JP2014092450A - 電気泳動用分離媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱いよく、分子量の高いタンパク質を効率よく分離することができる電気泳動用分離媒体を提供する。
【解決手段】本発明に係る電気泳動用分離媒体は、アクリルアミドまたは置換基を有するアクリルアミドであるアクリルアミド系モノマーと、架橋剤とを共重合させた共重合体を含んでいる。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質または核酸などの生体高分子を分離する電気泳動用分離媒体に関する。
近年、創薬におけるバイオマーカー探索または食品における検査手法等として、生体高分子であるタンパク質または核酸などの試料を、分離または検出するさまざまな手法および装置が開発されている。分離手法としては、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、液体クロマトグラフィーなどがあるが、簡易さおよび分離能の高さからゲル電気泳動が広く利用されている。
ゲル電気泳動には、一方向にのみサンプルを分離する電気泳動および二方向へサンプルを分離する二次元電気泳動がある。二次元電気泳動は、一般にタンパク質を分析する場合に用いられている。
二次元電気泳動は、例えば、一次元目は等電点電気泳動(IEF;isoelctric focusing)により、個々の電荷に応じてタンパク質を分離する。このとき、例えば、pH勾配を有するゲルストリップ(Imobilized pH gradientゲル:以下IPGゲル)を用いて、等電点電気泳動を行う。二次元目はドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE;sodium dodecyl sulfate−polyacrylamidegel electrophoresis)により、個々の分子量に応じてタンパク質を分離する。
二次元電気泳動法は、分解能が非常に高く、数千種類以上に及ぶタンパク質を高分解能にて分離することができる点において、他の分析手法に比べて大変優れている。そのため、二次元電気泳動法は、プロテオーム解析のための手法として広く用いられている。
また、二次元電気泳動に用いるゲルについて様々な研究がなされている。例えば、非特許文献1には、ゲルを重合するときのゲル溶液に対するアクリルアミドモノマーおよび架橋剤の割合(以下、パーセンテージとして「%T」と記載する)を調節することによって、ポリアクリルアミドゲルのポアサイズ(細孔サイズ)を制御することが記載されている。
さらに、特許文献1には、ナイロン等のマルチフィラメントを有する2%Tの糸ゲルは、その形状を維持した状態で二次元目のゲルに接続できることが記載されている。
なお、特許文献2には、主鎖としてアクリルアミドではなく、NAT(N−アクリロイル−トリスアミノメタン)を含むポリマーを電気泳動用のゲルに使用することが記載されている。
特許文献3には、アクリルアミド誘導体、ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどを共重合することによって得られたゲル、および、当該ゲルをイオン交換カラムクロマトグラフィに用いることが記載されている。
特開2005−84047号公報(2005年3月31日公開) 特開平1−503629号公報(1989年12月7日公開) 特開昭57−3806号公報(1982年1月9日公開)
Giovanni Candiano, Luca Musante,Maurizio Bruschi, Gan Marco Ghiggeri, Ben Herbert, Francesca Antonucci, Pier Giorgio Righetti, Two-dimensional maps in soft immobilized pH gradient gels:A new approach to the proteome of the third millennium electrophoresis
しかし、従来技術に係る二次元電気泳動技術では、分子量の高いタンパク質(例えば、数100kDa程度)の導入が困難であるという問題がある。
すなわち、一次元目電気泳動にて用いられるゲルのポアサイズが小さい場合、分子量が高いタンパク質をゲル中に導入することは困難である。
非特許文献1に記載のように、%Tを調節することによって、ポリアクリルアミドゲルのポアサイズを制御し、分子量の高いタンパク質をゲル中に導入することができる。これにより、ポリアクリルアミドゲルの%Tを通常市販されている4%Tから3.3%Tまで低くすることによって、ゲルのポアサイズを大きくし、4%Tでは見えていなかった分子量の高いスポットを確認することに成功している。しかし、3%Tまで低くすると、ポリアクリルアミドゲルは柔らかく、当該ゲルの形状を保持することが困難になる。そのため、一次元目電気泳動後、二次元目のゲルに接続するときの取り扱いが難しいという問題が顕著になる。よって、非特許文献1の技術は、実用化には至っていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、取り扱いがよく、分子量の高いタンパク質を効率よく分離することができる電気泳動用分離媒体を提供することを主たる目的としている。
本発明に係る電気泳動用分離媒体は、上記課題を解決するために、アクリルアミドまたは置換基を有するアクリルアミドであるアクリルアミド系モノマーと、下記の式(1)で表される架橋剤とを共重合させた共重合体を含んでいることを特徴としている。
(Rは、炭素原子数が3〜6の炭化水素基である)
本発明に係る電気泳動用分離媒体は、取り扱いがよく、分子量の高いタンパク質を効率よく分離することができるという効果を奏する。
実施例にて二次元電気泳動を行ったときのサンプルの分布を示す図である。 比較例にて二次元電気泳動を行ったときのサンプルの分布を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[第1実施形態]
〔電気泳動用分離媒体〕
本実施形態に係る電気泳動用分離媒体は、アクリルアミドまたは置換基を有するアクリルアミドであるアクリルアミド系モノマーと、下記の式(1)で表される架橋剤とを共重合させた共重合体を含んでいる。
(Rは、炭素原子数が3〜6の炭化水素基である)
電気泳動用分離媒体とは、サンプルが導入可能であり、当該サンプルを電気泳動して分離するための媒体として働くものである。
サンプルとしては、電気泳動によって分離または分析すべき物質であればよく、例えば、タンパク質、DNA(Deoxyribonuceic acid;デオキシリボ核酸)またはRNA(Ribo nucleic acid;リボ酢酸)などの生体高分子が挙げられる。
本発明に係る電気泳動用分離媒体は、取り扱いがよく、分子量の高いタンパク質を効率よく分離することができるが、そのことについて、当該電気泳動用分離媒体の各構成に基づき以下に説明する。
(アクリルアミド系モノマー)
アクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミド、または置換基を有するアクリルアミドが挙げられる。本明細書において、「置換基を有するアクリルアミド」とは、炭素または窒素に結合している水素が他の官能基(例えば、アルキル基、ケトン基)に置換されているものをいう。
置換基を有するアクリルアミドとしては、これらに限定されないが、例えば、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドまたはダイアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。上記の置換基を有するアクリルアミドと下記の架橋剤とを共重合させることにより、電気泳動用分離媒体を好適に作製することができる。
(架橋剤)
本実施形態にて用いる架橋剤は、下記の式(I)にて表される。
(Rは、炭素原子数が3〜6の炭化水素基である)。
ここで、従来技術に係る架橋剤としては、ビスアクリルアミド(bisAA)、ピペラジンジアクリルアミド(PDA)、ヂアリルテトラジアミド(DATD)、ビスアクリロイルシスタミン(BAC)が用いられている。しかし、これらの従来技術に係る架橋剤は主鎖構造が短いため、当該架橋剤を用いて作製した分離媒体のポアサイズが小さくなる。したがって、サンプルが分子量の高いタンパク質である場合に、当該架橋剤を用いて作製した分離媒体に当該サンプルを導入することは困難である。%Tを調節することによって、分離媒体のポアサイズを制御し、分子量の高いタンパク質を当該分離媒体中に導入することができる。しかし、%Tを低くすると、分離媒体は柔らかく、当該分離媒体の形状を保持することが困難になる。
一方、長鎖構造を有する架橋剤を用いて電気泳動用分離媒体を形成した場合、従来の分離媒体と比較してポアサイズが大きくなる。そのため、サンプルとして分子量の高いタンパク質を、電気泳動用分離媒体に導入することができる。ポアサイズが大きいため、電気泳動用分離媒体内に導入可能なサンプル質量が増加し、また、一次元目の等電点電気泳動のサンプル分離時間を短縮することができる。さらに、上記電気泳動用分離媒体は、%Tを低くせずに、ポアサイズを大きくすることができる。よって、当該電気泳動用分離媒体の形状を保持することが容易であり、当該電気泳動用分離媒体は取り扱いがよい。なお、本実施形態において、%Tとは、アクリルアミド系モノマーと架橋剤とを含む溶液において、アクリルアミド系モノマーおよび架橋剤の合計濃度のことをいう。
上記式(I)にて表される架橋剤のRは、二価の炭化水素であればよいが、電気泳動用分離媒体の強度を高くするために、三重結合、ベンゼン環等の環状構造を有しているか、または、アクリルアミド系モノマーからなる主鎖に対して複数点で架橋する構造を有していることがより好ましい。これら架橋剤を用いて電気泳動用分離媒体を形成した場合、当該電気泳動用分離媒体に強度をもたせることができる。そのため、%Tを低くして電気泳動用分離媒体のポアサイズを大きくしてもその形状を保持することができ、%Tが3%以下であっても電気泳動用分離媒体の形状を保持することが容易である。このように、当該架橋剤を用いて形成される電気泳動用分離媒体では、その形状を保持することができるため、一次元目電気泳動後、二次元目に接続するときの扱いがさらに容易となる。
上記式(I)にて表される架橋剤を構成するRとして、これらに限定されないが、アルカンジイル基、置換基を有するアルカンジイル基、アルケンジイル基、置換基を有するアルケンジイル基、アルキンジイル基、置換基を有するアルキンジイル基、シクロアルカンジイル基、置換基を有するシクロアルカンジイル基、シクロアルケンジイル基、置換基を有するシクロアルケンジイル基、フェニレン基、または、置換基を有するフェニレン基が挙げられる。
本実施形態にて用いる架橋剤としては、式(I)を満たすものであれば限定されないが、ペンタメチレンビスアクリルアミドが好ましい。架橋剤としてペンタメチレンビスアクリルアミドを用いることにより、従来技術と比較して高分子量のサンプルを容易に導入することができる。
〔電気泳動用分離媒体の製造方法〕
以下に本発明に係る電気泳動用分離媒体の製造方法について説明する。電気泳動用分離媒体は、例えば、アクリルアミドと架橋剤とを含む溶液において、アクリルアミドと、架橋剤とを共重合することにより作製することができる。
アクリルアミドと架橋剤とを含む溶液におけるアクリルアミド系モノマーおよび上記式(I)にて表される架橋剤の合計濃度は、1.5%T以上、5%T以下であることが好ましく、2%Tであることがより好ましい。合計濃度が、1.5%T以上であることにより、電気泳動用分離媒体は、好適にその形状を保持することができる。合計濃度が、5%T以下であることにより、電気泳動用分離媒体は、分子量の高いタンパク質を好適に分離することができる。
また、アクリルアミド系モノマーおよび上記式(I)にて表される架橋剤に対する架橋剤の割合(以下、「%C」と称する。)は、10%C以下になるように調製することが好ましい。架橋剤の割合が、10%C以下であることにより、電気泳動用分離媒体が光散乱により白濁することを防止できる。
アクリルアミド系モノマーと上記式(I)にて表される架橋剤とを共重合させる前に、他の添加物を加えてもよい。他の添加剤としては、例えば、バッファー、蒸留水、グリセロール、重合開始剤および重合促進剤などが挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS;Ammonium peroxodisulfate)が挙げられ、重合促進剤としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED;N,N,N’,N’−Tetramethylethylenediamine)が挙げられる。
重合開始剤および重合促進剤などの試薬を添加した後、アクリルアミド系モノマーと上記式(I)にて表される架橋剤とを共重合させてゲル化を進行させるために、窒素雰囲気下において、温度を20〜50℃に制御してもよい。これにより、アクリルアミド系モノマーと上記式(I)にて表される架橋剤とを共重合させた共重合体を含んでいる電気泳動用分離媒体が得られる。
[第2実施形態]
〔IPGゲル〕
本発明に係る電気泳動用分離媒体として、例えば、IPGゲルが挙げられる。IPGゲル(Imobilized pH gradientゲル)とは、個々の電荷に応じてタンパク質を分離する等電点電気泳動(IEF;isoelctric focusing)を行なう際に用いられるpH勾配を有するゲルである。なお、最終的なIPGゲルのpH範囲は、個々の電荷に応じてタンパク質が分離されていることを確認できる範囲であればよく、特に限定されない。
IPGゲルの表面には、保護フィルムが接着されていてもよい。保護フィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
また、IPGゲルの表面に保護フィルムを接着させた後、当該ゲルをストリップ状に切断してもよい。
本実施形態に係るIPGゲルについても、第1実施形態に係る電気泳動用分離媒体と同様、取り扱いがよく、分子量の高いタンパク質を効率よく分離することができる。さらに、一次元目の等電点電気泳動のサンプル分離時間を短縮することができる。
〔IPGゲルの製造方法〕
以下に、本実施形態に係るIPGゲルの製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、前記第1実施形態にて説明した事項については、その説明を省略する。
IPGゲルを作製する場合、予め酸性側溶液および塩基性側溶液として、アクリルアミド系モノマー、上記式(I)にて表される架橋剤、アクリルアミドバッファー、蒸留水を混ぜ合わせ、酸性側または塩基性側の一方の溶液にグリセロールを混ぜ合わせる。
アクリルアミドバッファーとしては、例えば、pK(解離定数)が1.0、3.1、3.6、4.6、6.2、6.85、7.0、7.4、8.5、10.3、12.0以上のものを用いることができるが、これらに限定されない。
中性条件で重合を開始することによって、重合効率を向上させることができるため、上記酸性溶液および塩基性溶液を混合したときの溶液のpHが7.0になるように、酢酸・水酸化ナトリウム溶液などのバッファーを用いて調整した後、重合開始剤および重合促進剤を加える。但し、本発明はこれに限定されず、pH未調整で重合を行ってもよい。重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)が挙げられ、重合促進剤としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)が挙げられる。
上記重合開始剤および重合促進剤を添加した後、調製した酸性溶液および塩基性溶液の2液を、混ぜ合わせる割合を連続的に変えながら、ポンプまたは自然落下現象を用いて、ゲルを保持するシートが予め設置されているガラス製の作製治具へ流しこむことが好ましい。2液の混合比を変えながら混合することにより、pH勾配を有するIPGゲルを作製することができる。
酸性溶液および塩基性溶液の割合を線形または非線形に変えるために、例えば、グラジエントミキサー、スタティックミキサーなどの混合手段が用いられるが、これらに限定されない。
ポンプとしては、ペリスティックポンプまたはピエゾポンプなどの脈流が少ないものを使用することが好ましいが、これらに限定されない。
重合開始剤および重合促進剤などの試薬を添加した後、アクリルアミド系モノマーと上記式(I)にて表される架橋剤とを共重合させてゲル化を進行させるために、窒素雰囲気下において、温度を20〜50℃に制御してもよい。
ゲルが重合された後、作製治具よりシート状のゲルを取り出し、純水で洗浄した後、グリセロール溶液に浸漬させる。浸漬後、ゲルを取り出し1〜2日放置し、ゲルを十分に乾燥させる。ゲルが十分に乾燥したことを確認し、ゲル表面に保護フィルムを接着させた後、ゲルをストリップ状に切断する。そして、低温で保存することによりIPGゲルを作製する。
pH勾配を有するIPGゲルを作製することにより、等電点電気泳動を好適に実行することができる。但し、本発明はこれに限定されず、例えば、pH勾配を付与する他の試薬(キャリアアンフォライト等)を別途添加する形態であってもよい。
〔まとめ〕
本発明に係る電気泳動用分離媒体は、アクリルアミドまたは置換基を有するアクリルアミドであるアクリルアミド系モノマーと、下記の式(1)で表される架橋剤とを共重合させた共重合体を含んでいる。
(Rは、炭素原子数が3〜6の炭化水素基である)
上記(I)にて表される架橋剤は、従来架橋剤として用いられている化合物と比較して、長鎖構造を有している。そのため、長鎖構造を有する架橋剤を用いて電気泳動用分離媒体を形成した場合、従来の分離媒体と比較してポアサイズが大きくなる。したがって、サンプルが分子量の高いタンパク質であっても、電気泳動用分離媒体に導入することができる。
ポアサイズが大きいため、電気泳動用分離媒体内に導入可能なサンプル質量が増加し、また、一次元目の等電点電気泳動のサンプル分離時間を短縮することができる。
さらに、上記電気泳動用分離媒体は、%Tを調整することなく、ポアサイズを大きくすることができるため、当該分離媒体の形状を保持することが容易であり、取り扱いがよい。
以上により、本発明に係る電気泳動用分離媒体は、取り扱いがよく、分子量の高いタンパク質を効率よく分離することができる。
本発明の一態様に係る電気泳動用分離媒体では、上記置換基を有するアクリルアミドは、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドおよびダイアセトンアクリルアミドからなる群より選択される物質である。
上記の置換基を有するアクリルアミドと上記式(I)にて表される架橋剤とを共重合することにより、電気泳動用分離媒体を好適に提供することができる。
本発明の一態様に係る電気泳動用分離媒体では、上記炭化水素基は、アルカンジイル基、置換基を有するアルカンジイル基、アルケンジイル基、置換基を有するアルケンジイル基、アルキンジイル基、置換基を有するアルキンジイル基、シクロアルカンジイル基、置換基を有するシクロアルカンジイル基、シクロアルケンジイル基、置換基を有するシクロアルケンジイル基、フェニレン基、および、置換基を有するフェニレン基からなる群より選択されるものである。
上記官能基を有する架橋剤は、%Tを小さくして分離媒体のポアサイズを大きくした場合であっても、電気泳動用分離媒体に強度を好適にもたせることができる。そのため、分離媒体のポアサイズを大きくしてもその形状を保持することができる。よって、一次元目電気泳動後、二次元目に接続するときの扱いがさらに容易となる。
本発明の一態様に係る電気泳動用分離媒体は、pH勾配を有していてもよい。
上記構成の電気泳動用分離媒体を用いることにより、等電点電気泳動を実行することができる。
本発明の一態様に係る電気泳動用分離媒体では、上記架橋剤は、ペンタメチレンビスアクリルアミドであってもよい。
長鎖構造を有する架橋剤であるペンタメチレンビスアクリルアミドとアクリルアミド系モノマーとを共重合させることにより、電気泳動用分離媒体を好適に提供することができる。
本発明の一態様に係る電気泳動用分離媒体は、上記架橋剤と上記アクリルアミド系モノマーとを含む溶液において、当該架橋剤と当該アクリルアミド系モノマーとを共重合して得られるものであって、当該溶液中に含まれる上記架橋剤および上記アクリルアミド系モノマーの合計濃度は、1.5%T以上、5%T以下である。
合計濃度が、1.5%T以上であることにより、電気泳動用分離媒体は、その形状を好適に保持することができる。合計濃度が5%T以下であることにより、電気泳動用分離媒体は、分子量の高いタンパク質を好適に分離することができる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1:IPGゲルの作製)
IPGゲルを作製するにあたって、予め酸性側溶液および塩基性側溶液として、アクリルアミド、架橋剤、アクリルアミドバッファー(Sigma-Aldrich社)、蒸留水を混ぜ合わせ、酸性側または塩基性側の一方の液体にグリセロールを混ぜ合わせた。架橋剤としては、ペンタメチレンビスアクリルアミドを用いた。アクリルアミドにペンタメチレンビスアクリルアミドを、%C=2.6%および%T=4.0%の条件で混合した。
酸性溶液および塩基性溶液を混合したときの溶液のpHが7.0になるように、酢酸・水酸化ナトリウム溶液などのバッファーを用いて調整した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)、および重合促進剤としてテトラメチレンジアミン(TEMED)を加えた。
上記重合開始剤・重合促進剤を添加した後、調製した酸性溶液・塩基性溶液の2液を、混ぜ合わせる割合を連続的に変えながら、ゲルを保持するシートを予め設置してあるガラス製の作製治具へ流し込んだ。それから、流し込んだ溶液をゲル化させた。
ゲルが重合された後、作製治具よりシート状のゲルを取り出し、純水で10分間3〜6回振とうさせ洗浄した後、1〜5%のグリセロール溶液に10分間浸漬させた。浸漬後、ゲルを取り出し1〜2日放置し、ゲルを十分に乾燥させた。ゲルが十分に乾燥したことを確認し、ゲル表面に保護フィルムを接着させた後、ゲルをストリップ状に切断し、−20℃で保存した。このようにして、IPGゲルを作製した。
(実施例2:二次元電気泳動)
実施例1にて作製したIPGゲルを用いて、二次元電気泳動の実験を行った。
まず、上記IPGゲルをタンパク質および尿素、チオ尿素、3−(3−cholamidepropyl)dimethylammonio−1−propanesulphonate(CHAPS)、ジチオトレイトール(DTT)、両性電解質(Ampholyte)、およびサンプルとして予め蛍光標識を行ったマウス肝臓を混ぜ合わせたサンプルバッファーに浸漬し、8時間〜16時間放置した。その後、当該IPGゲルに電場を印加し、一次元目等電点電気泳動を行い、一次元目電気泳動が終了後、SDSを含む平衡化バッファーにIPGゲルを10分程度振とうさせ、平衡化終了後IPGゲルをPAGEゲルに接続し二次元目の電気泳動を行った。
泳動終了後、スキャナーで確認した結果を図1に示す。それに対し、架橋剤として従来から用いられているビスアクリルアミドを用いて同様の条件で実験を行った結果を図2に示す。図1は、実施例にて二次元電気泳動を行ったときのサンプルの分布を示す図であり、図2は、比較例にて二次元電気泳動を行ったときのサンプルの分布を示す図である。
図1、2において50kDaを示すラインより高分子側のスポットに関して、ペンタメチレンビスアクリルアミドから形成したIPGゲルを用いた二次元電気泳動では、ビスアクリルアミドから形成したIPGゲルを用いた二次元電気泳動と比較して、スポットの蛍光強度が平均して約1.86倍高い結果となった。この結果から、ペンタメチレンビスアクリルアミドから形成したIPGゲルは、分子量の高いサンプルをより多く、二次元目のPAGEゲルに導入できることが示された。
本発明に係る電気泳動用分離媒体は、タンパク質、DNAまたはRNAなどの生体高分子を等電点の違いにより分離させる等電点電気泳動を行うときに利用することができる。

Claims (6)

  1. アクリルアミドまたは置換基を有するアクリルアミドであるアクリルアミド系モノマーと、
    下記の式(1)で表される架橋剤とを共重合させた共重合体を含んでいることを特徴とする電気泳動用分離媒体。
    (Rは、炭素原子数が3〜6の炭化水素基である)
  2. 上記置換基を有するアクリルアミドは、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドおよびダイアセトンアクリルアミドからなる群より選択される物質であることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動用分離媒体。
  3. 上記炭化水素基は、アルカンジイル基、置換基を有するアルカンジイル基、アルケンジイル基、置換基を有するアルケンジイル基、アルキンジイル基、置換基を有するアルキンジイル基、シクロアルカンジイル基、置換基を有するシクロアルカンジイル基、シクロアルケンジイル基、置換基を有するシクロアルケンジイル基、フェニレン基、および、置換基を有するフェニレン基からなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電気泳動用分離媒体。
  4. pH勾配を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電気泳動用分離媒体。
  5. 上記架橋剤は、ペンタメチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電気泳動用分離媒体。
  6. 上記架橋剤と上記アクリルアミド系モノマーとを含む溶液において、当該架橋剤と当該アクリルアミド系モノマーとを共重合して得られる電気泳動用分離媒体であって、
    当該溶液中に含まれる上記架橋剤および上記アクリルアミド系モノマーの合計濃度は、1.5%T以上、5%T以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電気泳動用分離媒体。
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