JP2014091711A - Hsp90阻害剤と抗腫瘍性白金錯体との組み合わせ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はHSP90阻害活性を有するトリアゾール化合物と、抗腫瘍性白金錯体を組み合わせた抗腫瘍剤に関する。また、前記HSP90阻害活性を有するトリアゾール化合物を含有することを特徴とする、抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果増強剤、並びに抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強させる方法に関する。
悪性腫瘍疾患の治療のため、新たな抗腫瘍化学療法の開発が求められている。近年では、細胞増殖に関与するシグナル伝達に関わる増殖因子や増殖因子受容体、並びにシグナル伝達経路に関わるタンパク質等の各種機能性分子が認知されてきている。そこで、これらの機能性分子を標的として、その機能を抑制させることを作用機作とする分子標的抗腫瘍剤が開発されている。
熱ショックタンパク(Heat Shock Protein;HSP)は細胞内に存在する分子シャペロンであり、その分子量によってHSP90、HSP70、HSP60、HSP40、small HSPsなど、幾つかのファミリーに分類される機能性分子である。分子シャペロンとは、タンパク質の機能的高次構造の形成を促進するため、標的タンパク質と一時的に複合体を形成するタンパク質の総称である。すなわち、分子シャペロンは、タンパク質の折り畳みや会合を助け、凝集を抑止する活性を持つ。
HSP90は、細胞内の全可溶性タンパク質の1〜2%を占める豊富に存在する分子シャペロンであり、細胞質に一様に分布しており、主に二量体として存在する。HSP90は、ATPに依存して、変性又は折り畳み状態ではないタンパク質の折り畳みを行なう機能を担う。HSP90は、細胞内のシグナル伝達系に関わる多様なタンパク質と相互作用することが知られている。すなわちHSP90は、多様な標的タンパク質の機能発現に必要な場合が多く、その作用機作は、HSP90が不安定な折り畳み状態にあるタンパク質を特異的に認識して、これと結合して複合体を形成する生化学的特性に基づいている。タンパク質の折り畳みにおけるHSP90単独の活性は弱く、同様の折り畳み活性を持つHSP70、p23など他の分子シャペロン(コシャペロン)と共同で機能している。
癌関連のシグナル伝達に関わる多様な標的タンパク質(ステロイドレセプター、Raf
セリンキナーゼ、チロシンキナーゼ類)は、HSP90にその構造構築を依存している。したがって、HSP90が細胞周期の制御、細胞の癌化・増殖・生存シグナルに深く関与していることが明らかになっている。
HSP90は、細胞内の全可溶性タンパク質の1〜2%を占める豊富に存在する分子シャペロンであり、細胞質に一様に分布しており、主に二量体として存在する。HSP90は、ATPに依存して、変性又は折り畳み状態ではないタンパク質の折り畳みを行なう機能を担う。HSP90は、細胞内のシグナル伝達系に関わる多様なタンパク質と相互作用することが知られている。すなわちHSP90は、多様な標的タンパク質の機能発現に必要な場合が多く、その作用機作は、HSP90が不安定な折り畳み状態にあるタンパク質を特異的に認識して、これと結合して複合体を形成する生化学的特性に基づいている。タンパク質の折り畳みにおけるHSP90単独の活性は弱く、同様の折り畳み活性を持つHSP70、p23など他の分子シャペロン(コシャペロン)と共同で機能している。
癌関連のシグナル伝達に関わる多様な標的タンパク質(ステロイドレセプター、Raf
セリンキナーゼ、チロシンキナーゼ類)は、HSP90にその構造構築を依存している。したがって、HSP90が細胞周期の制御、細胞の癌化・増殖・生存シグナルに深く関与していることが明らかになっている。
ヒト腫瘍では多くのシグナル分子の調節が失われており、これらのシグナル分子の機能を維持するために、腫瘍はHSP90を必要としている(非特許文献1)。したがって、HSP90に作用して、その機能を阻害する化合物は、癌関連のシグナル伝達に関わる多様な標的タンパク質の分解を引き起こすことが分かっており、それに基づき癌細胞の増殖を抑制することが知られている。すなわちHSP90阻害剤は、標的タンパク質とHSP90を含むシャペロン複合体の構成を変化させ、該複合体から離脱した標的タンパク質を主にユビキチン・プロテアソ−ム系で分解させる。これによりHSP90の標的タンパク質量が減少し、それに伴う下流へのシグナル伝達を遮断し、癌細胞の増殖を抑制する事により抗腫瘍効果をもたらす。
特に、癌化する過程では複数の遺伝子異常が蓄積されており、タンパク質の変異が生じている。すなわち癌細胞では、生成した変異タンパク質が多く、正常タンパク質からなる正常細胞と比較して、より多くのシャペロン活性を必要とする。このため、多くの癌細胞ではHSP90の発現量が増加していることが知られている。これらのことから、HSP90阻害剤は、正常細胞ではなく癌細胞に選択的に作用することが期待される。さらに癌細胞は、異常なタンパク質発現が認められる事に加え、低酸素状態、栄養飢餓状態に置かれており、一種のストレス状態下にあるため、HSP90によるシャペロン活性への依存度合いが高いことが考えられる。したがって癌細胞は、HSP90阻害剤に対する感受性が、正常細胞と比較して高いことが期待される。そこでHSP90を標的分子とするHSP90阻害剤の探索的研究、並びにその抗腫瘍効果の検証がなされている。
特に、癌化する過程では複数の遺伝子異常が蓄積されており、タンパク質の変異が生じている。すなわち癌細胞では、生成した変異タンパク質が多く、正常タンパク質からなる正常細胞と比較して、より多くのシャペロン活性を必要とする。このため、多くの癌細胞ではHSP90の発現量が増加していることが知られている。これらのことから、HSP90阻害剤は、正常細胞ではなく癌細胞に選択的に作用することが期待される。さらに癌細胞は、異常なタンパク質発現が認められる事に加え、低酸素状態、栄養飢餓状態に置かれており、一種のストレス状態下にあるため、HSP90によるシャペロン活性への依存度合いが高いことが考えられる。したがって癌細胞は、HSP90阻害剤に対する感受性が、正常細胞と比較して高いことが期待される。そこでHSP90を標的分子とするHSP90阻害剤の探索的研究、並びにその抗腫瘍効果の検証がなされている。
HSP90阻害剤の探索的研究として、特許文献1には、5−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−3−オン誘導体が、HSP90阻害活性を備え、且つ癌細胞増殖阻害活性を兼ね備える化合物である事を記載している。該化合物は動物実験においても優れた抗腫瘍効果を示し、制癌剤として有望であることが報告されている。また、特許文献2または特許文献3でも、HSP90阻害活性を有するトリアゾール化合物を報告している。
癌化学療法において、抗腫瘍性白金錯体は抗腫瘍剤の代表的薬剤として知られている。代表的な抗腫瘍性白金錯体として、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチンを挙げる事ができ、様々な悪性腫瘍に対する治療に用いられている。抗腫瘍性白金錯体は、他の抗腫瘍剤との併用療法で使用されることが多い。特に例示すると、パクリタキセル、ドセタキセル等のタキサン類、イリノテカン、ノギテカン等のカンプトテシン類、ゲムシタビン、5‐フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカルシウム合剤(S−1)等の核酸代謝拮抗剤、エトポシド、ドキソルビシン等のトポイソメラーゼII阻害剤、等との併用療法が知られており、広範な固形癌の治療剤として用いられている。
悪性腫瘍疾患は薬物療法の医療満足度が十分でなく、治療効果を高める事を目的に複数の薬剤を組み合せて用いる併用化学療法が行なわれている。すなわち、抗腫瘍作用の作用機作や副作用の種類が異なる複数の薬剤を組み合わせた併用化学療法が開発されており、治療成績の向上に貢献している。特に近年では、細胞増殖に関与するシグナル伝達に関わる分子を標的とする分子標的抗腫瘍剤が開発され、臨床に供されている。したがって、これら分子標的抗腫瘍剤を用い、更により治療効果の高い併用療法の確立が希求されている。
HSP90阻害剤は、HSP90と標的タンパク質との複合体形成機能を阻害する事により、癌細胞増殖阻害作用を発揮する。この抗腫瘍効果の増強を目的に、HSP90阻害剤と他の抗腫瘍剤との併用療法が報告されている(非特許文献2)。HSP90阻害剤と抗腫瘍性白金錯体との併用使用例としては、非特許文献3にHSP90阻害剤として知られるゲルダナマイシン及びその17―アリルアミノ−17−デメトキシ誘導体とシスプラチンの併用例を記載している。また、非特許文献4には17―アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシンとカルボプラチンの併用例を記載している。しかしながら、HSP90活性を有するトリアゾール誘導体と白金錯体との併用療法の報告はなされていない。
HSP90阻害剤は、HSP90と標的タンパク質との複合体形成機能を阻害する事により、癌細胞増殖阻害作用を発揮する。この抗腫瘍効果の増強を目的に、HSP90阻害剤と他の抗腫瘍剤との併用療法が報告されている(非特許文献2)。HSP90阻害剤と抗腫瘍性白金錯体との併用使用例としては、非特許文献3にHSP90阻害剤として知られるゲルダナマイシン及びその17―アリルアミノ−17−デメトキシ誘導体とシスプラチンの併用例を記載している。また、非特許文献4には17―アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシンとカルボプラチンの併用例を記載している。しかしながら、HSP90活性を有するトリアゾール誘導体と白金錯体との併用療法の報告はなされていない。
Hsp90 inhibitors as novel cancer chemotherapeutic agents.Trends in Molecular Medicine.2002,8:4(Suppl.),S55−61.
Hsp90 inhibitors and drug resistance in cancer:The potential benefits of combination therapies of Hsp90 inhibitors and other anti−cancer−drugs.Biochemical Pharmacology,2012,83,995−1004
Geldanamycin and its 17−Allylamino−17−demethoxy analogue antagonize the action of cisplatin in Human colon adenocarcinoma cells:Differential caspase activation as a basis for interaction.Cancer Reseach,2003,63,3241−3246
An in vitro and in vivo study of the combination of the heat shock protein inhibitor 17−allylamino−17−demethoxygeldanamycin and carboplatin in human ovarian cancer models.Cancer Chemotherapy and Pharmacology,2008,62,769−778
癌細胞の生存にHSP90が依存することから、HSP90を標的分子とする抗腫瘍剤の開発が進められている。本発明の目的は、このHSP90阻害剤を用いたより治療効果の高い薬物療法として、他の抗腫瘍剤との併用療法を提供することである。特に、HSP90阻害活性と癌細胞増殖阻害活性を兼ね備える5−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−3−オン誘導体を用いることによる、優れた治療効果を発揮する他の抗腫瘍剤との併用療法を提供する事を課題とする。また、別の観点によると、5−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−3−オン誘導体が、既存の抗腫瘍剤の治療効果増強作用を発揮し、既存の抗腫瘍剤の抗腫瘍効果増強剤としての用途を提供する事にある。
また別の観点では、多様な悪性腫瘍に対して化学療法剤として用いられている抗腫瘍性白金錯体療法について、更に治療効果を高める併用療法を提供する事を課題とする。
また別の観点では、多様な悪性腫瘍に対して化学療法剤として用いられている抗腫瘍性白金錯体療法について、更に治療効果を高める併用療法を提供する事を課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、一般式(1)で示される5−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−3−オン誘導体と抗腫瘍性白金錯体の組み合せが、それぞれの単独使用による抗腫瘍効果と比較し、顕著に優れた抗腫瘍効果を発揮する事を見出した。すなわち、本発明は、以下の構成を要旨とする。
(1)下記一般式(1)
[式中、Xは直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜10のアルキニル基、またはハロゲン原子を示し、Yは硫黄原子または酸素原子を示し、mは0〜4の整数を示し、Aは置換基を有するアミノ基を示す]で表されるトリアゾール化合物(A)と、抗腫瘍性白金錯体(B)を組み合わせた抗腫瘍剤。
(1)下記一般式(1)
(2)別の観点によると、下記一般式(1)
[式中、Xは直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜10のアルキニル基、またはハロゲン原子を示し、Yは硫黄原子または酸素原子を示し、mは0〜4の整数を示し、Aは置換基を有するアミノ基を示す]で表されるトリアゾール化合物(A)を有効成分とする、抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強させる抗腫瘍効果増強剤。
本発明によると、5−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−3−オン誘導体と抗腫瘍性白金錯体を組み合せて使用する事により、治療効果が向上した抗腫瘍薬物療法を提供する事ができる。また、従来臨床治療に用いられている抗腫瘍性白金錯体療法に、前記トリアゾール誘導体を適用する事により、抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強し、治療効果を向上させることができる。
したがって従来方法による抗腫瘍効果の更なる向上が達成できると共に、抗腫瘍性白金錯体に対する感受性が低下した悪性腫瘍に対して、十分な腫瘍増殖抑制作用をもたらし治療効果を維持する事ができる。
更に、それぞれ抗腫瘍剤の単独使用と同程度の抗腫瘍効果を得る場合において、各々の抗腫瘍剤の用量を相対的に減量することができ、望ましくない薬理作用の発現を抗腫瘍効果に悪影響を及ぼすことなく軽減する事ができる。
したがって従来方法による抗腫瘍効果の更なる向上が達成できると共に、抗腫瘍性白金錯体に対する感受性が低下した悪性腫瘍に対して、十分な腫瘍増殖抑制作用をもたらし治療効果を維持する事ができる。
更に、それぞれ抗腫瘍剤の単独使用と同程度の抗腫瘍効果を得る場合において、各々の抗腫瘍剤の用量を相対的に減量することができ、望ましくない薬理作用の発現を抗腫瘍効果に悪影響を及ぼすことなく軽減する事ができる。
本発明は、一般式(1)で示される抗腫瘍剤として知られる抗腫瘍性白金錯体に、抗腫瘍効果を有するトリアゾール化合物を組み合せて用いることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
本発明において、HSP90阻害活性を有するトリアゾール化合物(A)は、前記一般式(1)で示されるトリアゾール化合物である。すなわち、該トリアゾール環において、Y基の置換位置を3位とし、A基を有するフェニル基の置換位置を4位とし、X基を有する2,4−ジヒドロキシフェニル基の置換位置を5位とする[1,2,4]トリアゾール誘導体である。
前記一般式(1)で表されるトリアゾール化合物は、ケト−エノール互変異性体が存在し、下記一般式(1K)で示されるケト型異性体構造を取り得る。すなわち本発明において、前記(1)及び(1K)は同一化合物であり、本発明に係るトリアゾール化合物(A)は、一般式(1K)で示される化合物も包含するものである。
本発明において、HSP90阻害活性を有するトリアゾール化合物(A)は、前記一般式(1)で示されるトリアゾール化合物である。すなわち、該トリアゾール環において、Y基の置換位置を3位とし、A基を有するフェニル基の置換位置を4位とし、X基を有する2,4−ジヒドロキシフェニル基の置換位置を5位とする[1,2,4]トリアゾール誘導体である。
前記一般式(1)で表されるトリアゾール化合物は、ケト−エノール互変異性体が存在し、下記一般式(1K)で示されるケト型異性体構造を取り得る。すなわち本発明において、前記(1)及び(1K)は同一化合物であり、本発明に係るトリアゾール化合物(A)は、一般式(1K)で示される化合物も包含するものである。
一般式(1)のXは、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキニル基、またはハロゲン原子である。以下にXの説明をする。
一般式(1)におけるXとして、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。該アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−へキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、シクロヘキシルエチル基、等を挙げることができる。
該アルキル基は置換基を有しても良い。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素環または複素環アリール基、炭素数1〜4アルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数1〜4アルコキシ基、アリールオキシ基、脂肪族又は芳香族アミノ基、アシル基、カルボキシル基、等を挙げることができる。Xとして置換基を有する該アルキル基の例としては、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、N,N−ジメチルアミノメチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、モルホリニルメチル基、ピペリジニルメチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、メトキシエチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、ピリジルメチル基、等を挙げることができる。
Xにおける直鎖状または分岐状の炭素数1〜8アルキル基としては、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基が好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。
一般式(1)におけるXとして、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。該アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−へキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、シクロヘキシルエチル基、等を挙げることができる。
該アルキル基は置換基を有しても良い。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素環または複素環アリール基、炭素数1〜4アルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数1〜4アルコキシ基、アリールオキシ基、脂肪族又は芳香族アミノ基、アシル基、カルボキシル基、等を挙げることができる。Xとして置換基を有する該アルキル基の例としては、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、N,N−ジメチルアミノメチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、モルホリニルメチル基、ピペリジニルメチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル基、メトキシエチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、ピリジルメチル基、等を挙げることができる。
Xにおける直鎖状または分岐状の炭素数1〜8アルキル基としては、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基が好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。
一般式(1)のXとして、炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。該アルキニル基は、1−アルキニル基または2−アルキニル基である。該アルキニル基としては置換基を有していても良い。置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、炭素環または複素環アリール基、炭素数1〜4アルキルオキシ基、炭素数1〜4アルキルチオ基、脂肪族又は芳香族アミノ基、アシル基、アルキルシリル基、等が挙げられる。好ましい1−アルキニル基としてはエチニル基、3,3−ジメチルブタ−1−イニル基、2−フェニル−エチニル基、2−トリメチルシリル−1−エチニル基、等が挙げられる。2−アルキニル基としては、例えばプロパ−2−イニル基、ブタ−2−イニル基、3−フェニルプロパ−2−イニル基、4,4−ジメチルペンタ−2−イニル基、3−トリメチルシリルプロパ−2−イニル基、等が挙げられる。炭素数2〜10の2−アルキニル基が好ましく、プロパ−2−イニル基またはブタ−2−イニル基が特に好ましい。
一般式(1)のXとして、ハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。ハロゲン原子としては、臭素原子が好ましい。
一般式(1)のXとして、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基、または炭素数2〜10の2−アルキニル基が好ましい。置換基Xとして特に好ましくは、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、プロパ−2−イニル基またはブタ−2−イニル基である。
一般式(1)において、Aは置換基を有するアミノ基を表す。Aにおける置換基を有するアミノ基としては、脂肪族1級アミノ基または脂肪族2級アミノ基が挙げられる。
脂肪族1級アミノ基としては、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状アルキル基を有するN−アルキルアミノ基を挙げることができる。例えばメチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、等が挙げられる。脂肪族2級アミノ基としては、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状アルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、若しくは環状の2級アミノ基が挙げられる。N,N−ジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、N−メチル−N−ブチルアミノ基、N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジシクロヘキシルアミノ基、等が挙げられる。脂肪族の環状の2級アミノ基としては、モルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、等が挙げられる。Aで表される脂肪族アミノ基としては、脂肪族の環状の2級アミノ基が好ましく、モルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基が好ましい。中でもモルホリノ基または4−メチルピペラジン−1−イル基が特に好ましい。
一般式(1)において、mは0乃至4の整数を表す。中でもmは0または1が好ましい。
すなわち一般式(1)における−(CH2)m−A基としては、mが0または1であり、Aが脂肪族の環状の2級アミノ基が好ましく、モルホリノ基、メチル−モルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、メチル−4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、メチル−ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、メチル−ピロリジン−1−イル基が特に好ましい。
脂肪族1級アミノ基としては、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状アルキル基を有するN−アルキルアミノ基を挙げることができる。例えばメチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、等が挙げられる。脂肪族2級アミノ基としては、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状アルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、若しくは環状の2級アミノ基が挙げられる。N,N−ジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、N−メチル−N−ブチルアミノ基、N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジシクロヘキシルアミノ基、等が挙げられる。脂肪族の環状の2級アミノ基としては、モルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、等が挙げられる。Aで表される脂肪族アミノ基としては、脂肪族の環状の2級アミノ基が好ましく、モルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基が好ましい。中でもモルホリノ基または4−メチルピペラジン−1−イル基が特に好ましい。
一般式(1)において、mは0乃至4の整数を表す。中でもmは0または1が好ましい。
すなわち一般式(1)における−(CH2)m−A基としては、mが0または1であり、Aが脂肪族の環状の2級アミノ基が好ましく、モルホリノ基、メチル−モルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、メチル−4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、メチル−ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、メチル−ピロリジン−1−イル基が特に好ましい。
本発明における前記トリアゾール化合物(A)として、特に好ましい例を以下に挙げる。
5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)、
4−イソプロピル−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−2)、
4−イソプロピル−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−3)、
4−{5−ヒドロキシ−4−[4−(モルホリン−4−イル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−6−イソプロピル−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−4)、
4−{5−ヒドロキシ−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−6−イソプロピル−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−5)、
5−[5−(ブチン−2−イル)−2,4−ジヒドロキシ−フェニル]−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−6)、
4−(ブチン−2−イル)−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−7)、
4−ブロモ−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−8)、
5−[2,4−ジヒドロキシ−5−(プロピン−2−ニル)−フェニル]−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−9)
5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)、
4−イソプロピル−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−2)、
4−イソプロピル−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−3)、
4−{5−ヒドロキシ−4−[4−(モルホリン−4−イル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−6−イソプロピル−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−4)、
4−{5−ヒドロキシ−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−6−イソプロピル−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−5)、
5−[5−(ブチン−2−イル)−2,4−ジヒドロキシ−フェニル]−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−6)、
4−(ブチン−2−イル)−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−7)、
4−ブロモ−6−{5−メルカプト−4−[4−(モルホリン−4−イル)−フェニル]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ベンゼン−1,3−ジオール;(A−8)、
5−[2,4−ジヒドロキシ−5−(プロピン−2−ニル)−フェニル]−4−[4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−9)
本発明の一般式(1)に係るトリアゾール化合物(A)は、公知の製造方法により製造する事ができる。例えば、国際公開WO2006/095783号に開示される製造方法に従い、合成することができる。例えば、上記5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)は、前記特許文献の実施例2−5にて製造方法が開示されており、その記載の方法に従い合成することができる。その他の誘導体も前述の先行技術文献に開示の方法に従い調製できる。
本発明の前記トリアゾール化合物(A)は酸又は塩基と塩を形成する場合もあり、一般式(1)で表される化合物の塩を用いても良い。酸との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、トリフロロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。塩基との塩としては、例えばナトリウム塩等を挙げることができる。これらの塩は、定法によって製造することができる。
本発明の前記トリアゾール化合物(A)は、薬理活性有効成分をそのまま用いても良く、若しくは製剤基剤と併せて注射剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、散剤等の通常使用されている製剤を調製して使用して良い。製剤化に当たり、製剤基剤として通常使用されている薬学的に許容される担体、例えば結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、色素、香料が使用できる。該トリアゾール化合物(A)は、上記医薬製剤化され、経静脈投与、経動脈投与、皮下投与、経口投与、経粘膜投与、等の周知の投与経路にて投与する事ができる。
本発明の前記トリアゾール化合物(A)は、薬理活性有効成分をそのまま用いても良く、若しくは製剤基剤と併せて注射剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、散剤等の通常使用されている製剤を調製して使用して良い。製剤化に当たり、製剤基剤として通常使用されている薬学的に許容される担体、例えば結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、色素、香料が使用できる。該トリアゾール化合物(A)は、上記医薬製剤化され、経静脈投与、経動脈投与、皮下投与、経口投与、経粘膜投与、等の周知の投与経路にて投与する事ができる。
次に、本発明における抗腫瘍性白金錯体(B)について説明する。
本発明で用いる抗腫瘍性白金錯体(B)は、悪性腫瘍に対して抗腫瘍効果が期待される白金錯体であれば、特に限定されるものではない。抗腫瘍性白金錯体は、腫瘍細胞の核内でDNAと結合する事により細胞分裂を阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑制する薬剤である。該抗腫瘍性白金錯体としては、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチン、等が知られている。本発明では、これらのシスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチン等をそのまま用いても良く、生体内でこれら抗腫瘍性白金錯体の薬理活性有効成分を遊離するプロドラッグであっても良い。好ましくは、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチンである。更に好ましくは、シスプラチンまたはカルボプラチンである。これらの抗腫瘍性白金錯体は、静脈内投与用製剤として流通しており、この製剤をそのまま用いても良い。
本発明で用いる抗腫瘍性白金錯体(B)は、悪性腫瘍に対して抗腫瘍効果が期待される白金錯体であれば、特に限定されるものではない。抗腫瘍性白金錯体は、腫瘍細胞の核内でDNAと結合する事により細胞分裂を阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑制する薬剤である。該抗腫瘍性白金錯体としては、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチン、等が知られている。本発明では、これらのシスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチン等をそのまま用いても良く、生体内でこれら抗腫瘍性白金錯体の薬理活性有効成分を遊離するプロドラッグであっても良い。好ましくは、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチンである。更に好ましくは、シスプラチンまたはカルボプラチンである。これらの抗腫瘍性白金錯体は、静脈内投与用製剤として流通しており、この製剤をそのまま用いても良い。
本発明において、前記HSP90阻害作用を有するトリアゾール化合物(A)と、前記抗腫瘍性白金錯体(B)を組み合わせた抗腫瘍剤とは、該トリアゾール化合物(A)と該抗腫瘍性白金錯体(B)を1人の患者に投与される使用態様である抗腫瘍剤を表すものである。つまり、該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)を、悪性腫瘍疾患患者に対し併用で処理することを意図するものである。すなわち、1人の患者に、該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)を同時に、または逐次に、または前後して個別に投与することを含む抗腫瘍剤を指す。したがって、該トリアゾール化合物(A)と、前記抗腫瘍性白金錯体(B)を含む抗腫瘍剤の態様として、特に限定されるものではなく、これらが併用で投与できる状態であれば良い。例えば、該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)が別個の製剤であって良い。また該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)を混合して、一体に調製された医薬製剤であっても良い。また別の態様として、該トリアゾール化合物(A)を含む製剤型、及び該抗腫瘍性白金錯体(B)を含む製剤型で、これらを併用使用することを企図したキットであって良い。また、該トリアゾール化合物(A)を含む剤型、及び該抗腫瘍性白金錯体(B)を含む製剤型、並びに前記2つの製剤型を含有する容器を含むキットの態様を挙げる事ができる。
本発明において、該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)は同時投与して用いて良く、該トリアゾール化合物(A)を投与した後、抗腫瘍性白金錯体(B)を投与しても、その逆であっても良い。トリアゾール化合物(A)及び抗腫瘍性白金錯体(B)の前記投与とは、それぞれの薬剤について、単回投与、間歇投与、連日投与、等の医薬品で容認される一般的な投与方法を含むものである。
本発明において、該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)は同時投与して用いて良く、該トリアゾール化合物(A)を投与した後、抗腫瘍性白金錯体(B)を投与しても、その逆であっても良い。トリアゾール化合物(A)及び抗腫瘍性白金錯体(B)の前記投与とは、それぞれの薬剤について、単回投与、間歇投与、連日投与、等の医薬品で容認される一般的な投与方法を含むものである。
本発明において、該トリアゾール化合物(A)及び抗腫瘍性白金錯体(B)のそれぞれの投与量は、適切な臨床試験により抗腫瘍効果と副作用を確認しつつ決められるべきである。好ましくは、該抗腫瘍性白金錯体(B)を至適許容投与量にて、単回、間歇、または連日投与する設定にて、該トリアゾール化合物(A)を適宜用量増量する臨床試験により該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)のそれぞれの投与量設定をすることができる。しかしながら、本発明は該抗腫瘍性白金錯体(B)の抗腫瘍効果の増強を達し得ることから、該抗腫瘍性白金錯体(B)の減量を可能とするものである。したがって、該抗腫瘍性白金錯体(B)の至適投与量は適宜に増減されるべきである。これらの投与量設定方法は、当業者には自明な試験方法であり、適切な臨床試験方法に基づき、その結果によって直接決定することが出来る。
なお、動物を用いた基礎的抗腫瘍試験結果に基づくと、該トリアゾール化合物(A)の1回当たりの投与量は0.1〜1000mgで用いる事が好ましい。一方、該抗腫瘍性白金錯体(B)の1回当たりの投与量は、公知の薬理活性結果に基づき1〜1000mgで用いる事が好ましく、これらを適宜組み合せて用いることができる。特に、該抗腫瘍性白金錯体(B)としてシスプラチンを用いる場合、1回当たりの投与量は10〜150mgであり連日投与、間歇投与することが好ましい。因みに、シスプラチンは臨床使用では、成人に対し静脈内点滴投与で10〜20mg/m2(体表面積当たり)を5日繰り返し、少なくとも2週間休薬する投与用法、または静脈内点滴投与で25〜35mg/m2(体表面積当たり)を1週間毎に投与する用法、若しくは静脈内点滴投与で50〜90mg/m2(体表面積当たり)を投与し3週間以上休薬する投与用法で用いられている。また、該抗腫瘍性白金錯体(B)としてカルボプラチンを用いる場合、1回当たりの投与量は100〜800mgであり間歇投与が好ましい。カルボプラチンは、成人に対し静脈内点滴投与で300〜400mg/m2(体表面積当たり)を投与し、3週間以上休薬する投与用法が臨床推奨投与用法である。該抗腫瘍性白金錯体(B)としてオギザリプラチンを用いる場合、1回当たりの投与量は50〜200mgであり間歇投与することが好ましい。オギザリプラチンの臨床推奨投与用法は、5−フルオロウラシル系抗腫瘍剤との併用において、85mg/m2(体表面積当たり)を静脈内点滴投与して、2週間以上休薬する投与用法である。本発明において、抗腫瘍性白金錯体(B)は、それぞれの臨床推奨投与用量で用いる事が好ましく、推奨投与用量を基準に適宜、増減用量して用いることが好ましい。
なお、動物を用いた基礎的抗腫瘍試験結果に基づくと、該トリアゾール化合物(A)の1回当たりの投与量は0.1〜1000mgで用いる事が好ましい。一方、該抗腫瘍性白金錯体(B)の1回当たりの投与量は、公知の薬理活性結果に基づき1〜1000mgで用いる事が好ましく、これらを適宜組み合せて用いることができる。特に、該抗腫瘍性白金錯体(B)としてシスプラチンを用いる場合、1回当たりの投与量は10〜150mgであり連日投与、間歇投与することが好ましい。因みに、シスプラチンは臨床使用では、成人に対し静脈内点滴投与で10〜20mg/m2(体表面積当たり)を5日繰り返し、少なくとも2週間休薬する投与用法、または静脈内点滴投与で25〜35mg/m2(体表面積当たり)を1週間毎に投与する用法、若しくは静脈内点滴投与で50〜90mg/m2(体表面積当たり)を投与し3週間以上休薬する投与用法で用いられている。また、該抗腫瘍性白金錯体(B)としてカルボプラチンを用いる場合、1回当たりの投与量は100〜800mgであり間歇投与が好ましい。カルボプラチンは、成人に対し静脈内点滴投与で300〜400mg/m2(体表面積当たり)を投与し、3週間以上休薬する投与用法が臨床推奨投与用法である。該抗腫瘍性白金錯体(B)としてオギザリプラチンを用いる場合、1回当たりの投与量は50〜200mgであり間歇投与することが好ましい。オギザリプラチンの臨床推奨投与用法は、5−フルオロウラシル系抗腫瘍剤との併用において、85mg/m2(体表面積当たり)を静脈内点滴投与して、2週間以上休薬する投与用法である。本発明において、抗腫瘍性白金錯体(B)は、それぞれの臨床推奨投与用量で用いる事が好ましく、推奨投与用量を基準に適宜、増減用量して用いることが好ましい。
本発明の抗腫瘍剤は悪性腫瘍疾患の治療に用いられる。本発明による治療に適用される悪性腫瘍は、特に限定されるものではなく、乳癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、直腸結腸癌、非ホジキンリンパ腫、腎細胞癌、前立腺癌、肝細胞癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭部及び頸部の癌、メラノーマ、前立腺癌、卵巣癌、胆管癌、中皮腫、睾丸腫瘍、及び多発性骨髄腫、等広く一般の癌治療に適用することができる。特に、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌、頭頸部癌、乳癌、結腸直腸癌に対する治療に適する。また、シスプラチン、カルボプラチン、またはオギザリプラチン等の抗腫瘍性白金錯体が前治療に用いられ、該前治療薬剤に対する薬剤感受性が低下した非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌、頭頸部癌、乳癌、結腸直腸癌に対しても適用することができる。
本発明の該トリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)を組み合わせた抗腫瘍剤は、更に他の抗腫瘍剤(C)を組み合せて用いる事もできる。他の抗腫瘍剤(C)は特に限定されるものではなく、抗腫瘍剤として認可されている医薬品を用いる事ができる。すなわち、シクロホスファミド、イホスファミド、マイトマイシンC等のアルキル化剤、ドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、アムルビシン等のアントラサイクリン系抗腫瘍剤、エトポシド、エトポシドホスフェート、テニポシド等のエトポシド類、イリノテカン、ノギテカン等のカンプトテシン類、パクリタキセル、ドセタキセル等のタキサン類、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン等のビンカアルカロイド類、5―フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル合剤(UFT)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカルシウム合剤(S−1)、フルツロン、カペシタビン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド等の核酸代謝拮抗剤、メトトレキサート、ペメトレキセド等の葉酸代謝拮抗剤、プレドニゾロン、デキサメタゾン等のステロイド類、エルロチニブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ等のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤、トラスツズマブ、セツキシマブ等の抗EGFR抗体、ベバシズマブ等の抗VEGF抗体を用いることができる。
本発明の特に好ましいトリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)の組み合わせ例を挙げる。
該トリアゾール化合物(A)は、5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)を用いる事が好ましい。
前記(A−1)とシスプラチン(B−1)の組み合わせが好ましく、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌の治療において有効である。すなわち、該(A−1)とシスプラチン(B−1)の各有効用量を投与する事を含む非小細胞肺癌、小細胞肺癌、または卵巣癌の治療方法を提供する事ができる。
また前記(A−1)とカルボプラチン(B−2)の組み合わせも好ましく、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌の治療において有効である。すなわち、該(A−1)とカルボプラチン(B−2)の各有効用量を投与する事を含む非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌の治療方法を提供する事ができる。
若しくは、また前記(A−1)とオギザリプラチン(B−3)の組み合わせも好ましく、結腸直腸癌の治療において有効である。すなわち、該(A−1)とオギザリプラチン(B−2)の各有効用量を投与する事を含む結腸直腸癌の治療方法を提供する事ができる。
該トリアゾール化合物(A)は、5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)を用いる事が好ましい。
前記(A−1)とシスプラチン(B−1)の組み合わせが好ましく、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌の治療において有効である。すなわち、該(A−1)とシスプラチン(B−1)の各有効用量を投与する事を含む非小細胞肺癌、小細胞肺癌、または卵巣癌の治療方法を提供する事ができる。
また前記(A−1)とカルボプラチン(B−2)の組み合わせも好ましく、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌の治療において有効である。すなわち、該(A−1)とカルボプラチン(B−2)の各有効用量を投与する事を含む非小細胞肺癌、小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌の治療方法を提供する事ができる。
若しくは、また前記(A−1)とオギザリプラチン(B−3)の組み合わせも好ましく、結腸直腸癌の治療において有効である。すなわち、該(A−1)とオギザリプラチン(B−2)の各有効用量を投与する事を含む結腸直腸癌の治療方法を提供する事ができる。
本願は、別の観点により前記トリアゾール化合物(A)が、抗腫瘍性白金錯体を用いる癌治療において、該抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強する作用を示す事を見出したことに基づき、該トリアゾール化合物(A)を、抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果増強剤とする新たな用途発明を開示するものである。
また、本願の更に別の観点では、前記トリアゾール化合物(A)を、抗腫瘍性白金錯体と併用で投与する事による抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強する方法を開示するものである。
該トリアゾール化合物(A)により抗腫瘍効果が増強される抗腫瘍性白金錯体は、前述と同義であり、抗腫瘍活性を有する白金錯体であれば特に限定されるものではない。例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチンを挙げることができる。好ましくは、シスプラチン、カルボプラチン、またはオギザリプラチンである。特に好ましくは、シスプラチンまたはカルボプラチンである。
また、本願の更に別の観点では、前記トリアゾール化合物(A)を、抗腫瘍性白金錯体と併用で投与する事による抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強する方法を開示するものである。
該トリアゾール化合物(A)により抗腫瘍効果が増強される抗腫瘍性白金錯体は、前述と同義であり、抗腫瘍活性を有する白金錯体であれば特に限定されるものではない。例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オギザリプラチン、ネダプラチンを挙げることができる。好ましくは、シスプラチン、カルボプラチン、またはオギザリプラチンである。特に好ましくは、シスプラチンまたはカルボプラチンである。
抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果増強を目的に、該トリアゾール化合物(A)を用いるためには、該抗腫瘍性白金錯体を至適許容投与用量で連日または間歇的に投与する設定にて、該トリアゾール化合物(A)の至適用量を単回、間歇、または連日投与をする事により達成される。該抗腫瘍性白金錯体(B)の1回当たりの投与量は、公知の薬理活性結果に基づき1〜1000mgで用いる事が好ましく、これらを適宜組み合せて用いることができる。抗腫瘍性白金錯体(B)としてシスプラチンを用いる場合、成人に対し1回当たりの投与量は10〜150mgであり連日投与、または間歇的投与することが好ましい。因みに、シスプラチンは臨床使用では、成人に対し静脈内点滴投与で10〜20mg/m2(体表面積当たり)を5日繰り返し、少なくとも2週間休薬する投与用法、または静脈内点滴投与で25〜35mg/m2(体表面積当たり)を1週間毎に投与する用法、若しくは静脈内点滴投与で50〜90mg/m2(体表面積当たり)を投与し3週間以上休薬する投与用法で用いられている。カルボプラチンを用いる場合、成人に対し1回当たりの投与量は100〜800mgであり、間歇的に投与することが好ましい。カルボプラチンは、成人に対し静脈内点滴投与で300〜400mg/m2(体表面積当たり)を投与し、3週間以上休薬する投与用法が臨床推奨投与用法である。オギザリプラチンを用いる場合は、成人に対し1回当たりの投与量は50〜200mgであり、間歇的に投与する事が好ましい。オギザリプラチンの臨床推奨投与用法は、5−フルオロウラシル系抗腫瘍剤との併用において、85mg/m2(体表面積当たり)を静脈内点滴投与して、2週間以上休薬する投与用法である。本発明において、抗腫瘍性白金錯体(B)は、それぞれの臨床推奨投与用量で用いる事が好ましく、推奨投与用量を基準に適宜、増減用量して用いることが好ましい。
すなわち本発明によると、抗腫瘍性白金錯体の悪性腫瘍治療において、該トリアゾール化合物(A)を併せて使用する事により、抗腫瘍効果の増強作用が発揮され、より高い治療効果を達成できる。若しくは、抗腫瘍性白金錯体に対する薬剤感受性が低下した悪性腫瘍に対しても、抗腫瘍性白金錯体を用いる薬剤治療に、該トリアゾール化合物(A)を組み合わせることで薬剤感受性を回復させる事ができ、抗腫瘍性白金錯体を用いる薬物治療を長期に継続させることができる。更に、それぞれ抗腫瘍剤の単独使用と同程度の抗腫瘍効果を得る場合において、各々の抗腫瘍剤の用量を相対的に減量することができ、望ましくない薬理作用の発現を抗腫瘍効果に悪影響を及ぼすことなく軽減する事ができる。
本発明の一般式(1)で表されるトリアゾール化合物(A)と抗腫瘍性白金錯体(B)としてカルボプラチン(B−2)を組み合せて用いる事の有用性を実施例にて説明する。
1.供試薬剤
本発明の一般式(1)で表されるトリアゾール化合物(A)として、5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)を用いた。当該(A−1)は、国際公開WO2006/095783号の実施例2−5に開示される製造方法に従い合成した。カルボプラチン(B−2)はカルボプラチン点滴静注液50mg「NK」(日本化薬株式会社販売)を用いた。
カルボプラチン(B−2)を日本薬局方生理食塩液で希釈して投与に供した。トリアゾール(A−1)は日本薬局方ブドウ糖注射液に溶解して投与に供した。
1.供試薬剤
本発明の一般式(1)で表されるトリアゾール化合物(A)として、5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン;(A−1)を用いた。当該(A−1)は、国際公開WO2006/095783号の実施例2−5に開示される製造方法に従い合成した。カルボプラチン(B−2)はカルボプラチン点滴静注液50mg「NK」(日本化薬株式会社販売)を用いた。
カルボプラチン(B−2)を日本薬局方生理食塩液で希釈して投与に供した。トリアゾール(A−1)は日本薬局方ブドウ糖注射液に溶解して投与に供した。
2.移植腫瘍
ヒト卵巣癌細胞株であるA2780を、RPMI1640メディウム中で増殖させた。増殖させたA2780は、1×107個程度をHBSSにて懸濁し、スキッドマウス皮下に注射した。細胞が腫瘍を形成したのち、腫瘍を取り出して腫瘍片を作成し、スキッドマウス皮下へ套管針を用いて移植した。同様の操作で移植を繰り返し、腫瘍を維持させ、移植腫瘍を調製した。
ヒト卵巣癌細胞株であるA2780を、RPMI1640メディウム中で増殖させた。増殖させたA2780は、1×107個程度をHBSSにて懸濁し、スキッドマウス皮下に注射した。細胞が腫瘍を形成したのち、腫瘍を取り出して腫瘍片を作成し、スキッドマウス皮下へ套管針を用いて移植した。同様の操作で移植を繰り返し、腫瘍を維持させ、移植腫瘍を調製した。
3.腫瘍皮下移植マウスによる抗腫瘍試験
スキッドマウスで継代維持したヒト卵巣癌腫瘍であるA2780を、各スキッドマウスの背側部皮下に套管針を用いて移植した。腫瘍体積が概ね250〜350mm3に達したときに、供試薬剤の投与を開始した。腫瘍の計測は,投与開始日から観察期間終了まで週2回行い、腫瘍の長径(L)と短径(W)をノギスを用いて測定した。計測した腫瘍の長径と短径を用いて、腫瘍体積を式(L×W2×1/2)から算出した。
スキッドマウスで継代維持したヒト卵巣癌腫瘍であるA2780を、各スキッドマウスの背側部皮下に套管針を用いて移植した。腫瘍体積が概ね250〜350mm3に達したときに、供試薬剤の投与を開始した。腫瘍の計測は,投与開始日から観察期間終了まで週2回行い、腫瘍の長径(L)と短径(W)をノギスを用いて測定した。計測した腫瘍の長径と短径を用いて、腫瘍体積を式(L×W2×1/2)から算出した。
[試験例1]
ヒト卵巣癌腫瘍A2780皮下移植スキッドマウスをヒト卵巣癌異種移植片モデルとして用いて、本発明に係るトリアゾール化合物(A−1)とカルボプラチン(B−2)を組み合わせた抗腫瘍効果を、各(A−1)、カルボプラチン(B−2)の単独投与による抗腫瘍効果と比較した。
各薬剤の投与量及び用法は、本発明に係るトリアゾール(A−1)は20mg/kgの用量を7日間隔で2回、尾静脈内に投与した。カルボプラチン(B−2)は75mg/kgの用量を7日間隔で2回、尾静脈内に投与した。
各薬剤投与群(3群)に無投与群(コントロール群)を加えて、異種移植片モデル各群5匹にて抗腫瘍試験を行なった。投与開始から14日目における各群腫瘍体積を、無投与群の相対腫瘍体積を100とした相対腫瘍体積(T/C(%))を表1に示した。T/C(%)は、式(投与群相対腫瘍体積/無投与群相対腫瘍体積×100)により算出した。また、投与開始日の腫瘍体積を1とした相対腫瘍体積を算出した経時的腫瘍増殖曲線を図1に示した。
ヒト卵巣癌腫瘍A2780皮下移植スキッドマウスをヒト卵巣癌異種移植片モデルとして用いて、本発明に係るトリアゾール化合物(A−1)とカルボプラチン(B−2)を組み合わせた抗腫瘍効果を、各(A−1)、カルボプラチン(B−2)の単独投与による抗腫瘍効果と比較した。
各薬剤の投与量及び用法は、本発明に係るトリアゾール(A−1)は20mg/kgの用量を7日間隔で2回、尾静脈内に投与した。カルボプラチン(B−2)は75mg/kgの用量を7日間隔で2回、尾静脈内に投与した。
各薬剤投与群(3群)に無投与群(コントロール群)を加えて、異種移植片モデル各群5匹にて抗腫瘍試験を行なった。投与開始から14日目における各群腫瘍体積を、無投与群の相対腫瘍体積を100とした相対腫瘍体積(T/C(%))を表1に示した。T/C(%)は、式(投与群相対腫瘍体積/無投与群相対腫瘍体積×100)により算出した。また、投与開始日の腫瘍体積を1とした相対腫瘍体積を算出した経時的腫瘍増殖曲線を図1に示した。
表1及び図1から明らかなように、投与開始後から14日目においてカルボプラチン(B−2)は無投与群に対して81%の腫瘍増殖抑制をもたらした。また、トリアゾール化合物(A−1)は49%の増殖抑制をもたらした。これに対し、該(A−1)とカルボプラチン(B−2)を組み合わせて投与すると、腫瘍増殖抑制作用が95%と抗腫瘍効果の顕著な増強がもたらされた。以上の結果から、本発明に係るトリアゾール化合物(A)とカルボプラチン(B−2)を組み合わせて投与する薬物治療が、優れた抗腫瘍効果を達成できることが示された。
Claims (9)
- 前記一般式(1)において、Xがエチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、ハロゲン原子である請求項1に記載の抗腫瘍剤。
- 前記一般式(1)において、mが0または1であり、Aがモルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基である請求項1に記載の抗腫瘍剤。
- 前記一般式(1)において、Xがエチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、ハロゲン原子である請求項4に記載の抗腫瘍効果増強剤。
- 前記一般式(1)において、mが0または1であり、Aがモルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基である請求項4に記載の抗腫瘍効果増強剤。
- 前記一般式(1)において、Xがエチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、ハロゲン原子である、請求項7に記載の抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強させる方法。
- 前記一般式(1)において、mが0または1であり、Aがモルホリノ基、4−メチルピペラジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基である、請求項7に記載の抗腫瘍性白金錯体の抗腫瘍効果を増強させる方法。
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