JP2014091306A - 画像処理装置、および画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加減速中に記録を行うことによる濃度ムラを抑制すること。
【解決手段】記録媒体上の画像が形成される各領域について画像を形成する時の記録ヘッダと記録媒体との相対速度を取得する。記録媒体上の画像が形成される各領域の出力画素信号を相対速度と画像データの画素信号とから導出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、特にインクジェット方式の画像出力技術に関する。
文字や画像などを記録紙やフィルムなどのシート状の記録媒体に記録する記録装置の一例として、記録媒体に記録剤(色材)を付着して、記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置が存在する。カラー出力が可能なインクジェット記録装置は、複数のインクを色材として備え、記録ヘッドの記録素子によりインクの小滴(以下、インク滴)を吐出して、記録媒体にインクを付着することにより文字や画像を記録する。
一般的なインクジェット記録装置の形態としては、シリアル方式とラインヘッド方式の2つの方式が存在する。シリアル方式は記録媒体上を横切るように記録ヘッドを移動させつつインク滴の吐出を行う主走査と、主走査と直交する方向に記録媒体を移動させる副走査とを交互に実施することで記録媒体上の所定の範囲への画像の記録を行う。一方、ラインヘッド方式は記録媒体の全幅に同時にインク滴を吐出可能な幅をもつ記録ヘッドを使用し、固定された記録ヘッドの下で記録媒体を一方向に移動させつつインク滴を吐出することで所定の範囲への画像の記録を行う。
いずれの方式においても、記録ヘッダと記録媒体との相対速度が変化している状態で記録を行うとインク滴の記録媒体上への着弾位置やインク滴のサイズが変動し、記録画像に濃度ムラが発生する原因となる。そのため、記録ヘッドと記録媒体が定速で相対移動している状態で記録を行うのが一般的である。
これに対し、シリアル方式においてヘッドの加減速中に着弾精度を劣化させずに記録を行うための技術が知られている。このような技術は記録媒体の外側で加減速を行うことによるタイムロスの発生や、プリンタ内に記録媒体の幅より広い空間が必要となることを防ぐことを目的としている。
例えば特許文献1には、記録ヘッドの加減速中に記録素子に与える吐出信号の電圧を変化させることで、インク滴のサイズを一定に保つ技術が開示されている。特許文献2には、記録ヘッドの速度が定速より遅い場合に、吐出タイミングを速度に応じて遅延させることで着弾位置のズレを抑える技術が開示されている。
また、ラインヘッド方式のプリンタでロール紙を用いて高速印刷を行う場合、ロール紙の加減速に時間がかかるため、加減速中の記録を行わないとロール紙の多くの部分が空走し無駄となってしまう問題がある。これはより大型で重量のあるロール紙を使用した場合や、ロール紙の紙送り速度が向上した場合に特に顕著になる。重量や最高速度の増加によって、加速による空走距離が長くなるためである。
特開2010−36447号公報 特開2004−58543号公報
しかしながら、特許文献1および2で開示されている技術では、加減速中の印字で着弾位置やインク滴のサイズが変化することを抑制することは可能であるが、単位時間に単位面積に着弾するインク滴の量が変化することを抑制することは困難であった。単位時間に単位面積に着弾するインク滴の量が変化する場合、インクの記録媒体への浸透挙動が変化し、濃度ムラを発生する原因となる。
また、ラインヘッド方式のプリンタを使用した場合についても、同様に加減速中の印字で単位時間に単位面積に着弾するインク滴の量が変化することにより濃度ムラが発生する問題がある。
本発明は、加減速中に記録を行うことによる濃度ムラを抑制した画像処理方法を提供することを目的とする。
本発明に係る画像処理装置は、記録媒体上に画像を形成する記録手段と、画像データを入力する入力手段と、前記記録媒体上の画像が形成される各領域について画像を形成する時の前記記録手段と前記記録媒体との相対速度を取得する取得手段と、前記記録媒体上の画像が形成される各領域の出力画素信号を前記相対速度と前記画像データの画素信号とから導出する導出手段と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、加減速中に記録を行うことによる濃度ムラを抑制した画像を形成することが可能となる。
第1の実施形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。 第1の実施形態における画像処理方法の論理構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態におけるガンマ補正テーブルの一例を示した図である。 第1の実施形態におけるガンマ補正テーブル生成用のパッチ画像の一例を示した模式図である。 第1の実施形態におけるガンマ補正テーブル生成処理の流れの一例を示すフローチャート図である。 第1の実施形態におけるガンマ補正処理の流れの一例を示すフローチャート図である。 第2の実施形態における画像処理方法の論理構成の一例を示すブロック図である。 第2の実施形態におけるガンマ補正テーブル生成用のパッチ画像の一例を示した模式図である。 第2の実施形態における画像形成処理の流れの一例を示すフローチャート図である。 第2の実施形態における印刷手順の一例を示した図である。 第2の実施形態におけるガンマ補正処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施の形態は本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、また以下の実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明を構成する上で必須のものとは限らない。
<<第1の実施形態>>
以下、本発明にかかる第1の実施形態の画像形成装置および画像処理装置、並びに画像処理方法について図面を参照して詳細に説明する。
<画像形成装置および画像形成方法>
まず、本実施形態の画像形成装置の構成例および画像処理方法について、図1から図3を参照して説明する。図1は、本実施形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
本実施形態における画像形成装置は、画像処理装置101、マウスやキーボード等の入力デバイス107、ディスプレイ108、プリンタ109、濃度測定装置110で構成される。
102から106は画像処理装置101の構成要素である。画像処理装置101は、メインバス102、CPU103、メインメモリ104、HDDやSSD等のデータ保存部105、外部のデバイスやネットワーク等に接続可能なインターフェイス部106を有する。
また、入力デバイス107、ディスプレイ108、プリンタ109、濃度測定装置110はインターフェイス部106を介して外部デバイスとして画像処理装置101に接続される。
本実施形態におけるプリンタ109は、記録媒体に対面した記録ヘッダを反復して移動させる方式のプリンタを用いるものとする。具体的には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の色材として顔料を含む基本色インク4種によって印刷を行うシリアル方式のカラーインクジェットプリンタを用いるものとする。また、記録時の記録ヘッドの最高速度は1m/sであるものとする。
濃度測定装置110は、プリンタ109で印字されたパッチ画像の光学的な濃度を測定することが可能な装置である。
また本実施形態例において、画像処理は上述した画像処理装置101のハードウェア構成における汎用OS上で動作するプリンタドライバ上で実現される。なお、本実施形態における汎用OS、並びにプリンタドライバは、公知の技術によって達成可能なソフトウェアプログラムによって実現可能である。よって、プリンタドライバが汎用OS上で動作する詳細については、説明を省略する。
図2は、本実施形態にかかる画像処理方法の論理構成の一例を示すブロック図である。プリンタドライバ201は画像処理装置101上で動作し、プリンタ109を制御する。アプリケーション202はプリンタ109で出力する画像を閲覧あるいは加工する。
カラーマッチング処理部203は、アプリケーション202から入力されたsRGB規格のR、G、B値の画像データを、プリンタ109によって再現される色域のR、G、B値に変換する。本実施形態では、この処理は3次元LUTに補間演算を併用して行う。
色分解処理部204は、カラーマッチング処理部203で変換がなされた画像データのR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した色分解データのC、M、Y、K値を求める処理を行う。本実施形態では、この処理はカラーマッチング処理と同様3次元LUTに補間演算を併用して行う。出力は各色8ビットで、C、M、Y、K各色の記録媒体上での濃度に対応した値が出力される。
走査範囲取得部205は、各主走査における記録ヘッド214の走査範囲を導出する。具体的には色分解処理されたCMYK画像データと、記録媒体上でのレイアウト情報や、記録ヘッド214のノズル幅とノズル配置、双方向印字の有無、マルチパス印字のパス数等の印刷モード情報から走査範囲を導出する。ここでは、画像を記録する際に実行される全ての主走査の走査範囲を導出する。マルチパス記録とはインクジェット出力において複数回の走査(パス)で画像を記録する方法であり、ノズル特有のばらつきや記録媒体の搬送精度のばらつき等を低減させる効果がある。
相対速度導出部206は、走査範囲取得部205で導出された各主走査の走査範囲から、各画素、各インク色における記録時の記録ヘッド214と記録媒体との相対速度を導出する。本実施形態においては、記録が行われる主走査時には記録媒体は固定されているため、記録ヘッド214の移動速度を相対速度として使用する。
プリンタドライバ201にはあらかじめ記録ヘッド214の加速度、減速度が記憶されている。相対速度導出部206は各主走査の走査範囲について、一方の端で停止した状態から加速しつつ走査を開始し、中間部は定速で走査し、減速しつつ他方の端で停止する場合の各画素における記録ヘッドの速度を算出する。各画素の相対速度は0m/sから1m/sに対応した各色8ビットの値Vc、Vm、Vy、Vkとして出力される。
マルチパス印字や双方向印字等によってある画素に対し複数回の走査が行われる場合、相対速度導出部206は相対速度の代表値をVc、Vm、Vy、Vkとして出力する。本実施形態においては、対象の画素に対し主走査を行う全てのパスの相対速度の平均値を代表値として使用する。双方向印字が行われる場合、往復方向の区別はせず、スカラー量としての相対速度をもとに平均値の算出を行う。
ガンマ補正処理部207は、色分解処理部204で生成されたC,M,Y,K値を、実際に使用するインク量を示す8ビットのC’,M’,Y’,K’値に変換する。この処理はインク色ごとに、入力C,M,Y,K値と相対速度Vc、Vm、Vy、Vk値とを入力とした2次元LUT(以下、ガンマ補正テーブル)に補間演算を併用して行う。
図3(a)は、本実施形態において使用されるガンマ補正テーブルの一例を示した図である。ガンマ補正テーブルはインク色ごとに用意される。例えばシアンのガンマ補正テーブルであれば、ある画素についてのシアンの入力インク値Cと相対速度Vcとを入力パラメータとして使用する。図3(a)のテーブルは入力インク値を17値、相対速度を4値に区切った68の格子点についてデータを保持しており、三角補間によって任意の入力パラメータに対するシアンの出力インク値C’を算出する。図3(b)は、図3(a)の入力インク値と出力インク値の関係を相対速度ごとにプロットした図である。
ハーフトーニング部208は、入力された8ビットデータを9値の4ビットデータへ階調変換する処理として、例えば周知の誤差拡散法を用いる。なお、本実施形態に適用可能な変換処理は誤差拡散法に限られるものではなく、例えばディザマトリックスを用いた閾値処理を行ってもよい。さらに、各インクの打ち込み量の4ビットデータ間に何らかの補完関係、相関関係を持たせるような処理であってもよい。
印刷データ生成部209は、ハーフトーニングを施した画像データを所定の体裁に整え、実際にプリンタ109に入力するための印刷データ(出力画素信号)を生成する。
パッチ出力部210は、後述するガンマ補正テーブルを生成するための8ビットデータのパッチ画像を出力する際、ハーフトーニング部208の出力に相当するパッチ画像の4ビットCMYKデータを印刷データ生成部209へ供給する。
尚、上記ハーフトーニング部208および印刷データ生成部209の説明においては、各々の処理がホスト装置にインストールされたプリンタドライバによって処理されることを前提に説明してきたが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えばハーフトーン処理がプリンタ109内部で処理される構成であっても本実施形態の効果は同等に得られるものである。
ドット配置パターン化処理部211は印刷データ生成部209で生成された9値のC,M,Y,K値から、記録媒体上の微小領域ごとにインクドットを記録するか否かの2値情報を生成する。本実施形態においては入力画素の1画素の範囲を8つのエリアに分割し、その画素の階調値に対応したドットのON/OFFパターンの割り当てを行う。以上説明したドット配置パターン化処理を終了した段階で、記録媒体に対するドットの配置パターンが全て決定される。
マスクデータ変換処理部212は、ドット配置パターン化処理部211が生成したドットの配列パターンに所定のマスクデータを適用することにより、マルチパス記録における各走査のドットの記録パターンの決定を行う。
ヘッド駆動回路213は、マスクデータ変換処理部212が生成した各走査のドットの記録パターンに基づき、記録ヘッド214を制御するための駆動信号を生成する。記録ヘッド214は駆動信号に基づき、実際に記録媒体上へ各インクの記録を行う。
<ガンマ補正テーブルの生成>
続いてガンマ補正処理部207で使用するガンマ補正テーブルの生成方法について、図4および図5を参照し詳細に説明する。
図4は、本実施形態においてガンマ補正テーブルを生成するために使用されるパッチ画像の一例を示した模式図である。図4に示されているパッチ画像はCMYKいずれか1色に対応するものであり、実際には各色に対応した4通りのパッチ画像が使用される。以下の説明では、簡便のためシアンのガンマ補正テーブルを生成するためのパッチ画像を例にとり説明を行う。
記録媒体401上の矩形は各パッチを示しており、矩形中の数字は各パッチに記録されるインク量C’を示している。
パッチは402から405の4つのグループにわかれており、各グループはインク量C’=0からC’=255の17個のパッチにより構成されている。各グループのパッチは異なる相対速度で記録される。本実施形態においてはパッチグループ402が0.25m/s、パッチグループ403が0.50/s、パッチグループ404が0.75m/s、パッチグループ405が1.00m/sの相対速度で記録される。
図4ではパッチグループ402から405が等間隔に並んでいるが、パッチの配列はこれに限定されない。例えば、ヘッドの加減速特性に合わせ、各パッチグループが非線形の間隔で並んでいても良い。あるいは各パッチグループが主走査方向に並んでいなくても良い。パッチを印字する際、1回の主走査で複数あるいは全部のパッチグループの印字を行ってもよいし、1回の主走査で1つのパッチグループのみを印字してもよい。
図5は、本実施形態におけるガンマ補正テーブル生成処理の流れの一例を示すフローチャート図である。図5に示されているフローチャートはCMYKいずれか1色のガンマ補正テーブルを生成するものであり、実際には各色につき1回ずつフローチャートに示した処理が実行される。以下の説明ではパッチ画像と同様に、シアンのガンマ補正テーブルを生成する流れを例にとり説明を行う。図5のフローチャートの処理は、画像処理装置101のメインメモリ104に格納されたプログラムをCPU103が解釈して実行することによって実現される。
ステップS501では、ユーザーの指示を受けたプリンタドライバ201がパッチ出力部210を駆動し、プリンタ109によって記録媒体上にシアンのパッチ画像の出力が行われる。
ステップS502では、濃度測定装置110が出力されたパッチ画像の各パッチの濃度を測定する。測定された濃度データはデータ保存部105に保存される。
ステップS503では、ガンマ補正テーブルの各入力インク値Cに対応する目標濃度の決定を行う。まず、各相対速度Vcで記録された最大インク量(インク量C’=255)のパッチ4個の濃度を比較し、最も濃度の低いものをガンマ補正テーブルの入力インク値C=255に対する目標濃度に設定する。次に、各相対速度で記録された紙白部分(インク量C’=0)のパッチ4個の濃度の平均値を取得し、ガンマ補正テーブルの入力インク値C=0に対する目標濃度に設定する。最後に、各入力インク値に対する目標濃度が線形となるよう、補間によって残りの入力インク値(C=16,32,…240)に対する目標濃度を決定する。なお、目標濃度の決定方法は、上記方法に限られることはなく、様々な方法で目標濃度を決定することができる。
ステップS504では、ガンマ補正テーブルのある格子点について、出力インク量C’を決定する処理を行う。まず、格子点の入力インク値Cから、ステップS503で決定した目標濃度を取得する。次に、格子点の相対速度に該当するパッチグループの濃度データを参照し、線形補間によって目標濃度に対応する出力インク量C’を算出する。
ステップS505では、ガンマ補正テーブルの全ての格子点について、出力インク量C’が決定されたか否かの判定を行う。全ての格子点について処理が完了している場合、処理はステップS506へ進む。未処理の格子点が残っている場合、次に処理を行う格子点を選択し、ステップS504へ戻る。
ステップS506では、生成されたガンマ補正テーブルをデータ保存部105に保存する。
<ガンマ補正処理フロー>
続いて画像処理時に実施されるガンマ補正処理の詳細について、図6を参照し詳細に説明する。
図6は、本実施形態におけるガンマ補正処理の流れを示すフローチャート図である。フローチャートに示した処理は、色分解処理部204による入力画像の色分解処理が終了した時点で開始される。図6のフローチャートの処理は、画像処理装置101のメインメモリ104に格納されたプログラムをCPU103が解釈して実行することによって実現される。
ステップS601では、走査範囲取得部205が各主走査における走査範囲、加速領域、減速領域を導出する。
ステップS602では、相対速度導出部206がステップS601で導出された各主走査の情報をもとに、相対速度を導出して取得する。本実施形態では、入力画像の各画素について記録時の記録ヘッドの平均速度Vc、Vm、Vy、Vkを相対速度として導出する。
以降に説明するステップS603からステップS607の処理は全てガンマ補正処理部207によって実行される。ステップS603からステップS605の処理は、入力画像の各画素、各インク色に対し個別に実行される。これらの処理は、後述するステップS606、ステップS607によって全ての画素、全てのインク色に対しループ処理される。各ループの処理は独立であるため、必要に応じて並列化処理を施してもよい。
ステップS603では、ガンマ補正処理部207は、ループ内で着目している画素の着目しているインク色について、色分解処理部204が出力したインク値を取得する。
ステップS604では、ガンマ補正処理部207は、ループ内で着目している画素の着目しているインク色について、ステップS602で相対速度導出部206が導出した相対速度の値を取得する。
ステップS605では、ガンマ補正処理部207は、データ保存部105に保存されているガンマ補正テーブルを参照し、ステップS603で取得したインク値と、ステップS604で取得した相対速度とから出力インク量を導出する。
ステップS606では、ガンマ補正処理部207は、ループ内で着目しているインク色について、ステップS603からステップS605の処理が全ての画素に対して実行されたか否かの判定を行う。全ての画素について処理が完了している場合、処理はステップS607へ進む。未処理の画素が残っている場合、ガンマ補正処理部207は、次に処理を行う画素を選択し、ステップS603へ戻る。
ステップS607では、ガンマ補正処理部207は、ステップS603からステップS606の処理が全てのインク色に対して実行されたか否かの判定を行う。全てのインク色について処理が完了している場合、ガンマ補正処理部207は、ガンマ補正処理を終了し、出力インク量データはハーフトーニング部208へと送信される。未処理のインク色が残っている場合、ガンマ補正処理部207は、次に処理を行うインク色を選択し、ステップS603へ戻る。
<本実施形態における効果>
以上、本実施形態において説明した画像形成装置および画像処理方法を実施することにより、加減速中に記録を行うことによる濃度ムラを抑制した画像の形成を行うことが可能となる。これにより、記録時の画質の劣化を抑制しつつ、出力時間の短縮やプリンタの小型化を実現することが可能となる。
<<第2の実施形態>>
第1の実施形態では、シリアル式のインクジェットプリンタにおいて、加減速中に記録を行うことによる濃度ムラを抑制する方法について説明した。ここでは、第2の実施形態として記録ヘッダに対面した記録媒体を移動させる方式のプリンタを用いる場合について説明する。具体的には、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタとロール紙等の連続記録媒体を使用し、大部数の印刷を行う場合の実施方法について説明する。
以下、本発明にかかる第2の実施形態の画像形成装置および画像処理装置、画像処理方法について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態における画像形成装置の構成は、プリンタ109がラインヘッド方式のプリンタである点を除き、第1の実施形態で図1に示したものと同一とすることができる。従って、プリンタ109以外の部分についての詳細な説明は割愛する。
本実施形態におけるプリンタ109は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の色材として顔料を含む基本色インク4種によって印刷を行うラインヘッド方式のカラーインクジェットプリンタを用いるものとする。プリンタ109はロール・トゥ・ロール方式の記録媒体供給部を備えており、最低速度1.0m/s、最高速度4.0m/sで連続的に記録を行うことが設定可能であるものとする。
なお、連続記録媒体が使用可能であれば記録媒体供給部の形態は上記に限定されない。例えば画像記録後の記録媒体をロールに巻き取るのではなく、裁断や折り畳み等の機能を持つ後工程装置に送る構成をとってもよい。
また本実施形態において、画像処理は上述した画像処理装置101のハードウェア構成における汎用OS上で動作するプリンタコントローラー上で実現される。なお、本実施例における汎用OS、並びにプリンタコントローラーは、公知の技術によって達成可能なソフトウェアプログラムによって実現可能である。よって、プリンタドライバが汎用OS上で動作する詳細については、説明を省略する。
図7は、本実施形態にかかる画像処理方法の論理構成の一例を示すブロック図である。プリンタコントローラー701は画像処理装置101上で動作し、プリンタ109を制御する。
ジョブ管理部702は、ユーザーからの指示に基づき、画像データの読み込み、印刷データの生成、印刷データの送信の制御を行う。
相対速度導出部703は、ジョブ管理部702から送信される印刷ジョブ情報に基づき、各インク色、各画素における記録時の記録ヘッド214と記録媒体との相対速度を導出する。本実施形態においては、記録ヘッドは固定されているため、記録媒体の移動速度を相対速度として使用する。
カラーマッチング処理部203、色分解処理部204、ガンマ補正処理部207の各部の機能は第1の実施形態と同一とすることができる。従って、ここでの詳細な説明は割愛する。
ハーフトーニング704は、入力された8ビットデータを2値データへ変換する処理として、例えば周知の誤差拡散法を用いる。第1の実施形態と同様、本実施形態に適用可能な変換処理は誤差拡散法に限られるものではない。
印刷データ生成部705は、ハーフトーニングを施した画像データを所定の体裁に整え、実際にプリンタ109に入力させるための印刷データを生成する。生成したデータはデータ保存部105に格納される。
印刷データ送信部706は、ジョブ管理部702から送信された印刷ジョブ情報に基づき、データ保存部105に格納されている印刷データをプリンタ109へ送信する。
記録媒体管理部707は、プリンタ109の記録媒体供給部に装着されている記録媒体の残量を計測する。また、プリンタコントローラー701からの問い合わせに対し、記録媒体残量データを提供する。
<ガンマ補正テーブルの詳細>
本実施形態で使用するガンマ補正テーブルは、各格子点の相対速度が異なる点を除き、第1の実施形態で使用したものと同一である。本実施形態においては、ガンマ補正テーブルの各格子点は相対速度軸で1.0m/s、2.0/s、3.0m/s、4.0m/sの4値に区切られているものとする。
<ガンマ補正テーブルの生成>
続いてガンマ補正処理部207で使用するガンマ補正テーブルの生成方法について、図8を参照し説明する。
図8は、本実施形態においてガンマ補正テーブルを生成するために使用されるパッチ画像の一例を示した模式図である。パッチ画像の形態は、記録媒体の走査方向と各パッチ記録時の相対速度が異なる点を除き、第1の実施形態で図4に示したものと同様である。本実施形態においては402のグループが1.0m/s、403のグループが2.0/s、404のグループが3.0m/s、405のグループが4.0m/sの相対速度で記録される。
図8ではパッチグループ402から405が等間隔に並んでいるが、パッチの配列はこれに限定されない。例えば、ヘッドの加減速特性に合わせ、各パッチグループが非線形の間隔で並んでいても良い。
本実施形態では、パッチ画像の印刷データはデータ保存部105にあらかじめ保存されている。ユーザーの指示を受けたプリンタコントローラー701が印刷データ送信部706を駆動することにより、プリンタ109によって記録媒体上にパッチ画像の出力が行われる。
ガンマ補正テーブル生成処理の流れは、上述したパッチ画像の印刷データの保存箇所およびデータ形式を除き、第1の実施形態で図5に示したものと同等である。従って、ここでの詳細な説明は割愛する。
<画像形成処理フロー>
続いて本実施形態における画像形成処理の流れについて、図9および図10を参照し詳細に説明する。図9は、画像形成処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
ステップS901では、ユーザーの指示を受けたプリンタコントローラー701がジョブ管理部702を駆動し、データ保存部105に格納されている入力画像の読み込みを行う。ここでは、ユーザーから画像Aを最高相対速度3.0m/sで1000枚、画像Bを最高相対速度4.0m/sで700枚出力するよう指示を受けたものとする。画像Aおよび画像Bは共にsRGB規格の8ビットの画像データである。従って、ジョブ管理部702はデータ保存部105から画像Aおよび画像Bのデータの読み込みを行う。
ステップS902では、ジョブ管理部702が印刷手順の決定を行う。具体的にはジョブ管理部702は入力された画像のサイズや最高相対速度、出力枚数、記録媒体の残量を考慮し、画像の出力と加減速の手順を決定する。
図10は、決定された印刷手順における画像記録時の相対速度の変化と、各領域における出力画像の一例を示した図である。ここでは記録媒体は画像AおよびBの出力を行うために十分な長さを備えているものとし、画像Aと画像Bを連続して出力することで出力時間の短縮と加減速領域の縮小が図られている。
図10では記録媒体が停止状態から動き出すタイミングを開始時刻とし、出力が終了して記録媒体が停止したタイミングを終了時刻としている。プリンタ109の最低記録速度は1.0m/sであるため、開始時刻から相対速度が1.0m/sに達するまでの領域は画像の記録を行わない非記録加速領域である。同様に、画像の出力後、相対速度が1.0m/sを下回ってから停止するまでの領域は非記録減速領域である。
非記録加速領域の後、加速領域Aでは相対速度が3.0m/sに達するまでの間、記録媒体を加速させつつ画像Aの出力が行われる。定速領域Aでは、画像Aの出力枚数が1000枚に到達するまで相対速度3.0m/sでの出力が行われる。
加速領域Bでは、相対速度が4.0m/sに達するまでの間、記録媒体を加速させつつ画像Bの出力が行われる。定速領域Bでは、相対速度4.0m/sで画像Bの出力が行われる。減速領域Bでは、相対速度が1.0m/sに達するまでの間、記録媒体を減速させつつ画像Bの出力が行われる。定速領域Bと減速領域Bとの境界は、画像Bを700枚出力したときに相対速度が1.0m/sに達するよう自動的に調整される。
以上の例では、非記録加速領域および非記録減速領域においては、従来技術と同様に記録媒体の空走が発生する。しかしながら、加減速領域に全く記録を行わない場合と比較すると空走によるタイムロスを1/4に削減することができる。さらに、空走による記録媒体の無駄を1/16に削減することができる。
なお、上述した印刷手順はあくまで一例であり、ジョブ管理部702はさまざまな印刷手順を設定してよい。例えば画像Bを画像Aより先に出力する印刷手順を設定してもよい。あるいは最初に画像Aを500枚出力し、次に画像Bを700枚出力し、最後に画像Aを500枚出力する印刷手順を設定してもよい。また、3種類以上の画像の出力を組み合わせて印刷手順を設定してもよい。いずれの場合についても、加減速領域の合計が少なくなるような印刷手順を設定し、極力多くの画像を定速で出力することが画質向上あるいは処理時間の短縮の面で好適である。
また、ジョブ管理部702はユーザーが直接印刷手順を設定する形態をとってもよい。あるいは、複数の印刷手順の候補をユーザーに提示し、ユーザーがその中から選択する形態をとってもよい。
また、記録媒体の長さが画像Aおよび画像Bの出力を行うために十分な長さを備えていない場合、ジョブ管理部702は記録媒体の残量やユーザーの指示に応じて、記録媒体の交換を含む印刷手順を設定する。記録媒体の交換は画像Aあるいは画像Bの出力途中であってもよいし、画像Aと画像Bの出力の間であってもよい。記録媒体の交換を行う際には出力を停止する必要があるため、交換の前後には対応した減速領域と加速領域が設けられる。この場合についても、極力加減速領域が少なくなるような交換タイミングを設定することが画質向上あるいは処理時間の短縮の面で好適である。
ステップS903では、相対速度算出部206が、ステップS902で決定された印刷手順をもとに出力される画像の各画素について、記録時の相対速度Vc、Vm、Vy、Vkを導出する。相対速度は加減速領域では全てのページの各画素について導出される。定速領域では相対速度は画素によらず一定である。
ステップS904では、印刷データ生成部705は、ステップS902で決定された印刷手順とステップS903で導出された相対速度とをもとに、印刷データの生成が行われる。印刷データはジョブ管理部702が読み込んだsRGB画像に対し、カラーマッチング処理部203から印刷データ生成部705の各部が順次画像処理を実施することで生成される。生成された印刷データはデータ保存部105に格納される。印刷データは加減速領域では出力される各ページについて生成される。定速領域では入力画像ごとに1枚分の印刷データが生成される。
ステップS905では、印刷データ送信部706がジョブ管理部702から送信された印刷ジョブ情報に基づき、データ保存部105に格納されている印刷データを適切なタイミングでプリンタ109へ送信する。プリンタ109は送信される印刷データに基づき、S902で決定された印刷手順での実際の出力を行う。
<ガンマ補正処理フロー>
図11は、本実施形態におけるガンマ補正処理の流れを示すフローチャート図である。ステップS603からステップS607における各ステップの処理内容は、第1の実施形態において説明したものと同等である。従って、ここでの詳細な説明は割愛する。
<本実施形態における発明の効果>
以上、本実施形態において説明した画像形成装置および画像処理方法を実施することにより、加減速中に記録を行うことによる濃度ムラを抑制した画像形成を行うことが可能となる。これにより、記録時の画質の劣化を抑制しつつ、出力時間の短縮や記録媒体の使用効率向上を実現することが可能となる。
<<その他の実施形態>>
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、C、M、Y、Kの基本色インク4種によって印刷を行うインクジェットプリンタを例にとり説明したが、本発明におけるインクの組み合わせはこれに限定されない。例えばKのみの単色構成であってもよいし、5色以上のインクを使用してもよい。さらに、記録部と記録媒体の相対速度に起因する濃度ムラが発生する記録方法であれば、インクジェット方式以外の記録方法に対しても本発明を適用することが可能である。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、入力される原画像データをsRGB規格のものとして扱っているが、入力画像データの形態はこれに限定されない。例えば異なる規格のRGB画像を使用してもよいし、色分解処理済みのCMYK画像を使用してもよい。また、入力画像の形態によってカラーマッチング処理部や色分解処理部の処理内容を変更あるいは省略してもよい。いずれの場合についても本発明の範疇である。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、相対速度算出部は各画素・各インク色についての記録ヘッドと記録媒体との相対速度を算出したが、相対速度データの形式はこれに限らない。例えば各インク色の間で相対速度に有意な差が生じないと考えられる場合、一部若しくは全てのインク色で共通の相対速度を使用してもよい。
あるいは、記録ヘッドから同時に記録される画素群は共通の相対速度を持つと考えられるため、画素ごとではなく所定の画素群ごとに相対速度を算出してもよい。例えばラインヘッド方式のプリンタを用いる場合、記録媒体の搬送方向と直交する画素列は同じ相対速度で記録されるとみなすことができる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、ガンマ補正処理時に記録時の相対速度を参照したLUT処理を行っているが、相対速度を参照して多値の画素信号に補正処理を行うものであれば、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば既知の手法を用いたガンマ補正処理の後、相対速度を参照しC’M’Y’K’値に補正をかけてもよい。
あるいは多次色の色むらを抑制するため、カラーマッチング処理部や色分解処理部が相対速度を参照し、各色の画素信号の組み合わせに補正をかける形態をとってもよい。例えばカラーマッチング処理部において画素信号に補正をかける場合、単色の階調パッチの代わりにRGB各9グリッドの729色パッチを使用することができる。729色パッチを各相対速度で出力してCIE−L*a*b*値を測定し、各相対速度での出力時のCIE−L*a*b*値が一致するようRGBの画素信号に補正をかけることにより、相対速度に起因する色むらを打ち消すことが可能となる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では画像形成装置、画像処理方法、画像処理装置、プログラム(プリンタドライバあるいはプリンタコントローラー)としての本発明の実施形態を示したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されない。例えば、本発明は上述したプログラムを記載した記憶媒体の形態をとってもよい。本発明を構成するプログラムの供給には様々な方法を取ることが可能であり、インターネット等のネットワークを介して配布される場合や、プログラムが暗号化あるいは分割されて配布される場合も本発明の範疇である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である

Claims (9)

  1. 記録媒体上に画像を形成する記録手段と、
    画像データを入力する入力手段と、
    前記記録媒体上の画像が形成される各領域について画像を形成する時の前記記録手段と前記記録媒体との相対速度を取得する取得手段と、
    前記記録媒体上の画像が形成される各領域の出力画素信号を前記相対速度と前記画像データの画素信号とから導出する導出手段と、
    を具備することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記記録手段は記録媒体に対面した記録部を反復して移動させ、
    前記相対速度は前記記録部の移動速度であること
    を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記記録手段は記録部に対面した記録媒体を移動させ、
    前記相対速度は前記記録媒体の移動速度であること
    を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記記録媒体は連続記録媒体であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記導出手段は、前記連続記録媒体の残量をさらに用いて前記出力画素信号を導出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記導出手段は、前記相対速度が、設定可能な任意の速度から定速に加速するまでの間の領域について前記出力画素信号を導出する処理を含む処理を実行することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の画像処理装置。
  7. 前記導出手段は、前記相対速度が、定速から設定可能な任意の速度に減速するまでの間の領域について前記出力画素信号を導出する処理を含む処理を実行することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の画像処理装置。
  8. 画像データを入力する入力ステップと、
    記録媒体上の画像が形成される各領域について画像を形成する時の、前記記録媒体上に画像を形成する記録手段と前記記録媒体との相対速度を取得する取得ステップと、
    前記記録媒体上の画像が形成される各領域の出力画素信号を前記相対速度と前記画像データの画素信号とから導出する導出ステップと、
    を具備することを特徴とする画像処理方法。
  9. コンピュータを請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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