以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の通信装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態1である通信装置が適用された自動販売機を示すものであり、図1は斜視図、図2は内部構造を示す斜視図、図3は制御系を模式的に示すブロック図である。ここに例示する自動販売機1は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのもので、自動販売機本体である本体キャビネット11を備えている。
本体キャビネット11の内部には、複数(図示の例では3つ)の独立した商品収容庫12が左右に並設されている。これら商品収容庫12は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するものである。
各商品収容庫12には、商品収納ラック13、搬出機構14及び搬出シュータ15が設けられている。商品収納ラック13は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構14は、商品収納ラック13の下部に設けてあり、この商品収納ラック13に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ15は、搬出機構14から搬出された商品を後述する商品取出口22に導くためのものである。また、商品収容庫12の搬出シュータ15によって区画される下方には熱交換器(図示せず)が配設してあり、該熱交換器の駆動により、商品収納ラック13に収納された飲料缶やペットボトルを所望の冷却温度、あるいは加熱温度に維持することが可能である。尚、本実施の形態においては、自動販売機1を正面から見た場合の左方を左側とし、自動販売機1を正面から見た場合の右方を右側として説明する。
上記自動販売機1には、本体キャビネット11の左側縁部に扉体16が設けられている。扉体16は、本体キャビネット11の前面開口を開閉するためのもので、内扉16a及び外扉16bを備えて構成されている。内扉16aは、本体キャビネット11に設けられた商品収容庫12の前面を覆うのに十分な大きさを有しており、断熱構造を有するものである。図示の例では、内扉16aを上下に分割し、それぞれを個別に開閉できるようにしてある。
外扉16bは、本体キャビネット11の前面開口を覆うのに十分な大きさを有したものである。この外扉16bには、その前面側にディスプレイモニタ17、硬貨投入口18、紙幣挿入口19、一体表示器20、硬貨返却口21、商品取出口22が設けられている一方、その後面側には、硬貨処理機23、硬貨回収箱24、紙幣処理機25が設けられている。
ディスプレイモニタ17は、いわゆるタッチパネル式の表示画面であり、液晶表示画面の所定個所を指先で押圧すると、押圧個所に対応した信号を後述する自販機制御部30に与える周知の構造を採用している。かかるディスプレイモニタ17は、複数種類の商品見本を整列させて表示する表示手段としての機能を有している。このように商品見本を表示する場合には、それぞれの商品見本の下方個所に該商品見本に対応する商品がホット商品なのか、コールド商品なのかを示す冷温表示も併せて表示する。すなわち、ホット商品の商品見本には「HOT」を表示し、コールド商品の商品見本には「COLD」を表示している。また、ディスプレイモニタ17は、商品選択手段としての機能も有しており、表示画面上のいずれかの商品見本を押圧すると、押圧個所に対応した信号が自販機制御部30に与えられ、その後、該商品見本に対応する商品が所定条件の下で、本体キャビネット11の内部から払い出されるようになっている。
硬貨投入口18は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口18を通じて投入された硬貨は、硬貨処理機23においてその金種が識別され、その後硬貨回収箱24に収容されることになる。紙幣挿入口19は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口19を通じて挿入された紙幣は、紙幣処理機25においてその金種が識別されることになる。また上記紙幣挿入口19は、紙幣処理機25において識別できなかった紙幣を返却するための機能を有している。一体表示器20は、貨幣の投入金額、販売中であるか否か、釣銭があるか否か等、各種情報を利用者に表示するためのものである。硬貨返却口21は、硬貨処理機23において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。商品取出口22は、商品収納ラック13から払い出された商品を利用者が受け取るための開口である。
次に、本実施の形態1である通信装置が適用された自動販売機1の制御系について説明する。上記自動販売機1は、自販機制御部30、近距離通信部31、長距離通信部32及び制御部40を備えている。
自販機制御部30は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機1の販売動作を統括して制御するものである。
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に対応した無線通信装置であり、例えばFelica等の非接触ICカードとアンテナ31aとにより構成されている。
長距離通信部32は、近距離通信部31よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことができるもので、例えばIEEE802.11a/b/gの通信規格に対応する無線LANとアンテナ32aとにより構成されている。
制御部40は、自販機制御部30とデータの送受信が可能な態様で電気的に接続されているとともに、近距離通信部31及び長距離通信部32とも電気的に接続されている。この制御部40は、近距離通信部31及び長距離通信部32と通信装置を構成しており、メモリ60に記憶された各種処理プログラムを実行するCPU等に実現され、通信設定制御部51及び特典管理制御部52を備えている。
通信設定制御部51は、近距離通信部31や長距離通信部32を通じての通信処理を制御するものである。特典管理制御部52は、予め決められた特典情報に応じた管理制御を行うものである。尚、本実施の形態1においては特典情報がポイントに関するものであるとして説明する。
一方、本実施の形態1である通信装置の通信対象となる外部通信装置について説明する。かかる外部通信装置は、例えばスマートフォン等の多機能の携帯端末機器100であり、端末近距離通信部131、端末長距離通信部132及び端末制御部140を備えている。
端末近距離通信部131は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に対応した無線通信装置であり、例えばFelica等の非接触ICカードとアンテナ131aとにより構成されている。
端末長距離通信部132は、端末近距離通信部131よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことができるもので、例えばIEEE802.11a/b/gの通信規格に対応する無線LANとアンテナ132aとにより構成されている。
端末制御部140は、端末近距離通信部131及び端末長距離通信部132とも電気的に接続されており、携帯端末機器100の各部の処理及び動作を制御するものである。
図4は、上述した自動販売機が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図4を参照しながら、本発明の実施の形態1である自動販売機1の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ101,SQ102)、制御部40の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ103)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ104)、制御部40の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ105)。ここで無線接続情報は、自動販売機1と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機1の制御部40と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ106)、制御部40の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ107)。相互認証が成立すると、自動販売機1と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ108)。
ところで、携帯端末機器100の利用者により硬貨投入口18又は紙幣挿入口19を通じて金銭が投入されて硬貨処理機23又は紙幣処理機25にて処理されるとともに、ディスプレイモニタ17を通じて所望の商品が選択されると(SQ109,SQ110)、自販機制御部30は、搬出機構14を駆動させて選択された商品を払い出し(SQ111)、制御部40に対して商品を販売した旨を送信する(SQ112)。
自販機制御部30より商品を販売した旨の信号を受信した制御部40の特典管理制御部52は、長距離通信部32を通じてポイント加算情報(特典情報)を送信する(SQ113)。このポイント加算情報を受信した携帯端末機器100では、ポイント加算処理を行い、これを記憶する(SQ114)。
携帯端末機器100に対してポイント加算情報を送信した制御部40の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ115)、これにより、自動販売機1と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部40の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ116)、新たな無線接続情報をメモリ60に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
よって、制御部40の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与えるものである。また、この通信設定制御部51は、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うものである。
このように本実施の形態1においては、制御部40と近距離通信部31とが、携帯端末機器(外部通信装置)100との間で近距離通信を行うことが可能な第1の通信手段を構成しており、制御部40と長距離通信部32とが、携帯端末機器(外部通信装置)100との間で第1の通信手段よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことが可能な第2の通信手段を構成している。
以上説明したように、本実施の形態1である自動販売機1の通信装置によれば、制御部40及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部40及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、利用者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機1との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機1との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、上記自動販売機1の通信装置によれば、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ60に記憶させているので、制御部40の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記自動販売機1の通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、利用者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の購入を行うことができるとともに、必要な情報を自動販売機1から得ることができ、しかも商品の購入に応じてポイント加算を受けることができるので、商品の販売機会の増大化を図ることができる。
上述した例では、商品の販売が行われた場合に、利用者の携帯端末機器100にポイント加算を行う場合について説明したが、利用者が携帯端末機器100に記憶されたポイントを利用する場合には次のように通信処理を行ってもよい。
図5は、自動販売機が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図5を参照しながら、本発明の実施の形態1である自動販売機1の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ121,SQ122)、制御部40の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ123)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ124)、制御部40の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ125)。ここで無線接続情報は、自動販売機1と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機1の制御部40と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ126)、制御部40の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ127)。相互認証が成立すると、自動販売機1と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ128)。
そして、携帯端末機器100より該携帯端末機器100に記憶されているポイント情報(被特典情報)が与えられると(SQ129)、制御部40は、自販機制御部30に与えられたポイント情報を送信する(SQ130)。
ポイント情報が与えられた自販機制御部30は、かかるポイント情報に応じて商品価格の割引設定を行う(SQ131)。その後、携帯端末機器100の利用者により硬貨投入口18又は紙幣挿入口19を通じて金銭が投入されて硬貨処理機23又は紙幣処理機25にて処理されるとともに、ディスプレイモニタ17を通じて所望の商品が選択されると(SQ132,SQ133)、自販機制御部30は、搬出機構14を駆動させて選択された商品を払い出し(SQ134)、制御部40に対して商品を販売した旨を送信する(SQ135)。
自販機制御部30より商品を販売した旨の信号を受信した制御部40の特典管理制御部52は、長距離通信部32を通じてポイント減算情報を送信する(SQ136)。このポイント減算情報を受信した携帯端末機器100では、ポイント減算処理を行い、これを記憶する(SQ137)。
携帯端末機器100に対してポイント減算情報を送信した制御部40の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ138)、これにより、自動販売機1と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部40の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ139)、新たな無線接続情報をメモリ60に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
このような通信装置によっても、制御部40及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部40及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、利用者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機1との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機1との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ60に記憶させているので、制御部40の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、利用者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の購入を行うことができるとともに、必要な情報を自動販売機1から得ることができ、しかも自身が有するポイントによって商品価格の割引等のサービスを受けることができるので、商品の販売機会の増大化を図ることができる。
<実施の形態2>
図6は、本発明の実施の形態2である通信装置が適用された自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
ここで本実施の形態2である通信装置が適用された自動販売機2は、自販機制御部30、近距離通信部31、長距離通信部32及び制御部41を備えている。
自販機制御部30は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機2の販売動作を統括して制御するものである。
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に対応した無線通信装置であり、例えばFelica等の非接触ICカードとアンテナ31aとにより構成されている。
長距離通信部32は、近距離通信部31よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことができるもので、例えばIEEE802.11a/b/gの通信規格に対応する無線LANとアンテナ32aとにより構成されている。
制御部41は、自販機制御部30とデータの送受信が可能な態様で電気的に接続されているとともに、近距離通信部31及び長距離通信部32とも電気的に接続されている。この制御部41は、近距離通信部31及び長距離通信部32と通信装置を構成しており、メモリ61に記憶された各種処理プログラムを実行するCPU等に実現され、通信設定制御部51及び特典管理制御部53を備えている。
通信設定制御部51は、近距離通信部31や長距離通信部32を通じての通信処理を制御するものである。特典管理制御部53は、予め決められた被特典情報に応じた処理を行うもので、本実施の形態2においては被特典情報としてサービス提供を受ける会員情報であるものとして説明する。
図7は、本実施の形態2である通信装置が適用された自動販売機が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図7を参照しながら、本発明の実施の形態2である自動販売機2の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ201,SQ202)、制御部41の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ203)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ204)、制御部41の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ205)。ここで無線接続情報は、自動販売機2と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機2の制御部41と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ206)、制御部41の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ207)。相互認証が成立すると、自動販売機2と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ208)。
そして、携帯端末機器100より該携帯端末機器100に記憶されており、サービスの提供を受けることが可能な会員情報(被特典情報)が与えられると(SQ209)、制御部41は、自販機制御部30に与えられた会員情報を送信する(SQ210)。
会員情報が与えられた自販機制御部30は、かかる会員情報に応じて商品価格の割引設定を行う(SQ211)。その後、携帯端末機器100の利用者により硬貨投入口18又は紙幣挿入口19を通じて金銭が投入されて硬貨処理機23又は紙幣処理機25にて処理されるとともに、ディスプレイモニタ17を通じて所望の商品が選択されると(SQ212,SQ213)、自販機制御部30は、搬出機構14を駆動させて選択された商品を払い出し(SQ214)、制御部41に対して商品を販売した旨を送信する(SQ215)。
自販機制御部30より商品を販売した旨の信号を受信した制御部41の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ216)、これにより、自動販売機2と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部41の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ217)、新たな無線接続情報をメモリ61に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
このように本実施の形態2である通信装置によれば、制御部41及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部41及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、利用者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機2との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機2との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ61に記憶させているので、制御部41の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、利用者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の購入を行うことができるとともに、必要な情報を自動販売機2から得ることができ、しかも会員情報を送信することによって商品価格の割引等のサービスを受けることができるので、商品の販売機会の増大化を図ることができる。
<実施の形態3>
図8は、本発明の実施の形態3である通信装置が適用された自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1及び実施の形態2と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
ここで本実施の形態3である通信装置が適用された自動販売機3は、自販機制御部30、近距離通信部31、長距離通信部32及び制御部42を備えている。
自販機制御部30は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機3の販売動作を統括して制御するものである。
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に対応した無線通信装置であり、例えばFelica等の非接触ICカードとアンテナ31aとにより構成されている。
長距離通信部32は、近距離通信部31よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことができるもので、例えばIEEE802.11a/b/gの通信規格に対応する無線LANとアンテナ32aとにより構成されている。
制御部42は、自販機制御部30とデータの送受信が可能な態様で電気的に接続されているとともに、近距離通信部31及び長距離通信部32とも電気的に接続されている。この制御部42は、近距離通信部31及び長距離通信部32と通信装置を構成しており、メモリ62に記憶された各種処理プログラムを実行するCPU等に実現され、通信設定制御部51及び特典管理制御部54を備えている。
通信設定制御部51は、近距離通信部31や長距離通信部32を通じての通信処理を制御するものである。特典管理制御部54は、予め決められた特典情報に応じた管理制御を行うものである。尚、本実施の形態3においては特典情報がクーポンに関するものであるとして説明する。
図9は、上述した自動販売機が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図9を参照しながら、本発明の実施の形態3である自動販売機3の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ301,SQ302)、制御部42の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ303)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ304)、制御部42の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ305)。ここで無線接続情報は、自動販売機3と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機3の制御部42と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ306)、制御部42の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ307)。相互認証が成立すると、自動販売機3と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ308)。
ところで、携帯端末機器100の利用者により硬貨投入口18又は紙幣挿入口19を通じて金銭が投入されて硬貨処理機23又は紙幣処理機25にて処理されるとともに、ディスプレイモニタ17を通じて所望の商品が選択されると(SQ309,SQ310)、自販機制御部30は、搬出機構14を駆動させて選択された商品を払い出し(SQ311)、制御部42に対して商品を販売した旨を送信する(SQ312)。
自販機制御部30より商品を販売した旨の信号を受信した制御部42の特典管理制御部54は、長距離通信部32を通じてクーポン発行情報(特典情報)を送信する(SQ313)。このクーポン発行情報を受信した携帯端末機器100では、クーポン情報を記憶する(SQ314)。
携帯端末機器100に対してクーポン発行情報を送信した制御部42の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ315)、これにより、自動販売機3と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部42の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ316)、新たな無線接続情報をメモリ62に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
よって、制御部42の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与えるものである。また、この通信設定制御部51は、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うものである。
以上説明したように、本実施の形態3である自動販売機3の通信装置によれば、制御部42及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部42及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、利用者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機3との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機3との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、上記自動販売機3の通信装置によれば、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ62に記憶させているので、制御部42の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記自動販売機3の通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、利用者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の購入を行うことができるとともに、必要な情報を自動販売機3から得ることができ、しかも商品の購入に応じてクーポンの発行を受けることができるので、商品の販売機会の増大化を図ることができる。
上述した例では、商品の販売が行われた場合に、利用者の携帯端末機器100にクーポンの発行を行う場合について説明したが、利用者が携帯端末機器100に記憶されたクーポンを利用する場合には次のように通信処理を行ってもよい。
図10は、自動販売機3が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図10を参照しながら、本発明の実施の形態3である自動販売機3の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ321,SQ322)、制御部42の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ323)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ324)、制御部42の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ325)。ここで無線接続情報は、自動販売機3と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機3の制御部42と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ326)、制御部42の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ327)。相互認証が成立すると、自動販売機3と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ328)。
そして、携帯端末機器100より該携帯端末機器100に記憶されているクーポン情報(被特典情報)が与えられると(SQ329)、制御部42は、自販機制御部30に与えられたクーポン情報を送信する(SQ330)。
クーポン情報が与えられた自販機制御部30は、かかるクーポン情報に応じて商品価格の割引設定を行う(SQ331)。その後、携帯端末機器100の利用者により硬貨投入口18又は紙幣挿入口19を通じて金銭が投入されて硬貨処理機23又は紙幣処理機25にて処理されるとともに、ディスプレイモニタ17を通じて所望の商品が選択されると(SQ332,SQ333)、自販機制御部30は、搬出機構14を駆動させて選択された商品を払い出し(SQ334)、制御部42に対して商品を販売した旨を送信する(SQ335)。
自販機制御部30より商品を販売した旨の信号を受信した制御部42の特典管理制御部54は、長距離通信部32を通じてクーポン削除依頼を送信する(SQ336)。このクーポン削除依頼を受信した携帯端末機器100では、クーポン削除処理を行い、これを記憶する(SQ337)。
携帯端末機器100に対してクーポン削除依頼を送信した制御部42の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ338)、これにより、自動販売機3と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部42の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ339)、新たな無線接続情報をメモリ62に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
このような通信装置によっても、制御部42及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部42及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、利用者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機3との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機3との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ62に記憶させているので、制御部42の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、利用者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の購入を行うことができるとともに、必要な情報を自動販売機3から得ることができ、しかも自身が有するクーポンによって商品価格の割引等のサービスを受けることができるので、商品の販売機会の増大化を図ることができる。
<実施の形態4>
図11は、本発明の実施の形態4である通信装置が適用された自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1〜3と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
ここで本実施の形態4である通信装置が適用された自動販売機4は、自販機制御部30、近距離通信部31、長距離通信部32及び制御部43を備えている。
自販機制御部30は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機4の販売動作を統括して制御するものである。
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に対応した無線通信装置であり、例えばFelica等の非接触ICカードとアンテナ31aとにより構成されている。
長距離通信部32は、近距離通信部31よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことができるもので、例えばIEEE802.11a/b/gの通信規格に対応する無線LANとアンテナ32aとにより構成されている。
制御部43は、自販機制御部30とデータの送受信が可能な態様で電気的に接続されているとともに、近距離通信部31及び長距離通信部32とも電気的に接続されている。この制御部43は、近距離通信部31及び長距離通信部32と通信装置を構成しており、メモリ63に記憶された各種処理プログラムを実行するCPU等に実現され、通信設定制御部51及び特典管理制御部55を備えている。
通信設定制御部51は、近距離通信部31や長距離通信部32を通じての通信処理を制御するものである。特典管理制御部55は、予め決められた特典機能付きコンテンツ情報に応じた管理制御を行うものである。尚、本実施の形態4においては特典機能付きコンテンツ情報がルーレットに関するものであるとして説明する。
図12は、上述した自動販売機4が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図12を参照しながら、本発明の実施の形態4である自動販売機4の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ401,SQ402)、制御部43の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ403)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ404)、制御部43の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ405)。ここで無線接続情報は、自動販売機4と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機4の制御部43と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ406)、制御部43の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ407)。相互認証が成立すると、自動販売機4と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ408)。
ところで、携帯端末機器100の利用者により硬貨投入口18又は紙幣挿入口19を通じて金銭が投入されて硬貨処理機23又は紙幣処理機25にて処理されるとともに、ディスプレイモニタ17を通じて所望の商品が選択されると(SQ409,SQ410)、自販機制御部30は、搬出機構14を駆動させて選択された商品を払い出し(SQ411)、制御部43に対して商品を販売した旨を送信する(SQ412)。
自販機制御部30より商品を販売した旨の信号を受信した制御部43の特典管理制御部55は、長距離通信部32を通じて特典機能付きコンテンツ情報としてのルーレット起動情報を送信する(SQ413)。このルーレット起動情報を受信した携帯端末機器100では、図示せぬ表示部においてルーレットが表示されて起動する(SQ414)。
かかるルーレットが起動して「当たり」となった場合、携帯端末機器100より当たり情報(被特典情報)が与えられる(SQ415)。
当たり情報を受信した制御部43の特典管理制御部55は、自販機制御部30に対して特典商品販売情報を送信する(SQ416)。
特典商品販売情報が与えられた自販機制御部30は、ディスプレイモニタ17を通じて商品の選択を促し、所望の商品が選択されると(SQ417)、搬出機構14を駆動させて選択された特典商品を払い出し(SQ418)、制御部43に対して特典商品を払い出した旨を送信する(SQ419)。
自販機制御部30より特典商品を払い出した旨の信号を受信した制御部43の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ420)、これにより、自動販売機4と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部43の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ421)、新たな無線接続情報をメモリ63に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
よって、制御部43の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与えるものである。また、この通信設定制御部51は、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うものである。
以上説明したように、本実施の形態4である自動販売機4の通信装置によれば、制御部43及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部43及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、利用者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機4との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機4との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、上記自動販売機4の通信装置によれば、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ63に記憶させているので、制御部43の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記自動販売機4の通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、利用者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の購入を行うことができるとともに、必要な情報を自動販売機4から得ることができる。しかも商品の購入に際して特典機能付きコンテンツ情報としてルーレットを起動させ、当たった場合には特典商品を提供するので、利用者に商品の販売購入を喚起することができ、商品の販売機会の増大化を図ることができる。
尚、上記通信処理においてルーレットが起動された結果「はずれ」となった場合には、はずれ情報が制御部43に送信されることとなる。かかるはずれ情報を受信した制御部43は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い、更に今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ63に記憶させることになる。
<実施の形態5>
図13は、本発明の実施の形態5である通信装置が適用された自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1〜4と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
ここで本実施の形態5である通信装置が適用された自動販売機5は、自販機制御部30、近距離通信部31、長距離通信部32及び制御部44を備えている。
自販機制御部30は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機5の販売動作を統括して制御するものである。
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に対応した無線通信装置であり、例えばFelica等の非接触ICカードとアンテナ32aとにより構成されている。
長距離通信部32は、近距離通信部31よりも遠距離かつ高速な無線通信を行うことができるもので、例えばIEEE802.11a/b/gの通信規格に対応する無線LANとアンテナ32aとにより構成されている。
制御部44は、自販機制御部30とデータの送受信が可能な態様で電気的に接続されているとともに、近距離通信部31及び長距離通信部32とも電気的に接続されている。この制御部44は、近距離通信部31及び長距離通信部32と通信装置を構成しており、メモリ64に記憶された各種処理プログラムを実行するCPU等に実現され、通信設定制御部51を備えている。通信設定制御部51は、近距離通信部31や長距離通信部32を通じての通信処理を制御するものである。
尚、本実施の形態5である通信装置の通信対象となる外部通信装置は、例えばスマートフォン等の多機能の携帯端末機器100であり、実施の形態1〜4と異なり、いわゆるルートマンと称されるようなルート作業者等の管理者が保持するものである。
図14は、上述した自動販売機5が実施する近距離通信及び長距離通信の処理を示すシーケンス図である。以下、この図14を参照しながら、本発明の実施の形態5である自動販売機5の通信装置の通信処理について説明する。
予め記憶されている所定のアプリケーションソフトが起動された携帯端末機器100が近距離通信部31の通信可能領域に保持されると(SQ501,SQ502)、制御部44の通信設定制御部51は、近距離通信部31を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ503)。相互認証が成立して携帯端末機器100より無線接続情報が要求されると(SQ504)、制御部44の通信設定制御部51は、無線接続情報を携帯端末機器100に送信する(SQ505)。ここで無線接続情報は、自動販売機5と携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行う場合に必要とされる情報で、SSIDやパスワード(秘匿性の保持に用いる秘密鍵)等が含まれている。
このようにして自動販売機5の制御部44と携帯端末機器100との間で近距離通信が行われた後、次のようにして長距離通信が行われる。
携帯端末機器100において取得したSSIDやパスワードの入力操作が行われることにより、携帯端末機器100より長距離通信接続要求(無線LANによる回線接続要求)が与えられると(SQ506)、制御部44の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100と相互認証処理を行う(SQ507)。相互認証が成立すると、自動販売機5と携帯端末機器100との間で無線LANを利用した相互通信可能な状態になる(SQ508)。これらの相互認証により制御部44は、携帯端末機器100の保有者がルート作業者等の管理者であると認識することができる。
そして、携帯端末機器100より精算情報要求が送信されると(SQ509)、制御部44は、自販機制御部30に精算情報依頼を送信する(SQ510)。
精算情報依頼が与えられた自販機制御部30は、記憶部に記憶されている精算情報を読み出してこれを制御部44に対して送信する(SQ511)。
自販機制御部30より精算情報を受信した制御部44の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて精算情報を送信する(SQ512)。この精算情報を受信した携帯端末機器100では、かかる精算情報を記憶する(SQ513)。
携帯端末機器100に対して精算情報を送信した制御部44の通信設定制御部51は、長距離通信部32を通じて携帯端末機器100に対して無線LANによる通信解除を行い(SQ514)、これにより、自動販売機5と携帯端末機器100との間の長距離通信が終了する。また、通信解除を行った制御部44の通信設定制御部51は、今回の無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更し(SQ515)、新たな無線接続情報をメモリ64に記憶させる。これにより、次回与えられる無線接続情報と今回の無線接続情報とはパスワードが異なるものとなる。
以上説明したように、本実施の形態5である自動販売機5の通信装置によれば、制御部44及び近距離通信部31が、所定のアプリケーションソフトが起動された状態の携帯端末機器100が通信可能領域に保持された場合に、該携帯端末機器100に対して無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を与え、制御部44及び長距離通信部32が、無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線LANによる無線通信を行うようにしたので、管理者にとっては携帯端末機器100を近距離通信部31の通信可能領域に保持させる(翳す)だけで、携帯端末機器100に当該自動販売機5との無線LANによる無線通信を行うための無線接続情報を取得することができる。そして、取得した無線接続情報の入力操作により、該当する自動販売機5との間で無線LANによる無線通信を行うことができる。また、無線接続情報には、パスワードが含まれているので不正行為を招来する虞れがない。従って、不正行為を招来することなく、簡単な手続で携帯端末機器100と無線通信を行うことができる。
また、上記自動販売機5の通信装置によれば、無線LANによる無線通信が終了すると、無線接続情報に含まれるパスワードを異なるものに変更して新たな無線接続情報をメモリ64に記憶させているので、制御部44の通信設定制御部51は、近距離通信部31とともに、通信可能領域に保持された携帯端末機器100に対し、前回与えた無線接続情報とはパスワードが異なる新たな無線接続情報を与える一方、長距離通信部32とともに、新たな無線接続情報を取得した携帯端末機器100との間で無線通信を行うこととなり、これにより無線LANによる無線通信を行う度に無線接続情報を変更している。従って、より顕著に不正行為の防止を図ることができる。
また、上記自動販売機5の通信装置によれば、無線LANによる無線通信を行うことで、管理者は携帯端末機器100を手に持つ必要がなく商品の補充作業等を行うことができるとともに、精算情報以外の商品の販売に関する情報を自動販売機5から得ることもでき、補充作業等の利便性を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態1〜5について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態1〜3においては、外部通信装置(携帯端末機器100)から被特典情報(ポイント情報、会員情報、クーポン情報)が与えられた場合に、商品を割引価格にて販売していたが、本発明においては商品を無償にて販売してもよい。
上述した実施の形態1〜4においては、商品の販売動作が行われた後にポイント加算情報の送信等の予め決められた後処理を行ってから外部通信装置(携帯端末機器100)との無線通信を解除していたが、本発明においては、このような後処理を行うことなく、少なくとも商品の販売動作が行われた後に外部通信装置との無線通信を解除してもよいし、無線LANによる通信が行われてから予め設定された時間が経過した後に該通信を解除するようにしてもよい。
上述した実施の形態1〜4においては、商品の販売動作が行われた後にポイント加算情報の送信等の予め決められた後処理を行ってから外部通信装置(携帯端末機器100)との無線通信を解除していたが、本発明においては、商品の販売動作が行われてから予め設定された時間が経過した場合に、外部通信装置との無線通信を解除するようにしてもよい。ここで設定された時間は、商品の払い出し後におけるポイント加算情報の送信等の後処理を行うのに十分な長さを有した時間である。
上述した実施の形態5においては、商品の販売に関する情報の一例である精算情報を外部通信装置(携帯端末機器100)に与えた場合に、該外部通信装置との無線通信を解除していたが、本発明においては、扉体(外扉16b)が開移動させられることにより自動販売機本体(本体キャビネット11)の前面開口が開状態であることが検出手段により検出された時点から予め設定された時間が経過した場合に、外部通信装置との無線通信を解除するようにしてもよい。ここで予め設定された時間は、管理者が商品補充等の様々な作業を行うのに十分な長さを有した時間である。
上述した実施の形態5においては、商品の販売に関する情報の一例である精算情報を外部通信装置(携帯端末機器100)に与えた場合に、該外部通信装置との無線通信を解除していたが、本発明においては、扉体(外扉16b)が開閉移動させられることにより自動販売機本体(本体キャビネット11)の前面開口が開状態から閉状態になったことが検出手段により検出された場合に、つまり管理者の商品補充等の作業が終了した場合に、外部通信装置との無線通信を解除するようにしてもよい。