JP2014096742A - アレーアンテナ装置及びアレーアンテナ装置の製造方法 - Google Patents

アレーアンテナ装置及びアレーアンテナ装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のアレーアンテナ装置では、励振回路、励振回路を接地するグランド層、キャビティ部を貫通してアンテナ下部へ至る垂直給電部を備えるために、複数の層に物理的な穴をあけて結合する加工コストが必要となる問題があった。また、アンテナ素子間隔が広くなりやすく、アンテナ素子間隔が1波長を超える場合にはグレーティングローブが発生していた。
【解決手段】複数の開口部を有するキャビティ部1と、偏波面の電波を放射する給電プローブ及び伝送線路を含む励振回路10と、キャビティ部1と同様の複数の開口部を有するキャビティ部30を備え、キャビティ部1と励振回路10とをスルーホールによって相互に接続する。
【選択図】 図1

Description

本発明は複数のアンテナを用いて信号を送受信するアレーアンテナ装置およびその製造方法に関するものである。
衛星通信などの無線通信を行う車両や航空機等にアンテナを搭載する場合、積載スペースや積載重量の観点から、アンテナは小型かつ軽量であることが求められる。複数のアンテナを用いて信号を送受信するアレーアンテナはこれを満足する一手段であり、特許文献1ではホーンアンテナを用いたアレーアンテナの構成が示されている。
また、アンテナには直交関係にある2偏波(直交偏波)を共用で使用することが求められる場合がある。これを実現する方法として、特許文献2では2つの矩形ホーンアンテナを交差させて上下に配置する方法、特許文献3では給電プローブを有する2つの基板を直交に重ねて直交偏波を励振する方法が提案されている。
特許文献3に記載のアレーアンテナにおいて偏波を励振する際には、偏波を励振する励振回路の基板、グランド層の基板、片側が閉じられたキャビティ部、貫通孔を有するキャビティ部を重ねることでアレーアンテナが構成され、励振回路に電力を供給するために励振回路の基板からアンテナ下部へ貫通する垂直給電部が備えられる。
直交する2偏波を励振する場合、2偏波の位相をそろえるため、1偏波のみを反射するスリット基板をアンテナ底部に重ねる構成も有効である。この場合、垂直給電部はスリット基板も貫通する必要がある。
特開2002−76761号公報 US2007/0085744 A1 特開2011−199499号公報
従来技術では、励振回路、励振回路を接地するグランド層、キャビティ部が同一形状の開口部を有する。その結果、キャビティ部におけるアレーアンテナのアンテナ素子間隔が広くなりやすく、アンテナ素子間隔が1波長を超える場合にはグレーティングローブが発生していた。また、本来放射すべき方向とは別の方向に電力が放射されるため、指向性が劣化する問題があった。
本発明に係るアレーアンテナ装置では、複数の開口部を有する第1のキャビティ部と、前記第1のキャビティ部の上面に重ねて配置され、第1の偏波面の電波を放射する第1の給電プローブ及び、前記第1の給電プローブに給電する第1の伝送線路を含む第1の励振回路と、前記第1の励振回路の上面に重ねて配置され、前記第1のキャビティ部の複数の開口部と同一または相似した形状を有する複数の貫通孔を有する第2のキャビティ部とで構成され、前記第1のキャビティ部と前記第1の励振回路とはスルーホールによって接続された一体の多層基板で構成されることを特徴とする。
本発明によれば、第1のキャビティ部におけるアンテナ素子間隔が縮小され、アレーアンテナを構成した際に、アンテナ素子間隔を1波長未満として素子を配置できる。その結果、グレーティングローブを解消することができるアレーアンテナ装置を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るサブアレーの構成を示す分解斜視図。 本発明の実施の形態1に係る垂直給電部のx−y断面図。 本発明の実施の形態1に係る垂直給電部のy−z断面図。 本発明の実施の形態1に係るサブアレーのx−z断面図。 本発明の実施の形態1に係る放射パターン。 本発明の実施の形態1に係るスルーホール部のy−z断面図1。 本発明の実施の形態1に係るスルーホール部のy−z断面図2。 本発明の実施の形態2に係るサブアレーの構成を示す分解斜視図。 本発明の実施の形態2に係るサブアレーのx−z断面図。 本発明の実施の形態3に係るキャビティ部の分解斜視図。 本発明の実施の形態3に係るサブアレーのx−z断面図。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るアレーアンテナ装置について説明する。図1は本発明におけるアレーアンテナ装置におけるサブアレーの分解斜視図である。ここでは、アレーアンテナ全体を分割したアレーアンテナの最小単位をサブアレーとして構成している。
図において、1はキャビティ部、2は誘電体基板、3は金属のスルーホール、4は導体層からなるグランド層、10は励振回路、11は給電プローブ、12は伝送線路、13は垂直給電部、14は誘電体基板、15、16は導体層からなるグランド層、30はキャビティ部を表す。金属のスルーホール3は誘電体基板14から誘電体基板2、すなわちキャビティ部1の底部であるグランド層に至る経路に形成される。図1におけるアレーアンテナ装置は、キャビティ部1、励振回路10、キャビティ部30を基本部分としている。
まず、キャビティ部1は誘電体基板2とグランド層4で構成される。キャビティ1の底部はグランド層4で電気的に閉じられている。
励振回路10は金属のスルーホール3、給電プローブ11、伝送線路12、誘電体基板14により構成されており、伝送線路12及び給電プローブは誘電体基板14の内部に埋められている。また、伝送線路12がストリップ伝送線路となるよう誘電体基板14の上下にグランド層15、16が配置される。一般に、ストリップ線路は片方の面にグランド層、もう一方の面にストリップ伝送線路を配置し、グランド層とストリップ伝送線路の間の誘電体基板内に電磁界を集中させることにより電磁波を伝送する。本構成ではグランド層15、16と伝送線路12の間の誘電体基板14内に電磁界が集中される。また、電磁界は一対の給電プローブ11から電波として放射される。給電プローブ11は一対の端子により構成されており、一対の端子において互いに逆相励振される。放射された電波を通過させるため、グランド層15、16はキャビティ部30と同一または相似した形状の貫通孔(開口部)を有している。
キャビティ部30は貫通孔(開口部)を有した金属で構成され、貫通孔はアンテナ素子としての役割を果たす。キャビティ部1とキャビティ部30との間を接続し、電波を放射させるため、誘電体基板14、グランド層16、キャビティ部1にはキャビティ部30の開口部と同一または相似した形状で金属のスルーホール3が配置される。スルーホール3は励振回路10からキャビティ1の底部であるグランド層4に至る複数の層を接続し、電波が通過するキャビティの側壁としての役割を果たす。本実施の形態では、開口部と同一または相似した形状を有する金属のスルーホール3によって誘電体基板14、グランド層16、誘電体基板2(キャビティ部1の底部)を接続する。スルーホール3はキャビティ1の側壁としての役割も果たし、電波はスルーホール3を側壁として多層基板間を伝搬する。また、垂直給電部13を構成するためのスルーホールを同じ製造工程において配置し、形成されたスルーホールに垂直給電部が配置される。
本発明のアレーアンテナ装置の基本動作を説明する。励振回路10を構成する誘電体基板14では、伝送線路12から各アンテナ素子に対応する給電プローブ11の1対の端子に互いに逆相の電圧が加えられ、給電プローブ11から電波が放射される。放射された電波は、キャビティ部30へ直接伝搬する経路とキャビティ部1の底部で反射されてキャビティ部30へ伝搬する経路によってキャビティ部30に到達し、キャビティ部30の貫通孔から放射される。また、キャビティ部30の貫通孔はそれぞれアンテナ素子の役割を果たし、各アンテナ素子から放射される電波の位相関係に基づき強い電波が一定の方向へ放射される。代表的な例として、各アンテナ素子から同じ位相を有する電波が放射され、正面方向に強い電波が送信されるように設計する構成がある。それ以外に、各アンテナ素子から放射される電波が異なる位相となるように設計し、正面ではない特定の方向に電波を放射することも可能である。
本実施の形態では、キャビティ1の側壁としての役割を果たすスルーホール3と垂直給電部13を構成するスルーホールが同一の加工プロセスで製造される。従来技術ではキャビティ部1と励振回路10の基板を個別に製造し、別の加工プロセスで物理的な穴をあけて、同軸線路を設定することにより垂直給電部を配置していた。これに対して、本発明では垂直給電部13を構成するためのスルーホールとスルーホール3が同じ製造工程において配置され、別の加工プロセスを不要とすることができる。また、本発明ではキャビティ部1と励振回路10とを誘電体多層基板として構成し、スルーホールを用いて一体構成とすることで、重ね合わされた基板全体の厚さを薄くすることができる。
図2に伝送線路12a、12b、12c、12dへ給電するための垂直給電部13を同軸構造とした場合の誘電体基板14の構成を示す。図において、5は中心導体、11a、11b、11c、11dは給電プローブを示している。中心導体5はピンまたはスルーホールで構成され、伝送線路12a、12b、12c、12dと接続されてアンテナ下部へ至る。中心導体5を取り囲む6点が外導体で、黒く示した4点はスルーホールとしてもよいし、ブラインドビアホールとしてもよい。白抜きの2点は伝送線路12bと接触しないようブラインドビアホールとして配置する。このように、垂直給電部13を構成する導体壁の一部をブラインドビアホールで構成することも可能である。
なお、給電プローブの一対の端子11a、11bのうち一方の端子は他方の端子に対して逆相となるように設計されるため、垂直給電部13の中心導体5から給電プローブ11a、11bに至る2つの経路は経路差が半波長異なるように設計される。
このように伝送線路12a,12b,12c,12dと接触しないようにピンまたはスルーホールを配置して多層基板を接続することにより、励振特性に影響を与えることなくスルーホールを配置できる。中心導体5の周囲に円形に配置された複数の点のうちから、伝送線路12a,12bに接触しない点を抽出してスルーホールを配置することも本発明の特徴である。
図3に図2におけるC−C断面、図4に図1におけるA-A断面図を示す。図3、4において、キャビティ部1、グランド層16、励振回路10、グランド層15は複数の誘電体層が積層された多層基板として一体化されている。その結果、サブアレーはこの多層基板と金属のキャビティ部30のみによって構成され、構造が簡易化される。本実施の形態では誘電体多層基板により一体構成とする点に特徴がある。このように一体構成とすることで、複数のサブアレーを導波管を用いて接続する場合にも、個々のアンテナ素子を導波管で接続する従来技術と比較して導波管の分岐数を低減でき、構成を簡単にできる。
図4において31はキャビティ部30の複数の開口部の間に挟まれた金属部分を示している。図において、アンテナ開口を密に配置するためには、キャビティ部31の幅をなるべく小さくすることが必要となる。また、下限周波数f1から上限周波数fhまでで用いるアレーアンテナにおいて、不要な方向への放射を回避しつつアンテナ素子の利得を大きくするには、キャビティ部30の径d2をfhにおいて1波長未満のなるべく大きい値(d2<c/fh、cは光速)とすることが重要となる。ここで、径d1、d2は図1に示されているようにそれぞれキャビティ部1におけるスルーホール3の径、キャビティ部30における開口径を表している。
一方、スルーホール3を伝送線路12の配置に影響を与えないように配置すると、伝送線路12の配置にはスペースを要するため、キャビティ部1におけるスルーホール3の径d1は径d2よりも小さくなる。ここで、誘電体多層基板10を誘電体が充填された径d1の正方形の導波管とみなすと、基本モードのカットオフ周波数fcは
Figure 2014096742
rは誘電体の比誘電率)で与えられる。すなわち、誘電体の比誘電率εrが大きくなるほど、カットオフ周波数fcは小さくなる。従って、キャビティ部1として比誘電率εrの大きな誘電体が充填された導波管を用いると、誘電体のない空孔と比べてカットオフ周波数fcを小さくできる。その結果、キャビティ部1の径d1を縮小しても帯域下限周波数f1以下のカットオフ周波数fcを維持でき、誘電体多層基板10での反射特性の悪化を回避できる。
なお、従来技術ではキャビティ部1は誘電体のない空孔の開口を有する金属で構成されており、d1をd2より小さくするとカットオフ周波数fcが下限周波数f1よりも大きな値となる。その結果、不要な反射が発生していた。そこで、カットオフ周波数fcを下限周波数f1よりも小さくするため、d1がd2と同じとなるように設計すると、伝送線路12を挟む2つのスルーホール3と同じ幅となるようにアンテナ素子間のキャビティ部31を設計する必要がある。その結果、図4の構成よりもアンテナ素子間のキャビティ部31の幅は広くなり、アンテナ素子間隔d0も大きくなるため、d0が1波長を超える場合には不要な信号が放射されていた。
これに対して、本発明では誘電体が充填された誘電体多層基板を用いることにより、キャビティ部1の径d1をキャビティ部30の径d2より小さくし、なおかつ、カットオフ周波数fcを帯域下限周波数f1以下とすることができる。その結果、d1をd2より小さくしつつ、誘電体基盤での不要な反射を抑えることができる。
図5にx方向8素子、y方向8素子の計64素子で構成されるアレーアンテナを想定した場合のアレーアンテナの放射パターンを示す。図5の性能評価では、図1の4素子サブアレーをx方向、y方向にそれぞれ4つずつ同じ間隔で配置した64素子アレーを想定している。本発明では図4の開口径を想定し、従来技術では不要な反射が発生しないようd2をd1と同じとしている。また、図4に示される放射方向θ(deg)に放射される電波を放射パターンとして示している。
図5では従来技術においてアンテナ素子間隔が1λを超え、不要な放射方向であるθ=±60°付近でグレーティングローブが生じている。これは、従来技術ではd2をd1と同じとした結果、アンテナ素子間隔d0が1波長を超えて不要な信号が放射されているためである。一方、本発明ではアンテナ素子間隔d0が1λ未満となるためグレーティングローブは生じない。このように、本発明を用いてd1をd2より小さくすると、グレーティングローブの問題を解消しつつアンテナ素子を密に配置できる。ここではx−y面上の放射パターンについて説明を行ったが、x−z面、y−z面上の放射パターンについても同様の現象が生じる。
図1のB−B断面図を図6に示す。この断面は図1においてスルーホール3が並ぶ位置の断面に相当する。図6のように、スルーホール3は伝送線路12を阻害しないように避けて配置される。また、図7のように伝送線路12の下部からからキャビティ1の底部に至るブラインドビアホール3aを配置し、伝送線路12を阻害しない範囲でキャビティ1の誘電体基板2とグランド層4を結合することもできる。
以上の構成により、単純な構成かつアレーアンテナの放射パターンにおいて、グレーティングローブを解消することができるアレーアンテナ装置を得ることができる。
なお、本実施の形態では4アンテナ素子のサブアレーを一例として想定したが、サブアレーのアンテナ素子数は2以上のいかなるアンテナ素子数であっても構わない。また、サブアレーを複数配置してアンテナ全体を構成しても構わない。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るアレーアンテナ装置について説明する。実施の形態1では1つの偏波を有する電波の放射を扱ったのに対して、本実施の形態では直交する2つの偏波を放射するアレーアンテナ装置を扱う。
図8は本発明におけるサブアレーの分解斜視図である。本アレーアンテナでは図1の構成に加えて、励振回路20、グランド層25、スリット基板40が新たに加えられている。なお、43はグランド層であり、図1のグランド層4と同じである。
励振回路10の構成は実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
励振回路20は励振回路10と同じ構造を有するが、励振回路10の偏波面と直交する偏波面を励振するため、励振回路10に対して直交した(90°回転した)配置を有している。また、伝送線路22がストリップ線路となるよう誘電体基板24の上下にキャビティ部1の開口部と同一または相似した形状の貫通孔を有するグランド層25、15を配置する。ここで、グランド層15は励振回路10と励振回路20との両方のグランドの役割を果たしている。
アンテナの底部には誘電体基板41の上面に、励振回路20の電界と同じ向きの導体スリット層42を配置し、下面に配置された閉じたグランド層43と誘電体基板41と導体スリット層42を合わせてスリット基板40とする。
キャビティ部1とグランド層43との導通を確保するため、誘電体基板41にはキャビティ部1の開口部に沿って金属のスルーホール3が配置され、スルーホール3はキャビティの側壁の役割を果たす。全体としてみると、励振回路20からキャビティ1の底部に至る層にスルーホールで形成され、キャビティの側壁の役割を果たす。
図8では、伝送線路12および伝送線路22へ給電するための垂直給電部13および垂直給電部23を同軸構造として実現する構成を示している。ここでは同軸構造の外導体のみを示しており、スルーホールで実現する。同軸構造の内導体はピンを挿入してもよいし、スルーホールを用いてもよい。また、垂直給電部13および垂直給電部23を構成する導体壁の一部をブラインドビアホールで構成することも可能である。
垂直給電部13と垂直給電部23とスルーホール3とを同じ加工プロセスで構成することで、従来必要であった垂直給電部を実現するための別加工プロセスおよび垂直給電部のための別部材を不要とすることができる。
また、垂直給電部13と垂直給電部23の導体壁をスルーホールで形成した導波管構造とすることも可能である。この場合にも、従来必要であった垂直給電部を実現するための別加工プロセスおよび垂直給電部のための別部材を不要とすることができる。
本発明では、スリット基板40、キャビティ部1、励振回路10、励振回路20を誘電体多層基板により一体構成する点に大きな特徴がある。実施の形態1では1つの偏波を実現するための構成を誘電体多層基板による一体構成としたが、本実施の形態では2つの直交偏波を実現するための構成を一体構成とする。
図8のA−A断面図を図9に示す。図から明らかなように、スリット基板40、キャビティ部1、励振回路10、第2の励振回路20を一体構成したのちの構成要素は、この多層基板と金属のキャビティ部30のみとなり、構造が簡易化される。
また、図示していないが、実施の形態1と同様に、伝送線路12の下部からスリット基板40の底部に至るブラインドビアホールを配置し、伝送線路12を阻害しない範囲でキャビティ1の誘電体基板2とスリット基板40を結合することもできる。放射パターンでの効果は両偏波ともに図5と同様であり、説明を省略する。
以上の構成により、加工工程の少ない単純なアレーアンテナの構成を実現しつつ、放射パターンにおいてグレーティングローブを解消することができるアレーアンテナ装置を得ることができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るアレーアンテナ装置について説明する。
実施の形態2ではキャビティ部30を空孔を有する金属により構成したのに対して、本実施の形態ではキャビティ部30を誘電体基板により構成する。
本実施の形態におけるアレーアンテナの基本構成は図8においてキャビティ部30を図10に置き換えた構成となる。図10では誘電体基板31の上面および下面に、貫通孔を有するグランド層32、33を設ける。この貫通孔は実施の形態2におけるキャビティ部30の貫通孔に対応する。グランド層32とグランド層33との導通を確保するため、誘電体基板31には、キャビティ部30の開口部に沿って金属のスルーホール3が配置され、電波はスルーホール3を側壁として多層基板間を伝搬する。
本実施の形態はスリット基板40、キャビティ部1、励振回路10、励振回路20を一体構成とすること、および、キャビティ部30を誘電体多層基板により構成することが本発明の特徴である。なお、ここではスリット基板40を備えた構成について説明を行ったが、スリット基板40を用いない場合には、キャビティ部1、励振回路10、励振回路20を一体構成とすること、および、キャビティ部30を誘電体多層基板により構成することが本発明の特徴である。
図11に本発明のアレーアンテナのx−z断面図を示す。図から明らかなように、スリット基板40、キャビティ部1、励振回路10、励振回路20を一体構成としたのちの構成要素は一体構成された多層基板とキャビティ部30の基板のみとなり、構造が簡易化される。このように、多層基板とキャビティ部30の基板は単に重ね合わせて配置させて互いを接着する構成としてもよいし、両者を新たに一体の多層基板としてもよい。この場合、全てが一体構成となり、構造がより簡易化される。図11ではスリット基板40を備えた構成を示しているが、スリット基板40を備えない構成とすることも可能である。この場合、キャビティ部1、励振回路10、励振回路20を一体構成とした構成となる。
放射パターンにおける効果は両偏波ともに図5と同様であり、説明を省略する。以上により、加工構成の少ない単純なアレーアンテナの構成を実現しつつ、放射パターンにおいてグレーティングローブを解消できるアレーアンテナ装置を得ることができる。
以上、実施の形態1から3において用いた用語は以下のような用語として用いても構わない。キャビティ部1、キャビティ部30をそれぞれ第1のキャビティ、第2のキャビティと呼んでも構わない。励振回路10、励振回路20をそれぞれ第1の励振回路、第2の励振回路と呼んでも構わない。伝送線路12、伝送線路22をそれぞれ第1の伝送線路、第2の伝送線路と呼んでも構わない。垂直給電部13、垂直給電部23をそれぞれ第1の垂直給電部、第2の垂直給電部と呼んでも構わない。
1:キャビティ部
2:誘電体基板
3:金属のスルーホール
3a:ブラインドビアホール
4:グランド層
5:中心導体
10:励振回路
11、11a、11b:給電プローブ
12、12a、12b:伝送線路
13:垂直給電部
14:誘電体基板
15、16:グランド層
20:励振回路
21:給電プローブ
22:伝送線路
23:垂直給電部
24:誘電体基板
25:グランド層
30、31:キャビティ部
32、33:グランド層
40:スリット基板
41:誘電体基板
42:導体スリット層
43:グランド層

Claims (17)

  1. 複数の開口部を有する第1のキャビティ部と、
    前記第1のキャビティ部の上面に配置され、第1の偏波面の電波を放射する第1の給電プローブ及び、前記第1の給電プローブに給電する第1の伝送線路を含む第1の励振回路と、
    前記第1の励振回路の上面に配置され、前記第1のキャビティ部の複数の開口部と同一または相似した形状を有する複数の貫通孔を有する第2のキャビティ部とで構成され、
    前記第1のキャビティ部と前記第1の励振回路とはスルーホールによって相互に接続されることを特徴とするアレーアンテナ装置。
  2. 前記第1のキャビティ部は底部が閉じられ前記複数の開口部が上部に位置する誘電体基板であることを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
  3. 前記スルーホールは前記第1の励振回路から前記第1のキャビティ部の底部に至る範囲に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  4. 前記第1の励振回路と前記第2のキャビティ部の間に、
    前記第1の偏波面と直交する第2の偏波面の電波を放射する第2の給電プローブ及び、前記第2の給電プローブに給電する第2の伝送線路を含む第2の励振回路とを備え、
    前記第1のキャビティ部と前記第1の励振回路と前記第2の励振回路とをスルーホールによって接続された一体の多層基板で構成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  5. 前記スルーホールは前記第2の励振回路から前記第1のキャビティ部の底部に至る範囲に形成されることを特徴とする請求項4に記載のアレーアンテナ装置。
  6. 前記第1のキャビティ部の下部に配置され、上面に前記第2の励振回路の電界と同じ向きの導体スリット層、下面に電気的に閉じたグランドを有する誘電体基板を備えたスリット基板を備え、
    前記第1のキャビティ部と前記第1の励振回路と前記第2の励振回路と前記スリット基板とをスルーホールによって接続された一体の多層基板で構成することを特徴とする請求項4乃至請求項5のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  7. 前記第2のキャビティ部を金属の導体で構成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  8. 前記第1の伝送線路を配する面と垂直方向に配置され、前記第1の伝送線路に給電を行う第1の垂直給電部と、
    前記第2の伝送線路を配する面と垂直方向に配置され、前記第2の伝送線路に給電を行う第2の垂直給電部とを有することを特徴とする
    請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  9. 前記第1および第2の垂直給電部の外導体をスルーホールで形成した同軸構造で構成することを特徴とする請求項8に記載のアレーアンテナ装置。
  10. 前記第1および第2の垂直給電部の導体壁をスルーホールで形成した導波管構造で構成することを特徴とする請求項8に記載のアレーアンテナ装置。
  11. 前記多層基板内の前記第1のキャビティ部を構成する導体壁の一部を前記第1の伝送線路または第2の伝送線路の下部から前記第1のキャビティ部の底部に至るブラインドビアホールで構成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  12. 前記第1の垂直給電部および第2の垂直給電部を構成する導体壁の一部をブラインドビアホールで構成することを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  13. 前記第2のキャビティ部を多層基板で構成し、
    前記第2のキャビティ部の貫通孔を前記多層基板の基板面に直交するスルーホールと、前記多層基板の空孔とで形成することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  14. 前記第1のキャビティ部と前記第1の励振回路と前記第2の励振回路とからなる多層基板と、前記第2のキャビティ部からなる多層基板とを重ねて構成することを特徴とする請求項13に記載のアレーアンテナ装置。
  15. 前記第1のキャビティ部と前記第1の励振回路と前記第2の励振回路とからなる多層基板と、前記第2のキャビティ部からなる多層基板とを一体の多層基板で構成することを特徴とする請求項14に記載のアレーアンテナ装置。
  16. 前記第1のキャビティ部の開口部の径は前記第2のキャビティ部の開口部の径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  17. 前記多層基板内の前記第1のキャビティ部を構成するスルーホールと前記第1および第2の垂直給電部を構成するスルーホールとを、同一の加工プロセスにて形成することを特徴とする請求項9乃至請求項16のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置の製造方法。
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