JP3064123U - 固定具又は装着具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の冷却剤や加温剤の固定具又は装着具
は、特に運動中などに使用した場合に固定が不確実で、
また傷口や骨折箇所の保護のための応急処置用の簡便な
道具が求められている。 【解決手段】 本考案は、柔軟な第１のシート及び第２
のシートにより形成された密閉空間を有する二重筒状体
又は二重袋状体と、上記密閉空間に連通するように設け
られたシート状逆止弁、更に気体吹き込み管及びその固
定手段からなる身体への部材の固定具又は装着具であ
る。他に特別な道具を必要とせずに、極めて簡単にかつ
確実に冷却剤や応急処置用部材等を身体に固定すること
ができ、しかも空気等の気体の層で覆われるため断熱作
用、傷口の保護や止血の作用等があり、又取り扱いが極
めて簡便である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、打ち身、ねんざ、筋肉痛など或いはやけどなどの場合に、その患部 を冷却或いは暖める冷却剤或いは加温剤を保持・固定し、或いは種々の災害や交 通事故等で怪我や骨折等を受けた場合にその応急処置用又は治療用に部材を患部 に装着し、固定するための道具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

野球、サッカーやスキーなどのスポーツの最中のアクシデントやその他の種々 の作業や歩行中などでねんざや打ち身などによって足や腕の筋肉を傷めた場合、 或いはやけどを負った場合などに、その部位に冷却剤や冷湿布薬を当てて冷やし たり、場合によっては加温剤や温湿布薬によって暖めて治療することは広く行わ れている。また、これ以外にも関節や筋肉の痛みの治療のためにその部位を冷や したり、暖めたりすることもしばしば行われている。 この場合に、これらの冷却剤や加温剤を固定するためには、包帯や絆創膏を使 用して止める方法や弾力性のあるゴムのネットをかぶせたり、マジックテープ付 きの固定具で止める方法がおこなわれていた。

【０００３】 また、地震、火災などの種々の災害或いはスポーツ、登山や交通事故などによ って、骨折したり怪我を負ったりした場合に、その現場で緊急に止血その他の処 置をすることが必要である。この場合には種々の応急処置用又は治療用の道具を 使用したり、或いはありあわせのタオルや衣服等で処置することなどが行われて いる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、これらの従来の方法は必ずしも満足できるものではなく、例えば冷却 剤や加温剤を固定する場合はその固定が必ずしも十分でなく、特に運動中等の場 合には冷却剤や加温剤が外れたり移動したりする問題があった。また、このよう な固定具はいろいろなコストのかかる材料を使用しているために費用がかかる、 或いは使用方法が簡単でないなどの問題もあった。 また、特に災害時等の応急処置用又は治療用の道具については、緊急に或いは 身体の不自由な状態又は非常に混乱した状態で使用する場合が多いので、このよ うな状況下で簡便な操作で確実に処置ができてしかも安価でコストのかからない ものが無く、このようなものが求められている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このような現状に鑑み、本考案者らは簡単な操作で容易に使用することができ 、同時に低コストで、しかも冷却剤、加温剤、応急処置用部材若しくは治療用の 部材などを身体に確実に装着し、固定できる道具について検討し、本考案を完成 した。 即ち、本考案は、柔軟な第１のシート及び第２のシートにより形成された密閉 空間を有する二重筒状体又は二重袋状体、上記密閉空間に連通するように設けら れたシート状逆止弁からなる固定具又は装着具を提供し、更に、柔軟な第１のシ ート及び第２のシートにより形成された密閉空間を有する二重筒状体又は二重袋 状体、上記密閉空間に連通するように設けられたシート状逆止弁、気体吹き込み 管及びその固定手段からなる固定具又は装着具を提供するものである。

【０００６】

【考案の実施の形態及び実施例】

本考案の固定具又は装着具は、腕のひじや関節部、上腕部や下腕部、脚の関節 部、上脚部やふくらはぎ部などに使用する筒状の形態のものと、手の掌や指部、 足先や足首等の各部位などに使用する袋状の形態のものとがある。それぞれにつ いて図を使用して詳しく説明する。 図１は、本考案の固定具又は装着具うちの二重筒状体１の構造ものの斜視図を 、図２はそのＡ−Ａ’部の断面図を、図３は同じくＡ−Ａ’部の気体を吹き込ん で膨張した状態の断面図を、図４は二重袋状体１０の構造のものの斜視図を示す 。図５はＡ−Ａ’部の逆止弁近傍の拡大断面図を示す。

【０００７】 この二重筒状体１又は二重袋状体１０は、縁部が互いに連続し又は接合された 柔軟な第１のシート２及び第２のシート３により形成された密閉空間４を有し、 この密閉空間４を有するシートを折り返した折り返し部６以外の縁部に位置する １辺又は２辺を更に互いに接合して形成された構造のものである。 このような構造の物品の簡便な製造方法の例としては、一般に広く販売されて いるフィルム状に製造された合成樹脂製等の長尺の筒状の柔軟なシートを所定の 長さに切断し、このシートを折り返して切断した縁部７と８を互いに重ねあわせ て、この重ねあわせた縁部７，８を互いに加熱溶着、高周波接着、接着剤による 接着などの公知の接着方法により接合することによって、内部に密閉空間４を有 する二重筒状体１を形成することができる。二重袋状体１０の場合は、図４に示 すように重ねあわせた縁部の他に更にもう一つの縁部９を同様の方法によって接 合することによって形成することができる。 本考案の固定具又は装着具は、このようにして得られた二重筒状体１又は二重 袋状体１０に、この密閉空間４に連通するように気体吹き込み用のシート状逆止 弁２１を設けた構造のものであり、更にこれに気体吹き込み管２２及びその固定 手段２３を設け、気体吹き込み管２２をシート状逆止弁２１及び二重筒状体１又 は二重袋状体１０に固定した構造のものである。

【０００８】 本考案で使用するシート状逆止弁２１は、気体を吹き込んだ時に気体の逆流や 漏れが止められる構造のものであり、具体的には短冊状の合成樹脂の薄片を２枚 重ねて長辺の２辺を接合し筒状とた構造のもので、気体を吹き込む時はストロー や合成樹脂の管のような気体吹き込み管２２を挿入してこの管を通して気体を内 部に吹き込み、使用時には吹き込んだ気体の圧力で気体吹き込み管の先の部分の ２枚の薄片が密着して気体の逆流を阻止することができる。この密着した先の部 分まで更に気体吹き込み管を押し込むことによって内部の気体を排出することが できる。このシート状逆止弁は、第１のシート２と第２のシート３の間の縁部に 挟み、両シートを加熱溶着等により接合する時に、同時にこの逆止弁も両シート の間に一体に取り付けることができる。 シート状逆止弁２１は、柔軟性と互いの密着性が高いものが好ましく、ポリエ チレン、ポリプロピレン等の合成樹脂の薄いシートが好ましい。

【０００９】 図５に示すように、本考案の気体吹き込み管の固定手段２３は、裏面に粘着剤 を塗布した柔軟な小片で、気体吹き込み管と逆止弁、及び二重筒状体又は二重袋 状体の一部を覆ってこれらを互いに接着し、固定するものである。この固定手段 に使用する材料は柔軟性と適度な強度を有する薄いシート状の素材であれば良く 、紙、布、或いはポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂シート等が使用で きる。 本考案で使用する柔軟な第１のシート２及び第２のシート３は、柔軟な材質の シート状のものであれば何でも使用できるが、例えば合成樹脂製又はゴム製の材 料が好ましく使用できる。このうちでも実用性、柔軟性、コスト等の理由から合 成樹脂製がより好ましく、特にポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリウレタ ン製、ＳＢＲ製の材料が特に好ましい。シートはその材質にもよるが、人の呼気 の圧力で容易に変形する程度の柔軟性と厚さを有するものが好ましい。

【００１０】 本考案は、冷却剤、加温剤、応急処置用若しくは治療用の部材などの固定又は 装着のための道具であり、具体的にはこれらの部材を身体上に載置し、この上を 密閉空間４を有する柔軟な二重筒状体１又は二重袋状体１０で覆い、この密閉空 間４に加圧気体を吹き込み二重筒状体又は二重袋状体を膨張させてこれらの部材 を身体に押し付けて固定又は装着するものである。

【００１１】 本考案を冷却剤又は加温剤の固定具又は装着具して使用する場合の実施例を図 ６に示す。この場合は冷却剤又は加温剤を腕や脚等の身体の必要な部位に載せ、 この上から前記二重筒状体１の開放空間部５に腕又は脚等を挿入して冷却剤又は 加温剤の上を覆い、気体吹き込み管２２から空気等の加圧気体を吹き込むことに よってこの二重筒状体１を膨張させ、第２のシート３が外部へ膨らませると同時 に第１のシート２を内側へ向かって膨らませ、腕又は脚等の身体との間に載置さ れた冷却剤又は加温剤を適度な圧力で圧迫してしっかりと固定することができる ものである。掌や指或いは足先や足首のような末端部分の冷却や加温の場合には 、前記の二重袋状体１０の固定具又は装着具を用いて同様に固定すればよい。

【００１２】 本考案に使用できる冷却剤は、当該部位を冷却でき、且つこの固定具又は装着 具に挟める大きさのものであればいかなるものでも良いが、氷の砕いたもの、冷 却した湿タオル、冷蔵庫等で冷却して使用するゼリー状やペースト状の冷却剤、 硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、リン酸アンモニウム、ボウ硝等の水への溶解 時の吸熱反応などの化学反応を利用した冷却剤等が挙げられる。これらの内でス ポーツその他で活動中などのいかなる場合にも使用できるものとしては吸熱反応 を利用した冷却剤が好ましい。

【００１３】 本発明に使用できる加温剤は、当該部位を加温、加熱でき、且つこの固定具に 挟める大きさのものであればいかなるものでも良いが、蒸しタオル、暖めて使用 するゼリー状やペースト状の加温剤、生石灰の水和反応や鉄の酸化反応等の化学 反応を利用する加温剤等が挙げられる。これらの内でスポーツその他で活動中な どのいかなる場合にも使用できるものとしては発熱反応を利用した加温剤が好ま しい。

【００１４】 本考案の固定具又は装着具は、災害や交通事故等による負傷者の応急処置用又 は治療用の道具として使用することができる。具体的な実施例として、例えば、 図７に示すように、骨折した場合に骨折箇所を副木としてダンボール紙や雑誌等 で包み、この上から本考案の固定具又は装着具で覆い、空気等を吹き込むことに よって骨折箇所を確実に固定することができ、応急のギブスとして使用すること ができる。又、切り傷等によって出血がある場合に包帯やタオル等で包んだ上か ら本考案の固定具又は装着具で覆い、空気等を吹き込み傷口を圧迫することによ って出血を止めることができる。更にこれらの場合は、外部からの衝撃や接触か ら傷口を保護し、ばい菌等の感染を防止するという効果もある。 特に、気体吹き込み管をその固定手段で一体化した本考案の固定具又は装着具 は、折りたたんで小さな包みとして携帯することができ、簡単に特別な道具等を 使用することなくそのまま現場で使用することができるので、災害や交通事故等 によって、負傷したり混乱状態にある場合に、簡単に且つ確実に応急処置ができ ると言う点で特に有用である。

【００１５】 本考案の固定具又は装着具への空気その他の気体の吹き込みは、電動や手動の 種々のポンプや圧縮気体を充填したスプレー缶などを用いても良いが、人の口か ら空気を吹き込むことによって、冷却剤等を固定し・保持するのに十分な圧力と 保持力を得ることができる。本考案の固定具又は装着具は、気体吹き込み管の固 定手段の小片の一部をはがして気体吹き込み管を押し込み内部と連通させること によって内部の気体を自由に排気することが出来る。従って、吹き込む気体の圧 力と排気の量を調節することによって、固定する部位や使用状態に応じて圧力を 調節することにより、最適な状態で使用することができる。又、一旦固定した後 にも、排気して緩めることによって固定位置を再調節することもできる。

【００１６】

【考案の効果】

本考案の固定具又は装着具は、簡単な構造であるにもかかわらず冷却剤や加温 剤或いは応急処置用部材や治療用部材を確実にしかも簡単に身体に固定し、装着 することができる。従って、特に激しい運動や種々の作業中などでも外れたりず れたりすることがなく確実に固定、装着できる。また、外側が密閉した空気層等 の気体の層であるため、断熱効果が極めて優れている。 更に、災害や交通事故等で怪我をしたり骨折したりした場合には、本考案の固定 具又は装着具によって、止血したり、傷口の保護やばい菌の感染を防止でき、骨 折箇所に使用して応急のギブスとしても有用である。また人の呼気を吹き込むこ とで簡単に固定・装着できるので、特に災害や事故の場合のように身体が負傷に よって不自由な場合や混乱状態の場合でも、簡単に現場で応急処置ができるとい うことは極めて有意義である。 更に、本考案の固定具又は装着具は、合成樹脂類の簡単な加工で安価に製造で き、小さな包装となるので携帯に便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案の二重筒状体の固定具又は装着
具の斜視図である。

【図２】図２は、本考案の二重筒状体の固定具又は装着
具のＡ−Ａ’部の断面図である。

【図３】図３は、気体を吹き込んで膨張した状態の本考
案の二重筒状体の固定具又は装着具のＡ−Ａ’部の断面
図である。

【図４】図４は、本考案の二重袋状体の固定具又は装着
具の斜視図である。

【図５】図５は、本考案の二重筒状体の固定具又は装着
具の逆止弁近傍の拡大部分断面図である。

【図６】図６は、本考案の二重筒状体の固定具又は装着
具を冷却剤又は加温剤の固定に使用した実施例である。

【図７】図７は、本考案の二重筒状体の固定具又は装着
具を応急用の副木の固定に使用した実施例である。

【符号の説明】

１ 二重筒状体 ２ 第１のシート ３ 第２のシート ４ 密閉空間 ５ 開放空間 ６ 折り返し部 ７ 接合部 ８ 接合部 ９ 接合部 １０ 二重袋状体 ２１ 逆止弁 ２２ 気体吹き込み管 ２３ 気体吹き込み管固定手段

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 柔軟な第１のシート及び第２のシートに
   より形成された密閉空間を有する二重筒状体又は二重袋
   状体、上記密閉空間に連通するように設けられたシート
   状逆止弁からなる固定具又は装着具。
2. 【請求項２】 二重筒状体又は二重袋状体が、縁部が互
   いに連続し又は接合された柔軟な第１のシート及び第２
   のシートにより形成された密閉空間と、これを折り返し
   た折り返し部以外の縁部に位置する１辺又は２辺を更に
   互いに接合して形成されたものである請求項１記載の固
   定具又は装着具。
3. 【請求項３】 シート状逆止弁が、柔軟な２枚の合成樹
   脂の薄片を貼り合わせた構造のものである請求項１又は
   ２記載の固定具又は装着具。
4. 【請求項４】 柔軟な第１のシート及び第２のシートに
   より形成された密閉空間を有する二重筒状体又は二重袋
   状体、上記密閉空間に連通するように設けられたシート
   状逆止弁、気体吹き込み管及びその固定手段からなる固
   定具又は装着具。
5. 【請求項５】 二重筒状体又は二重袋状体が、縁部が互
   いに連続し又は接合された柔軟な第１のシート及び第２
   のシートにより形成された密閉空間と、これを折り返し
   た折り返し部以外の縁部に位置する１辺又は２辺を更に
   互いに接合して形成されたものである請求項４記載の固
   定具又は装着具。
6. 【請求項６】 シート状逆止弁が、柔軟な２枚の合成樹
   脂の短冊形の薄片の二つの縁部を接合した構造のもので
   ある請求項４又は５記載の固定具又は装着具。
7. 【請求項７】 気体吹き込み管の固定手段が、裏面に粘
   着剤を塗布した小片である請求項５乃至７のいずれかに
   記載の固定具又は装着具。