しかしながら、上記したような水難用救命具の場合には、身体を水面に浮かべる事は出来たが、津波や水害で避難する場合、一時的に身体全体が水中に水没して水を多量に飲み込み気絶して死亡する場合が多く、従来の水難用救命具において、頭部が水中に水没して呼吸困難に陥る事態を想定して作られている製品は無かった。
さらに、水難用救命具を使用する際に煩わしい動作を伴うため、身体への装着が正しい手順で行われないと、水難用救命具が機能どおりの能力を発揮出来なくなったり、使用中に救命具が身体から外れたりする事があり、不適切に使用すると人命に関わるといった問題があった。
さらに、上記したような水難用救命具の場合でも、エアーバックを膨満するためのガスボンベは水難用救命具に装着されていたが、身体が水中に水没した場合、人間が水中で呼吸するために使用する小型ボンベは水難用救命具に装備されていなかった。
また、従来から一般販売されている本格的な水難用救命具は、サイズが大きくて重く、ふだん持ち歩く小型バック等に収納する事が出来ないため、外出先で津波や洪水等に遭遇した場合に、その場で水難用救命具を装着して避難する事が出来なかった。
さらに、地下街や地下鉄のトンネルの内部で水害にあった場合、水難用救命具を所持していないため、自らの力で水面に浮かび、泳いで避難するしか方法がなく、水泳の苦手の人の場合は溺れて死亡する危険性が高かった。
本発明は、上記の問題の解決を図るもので、小型で持ち運びが簡単で小型バックの中にも収納でき、津波や水害で避難する際に、頭部を水上へ浮上させると共に、頭部が水中に水没した場合でも呼吸する事ができ、水中で呼吸している場合でも笛と非常点滅灯が避難者の位置を、救助してくれる人々(救助隊)に確実に知らせる事が出来る水難用救命具を提供する事を課題とする。
さらに、都市の地下街や地下鉄のトンネルの中で水害にあった場合においても、その場で水難用救命具を装着する事により身体が水面に浮かび、陸上に避難する事ができる場所(地下街の場合には地上出口、地下鉄の場合には地下鉄駅のホーム等)まで、たどり着く事が出来る水難用救命具を提供する事を課題とする。
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、津波や水害等で避難する際に装着する水難用救命具において、胸部に装着するための首ベルトと胸ベルトが取付けられ、給排気口にストロー式逆止弁を取付けた胸装着用エアーバックと、頭部に装着するため、頭上部が楕円形の樹脂フィルムで成形された頭上部カバーの外周部と、顔面部が1枚の透明な樹脂フィルムで、顔面下部と側頭部と後頭部は2枚の樹脂フィルムにストロー式逆止弁を取付け周囲を溶着した頭部回りエアーバックの上部外周部を結合して溶着し側頭部の下部に肩紐を取付けた頭部エアーバックで構成した事を特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、小型酸素ボンベに酸素吸入口を取付け、酸素吸入口と人間が外気を呼吸するための給排気口を、口に銜える事が出来るように、口当て止水カバーに固定すると共に、外気を給排気するための呼吸装置の給排気筒を伸縮可能に構成し、給排気筒の上部に笛を内臓し、上端部にはLED点滅灯を取付け、酸素吸入口を、胸装着用エアーバックの給排気口に接続する事が出来るように構成した事を特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1と2に記載の構造に加え、呼吸装置の給排気筒を縮めた際、給排気筒の上端部に取付けたLED点滅灯の外部カバーが給排気筒の上部と密接し、呼吸装置の内部へ水の浸入を防いだ事を特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1及至3に記載の構造に加え、呼吸装置の給排気筒を、口当て止水カバーに対して回動自在に構成すると共に、口当て止水カバーと給排気口と酸素給気口を柔らかい樹脂で成型し、小型酸素ボンベを芯にして胸装着用エアーパックと頭部回りエアーバックを丸め、通常時には手の平に収まるか、それよりやや大きい程度のサイズに小型化し、小型バックの中へ収納出来るようにした事を特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、頭部回りエアーバックは、透明な1枚の樹脂フィルムを概ね長方形に裁断し、さらに両肩に対応する部分を逆Uの字形に裁断すると共に、もう1枚の概ね凹形状に裁断した樹脂フィルムを、長方形に裁断した樹脂フィルムに重ね、顔面中央下部の2枚の樹脂フィルムを縦に切断し、2枚の樹脂フィルムの周囲を溶着してエアーバックを形成した事を特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1と5に記載の構造に加え、頭部回りエアーバックの縦方向に、上下に空気の通気層を設けた複数個所の間仕切り用の溶着部を形成し、頭部側面を略円筒状の形状をした複数のエアーバックで囲う事により、津波等の中の漂流物と頭部が接触した場合、頭部への損傷を抑えた事を特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1と5と6に記載の構造に加え、頭部回りエアーバックの、円筒状に膨らんだ部分が耳に当接するように形成する事により、水が耳の中へ入いるのを防ぐと共に、津波等の中の漂流物と身体が接触した際、耳部への損傷を抑えた事を特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、ストロー式逆止弁に挿入するストローに、シート状の抜落ち防止用のストッパーを溶着すると共に、逆止弁用の2枚の薄い樹脂フィルムの両横を溶着する際、中央部にストローを通過させる事ができる隙間を開けて両横の一部を横凸形状に溶着して抜落ち防止溶着部を形成した事を特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、ストロー式逆止弁に挿入するストローに、下部がストローの円周と概ね同一円周で上部が傘のように開いた柔らかい樹脂で成形された逆抜防止ストッパーを取付けると共に、ストロー上部にストローに対して概ね90度曲げて口で自在に回転させる事が出来る給排気部を形成し、さらに給排気部の下端はストローを挿入するストロー挿入口より太く形成し、紿排気部の先端には給排気口を口で銜える事が出来るようにリング状の口銜部を形成した事を特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1と2と8と9に記載の構造に加え、酸素給気口を、エアーバックのストロー式逆止弁に挿入したストローに接続して小型酸素ボンベの酸素でエアーバックを膨らませ、津波や水害等で避難する際、身体全体が津波や洪水に飲み込まれて息が出来なくなる様な危機的状況に陥っても、エアーバックの中の酸素を、エアーバックのストロー式逆止弁に挿入したストローで呼吸して避難出来るように構成した事を特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1と5に記載の構造に加え、頭部回りエアーバックの顔面部分の下部中央に、樹脂フィルムを複数枚重ねて溶着した呼吸装置挿入部を形成すると共に、呼吸装置挿入部の縦中央部を切断し、左右に呼吸装置の給排気口と酸素吸気口を挿入するための穴を開けた事を特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1と2と5及至9に記載の構造に加え、頭部回りエアーバックの顔面下部に、呼吸装置の小型酸素ボンベを収納するための酸素ボンベポケットが取付けられた内カバーを配置し、内カバーの一端を頭部回りエアーバックに溶着し、他端にマジックテープを取付け、さらに頭部回りエアーバックにも、内カバーのマジックテープに対応する箇所にマジックテープを取付け、頭部回りエアーバックの顔面下部の顔面下切断部を、内カバーで開閉自在に出来るように構成した事を特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1と2と5及至9と12に記載の構造に加え、頭部回りエアーバックの顔面下部の内カバーの前面に、内カバーの酸素ボンベポケットを押さえるための外カバーを配置し、外カバーの一端を頭部回りエアーバックに溶着し、他端にマジックテープを取付けると共に、さらに顔面下部の頭部回りエアーバックにも、外カバーのマジックテープに対応する箇所にマジックテープを取付け、酸素ボンベポケットを外カバーで押さえた事により、手で呼吸装置を保持する必要が無くなった事を特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項1と5及至7と12と13に記載の構造に加え、胸装着用エアーバックと頭部エアーバックを筒状に丸めて長期間保管した場合でも、樹脂フィルム同士が貼り付かないようにポリウレタンフィルムを使用した事を特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1と8及至10に記載の構造に加え、ストロー式逆止弁をポリウレタン樹脂で成形すると共に、ストロー式逆止弁に挿入するストローをポリプロピレン又はポリエチレンで成形し、ストロー先端部の口銜部をポリウレタンで成形した事を特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項1及至4に記載の構造に加え、小型酸素ボンベに取付ける酸素吸入口と、人間が外気を呼吸するための給排気口と口当て止水カバーをポリウレタン樹脂で成形すると共に、呼吸装置の給排気筒をABS樹脂で成型した事を特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、津波や水害等で避難する際に装着する水難用救命具において、胸部に装着するための首ベルトと胸ベルトが取付けられ、給排気口にストロー式逆止弁を取付けた胸装着用エアーバックと、頭部に装着するため、頭上部が楕円形の樹脂フィルムで成形された頭上部カバーの外周部と、顔面部が1枚の透明な樹脂フィルムで、顔面下部と側頭部と後頭部は2枚の樹脂フィルムにストロー式逆止弁を取付け周囲を溶着した頭部回りエアーバックの上部外周部を結合して溶着し側頭部の下部に肩紐を取付けた頭部エアーバックで構成した事により、胸装着用エアーパックと三次元で顔面部を透明な樹脂フィルムで成形した立体的な頭部エアーバックが視界を良好に保つと共に、エアーバックを頭部回りカバーに一体で溶着したため、エアーバックの位置がずれる事なく安定し、頭部を含む身体全体が、津波や洪水等に飲み込まれて息が出来なくなる様な危機的状態に陥っても、水が鼻や口から大量に体内に入って窒息死するような事態を防ぐ事が可能となった。
請求項2に記載の発明によれば、小型酸素ボンベに酸素吸入口を取付け、酸素吸入口と人間が外気を呼吸するための給排気口を、口に銜える事が出来るように、口当て止水カバーに固定すると共に、外気を給排気するための呼吸装置の給排気筒を伸縮可能に構成し、給排気筒の上部に笛を内臓し、上端部にはLED点滅灯を取付け、酸素吸入口を、胸装着用エアーバックの給排気口に接続する事が出来るように構成した事により、小型の酸素ボンベの中の酸素を利用して胸装着用エアーバックを膨らませる事が出来るようになると共に、津波のような危機的状態で避難する場合、身体が水中に水没している状態では小型酸素ボンベに取付けられた酸素吸入口から酸素を吸う事により呼吸を可能とし、さらに人間が水面に浮かんで外気を呼吸をする場合、給排気口で呼吸する事により笛とLED点滅灯が水面上に出て、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が可能となった。
請求項3に記載の発明によれば、呼吸装置の給排気筒を縮めた際、給排気筒の上端部に取付けたLED点滅灯の外部カバーが給排気筒の上部と密接し、呼吸装置の内部へ水の浸入を防いだ事により、簡単な構造で呼吸装置の給排気筒から水の浸入を防ぐ事が可能となった。
請求項4に記載の発明によれば、呼吸装置の給排気筒を、口当て止水カバーに対して回動自在に構成すると共に、口当て止水カバーと給排気口と酸素給気口を柔らかい樹脂で成型し、小型酸素ボンベを芯にして胸装着用エアーパックと頭部回りエアーバックを丸め、通常時には手の平に収まるか、それよりやや大きい程度のサイズに小型化し、小型バックの中へ収納出来るようにした事により、常に小型バック等の中に携帯式津波救命具を入れて外出していれば、例えば、地下鉄のトンネル内で津波や洪水等の水害に遭遇して避難するような場合でも、直ちに携帯式津波救命具を装着する事ができ、頭部を含む身体全体が津波や洪水等にのみ込まれて息が出来なくなる様な危機的状態に陥っても、水が鼻や口から大量に体内に入って窒息死するような事態を防ぐ事が可能となった。
請求項5に記載の発明によれば、頭部回りエアーバックは、透明な1枚の樹脂フィルムを概ね長方形に裁断し、さらに両肩に対応する部分を逆Uの字形に裁断すると共に、もう1枚の概ね凹形状に裁断した樹脂フィルムを、長方形に裁断した樹脂フィルムに重ね、顔面中央下部の2枚の樹脂フィルムを縦に切断し、2枚の樹脂フィルムの周囲を溶着してエアーバックを形成した事により、透明な1枚の樹脂フィルムが広い視界を確保し、さらに頭部カバーとエアーバックを一体で構成した事によりエアーバックがより頭部に密着し、頭部回りエアーバックの製作も容易で、製作日数の短縮と制作費を安く抑える事が可能となった。
請求項6に記載の発明によれば、頭部回りエアーバックの縦方向に、上下に空気の通気層を設けた複数個所の間仕切り用の溶着部を形成し、頭部側面を略円筒状の形状をした複数のエアーバックで囲う事により、エアーバックを折り曲げる事なく略円筒状の複数のエアーバックが頭部回りを囲う形となり、頭部を津波等の中の漂流物と頭部が接触した場合、頭部を保護して安全に避難する事が可能となった。
請求項7に記載の発明によれば、頭部回りエアーバックの、円筒状に膨らんだ部分が耳に当接するように形成する事により、水が耳の中へ入いるのを防ぐと共に、津波等の中の漂流物と身体が接触した際、耳部への損傷を抑えた事により、津波のような危機的状態で避難する場合、周囲の状況を聞き取る事が出来ない様な事態を防ぐと共に、頭部を保護して安全に避難する事が可能となった。
請求項8に記載の発明によれば、ストロー式逆止弁のストローに、シート状の抜落ち防止用のストッパーを溶着すると共に、逆止弁用の2枚の薄い樹脂フィルムの両横を溶着する際、中央部にストローを通過させる事ができる隙間を残して両横の一部を横凸形状に溶着して抜落ち防止溶着部を形成した事により、緊急時で気が動転している場合でも、ストローがストロー式逆止弁から抜け落ちる事なく確実に息を給排気する事が可能となった。
請求項9に記載の発明によれば、ストロー式逆止弁のストローに、下部がストローの円周と概ね同一円周で上部が傘のように開いた柔らかい樹脂で成形された逆抜防止ストッパーを取付けると共に、ストロー上部にストローに対して概ね90度曲げて口で自在に回転させる事が出来る給排気部を形成し、さらに給排気部の下端はストローを挿入するストロー挿入口より太く形成し、給排気部の先端には給排気口を口で銜える事が出来るようにリング状の口銜部を形成した事により、緊急時で気が動転している場合でも、ストローがストロー式逆止弁から抜け落ちる事なく確実に息を給排気する事が可能となった。
請求項10に記載の発明によれば、酸素給気口を、エアーバックのストロー式逆止弁に挿入したストローに接続して小型酸素ボンベの酸素でエアーバックを膨らませ、津波や水害等で避難する際、身体全体が津波や洪水に飲み込まれて息が出来なくなる様な危機的状況に陥っても、エアーバックの中の酸素を、エアーバックのストロー式逆止弁に挿入したストローで呼吸して避難出来るように構成した事により、津波のような危機的状態の中で避難する場合、一時的に身体全体が水中に水没するような事態に陥っても、エアーバックの中の酸素を、ストロー式逆止弁に挿入したストローを口に銜えて呼吸し避難する事が可能となった。
請求項11に記載の発明によれば、頭部回りエアーバックの顔面部分の下部中央に、樹脂フィルムを複数枚重ねて溶着した呼吸装置挿入部を形成すると共に、呼吸装置挿入部の縦中央部を切断し、左右に呼吸装置の給排気口と酸素吸気口を挿入するための穴を開けた事により、給排気口と酸素吸気口を容易に口に銜える事が可能になると共に、口に給排気口と酸素吸気口を口に銜えた際に、口当て止水カバーが呼吸装置挿入部に密着して給排気口と酸素吸気口から水が浸入するのを防止する事が可能となった。
請求項12に記載の発明によれば、頭部回りエアーバックの顔面下部に、呼吸装置の小型酸素ボンベを収納するための酸素ボンベポケットが形成された内カバーを配置し、内カバーの一端を頭部回りエアーバックに溶着し、他端にマジックテープを取付け、さらに頭部回りエアーバックにも、内カバーのマジックテープに対応する箇所にマジックテープを取付け、頭部回りエアーバックの顔面下部の顔面下切断部を、内カバーで開閉自在に出来るように構成した事により、顔面下部の顔面切断部からの水の進入を内カバーで防止すると共に、手で小型酸素ボンベを保持する必要がなくなり、津波のような危機的の中で避難する際、自由に両手を使って避難する事が可能となった。
請求項13に記載の発明によれば、頭部回りエアーバックの顔面下部の内カバーの前面に、内カバーの酸素ボンベポケットを押さえるための外カバーを配置し、外カバーの一端を頭部回りエアーバックに溶着し、他端にマジックテープを取付けると共に、さらに顔面下部の頭部回りエアーバックにも、外カバーのマジックテープに対応する箇所にマジックテープを取付け、酸素ボンベポケットを外カバーで押さえた事により、手で呼吸装置を保持する必要が無くなり、呼吸装置が頭部回りエアーバックに固定され、津波のような危機的の中で避難する際、自由に両手を使って避難する事が可能となった。
請求項14に記載の発明によれば、胸装着用エアーバックと頭部エアーバックを筒状に丸めて長期間保管した場合でも、樹脂フィルム同士が貼り付かないようにポリウレタンフィルムを使用した事により、樹脂同士が貼り付かず性能が損なわれない携帯式津波救命具を製造する事が可能となった。
請求項15に記載の発明によれば、ストロー式逆止弁をポリウレタンで成形すると共に、ストロー式逆止弁に挿入するストローをポリプロピレン又はポリエチレンで成形し、ストロー先端部の口銜部をポリウレタン樹脂で成形した事により、本発明の携帯式津波救命具を小型酸素ボンベを芯にして胸装着用エアーバックと頭部回りエアーバックを丸め、通常時には手の平に収まるか、それよりやや大きい程度のサイズに小型化する際、ストローは人が手で丸めた場合でも板状に潰れる事なく、口銜部は柔らかく圧縮可能に構成した事により携帯式津波救命具を小型化する事が可能となった。
請求項16に記載の発明によれば、小型酸素ボンベに取付ける酸素吸入口と、人間が外気を呼吸するための給排気口と口当て止水カバーをポリウレタン樹脂で成形すると共に、呼吸装置の給排気筒をABS樹脂で成型した事により、本発明の携帯式津波救命具を小型酸素ボンベを芯にして胸装着用エアーバックと頭部回りエアーバックを丸め、通常時には手の平に収まるか、それよりやや大きい程度のサイズに小型化する際、呼吸装置の給排気筒は人が手で丸めた場合でも板状に潰れる事なく、酸素吸入口と給排気口と口当て止水カバーは柔らかく圧縮可能に構成した事により携帯式津波救命具を小型化する事が可能となった。
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1及至図17には、この発明の実施の形態1を示す。
図1は、本発明の携帯式津波救命具1を人間6が胸部と頭部に装着した状態を、前方向(図1a)と横方向(図1b)で示す。
図2は、胸部に装着する胸装着用エアーバック5を示す。胸装着用エアーバック5は、図2aで示すように、2枚の樹脂フィルムを概ね台形に裁断し、上部左右に首ベルト8用のハトメ23を取付け、下部左右には胸ベルト14を装着するためのハトメ24を取付け、さらに上部中央の2枚の樹脂フィルムの間にストロー式逆止弁20を挟み込み溶着部19で示すように周囲を溶着し、ハトメ23に取付けた首ベルト8を首に巻いて胸装着用エアーバック5を首に被り、さらにハトメ24に取付けた胸ベルト14で胸回りを固定し、ストロー式逆止弁20の口銜部21から息を吹込む事により、胸装着用エアーバック5を膨らませ、人間6が水中に水没した際の浮力を確保する。図2bは人間6が胸装着用エアーバック5を胸に装着した状態を示す。
図3は、頭部に装着する頭部エアーバック2を示す。頭部エアーバック2は、図3a、図3bで示すように、楕円形状に樹脂フィルムを裁断した頭上部カバー30(図3a)と、頭部回りエアーバック32(図3b)で構成される。
図3bで示す頭部回りエアーバック32は、透明な一枚の樹脂フィルムを概ね長方形に裁断し、さらに両肩部に対応する肩回り38、肩回り41の部分を逆Uの字形に裁断すると共に、肩回り38、肩回り41の両横下部にハトメ40を取付け、もう一枚の概ね凹形状に裁断した樹脂フィルムを、長方形に裁断した樹脂フィルムの上に重ね、顔面中央下部の2枚の樹脂フィルムの顔面下切断部39を縦に切断し、切断した左右上部の2枚の樹脂フィルムの間にストロー式逆止弁43、ストロー式逆止弁44を挟み込み、エアーバックが膨らんだ際に、概ね円筒状の空気室が縦方向に形成されるように縦方向に溶着部12、溶着部11、溶着部34、溶着部36を形成して2枚の樹脂フィルムを溶着し、さらに2枚の樹脂フィルムの周囲を溶着部35で示すように溶着する事により頭部回りエアーバック32が形成される。このように形成された頭部回りエアーバック32の後頭部合せ部37と後頭部合せ部42を結合して溶着し、頭部回りエアーバック32の上部の溶着部35と、頭上部カバー30の外周の溶着部31を重ねて溶着する事により、図3cに示すような三次元の立体的な形状をした頭部エアーバック2が形成され、人間6が肩紐7を脇の下に回して頭部エアーバック2を被り、肩紐7の長さを調整して頭部エアーバック2を固定し、ストロー式逆止弁43、ストロー式逆止弁44に挿入されたストローから息を吹込む事により頭部回りエアーバック32が膨らみ、津波や洪水等で避難する際、頭部を水上に浮かせる事が可能になると共に、頭部が水中に水没した場合も頭部エアーバック2の内部へ水の進入するのを防ぎ、さらに複数の略円筒状のエアーバックが頭部回りを囲う形状となるため、頭部を津波等の中の漂流物と頭部が接触した場合でも、エアーバックが頭部を保護して安全に避難する事が可能となる。なお、頭部回りエアーバック32は、顔面中央下部の2枚の樹脂フィルムの顔面下切断部39を縦に切断し、切断した左右上部の2枚の樹脂フィルムの間にストロー式逆止弁43、ストロー式逆止弁44を挟み込み溶着して形成する事により、頭部回りエアーバック32は人間の顔面に対して、左右別々の独立した空気室(エアーバック)で形成される。
さらに、頭部回りエアーバック32の溶着部11と溶着部12の間の円筒状の空気室と、溶着部34と溶着部36の間の円筒状の空気室を、耳全体を覆うように大きく形成する事により、円筒状の空気室が耳に押し付けられ水が耳に浸入する事を防ぐ。
図4は、図3で説明した頭部エアーバック2を立体図で示す。顔面透明部33の下部に透明な樹脂フィルムを裁断した蒲鉾状の補強シート51を溶着すると共に、補強シート51の前面上部に、補強シート51の上部分と同一形状をした上部補強シート50を溶着し、溶着した補強シート51の中央部を顔面透明部33と共に縦に切断し、切断した右側の補強シート51面に、図11で説明する酸素給気口111を挿入するための横長で蒲鉾形状の酸素給気口挿入穴55を開口すると共に、切断した左側の補強シート51面に、図11で説明する給排気口109を挿入するため横長で蒲鉾形状をした給排気口挿入穴54を開口する。このように構成する事により、呼吸装置挿入部53が薄板形状の樹脂フィルムとなり、図11で説明する呼吸装置100の酸素給気口111と給排気口109を口で銜える際に、呼吸装置100が上下左右に動くのを防止して安定した状態を保つと共に、図11で説明する、呼吸装置100の口当て止水カバー112が呼吸装置挿入部53に密着して頭部エアーバック2の内部へ水が浸入するのを防ぐ。図4cの拡大図で、顔面透明部33に溶着した補強シート51と上部補強シート50を斜め斜線により表示する。
図5は、図4で説明した酸素給気口挿入穴55と給排気口挿入穴54の穴位置と、ストロー式逆止弁43、ストロー式逆止弁44との位置関係を拡大図で示す。ストロー式逆止弁43とストロー式逆止弁44を、顔面下切断部39の左右上部の口元近くの2枚の樹脂フィルムの間に挿入して溶着した状態を点線で示す。顔面透明部33の下部に呼吸装置挿入部53が形成され、その呼吸装置挿入部53の中央部が縦に切断され、口部切断部56の右下部には、図11で説明する酸素給気口111を挿入するための横長で蒲鉾形状をした酸素給気口挿入穴55が開けられ、口部切断部56の左端部には給排気口109を挿入するため横長で蒲鉾形状をした給排気挿入穴54が口元近くに開けられる。
図6は、図1で説明した胸部に装着する胸装着用エアーバック5と、頭部に装着する頭部エアーバック2に装着するためのストロー式逆止弁64の構造を示す。ストロー式逆止弁64は図6aで示すように、口銜部65が概ね90度に曲げられたストロー67と、そのストロー67に対して溶着して取付けられた長方形の樹脂フィルムのストッパー66で構成されると共に、ストロー挿入弁73は2枚の薄い樹脂フィルムを重ね、樹脂フィルムの両横のサイド溶着部72、サイド溶着部74と、その両横の一部を中央にストローを通過させる事ができる隙間を開けて横凸形状(抜落ち防止溶着部70)に溶着される。このように溶着されたストロー挿入弁73にストロー67とストッパー66を挿入し、図5の拡大図で説明したように、ストロー挿入弁73の上部を、2枚の樹脂フィルムの間の溶着部35に挿入して溶着する際、ストッパー66が溶着部35と抜落ち防止部70の間に配置されるようにストロー67を挿入し、ストロー67が上下に動作できるようにストロー67の外形より多少大きな空間(ストロー挿入口75)を残して溶着部35を溶着する事により、口銜部65を上部に引き上げた際、ストッパー66が溶着部35に当接してストロー67がストロー挿入弁73から抜け落ちるのを防止する。さらに、口銜部65を下部に押し下げた際は、ストッパー66が抜落ち防止溶着部70に当接し、ストロー67がストロー挿入部73の内部に落下するのを防止する。
図6bは、エアーバックに息を吹込み、エアーバックを膨らませた後、ストロー67の口銜部65を最上部まで引き上げた状態を示す。ストロー67の口銜部65が最上部まで引き上げられ、ストッパー66が溶着部35に当接した状態を示す。このようにストロー下端68を2枚の薄い樹脂フィルムで形成されたストロー挿入弁73の内部に引き上げる事により、ストロー挿入弁73の2枚の薄い樹脂フィルムは、エアーバック内の空気圧力により張り付き、エアーバック内の空気がストロー67から外に洩れるのを防ぐ。図6cはストロー67の口銜部65が最下部まで押し下げられ、ストッパー66が抜落ち防止溶着部70に当接した状態を示す。この状態で口銜部65から息を吹込むと、口銜部65から吹込んだ息はストロー下端68から排気され、2枚の薄い樹脂フィルムで形成されたストロー挿入弁73の内部が息で膨らむ事により、息はエアーバックの中に吹込まれてエアーバックを膨らませる。このように構成する事によりストロー67がストロー挿入弁73から抜け落ちるのを防止する。
図7は、頭部に装着する頭部エアーバック2の顔面透明部33の下に取付ける内カバー82と、その内カバー82に取付ける小型酸素ボンベポケット83の形状を示す。図7aは図5で説明した頭部回りエアーバック32の顔面透明部33に呼吸装置挿入部53を取付けた状態を示す。図7bは、図7aの呼吸装置挿入部53の下部の頭部回りエアーバック32に、小型酸素ボンベポケット83を取付けた内カバー82を取付けた状態を示す。小型酸素ボンベポケット83を取付けた内カバー82の形状は、長方形をした1枚の樹脂フィルムに、図11で説明する小型酸素ボンベ113の太さより、やや太い形状で下部を塞いだ筒状の小型酸素ボンベポケット83を、小型酸素ボンベポケット83の縦中心が概ね呼吸装置挿入部53の縦中心と重なるように内カバー82に取付け、さらに内カバー82の一端を顔面透明部33の下部の頭部回りエアーバック32に溶着すると共に、他端の内カバー82の上下にマジックテープ85を取付け、さらに頭部回りエアーバック32にも、内カバー82のマジックテープ85に対応する位置にマジックテープ80を取付け、頭部回りエアーバック32の呼吸装置挿入部53の下部の顔面下切断部39を内カバー82に取付けられたマジックテープで開閉自在に塞ぐと共に、小型酸素ボンベポケット83の中には、図15、図16で説明するように呼吸装置100の小型酸素ボンベ113が収納される。なお、小型酸素ボンベポケット83の内カバー82を頭部回りエアーバックに溶着で取付ける位置は、図11で説明する呼吸装置の酸素給気口111と給排気口109を口で銜える事が最適な位置に固定される。
図7bの拡大図Aでは、内カバー82の一端の溶着部81が顔面透明部33の下部の頭部回りエアーバック32に溶着され、内カバー82の他端にはマジックテープ85が取付けられ、内カバー82に取付けられたマジックテープ85に対応する頭部回りエアーバック32の位置にマジックテープ80が取付けられた状態を示す。拡大図Bでは内カバー82のマジックテープ85を頭部回りエアーバック32のマジックテープ80に張り付け、内カバー82で顔面下切断部39を塞いだ状態を示す。このように内カバー82にマジックテープ85を使用して顔面下切断部39の前面を塞ぐ事により、頭の小さい人や頭が大きな人の場合でも、マジックテープ85を貼り付ける位置を自分の頭部回りに合わせて調整する事で口部の圧迫感を調整する事が可能となる。
図8は、図7で説明した、頭部に装着する頭部エアーバック2の顔面透明部33の下部に取付ける内カバー82と、その内カバー82に取付けられる小型酸素ボンベポケット83の構造を立体図で示す。図8aは、図7aで説明した頭部回りエアーバック32の後頭部合せ部37と後頭部合せ部42を重ねて溶着し、図3aで説明した頭上部カバー30の周囲の溶着部31と、頭部回りエアーバック32の上部を接合して溶着した状態を立体図で示す。さらに図8bでは、図8aで説明した呼吸装置挿入部53の下部の顏面下切断部39に小型酸素ボンベポケット83を取付けた内カバー82の一端を取付けた状態を立体図で示す。図8cでは、図7bの拡大図Bで説明した小型酸素ボンベポケット83を取付けた内カバー82のマジックテープ85を頭部回りエアーバック32のマジックテープ80に張り付け、内カバー82で顔面下切断部39を閉口した状態を立体図で示す。このように頭部カバー30と頭部回りエアーバック32を接合して溶着する事により、頭部エアーバック2が三次元で立体的な形状となり、人間が頭部に頭部エアーバック2を装着して水中に投げ出された場合でも、頭部エアーバック2の内部は、例えば、コップを逆さにして水の中に沈めた状態と同じ状態となり、頭部エアーバック2の内部に水が浸入するのを最小限に留める事が可能となった。
図9は、頭部に装着する頭部エアーバック2の小型酸素ボンベポケット83の前面に取付ける外カバー91を示す。図9aは、図7bで説明した頭部回りエアーバック32の呼吸装置挿入部53の下部に、小型酸素ボンベポケット83を取付けた内カバー82を取付け、内カバー82で顔面下切断部39を塞いだ状態を示す。図9bは、図9aで説明した小型酸素ボンベポケット83を取付けた内カバー8に外カバー91を取付けた状態を示す。外カバー91は内カバー82を覆う事が出来る大きさに裁断された、1枚の長方形の樹脂フィルムの一端を、顔面透明部33の下部の頭部回りエアーバック32に溶着すると共に、他端の外カバー91の上下にマジックテープ93を取付け、さらに頭部回りエアーバック32にも、外カバー91のマジックテープ93に対応する位置にマジックテープ90を取付け、図9cで示すように酸素ボンベポケット83を外カバー91で押さえて固定する事により、図11で説明する小型酸素ボンベ113を手で保持する必要が無くなり、呼吸装置100が頭部回りエアーバック32に固定される事により、津波のような危機的の中で避難する際、自由に両手を使って避難する事が可能となった。
図10は、図9で説明した、頭部に装着する頭部エアーバック32の小型酸素ボンベポケット83の前面に取付ける外カバー91を立体図で示す。図10aでは、図9aで説明した頭部回りエアーバック32の呼吸装置挿入部53の下部に小型酸素ボンベポケット83が取付けられた内カバー82を取付けた状態を立体図で示す。図10bは、図9bで説明した小型酸素ボンベポケット83が取付けられた内カバー8の前面に外カバー91の一端が頭部回りエアーバック32に溶着して取付けられた状態を示す。図10cは、図9cで説明した小型酸素ボンベポケット83が取付けられた内カバー82を外カバー91で塞いだ状態を示す。このように外カバー91にマジックテープ94を使用して内カバー82の前面を塞ぐ事により、頭の小さい人や頭が大きな人の場合でも、マジックテープ94を押さえる位置を調整する事で口部の圧迫感を調整する事が可能となる。
図11は、津波や水害等で避難する際、頭部を含む身体全体が津波や洪水等に飲み込まれて息が出来なくなるような危機的状況に陥った場合に、人間が水中で呼吸するために使用する呼吸装置100を示す。呼吸装置100は、小型酸素ボンベ113と、小型酸素ボンベ113から人間に酸素を供給するため、小型酸素ボンベ113の酸素供給口(図示せず)に接続され柔らかく丸形状の樹脂で成形された酸素給気口111と、酸素給気口111を小型酸素ボンベ113に固定するため、樹脂で成形された小型酸素ボンベ固定バンド108と、避難する際、人間が外気を呼吸するために柔らかく丸形状の樹脂で成形された給排気口109と、酸素給気口111と給排気口109を保持して支えるために柔らかい板状の樹脂で成形された口当て止水カバー112と、給排気口109に接続され外気を呼吸するため、頭上部方向に伸びるように配管される下部給排気筒106と、常態時では下部給排気筒106の内部に収納され、津波や洪水等で避難する際には下部給排気筒106より引き出して外気を呼吸するための上部給排気筒104と、さらに上部給排気筒104が下部給排気筒106から抜け落ちないように構成した抜け落ち防止キャップ105と、上部給排気筒104の上部には、部品図Aで示す、笛103と笛103の上部に取付けられるLED点滅灯102とLEDキャップ101で構成された笛・LED点滅灯114が取付けられ、酸素給気口111の先端部には、図2で説明した胸装着用エアーバック5のストロー式逆止弁20の口銜部21に接続する事が出来るようにエアーバック接続口110が形成されると共に、下部給排気筒106は、口当て止水カバー112に対して回動自在に取付けられる。このように構成された呼吸装置100の小型酸素ボンベ113のバルブ開閉ボタン107を指で押す事により、小型酸素ボンベ113の中の酸素が酸素給気口111から供給される。なお、当社が本発明で使用する小型酸素ボンベ113は、酸素の充填量が約10リットルで、人間が呼吸(息を吸ったり吐いたりする動作)を続けた場合、人間により一度に呼吸する量が異なるが、バルブ開閉ボタン107を人間が息を吸う吐く動作に合わせて押離操作(ON、OFF操作)をする事により約12〜15分間呼吸する事が可能である。
さらに、小型酸素ボンベ113の酸素給気口111に成形したエアーバック接続口110を、図2で説明した胸装着用エアーバック5のストロー式逆止弁20に挿入されたストローの口銜部21に接続し、小型酸素ボンベ113の酸素を胸装着用エアーバック5に供給して胸装着用エアーバック5を膨らませる事により、津波や水害等で避難する際、身体全体が津波や洪水に飲み込まれて息が出来なくなる様な危機的状況に陥っても、胸装着用エアーバック5の中の酸素を、胸装着用エアーバック5のストロー式逆止弁20に挿入したストローの口銜部21で呼吸して避難する事が出来るようになった。同様に、小型酸素ボンベ113の酸素給気口111に形成したエアーバック接続口110を、図5で説明したストロー式逆止弁43とストロー式逆止弁44の口銜部4と口銜部9に接続し、小型酸素ボンベ113の酸素を頭部回りエアーバック32に供給して頭部回りエアーバック32を膨らませる事により、津波や水害等で避難する際、身体全体が津波や洪水に飲み込まれて息が出来なくなる様な危機的状況に陥っても、頭部回りエアーバック32の中の酸素を、頭部回りエアーバック32のストロー式逆止弁43とストロー式逆止弁44に挿入した口銜部4と口銜部9で呼吸して避難する事が出来るようになった。
図11で説明した抜け落ち防止キャップ105は、上部給排気筒104と下部給排気筒106を繋ぎ、上部給排気筒104が下部給排気筒106より抜け落ちるのを防止するため、抜け落ち防止キャップ105の内側には螺旋状のネジ(図示せず)が刻まれ、抜け落ち防止キャップ105を回す事により、抜け落ち防止キャップ105の内部に挿入された伸縮自在なリング(図示せず)が上部給排気筒104を締め付け、上部給排気筒104が下部給排気筒105から抜け落ちるのを防止する。
図11の部品図で示した笛・LED点滅灯114は、上部にLEDキャップ101、その下に電池とLEDとLED制御基盤が収納されたLED点滅灯102、さらに、その下部が笛47で構成され、笛103の下部が上部給排気筒104に挿入されて固定され、笛103の下部の息給排気口115から息を吹込む事により笛103が「ピー」と鳴ると共に、人間が笛103から外気を給気する事も出来るように構成される。このように構成し、人間が津波や水害等で避難する際、LED点滅灯102のスイッチを入れる事によりLED点滅灯102を点滅させ、給排気口109で呼吸をする事により笛103が「ピー」と鳴り、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が出来るようになる。
図12aは、図11で説明した呼吸装置100の上部給排気筒104を下部給排気筒106の内部に収納した状態を示す。図11の部品図で説明した笛・LED点滅灯114のLEDキャップ101の下面を抜け落ち防止キャップ105の上面に当接させる事により、笛103より水が下部給排気筒106の内部に侵入するのを防止すると共に、上部給排気筒104を下部給排気筒106の内部に収納した事により呼吸装置100の全長を短くする事が可能となった。図12bは、図12aで説明した呼吸装置100の下部給排気筒106を180度回転させた状態を示す。このように回転させる事により、下部給排気筒106を小型酸素ボンベ113に沿わせる事が可能となり、呼吸装置100の全長を短く小型化する事が可能となる。
図13は、図12aで説明した呼吸装置100を、左側面図、正面図、右側面図で示す。図13cで示すように、給排気口109の口で銜え込む部分の形状を横長の楕円形状とする事により、口で給排気口109と酸素給気口111の両方を銜えた際、給排気口109と酸素給気口111を間違う事がないように形状を変えている。さらに、小型酸素ボンベ113に酸素給気口111を固定するための小型酸素ボンベ固定バンド108は、ボルトとナット116により小型酸素ボンベ113に固定される。
図14は、図12bで説明した呼吸装置100を、左側面図、正面図、右側面図で示す。小型酸素ボンベ113の横に下部給排気筒106を沿わせる事により、呼吸装置100を小型化する事が出来る。
図15は、図11及至14で説明した呼吸装置100の小型酸素ボンベポケット83を、図7及至図10で説明した小型酸素ボンベポケット83に挿入した状態を示す。人間6の口元に、呼吸装置100の給排気口109、酸素給気口111が位置するように頭部エアーバック2に対して小型酸素ボンベポケット83が取付けられる。
図16は、呼吸装置100の使用方法を示す。図16aは、人間8が呼吸装置100を手120で持った状態を横方向から示す。図16bは、その呼吸装置100を人間8が口に銜えた状態を横方向から示す。図16bの拡大図Bで示すように、呼吸装置100を口に銜えて使用する際には、笛・LED点滅灯114を下部給排気筒106から引き出し、図11で説明した給排気口109と酸素給気口111を、呼吸装置挿入部53から口に差し込み、口当て止水カバー112で、給排気口挿入穴54と酸素給気口挿入口55と口部切断部56を塞ぎ、人間6が給排気口109を使って呼吸する事により、笛103で息を呼吸する事が出来るように構成すると共に、息を排気する際には、笛103から「ピー」と言う高音が発せられ、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせる事が出来る。さらに身体が水中に水没しているような状態においては、図16aで示すように、呼吸装置100の笛・LED点滅灯114を下部給排気筒106の内部に収納し、図11で説明したように、呼吸装置100の給排気口109と酸素給気口111を呼吸装置挿入部53から口に挿入し、小型酸素ボンベ113のバルブ開閉ボタン107を押して、小型酸素ボンベ113の中の酸素を酸素給気口111に供給する事により、水中でも小型酸素ボンベ113の中の酸素を吸う事により呼吸する事が可能となる。なお、図16においては、呼吸装置100が頭部エアーバック2に対して、どのような位置関係で使用されるのかを明確に示すため、図1及至10で説明したストロー式逆止弁43、ストロー式逆止弁44、胸装着用エアーバック5は省略して表示している。さらに、呼吸装置100の各部の名称についても省略して表示している。
図17は、図12bで説明した小型化した呼吸装置100を芯にして、図2で説明した胸装着用エアーバック5と、図3で説明した肩紐7と、頭上部カバー30と頭部回りエアーバック32が溶着されて一体となった頭部エアーバック2を丸めて小型化するための手順を示す。図17aは頭上部カバー30の円周部と頭部回りエアーバック32の上部が溶着され、肩紐5が取付けられた頭部エアーバック2と、胸装着用エアーバック5を示し、頭部エアーバック2の矢印Aで示した1点鎖線と、胸装着用エアーバック5の矢印Bで示した1点鎖線上で頭部エアーバック2と胸装着用エアーバック5を折り畳む事により、携帯式津波救命具1は図17bで示すように概ね半分の大きさとなり、さらに折畳んだ頭部エアーバック2と胸装着用エアーバック5を重ねて、呼吸装置100を芯にして酸素給気口111(図12に示す)と給排気口109(図12に示す)を小型酸素ボンベ113(図12に示す)に巻き付けながら丸める事により、図17cで示すように、外形サイズが直径約7cm長さ約20cmとなり、小型バックの中に収納して持ち歩く事が可能となる。この場合、酸素給気口111と給排気口109と口当て止水カバー112を小型酸素ボンベ113と共に丸めるため、酸素給気口111と給排気口109と口当て止水カバー112は、柔らかい樹脂で成型する事が必要である。
以下、この発明の実施の形態4について説明する。
[発明の実施の形態4]
図20は、この発明の実施の形態4を示す。上記発明の実施の形態1では、図6において、口銜部65が概ね90度に曲げられたストロー67と、そのストロー67に対して溶着して取付けられた長方形の樹脂フィルムのストッパー66で構成されると共に、ストロー挿入弁73は2枚の薄い樹脂フィルムを重ね、樹脂フィルムの両横と、その両横の一部を中央にストローを通過させる事ができる隙間を開けて横凸形状(抜落ち防止溶着部70)に溶着する。このように溶着されたストロー挿入弁73にストロー67を挿入し、図5の拡大図で説明したように、ストロー挿入弁73の上部を、2枚の樹脂フィルムの間の溶着部35に挿入して溶着する祭、ストッパー66が溶着部35と抜落ち防止部70の間に配置されるようにストロー67を挿入する事により、口銜部を上部に引き上げる際、ストッパー66が溶着部35に当接してストロー67がストロー挿入弁73から抜け落ちるのを防止したのに対して、この発明の実施の形態4では、給排気ストロー180は柔らかい樹脂で成型された給排気部182とストロー183で構成され、給排気部182の先端にはストロー183に対して概ね45度曲げ、ストロー183が口から抜けるのを防止するためリング状の口銜部181が形成され、ストロー183には、蒲鉾形の形状をした左右各1枚のストッパー183が一体成型される。逆止弁191は2枚の薄い樹脂フィルムを重ね、樹脂フィルムの両横のサイド溶着部189、サイド溶着部190と、そのサイド溶着部189、サイド溶着部190の両端の一部を、中央にストロー183を通過させる事ができる隙間(ストロー挿入口188)を開けて横凸形状(抜落ち防止溶着部187)に溶着される。このように溶着された逆止弁191に給排気ストロー180のストロー183とストッパー184を挿入し、逆止弁191をエアーバックの2枚の樹脂フィルムの間の溶着部194(図6の溶着部35と同一箇所を示す)に挿入して溶着する際、ストッパー184が溶着部194と抜落ち防止溶着部187の間に配置されるようにストロー183を挿入し、ストロー183が上下に動作できるようにストロー183の外形より多少大きな空間(ストロー挿入口192)を残して溶着部194を溶着する事により、給排気部182を上部に引き上げた際、ストッパー184が溶着部194に当接してストロー183が逆止弁191から抜け落ちるのを防止し、ストロー183のストロー下端185が逆止弁191の中に引き込まれる事により逆止弁191を構成する2枚の薄い樹脂フィルムが貼付き、エアーバックの内部の空気が逆止弁191から洩れるのを防ぐ。さらに、給排気部182を下に押し下げた際は、ストッパー184が抜落ち防止溶着部187に当接し、給排気部182が逆止弁上端186から一定の間隔を保って停止するように構成される。その他の構造に関しては、この発明の実施の形態1と同様である。
以上の実施の形態に基づいて、本発明に係る携帯式津波救命具について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
図1及至図3において、頭部エアーバック2を頭部に装着するためハトメ40と肩紐7を使用すると説明したが、ハトメ40と肩紐7に拘る事なく、例えば、肩紐に変えて帯状の樹脂フィルムを溶着部に溶着してマジックテープを使用して固定する事も、もちろん可能である。同様に、胸装着用エアーパック5も樹脂フィルムを溶着部に溶着してマジックテープを使用して固定する事も、もちろん可能である。
図3において、頭上部カバー30と頭部回りカバー32に使用する凹状の形状の素材を樹脂フィルムと記載したが、救助してくれる人々(救助隊)に避難者の位置を的確に知らせるため、顔面透明部の樹脂フィルムを除いた、図3aの頭上部カバー30と、図3bで説明した凹形状に裁断された樹脂フィルムを、黄色、赤色等に着色したカラー樹脂フィルムを使う事も、もちろん可能である。さらに、顔面透明部の樹脂フィルム以外の樹脂フィルムに梨地(果物の梨のようなブツブツの表面感)の樹脂フィルムを使用する事も、もちろん可能である。
図6において、ストロー67に取付けるストッパー66は、長方形の樹脂フィルムを溶着して取り付けると記載したが、この形状と溶着に拘らず、例えば、食品、雑貨等の袋詰めの入り口を口封するために用いる、バッグシーリングテープをバックシーラーでストロー67にシールしてストッパー66を形成する事も、もちろん可能である。
図9において、逆抜防止ストッパー165の形状を、下部がストロー164の円周と同一サイズで上部の逆抜防止部166は傘を逆さにした様な形状、と記載したが、この形状に拘らず、例えば、食品、雑貨等の袋詰めの入り口を口封するために用いる、バッグシーリングテープをバックシーラーでストロー164にシールした後、バッグシーリングテープをストロー164に巻き付けてストロー挿入口176からストロー挿入弁171に挿入する事により、ストロー挿入弁171の中でバッグシーリングテープが広がり逆抜防止部を形成する事も、もちろん可能である。
図18において、頭部回りエアーバック135は2枚の凸形の樹脂フィルムの一方に長方形の透明な樹脂フィルムを挿入して凸形の周囲を溶着する、と説明したが。頭部回りエアーバック135の2枚の樹脂フィルムの形状については、1枚が凸形の樹脂フィルムで、もう1枚には凸形の樹脂フィルムと顔面部の樹脂フィルムが1枚の形状で裁断された透明な樹脂フィルムを用い、2枚の凸形の樹脂フィルムを重ねた両端上部にストロー式逆止弁140、ストロー式逆止弁148を挿入し、2枚に重ねた凸形の外周部を溶着して頭部回りエアーバック135を構成する事も、もちろん可能である。さらに、頭部回りエアーバック135の空気室は1室で形成されているが、後頭部にあたる溶着部133と溶着部134の中間部の2枚の樹脂フィルムを、上下に隙間無く溶着する事により、頭部回りエアーバック135の空気室は別々に独立した状態(2室)となり、ストロー式逆止弁140とストロー式逆止弁148に挿入したストローから息を吹込む事により顔面に対して左右に独立したエアーバックを別々に膨らませる事が可能となる。