JP2014091647A - Cu2SnS3粒子の製造方法 - Google Patents

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酒井  武信
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朋也 松永
Ryosuke Maekawa
諒介 前川
Yuichiro Takeda
雄一郎 武田
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雄也 草野
Masatsugu Izuno
将貢 泉野
Dae-Kwi Kim
大貴 金
Seiji Takahashi
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Abstract

【課題】組成が均一なCuSnS粒子を製造することが可能な、CuSnS粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを混合することにより混合液を作製する混合液作製工程と、少なくとも、作製した混合液と、硫黄イオン源と、を混合することにより、pHが2以上8以下である前駆体溶液を作製する前駆体溶液作製工程と、作製した前駆体溶液を容器に入れ、前駆体溶液が収容された容器を密閉する密閉工程と、密閉された容器内で水熱合成反応を生じさせる水熱合成反応工程と、を有する、CuSnS粒子の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、CuSnS粒子の製造方法に関する。
太陽電池は、発電量当たりの二酸化炭素排出量が少なく、発電用の燃料が不要という利点を有している。そのため、地球温暖化を抑制するエネルギー源として期待されており、実用化されている太陽電池の中では、単結晶シリコン又は多結晶シリコンを用いた、一組のpn接合を有する単接合太陽電池が主流となっている。このほか、近年では、シリコンに依存しない薄膜太陽電池等についても、盛んに研究が進められている。
薄膜太陽電池は、シリコンの代わりにCu、Sn、及び、S等を光吸収層に使用する太陽電池である。これらは入手しやすく安価であるため、薄膜太陽電池の光吸収層の材料として有望視されている。
薄膜太陽電池に関する技術として、例えば特許文献1には、スパッタリング堆積プロセスによって基板上に堆積させたCuSnS膜を含む太陽電池が開示されている。また、特許文献2には、有機金属、チオ尿素を含有する溶液を超音波処理し、当該超音波処理された溶液を基板上へスプレー塗布し、当該溶液が塗布された基板を加熱する、硫化物半導体(CuInS)の作製方法が開示されている。また、特許文献3には、AgGaS単結晶を水熱合成法により育成する方法が開示されている。また、非特許文献1には、スパッタリング法によりCuSnS膜を基板上に堆積させる方法が開示されている。
特表2011−513595号公報 特開2007−189019号公報 特開平11−29400号公報
エイアイピー カンファレンス プロシーディングス(AIP Conference Proceedings)、第1349巻、p.1295−1296
特許文献1や非特許文献1に開示されている技術によれば、太陽電池に利用可能なCuSnS(以下において、「CTS」ということがある。)膜を製造することが可能になると考えられる。しかしながら、これらの技術ではスパッタリング法でCTS膜を製造しているため、CTS膜の厚さを均一にすることが困難であり、膜の厚さ方向に均一な組成のCTS膜を製造することも困難である。また、これらの技術で作製したCTS膜は緻密度が低い。このほか、スパッタリング法には、粒成長が遅い、材料の利用効率が低い、装置が高価であるといった課題を有している。これらの課題を解決するためには、スパッタリング法とは異なる方法で組成が均一なCTS粒子を作製し、このCTS粒子を用いてCTS膜を形成することが有効と考えられる。しかしながら、特許文献2や特許文献3に開示されている技術を用いても、組成が均一なCTS粒子を製造することは困難であった。
そこで本発明は、組成が均一なCuSnS粒子を製造することが可能な、CuSnS粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、Cuイオン源とSnイオン源とSイオン源とを含む、pHが2以上8以下である前駆体溶液を用いて、水熱合成反応でCTS粒子を合成することによって、組成が均一であるCTS粒子の製造が可能になることを知見した。本発明は、当該知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明は、少なくとも、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを混合することにより混合液を作製する混合液作製工程と、少なくとも、作製した混合液と、硫黄イオン源と、を混合することにより、pHが2以上8以下である前駆体溶液を作製する前駆体溶液作製工程と、作製した前駆体溶液を容器に入れ、前駆体溶液が収容された容器を密閉する密閉工程と、密閉された容器内で水熱合成反応を生じさせる水熱合成反応工程と、を有することを特徴とする、CuSnS粒子の製造方法である。
pHが2以上8以下に制御された、配位子を含む前駆体溶液を用いて、水熱合成法によりCuSnS粒子を合成する形態とすることにより、表面に配位子を配位させた銅イオン及び錫イオンと硫黄イオンとを結合させることが可能になり、且つ、不純物であるSnOの生成を防止することが可能になる。したがって、かかる形態とすることにより、組成が均一なCTS粒子(CuSnS粒子)を作製することが可能になる。
また、上記本発明において、少なくとも、混合液作製工程、前駆体溶液作製工程、及び、密閉工程が、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。かかる形態とすることにより、不純物である酸素の含有量を低減させたCuSnS粒子を製造しやすくなる。
また、上記本発明において、混合液作製工程で、さらに、pH調整物質を用いて、混合液を作製しても良い。ここで、混合液作製工程で使用可能な「pH調整物質」としては、アンモニア水等を例示することができる。かかる形態であっても、組成が均一なCuSnS粒子を作製することが可能である。
また、上記本発明において、前駆体溶液作製工程で、さらに、pH調整物質を用いて、pHが2以上8以下である前駆体溶液を作製しても良い。ここで、前駆体溶液作製工程で使用可能な「pH調整物質」としては、HCl水溶液等を例示することができる。かかる形態であっても、組成が均一なCuSnS粒子を作製することが可能である。
本発明によれば、組成が均一なCuSnS粒子を製造することが可能な、CuSnS粒子の製造方法を提供することができる。
本発明にかかるCTS粒子の製造方法の形態例を説明する図である。 実施例1の方法で合成したCTS粒子のX線回折測定結果を示す図である。 実施例2の方法で合成したCTS粒子のX線回折測定結果を示す図である。 比較例1の方法で合成した粒子のX線回折測定結果を示す図である。 比較例2の方法で合成した粒子のX線回折測定結果を示す図である。 実施例1の方法で合成したCTS粒子の透過型電子顕微鏡観察結果を示す図である。 実施例2の方法で合成したCTS粒子の透過型電子顕微鏡観察結果を示す図である。 比較例1の方法で合成した粒子の透過型電子顕微鏡観察結果を示す図である。 比較例2の方法で合成した粒子の透過型電子顕微鏡観察結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
図1は、本発明にかかるCuSnS粒子の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」ということがある。)の形態例を説明する図である。図1に示したように、本発明の製造方法は、混合液作製工程(S1)と、前駆体溶液作製工程(S2)と、密閉工程(S3)と、水熱合成反応工程(S4)と、洗浄工程(S5)と、乾燥工程(S6)と、を有している。
混合液作製工程(以下において、「S1」ということがある。)は、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを混合して、これらを含む混合液を作製する工程である。S1では、例えば、水に溶けて銅イオンを発生させる物質を銅イオン源として用いることができ、水に溶けて錫イオンを発生させる物質を錫イオン源として用いることができる。S1は、例えば、配位子を添加した水へ、水に溶けて銅イオンを発生させる物質、及び、水に溶けて錫イオンを発生させる物質を添加して攪拌し、必要に応じてpH調整用の物質(例えばアンモニア水等)を添加してpHを調整することにより、混合液を作製する形態、とすることができる。このほか、S1は、水に溶けて銅イオンを発生させる物質(銅イオン源)及び配位子を水に添加して攪拌することにより銅源を作製し、さらに、水に溶けて錫イオンを発生させる物質(錫イオン源)及び配位子を水に添加して錫源を作製した後、銅源、及び、錫源を混合して攪拌し、必要に応じてpH調整用の物質(例えばアンモニア水等)を添加してpHを調整することにより、混合液を作製する形態、とすることも可能である。
S1で使用可能な、水に溶けて銅イオンを発生させる物質(銅イオン源)としては、例えば、塩化銅(I)、塩化銅(II)、塩化銅(II)二水和物、硫化銅(I)、硫化銅(II)、硫化銅(II)一水和物、硫化銅(II)三水和物、硫化銅(II)五水和物、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、臭化銅(I)、硫酸銅(I)、硫酸銅(II)、及び、硝酸銅(II)等を挙げることができる。
また、S1で使用可能な、水に溶けて錫イオンを発生させる物質(錫イオン源)としては、例えば、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、塩化錫(II)二水和物、塩化錫(IV)五水和物、硫化錫(II)、硫化錫(IV)、酢酸錫(II)、酢酸錫(IV)、臭化錫(II)、臭化錫(IV)、硫酸錫(II)、硫酸錫(IV)、硝酸錫(II)、及び、硝酸錫(IV)等を挙げることができる。
また、S1で使用可能な、イオン同士の結合反応を抑制する配位子としては、例えば、メルカプト酢酸(TGA)、2−メルカプトエタノール(TG)、メルカプトプロピオン酸(MPA)、L−システイン(LCS)、チオ乳酸(TLA)、メルカプトこはく酸(MSA)、及び、2−メルカプトエチルアミン(MA)からなる群より選択される少なくとも1種類以上を挙げることができる。これらの配位子は、硫黄(S)の部分が水に溶けているカチオンに配位することにより、反応速度をコントロールすることが可能である。
前駆体溶液作製工程(以下において、「S2」ということがある。)は、少なくとも、硫黄イオン源と、S1で作製した混合液とを混合することにより、pHが2以上8以下である前駆体溶液を作製する工程である。すなわち、前駆体溶液には、銅イオン源と、錫イオン源と、配位子と、硫黄イオン源とが含まれる。S2では、例えば、水に溶けて硫黄イオンを発生させる物質を硫黄イオン源として用いることができる。S2は、例えば、水に溶けて硫黄イオンを発生させる物質を水に添加して攪拌し、さらに必要に応じてpH調整物質(例えばHCl水溶液等)を添加してpHを調整した液体を、S1で作製した混合液へと加え、攪拌することにより、銅イオンに配位子を配位させた銅イオン源と、錫イオンに配位子を配位させた錫イオン源と、硫黄イオンとを含む前駆体溶液を作製する工程、とすることができる。S2で使用可能な、水に溶けて硫黄イオンを発生させる硫黄イオン源としては、例えば、硫化ナトリウム、硫化ナトリウム五水和物、硫化ナトリウム九水和物、硫化アンモニウム、チオアセトアミド、及び、チオウレア(チオ尿素)等を挙げることができる。
密閉工程(以下において、「S3」ということがある。)は、S2で作製した前駆体溶液を容器に入れ、容器を密閉する工程である。S3で前駆体溶液を入れる容器は、後述する水熱合成反応工程における水熱合成反応の圧力に耐え得る公知の耐圧容器を適宜用いることができる。
水熱合成反応工程(以下において、「S4」ということがある。)は、S3で密閉された容器内で水熱合成反応を生じさせる工程である。S4で水熱合成反応を生じさせることにより、CTS粒子を合成する。S4において、水熱合成反応の温度は、組成が均一なCTS粒子を合成可能な温度であれば特に限定されない。S4における水熱合成反応の温度は、例えば、70℃以上180℃以下とすることができる。また、S4において、水熱合成反応の時間は、前駆体溶液に含まれているカチオンやアニオンの濃度に応じて適宜変更することができ、組成が均一なCTS粒子を合成可能な時間であれば特に限定されない。S4における水熱合成反応の時間は、例えば、5分以上72時間以下とすることができる。
洗浄工程(以下において、「S5」ということがある。)は、S4の後に、容器内に含まれている不要な物質を除去する工程である。S5は、例えば、フィルターを備えた加圧ろ過器にS4終了後の液体を投入し、加圧ろ過することで上澄み液を破棄した後、アセトンを投入して加圧ろ過することでフィルター上の粒子を洗浄する工程、とすることができる。
乾燥工程(以下において、「S6」ということがある。)は、S5の後に、CTS粒子を乾燥する工程である。S6は、例えば、洗浄後の粒子(CTS粒子)を所定の温度環境下で乾燥する工程、とすることができる。
本発明の製造方法では、例えばS1乃至S6を経ることにより、直径が数nm以上数百nm以下であるCTS粒子を製造することができる。本発明の製造方法では、銅イオン、及び、錫イオンの表面に配位子を配位させたものと硫黄イオンとを水熱合成反応させることにより、CTS粒子を製造する。このようにして反応させる前駆体溶液のpHを2以上8以下に制御することにより、不純物であるSnOの生成を防止することが可能になる。また、水熱合成反応を用いることにより、固相合成の場合と比較して、反応時に必要な熱を大幅に低減することができる。さらに、固相合成よりも低温で反応させることにより、組成の均一化を図りやすくなる。加えて、水熱合成反応を用いる形態とすることにより、真空装置を用いずに半導体粒子を製造することができるので、真空装置を用いる形態と比較して、CTS粒子を安価で安全に製造することができる。したがって、本発明によれば、組成が均一であるCTS粒子を製造することが可能な、CTS粒子の製造方法を提供することができる。本発明で製造したCTS粒子は、ペースト印刷法等によって、容易に光電変換素子(太陽電池や光検出素子等)へと応用することが可能になる。
本発明において、製造されるCTS粒子の形状は特に限定されない。CTS粒子は、例えば、球状、コイン状、扁平形状、多角形形状等を採り得る。
本発明の製造方法に関する上記説明では、攪拌して前駆体溶液を作製するS2を例示したが、本発明の製造方法は当該形態に限定されない。ただし、CTS粒子の収率を高めやすい形態にする等の観点からは、攪拌して前駆体溶液を作製する形態の前駆体溶液作製工程を有することが好ましい。
また、本発明の製造方法において、水熱合成反応時の攪拌の有無は特に限定されない。本発明の製造方法は、攪拌しながら水熱合成反応を生じさせる水熱合成反応工程を有する形態とすることも可能である。
また、本発明の製造方法において、混合液作製工程、前駆体溶液作製工程、及び、密閉工程を行う環境は、特に限定されない。ただし、酸素含有量が少なく光吸収層の性能を高めやすいCTS粒子を製造しやすい形態にする等の観点からは、少なくとも混合液作製工程、前駆体溶液作製工程、及び、密閉工程を不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。ここで、不活性ガス雰囲気下としては、アルゴンガス雰囲気下、窒素ガス雰囲気下、ヘリウムガス雰囲気下等を例示することができる。
また、本発明の製造方法において、混合液作製工程で使用される水や前駆体溶液作製工程で使用され得る水の形態は、特に限定されない。ただし、酸素含有量が少なく光吸収層の性能を高めやすいCTS粒子を製造しやすい形態にする等の観点からは、溶存酸素が除去された水を用いることが好ましい。
また、本発明の製造方法において、混合液作製工程で混合される銅イオン源、及び、錫イオン源の混合比率(モル比)は特に限定されない。ただし、CTS粒子の収率を高めやすい形態にする等の観点からは、モル比が、銅イオン源:錫イオン源=2:1となる量の各イオン源を用いて混合液を作製する形態の、混合液作製工程とすることが好ましい。
また、本発明の製造方法において、混合液作製工程の原料として用いられる各イオン源の種類(塩化物、塩化物の水和物、硫化物、硫化物の水和物、酢酸化合物、臭化物、硫酸化合物、硝酸化合物等の数)は、特に限定されない。例えば、水に溶けて銅イオンを発生させる銅イオン源として塩化銅(I)を用いた場合、水に溶けて錫イオンを発生させる錫イオン源は、塩化物や塩化物の水和物であっても良く、塩化物や塩化物の水和物以外の形態であっても良い。本発明における混合液作製工程は、イオン源として、例えば、塩化銅(I)と硫化錫(IV)とを用いる形態とすることも可能と考えられる。ただし、容器内に含まれている不要な物質を除去しやすい形態の洗浄工程とすることにより、CTS粒子の製造効率を高めやすい形態にする等の観点からは、容器内に含まれる不要な物質が水溶性の物質になるようなイオン源を用いることが好ましい。
また、本発明の製造方法において、前駆体溶液作製工程で作製された前駆体溶液に含有されている、銅イオン源、錫イオン源、及び、硫黄イオンの比率(モル比)は特に限定されない。ただし、CTS粒子の収率を高めやすい形態にする等の観点からは、モル比が、銅イオン源:錫イオン源:硫黄イオン源=2:1:3となるように、混合液と硫黄イオン源とを混合して前駆体溶液を作製する形態の、前駆体溶液作製工程とすることが好ましい。
以下に、実施例及び参考例を示して本発明についてさらに具体的に説明する。
1.CTS粒子の作製
<実施例1>
銅イオン源として塩化銅(II)二水和物(CuCl・2HO、関東化学株式会社製)、錫イオン源として塩化錫(IV)五水和物(SnCl・5HO、関東化学株式会社製)を、配位子としてメルカプト酢酸(キシダ化学株式会社製)、硫黄イオン源として硫化ナトリウム九水和物(NaS・9HO、キシダ化学株式会社製)を用い、以下の手順でCTS粒子を製造した。
(1)水からの溶存酸素の除去
イオン交換水を窒素ガスで約30分間に亘ってバブリングすることにより、イオン交換水に含まれている溶存酸素を除去した。
(2)混合液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水100mlにメルカプト酢酸を96mmol入れ、攪拌した。その後、メルカプト酢酸水溶液に、CuCl・2HOを3.2mmol、SnCl・5HOを1.6mmol加えて攪拌することにより、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを含む混合液を作製した。この混合液のpHは1であり、この混合液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(3)硫黄源溶液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水20mlにNaS・9HOを8mmol入れて攪拌し、HCl水溶液を加えて溶液のpHを7に調整することにより、硫黄源溶液を作製した。硫黄源溶液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(4)前駆体溶液の作製
上記(2)の溶液に上記(3)の溶液を加えて攪拌することにより、前駆体溶液を作製した。この前駆体溶液のpHは2であった。
(5)密閉
上記(4)で作製した前駆体溶液を耐圧容器(ステンレス鋼製又はガラス製)に入れて、該耐圧容器を密閉し、窒素ガスで約30分間に亘ってバブリングした。
(6)水熱合成反応
耐圧容器を恒温機に入れて加熱し、水熱合成反応を生じさせた。加熱条件は、2時間で室温から180℃まで昇温した後、180℃で12時間に亘って保持した。当該12時間経過後の降温は徐冷とした。
(7)洗浄
フィルターを備えた加圧ろ過器に、徐冷した上記(6)の液体を投入し、加圧ろ過することで上澄み液を廃棄した。その後、加圧ろ過器にアセトンを投入し、加圧ろ過することにより、フィルター上の粒子を洗浄した。
(8)乾燥
上記(7)の洗浄終了後に、80℃〜100℃で乾燥することにより、粒子(実施例1のCTS粒子)を得た。
<実施例2>
(2)混合液の作製、(3)硫黄源溶液の作製、及び、(4)前駆体溶液の作製以外は、上記実施例1と同様にして、粒子(実施例2のCTS粒子)を作製した。実施例1と異なる条件を以下に説明する。
(2a)混合液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水100mlにメルカプト酢酸を96mmol入れ、攪拌した。その後、メルカプト酢酸水溶液に、CuCl・2HOを3.2mmol、SnCl・5HOを1.6mmol加えて攪拌することにより、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを含む混合液を作製した。その後、この混合液にNH水溶液を加えることにより、混合液のpHを8に調整した。なお、混合液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(3a)硫黄源溶液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水20mlにNaS・9HOを8mmol入れて攪拌し、HCl水溶液を加えて溶液のpHを8に調整することにより、硫黄源溶液を作製した。硫黄源溶液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(4a)前駆体溶液の作製
上記(2a)の溶液に上記(3a)の溶液を加えて攪拌することにより、前駆体溶液を作製した。この前駆体溶液のpHは8であった。
<比較例1>
(2)混合液の作製、(3)硫黄源溶液の作製、及び、(4)前駆体溶液の作製以外は、上記実施例1と同様にして、粒子(比較例1の粒子)を作製した。実施例1と異なる条件を以下に説明する。
(2b)混合液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水100mlにメルカプト酢酸を96mmol入れ、攪拌した。その後、メルカプト酢酸水溶液に、CuCl・2HOを3.2mmol、SnCl・5HOを1.6mmol加えて攪拌することにより、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを含む混合液を作製した。その後、この混合液にNH水溶液を加えることにより、混合液のpHを7に調整した。なお、混合液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(3b)硫黄源溶液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水20mlにNaS・9HOを8mmol入れて攪拌することにより、硫黄源溶液を作製した。この硫黄源溶液のpHは13であった。硫黄源溶液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(4b)前駆体溶液の作製
上記(2b)の溶液に上記(3b)の溶液を加えて攪拌することにより、前駆体溶液を作製した。この前駆体溶液のpHは9であった。
<比較例2>
(2)混合液の作製、(3)硫黄源溶液の作製、及び、(4)前駆体溶液の作製以外は、上記実施例1と同様にして、粒子(比較例2の粒子)を作製した。実施例1と異なる条件を以下に説明する。
(2c)混合液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水100mlにメルカプト酢酸を96mmol入れ、攪拌した。その後、メルカプト酢酸水溶液に、CuCl・2HOを3.2mmol、SnCl・5HOを1.6mmol加えて攪拌することにより、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水とを含む混合液を作製した。その後、この混合液にNH水溶液を加えることにより、混合液のpHを9に調整した。なお、混合液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(3c)硫黄源溶液の作製
上記(1)で溶存酸素を除去したイオン交換水20mlにNaS・9HOを8mmol入れて攪拌することにより、硫黄源溶液を作製した。この硫黄源溶液のpHは13であった。硫黄源溶液の調製は、窒素ガスでバブリングしながら実施した。
(4c)前駆体溶液の作製
上記(2c)の溶液に上記(3c)の溶液を加えて攪拌することにより、前駆体溶液を作製した。この前駆体溶液のpHは11であった。
2.構造解析
得られた粒子(実施例1のCTS粒子、実施例2のCTS粒子、比較例1の粒子、及び、比較例2の粒子)を560℃の窒素雰囲気で0.5時間に亘って焼成した後、X線回折装置(RINT−TTR III、株式会社リガク製)を用いて測定することにより、構造を解析した。実施例1のCTS粒子のX線回折測定結果を図2に、実施例2のCTS粒子のX線回折測定結果を図3に、比較例1の粒子のX線回折測定結果を図4に、比較例2の粒子のX線回折測定結果を図5に、それぞれ示す。
3.TEM観察
得られた粒子(実施例1のCTS粒子、実施例2のCTS粒子、比較例1の粒子、及び、比較例2の粒子)を、透過型電子顕微鏡(Tecnai Gz F30、FEI社製)を用いて観察した。実施例1のCTS粒子の観察結果(写真)を図6に、実施例2のCTS粒子の観察結果(写真)を図7に、比較例1の粒子の観察結果(写真)を図8に、比較例2の粒子の観察結果(写真)を図9に、それぞれ示す。
4.結果
図2及び図3に示したように、実施例1のCTS粒子及び実施例2のCTS粒子からは、CTS以外の不純物のピークは確認されなかったが、図4及び図5に示したように、比較例1の粒子及び比較例2の粒子からは、CTSのピークのほかに、不純物であるSnOのピークが確認された。したがって、pHが9以上である前駆体溶液を用いてCTS粒子を作製すると、CTSの純度が低下することが確認された。
また、図6乃至図9に示したように、実施例1のCTS粒子、実施例2のCTS粒子、比較例1の粒子、及び、比較例2の粒子は、何れも、直径が数nm以上数十nm以下であった。
以上より、本発明によれば、組成が均一なCuSnS粒子を製造することが可能であった。

Claims (4)

  1. 少なくとも、銅イオン源と、錫イオン源と、イオン同士の結合反応を抑制する配位子と、水と、を混合することにより混合液を作製する混合液作製工程と、
    少なくとも、作製した前記混合液と、硫黄イオン源と、を混合することにより、pHが2以上8以下である前駆体溶液を作製する前駆体溶液作製工程と、
    作製した前記前駆体溶液を容器に入れ、前駆体溶液が収容された前記容器を密閉する密閉工程と、
    密閉された前記容器内で水熱合成反応を生じさせる水熱合成反応工程と、
    を有することを特徴とする、CuSnS粒子の製造方法。
  2. 少なくとも、前記混合液作製工程、前記前駆体溶液作製工程、及び、前記密閉工程が、不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項1に記載のCuSnS粒子の製造方法。
  3. 前記混合液作製工程において、さらに、pH調整物質を用いて、混合液を作製する、請求項1又は2に記載のCuSnS粒子の製造方法。
  4. 前記前駆体溶液作製工程において、さらに、pH調整物質を用いて、pHが2以上8以下である前駆体溶液を作製する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のCuSnS粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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