反応を行った後白水に添加し、15分間接触させた後、白水の生菌数を測定した。その結果を表7に示す。表中の生菌数はLog値である。なお、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸一水素二アンモニウム((NH)HPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液とリン酸二水素一アンモニウム(NHPO)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と臭化アンモニウム(NHBr)溶液、あるいは次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液と硫酸アンモニウム((NH)SO)溶液とを混合した供試薬剤は、それぞれの成分中の有効塩素およびアンモニウムのモル比が、有効塩素:アンモニウム=4:1〜1:4となるように調製した。
Figure 2014100650
次亜塩素酸ナトリウムとリン酸アンモニウム塩を混合した実施例1〜12は、比較例1〜7よりも菌数低下の幅が特に大きく、実際の製紙工場の白水に対しても有効性が確認された。
本発明により、製紙工場の工程水に代表される工程水、洗浄水、冷却水を、設備の金属腐食を起こすことなく、安定して微生物の増殖を抑制することが可能となる。

Claims (6)

  1. 次亜ハロゲン酸塩を含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2を混合した後、対象とする処理水に添加し、微生物の増殖を抑制することを特徴とする処理水の微生物増殖抑制方法。
  2. リン酸アンモニウム塩が、リン酸一水素二アンモニウムおよび/またはリン酸二水素一アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載の処理水の微生物増殖抑制方法。
  3. 次亜ハロゲン酸塩が次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の処理水の微生物増殖抑制方法。
  4. 次亜塩素酸ナトリウムを含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2の混合比が、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素量とリン酸アンモニウム塩のアンモニウムイオンのモル比率として1:1.5〜1:4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の処理水の微生物増殖抑制方法。
  5. 次亜塩素酸ナトリウムを含有する薬液1とリン酸アンモニウム塩を含有する薬液2を混合した後、対象とする処理水に1分〜5分以内に添加して微生物の増殖を抑制することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の処理水の微生物増殖抑制方法。
  6. 処理水が、製紙工場における製紙工程の白水であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の処理水の微生物増殖抑制方法。


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