JP2014093130A - 電子デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】素子特性が安定化され、長寿命化された電子デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】素子を支持する素子基板1と、該素子基板1に対向して配置する封止基板2と、素子基板1と封止基板2とを封止するために素子基板1及び封止基板2の間に配設された封止部材20とを備えた電子デバイスであって、封止部材20が、無機粒子22aの焼結体と、硬化性樹脂の硬化物である硬化樹脂21とを含むことを特徴とする電子デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子デバイス及びその製造方法、特に、新規の封止部材を備えた電子デバイス及びその製造方法に関する。本明細書で電子デバイスとは、IC等の半導体装置や、有機EL装置等の表示装置などの、装置の本来的な機能を発揮する素子を支持する素子基板とそれに対向配置する封止基板とを封止して作製される電子デバイスをいう。
電子デバイス例えば、有機EL装置は、陽極と陰極との間に発光層を備えた有機発光素子を支持する素子基板と、この素子基板に対向配置する封止基板とを、封止基板の外周部に配設した紫外線硬化型樹脂などの封止材により封止したものである。
しかし、封止材を構成する樹脂材料はその材料中に隙間を有するために、その隙間から外部環境の水分子や酸素分子が侵入して、封止空間内に配置する発光層を劣化させたり、電極の金属を腐食させる等の問題がある。これにより、安定した発光特性が得られないだけでなく、発光寿命が短くなってしまうため、水分や酸素等の侵入を防ぐことは重要である。
特許文献1には、平均粒径が100nm以下の乾燥剤粒子を硬化樹脂中に分散させる封止材が開示されている。
このような封止材は、乾燥剤粒子が水分吸着するという効果の他、乾燥剤粒子が水分子や酸素分子の侵入の障害物となり、それらの分子の侵入経路(移動経路、拡散経路)を長くして封止空間内の素子に達する水分子等を低減する効果も有する。
特開2009−259656号公報
しかしながら、特許文献1に開示された封止材は乾燥剤粒子が硬化樹脂中に分散されてなり、乾燥剤粒子が離間して配置する構成なので、乾燥剤粒子がない封止材と、水分子や酸素分子の侵入経路が変わらない部分も少なからず残っており(乾燥剤粒子の径サイズや濃度による)、それらの侵入経路から侵入する水分子や酸素分子の影響は少なくない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、外部環境の水分子や酸素分子の侵入が抑制された封止部材を用いることにより、素子特性が安定化され、長寿命化された電子デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、封止部材中の水分子や酸素分子の侵入経路が長距離化された、すなわち、バリア性が高い、従来とは全く異なる画期的な封止部材の形成方法に想到した。その方法は、基板上に無機粒子の焼結体を形成し、その焼結体に硬化性樹脂を充填し、当該硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂として封止部材を形成するというものである。この方法によれば、無機粒子が硬化樹脂中に分散されてなる封止材の場合と同じ径サイズの無機粒子を用いた場合でも、無機粒子同士が結合して焼結体を構成しているので、硬化性樹脂を充填する際に硬化性樹脂が入り込むスペースが特許文献1に開示された封止材に比べて小さい。それは、水分子や酸素分子が移動する際の障害物が多いことを意味し、侵入経路が長距離化することになる。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]素子を支持する素子基板と、該素子基板に対向して配置する封止基板と、前記素子基板と前記封止基板とを封止するために前記素子基板及び前記封止基板の間に配設された封止部材とを備えた電子デバイスであって、
前記封止部材が、無機粒子の焼結体と硬化性樹脂の硬化物である硬化樹脂とを含むことを特徴とする電子デバイス。
(「硬化樹脂」は、焼結体の空隙に充填された硬化樹脂だけでなく、焼結体の外周を覆う硬化樹脂をも含む。)
[2]前記無機粒子の平均粒径が10〜1000nmであることを特徴とする上記[1]に記載の電子デバイス。
[3]前記封止部材が、下記式(1)で求められる空隙率Sがそれぞれ異なる複数の層を含むことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の電子デバイス。
S(%)=100×焼結体の間に充填された硬化樹脂の体積/(焼結体の間に充填された硬化樹脂の体積+焼結体の体積) ・・・ (1)
[4]前記複数の層のうち、前記素子基板及び/又は封止基板に接触する層の前記空隙率が、それ以外の層の前記空隙率よりも大きいことを特徴とする上記[3]に記載の電子デバイス。
[5]前記封止部材が、下記式(2)で求められる硬化樹脂の重量比Wがそれぞれ異なる複数の層を含むことを特徴とする上記[1]又は[2]のいずれかに記載の電子デバイス。
W=硬化樹脂の重量/(硬化樹脂の重量+焼結体の重量) ・・・ (2)
[6]前記複数の層のうち、前記素子基板及び/又は封止基板に接触する層の前記重量比Wがそれ以外の層の前記重量比Wよりも大きいことを特徴とする上記[5]に記載の電子デバイス。
[7]前記複数の層それぞれが、平均粒径の異なる前記無機粒子を有することを特徴とする上記[3]〜[6]のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[8]前記焼結体が、種類の異なる無機粒子からなることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[9]前記封止部材が、複数の大きさの異なる枠体が入れ子構造で構成されてなることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[10]前記素子が有機発光素子であることを特徴とする上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[11]封止基板の封止部材配設領域上に、無機粒子を含むペーストを堆積する第1の工程と、
前記ペーストを加熱して、無機粒子の焼結体を形成する第2の工程と、
前記焼結体に硬化性樹脂を充填する第3の工程と、
前記硬化性樹脂が充填された前記焼結体を有する前記封止基板と素子を備える素子基板を重ね合わせる第4の工程と、
前記硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂とする第5の工程と、を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
[12]第2の工程の加熱を400℃〜700℃の温度で行うことを特徴とする上記[11]に記載の電子デバイスの製造方法。
[13]第3の工程において、減圧した後に圧力を大気圧とすることによって硬化性樹脂の充填を行うことを特徴とする上記[10]又は[11]のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
[14]第1の工程において、ペーストの堆積を複数回行うことを特徴とする上記[10]〜[12]のいずれか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
本発明の電子デバイスは、外部環境の水分子や酸素分子の侵入が抑制された封止部材を用いることにより、素子特性が安定化され、長寿命化された電子デバイス及びその製造方法が提供可能となる
図1は、本実施形態の有機EL装置の一例を示した断面模式図である。 図2Aは、本実施形態の有機EL装置の変形例を示した断面模式図である。 図2Bは、本実施形態の有機EL装置の変形例を示した断面模式図である。 図2Cは、本実施形態に係る封止部材として、複数の大きさの異なる枠体が入れ子構造を採用した例を示した上面模式図である。 図3は、本実施形態の有機EL装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 図4は、本実施形態の有機EL装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 図5は、本実施形態の有機EL装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 図6は、本実施形態の有機EL装置の製造方法を説明するための断面模式図である。
以下、本実施形態に係る電子デバイス及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
なお、本明細書で電子デバイスとは、IC等の半導体装置や、有機EL装置等の表示装置などの、装置の本来的な機能を発揮する素子を支持する素子基板とそれに対向配置する封止基板とを封止して作製される電子デバイスをいうが、本発明の一例として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置を例に挙げ説明する。
「電子デバイス(有機EL装置)」
以下、本実施形態においては、本発明の電子デバイスの一例として、図1および図2A〜Cに示す有機EL装置を詳細に説明する。
図1は、本実施形態の有機EL装置100の一例を示した断面模式図である。図2A〜Cは、本実施形態の有機EL装置100´の変形例の示した断面模式図である。
図1に示す、本実施形態に係る有機EL装置100は、発光層6を有する発光素子10を支持する素子基板1と、該素子基板1に対向して配置する封止基板2と、素子基板1と封止基板2とを封止するために素子基板1及び封止基板2の間に配設された封止部材20とを備えている。
そして、本実施形態においては、当該封止部材20が、無機粒子22aの焼結体22と、硬化樹脂21、即ち硬化性樹脂21aの硬化物とを含むことを特徴とする。また、封止部材20により、発光素子10の周囲には空隙層11が形成されている。
なお、本実施形態においては、発光素子10として有機発光素子を例に挙げて説明する。
(素子基板)
有機EL装置100において素子基板1側から光を取り出す場合、素子基板1は、発光材料の発光波長の光に対して透明であることが好ましい。このような透明な素子基板1に用いられる材料としては、具体的には、サファイアガラス、ソーダガラス、石英ガラスなどのガラス類;アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などの透明樹脂;窒化アルミなどの金属窒化物;アルミナなどの透明金属酸化物などが挙げられる。また、光を封止基板2側から取り出す場合には、素子基板1に用いられる材料としては特定の光に対して透明であるものに限られず、不透明なものも使用できる。具体的には、上記の透明材料に加えて、シリコン(Si)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、もしくはニオブ(Nb)の単体、またはこれらの合金、あるいはステンレスなども使用することができる。
(有機発光素子)
有機発光素子10は、図1に示すように、素子基板1の上部に、透明電極(陽極)3、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8及び陰極9を順次積層した構造を有する。
なお、本実施形態における有機発光素子10の構造は図1の例に限定されず、正孔注入層4、正孔輸送層5、電子輸送層7、電子注入層8は含まなくてもよいし、一部の層のみ含んでもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、各層の間に上記各層以外の層を備えてもよい。また、有機発光素子10を構成する上記各層の積層順についても、図1の例に限定されない。
また、図1に示した発光層6は1層であるが、発光層6を2層以上としてもよい。
透明電極(陽極)3としては、透明電極(陽極)3としては、導電性を有する酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide:In−SnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide:In−ZnO)、酸化インジウムモリブデン(IMO:Indium Molybdenum:Mo/In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO:Alminium Zinc Oxide:Al/ZnO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO:Gallium Zinc Oxide:Ga/ZnO)、酸化モリブデン(MoO:Molybdenum Oxide)、フッ素ドープ酸化錫(FTO:Fluorine Tin Oxide:F/SnO2)、ニオブドープ酸化チタン(NTO:Niobium Titanum Oxide:Nb/TiO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO:Antimony Tin Oxide Sb/SnO)などの透明導電酸化物(TCO:Transparent Conductive Oxide)を用いることができる。発光層から発せられた光を素子基板1を通して観察する場合には、陽極の光透過性は必須であるが、上部の電極を通して観察する用途の場合(トップエミッション)では陽極の透過性は必要なく、仕事関数が高い金属あるいは金属化合物のような適当な任意の材料を陽極として用いることができる。例えば、金、ニッケル、マンガン、イリジウム、モリブテン、パラジウム、白金などを単独で、あるいは組み合わせて用いることが可能である。当該陽極は、金属の酸化物、窒化物、セレン化物及び硫化物からなる群より選ぶこともできる。また、光透過性の良好なITOの表面に、光透過性を損なわないように1〜3nmの薄い膜として、上記の金属を成膜したものを陽極として用いることもできる。これらの陽極材料表面への成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法、真空蒸着法などを用いることができる。
発光層6、正孔注入層4、正孔輸送層5、電子輸送層7、及び電子注入層8に使用する化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の材料を用いることができる。
発光層6は、陽極3と陰極9との間に電圧を印加することで発光する発光材料を含む。このような発光材料としては、発光性ポリマー化合物及び発光性非ポリマー化合物のいずれも使用することができる。本実施の形態では、発光材料として、発光性有機材料である燐光性有機化合物または金属錯体を使用することが好ましい。
本実施の形態においては、発光材料として特にシクロメタル化錯体を用いることが、発光効率向上の観点から非常に望ましい。シクロメタル化錯体としては、例えば、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等の配位子を有するイリジウム(Ir)、白金(Pt)および金(Au)等の錯体が挙げられ、Ir錯体が特に好ましい。シクロメタル化錯体は、シクロメタル化錯体を形成するのに必要な配位子以外に、他の配位子を有していてもよい。なお、シクロメタル化錯体には、三重項励起子から発光する化合物も含まれ、このような化合物は発光効率向上の観点から好ましい。
また、発光性ポリマー化合物としては、MEH−PPV(ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン])などのポリ−p−フェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等のπ共役系のポリマー化合物;色素分子とテトラフェニルジアミン誘導体またはトリフェニルアミン誘導体を主鎖または側鎖に導入した非共役ポリマー;等が挙げられる。発光性ポリマー化合物と発光性非ポリマー化合物とを併用してもよい。
発光層6は発光材料とともにホスト材料を含み、ホスト材料中に発光材料が分散されていてもよい。このようなホスト材料は、電荷輸送性を有していることが好ましく、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物であることが好ましい。
また、正孔輸送層5を形成する正孔輸送材料としては、例えば、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)等のトリフェニルアミン誘導体;ポリビニルカルバゾール;上記トリフェニルアミン誘導体に重合性置換基を導入して重合したポリマー化合物などが挙げられる。上記正孔輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なる正孔輸送材料から形成された複数の正孔輸送層を積層してもよい。
また、正孔注入層4を形成する材料としては、例えば銅フタロシアニン、フルオロカーボン、二酸化ケイ素、PEDOT:PSSなどの導電性ポリマーなどの材料が用いられるほか、上記正孔輸送層5に用いられる正孔輸送材料と2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの電子受容体との混合物を用いることもできる。
また、電子輸送層7に用いることができる電子輸送材料としては、アルミニウム錯体、亜鉛錯体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノキサリン誘導体、トリアリールボラン誘導体、トリフェニルホスフィンオキサイド誘導体などが挙げられる。更に具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
また、電子注入層8としては例えば、アルカリ金属(Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Sr、Ba、Ca、Mg)、希土類金属(Pr、Sm、Eu、Yb)、あるいはこれら金属のフッ化物、塩化物、酸化物から選ばれる材料あるいは2つ以上の混合物が用いられるほか、上記電子輸送層7に用いられる電子輸送材料とアルカリ金属やアルカリ金属化合物との混合物を用いることもできる。
陰極9の材料としては、仕事関数が低く、かつ化学的に安定なものが使用され、Al、MgAg合金、AlLiやAlCaなどのAlとアルカリ金属の合金などの既知の陰極材料を例示することができる。また発光層から発せられた光を上部の電極側から取り出すトップエミッション素子の場合には、陰極9は光を透過することが必要になる。この場合の透明材料としては、例えば透明電極(陽極)3として用いることのできる、上述したような透明導電酸化物を用いることができる。成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。
また、陰極9から発光層6への電子の注入障壁を下げて電子の注入効率を上げる目的で、陰極バッファ層(図示せず)を、陰極9に隣接して発光層6側に設けてもよい。陰極バッファ層としては、例えば、アルカリ金属(Na、K、Rb、Cs)、マグネシウム(Mg)、アルカリ土類金属(Sr、Ba、Ca)、希土類金属(Pr、Sm、Eu、Yb)、またはこれら金属のフッ化物、塩化物、酸化物から選ばれる材料若しくは2つ以上の混合物を使用することができる。陰極バッファ層の厚さは0.1nm〜50nmが好ましく、0.1nm〜20nmがより好ましく、0.5nm〜10nmがより一層好ましい。
(封止部材)
封止部材20は、無機粒子22aの焼結体22と、該焼結体22に充填され硬化された硬化樹脂21とから形成されている。なお、「該焼結体に充填され硬化された硬化樹脂」は、焼結体の空隙に充填された硬化樹脂だけでなく、焼結体の外周を覆う硬化樹脂をも含む。
無機粒子22aとしては、多孔質体の金属酸化物を用いることができ、例えば、TiO、SiO、Al、Ta、SnOを挙げることができる。この中でも、水分子をより吸着しやすいTiOがより好適である。無機粒子22aの焼結体22の作製方法としては、無機粒子22aと有機溶媒や有機バインダー等とを混合してペーストを作製した後に、当該ペーストを焼結することで、無機粒子22aの焼結体22を作製することができる。
このような多孔質な無機粒子22aの焼結体22を用いることにより、硬化性樹脂21aが入り込むスペースを小さくすることができる。つまりこれは、外部から封止部材20へ侵入した水分子や酸素分子が移動する際の障害物が多いことを意味し、侵入経路を長距離化させることができる。その結果、水分子や酸素分子の侵入が抑制され、素子特性の安定化を図ることが可能となる。
なお、上述したような無機粒子22aは、単体で用いてもよいし、2種類以上の異なる無機粒子を併用しても構わない。
さらに、粒子の形状は限定されず、球状でも針状でも板状でも構わない。
また、無機粒子22aの平均粒子径(平均粒径)は、硬化性樹脂21aが入り込むスペースを小さくさせるという観点から、10〜1000nmであることが好ましい。
なお、上記平均粒子径とは、例えばレーザー散乱、比表面積測定、X線回折、電子顕微鏡によって評価することができる。ここでは、透過型電子顕微鏡(TEM)により評価する方法を例に挙げ説明する。
まず、透過型電子顕微鏡で撮影した画像から確認される2000個の無機粒子22aの粒径を観察し、JIS Z8901に準じて投影周長円相当径として粒子径を算出することとした。このとき観察した粒子は、撮影したTEM画像に含まれる任意の粒子を測定対象とした。また平均粒径は数平均粒径を用いて求めた。
また、高分解能透過型電子顕微鏡を用いて撮影した画像を、CCD検出器によりデジタルイメージ化し、さらにこれを2値化して粒子形状を決定した。
なお、無機粒子が球状でない場合は、撮影した画像中において、個々の無機粒子が占める面積Sを円形近似補正することによって、下記式より個々の粒子径(D)を算出し、その値を用いて、平均粒子径を算出できる。
D=2(S/π)1/2 ・・・ (3)
本実施形態では、上記無機粒子22aを焼結させた焼結体22と、当該焼結体22に硬化性樹脂21aを充填して硬化させた硬化樹脂21とを含むものを封止部材20として採用する。
硬化性樹脂21aとしては、光硬化樹脂や電子線硬化樹脂や熱硬化樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。なお、上記焼結体22が波長400nm以下の紫外光を強く吸収する場合には、熱硬化樹脂を好適に用いることができる。
熱硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を主体とする硬化性樹脂、アクリル樹脂を主体とする硬化性樹脂、エポキシ樹脂とアクリル樹脂の混合物を主体とする硬化性樹脂、オキセタン化合物を主体とした硬化性樹脂、エポキシ樹脂とオキセタン化合物の混合物を主体とする硬化性樹脂、アクリル樹脂とオキセタン化合物の混合物を主体とする硬化性樹脂等が挙げられる。
また、本実施形態における空隙率Sとは、下記式(1)で求められる。
S(%)=100×焼結体の間に充填された硬化樹脂の体積/(焼結体の間に充填された硬化樹脂の体積+焼結体の体積) ・・・ (1)
すなわち、封止部材20´の中で、焼結体の占める体積(焼結体の内部に充填された硬化樹脂21´の体積を含む)から焼結体を構成する無機粒子の体積を引いた体積を、焼結体の占める体積で除した値である。つまり、当該空隙率が小さいということは、硬化樹脂が充填された領域が小さいということになり、より密な無機粒子の焼結体を有することとなり、バリア性が向上することとなる。
本実施形態において、封止部材20、20´の当該空隙率Sを40〜60%とすることが好ましい。空隙率をこのような範囲内とすることにより、所望のバリア性を確保できるとともに、硬化樹脂21、21´による素子基板1あるいは封止基板2との密着性も確保できる。
本実施形態では、図2Aに示すように、封止部材を、上記式(1)で求められる空隙率Sがそれぞれ異なる複数の層を含む構造としてもよい。
具体的に図2Aを用いて、封止部材において、上記空隙率Sがそれぞれ異なる複数の層を積層した構造を採用した場合について説明する。
図2Aに示すように、封止部材20´は、層20a´〜20c´が積層してなり、層20a´〜20c´それぞれの空隙率が異なっている。ここで、説明の便宜上、図2Aに示す層20a´〜20c´それぞれを、「第一の層20a´」、「第二の層20b´」、「第三の層20c´」と呼ぶこととする。
第一から第三までの層20a´〜20c´それぞれの空隙率Sは、第一の層20a´および第三の層20c´より、第二の層20b´の方が小さくなっている。
有機EL装置の外部から内部へ酸素や水が浸入するのを防ぐため、封止部材においては、構成する無機粒子が連続して繋がっていることが望ましく、また別の観点では酸素や水の侵入経路が長くなることが望ましい。また一方で、封止部材は封止基板及び素子基板と接着するため、接着力が強い硬化樹脂が接着面に多くあることが好ましい。そのため図2Aに示した形態では、接着力が必要な第一の層20a´および第三の層20c´では空隙率を大きくすることにより硬化樹脂21´の比率を大きくし、接着に関与しない第二の層20b´では無機粒子22b´の比率を多く、すなわち空隙率を小さくすることにより酸素や水の浸入を抑制し、また侵入経路を長くすることができる。
また、封止部材20´全体の酸素および水のバリア性を向上させるために、第一の層20a´および第三の層20c´は接着に最低限必要な厚さとし、第二の層20b´の領域を増やすことが好ましい。
また、図2Aでは封止部材20´が3層の層からなる積層構造である場合について説明したが、本実施形態においては、封止部材の構造が図2Aに示す例に限定されることなく、接着性とバリア性が良好な単層の構造や2層以上の層を積層した構造により、上述したような効果を十分に享受できる。
また、本実施形態では、図2Aに示した構造のほかに、封止部材を、下記式(2)で求められる硬化樹脂の重量比Wがそれぞれ異なる複数の層を含む構造としてもよい。
W=硬化樹脂の重量/(硬化樹脂の重量+焼結体の重量) ・・・ (2)
なお、「硬化樹脂の重量」とは、焼結体の空隙に充填された硬化樹脂だけでなく、焼結体の外周を覆う硬化樹脂をも含む。
具体的に図2Bを用いて、封止部材において、上記硬化樹脂の重量比Wがそれぞれ異なる複数の層を積層した構造を採用した場合について説明する。
図2Bに示すように、封止部材20´´は、層20a´´〜20c´´が積層してなり、層20a´´〜20c´´それぞれの硬化樹脂の重量比Wが異なっている。ここで、図2Aと同様に、説明の便宜上、図2Bに示す層20a´〜20c´それぞれを、「第一の層20a´´」、「第二の層20b´´」、「第三の層20c´´」と呼ぶこととする。
第一から第三までの層20a´´〜20c´´それぞれの硬化樹脂の重量比Wは、積層方向に対して異なっている。なお、第一から第三までの層20a´´〜20c´´のうち、素子基板1及び/又は封止基板2に接触する層の硬化樹脂の重量比Wを、それ以外の層の硬化樹脂の重量比Wよりも大きくすることが好ましい。より好ましい重量比Wは0.15〜0.30である。これにより、積層方向中心部に配置された第二の層20b´´におけるバリア性は確保しつつ、第一及び第三の層それぞれにおける素子基板1または封止基板2との接着性を確保できる。
また、本実施形態において、封止部材に、図2Aまたは図2Bに示したような複数の層を積層した構造を採用した場合、これら複数の層が、互いに平均粒径の異なる無機粒子を有することが好ましい。なお、ここでいう平均粒径とは、上記の方法により測定される。
図2A及び図2Bに示すような封止部材において、それぞれ空隙率Sまたは硬化樹脂の重量比Wが異なる複数の層を積層した構造とすることにより積層方向においてバリア性や接着性を調整できることについては上述したとおりであるが、このような積層方向において空隙率Sまたは硬化樹脂の重量比Wを変化させた封止部材を得るために、当該空隙率Sまたは硬化樹脂の重量比Wの変化に対応して、複数の層それぞれにおける無機粒子の平均粒径を調整することが好ましい。つまり、例えば図2Aのように、複数の層20a´〜20c´の積層方向において、中心部の第二の層20b´の空隙率Sを小さくするためには、当該第二の層20b´の無機粒子22b´の平均粒径を小さくする。一方、複数の層のうち、空隙率の大きい層を設けたい場合は、平均粒径が大きい無機粒子を用いればよい。(「MATERIAL STAGE VOL.2 No,9」参照)
また、本実施形態における封止部材20、20´、20´´は、複数の大きさの異なる枠体が入れ子構造である場合にも適用できる。当該入れ子構造について図2Cを用いて具体的に説明する。
図2Cは、複数の大きさの異なる枠体が入れ子構造を採用した例を示した上面模式図である。なお、説明の便宜上、封止基板は省略して記載している。
図2Cに示すように、平面視して、有機発光素子10の周囲を囲むように第1封止部材20Aが形成され、さらにその周囲を囲むように第二封止部材20Bが形成されている。また、第1封止部材20Aと第二封止部材20Bおいては、上記式(2)で求められる硬化樹脂の重量比Wがそれぞれ異なっている。なお、素子基板1又は/及び封止基板との接着性を考慮するに、第二封止部材20Bの硬化樹脂21Bの重量比Wを大きし、有機発光素子10側である第一封止部材20Aの硬化樹脂21Aの重量比Wを小さくし、第一封止部材20Aを構成する焼結体22Aを、第二封止部材20Bを構成する焼結体22Bより、より密なものとしておくことが好ましい。このように、より密とした無機粒子の焼結体22Aを有する層である第一封止部材20Aの配置位置を、有機発光素子10と隣接する位置とすることより、より高いバリア性が要求される有機発光素子10周辺部において、外部環境からの侵入物をより防ぐことができる。
なお、図2Cでは、入れ子構造として硬化樹脂の重量比Wの異なる2層の封止部材を用いた例を挙げて説明したが、入れ子構造の封止部材は2層に限定されず、層数は適宜決定すればよい。またその際、有機発光素子10に隣接する封止部材のバリア性、及び各層の素子基板1又は/及び封止基板との接着性を損なわない範囲で、各層の硬化樹脂の重量比W、さらには空隙率Sを決定してよい。
なお、上述した入れ子構造は、図2A〜図2Cに示す封止部材20、20´、20´´にも適用でき、上述してきたような本発明の効果を十分に享受できる。
また、本実施形態に係る無機粒子の表面は、硬化樹脂21、21´との密着性を高めるため、プラズマ処理してもよい。また、UV−オゾン、シランカップリング剤などで表面処理しても構わない。
(封止基板)
封止基板2は、素子基板1に対向して配置されており、素子基板1との間で空隙層11を形成している。封止基板2の材料としては、外部環境から空隙層11に対して水分子や酸素等の侵入を防止できれば特に限定せず、例えば、ガラスや石英、合成樹脂、あるいは金属等を用いることができる。この中でも、封止部材との密着性を考慮するに、ガラスもしくは金属を用いることが特に好ましい。
本実施形態に係る空隙11内には、乾燥剤や水分吸収剤、酸素吸収剤等を適宜設けても構わない。この際、これら乾燥剤等は、封止基板2のうち、素子基板1の表面と対向する面に設けられる。
以上、本発明の電子デバイスの一例として有機EL装置100、100´について説明してきたが、本実施形態に係る封止部材20、20´は、例えばIC等の半導体装置などの他の電子デバイスに適用可能であり、そのような場合でも本発明の効果は十分に享受できる。
「電子デバイス(有機EL装置)の製造方法」
次に、本発明の電子デバイスの製造方法について説明する。
なお以下では、本発明の電子デバイスの一例として、上述した有機EL装置100について説明する。
本実施形態に係る有機EL装置100の製造方法は、封止基板1の封止部材20の配設領域上に、無機粒子22aを含むペーストを堆積する第1の工程と、当該ペーストを加熱して、無機粒子22aの焼結体22を形成する第2の工程と、焼結体22に硬化性樹脂21aを充填する第3の工程と、当該硬化性樹脂21aが充填された焼結体22を有する封止基板2と、有機発光素子10を備える素子基板1を重ね合わせる第4の工程と、硬化性樹脂21aを硬化させて硬化樹脂21とする第5の工程と、を有することを特徴とする。
以下、図3〜6を用いながら、本実施形態に係る有機EL装置100について詳細に説明する。
第1の工程として、図3に示すように、封止基板2の封止部材の配設領域上に、無機粒子22aを含むペーストを堆積する。
具体的には、まずガラス基板等からなる封止基板2の封止部材20の配設領域となる外縁部に、上述したような無機粒子22aとバインダー30とかなるペーストを堆積する。
バインダー30は有機溶媒にポリマーを溶解させたものであり、有機溶媒、ポリマーともに既知の材料を用いることができるが、有機溶媒としては、例えば粘度が高く揮発性の低い、α−テルピネオール、ジメチルスルホキシドやt-ブタノールなどを用いることができ、ポリマーとしては、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリジノンなどを用いることができる。
そして、このようなバインダー30と無機粒子22aを混合しペーストを作製するが、バインダー30と無機粒子22aの混合比率としては、重量比9対1〜5対5とすることが好ましい。当該範囲内とすることにより、後述する封止部材20の空隙率を40〜60%とすることができる。
ペーストを封止基板2の外縁部に堆積する方法としては、既知の印刷方法が採用できるが、特に本実施形態ではスクリーン印刷法が採用できる。スクリーン印刷法を採用することにより、薄膜かつ高精度のペーストを堆積させることができる。
ここで、本工程において、上記ペーストの堆積を複数回行うことが好ましい。つまり、封止部材として複数の層を積層した構造を採用する場合、上記ペーストの堆積を複数回行うことにより実現することができる。また上記ペーストの堆積を複数回行う際、上記スクリーン印刷法を採用することにより、高精度の積層構造を形成することができる。
また、スクリーン印刷法により複数の層を形成する場合には、それぞれの層に対応する上記ペーストを構成する無機粒子の種類や粒子径を変化させることにより、一層一層の空隙率Sまたは硬化樹脂の重量比Wが異なる封止部材を形成することができる。
続いて第2の工程として、図4に示すように、上記ペーストを加熱して無機粒子22aの焼結体22を形成する。
具体的には、上記ペーストを堆積させた封止基板2を、例えば電気炉中にて焼成し、有機物(有機溶媒、バインダー)を分解除去するとともに、無機粒子22aを焼結させることにより、当該無機粒子22aからなる焼結体22を形成する。なお、焼成温度としては400℃〜700℃の範囲内が好ましく、焼成時間は15〜120分の範囲内で行うことが好ましい。
なお、封止部材20として複数の層を積層した構造を採用する場合は、各層の積層が完了した後に、積層構造全体を焼成する。
ここで、後述する第4の工程において上記焼結体22を有する封止基板2と、有機発光素子10を備える素子基板1とを重ね合わせる工程を行うが、当該有機発光素子10を素子基板1上に形成する方法について、図5を用いて説明する。
まず、素子基板1として、例えばガラス基板等上に、透明電極(陽極)3を形成する。陽極3としてはITO膜を例示でき、蒸着やスパッタ装置を用いたスパッタリング法により形成することができる。
次に、陽極3上に発光層6を形成する。材料としては既知の材料を用いることができ、例えばスピンコート法等を採用して形成することができる。
さらに、発光層6上に陰極9を形成することにより、透明電極(陽極)3、発光層6及び陰極9を含む有機発光素子10を形成する。
なお、陽極3と発光層6との間に正孔注入層4、正孔輸送層5を設ける場合や、発光層6と陰極9との間に電子輸送層7、電子注入層8を適宜形成してもかまわない。その際は、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の周知の方法により、各層を形成することができる。
また、発光層6を2層以上有していてもよい。
次に、第3の工程として、図6に示すように、上記無機粒子22aの焼結体22に硬化性樹脂21aを充填する。
上記のように封止基板2上に焼結体22を形成した後、当該焼結体22を硬化性樹脂21aで覆い、減圧脱気した後に圧力を大気圧とすることにより、当該焼結体22に硬化性樹脂21aを充填する。焼結体22を硬化性樹脂21aにて覆う方法として、ディップコート、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ディスペンサー塗布法を挙げることができる。
引き続き、硬化性樹脂21aが充填された焼結体22を有する封止基板2と、有機発光素子10を備える素子基板1とを重ね合わせた後(第4の工程)、硬化性樹脂21aを硬化して硬化樹脂21となし、有機発光素子10を封止する(第5の工程)。
硬化性樹脂21aを硬化させる方法は、用いた硬化性樹脂21aの種類により適宜決定すればよい。
以上のようにして、本実施形態に係る有機EL装置100を製造することができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
以下に示す製造方法により、実施例1の有機EL装置を作製し、評価した。
(ペースト1の調製)
まず、酸化チタン(株式会社日揮触媒化成製、平均一次粒子径400nm)10g、エチルセルロース10g、テルピネオール35gおよびエタノール200mlを混合し、マグネチックスターラーを用いて2時間攪拌した。得られた混合物から減圧濃縮によってエタノールを除去することによって、酸化チタンペースト1を調製した。
(ペースト2の調製)
次に、酸化チタン(Degussa社製、P−25、平均一次粒子径30nm)8g、エチルセルロース12g、テルピネオール35gおよびエタノール200mlを混合し、マグネチックスターラーを用いて2時間攪拌した。得られた混合物から減圧濃縮によってエタノールを除去することによって、酸化チタンペースト2を調製した。
(封止基板への封止部材(多孔質層)の形成)
封止基板である20mm角のガラス基板の外縁部に、酸化チタンペースト1をスクリーン印刷法により1.5mmの幅で塗布し、130℃で3分間加熱し酸化チタンペースト1中の溶媒を除去することにより厚さ1μmの酸化チタンペースト層を形成した。次に、酸化チタンペースト2を用い、同様な方法により酸化チタンペースト1を用いて形成した層の上に厚さ1μmの酸化チタンペースト層を形成した後、さらにその上に酸化チタンペースト1を用いて同様に厚さ1μmの酸化チタンペースト層を積層し、3層からなるペースト層を形成した。
次に、3層からなる酸化チタンペースト層を形成したガラス基板を500℃の電気炉中で30分間焼成して、有機物を分解除去すると共に酸化チタン粒子を焼結させることにより、3層の酸化チタンからなる封止部材(多孔質層)をガラス基板上に形成した。
(有機EL装置の作製)
石英ガラスからなる素子基板(ガラス基板)(25mm角、厚さ1mm)上に、スパッタ装置(キヤノンアネルバ株式会社製E−401s)を用いて、スパッタリング法により厚さ150nmのITO膜を成膜し、陽極を形成した。
次に陽極上に、下記化学式(A)で表される発光性ポリマー化合物(WO2010−16512号公報の実施例1に記載された方法に従って合成した。)のトルエン溶液(3質量%)をスピンコート法(回転速度:3000rpm)により塗布し、窒素雰囲気下、140℃で1時間放置し乾燥することで、80nmの膜厚の発光層を形成した。
さらに発光層上に、フッ化ナトリウム層(厚さ4nm)およびアルミニウム層(厚さ130nm)をこの順で蒸着法により積層して成膜することで電子注入層および陰極を形成し、有機発光素子を作製した。
Figure 2014093130
(有機発光素子の封止)
上記の封止基板上に形成した酸化チタンからなる封止部材(多孔質層)を硬化性エポキシ樹脂(ニチバン株式会社製、アラルダイト スタンダード AR−S30)で覆い、減圧脱気した後、この封止基板をグローブボックス中で上記の有機発光素子を形成した素子基板上に貼り合わせた。これを室温で24時間静置することで樹脂を硬化させ、有機発光素子を封止した。
以上の方法により、実施例1の有機EL装置を得た。
封止した有機発光素子を温度65℃、湿度85%の高温高湿下に6000時間放置した後、陽極と陰極の間に電圧を印加させて発光させたところ、発光面にダークスポット(非発光部)は観察されなかった。
(比較例)
実施例1の有機EL装置において、封止部材として無機粒子を含まない硬化性樹脂のみを採用した以外は同様にして有機EL装置を製造し評価した。その結果、本比較例の場合は、4000時間後にダークスポットが観察された。
1…素子基板、2…封止基板、3…透明電極(陽極)、4…正孔注入層、5…正孔輸送層、6…発光層、7…電子輸送層、8…電子注入層、9…陰極、10…発光素子(有機発光素子)、11…空隙部、20、20´、20´´…封止部材、20a´、20a´´…第一の層、20b´、20b´´…第二の層、20c´、20c´´…第三の層、20A…第一封止部材、20B…第二封止部材、21、21A、21B…硬化樹脂、21a…硬化性樹脂、22、22A、22B…焼結体、22a、22a´、22b´、22c´…無機粒子、30…バインダー、100、100´、100´´…有機EL装置

Claims (14)

  1. 素子を支持する素子基板と、該素子基板に対向して配置する封止基板と、前記素子基板と前記封止基板とを封止するために前記素子基板及び前記封止基板の間に配設された封止部材とを備えた電子デバイスであって、
    前記封止部材が、無機粒子の焼結体と、硬化性樹脂の硬化物である硬化樹脂とを含むことを特徴とする電子デバイス。
  2. 前記無機粒子の平均粒径が10〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記封止部材が、下記式(1)で求められる空隙率Sがそれぞれ異なる複数の層を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子デバイス。
    S(%)=100×焼結体の間に充填された硬化樹脂の体積/(焼結体の間に充填された硬化樹脂の体積+焼結体の体積) ・・・ (1)
  4. 前記複数の層のうち、前記素子基板及び/又は封止基板に接触する層の前記空隙率が、それ以外の層の前記空隙率よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス。
  5. 前記封止部材が、下記式(2)で求められる硬化樹脂の重量比Wがそれぞれ異なる複数の層を含むことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子デバイス。
    W=硬化樹脂の重量/(硬化樹脂の重量+焼結体の重量) ・・・ (2)
  6. 前記複数の層のうち、前記素子基板及び/又は封止基板に接触する層の前記重量比Wがそれ以外の層の前記重量比Wよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス。
  7. 前記複数の層それぞれが、平均粒径の異なる前記無機粒子を有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  8. 前記焼結体が、種類の異なる無機粒子からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  9. 前記封止部材が、複数の大きさの異なる枠体が入れ子構造で構成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  10. 前記素子が有機発光素子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
  11. 封止基板の封止部材配設領域上に、無機粒子を含むペーストを堆積する第1の工程と、
    前記ペーストを加熱して、無機粒子の焼結体を形成する第2の工程と、
    前記焼結体に硬化性樹脂を充填する第3の工程と、
    前記硬化性樹脂が充填された前記焼結体を有する前記封止基板と素子を備える素子基板を重ね合わせる第4の工程と、
    前記硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂とする第5の工程と、を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  12. 第2の工程の加熱を400℃〜700℃の温度で行うことを特徴とする請求項11に記載の電子デバイスの製造方法。
  13. 第3の工程において、減圧した後に圧力を大気圧とすることによって硬化性樹脂の充填を行うことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
  14. 第1の工程において、ペーストの堆積を複数回行うことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
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