以下、本発明に係る複数の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材間には同一の参照符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。
〔第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aを内包する第1運転支援装置13Aの構成〕
はじめに、本発明の第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aを内包する第1運転支援装置13Aの構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aを内包する第1運転支援装置13Aの構成を表す機能ブロック図である。
第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aを内包する第1運転支援装置13Aは、自車両10が走行中の道路に設けられた幅方向両側の自車走行車線の周辺に先行車を含む障害物が存在する旨の判定が下された場合、その障害物の回避を促す旨の情報提示制御や、同障害物を回避するための自車両の走行制御を含む運転支援を遂行する機能を有する。
なお、車線とは、車両10が道路を走行する際の進行方向の目安となる標識であって、白線、黄線を含む線状のレーンマークや、道路に離散的に設けられる鋲型のレーンマークである、ボッツドッツ(Botts Dots:Non Retroreflective Raised Pavement Marker)やキャッツアイ(Cat's Eye:Raised Pavement Marker)などを包括的に含む概念である。
前記の機能を有する第1運転支援装置13Aは、図1に示すように、入力系統としてのレーダ装置15および撮像装置17、処理系統としての第1演算装置19A、並びに、出力系統としての表示部21、スピーカ23、制動アクチュエータ25、および、駆動アクチュエータ27を備える。
本発明の“監視装置”に相当するレーダ装置15は、自車両10の進行方向に存在する少なくとも静止物標の分布に係る情報を検出する機能を有する。ここで、“静止物標”とは、静止状態の物体または標識である。本発明では、例えば、自車走行車線に沿って幅方向の両側に設置されるポール状構造物(街路灯、電信柱)やガードレールなどを、“静止物標”として想定している。
レーダ装置15は、例えば、自車両10の進行方向に存在する静止物標にレーダ波を照射する送信アンテナ(不図示)、および、静止物標で反射されたレーダ波を受信する受信アンテナ(不図示)を含んで構成される。このレーダ装置15は、送信したレーダ波が静止物標に当たって戻ってくる反射波を受信し、送信したレーダ波の反射波を受信するまでの時間、反射波の角度、および、周波数変化を用いて、静止物標までの距離や静止物標の方位を含む静止物標の分布に係る情報を取得するように動作する。
レーダ装置15としては、例えば、レーザレーダ、マイクロ波レーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダなどを適宜用いることができる。レーダ装置15は、例えば図1に示すように、自車両10のフロントグリル裏部などに設けられる。レーダ装置15による静止物標の分布に係る情報は、第1演算装置19Aへ送られる。
なお、レーダ装置15は、特に限定されないが、例えば、特開2012−26791号公報に記載(本引用により本発明に取り込まれる)されている態様と同様の構成を適宜採用すればよい。このため、レーダ装置15についての詳細な説明を省略する。
撮像装置17は、自車両10前方の斜め下方に傾いた光軸を有し、自車両10が走行中の道路に設けられた幅方向両側の車線(図3A〜図3Dにおいて、白抜きで表される部分)40を含む進行方向の画像を撮像する機能を有する。撮像装置17としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラやCCD(Charge Coupled Device)カメラなどを適宜用いことができる。撮像装置17は、図1に示すように、自車両10のウインドシールド中央上部などに設けられる。撮像装置17による撮像画像は、例えばNTSC(National Television Standards Committee)などのインターレース方式により生成される画像信号として第1演算装置19Aへ送られる。
撮像装置17には、ロール・パン・ピッチの各方向の光軸の向き、基準画角、設置高さ、焦点距離などを含むパラメータが予め設定されている。このパラメータは、後記する第1車線認識装置11Aにおいて、ビュー座標系(撮像装置17から視た実空間を表す)における自車走行車線40aに係る三次元座標情報を、射影座標系(射影空間:自車両10を空から俯瞰した空間を表す)における仮の自車走行車線(図3C,図3D参照)41aに係る二次元座標情報に置き換える際に用いられる。
射影座標系(射影空間)において仮想表示される自車走行車線40b(図3C,図3D参照)は、正式な(誤りのない)自車走行車線41bの位置を表している。以下の説明において、ビュー座標系(実空間)における自車走行車線40aと、射影座標系(射影空間)において仮想表示される自車走行車線40bとを総称するときは、単に”自車走行車線40”と呼ぶ場合がある。また、射影変換に係る画像処理前のビュー座標系(実空間)における自車走行車線に総称符号”40”を付する一方、射影変換に係る画像処理後の射影座標系(射影空間)における自車走行車線に総称符号”41”を付する場合がある。
なお、撮像装置17は、特に限定されないが、例えば、特開2012−89005号公報に記載(本引用により本発明に取り込まれる)されている態様と同様の構成を適宜採用すればよい。このため、撮像装置17についての詳細な説明を省略する。
第1演算装置19Aは、図1に示すように、第1車線認識装置11A、障害物判定部37、および、制御部39を含んで構成されている。第1車線認識装置11A、障害物判定部37、および、制御部39の構成について、詳しくは後記する。
第1演算装置19Aには、出力系統としての表示部21、スピーカ23、制動アクチュエータ25、および、駆動アクチュエータ27が接続されている。説明の便宜上、前記出力系統の構成について先に説明する。
表示部21は、例えば、自車両10が自車走行車線41を逸脱するか、または、逸脱しようとしている際に、“走行車線から外れます。”などといった表示による警告情報を、運転者の視覚を通じて報知する際などに用いられる。スピーカ23は、前記の例において、“走行車線から外れます。”などといった音声による警告情報を運転者の聴覚を通じて報知する際などに用いられる。
制動アクチュエータ25は、自車両10に対して制動力を与えるための機械要素を作動させる機能を有する。自車両10に対して制動力を与えるための機械要素としては、例えば、液圧ブレーキ装置や電動パーキングブレーキ(いずれも不図示)などを適宜採用することができる。液圧ブレーキ装置の液圧調整、または、電動パーキングブレーキのオンオフ調整のいずれ一方または両者を行うことにより、制御部39は、後記するように、自車両10の制動力を制御することができる。
駆動アクチュエータ27は、自車両10に対して駆動力を与えるための機械要素を作動させる機能を有する。自車両10に対して駆動力を与えるための機械要素としては、例えば、不図示のエンジンへの吸入空気量を制御するスロットル弁や吸気バルブ(いずれも不図示)などを適宜採用することができる。スロットル弁の開度調整、または、吸気バルブのリフト量調整のいずれ一方または両者を行うことにより、制御部39は、エンジンへの吸入空気量、すなわち駆動力を制御することができる。
なお、ハイブリッド車のように、エンジンによる駆動力に加えて、モータによる駆動力が適用される車両の場合は、前記の機械要素としては、モータを採用することができる。この場合、モータの回転速度調整を行うことにより、エンジンの駆動力を制御することができる。
第1車線認識装置11Aは、図1に示すように、物標情報取得部31、車線情報取得部33、および、第1車線認識部35Aを備えて構成されている。
物標情報取得部31は、例えば、レーダ測距方式の一つであるFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式を用いてレーダ装置15により取得される自車両10の進行方向の物標に係る情報に基づいて、自車走行車線40に沿って存在する静止物標に係る分布情報を少なくとも取得する機能を有する。ここで、“静止物標に係る情報を少なくとも取得する”とは、物標情報取得部31が、運動状態の物体または標識である運動物標に係る情報を取得することを妨げない主旨である。
具体的には、物標情報取得部31は、例えば、レーダ装置15に対応するレーダ座標系(レーダ装置15から視た実空間を表す)に関する情報を記憶している。このレーダ座標系に関する情報には、自車両10に対する、自車両10の前方に分布する個々の静止物標に係る二次元座標情報が含まれる。要するに、物標情報取得部31は、自車両10の前方に分布する個々の静止物標のそれぞれを、レーダ装置15に対応するレーダ座標系における各々の二次元座標情報に対応付けて記憶することにより、静止物標に係る情報を取得するように動作する。
物標情報取得部31で取得される静止物標に係る(二次元座標)情報は、後で詳しく説明するが、第1車線認識部35Aにおいて、自車走行車線領域42に対応する二次元座標のなかに、静止物標43に対応する二次元座標が含まれているか否かを、共通の二次元座標上で突き合わせて照合する際に参照される。
なお、物標情報取得部31で取得される静止物標に係る(レーダ座標系の二次元座標)情報は、後記する射影座標系の二次元座標上に、煩雑な変換を要することなくマッピングすることができる。このように煩雑な変換を要しない理由は、レーダ座標系と射影座標系とは、自車両10に対する距離を基準として二次元座標を展開する点で共通だからである。
車線情報取得部33は、撮像装置17により撮像される自車両10の進行方向の画像(図3A,図3B参照)に基づいて、自車両10が走行中の道路に設けられた幅方向両側の自車走行車線40aに係る情報を少なくとも取得する機能を有する。ここで、“自車走行車線40aに係る情報を少なくとも取得する”とは、車線情報取得部33が、自車走行車線40aとは異なる車線に係る情報を取得することを妨げない主旨である。また、“自車両10が走行中の道路に設けられた幅方向両側の自車走行車線40aに係る情報”とは、自車両10が走行する際に目安としている、走行中の道路に設けられた幅方向両側の自車走行車線40aに関する存否および位置の情報を含む。
この車線情報取得部33は、例えば、撮像装置17に固有のビュー座標系に関する情報を記憶している。このビュー座標系に関する情報には、自車両10に対する、自車両10が走行中の道路に設けられた幅方向両側の自車走行車線40aに係る三次元座標情報が含まれる。要するに、車線情報取得部31は、自車両10が走行中の道路に沿って幅方向両側に延びる自車走行車線40aを、撮像装置17に固有のビュー座標系における三次元座標情報に対応付けて記憶することにより、自車走行車線40aに係る情報を取得するように動作する。
車線情報取得部33で取得されるビュー座標系における自車走行車線40aに係る情報は、後で詳しく説明するが、第1車線認識部35Aにおいて、ビュー座標系における自車走行車線40aに係る三次元座標情報を、射影座標系(射影空間:自車両10を空から俯瞰した空間を表す)における仮の自車走行車線(図3C,図3D参照)41aに係る二次元座標情報に置き換える際に参照される。
第1車線認識部35Aは、車線情報取得部33により取得される自車走行車線40aに係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識する機能、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を、共通の二次元座標上で突き合わせて照合する機能、照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う機能、および、正誤に係る判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識する機能、をそれぞれ有する。第1車線認識部35Aにおいて認識された自車走行車線データは、障害物判定部37へと送られる。
はじめに、第1車線認識部35Aが有する、車線情報取得部33により取得される自車走行車線40aに係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識する(車線認識)機能について説明する。
第1車線認識部35Aは、例えば、図3Aまたは図3Bに示すようなビュー座標系(実空間)における自車走行車線40aに係る三次元座標情報を、車線情報取得部33を介して入力する。次に、第1車線認識部35Aは、入力した自車走行車線40aに係る三次元座標情報に対し、撮像装置17に予め設定される前記のパラメータを用いて、公知の射影変換処理を行う。この射影変換処理によって、ビュー座標系(実空間)に表れる自車走行車線40a(図3A,図3B参照)に係る三次元座標は、射影座標系(射影空間)における仮の自車走行車線(図3C,図3D参照)41aに係る二次元座標に置き換えられる。
射影座標系における仮の自車走行車線41aに係る二次元座標のそれぞれには、画素の情報(例えば、輝度・明度・彩度など)が対応付けて記憶されている。第1車線認識部35Aは、射影座標系における仮の自車走行車線41aに係る二次元座標のそれぞれに対応付けられている画素の情報を逐次走査する。ここで、道路面と、例えば線状の白線からなる車線とは、それぞれの輝度が大きく異なっている。そこで、第1車線認識部35Aは、前記の走査の際に、車線の特徴点であるエッジ(道路面と車線の境界部分)を抽出することによって、仮の自車走行車線41aを認識する。
なお、仮の自車走行車線41aを認識するための具体的態様については、特に限定されないが、例えば、特開2012−89005号公報に記載(本引用により本発明に取り込まれる)されている態様と同様の構成を適宜採用すればよい。このため、仮の自車走行車線41aを認識するための具体的態様についての詳細な説明を省略する。
前記の第1車線認識部35Aが行う車線認識処理は、第1車線認識部35Aにおいて、予め定められる制御サイクル毎に繰り返し実行される。なお、この車線認識処理は、ビュー座標系(実空間)における自車走行車線40aに係る三次元座標情報の段階で行ってもよい。この際の車線認識処理は、前記した手順に準じて行えばよい。
次に、第1車線認識部35Aが有する、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を、共通の二次元座標上で突き合わせて照合する機能について説明する。
第1車線認識部35Aは、物標情報取得部31により取得される静止物標43に係る二次元座標情報を、射影座標系における仮の自車走行車線41aが表された二次元座標上にマッピングする。これにより、第1車線認識部35Aは、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を、共通の(射影座標系)二次元座標上で突き合わせて照合することができる。
次に、第1車線認識部35Aが有する、照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う機能について説明する。
まず、第1車線認識部35Aは、車線情報取得部33により認識された仮の自車走行車線(図3C,図3Dにおいて、×印で表される部分)41aにより区画される、自車走行車線領域(図3C,図3Dにおいて、×印で挟まれる領域)42に対応する二次元座標の情報を取得する。ここで、自車走行車線領域42に対応する二次元座標の情報とは、自車両10が走行中である道路に沿って延びる幅方向両側の仮の自車走行車線41aによって挟まれた領域に対応する二次元座標の情報を意味する。
次に、第1車線認識部35Aは、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数Nin、および、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数Notをそれぞれ計数し、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の計数値Ninが第1の所定数Nin_th以上である(図2のステップS20の“No”参照)か、または、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標の計数値Notが第2の所定数Not_th未満である(図2のステップS21の“No”参照)場合に、仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下すように動作する。
前記とは逆に、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の計数値Ninが第1の所定数Nin_th未満であり(図2のステップS20の“Yes”参照)、かつ、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標の計数値Notが第2の所定数Not_th以上である(図2のステップS21の“Yes”参照)場合、第1車線認識部35Aは、仮の自車走行車線41aが正しい旨の判定を下すように動作する。
第1の所定数Nin_thとしては、特に限定されないが、例えば“1”などの小さい数が適宜変更可能に設定される。自車走行車線領域42の内方に静止物標43が存在することは、通常ではあり得ない状況であると考えられるからである。ただし、仮に、自車走行車線領域42の内方にはみ出した状態で車両が駐車していると、この駐車車両が、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43として、物標情報取得部31により取得(捕捉)されてしまう。このような駐車車両の存在は、自車走行車線41を認識する上でノイズとなる。こうしたノイズを、どの程度許容するのかを設定することができれば便利である。この点、本発明の第1実施形態では、第1の所定数Nin_thを用いることにより、前記のようなノイズを、どの程度許容するのかを適宜設定することができる。
同様に、第2の所定数Not_thとしては、特に限定されないが、例えば、後記の“静止物標43の数量に係る実数値”などの大きい数が適宜変更可能に設定される。自車走行車線領域42の外方にほとんど(全てを含む)の静止物標43が存在することは、適正な状況であると考えられるからである。
第1の所定数Nin_th、および、第2の所定数Not_thのそれぞれは、手動、または、生産ラインにおいて自動的に設定してもよいし、サンプリングしたタイミングの静止物標の総数に応じて、可変設定してもよい。
次に、第1車線認識部35Aが有する、正誤に係る判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識する機能について説明する。
例えば、仮の自車走行車線41aが正しい旨の判定が下された場合、第1車線認識部35Aは、仮の自車走行車線41aをそのまま正式な自車走行車線41bとして認識するように動作する。
一方、仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定が下された場合、第1車線認識部35Aは、今回の制御サイクルで誤っている旨の判定が下された仮の自車走行車線41aを、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bを用いて補正する。
ここで、今回の制御サイクルで誤っている旨の判定が下された仮の自車走行車線41aを、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bを用いて補正する態様としては、例えば、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aの位置と、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bの位置との間の位置偏差を求め、この位置偏差の大きさに基づいて、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aを補正する態様を例示することができる。
例えば、前記の位置偏差が小さいときには、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aの位置と、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bの位置との間の中間位置に、今回の制御サイクルに係る自車走行車線41bの位置を補正する。また、前記の位置偏差が大きいときには、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aを用いることなく、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bをそのまま用いてもよい。
障害物判定部37は、第1車線認識部35Aから送られてくる正式な自車走行車線41bの認識結果に基づいて、自車走行車線領域42における静止物標43を含む障害物の存否、および、障害物が存在する場合の障害物の分布を認識すると共に、この認識結果に基づいて、障害物に対する回避制御動作を要するか否かを判定する機能を有する。障害物判定部37における判定結果は、制御部39へと送られる。
制御部39は、障害物判定部37における判定の結果、障害物に対する回避制御動作要の判定が下された場合、自車両10の走行制御(制動制御および駆動制御を含む)または報知制御の少なくとも一方を実行させる機能を有する。実際には、仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を第1車線認識部35Aが下した場合、制御部39は、制動アクチュエータ25、および、駆動アクチュエータ27のうち少なくともいずれか一方の動作を制御するように働く。
詳しく述べると、制御部39は、障害物に対する回避制御動作を要する旨を障害物判定部37から受けると、次述の(1)〜(6)に係る制御信号を、予め設定した単独または複数の組み合わせで出力することにより、障害物を回避、または、衝突被害の軽減を狙って自車両10の動作を制御する。
(1) 予め設定した車速まで減速するように、制動アクチュエータ25を制御する制御信号
(2) 予め設定した駆動力となるように、駆動アクチュエータ27を制御する制御信号
(3) 変速機(不図示)の変速動作を制御する制御信号
(4) EPS(Electric Power Steering)アクチュエータ(不図示)の操舵動作を制御する制御信号
(5) 警告表示を表示画面上に表示させるように表示部21を制御する制御信号
(6) 警報音を発生させるようにスピーカ23を制御する制御信号
なお、自車両10の走行制御または報知制御については、特に限定されないが、例えば、特開2007−91208号公報に記載(本引用により本発明に取り込まれる)されている態様と同様の構成を適宜採用すればよい。このため、自車両10の走行制御または報知制御についての詳細な説明を省略する。
前記のように構成された第1車線認識装置11Aは、自車走行車線41bの認識機能を有効にするか、または、無効にするかを選択的に設定する際に用いられる切替スイッチ(不図示)を備えている。以下では、特に断らない限り、自車走行車線41bの認識機能を有効にする切替スイッチの設定がなされているものとして説明を進める。
〔第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aの動作〕
次に、第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aの動作について、図2、および、図3A〜図3Dを参照して説明する。図2は、第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aの動作説明に供するフローチャート図である。
図2に示すステップS11において、物標情報取得部31は、レーダ装置15により取得される自車両10の進行方向の物標に係る情報に基づいて、自車走行車線(図3A,図3Bの符号“40a”、および、図3C,図3Dの符号“40b”参照)40に沿って存在する静止物標43の分布に係る物標情報を取得する。
ステップS12において、車線情報取得部33は、撮像装置17により撮像される自車両10の進行方向の画像(図3A,図3B参照)に基づいて、ビュー座標系における自車走行車線40aに係る情報を含む車線情報を取得する。これを受けて、第1車線認識部35Aは、取得した自車走行車線40aに係る三次元座標情報に対して射影変換処理を施すことにより、射影座標系における仮の自車走行車線41aを取得し、取得した射影座標系における仮の自車走行車線41aから、仮の自車走行車線41aを認識する。
ステップS13において、第1車線認識部35Aは、物標情報取得部31で取得される静止物標43の数量に係る積算値Nに“1”をセットする。また、第1車線認識部35Aは、自車走行車線40に沿って存在する静止物標(ポール)43の数量に係る実数値xをセットする。
ここで、図3A〜図3Dに示す例では、自車走行車線40に沿って存在する静止物標(ポール)43の数量に係る実数値xは“9”である。そこで、仮に、静止物標(ポール)43の数量に係る実数値xが“9”であるとして、以下の説明を進めることとする。
ステップS14〜S19のループ処理は、第1車線認識部35Aにおいて、静止物標43の数量に係る積算値Nが、静止物標43に係る実数値x(x=9)以上となるまで、次述のように繰り返される。
すなわち、ステップS14〜S15において、第1車線認識部35Aは、静止物標43の数量に係る積算値Nに注目して、この積算値Nに相当するN番目の静止物標43が、ステップS12で認識された仮の自車走行車線41aにより区画される自車走行車線領域42の内方に存在するか否かの判定を行う。この判定は、第1車線認識部35Aにおいて、自車走行車線領域42に対応する二次元座標と、N番目の静止物標43に対応する二次元座標とを、共通の(射影座標系)二次元座標上で突き合わせて照合した結果に基づいて行われる。
ステップS15の判定の結果、N番目の静止物標43が自車走行車線領域42の内方に存在する旨の判定が下された場合(ステップS15の“Yes”)、第1車線認識部35Aは、処理の流れを次のステップS16へと進ませる。
一方、ステップS15の判定の結果、N番目の静止物標43が自車走行車線領域42の内方に存在しない、すなわち、外方に存在する旨の判定が下された場合(ステップS15の“No”)、第1車線認識部35Aは、処理の流れをステップS17へとジャンプさせる。
ステップS16において、第1車線認識部35Aは、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Ninをインクリメントする。
ステップS17において、第1車線認識部35Aは、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Notをインクリメントする。
ステップS18において、第1車線認識部35Aは、静止物標43の数量に係る積算値Nをインクリメントする。
ステップS19において、第1車線認識部35Aは、静止物標43の数量に係る積算値Nが、静止物標43に係る実数値x(x=9)以上か否かを判定する。ステップS19の判定の結果、静止物標43の数量に係る積算値Nが、静止物標43に係る実数値x(x=9)以上である旨の判定が下された場合、第1車線認識部35Aは、ステップS14〜S19のループ処理を終了させて、処理の流れをステップS20へと進ませる。
ステップS20において、第1車線認識部35Aは、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Ninが、第1の所定数Nin_th未満であるか否かを判定する。
ステップS20の判定の結果、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Ninが、第1の所定数Nin_th未満である旨の判定が下された場合(ステップS20の“Yes”)、第1車線認識部35Aは、処理の流れを次のステップS21へと進ませる。
ちなみに、図3Cの例では、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Ninは“0”である。この例では、第1の所定数Nin_thとして仮に“2”を設定した場合、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Nin“0”は、第1の所定数Nin_th“2”未満であるから、第1車線認識部35Aは、処理の流れを次のステップS21へと進ませることになる。
一方、ステップS20の判定の結果、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Ninが、第1の所定数Nin_th以上である旨の判定が下された場合(ステップS20の“No”)、第1車線認識部35Aは、処理の流れをステップS23へとジャンプさせる。
ちなみに、図3Dの例では、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Ninは“3”である。この例では、第1の所定数Nin_thとして仮に“2”を設定した場合、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Nin“3”は、第1の所定数Nin_th“2”以上であるから、第1車線認識部35Aは、処理の流れをステップS23へとジャンプさせることになる。
ステップS21において、第1車線認識部35Aは、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Notが、第2の所定数Not_th以上であるか否かを判定する。
ステップS21の判定の結果、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Notが、第2の所定数Not_th以上である旨の判定が下された場合(ステップS21の“Yes”)、第1車線認識部35Aは、処理の流れを次のステップS22へと進ませる。
ちなみに、図3Cの例では、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Notは“9”である。この例では、第2の所定数Not_thとして仮に“7”を設定した場合、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Not“9”は、第2の所定数Not_th“7”以上であるから、第1車線認識部35Aは、処理の流れを次のステップS22へと進ませることになる。
一方、ステップS21の判定の結果、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Notが、第2の所定数Not_th未満である旨の判定が下された場合(ステップS21の“No”)、第1車線認識部35Aは、処理の流れをステップS23へとジャンプさせる。
ちなみに、図3Dの例では、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Notは“6”である。この例では、第2の所定数Not_thとして仮に“7”を設定した場合、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数量に係る累積値Not“6”は、第2の所定数Not_th“7”未満であるから、第1車線認識部35Aは、処理の流れをステップS23へとジャンプさせることになる。
ステップS22において、第1車線認識部35Aは、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aが正しいと認識して、一連の処理の流れを終了させる。その後、障害物判定部37では、仮の自車走行車線41aから正式な自車走行車線41bに昇格した今回の制御サイクルに係る自車走行車線41bを用いて、障害物を回避するために自車両10がなんらかの制御動作を行う必要があるか否かを判定することになる。
一方、ステップS23において、第1車線認識部35Aは、ステップS12で取得した今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aが誤っていると認識し、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aを、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bを用いて補正し、補正後の自車走行車線41bを正式なものと認識して、一連の処理の流れを終了させる。その後、障害物判定部37では、正式な自車走行車線41bとして認識された補正後の自車走行車線41bを用いて、障害物を回避するために自車両10がなんらかの制御動作を行う必要があるか否かを判定することになる。
〔第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aの作用効果〕
次に、第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aの作用効果について、図3A〜図3Dを参照して説明する。
図3A,図3Bは、ビュー座標系(実空間)に表れる自車走行車線40aのうち屈曲部に沿って幅方向両側に静止物標(ポール)43が所定の間隔を置いて設けられた道路状況を表している。
一方、図3C,図3Dは、図3A,図3Bにそれぞれ対応する、射影座標系における静止物標(ポール)43に対する、自車走行車線40b、射影変換に係る画像処理後の仮の自車走行車線41a、および、正式な自車走行車線41bの相対位置関係をそれぞれ表している。
第1車線認識装置11Aでは、自車両10のピッチ方向における姿勢が、例えば、道路面の向きに対して下向きに傾く(いわゆるノーズダイブ)と、この傾斜に伴って、撮像装置17におけるY軸(垂直軸)方向の画角(図3B参照)が、撮像装置17に予め設定されるパラメータに従う基準画角(図3A参照)に対してズレを生じる。その結果、図3Bに対応する図3Dに示す例(特に、仮の自車走行車線41aと、正式な自車走行車線41bとの間の位置ズレを参照)では、射影変換に係る画像処理後の仮の自車走行車線41aを誤って認識してしまう。
ちなみに、図3Aに対応する図3Cに示す例(特に、仮の自車走行車線41aと、正式な自車走行車線41bとが、位置ズレなしに重なっている点を参照)では、射影変換に係る画像処理後の仮の自車走行車線41aが正しく認識されている。
そこで、第1車線認識装置11Aでは、車線情報取得部33と、物標情報取得部31と、第1車線認識部35Aと、を備える構成を採用することとした。
第1車線認識装置11Aによれば、第1車線認識部35Aは、車線情報取得部33により取得される自車走行車線40に係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識し、物標情報取得部31により取得される静止物標43に係る情報に基づく静止物標43に対する、認識された仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合し、この照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行い、この正誤に係る判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識するため、自車両10が走行中の自車走行車線41bを精度よく認識することができる。
また、第1車線認識装置11Aでは、第1車線認識部35Aは、車線情報取得部33による情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aにより区画される自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数(累積値)Ninが第1の所定数Nin_th以上であるか、または、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数(累積値)Notが第2の所定数Not_th未満である場合に、(車線情報取得部33による情報の取得に基づく)仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用している。
このように構成すれば、自車走行車線領域42の外方にほとんど(全てを含む)の静止物標43が存在することが適正な状況である前提において、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を的確に行うことができる。
また、第1車線認識装置11Aでは、第1車線認識部35Aは、物標情報取得部31により取得される静止物標43の実数値x(総数)に対する、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数(累積値)Ninの比率(Nin/x)が、予め設定される所定の内方比率閾値を超えている場合に、(車線情報取得部33による情報の取得に基づく)仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
なお、所定の内方比率閾値としては、特に限定されないが、例えば10%以下などの小さい比率が適宜変更可能に設定される。静止物標43の実数値x(総数)に対する、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数(累積値)Ninの比率(Nin/x)が(例えば10%を超えて)大きくなることは、通常ではあり得ない状況であると考えられるからである。
前記所定の内方比率閾値は、手動、または、生産ラインにおいて自動的に設定される。
前記のように構成すれば、自車走行車線領域42の内方には実質的に静止物標43が存在しないことが適正な状況である前提において、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を的確に行うことができる。したがって、第1車線認識装置11Aを実際に車両10に適用するに際し、実際の道路状況に即した運用を行うことができる。
また、第1車線認識装置11Aでは、第1車線認識部35Aは、物標情報取得部31により取得される静止物標43の実数値x(総数)に対する、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数(累積値)Notの比率(Not/x)が、予め設定される所定の外方比率閾値未満の場合に、(車線情報取得部33による情報の取得に基づく)仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
なお、所定の外方比率閾値としては、特に限定されないが、例えば90%以上などの大きい比率が適宜変更可能に設定される。静止物標43の実数値x(総数)に対する、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数(累積値)Notの比率(Not/x)が(例えば90%未満のように)小さくなることは、通常ではあり得ない状況であると考えられるからである。
前記所定の外方比率閾値は、手動、または、生産ラインにおいて自動的に設定される。
前記のように構成すれば、自車走行車線領域42の外方にほとんど(全てを含む)の静止物標43が存在することが適正な状況である前提において、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を的確に行うことができる。したがって、第1車線認識装置11Aを実際に車両10に適用するに際し、実際の道路状況に即した運用を行うことができる。
そして、第1車線認識部11A、および、制御部39を備える第1運転支援装置13Aによれば、高精度で認識した自車走行車線41bに基づいて、適正かつ的確な運転支援を適時に行うことができる。
〔第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bを内包する第2運転支援装置13Bの構成〕
次に、本発明の第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bを内包する第2運転支援装置13Bの構成について、図4を適宜参照して説明する。図4は、第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bを内包する第2運転支援装置13Bの構成を表す機能ブロック図である。
第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bを内包する第2運転支援装置13Bは、第1実施形態に係る第1車線認識装置11Aを内包する第1運転支援装置13Aと同様に、自車両10が走行中の道路に設けられた幅方向両側の自車走行車線の周辺に先行車を含む障害物が存在する旨の判定が下された場合、その障害物の回避を促す旨の情報提示制御や、同障害物を回避するための自車両の走行制御を含む運転支援を遂行する機能を有する。
前記のように、第1実施形態に係る第1運転支援装置13Aと、第2実施形態に係る第2運転支援装置13Bとは、基本的に共通の機能を有する。そこで、第1実施形態および第2実施形態間の相違点に着目して、以下の説明を進めることとする。第1実施形態および第2実施形態間の相違点は、主として図4に示す第2車線認識部35Bの構成である。
なお、第2実施形態に係る第2運転支援装置13Bは、入力系統としてのレーダ装置15および撮像装置17、処理系統としての第2演算装置19B、並びに、出力系統としての表示部21、スピーカ23、制動アクチュエータ25、および、駆動アクチュエータ27を備える。これらの構成要素のうち、第2演算装置19B以外の構成要素については、第1実施形態に係る第1運転支援装置13Aと共通である。このため、これら共通の構成要素についての説明を省略する。
また、第2演算装置19Bに属する構成要素のうち、物標情報取得部31、車線情報取得部33、障害物判定部37、および、制御部39のそれぞれの構成は、第1演算装置19Aに属する対応する構成要素と共通である。このため、これら共通の構成要素についての説明を省略する。
第2実施形態に係る第2車線認識部35Bは、第1実施形態に係る第1車線認識部35Aと同様に、車線情報取得部33により取得される自車走行車線40aに係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識する機能、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を、共通の二次元座標上で突き合わせて照合する機能、照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う機能、および、正誤に係る判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識する機能、をそれぞれ有する。第2車線認識部35Bにおいて認識された自車走行車線データは、障害物判定部37へと送られる。
第2車線認識部35Bが有する、車線情報取得部33により取得される自車走行車線40aに係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識する(車線認識)機能は、第1車線認識部35Aと共通である。そのため、車線認識機能について、その説明を省略する。
次に、第2車線認識部35Bが有する、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を、共通の二次元座標上で突き合わせて照合する機能について説明する。
第2車線認識部35Bは、図6に示すように、物標情報取得部31により取得される静止物標43に係る二次元座標情報を、射影座標系における仮の自車走行車線41aが表された二次元座標上にマッピングする。これにより、第2車線認識部35Bは、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を、共通の(射影座標系)二次元座標上で突き合わせて照合することができる。
静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合するに際し、第2車線認識部35Bは、図6に示すように、静止物標(ポール)43が描く軌跡51に係る物標中心座標P、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53に係る自車線中心座標Qをそれぞれ求め、物標中心座標Pおよび自車線中心座標Qの間隔が第1の閾値Dthを超えているか否かを判定する。この判定処理が、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合する処理に相当する。
なお、物標中心座標Pおよび自車線中心座標Qのそれぞれの算出方法について、詳しくは後記する。
第1の閾値Dthとしては、例えば、静止物標(ポール)43が描く軌跡51と、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53との相関性が低いと評価される前記の中心座標間の間隔を考慮して、適宜変更可能に設定すればよい。第1の閾値Dthは、静止物標(ポール)43が、実際の道路状況において自車走行車線40に沿って設けられていることを前提として、仮の自車走行車線41aが誤って認識されているか否かに係る判定指標として用いられる。
第1の閾値Dthは、手動、または、生産ラインにおいて自動的に設定される。
また、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合するに際し、第2車線認識部35Bは、図6に示すように、静止物標(ポール)43が描く軌跡51に係る物標半径Rob、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53に係る自車線半径Rlnをそれぞれ求め、物標半径Robおよび自車線半径Rlnの偏差が第2の閾値Rthを超えているか否かを判定する。この判定処理が、静止物標43に対する仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合する処理に相当する。
なお、物標半径Robおよび自車線半径Rlnのそれぞれの算出方法について、詳しくは後記する。
第2の閾値Rthとしては、例えば、静止物標(ポール)43が描く軌跡と、仮の自車走行車線41aが描く軌跡との相関性が低いと評価される前記の半径の偏差を考慮して、適宜変更可能に設定すればよい。第2の閾値Rthは、第1の閾値Dthと同様に、静止物標(ポール)43が、実際の道路状況において自車走行車線40に沿って設けられていることを前提として、仮の自車走行車線41aが誤って認識されているか否かに係る判定指標として用いられる。
第2の閾値Rthは、手動、または、生産ラインにおいて自動的に設定される。
〔物標中心座標P、自車線中心座標Q、物標半径Rob、および、自車線半径Rlnのそれぞれの算出方法〕
次に、物標中心座標P、自車線中心座標Q、物標半径Rob、および、自車線半径Rlnのそれぞれの算出方法について、図6を参照して説明する。
第2車線認識部35Bは、まず、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53に属する3点の座標を抽出する。これら3点の座標を、仮に、(x0,y0)、(x1,y1)、(x2,y2)とする。また、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53と略同等の円の中心(自車線中心座標Q)を(Qx,Qy)とし、その円の半径(自車線半径Rln)をrとする。
すると、次の(式1)が成立する。
(x0−Qx)2+(y0−Qy)2=r2
(x1−Qx)2+(y1−Qy)2=r2 ・・・(式1)
(x2−Qx)2+(y2−Qy)2=r2
この(式1)に係る三元連立方程式を解いて自車線中心座標Q(Qx,Qy)を算出する。また、算出した(Qx,Qy)を円の方程式に代入することで、円の半径r(自車線半径Rln)を算出する。
なお、物標中心座標P、および、物標半径Robについても、前記と同様の手順を用いてそれぞれ算出することができる。
次に、第2車線認識部35Bが有する、照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う機能について説明する。
照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行うに際し、第2車線認識部35Bは、図6に示すように、物標中心座標Pおよび自車線中心座標Qの間隔が第1の閾値Dthを超えている場合に、車線情報取得部33による情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下すように動作する。
また、第2車線認識部35Bは、図6に示すように、物標半径Robおよび自車線半径Rlnの偏差が第2の閾値Rthを超えている場合に、車線情報取得部33による情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下すように動作する。
次に、第2車線認識部35Bが有する、正誤に係る判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識する機能は、第1車線認識部35Aと共通である。そのため、車線認識機能について、その説明を省略する。
前記のように構成された第2車線認識装置11Bは、自車走行車線41bの認識機能を有効にするか、または、無効にするかを選択的に設定する際に用いられる切替スイッチを備えている。以下では、特に断らない限り、自車走行車線41bの認識機能を有効にする切替スイッチの設定がなされているものとして説明を進める。
〔第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bの動作〕
次に、第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bの動作について、図3A,図3B、図5および図6を参照して説明する。図5は、第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bの動作説明に供するフローチャート図である。
図5に示すステップS31において、車線情報取得部33は、撮像装置17により撮像される自車両10の進行方向の画像(図3A,図3B参照)に基づいて、ビュー座標系における自車走行車線40aに係る情報(図6の×印の軌跡53を参照)を含む車線情報を取得する。これを受けて、第2車線認識部35Bは、第1車線認識部35Aと同様に、取得した自車走行車線40aに係る三次元座標情報に対して射影変換処理を施すことにより、射影座標系における仮の自車走行車線41aを取得し、取得した射影座標系における仮の自車走行車線41aから、仮の自車走行車線41aを認識する。
ステップS32において、第2車線認識部35Bは、自車走行車線40に係る情報に基づく仮の自車走行車線41aが描く軌跡53(図6参照)に係る自車線中心座標Q、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53に係る自車線半径Rlnを算出する。
ステップS33において、物標情報取得部31は、レーダ装置15により取得される自車両10の進行方向の物標に係る情報に基づいて、自車走行車線40に沿って存在する静止物標43の分布に係る物標情報を取得する。
ステップS34において、第2車線認識部35Bは、静止物標43の分布に係る物標情報に基づいて、静止物標43が描く軌跡51(図6参照)に係る物標中心座標P、および、静止物標43が描く軌跡51に係る物標半径Robを算出する。
ステップS35において、第2車線認識部35Bは、静止物標43が描く軌跡51(図6参照)に係る物標中心座標P、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53(図6参照)に係る自車線中心座標Qの間隔Ddefが、第1の閾値Dth以内か否かを判定する。
ステップS35の判定の結果、物標中心座標P、および、自車線中心座標Qの間隔Ddefが、第1の閾値Dth以内である旨の判定が下された場合(ステップS35の“Yes”)、第2車線認識部35Bは、処理の流れを次のステップS36へと進ませる。
一方、ステップS35の判定の結果、物標中心座標P、および、自車線中心座標Qの間隔Ddefが、第1の閾値Dthを超える旨の判定が下された場合(ステップS35の“No”)、第2車線認識部35Bは、処理の流れをステップS38へとジャンプさせる。
ステップS36において、第2車線認識部35Bは、静止物標43が描く軌跡51(図6参照)に係る物標半径Rob、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53(図6参照)に係る自車線半径Rlnの偏差Rdefが、第2の閾値Rth以内か否かを判定する。
ステップS36の判定の結果、物標半径Rob、および、自車線半径Rlnの偏差Rdefが、第2の閾値Rth以内である旨の判定が下された場合(ステップS36の“Yes”)、第2車線認識部35Bは、処理の流れを次のステップS37へと進ませる。
一方、ステップS36の判定の結果、物標半径Rob、および、自車線半径Rlnの偏差Rdefが、第2の閾値Rthを超える旨の判定が下された場合(ステップS36の“No”)、第2車線認識部35Bは、処理の流れをステップS38へとジャンプさせる。
ステップS37において、第2車線認識部35Bは、ステップS31で取得した今回の制御サイクルで仮の自車走行車線41aが正しいと認識して、一連の処理の流れを終了させる。その後、障害物判定部37では、正しいと認識された正式な自車走行車線41bを用いて、障害物を回避するために自車両10がなんらかの制御動作を行う必要があるか否かを判定することになる。
一方、ステップS38において、第2車線認識部35Bは、ステップS31で取得した今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aが誤っていると認識し、今回の制御サイクルに係る仮の自車走行車線41aを、第1実施形態の例と同様に、直前回の制御サイクルで正しいと認識された正式な自車走行車線41bを用いて補正し、補正後の自車走行車線41bを正式なものと認識して、一連の処理の流れを終了させる。その後、障害物判定部37では、正式な自車走行車線41bとして認識された補正後の自車走行車線41bを用いて、障害物を回避するために自車両10がなんらかの制御動作を行う必要があるか否かを判定することになる。
〔第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bの作用効果〕
次に、第2実施形態に係る第2車線認識装置11Bの作用効果について、図6を参照して説明する。
はじめに、第2車線認識装置11Bでは、第2車線認識部35Bは、図6に示すように、静止物標(ポール)43が描く軌跡51に係る物標中心座標P、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53に係る自車線中心座標Qをそれぞれ求め、物標中心座標Pおよび自車線中心座標Qの間隔が第1の閾値Dthを超えている場合に、車線情報取得部33による情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用している。
ここで、物標中心座標Pおよび自車線中心座標Qの間隔Ddefが第1の閾値Dthを超えている場合とは、静止物標(ポール)43が描く軌跡と、仮の自車走行車線41aが描く軌跡との相関性が低いケースを意味する。したがって、静止物標(ポール)43が、実際の道路状況において自車走行車線40に沿って設けられていることを前提とすると、前記のケースでは、仮の自車走行車線41aが誤って認識されているとみなすことができる。
また、第2車線認識装置11Bでは、第2車線認識部35Bは、図6に示すように、静止物標(ポール)43が描く軌跡51の物標半径Rob、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53の自車線半径Rlnをそれぞれ求め、物標半径Robおよび自車線半径Rlnの偏差が第2の閾値Rthを超えている場合に、車線情報取得部33による情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用している。
ここで、物標半径Robおよび自車線半径Rlnの偏差が第2の閾値Rthを超えている場合とは、静止物標(ポール)43が描く軌跡と、仮の自車走行車線41aが描く軌跡との相関性が低いケースを意味する。したがって、静止物標(ポール)43が、実際の道路状況において自車走行車線40に沿って設けられていることを前提とすると、前記のケースでは、仮の自車走行車線41aが誤って認識されているとみなすことができる。
第2車線認識装置11Bによれば、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を、比較的簡易な演算によって実時間で的確に遂行することができる。
なお、第1の閾値Dthを用いた仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定と、第2の閾値Rthを用いた仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定とを、組み合わせて適用してもよい。このように構成すれば、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を、比較的簡易な演算によって、実時間でより的確に遂行することができる。
そして、第2車線認識部11B、および、制御部39を備える第2運転支援装置13Bによれば、第1運転支援装置13Aと同様に、高精度で認識した自車走行車線41に基づいて、適正かつ的確な運転支援を適時に行うことができる。
〔車線認識方法〕
次に、本発明に係る車線認識方法について、図7を参照して説明する。図7は、本発明に係る車線認識方法の手順を表す工程図である。
本発明に係る車線認識方法は、図7に示すように、車両10に設けた撮像装置17により撮像される車両10の進行方向の画像に基づいて車両10が走行中の道路に設けられた自車走行車線40に係る情報を少なくとも取得する工程(ステップS51)と、車両10に設けたレーダ装置(監視装置)15により取得される車両10の進行方向の物標に係る情報に基づいて自車走行車線41に沿って存在する静止物標43に係る情報を少なくとも取得する工程(ステップS52)と、取得される自車走行車線40に係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識する工程(ステップS53)と、取得される静止物標43に係る情報に基づく静止物標43に対する、認識された仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合する工程(ステップS54)と、照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う工程(ステップS55)と、判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識する工程(ステップS56)と、を有する。
本発明に係る車線認識方法によれば、取得される自車走行車線40に係る情報に基づいて、仮の自車走行車線41aを認識し、取得される静止物標43に係る情報に基づく静止物標43に対する、認識された仮の自車走行車線41aの相対位置関係を照合し、この照合の結果に基づいて仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行い、この判定の結果に基づいて自車走行車線41bを認識するため、自車両10が走行中の自車走行車線41bを精度よく認識することができる。
また、本発明に係る車線認識方法のうち、ステップS55の仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う工程では、図2に示すように、ステップS51の情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aにより区画される自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数Ninが第1の所定数Nin_th以上であるか、または、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数Notが第2の所定数Not_th未満である場合に、ステップS51の情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
このように構成すれば、自車走行車線領域42の外方にほとんど(全てを含む)の静止物標43が存在することが適正な状況である前提において、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を的確に行うことができる。
また、本発明に係る車線認識方法のうち、ステップS55の仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う工程では、ステップS52の情報の取得に基づく静止物標43の実数値x(総数)に対する、自車走行車線領域42の内方に存在する静止物標43の数(累積値)Ninの比率(Nin/x)が、前記所定の内方比率閾値を超えている場合に、ステップS51の情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
このように構成すれば、自車走行車線領域42の内方には実質的に静止物標43が存在しないことが適正な状況である前提において、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を的確に行うことができる。したがって、本発明に係る車線認識方法を実際に車両10に適用するに際し、実際の道路状況に即した運用を行うことができる。
さらに、本発明に係る車線認識方法のうち、ステップS55の仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う工程では、ステップS52の情報の取得に基づく静止物標43の実数値x(総数)に対する、自車走行車線領域42の外方に存在する静止物標43の数(累積値)Nの比率(Not/x)が、前記所定の外方比率閾値を超えている場合に、ステップS51の情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
このように構成すれば、自車走行車線領域42の外方にほとんど(全てを含む)の静止物標が存在することが適正な状況である前提において、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を的確に行うことができる。したがって、本発明に係る車線認識方法を実際に車両10に適用するに際し、実際の道路状況に即した運用を行うことができる。
また、本発明に係る車線認識方法のうち、ステップS54の仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う工程では、図5に示すように、静止物標(ポール)43が描く軌跡51の物標中心座標P、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53の自車線中心座標Qをそれぞれ求め、物標中心座標Pおよび自車線中心座標Qの間隔Ddefが第1の閾値Dthを超えている場合に、ステップS51の情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
このように構成すれば、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を、比較的簡易な演算によって実時間で的確に遂行することができる。
また、本発明に係る車線認識方法のうち、ステップS55の仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を行う工程では、図5に示すように、静止物標(ポール)43が描く軌跡51の物標半径Rob、および、仮の自車走行車線41aが描く軌跡53の自車線半径Rlnをそれぞれ求め、物標半径Robおよび自車線半径Rlnの偏差が第2の閾値Rthを超えている場合に、ステップS51の情報の取得に基づく仮の自車走行車線41aが誤っている旨の判定を下す、構成を採用してもよい。
このように構成すれば、前記と同様に、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を、比較的簡易な演算によって実時間で的確に遂行することができる。
なお、第1の閾値Dthを用いた仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定と、第2の閾値Rthを用いた仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定とを、組み合わせて適用してもよい。このように構成すれば、仮の自車走行車線41aの正誤に係る判定を、比較的簡易な演算によって、実時間でより的確に遂行することができる。
〔車線認識プログラム〕
次に、本発明に係る車線認識プログラムについて説明する。
本発明に係る車線認識プログラムは、コンピュータ(第1演算装置19A)に、車線情報取得部33の機能と、物標情報取得部31の機能と、第1車線認識部35Aが有する各機能と、を実行させる。
また、本発明に係る車線認識プログラムは、コンピュータ(第2演算装置19B)に、車線情報取得部33の機能と、物標情報取得部31の機能と、第2車線認識部35Bが有する各機能と、を実行させる。
本発明に係る車線認識プログラムによれば、自車両10が走行中の自車走行車線41bを精度よく認識することができる。
なお、本発明に係る車線認識プログラムでは、説明の重複を避けるために詳細な記載を省略するが、前記の本発明に係る車線認識方法に準じた構成を適宜採用することができる。
〔コンピュータ読み取り可能な記録媒体〕
次に、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体について説明する。
本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記車線認識プログラムを記録したことを特徴とする。
コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどの非一過性の記録媒体や、半導体メモリなどを例示することができる。
また、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として含んでもよい。
本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、自車走行車線41を高い精度で認識とする車線認識プログラムを、広範に配布することができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の第1および第2実施形態において、本発明に係る車線として、線状に間断なく連なる白線を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係る車線としては、点線状に適宜の間隔を置いて連なる白線または黄線であってもよい。
また、第1実施形態に係る車線認識技術と、第2実施形態に係る車線認識技術とを、組み合わせて適用する構成を採用してもよい。このように構成すれば、自車走行車線41bの認識を、より高い精度で遂行することができる。
ところで、第1実施形態に係る車線認識技術と、第2実施形態に係る車線認識技術とを組み合わせて適用する構成を採用する際において、第1実施形態に係る車線認識結果と、第2実施形態に係る車線認識結果とが、相互に競合する事態が生じた場合に、どちらの車線認識結果を採用すべきかが問題となる。具体的には、共通の走行場面において、例えば、第1実施形態に係る車線認識結果では“仮の自車走行車線41aが正しい”旨の判定が下される一方、第2実施形態に係る車線認識結果では“仮の自車走行車線41aが誤っている”旨の判定が下されるといったように、相互に競合する車線認識結果を生じる事態が起こりえる。
このように相互に競合する車線認識結果が生じた場合には、第1実施形態に係る車線認識結果を、第2実施形態に係る車線認識結果と比べて優先すればよい。一般に、第1実施形態に係る車線認識結果の方が、静止物標43が描く軌跡を同定する際に誤差の累積が生じがちな第2実施形態に係る車線認識結果と比べて、車線認識に係る精度が高いと考えられるからである。
また、本発明の第1実施形態に係る第1演算装置19Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える不図示のマイクロコンピュータ(以下“マイコン”という。)により構成することができる。このマイコンは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行し、第1車線認識装置11Aが有する自車走行車線41bの認識機能、障害物判定機能、自車両10の制動または駆動制御機能を含む各種機能に係る実行制御を遂行するように動作する。
また、本発明の第2実施形態に係る第2演算装置19Bは、第1演算装置19Aと同様に、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイコンにより構成される。このマイコンは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行し、第2車線認識装置11Bが有する自車走行車線41bの認識機能、障害物判定機能、自車両10の制動または駆動制御機能を含む各種機能に係る実行制御を遂行するように動作する。