JP2014089224A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高耐久感光体を用いる場合でも、クリーニングブレードによる良好なクリーニング性能を長期間発揮でき、白抜け状の異常画像の発生を抑制する。
【解決手段】感光体10は、表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない樹脂成分と無機微粒子とから構成され、1×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率Rが1013[Ω/cm]以上であり、その表面固有抵抗率Rと1.5×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率R1.5との比率R/R1.5が100以上5000以下である高耐久感光体である。クリーニングブレードのブレード部材622は、100%モジュラス値が互いに異なる材質からなる複数層によって構成された積層構造の弾性ブレードであり、その複数層のうち、先端稜線部62cを備えるエッジ層622bを、バックアップ層622aに比べて100%モジュラス値の高い材質によって形成した。
【選択図】図10

Description

本発明は、表面移動する像担持体の表面に形成したトナー像を最終的に記録材上に転写して画像形成するとともに、転写後の像担持体表面の付着物をクリーニング装置によって除去する、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
近年、省資源、低コスト化の観点から、画像形成装置の長寿命化が求められており、感光体、感光体をクリーニングするクリーニング装置、感光体表面を帯電処理する帯電装置などの主要部品の耐久性能の向上が求められている。感光体をクリーニングするクリーニング装置としては、一般に、クリーニングブレードで感光体表面の付着物を掻き取るブレード方式が利用される(特許文献1、特許文献2等)。このようなブレード方式のクリーニング装置では、クリーニングブレードと感光体とが常時当接して互いに摺擦し合っているため、感光体表面の摩耗やクリーニングブレードの摩耗は必然的に発生する。そのため、感光体表面の摩耗による画質低下、クリーニングブレードの摩耗によるクリーニング性低下などが、画像形成装置の長寿命化の妨げとなっている。
感光体表面の摩耗に対しては、従来、潤滑剤塗布装置を設けて感光体表面にステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を塗布することで、感光体表面の摩耗を低減している(特許文献2等)。しかしながら、潤滑剤を感光体表面に塗布すると、クリーニングブレードの摩耗が促進したり、接触式又は非接触式(近接式)の帯電装置の帯電ローラが潤滑剤で汚れ、異常画像発生の原因となるなどの課題が発生する場合がある。また、近年の装置の小型化、低コスト化の要求により、潤滑剤塗布装置自体をなくす必要も生じている。このような中で、潤滑剤塗布装置がなくても、感光体表面が摩耗しにくい耐久性の高い感光体(高耐久感光体)が求められている。更に、これに合わせて、そのような高耐久感光体の表面を良好にクリーニングでき、かつ、摩耗しにくいクリーニングブレードも必要とされている。
高耐久感光体に関し、従来の感光体を見ると、帯電装置の帯電処理による化学的劣化に対する耐性が弱い点が課題となっていた。すなわち、帯電処理による化学的劣化に対する耐性が弱いと、帯電処理によって感光体表面の分子鎖が切れて機械的摺擦に対する耐性が弱くなり、そこにクリーニングブレードによる機械的摩耗が加わることで、感光体表面の膜厚が減少しやすく、長寿命化の妨げとなっていた。したがって、高耐久感光体を実現する上では、クリーニングブレードとの機械的摺擦による機械的摩耗に対して高い耐磨耗性があるとともに、帯電装置の帯電処理による化学的劣化に対する高い耐性があることが重要である。そして、このような高耐久感光体であれば、潤滑剤塗布装置をなくしても、感光体表面の膜厚減少を抑制して、感光体の高寿命化を実現できる。
一方、感光体のクリーニング装置としては、一般には、ゴム材料の100%モジュラス値が4MPa程度で、ゴム硬度(JISA)で70°〜75°程度のウレタンゴム製の単層クリーニングブレードが用いられる。上記のような高耐久感光体を用いた場合、感光体表面とクリーニングブレードとの間の摩擦力が大きい。そのため、図9(a)及び(b)に示すように、感光体表面に当接しているクリーニングブレードの先端稜線部(エッジ部)が感光体表面移動によって引き込まれる量が大きくなる。そのため、クリーニングブレードのエッジ部の変化が大きく、スティックスリップによる大きな振動が発生しる。このようにエッジ部が大きく振動すると、クリーニング性が落ちるだけでなく、クリーニングブレードの摩耗が促進されるという問題が生じる。
また、クリーニングブレードのエッジ部が大きく振動するような不安定な挙動を示す場合、トナーの添加剤等を感光体表面に擦りつけてしまい、白抜け状の異常画像が発生しやすくなるという問題も生じる。白抜け状の異常画像とは、トナーに添加された外添剤等が感光体表面に付着し、その部分が白抜けとなった画像が形成される現象である。従来の耐磨耗性が低い感光体であれば、感光体表面に外添剤等が付着した場合でも、感光体表面が経時使用によって摩耗していき、付着した外添剤が感光体の表層と一緒に削れて除去される。そのため、上記のような白抜け状の異常画像の発生が深刻な不具合となることは少ない。しかしながら、上述した高耐久感光体を用いた場合、経時使用による感光体表面の摩耗が少ないため、感光体表面に外添剤等が付着してしまうと、感光体表面に外添剤等が除去されず、白抜け状の異常画像が発生しやすい。
高耐久感光体を用いる場合に生じる上述した問題を解決するためには、クリーニングブレードのエッジ部が不安定な挙動を示すことがないようにすることが重要となる。そのためには、クリーニングブレードのエッジ部が引き込まれる量を小さく抑えて、エッジ部の挙動を安定化させることが必要である。そのためには、クリーニングブレードのエッジ部の強度を高くすることが有効であり、具体的には、クリーニングブレードのエッジ部における材料として、100%モジュラス値が大きく、かつ、硬度が高い材料を用いるのがよい。ただし、このような材料を従来のクリーニングブレードのように単層のままで使用した場合、長期使用によってヘタリが生じ、当接圧の低下などを引き起こしやすい。そのため、経時においてはクリーニング性能が低下するといった問題が生じる。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上述した高耐久感光体を用いる場合でも、長期間にわたってクリーニングブレードによる良好なクリーニング性能を発揮でき、かつ、白抜け状の異常画像の発生を抑制できる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、表面移動する像担持体の表面にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に記録材上に転写して該記録材上に画像を形成するとともに、転写後の該像担持体の表面に付着している付着物をクリーニング装置によって除去する画像形成装置において、上記像坦持体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層とを順に積層した感光体であり、該表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない樹脂成分と無機微粒子とから構成されており、1×10[V/cm]の電界強度のときの該感光体の表面固有抵抗率Rが1×1013[Ω/cm]以上であり、該表面固有抵抗率Rと1.5×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率R1.5との比率R/R1.5が、100以上5000以下の範囲内であるものであり、上記クリーニング装置は、ブレード部材と、該ブレード部材を保持する保持部材とを備えており、該ブレード部材の先端稜線部を上記像坦持体の表面に当接させて該像坦持体の表面から付着物を除去するものであり、上記ブレード部材は、100%モジュラス値が互いに異なる材質からなる複数の層によって構成された積層構造の弾性ブレードであり、該弾性ブレードの複数の層のうち、上記先端稜線部を備えるエッジ層を、他の層に比べて100%モジュラス値の高い材質によって形成したことを特徴とする。
上記のような感光体により上述した高耐久感光体を実現することができる。したがって、感光体表面に潤滑剤を付与しなくても、感光体表面の膜厚減少を抑制して、感光体の高寿命化が可能である。
また、本発明のブレード部材は、感光体表面に当接する先端稜線部(エッジ部)を含んだエッジ層と他の層とからなる複数層構成としているので、それぞれの層で機能分担することが可能である。本発明では、エッジ層について、100%モジュラス値が大きくかつゴム硬度が高い材料を用いることで、クリーニング対象が高耐久感光体の表面であっても、ブレード部の先端稜線部が不安定な挙動を示すことを抑制できる。これにより、高耐久感光体に対する高いクリーニング性と高い耐摩耗性を実現できるとともに、白抜け状の異常画像の発生を抑制できる。また、他の層については、100%モジュラス値を低くしているので、長期使用でもヘタリが少ない。したがって、長期使用でも感光体表面に対するブレード部の当接圧低下が生じにくい。
以上より、本発明によれば、高耐久感光体を用いる場合でも、長期間にわたってクリーニングブレードによる良好なクリーニング性能を発揮でき、かつ、白抜け状の異常画像の発生を抑制できるという優れた効果が得られる。
本実施形態におけるプリンタを示す概略構成図である。 同プリンタが備えるプロセスカートリッジを示す概略構成図である。 同プロセスカートリッジが備える帯電ローラの概略斜視図である。 形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。 形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。 トナーの形状を模式的に示す図である。 トナーの円形度の測定方法を説明するための説明図である。 同プリンタのクリーニングブレードの概略構成を示す模式図である。 (a)は、従来から用いられてきた単層の弾性ブレードを用いたクリーニングブレードの一例を示す図であり、(b)は、その先端稜線部の拡大図である。 (a)は、実施形態で用いるクリーニングブレードを示す図であり、(b)は、その先端稜線部の拡大図である。 構成例1に係る感光体の層構成を示す説明図である。 構成例2に係る感光体の層構成を示す説明図である。 構成例3に係る感光体の層構成を示す説明図である。 構成例4に係る感光体の層構成を示す説明図である。 防音部材やオゾン処理機構を設けたプリンタ示す概略構成図である。 変形例のプリンタ示す概略構成図である。 同変形例のプリンタにおけるK色のプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
以下、本発明を、画像形成装置としてのプリンタに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における画像形成装置であるプリンタ100を示す概略構成図である。
プリンタ100は、フルカラー画像を形成するものであって、画像形成部120、中間転写装置160及び給紙部130から主として構成されている。なお、以下の説明において、添え字Y、C、M、Kは、それぞれ、イエロー用、シアン用、マゼンタ用、ブラック用の部材であることを示すものである。
画像形成部120には、図中左側から順に、イエロートナー用のプロセスカートリッジ121Y、シアントナー用のプロセスカートリッジ121C、マゼンタトナー用のプロセスカートリッジ121M、ブラックトナー用のプロセスカートリッジ121Kが設けられている。これらのプロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Kは、略水平方向に並べて配置されている。
中間転写装置160には、複数の支持ローラに掛け渡された中間転写体である無端状の中間転写ベルト162と、一次転写ローラ161Y,161C,161M,161Kと、二次転写ローラ165とから主に構成されている。中間転写ベルト162は、各プロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Kの上方で、各プロセスカートリッジに設けられた表面移動する像担持体としてのドラム状の感光体10Y,10C,10M,10Kの表面移動方向に沿って配置されている。中間転写ベルト162は、感光体10Y,10C,10M,10Kの表面移動に同期して表面移動する。また、各一次転写ローラ161Y,161C,161M,161Kは、中間転写ベルト162の内周面側に配置されており、これらの一次転写ローラ161Y,161C,161M,161Kにより中間転写ベルト162の下側に位置する外周面(表面)が各感光体10Y,10C,10M,10Kの外周面(表面)に弱圧接している。
各感光体10Y,10C,10M,10K上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト162に転写する構成及び動作は、各プロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Kについて実質的に同一である。ただし、カラー用の3つのプロセスカートリッジ121Y,121C,121Mに対応した一次転写ローラ161Y,161C,161Mについては、これらを上下に揺動させる図示しない揺動機構が設けられている。揺動機構は、カラー画像が形成されないときに感光体10Y,10C,10Mに中間転写ベルト162を接触させないように動作する。
中間転写ユニットである中間転写装置160は、プリンタ100の本体から着脱自在に構成されている。具体的には、プリンタ100の画像形成部120を覆っている図1中の紙面手前側の前カバー(不図示)を開き、中間転写装置160を図1中の紙面奥側から手前側へスライドさせることで、プリンタ100の本体から中間転写装置160を取り外すことができる。中間転写装置160をプリンタ100の本体に装着する場合には、取り外し作業とは逆の作業をすればよい。
なお、中間転写ベルト162における二次転写ローラ165よりも表面移動方向下流側であってプロセスカートリッジ121Yの上流側には、二次転写後の残留トナー等の中間転写ベルト162上に付着した付着物を除去するための中間転写ベルトクリーニング装置167を設けている。中間転写ベルトクリーニング装置167は、中間転写ベルト162と一体に支持された状態で中間転写装置160として、プリンタ100本体に対して着脱自在に構成されている。
中間転写装置160の上方には、各プロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Kに対応したトナーカートリッジ159Y,159C,159M,159Kが略水平方向に並べて配置されている。また、プロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Kの下方には、帯電された感光体10Y,10C,10M,10Kの表面にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置140が配置されている。また、露光装置140の下方には、給紙部130が配置されている。
給紙部130には、記録材としての転写紙を収容する給紙カセット131及び給紙ローラ132が設けられており、レジストローラ対133を経て中間転写ベルト162と二次転写ローラ165との間の二次転写ニップ部に向けて所定のタイミングで転写紙を給送する。また、二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には定着装置90が配置されており、この定着装置90の転写紙搬送方向下流側には、排紙ローラ及び排紙された転写紙を収納する排紙収納部が配置されている。
図2は、プリンタ100が備えるプロセスカートリッジ121を示す概略構成図である。
ここで、各プロセスカートリッジ121の構成はほぼ同様であるので、以下の説明では色分け用の添え字Y、C、M、Kを省略して、プロセスカートリッジ121の構成及び動作について説明する。
プロセスカートリッジ121は、感光体10と、感光体10の周りに配置されたクリーニング装置30、帯電装置40及び現像装置50とを備えている。
帯電装置40は、感光体10に当接するように配置された帯電ローラ41と、この帯電ローラ41に当接して回転する帯電ローラクリーナ42とから主として構成されている。図3に示すように、帯電ローラ41は、芯金41a上に導電性ゴム層41bを設けたもので、ゴム層の表面は周方向に沿って延びる凹凸41cが形成されている。この凹凸41cは、帯電ローラ41を回転させた状態で研磨ペーパなどを当接させることで形成することができる。この凹凸41cによって感光体10に対する接触面積が小さく、接触部とギャップ部が適度に分布するため、放電の機会が増え、帯電が安定する。特に線速が速い場合には帯電安定性の効果が大きい。また接触面積が小さいことにより帯電ローラ41による感光体10の汚染、逆に感光体10上のトナーなどによる帯電ローラ41の汚れも発生しにくくなる。また、帯電ローラ41に印加するバイアスを直流にしている。直流にすることで、感光体10に対する負荷を低減し、感光体10の摩耗量が小さくなり、長寿命化ができる。
また、帯電ローラ41の凹凸41cは、十点平均表面粗さRzが20[μm]以下となるように形成するのが好ましい。これにより、感光体摩耗の促進を極力小さくすることができ、長寿命化が図れる。また、帯電ローラ41の十点平均表面粗さRzを20[μm]以下にすることにより、帯電ローラ41の放電ムラが起こりにくくなり、感光体表面をムラなく帯電することができる。感光体表面をムラなく帯電できるので、画像濃度ムラのない良質な画像を出力することができる。一般的に低温・低湿環境下では感光体の表面電位は不安定になりやすい(表面電位変動幅が大きくなりやすい)が、帯電ローラ41の表面に十点平均表面粗さRzが20[μm]以下の凹凸41cを形成することで、低温・低湿環境下でも感光体10の表面電位を安定させることができる。
また、フッ素を含んだ表面処理液によって、帯電ローラ41の表層部を表面処理することによって、感光体10への汚染をどんな環境下でも防ぐことができ、好ましい。
現像装置50は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置50のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュー52及び攪拌スクリュー53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュー52及び攪拌スクリュー53の二本スクリューによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体10と対向する現像領域でトナーが感光体10上の潜像に付着する。
クリーニング装置30は、クリーニングブレード62、回収スクリュー43などを有している。クリーニングブレード62は、感光体10の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体10に当接している。トナー像を中間転写ベルト162に転写した後の感光体10上に残留するトナーをクリーニングブレード62によりクリーニングする。クリーニングブレード62より除去されたトナーは、回収スクリューにより43により不図示の廃トナー容器へ搬送される。なお、クリーニングブレード62の詳細については後述する。
以上のような構成を有する4つのプロセスカートリッジ121は、それぞれ単独でサービスマンやユーザにより着脱・交換が可能となっている。また、プリンタ100から取り外した状態のプロセスカートリッジ121については、感光体10、帯電装置40、現像装置50、クリーニング装置30が、それぞれ単独で新しい装置との交換が可能に構成されている。なお、プロセスカートリッジ121は、クリーニング装置30で回収した転写残トナーを回収する廃トナータンクを備えていてもよい。この場合、更に、プロセスカートリッジ121において廃トナータンクが単独で着脱・交換が可能な構成とすれば利便性が向上する。
次に、プリンタ100の動作について説明する。
プリンタ100では、不図示のオペレーションパネルやパーソナルコンピュータ等の外部機器からプリント命令を受け付けると、まず、感光体10を図2中矢印Aの方向に回転させ、帯電装置40の帯電ローラ41によって感光体10の表面を所定の極性に一様帯電させる。帯電後の感光体10に対し、露光装置140は、入力されたカラー画像データに対応して光変調された例えばレーザービーム光を色ごとに照射し、これによって各感光体10の表面にそれぞれ各色の静電潜像を形成する。各静電潜像に対し、各色の現像装置50の現像ローラ51から各色の現像剤を供給し、各色の静電潜像を各色の現像剤で現像し、各色に対応したトナー像を形成して可視像化する。次いで、一次転写ローラ161にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することによって、中間転写ベルト162を挟んで感光体10と一次転写ローラ161との間に一次転写電界を形成し、一次転写ローラ161で中間転写ベルト162を弱圧接することで一次転写ニップを形成する。これらの作用により、各感光体10上のトナー像は中間転写ベルト162上に効率よく一次転写される。中間転写ベルト162上には、各感光体10で形成された各色のトナー像が互いに重なり合うように転写され、積層トナー像が形成される。
中間転写ベルト162上に一次転写された積層トナー像は、給紙カセット131内に収容されている転写紙が給紙ローラ132やレジストローラ対133等を経て所定のタイミングで給送される。そして、二次転写ローラ165にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することにより、転写紙を挟んで中間転写ベルト162と二次転写ローラ165との間に二次転写電界を形成し、転写紙上に積層トナー像が転写される。積層トナー像が転写された転写紙は定着装置90に送られ、熱及び圧力で定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙ローラによって排紙収納部に排出、載置される。一方、一次転写後の各感光体10上に残留する転写残トナーは、各クリーニング装置30のブレード部材によって掻き取られ、除去される。
次に、本実施形態のプリンタ100に好適なトナーについて説明する。
本プリンタに好適に使用されるトナーは、600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径が3〜6[μm]のものが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00〜1.40の範囲にあるトナーが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図4は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π)/4 ・・・(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、図5は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/(4π)を乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×100/(4π) ・・・(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
また、カラープリンタに好適に使用されるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;上記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5/1を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1/1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、上記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2/1超や、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140[℃]にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140[℃]にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、上記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。45[℃]未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65[℃]を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料がすべて使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LR−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120[℃]の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4[μm]以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100[℃]未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1[μm]、及び3[μm]、ポリスチレン微粒子0.5[μm]及び2[μm]、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1[μm]、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20[μm]にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000[rpm]、好ましくは5000〜20000[rpm]である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150[℃](加圧下)、好ましくは40〜98[℃]である。
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150[℃]、好ましくは40〜98[℃]である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
(5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図6(a)、(b)、(c)は、トナーの形状を模式的に示す図である。
図6(a)、(b)、(c)において、略球形状のトナーを長軸r、短軸r、厚さr(但し、r≧r≧rとする。)で規定するとき、トナーは、長軸と短軸との比(r/r)(図6(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r/r)(図6(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r/r)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r/r)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r/r)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r、r、rは、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
プリンタ100に用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、図7(a)に示す実際のトナー投影形状の外周長をC1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ図7(b)に示す真円の外周長をC2としたときのC2/C1を求め、その平均値を円形度とした。
体積平均粒径については、コールターカウンター法によって求めることが可能である。具体的には、コールターマルチサイザー2e型(コールター社製)によって測定したトナーの個数分布や体積分布のデータを、インターフェイス(日科機社製)を介してパーソナルコンピュータに送って解析するのである。より詳しくは、1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を電解液として用意する。そして、この電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5[ml]加える。更に、これに被検試料としてのトナーを2〜20[mg]加え、超音波分散器で約1〜3[分間]分散処理する。そして、別のビーカーに電解水溶液100〜200[ml]を入れ、その中に分散処理後の溶液を所定濃度になるように加えて、上記コールターマルチサイザー2e型にかける。アパーチャーとしては、100[μm]のものを用い、50000個のトナー粒子の粒径を測定する。チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上32.0[μm]以下のトナー粒子を対象とする。そして、「体積平均粒径=ΣXfV/ΣfV」という関係式に基づいて、体積平均粒径を算出する。但し、「X」は各チャンネルにおける代表径、「V」は各チャンネルの代表径における相当体積、「f」は各チャンネルにおける粒子個数である。
このような重合トナーにおいては、従来の粉砕トナーを感光体10表面から除去するときと同じようにしてクリーニングブレード62で除去しようとしても、その重合トナーを感光体表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生する。そこで、クリーニングブレード62の感光体10への当接圧を高めて、クリーニング性をアップしようとすると、クリーニングブレード62が早期に摩耗してしまうという問題があった。また、クリーニングブレード62と感光体10との摩擦力が高まって、クリーニングブレード62の感光体10と当接している先端稜線部62cが感光体10の移動方向に引っ張られて、先端稜線部62cがめくれてしまう。クリーニングブレード62の先端稜線部がめくれると、異音や振動、先端稜線部の欠落などの様々な問題が生じてしまう。
また、本実施形態においては、上述したように、表面に周方向に沿って延びる凹凸41cが形成された帯電ローラ41を用いている。帯電ローラ41の周方向に沿った凹凸があると、その凹凸と感光体10の接触のむらによって感光体10は均一には摩耗せずに、細かい凹凸を形成すると考えられる。これに起因して、クリーニングブレード62と感光体10との間の摩擦力が大きくなってしまい、先端稜線部62cの挙動が安定せず、先端稜線部62cがめくれやすく、異常磨耗や異音が発生しやすい。
次に、本実施形態の特徴点であるクリーニングブレード62について説明する。
図8は、本実施形態のクリーニングブレード62の概略構成を示す模式図である。
クリーニングブレード62は、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、短冊形状の弾性ブレード622とで構成されている。弾性ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置30のケースに片持ち支持されている。
図8に示すように、弾性ブレード622は、エッジ層622bとバックアップ層622aの二層から構成される積層ブレードとなっている。エッジ層622bは、感光体10と直接接触する先端稜線部62cを形成する層である。エッジ層622bは、バックアップ層622aに比べて強度が高いウレタンゴム材料を使用している。エッジ層622bの100%モジュラス値がバックアップ層622aに比べて大きい組合せとなっている。エッジ層622bとバックアップ層622aの組合せの一例としては、エッジ層622bとして、100%モジュラス(23[℃])が6〜7[Mpa]のウレタンゴム材料を用い、バックアップ層622aとして、4〜5[Mpa]のウレタンゴム材料を用いた。ただし、エッジ層622bとしては、100%モジュラス(23[℃])が6[Mpa]以上12[Mpa]以下の範囲内であれば、好適に利用することができる。また、ゴム硬度では、エッジ層622bに80度(JISA)のウレタンゴムを用い、バックアップ層622aにゴム硬度75度(JISA)のウレタンゴムを用いた。エッジ層622bの厚さは0.5[mm]、バックアップ層622aの厚さは1.3[mm]としている。
図9(a)は、従来から用いられてきた単層の弾性ブレードを用いたクリーニングブレードの一例を示す図であり、(b)は、その先端稜線部の拡大図である。
図9に示すクリーニングブレードは、100%モジュラス値が2.5[MPa]、硬度72度程度の比較的中硬度の弾性ブレードからなるクリーニングブレードである。このような従来の単層クリーニングブレードでは、図示するように、先端稜線部62cの強度が低いため、図9(b)に示すように、感光体10を回転駆動させたときの先端稜線部の変形が大きく、スティックスリップ量が大きくなり、ニップ(感光体とクリーニングブレードとの当接部)の挙動が不安定となる。そのため、クリーニング性が低下し易く、またトナー添加剤などを感光体表面に擦りつけてしまい、白抜け状の異常画像が発生する。特に、感光体10の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置を持たない画像形成装置の中で用いる場合には、異常画像が大きな課題となる場合がある。また、先端稜線部62cの振動が大きく、感光体の膜削れ量やブレード摩耗量が増加するという課題がある。
図10(a)は、本実施形態における積層ブレードを用いたクリーニングブレードを示す図であり、(b)は、その先端稜線部の拡大図である。
本実施形態のクリーニングブレードにおいては、高強度材料からなるエッジ層622bの効果により、先端稜線部62cの強度が高くなっている。これにより、図10(b)に示すように、先端稜線部62cの変形、振動を小さくすることができ、ニップ挙動を安定化することができる。その為、非常に良好なクリーニング性が得られ、また白抜け状の異常画像も発生しない。さらに、潤滑剤塗布装置をもたない画像形成装置の中で用いた場合にも、白抜け状の異常画像が発生することがない。また、振動が抑制される結果、感光体膜削れ量やブレード摩耗量も少なく抑えることができる。
次に、感光体10について、説明する。
本実施形態の感光体10は、導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面層をこの順に有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
本発明の電子写真感光体は、上記表面層に本発明で規定する材料及び表面抵抗率を有するものであり、上記導電性支持体、上記感光層、及び上記その他の構成については、従来と同様のものを適用することができる。
<表面層>
上記表面層は、電荷輸送性を有しない樹脂と無機微粒子とを少なくとも含有し、更に必要に応じて添加剤を含有し、後述する所定の表面固有抵抗率を有し、好ましくは後述する所定の硬度及び弾性仕事率を有する。
<<表面固有抵抗率>>
上記表面層の電荷輸送材料を極力低減した場合であっても、優れた電子写真感光体特性を有させるためには、一般の電子写真感光体と同様に、帯電性、電荷輸送性、潜像維持性を持たせることが重要である。この帯電性に関しては、感光層に代替機能として持たせることが可能であるため、特に、上記表面層に必要とされる機能としては、電荷輸送性、潜像維持性などが重要な要件と考えられる。上記表面層の電荷輸送性材料を極力低減した場合であっても、これらの機能を十分に有する電子写真感光体とするために、電子写真感光体の駆動時よりも低い電界強度(1×10[V/cm]〜3×10[V/cm])のときには感光体の表面層が高い抵抗値を示し、電子写真感光体の駆動時と同程度の電界強度(1.5×10[V/cm])の時には感光体の表面層が低い抵抗値を示すことが重要である。
−表面固有抵抗率R
上記表面固有抵抗率Rは、上記表面層における電界強度が1×10[V/cm]であるときの表面固有抵抗率である。
上記表面固有抵抗率Rとしては、1×1013[Ω/cm]以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、優れた潜像維持性を有する点で、1×1014[Ω/cm]以上が好ましい。上記表面固有抵抗率Rが、1×1013[Ω/cm]未満であると、潜像維持性が十分ではなく、出力画像のドットの細りや画像ボケが発生することがある。また、上記表面層においては、潜像維持に対して寄与の大きな電界が上記電界強度近傍であることに由来すると考えられ、この電界強度範囲において比較的高抵抗とすることによって、電荷の移動を阻害し潜像維持性が高くすることが可能となる。
−表面固有抵抗率R
上記表面固有抵抗率Rは、上記表面層における電界強度が3×10[V/cm]であるときの表面固有抵抗率である。
上記表面固有抵抗率Rとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、優れた潜像維持性を有する点で、1×1014[Ω/cm]以上が好ましい。上記表面層においては、潜像維持に対して寄与の大きな電界が上記電界強度近傍であることに由来すると考えられ、この電界強度範囲において比較的高抵抗とすることによって、電荷の移動を阻害し潜像維持性が高くすることが可能となる。
−表面固有抵抗率R1.5
上記表面固有抵抗率R1.5は、上記表面層における電界強度が1.5×10[V/cm]であるときの表面固有抵抗率である。
上記表面固有抵抗率R1.5としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、駆動時の電子写真の露光部電位低減の点で、1×10[Ω/cm]〜1×1011[Ω/cm]が好ましい。
−表面固有抵抗率Rと表面固有抵抗率Rとの比−
上記表面固有抵抗率Rと上記表面固有抵抗率Rとの比(R/R)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抵抗変動を小さくすることができる点で、0.1〜10が好ましく、0.1〜2がより好ましい。上記比(R/R)が、0.1未満であるときは、電荷輸送性が低下し、残留電位の上昇などが発生することがあり、10を超えると、潜像維持性が十分とはならず、出力画像のドットの細りが発生することがある。
−表面固有抵抗率Rと表面固有抵抗率R1.5との比−
上記表面固有抵抗率Rと上記表面固有抵抗率R1.5との比(R/R1.5)としては、100〜5000であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜1000が好ましい。上記比(R/R1.5)が100未満であると、表面層の電荷輸送性が十分ではなく、残留電位上昇に伴う画像欠陥の発生などが生じることがあり、5000を超えると、電子写真感光体の帯電性が不足し、時汚れの発生、階調性低下などの懸念が生じることがある。上記表面固有抵抗率Rと比較して上記表面固有抵抗率R1.5を十分小さくすることにより、優れた電荷輸送性を示すことがわかっている。本実施形態の表面層においては、電荷輸送機能に対して寄与の大きな電界強度が1.5×10[V/cm]以上の範囲であることがわかり、この電界強度範囲において比較的高抵抗である表面層とすることによりスムーズな電荷輸送を促すことができる。
−表面固有抵抗率の測定方法−
上記表面固有抵抗率の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JIS−C2139:2008(固体電気絶縁材料−体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法)などに準拠して測定する方法などが挙げられる。一般に電子写真感光体はシリンダー形状を示すものが多く、JIS−C2139:2008に記載の方法で測定が困難な場合は、下記に示す方法を用いてもよい。
上記電圧印加時の試料通過電流を測定する際に用いる電流−電圧計としては、本実施形態における電界強度(1×10[V/cm])の測定ができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微少電流計(Keithley社製 ソースメジャーユニット タイプ2410)により測定する方法などが挙げられる。
上記表面固有抵抗率の測定に用いる電極の作成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体の構成成分の変質が生じにくい点で、真空蒸着法が好ましい。
上記電極を構成する金属としては、電子写真感光体表面に電極を形成することができる金属であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、プラチナ、クロム、亜鉛、炭素などが挙げられ、上記対抗電極としては、上記電極と互いに同種の金属により構成されることが好ましい。
上記電極の形状としては、特に制限はなく、測定に使用する直流電圧源の容量及び電流計の精度に基づき決定することができ、例えば、既知の長さ(10[mm]〜30[mm])を有し、かつ既知の電極間隙(25[μm]〜100[μm])を有する対抗電極などが挙げられる。
上記電界印加電源としては、十分安定な直流電圧源であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記電圧印加極性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、負帯電用電子写真感光体を評価する場合は負電圧印加とし、正帯電用電子写真感光体を評価する場合は正電圧印加とすることが好ましい。
上記電圧印加時の試料通過電流の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60秒間以上の測定を実施し、60秒間後の電流値から表面抵抗率を算出することが好ましい。
上記表面固有抵抗率Rを測定する際、上記表面層における電界強度を1×10[V/cm]に設定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被験サンプル上に作製した電極間の間隙にあわせて印加するバイアスを設定し、電界強度を1×10[V/cm]に設定する方法などが挙げられる。
上記表面固有抵抗率Rを測定する際の上記電子写真感光体の表面層の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、上記表面固有抵抗率Rは、上記表面層のどの位置を測定しても同等の数値を示し、例えば、電子写真感光体の表面層における上端部から70[mm]、170[mm]、及び270[mm]の三箇所の位置で測定した値の平均値を用いてもよい。
上記表面固有抵抗率Rを測定する際、上記表面層における電界強度を3×10[V/cm]に設定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被験サンプル上に作製した電極間の間隙にあわせて印加するバイアスを設定し、電界強度を3×10[V/cm]に設定する方法などが挙げられる。
上記表面固有抵抗率Rを測定する際の上記電子写真感光体の表面層の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、上記表面固有抵抗率Rは、上記表面層のどの位置を測定しても同等の数値を示し、例えば、電子写真感光体の表面層における上端部から70[mm]、170[mm]、及び270[mm]の三箇所の位置で測定した値の平均値を用いてもよい。
上記表面固有抵抗率R1.5を測定する際、上記表面層における電界強度を1.5×10[V/cm]に設定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被験サンプル上に作製した電極間の間隙にあわせて印加するバイアスを設定し、電界強度を1.5×10[V/cm]に設定する方法などが挙げられる。
上記表面固有抵抗率R1.5を測定する際の上記電子写真感光体の表面層の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、上記表面固有抵抗率R1.5は、上記表面層のどの位置を測定しても同等の数値を示し、例えば、電子写真感光体の表面層における上端部から70[mm]、170[mm]、及び270[mm]の三箇所の位置で測定した値の平均値を用いてもよい。
<<硬度>>
上記電子写真感光体の機械的耐久性や耐汚染性は、表面のごく狭い領域での物性に左右される。そのため、上記電子写真感光体の表面層における機械的耐久性や耐汚染性の指標として、ユニバーサル硬度を用いることが好ましい。
上記電子写真感光体の表面層におけるユニバーサル硬度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200[N/mm]以上が好ましく、250[N/mm]以上がより好ましい。上記ユニバーサル硬度が、200[N/mm]以上であると、トナー等に含有されるシリカ微粒子が表面層に刺さりにくくなり、耐汚染性及び機械的耐久性が飛躍的に向上する。なお、上記ユニバーサル硬度の上限値としては、特に規定はないが、表面層と下層との接着性を考慮すると、500[N/mm]以下が好ましい。
上記ユニバーサル硬度は、最大試験荷重Fで圧子を試料に接触させた際に生成した圧子と測定対象物との接触表面積をAとしたとき、F/Aと定義されるものであり、超微小硬度計により測定することができる。上記接触表面積Aは、押し込み深さhをもとに算出する。上記圧子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、四角錐形のビッカース圧子、三角錐形のベルコビッチ(バーコビッチ)圧子などが挙げられる。上記測定器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィッシャースコープ H−100(フィッシャー・インストルメンツ社製)などを用いることができる。
上記ユニバーサル硬度の測定は、例えば、電子写真感光体の状態で下記条件において5回測定することにより行い、それらの平均値を電子写真感光体のユニバーサル硬度とすることができる。
〔条件〕
装置:フィッシャースコープH−100(フィッシャー・インストルメンツ社製)
ソフト:WIN−HCU(フィッシャー・インストルメンツ社製)
最大試験荷重:1mN
荷重アプリケーション時間:30秒間
荷重の増加:1mN/30秒間
最大試験荷重でのクリープ:5秒間
荷重の減少:荷重の増加と同条件
徐荷後のクリープ:5秒間
圧子:SMC117
<<弾性仕事率>>
上記弾性仕事率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%以上が好ましく、55%以上がより好ましい。上記弾性仕事率の測定は、例えば、上記ユニバーサル硬度と同様の方法により測定することができる。上記弾性仕事率は、下記式(3)を用いて算出することができる。
弾性仕事率(%)=100×(最大変位−塑性変位)/最大変位 ・・・(3)
上記電子写真感光体の表面層における、上記ユニバーサル硬度が200[N/mm]以上、好ましくは250[N/mm]以上であって、上記弾性仕事率が50%以上、好ましくは55%以上である場合、電子写真感光体の耐汚染性、及び機械的耐久性共に向上する。
<<電荷輸送性を有しない樹脂>>
上記電荷輸送性を有しない樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電荷輸送性構造を有しない樹脂などが挙げられる。
上記電荷輸送性構造を有しない樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造;縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引性芳香族環などの電子輸送性構造を有しない樹脂などが挙げられる。
上記電荷輸送性構造を有しない樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、具体的には、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、フェノキシ樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本実施形態の表面層における電荷輸送性及び潜像維持性に優れる点で、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましく、ラジカル重合性官能基を有する化合物を光照射して架橋することにより得られる架橋構造を有する樹脂として、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂がより好ましく、上記架橋構造を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
−−アクリル樹脂−−
上記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートなどが挙げられる。
上記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、市販品を使用してもよく、適宜合成したものを使用してもよい。上記合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知のアクリル重合性化合物と公知のラジカル重合開始剤とを混合し、加熱、光照射等のエネルギーを付与して架橋することにより合成する方法が好ましい。
上記アクリル重合性化合物における重合性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋反応性の点で、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基などが好ましい。
上記アクリル重合性化合物の重合性官能基数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面層強度及び製膜性の点で、2個以上が好ましい。
上記アクリル重合性化合物の重合性官能基数が2個である化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
上記アクリル重合性化合物の重合性官能基数が3個である化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル重合性化合物と組み合わせて使用するラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等の熱重合開始剤;アセトフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等の光重合開始剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、光重合開始剤が好ましい。
上記ラジカル重合開始剤は単独で使用してもよく、光重合促進剤と併用してもよい。上記光重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル重合性化合物100質量部に対し、0.5質量部〜40質量部が好ましく、1質量部〜20質量部がより好ましい。
−−フェノール樹脂−−
上記フェノール樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、潜像維持性に優れ、酸触媒等の開始剤を必須とするノボラック樹脂と比較して上記開始剤を用いることなく架橋反応させることができる点で、レゾール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂としては、特に制限はなく、市販品を使用してもよく、適宜合成したものを使用してもよい。上記合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メチロール基を単位構造中に1個乃至複数個有するフェノール誘導体を加熱して架橋することにより合成する方法が好ましい。
上記メチロール基を単位構造中に1個乃至複数個有するフェノール誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面層強度及び製膜性に優れる点で、メチロール基を単位構造中に2個以上含有するフェノール誘導体が好ましい。
上記メチロール基を単位構造中に2個以上含有するフェノール誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノール類モノマーのジメチロール化合物、フェノール類モノマーのトリメチロール化合物、フェノール類ダイマー等の高分子体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フェノール類モノマーのジメチロール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール、2,4−ジヒドロキシメチル−6−メチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−3,4−ジメチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2,3−ジメチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、4−シクロヘキシル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2−シクロヘキシル−4,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−4−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−イソプロピルフェノール、6−シクロヘキシル−2,4−ジヒドロキシメチル−3−メチルフェノールなどが挙げられる。
上記フェノール類モノマーのトリメチロール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,4,6−トリヒドロキシメチルフェノールなどが挙げられる。
−−ウレタン樹脂−−
上記ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル系ウレタン樹脂、エーテル系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、市販品を使用してもよく、適宜合成したものを使用してもよい。上記合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知のポリオール化合物と公知のイソシアネート化合物とを混合し、加熱、光照射等のエネルギーを付与して架橋することにより合成する方法が好ましい。
上記ポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面強度及び製膜性に優れる点で、2官能以上のポリオール化合物が好ましい。
上記2官能以上のポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等のジオール化合物;多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、3価以上のフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等の3価以上のポリオール化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面層強度及び製膜性に優れる点で、2官能以上のイソシアネート化合物が好ましい。
上記2官能以上のイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、HDIイソシアネート体、HDIビウレット体、XDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIイソシアヌレート体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネート化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記ポリオール化合物100質量部に対し、0.5質量部〜40質量部が好ましく、1質量部〜20質量部がより好ましく、OH価及びNCO価に基づき適量を配合することが好ましい。
−−エポキシ樹脂−−
上記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、市販品を使用してもよく、適宜合成したものを使用してもよい。上記合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分子中に2個以上のエポキシ環を有するエポキシ環含有化合物と硬化剤とを混合し、加熱、光照射等のエネルギーを付与して架橋することにより合成する方法が好ましい。
上記エポキシ環含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱酸発生剤、光酸発生剤などが挙げられ、具体的には、脂肪族アミン化合物、脂環族アミン化合物、芳香族アミン化合物、変性アミン化合物、ポリアミドアミン、イミダゾール、ポリメルカプタン、酸無水物などが挙げられる。
上記硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記エポキシ環含有化合物100質量部に対し、0.5質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜10質量部がより好ましい。
−−シリコーン樹脂−−
上記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ビニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、市販品を使用してもよく、適宜合成したものを使用してもよい。上記合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、珪素原子に1つ以上の加水分解性基を有する反応性シリコーン化合物を単独又は縮合触媒と混合し、加熱等のエネルギーを付与して架橋することにより合成する方法が好ましい。
上記反応性シリコーン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面層強度に優れる点で、珪素原子に2つ以上の加水分解性基が結合している構造を有する反応性シリコーン化合物が好ましい。上記加水分解性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基などが挙げられる。
上記縮合触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、縮合反応に接触的に作用する触媒、縮合反応の反応平衡を生成系に移動させる働きをする触媒などが挙げられ、具体的には、有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸、チオシアン酸等のアルカリ金属塩;水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート等の有機アミン塩;スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等のスズ有機酸塩などが挙げられる。
上記縮合触媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記反応性シリコーン化合物100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜10質量部がより好ましい。
<<無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)>>
本実施形態において、表面層中の電荷輸送性材料含有量を低減した場合であっても、電子写真感光体の表面層に無機微粒子を分散させることにより、所望の表面抵抗率を制御し、電荷輸送性及び潜像維持性を有する電子写真感光体を得ることができることを突き止めた。
また、上記第13族元素をドープした酸化亜鉛を用いることにより、表面層の表面抵抗率を制御することができ、比較的導電性が高く、大気中で長期に亘って安定した電気特性を維持することができ、経時安定性に優れた表面層を形成することができる。
上記無機微粒子としては、第13族元素をドープした酸化亜鉛であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガリウム元素をドープした酸化亜鉛、ホウ素元素をドープした酸化亜鉛、アルミニウム元素をドープした酸化亜鉛、インジウム元素をドープした酸化亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電荷輸送性及び潜像維持性に優れ、表面層の電気的特性を維持できる点で、ガリウム元素をドープした酸化亜鉛が好ましい。
上記酸化亜鉛に上記第13族元素をドープする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「バルク母体である酸化亜鉛」又は「焼成することにより酸化亜鉛となる前駆体」と「ドープ金属」とを固体状態で混合して混合物を調製し、この混合物を高温雰囲気で焼成することにより形成する焼成法などが挙げられる。
ここで、ドープするとは、上記第13族元素を制御された濃度だけ上記酸化亜鉛に添加することをいう。
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)において、上記第13族元素がドープされていることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、X線光電子分光法(XPS)、オージェ分光分析法(AES)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)等の一般に知られる元素分析方法により確認する方法などが挙げられる。
上記第13族元素の上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化亜鉛1モルに対して、元素換算で、0.001モル〜0.2モルが好ましく、0.01モル〜0.1モルがより好ましく、0.02モル〜0.1モルが特に好ましい。上記含有量が、0.001モル未満であると、酸化亜鉛の電気特性安定性が低下することがある。また、上記含有量が、0.2モルを超えると、電気特性安定性や微粒子導電性向上効果が飽和することが多く、効果的な位置に拡散されない過剰の添加元素が粒界に化合物となって析出しやすくなるため、各種電子写真感光体特性が低下することがある。
上記第13族元素の上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)における含有量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、X線光電子分光法(XPS)、オージェ分光分析法(AES)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)等の一般に知られる元素分析方法により測定する方法などが挙げられる。
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)の平均一次粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面層の光透過率及び耐摩耗性に優れる点で、10[nm]〜50[nm]が好ましい。上記平均一次粒径が、10[nm]未満であると、無機微粒子の凝集が生じやすく、本実施形態に記載した表面抵抗率の制御が安定して行うことができないなどの不具合を生じやすくなることがある。上記平均一次粒径が、50[nm]を超えると、上記表面層における電荷輸送機能が不均質となりやすく、所望の潜像形成が困難となることがある。また、上記表面層の表面粗さが大きくなり、後述するブレードクリーニング部材の摩耗が速やかに進行するため、早期にトナークリーニング不良などが発生することがある。また、上記無機微粒子の比重にもよるが、分散液中において上記無機微粒子の沈降性が促進されるなどの塗工液寿命に関わる問題を生じることがある。
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)の平均一次粒径の測定は、走査型電子顕微鏡により3000倍〜10000倍の観察像を得た後、ランダムに選択した200個の粒子を画像解析ソフトにより算出することにより測定することができる。
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)の上記表面層における含有量としては、本実施形態に記載の表面抵抗率を得ることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本実施形態に記載の表面抵抗率に制御することが容易であるとともに、上記表面層の製膜性や耐摩耗性の低下を小さくできる点で、7体積%〜40体積%が好ましい。上記含有量が、7体積%未満であると、本実施形態に記載の表面抵抗率とすることが困難となることがあり、40体積%を超えると、上記表面層の製膜性の低下や耐摩耗性の低下などを引き起こすことがある。
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)の上記表面層における含有量を定量する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、元素分析及びそのマッピングを用いて定量する方法などが挙げられる。
上記元素分析及びそのマッピング方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エネルギー分散型X線検出器/走査型電子顕微鏡(EDS−SEM)などを用いて測定する方法などが挙げられる。なお、上記EDS−SEMは、被観察体を細く絞られた電子線で走査し、放出される二次電子量を検出することによって被観察体表面像を詳細(一般に50倍〜30万倍)に観察すると同時に、電子線照射により発生する特性X線を検出することにより、表面の微小領域の元素比率の分析や、特定元素のマッピングなどを行う装置である。
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)の上記表面層における含有量の測定について具体的に説明する。
まず、電子写真感光体の断面構造をミクロトーム、FIB等の一般に用いられる方法で露出させた後に、上記記載の方法で電子写真感光体断面の無機微粒子の構成元素のマッピングを行い、無機微粒子構成元素検出面積を観察面積で除することによって、観察断面における有機無機複合微粒子の占める面積割合を得る。次いで、その面積比率を体積比率に換算(面積比率の3/2乗)することにより、該有機無機複合微粒子の表面層に占める割合を得ることができる。
上記無機微粒子の表面層中への分散方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する表面層用塗工液中で一般に用いられる分散方法などが挙げられる。上記分散方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミル、サンドミル、KDミル、3本ロールミル、圧力式ホモジナイザー、超音波分散などが挙げられる。
<<電荷輸送性を有しない樹脂と無機微粒子との組合せ>>
上記電荷輸送性を有しない樹脂と無機微粒子との組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電気的特性に優れ、かつ高画質な画像出力を維持することができる点で、アクリル樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せ、ポリカーボネート樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せ、ポリアリレート樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せ、スチレン樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せ、フェノール樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せ、ウレタン樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せ、シリコーン樹脂とガリウム元素をドープした酸化亜鉛との組合せが好ましい。
<<添加剤>>
上記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属微粒子、反応性有機基を有する化合物、分散剤、界面活性剤、電荷輸送性化合物、可塑剤、レベリング剤などが挙げられる。
−金属微粒子−
上記金属微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化カルシウム、ITO、酸化シリコン、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化セレン、窒化硼素、窒化珪素などが挙げられる。
−反応性有機基を有する化合物−
上記反応性有機基を有する化合物は、本実施形態で規定する表面抵抗率を有する表面層とするために、また、電子写真感光体の機能増強や分散性向上等を目的として、第13族元素をドープした酸化亜鉛を表面修飾するために添加される。
上記反応性有機基を有する化合物としては、無機微粒子表面の水酸基等と反応性を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機金属カップリング剤などが挙げられ、具体的には、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタネートカップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウムカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記反応性有機基を有する化合物により上記第13族元素をドープした酸化亜鉛の表面を修飾する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記第13族元素をドープした酸化亜鉛をヘンシェルミキサーなどの高速攪拌機にいれて攪拌しながら、上記有機金属カップリング剤を含有する水又はアルコール溶液を添加し、均一となるように攪拌した後に乾燥する乾式法;上記第13族元素をドープした酸化亜鉛を水又はアルコール溶液中に分散させたスラリーを準備し、攪拌しながら上記有機金属カップリング剤又は上記有機金属カップリング剤を含有する水やアルコール溶液に添加し、十分に攪拌した後に濾過、洗浄、乾燥する湿式法などが挙げられる。
上記反応性有機基を有する化合物の被覆量としては、特に制限はなく、有機金属カップリング剤の被覆量は増強したい機能や母体粒子の分散性等の目的に応じて適宜選択することができるが、無機微粒子の全量に対して、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.05質量%〜15質量%がより好ましい。上記被覆量が、0.01質量%未満であると、機能増強や分散性向上の効果が得にくくなり、30質量%を超えると、有機金属カップリング剤が余剰に無機微粒子に付着した状態となり、これにより電子写真感光体の電気特性が低下することがある。
−分散剤−
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)を表面層中に良好に分散させる場合、分散剤を用いてもよい。上記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、無機微粒子の粒径等の目的に応じて適宜選択することができるが、無機微粒子の全量に対して、0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましい。上記含有量が、0.5質量%未満であると、上記無機微粒子の分散効果が得られないことがあり、30質量%を超えると、残留電位の著しい上昇を引き起こす等の不具合を生じることがある。
−界面活性剤−
上記無機微粒子(第13族元素をドープした酸化亜鉛)を表面層中に良好に分散させる場合、界面活性剤を用いてもよい。上記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、無機微粒子の粒径等の目的に応じて適宜選択することができるが、無機微粒子の全量に対して、0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましい。上記含有量が、0.5質量%未満であると、上記無機微粒子の分散効果が得られないことがあり、30質量%を超えると、残留電位の著しい上昇を引き起こす等の不具合を生じることがある。
−電荷輸送性化合物−
上記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造を有する公知の正孔輸送物質;電子吸引性芳香族環(縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等)などの電子輸送構造を有する公知の電子輸送物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記電荷輸送性を有しない樹脂として、上記架橋重合体を用いる場合には、上記架橋重合体に対して反応性を有する官能基、例えば、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を有する電荷輸送材料を用いてもよい。
上記電荷輸送性化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電荷輸送性化合物の劣化による電子写真感光体特性の低下の影響を小さくすることができる点で、上記電荷輸送性を有しない樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。
上記電荷輸送性化合物の表面層における含有量を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、X線光電子分光法(XPS)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、波長分散型X線分析装置(WDX)等の元素分析により測定する方法、試薬により染色された染色量に基づき測定する方法、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により測定する方法などが挙げられる。これらの中でも、定量が簡便であり汎用性が高い点で、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により測定された各ピーク強度の比をもとに作成した検量線に基づき定量することが好ましい。
上記検量線としては、例えば、上記電荷輸送性化合物を既知量配合して上記表面層を作製し、上記電荷輸送性化合物に特徴的な振動ピークの強度(ピーク高さ又はピーク面積)を上記FT−IRにより測定し、得られた各振動ピーク強度の比に基づき作成する。上記検量線の精度を高めるために、2水準〜5水準の配合量で作製した表面層を作製し、上記FT−IRにより測定して得られた振動ピーク強度をもとに検量線を作成してもよい。上記振動ピーク強度としては、上記電荷輸送性化合物に特徴的な振動ピークの強度(ピーク高さ又はピーク面積)を用いることが好ましく、反応性に乏しく膜中の配合比が既知である、カルボニル由来の振動ピーク強度を用いることがより好ましい。
上記電荷輸送性化合物の表面層における含有量の測定方法を具体的に説明する。
まず、上記検量線の作成について説明する。
上記検量線は、上記電荷輸送性化合物未添加の表面層におけるカルボニル由来の振動ピーク強度から算出された面積をα0とし、上記電荷輸送性化合物添加の表面層におけるカルボニル由来の振動ピーク強度から算出された面積をβ0とし、上記表面層全量に対して電荷輸送性化合物を20質量%、40質量%、及び60質量%を添加した場合の各振動ピーク強度から算出される面積を、それぞれα20、α40、及びα60、並びにβ20、β40、β60とした場合、振動強度比(βx/αx)と電荷輸送性化合物の添加量とをプロットすることにより作成する。
次に、電荷輸送性化合物含有量未知の表面層について、上述した方法と同様の方法により、上記FT−IRのATR法で測定を行い、上記振動強度比を算出し、検量線に基づいて電荷輸送性化合物含有量を算出する。上記表面層における電荷輸送性化合物の含有量を求める場合は、一般に知られるエッチング法や表面層断面形成手段(ミクロトームなど)により電荷輸送性化合物含有量を測定したい箇所を露出させ、上述した方法と同様の方法により電荷輸送性化合物の含有量を算出する。
−可塑剤−
上記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記電荷輸送性を有しない樹脂100質量部に対して、0質量部〜30質量部が好ましい。
−レベリング剤−
上記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマー;などが挙げられる。上記レベリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記電荷輸送性を有しない樹脂100質量部に対して、0質量部〜1質量部が好ましい。
<<表面層の形成方法>>
上記表面層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記電荷輸送性を有しない樹脂、上記無機微粒子、及び上記添加剤を含む塗工液を、電子写真感光体における感光層の表面に塗工した後、加熱乾燥を行い、硬化することにより形成する方法などが挙げられる。
上記塗工液の塗工方法としては、特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする表面層の膜厚等の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
上記塗工液は、常温で固体又は比較的高粘性液体であることから、溶媒に溶解して作製することが好ましい。上記溶媒としては、上記表面層を構成する上述した成分を溶解乃至分散させることができる溶媒であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記表面層中に残留する上記溶媒を除去するために、上記方法で表面層を形成した後に加熱乾燥処理することが好ましい。
上記加熱する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素等の気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波等の熱エネルギーを塗工面側又は上記導電性支持体側から加熱する方法などが挙げられる。
上記加熱する際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100[℃]〜170[℃]が好ましい。上記温度が、100[℃]未満であると、上記表面層中に残留する溶媒が多くなりやすく、電子写真感光体特性に影響を与えることがあり、170[℃]を超えると、上記表面層に隣接する感光層中の低分子量成分が、上記表面層に移行しやすくなり、本実施形態に記載した表面抵抗率の制御やその他特性の低下を引き起こす恐れがある。
上記表面層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度及び応答性に優れる点で、10[μm]以下が好ましく、8[μm]以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、帯電性及び摩耗耐久性の観点から、3[μm]以上が好ましい。
<感光層>
上記感光層としては、積層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
<<単層型感光層>>
上記単層型感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを同時に有する層である。
上記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及び結着樹脂を含有し、更に必要に応じて可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等のその他の成分を含有する。
−電荷発生物質−
上記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。上記電荷発生物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記結着樹脂100質量部に対し、5質量部〜40質量部が好ましい。
−電荷輸送物質−
上記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。上記電荷輸送物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記結着樹脂100質量部に対し、190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
−結着樹脂−
上記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の結着樹脂などが挙げられる。
−単層型感光層の形成方法−
上記単層型感光層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂、その他の成分等を分散機を用いて適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等)に溶解乃至分散して得られた塗工液を、塗布乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
上記塗工液を塗工する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコートなどが挙げられる。また、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
上記単層型感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5[μm]〜25[μm]が好ましい。
<<積層型感光層>>
上記積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に有し、更に必要に応じてその他の層を有する。なお、上記電荷発生層、上記電荷輸送層、及び上記その他の層は、従来公知のものを使用することができる。
上記積層型感光層において、上記電荷発生層と上記電荷輸送層との積層順としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、上記電荷発生層の上に上記電荷輸送層を積層することが好ましい。
−電荷発生層−
上記電荷発生層は、電荷発生物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じて上述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。
−−電荷発生物質−−
上記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。
−−−無機系材料−−−
無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン(例えば、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子等でターミネートしたもの;ホウ素原子、リン原子等をドープしたものなどが好適)などが挙げられる。
−−−有機系材料−−−
上記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−結着樹脂−−
上記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記結着樹脂としては、上述の結着樹脂の他に、電荷輸送機能を有する電荷輸送性高分子材料を含んでもよく、例えば、アリールアミン骨格、ベンジジン骨格、ヒドラゾン骨格、カルバゾール骨格、スチルベン骨格、ピラゾリン骨格等を有する、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料、ポリシラン骨格を有する高分子材料などを用いることができる。
−−その他の成分−−
上記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電荷輸送物質、溶媒、レベリング剤などが挙げられ、上述の酸化防止剤を含んでもよい。
上記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
−−−低分子電荷輸送物質−−−
上記低分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。
上記電子輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記正孔輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−溶媒−−−
上記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−レベリング剤−−−
上記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−電荷発生層の形成方法−−
上記電荷発生層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記電荷発生物質及び上記結着樹脂を上記溶媒等の上記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、上記導電性支持体上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、上記塗工液は、前述のキャスティング法により塗布することができる。
上記電荷発生層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01[μm]〜5[μm]が好ましく、0.05[μm]〜2[μm]がより好ましい。
−電荷輸送層−
上記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
上記電荷輸送層は、電荷輸送物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
−−電荷輸送性物質−−
上記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。
上記電荷輸送物質の電荷輸送層全量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。上記含有量が、20質量%未満であると、電荷輸送層の電荷輸送性が小さくなることにより所望の光減衰特性が得られないことがあり、80質量%を超えると、画像形成工程から感光体が受ける各種ハザードによって必要以上に摩耗することがある。一方、上記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、上記特に好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られるとともに、使用によっても摩耗量が少ない電子写真感光体を得ることができる点で有利である。
−−−電子輸送物質−−−
上記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−正孔輸送物質−−−
上記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−高分子電荷輸送物質−−−
上記高分子電荷輸送物質は、後述する結着樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持材料である。特に、本実施形態に記載している非晶質酸化物を中間層に適用した場合には、電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を適用することにより、帯電性低下や地汚れの発生が抑制されることがわかっており、好適である。
上記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体(例えば、特許第3852812号公報、特許第3990499号公報等に記載のトリアリールアミン構造を有する重合体等)、電子供与性基を有する重合体、その他の重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、摩耗耐久性や製膜性の点で、後述する結着樹脂と併用してもよい。
上記高分子電荷輸送物質の電荷輸送層全質量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電荷輸送性の両立の観点から、上記高分子電荷輸送物質と上記結着樹脂とを併用する場合、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
−−結着樹脂−−
上記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、上記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
−−その他の成分−−
上記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤などが挙げられ、上述した酸化防止剤を含んでもよい。
上記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
−−−溶媒−−−
上記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上記電荷発生層と同様なものが使用できるが、上記電荷輸送物質及び上記結着樹脂を良好に溶解する溶媒が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
−−−可塑剤−−−
上記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤などが挙げられる。
−−−レベリング剤−−−
上記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー乃至オリゴマーなどが挙げられる。
−−電荷輸送層の形成方法−−
上記電荷輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記電荷輸送物質及び上記結着樹脂を上記溶媒等の上記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、上記電荷発生層上に塗布して加熱乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
上記電荷輸送層形成の際に用いる上記塗工液の塗工方法としては、特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚み等の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
上記電荷輸送層は、電子写真特性や膜粘性の観点から、何らかの手段を用いて加熱を行い、上記溶媒を上記電荷輸送層中から取り除く必要がある。
上記加熱する方法としては、例えば、空気、窒素等の気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波等の熱エネルギーを塗工面側又は支持体側から加熱する方法などが挙げられる。
上記加熱する際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100[℃]〜170[℃]が好ましい。上記温度が、100[℃]未満であると、膜中の有機溶媒を十分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることがあり、170[℃]を超えると、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂の発生、隣接層との界面で剥離の発生などが生じるだけでなく、感光層中の揮発性成分が外部に霧散した場合、所望の電気特性が得られなくなることがある。
上記電荷輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度乃至応答性の点から、50[μm]以下が好ましく、45[μm]以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、5[μm]以上が好ましい。
−その他の層−
上記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下引き層、中間層などが挙げられる。
−−下引き層−−
上記下引き層は、上記導電性支持体と上記感光層との間に設けることができる。
上記下引き層は、樹脂を含み、更に必要に応じて上述の酸化防止剤、微粉末顔料、カップリング剤等のその他の成分を含む。
上記下引き層に含まれる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、上記樹脂の上に感光層を溶媒で塗布する点で、一般の有機溶媒に対して耐溶媒性の高い樹脂が好ましい。
上記下引き層に含まれる微粉末顔料としては、モアレ防止、残留電位の低減等を図ることができる顔料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物などが挙げられる。
上記下引き層に含まれるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などが挙げられる。
上記下引き層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層であってもよく、上記種類の組合せで2層以上の積層であってもよい。
上記下引き層の形成方法としては、特に制限はなく、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができ、例えば、Alを陽極酸化して形成する方法、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物;SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物;を真空薄膜作製法にて形成する方法などが挙げられる。
上記下引き層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1[μm]〜5[μm]が好ましい。
−−中間層−−
上記中間層は、上記電荷輸送層と上記架橋型電荷輸送層との間に、上記架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善することを目的として設けることができる。
上記中間層は、架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが適しており、結着樹脂を含み、更に必要に応じて上述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。
上記中間層に含まれる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
上記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記感光層と同様の適当な溶媒及び塗工法を用いて形成する方法などが挙げられる。
上記中間層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05[μm]〜2[μm]が好ましい。
<導電性支持体>
上記導電性支持体としては、体積抵抗値が1×1010[Ω・cm]以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスベルト(エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等)を用いてもよい。
上記導電性支持体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属(アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等)又は金属酸化物(酸化スズ、酸化インジウム等)を蒸着又はスパッタリングして、支持体(フィルム状、円筒状等のプラスチック、紙等)に被覆することにより形成する方法;金属(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等)の板を押出し、引抜き等を行い、表面処理(素管化後、切削、超仕上げ、研摩等)を施して形成する方法などが挙げられる。
上記導電性支持体は、上記導電性支持体上に導電性層を設けてもよい。
上記導電性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性粉体及び結着樹脂を、必要に応じて溶媒に分散乃至溶解して得られた塗工液を上記導電性支持体上に塗布することにより形成する方法、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に上記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて形成する方法などが挙げられる。
上記導電性粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素微粒子;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。
上記導電性層に用いる結着樹脂として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、具体的には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
上記導電性層に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。
以下では、本実施形態における電子写真感光体のいくつかの構成例について説明する。
<構成例1>
構成例1に係る電子写真感光体の層構成について、図11を用いて説明する。
図11は、単層型感光層を有する構成であり、導電性支持体21上に、単層型感光層26及び表面層25を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。
<構成例2>
構成例2に係る電子写真感光体の層構成について、図12を用いて説明する。
図12は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体21上に、電荷発生層23、電荷輸送層24、及び表面層25を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層23及び電荷輸送層24が感光層に該当する。
<構成例3>
構成例3に係る電子写真感光体の層構成について、図13を用いて説明する。
図13は、図12の構成を有する電子写真感光体に、更に中間層を設けた構成を有する。
図13は、導電性支持体21上に、中間層22、電荷発生層23、電荷輸送層24、及び表面層25を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層23及び電荷輸送層24が感光層に該当する。
<構成例4>
構成例4に係る電子写真感光体の層構成について、図14を用いて説明する。
図14は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体21上に、電荷輸送層24、電荷発生層23、及び表面層25を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層23及び電荷輸送層24が感光層に該当する。
次に、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本実施形態の感光体として使用可能なものは下記の実施例に制限されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて質量部を表す。
(実施例1)
直径φ40[mm]のアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、厚み3.5[μm]の下引き層、厚み0.2[μm]の電荷発生層、及び厚み20[μm]の電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・ アルキッド樹脂 ・・・ 12部
(ベッコゾール1307−60−EL、DIC社製)
・ メラミン樹脂 ・・・ 8部
(スーパーベッカミン G−821−60、DIC社製)
・ 酸化チタン ・・・ 80部
(CR−EL、石原産業社製)
・ メチルエチルケトン ・・・ 250部〔電荷発生層用塗工液〕
・ 下記構造式(1)のビスアゾ顔料 ・・・ 2.5部
・ ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) ・・・ 0.5部
・ シクロヘキサノン ・・・ 200部
・ メチルエチルケトン ・・・ 80部
Figure 2014089224
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 下記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 7部
・ テトラヒドロフラン ・・・ 100部
・ 1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 ・・・ 1部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
Figure 2014089224
次いで、下記組成の表面層用塗工液を上記導電性支持体、下引き層、電荷発生層、及び電荷輸送層をこの順で有する積層体上に下記表面層用塗工液を用いてスプレー塗工法にて厚み4.5[μm]の表面層を成膜し、150[℃]、30分間の条件で加熱して電子写真感光体を得た。
なお、上記表面層用塗工液は、下記のように調製した。まず、ジルコニア製ビーズ(平均粒子径:0.1[mm])を110[g]投入した50[mL]容器に、Alドープ酸化亜鉛、界面活性剤、及びシクロヘキサノンを入れ、1500[rpm]の振動条件で2時間の振動分散を行い、Alドープ酸化亜鉛を分散させた分散液を調製した。次に、上記分散液を、シルコニア製ビーズ(平均粒子径:5[mm])を60[g]投入した50[mL]容器に移し替え、200[rpm]の回転速度で24時間の分散を行い、ミルベースを調製した。そして、ビスフェノールZポリカーボネートを溶解したテトラヒドロフラン溶液に、上記ミルベースを添加して、下記組成の表面層用塗工液を調製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Alドープ酸化亜鉛 ・・・ 33.3部
(Pazet CK、平均粒径35[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤(低分子量不飽和ポリカルボン酸のポリマー) ・・・ 1.7部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 711部
・ シクロヘキサノン ・・・ 178部
(実施例2)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Alドープ酸化亜鉛 ・・・ 53.8部
(Pazet CK、平均粒径35[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 2.7部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 821部
・ シクロヘキサノン ・・・ 205部
(実施例3)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Alドープ酸化亜鉛 ・・・ 100部
(Pazet CK、平均粒径35[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 5.0部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1067部
・ シクロヘキサノン ・・・ 267部
(実施例4)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Alドープ酸化亜鉛 ・・・ 150部
(Pazet CK、平均粒径35[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 7.5部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1333部
・ シクロヘキサノン ・・・ 333部
(実施例5)
実施例1のAlドープ酸化亜鉛をGaドープ酸化亜鉛(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
実施例2のAlドープ酸化亜鉛をGaドープ酸化亜鉛(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例7)
実施例3のAlドープ酸化亜鉛をGaドープ酸化亜鉛(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例8)
実施例4のAlドープ酸化亜鉛をGaドープ酸化亜鉛(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例9)
実施例1で用いた表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 上記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 10部
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 110部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 5.5部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1173部
・ シクロヘキサノン ・・・ 293部
(実施例10)
実施例1で用いた表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 上記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 20部
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 120部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 6.0部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1280部
・ シクロヘキサノン ・・・ 320部
(実施例11)
実施例1で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例12)
実施例2で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例2と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例13)
実施例3で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例14)
実施例4で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例15)
実施例5で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例5と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例16)
実施例6で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例6と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例17)
実施例7で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例7と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例18)
実施例8で用いた表面層用塗工液において、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例8と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例19)
実施例9で用いた表面層用塗工液おいて、電荷輸送性化合物を下記構造式(3)の電荷輸送性化合物に変更し、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施して得られた樹脂に変更した以外は、実施例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
Figure 2014089224
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例20)
実施例10で用いた表面層用塗工液おいて、電荷輸送性化合物を上記構造式(3)の電荷輸送性化合物に変更し、電荷輸送性を有しない樹脂を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部とを混合して、下記に示した紫外線照射及び乾燥プロセスを実施した以外は実施例10と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔紫外線照射及び乾燥プロセス〕
導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に上記表面層用塗工液を塗布したものを回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度900[mW/cm]、照射時間120秒間の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130[℃]で30分間、乾燥を行った。
(実施例21)
実施例12のAlドープ酸化亜鉛(Pazet CK、平均粒径35[nm]、ハクスイテック社製)をAlドープ酸化亜鉛(23−K、平均粒径152[nm]、ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例12と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例22)
実施例13のAlドープ酸化亜鉛(Pazet CK、平均粒径35[nm]、ハクスイテック社製)をAlドープ酸化亜鉛(23−K、平均粒径152[nm]、ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例23)
実施例17の表面層用塗工液で用いたトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部を、下記樹脂に変更した以外は、実施例17と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔樹脂〕
[1]及び[2]の化合物を混合して得られた樹脂
[1]トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 40部
(TMPTA、東京化成社製)
[2]下記構造式で表される化合物 ・・・ 60部
(ビスフェノールA型アクリレートモノマー、サートマー社製)
Figure 2014089224
(実施例24)
実施例17の表面層用塗工液で用いたトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成社製)100部を、下記樹脂に変更した以外は、実施例17と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔樹脂〕
[1]及び[2]の化合物を混合して得られた樹脂
[1]トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 80部
(TMPTA、東京化成社製)
[2]下記構造式で表される化合物 ・・・ 20部
(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製)
Figure 2014089224
(実施例25)
実施例3の電荷輸送性を有しない樹脂をポリアリレート樹脂(U−100、ユニチカ社製)に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例26)
実施例3の電荷輸送性を有しない樹脂をスチレン樹脂(製品名:セプトン2043、クラレ社製)に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例27)
実施例3の電荷輸送性を有しない樹脂をフェノール樹脂(製品名:PR9480、住友ベークライト社製)に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例28)
実施例3の電荷輸送性を有しない樹脂を下記樹脂に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
下記[1]及び[2]の化合物をOH価/NCO価=1.0となるように反応させて得られた樹脂
[1]下記構造式(4)のポリオール化合物
[2]イソシアネート化合物(タケネートD140N、三井武田ケミカル社製)
Figure 2014089224
(実施例29)
実施例3の電荷輸送性を有しない樹脂を下記の方法により調製した化合物に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔化合物の調製〕
下記処方の液を60[℃]の温度条件で2時間攪拌を行った後、錫有機酸塩(nBu・Sn(OAc))を0.016部添加して、40[℃]の温度条件で3時間攪拌することにより上記化合物を得た。
・ メチルトリメトキシシラン ・・・ 10部
・ 1%酢酸水溶液 ・・・ 5部
・ n−ブタノール ・・・ 15部
(比較例1)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 533部
・ シクロヘキサノン ・・・ 133部
(比較例2)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 上記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 10部
・ テトラヒドロフラン ・・・ 587部
・ シクロヘキサノン ・・・ 147部
(比較例3)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 上記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 20部
・ テトラヒドロフラン ・・・ 640部
・ シクロヘキサノン ・・・ 160部
(比較例4)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 533部
・ シクロヘキサノン ・・・ 133部
(比較例5)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 ・・・ 10部
・ テトラヒドロフラン ・・・ 587部
・ シクロヘキサノン ・・・ 147部
(比較例6)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 ・・・ 20部
・ テトラヒドロフラン ・・・ 640部
・ シクロヘキサノン ・・・ 160部
(比較例7)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 5.3部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 0.3部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 561部
・ シクロヘキサノン ・・・ 140部
(比較例8)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 11.1部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 0.6部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 593部
・ シクロヘキサノン ・・・ 148部
(比較例9)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 233.3部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 11.7部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1779部
・ シクロヘキサノン ・・・ 444部
(比較例10)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 5.3部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 0.3部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 561部
・ シクロヘキサノン ・・・ 140部
(比較例11)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 11.1部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 0.6部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 593部
・ シクロヘキサノン ・・・ 148部
(比較例12)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 233.3部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 11.7部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1779部
・ シクロヘキサノン ・・・ 444部
(比較例13)
実施例1の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 上記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 30部
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 130部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 6.5部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1387部
・ シクロヘキサノン ・・・ 347部
(比較例14)
実施例1の表面層用塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ ビスフェノールZポリカーボネート ・・・ 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・ 上記構造式(2)の電荷輸送性化合物 ・・・ 40部
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 140部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 7.0部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1493部
・ シクロヘキサノン ・・・ 373部
(比較例15)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 ・・・ 30部
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 130部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 6.5部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1387部
・ シクロヘキサノン ・・・ 347部
(比較例16)
実施例11の表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 ・・・ 40部
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ Gaドープ酸化亜鉛 ・・・ 140部
(Pazet GK−40、平均粒径32[nm]、ハクスイテック社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 7.0部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1493部
・ シクロヘキサノン ・・・ 373部
(比較例17)
実施例1の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例18)
実施例2の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例19)
実施例3の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例20)
実施例4の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例21)
実施例11の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek
ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例22)
実施例12の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek
ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例12と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例23)
実施例13の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek
ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例24)
実施例14の表面層用塗工液に用いたAlドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛(Nanotek
ZnO、平均粒径34[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は、実施例14と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例25)
実施例11で用いた表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 酸化チタン微粒子 ・・・ 53.8部
(Nanotek TiO2、平均粒径36[nm]、シーアイ化成社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 2.7部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 821部
・ シクロヘキサノン ・・・ 205部
(比較例26)
実施例11で用いた表面層用塗工液を下記表面層用塗工液に変更した以外は、実施例11と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ トリメチロールプロパントリアクリレート ・・・ 100部
(TMPTA、東京化成社製)
・ 光重合開始剤 ・・・ 5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュアI−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・ 酸化チタン微粒子 ・・・ 100部
(Nanotek TiO2、平均粒径36[nm]、シーアイ化成社製)
・ 界面活性剤 ・・・ 5.0部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・ テトラヒドロフラン ・・・ 1067部
・ シクロヘキサノン ・・・ 267部
(比較例27)
比較例25の表面層用塗工液に用いた酸化チタン微粒子を酸化アルミニウム微粒子(Nanotek Al2O3、平均粒径31[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は比較例25と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例28)
比較例26の表面層用塗工液に用いた酸化チタン微粒子を酸化アルミニウム微粒子(Nanotek Al2O3、平均粒径31[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は比較例26と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例29)
比較例25の表面層用塗工液に用いた酸化チタン微粒子を酸化錫微粒子(Nanotek SnO2、平均粒径21[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は比較例25と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例30)
比較例26の表面層用塗工液に用いた酸化チタン微粒子を酸化錫微粒子(Nanotek SnO2、平均粒径21[nm]、シーアイ化成社製)に変更した以外は比較例26と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の特性>
実施例で作製した電子写真感光体を表1に示し、比較例で作製した電子写真感光体を表2示す。
Figure 2014089224
Figure 2014089224
<表面抵抗率測定>
各電界強度における電子写真感光体の表面抵抗率を測定した。
上記表面固有抵抗率Rは、上記表面層における電界強度が1×10[V/cm]であるときの表面固有抵抗率を測定した。上記電界強度(1×10[V/cm])の設定は、電極(長さ:10[mm]、電極間隙:25[μm])を電子写真感光体表面に形成し、上記電極間隙から算出される適性バイアスを電極に印加することにより行った。上記表面固有抵抗率Rは、電子写真感光体の表面層における上端部から70[mm]、170[mm]、及び270[mm]の三箇所の位置で測定した値の平均値とした。
上記表面固有抵抗率Rは、上記表面層における電界強度が3×10[V/cm]であるときの表面固有抵抗率を測定した。上記電界強度(3×10[V/cm])の設定は、電極(長さ:10[mm]、電極間隙:25[μm])を電子写真感光体表面に形成し、上記電極間隙から算出される適性バイアスを電極に印加することにより行った。上記表面固有抵抗率Rは、電子写真感光体の表面層における上端部から70[mm]、170[mm]、及び270[mm]の三箇所の位置で測定した値の平均値とした。
上記表面固有抵抗率R1.5は、上記表面層における電界強度が1.5×10[V/cm]であるときの表面固有抵抗率を測定した。上記電界強度(1.5×10[V/cm])の設定は、電極(長さ:10[mm]、電極間隙:25[μm])を電子写真感光体表面に形成し、上記電極間隙から算出される適性バイアスを電極に印加することにより行った。上記表面固有抵抗率R1.5は、電子写真感光体の表面層における上端部から70[mm]、170[mm]、及び270[mm]の三箇所の位置で測定した値の平均値とした。
各表面抵抗率の測定は、下記条件にて行った。実施例の結果を表3に示し、比較例の結果を表4に示す。
・電流−電圧計:Keithley社製 ソースメジャーユニット タイプ2410
・電極金属 :金
・電極長さ :10[mm]
・電極間隙 :25[μm]
・測定雰囲気 :25[℃]/50%RH
・測定時間 :70秒間(電圧印加後60秒後の電流値から表面抵抗を算出)
Figure 2014089224
Figure 2014089224
−低電界における表面抵抗率−
上記表1の結果から、実施例1〜29の電子写真感光体は、低電界(1×10[V/cm])において表面抵抗率が1×1013[Ω/cm]以上を示し、低電界(1×10[V/cm])においては高抵抗を示すことがわかった。また、実施例1〜29の電子写真感光体における表面固有抵抗率Rと表面固有抵抗率Rとの比(R/R)については、10以下を示す結果となっており、低電界強度領域での表面抵抗率が極めて安定していることがわかった。
一方、上記表2の結果から、比較例1〜8及び10〜11の電子写真感光体は、上記同様に低電界(1×10[V/cm])において表面抵抗率が比較的高い(1013[Ω/cm])状態を維持していたが、比較例9及び12〜16の電子写真感光体は、低電界において表面抵抗率が低いことがわかった。これは、無機微粒子や電荷輸送性化合物の含有量に由来した現象であることが示唆された。但し、表面固有抵抗率Rと表面固有抵抗率Rとの比(R/R)については、比較例9、12、20、及び24の電子写真感光体を除き、実施例同等の低い数値を示しており、低電界における表面抵抗率は安定であることが示された。比較例9、12、20、及び24の電子写真感光体における表面固有抵抗率Rと表面固有抵抗率Rとの比(R/R)は10を上回っており、低電界における表面抵抗率が不安定であることがわかった。
比較例17〜30の電子写真感光体は、第13族元素がドープされた酸化亜鉛を用いておらず、低電界(1×10[V/cm])において表面抵抗率が比較的高い(1013[Ω/cm])状態を維持し、表面固有抵抗率Rと表面固有抵抗率Rとの比(R/R)が実施例同等の低い数値を示す結果となった。
−高電界における表面抵抗率−
また、実施例1〜29の電子写真感光体は、低電界強度と比較して高電界強度の表面抵抗率は2〜4桁小さくなる傾向であった。特に無機微粒子の含有量が多い場合、低電界強度の表面抵抗率と高電界強度の表面抵抗率との比は大きくなり、約4000程度に達することがわかった。この挙動は表面層に少量の電荷輸送性化合物が含有される場合(電荷輸送性を有しない樹脂100質量部に対して電荷輸送性化合物が20質量部以下、含有される場合)も同様の傾向が見られ、本実施形態に記載の電荷輸送性化合物の含有量であれば、表面抵抗率への影響は小さく抑えることができ、電荷輸送機能を増強することが示唆された。
一方、比較例1〜6の電子写真感光体は、無機微粒子を含有しないものであり、実施例の電子写真感光体と比較して低電界強度の表面抵抗率と高電界強度の表面抵抗率との比(R/R1.5)が小さく、電荷輸送性化合物が含有されていた場合であっても、その比はそれほど大きくなることはなかった。
比較例7、8、10、及び11の電子写真感光体は、無機微粒子の含有量が少なく高電界強度においても、低電界強度の表面抵抗率と高電界強度の表面抵抗率との比(R/R1.5)が大きくならず、高電界における電荷輸送性が乏しいことが示唆された。
比較例9、12の電子写真感光体のように、無機微粒子の含有量が多い場合には、低電界強度の表面抵抗率と高電界強度の表面抵抗率との比(R/R1.5)は大きくなり、5,000以上の値を示すことがわかった。これは無機微粒子の含有量が多く、粒子同士の接触による導電パスが多い状態となり、電界が高い場合、膜抵抗が小さくなり易いからである。
比較例13〜16の電子写真感光体は、無機微粒子及び電荷輸送性化合物を併用し、電荷輸送性化合物の含有量が多いものであり、低電界強度での表面抵抗率が低いため、高電界強度での表面抵抗率も低くなるが、その比はそれほど大きくならないことがわかった。
(評価)
実施例及び比較例で作製した電子写真感光体について、下記評価を実施した。
<長期使用前後における電子写真感光体の電気特性及び画像出力の評価>
画像形成装置(Imagio MP C5000、株式会社リコー製)の感光体ユニットから帯電ユニットを除く部材(クリーニングブレード等)を取り除いた改造感光体ユニットを用いてランニング試験に用いた。実施例及び比較例で作製した電子写真感光体を取り付けた改造感光体ユニットを画像形成装置(Imagio MP C5000)の改造機にセットし、通紙を行わず帯電、現像のみを繰り返し実施できるようにした。帯電条件としては、帯電ローラを用い、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク電圧Vppを約1.9[kV]、周波数fを約900[Hz]、直流電圧を−650[V]、電子写真感光体の回転速度を230[mm/sec]に設定した。現像条件としては、655[nm]のLDを用い、書き込みパターンを100%書き込みパターン(全ベタ)とした。本条件で10万枚のランニング(5%テストパターン/帯電−露光電位差550[V]/電子写真感光体静電容量110[pF/cm])と同等の静電疲労を電子写真感光体に負荷するためには、約2.5時間のランニングによって達成できることが通過電荷量計算からわかっており、電気特性の評価では、ランニング10万枚相当の静電疲労試験を上述の改造機を用いて実施した。また、画像出力の評価では、画像出力時の初期空転プロセスをなくすように改造したIPSiO MP C5000改造機を用いて実施した。
電気特性及び画像出力の評価では、トナーとして、Imagioトナータイプ27(株式会社リコー製)を用い、用紙としてはNBS MyPaper(A4サイズ、株式会社リコー製)を用いた。
−電気特性の評価−
電気特性の評価は、スタート時の感光体表面電位を−650[V]として、上記静電疲労前後における機内電位(帯電後電位及び露光部電位)を測定することにより評価した。結果を表3に示す。
−画像出力の評価−
画像出力の評価は、出力画像として、ハーフトーン出力を3枚連続で行い、出力画像のドット再現状態を目視及び顕微鏡にて確認することにより評価した。結果を表5及び表6に示す。
Figure 2014089224
Figure 2014089224
実施例1〜29の電子写真感光体は、ランニング前後での暗部電位及び明部電位の変化が極めて小さく、良好な電子写真感光体であることがわかった。これらの電子写真感光体の中でもアルミドープの酸化亜鉛、ガリウムドープの酸化亜鉛を用いた場合、明部電位の安定性が高くなり、特にガリウムドープの酸化亜鉛を用いた場合に非常に高い明部電位の安定性を示し、暗部電位及び明部電位とも変動が極めて少ないことがわかった。これは、酸化亜鉛自身が、その粒子バルクにより表面に酸素欠損を多く含み、大気中で酸化して抵抗値が変動しやすいが、酸素欠損を補填する形で第13族元素をドープすることにより、大気中での安定性が高くなるためことに起因することが示唆された。加えてガリウム元素自身が大気中で酸化されにくく、非常に安定な特性を示すことに由来すると考えられた。
比較例1〜6の電子写真感光体は、ランニング中に異音が発生したためランニングを中止した。原因を調べた結果、明部電位の上昇が大きく、ランニングの途中でトナーの供給量が低下したために現像ユニット部において異音が発生したことが示唆された。
比較例7、8、10、及び11の電子写真感光体は、帯電性の変化はそれほど大きくないが、明部電位が初期時から高く、また明部電位の上昇も比較的大きいことがわかった。これは高電界強度における表面抵抗率が比較的高く、電荷輸送性が十分でなく、使用するうちに電荷輸送性が大きく低下したためと考えられた。特に高電界(1.5×10[V/cm])においても1014[Ω/cm]を上回る比較例10の電子写真感光体は、明部電位が非常に大きく、画像濃度の低下が顕著に現れるとともに、ランニング前後での暗部電位及び明部電位が大きく、十分な安定性が得られなかった。
比較例9及び12の電子写真感光体は、暗部電位及び明部電位ともに初期時から低かったが、ランニング後には変動が比較的大きく、いずれの電位も増加する傾向を示した。これは、表面層に占める無機微粒子の含有量が非常に高くなるため、前述の通り無機微粒子同士の接触箇所が多くなり、何らかの電荷トラップが形成された状態になったためと考えられた。これらの電子写真感光体は低電界における表面抵抗率が低く、初期状態でもドット再現性が良くない結果を示し、ランニング後においてこの傾向が顕著となった。
比較例13及び15の電子写真感光体は、電荷輸送性化合物を多く含有するものであるが、初期時のドット再現性が良好であった。しかし、ランニング後の暗部電位及び明部電位共に大きな変化を示し、出力画像の画像濃度低下が確認された。これは、使用した電荷輸送性化合物のランニングによる劣化が原因と考えられた。
比較例14及び16の電子写真感光体は、比較例13及び15よりも多くの電荷輸送性化合物を含有するものであり、初期時からドット再現性が悪く、ランニング後には暗部電位及び明部電位共に大きな変動を有し、ドットがほとんど再現されない状態となった。これは表面層に含まれる電荷輸送性化合物がランニングにより劣化し、表面層の抵抗低下および電荷トラップの形成が生じた結果であることが示唆された。
比較例17〜19、21〜23、及び25〜30の電子写真感光体は、第13族元素を含有しない酸化亜鉛並びにその他金属酸化物を用いたものであり、表面層の表面抵抗率は良好であったが(表1参照)、ランニング前後での暗部電位及び明部電位の変動は、実施例と比較して非常に大きくなる傾向を示した。また、ランニング後の出力画像の濃度低下も生じていたが、ランニング後に明部電位が上昇したことに起因することが示唆された。
比較例20及び24の電子写真感光体は、初期時から画像濃度が低く、ランニング後のドット再現性が悪くなることが示された。これは低電界での表面抵抗安定性(R/Rに代表される特性値)が初期時から悪く、ランニングにより表面層の低抵抗化が生じて解像度が低下したことが主要因であると考えられた。
以上の結果から、本実施形態の電子写真感光体は、長期に亘るランニングを実施した場合であっても極めて高い電荷輸送性及び潜像保持性を示し、本実施形態の電子写真感光体を用いることにより、長期に亘り画像品質に優れることがわかった。
<摩耗耐久評価>
上記摩耗耐久試験は、画像形成装置として、Imagio MP C5000(株式会社リコー製)を改造したものを使用した。画像形成装置の改造は、以下のように行った。
プロセスカートリッジから予め滑剤バーを取り除き、電子写真感光体外部から滑剤供給をしないように予め改造した装置を用いた。トナーとしてが、Imagioトナータイプ27(株式会社リコー製)を用い、用紙としてはNBS MyPaper(A4サイズ、株式会社リコー製)を用いた。ランニング条件としてはスタート時に感光体表面電位を−650[V]となるように帯電条件を調整し、5%テストチャートを用いて10万枚のランニングを実施し、ランニング前後の膜厚測定結果をもとに感光体摩耗量を評価した。
ランニングに供した電子写真感光体は、上記電子写真感光体の表面層に含有される電荷輸送性を有しない樹脂として架橋構造を有する樹脂を使用したものであって、上記試験により長期間使用しても暗部電位及び明部電位の変動が比較的少なかった実施例11〜24で作製した電子写真感光体を使用した。結果を表7に示す。
−ユニバーサル硬度の測定−
上記ユニバーサル硬度の測定は、電子写真感光体の状態で下記条件において5回測定することにより行い、それらの平均値を電子写真感光体のユニバーサル硬度とした。
〔条件〕
装置:フィッシャースコープ H−100(フィッシャー・インストルメンツ社製)
ソフト:WIN−HCU(フィッシャー・インストルメンツ社製)
最大試験荷重:1mN
荷重アプリケーション時間:30秒間
荷重の増加:1mN/30秒間
最大試験荷重でのクリープ:5秒間
荷重の減少:荷重の増加と同条件
徐荷後のクリープ:5秒間
圧子:SMC117
−弾性仕事率の測定−
上記弾性仕事率の測定は、上記ユニバーサル硬度と同様の方法により測定した。上記弾性仕事率は、下記式(4)を用いて算出した。
弾性仕事率(%)=100×(最大変位−塑性変位)/最大変位 ・・・(4)
Figure 2014089224
実施例11〜18及び21〜22は、通紙ランニングによっても摩耗耐久性が高く、電子写真感光体表面の付着物が少なく、別途実施した電気特性評価の結果を踏まえると優れた耐久性を示す電子写真感光体であることが示された。一方で、実施例19についても高い摩耗耐久性を示すものの電子写真感光体表面には僅かに白色付着物が観察された。実施例20は実施例19と比較して摩耗耐久性が低下し、表面付着物が多く観察される結果となった。これは電荷輸送性構造を有する化合物を表面層中に含有していることによる表面層の架橋密度低下に付随した硬度、弾性仕事率の低下に由来することが示唆された。実施例23〜24に関しても同様に摩耗耐久性の低下と表面付着物の増加が見られており、実施例19〜20の結果と同様に表面層の架橋密度低下に付随した硬度及び弾性仕事率低下に由来することが示唆された。特に実施例24は表面層がすべて摩耗するといった結果となった。
本結果から、上記表面層における電荷輸送性を有しない樹脂が架橋性構造を有し、上記表面層のユニバーサル硬度が250[N/mm]以上であると、表面付着が少ない表面層となることがわかった。また、本実施形態において優れた摩耗耐久性を示す表面層としては、上記表面層の弾性仕事率が50%以上であれば良く、55%以上の場合には摩耗耐久性が極めて高くなることがわかった。
次に、画像形成装置の変形例について、説明する。
先の図1に示した画像形成装置においては、各プロセスカートリッジ121Y,121C,121M,121Kの帯電ローラ41に印加するバイアスを直流にしているが、帯電ローラ41に印加するバイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳することで、帯電ローラ41の汚れを抑制することができる。これにより、帯電ローラ41に直流電圧のみを印加するものに比べて、帯電ローラ41の汚れによる帯電不良を抑制することができ、プロセスカートリッジ121の寿命を延ばすことができるという利点がある。
しかしながら、帯電ローラ41に直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスを印加する構成とした場合、帯電音が発生する。また、オゾン発生量が少ない接触帯電方式ながら、交流電圧を印加すると、帯電電流が大きくなるために、直流電圧のみ印加する場合よりも、オゾン発生量が増加する。そのため、Y、C、M、Kの各プロセスカートリッジ121の帯電ローラ41に交流電圧を印加する構成にすると、4色で同時に作像するフルカラー作像時には、帯電音が大きくなり、異常音となる場合がある。さらに、4色作像時には、オゾン発生量も増加してしまう。そのため、上記のような異常音の対策として図15に示すように防音部材201を追加したり、オゾン対策としてオゾンフィルター等のオゾン処理機構202を追加したりする必要があり、機械が大型化、重量化してしまう。
そこで、本変形例の画像形成装置においては、カラー画像よりもモノクロ画像の出力の方が多い一般的なオフィス環境において、使用頻度が、K色のプロセスカートリッジよりも少ないY、C、M色のプロセスカートリッジ121Y、121C、121Mの帯電ローラ41には、直流電圧のみを印加し、K色のプロセスカートリッジ121Kの帯電ローラ41には、直流電圧に交流電圧を印加するようにしてもよい。
かかる構成とすることで、4色同時に作像するフルカラー作像時でも、交流電圧印加による帯電音の発生は、黒作像ユニットのみとなり、モノクロ時と同じレベルの帯電音となるために、防音部材等が不要となる。更にオゾン発生量もモノクロ時と同レベルで、オゾンフォルター等でオゾン処理をする必要がなくなり、オゾン処理機構の部材等の追加も不要となる。そのために機械の小型化、軽量化が図れる。
更には、K色のプロセスカートリッジ121Kの交換サイクルをY、C、M色のプロセスカートリッジ121Y、121C、121Mの交換サイクルに近づけることができる。これにより、K色のプロセスカートリッジのみの交換のために何度もサービスマンを呼び出すなどの利便性の悪さを改善することができる。
また、図16及び図17に示すように、K色のプロセスカートリッジにのみ潤滑剤塗布装置70Kを設けてもよい。潤滑剤塗布装置70Kを用いることで、帯電ローラ41Kの交流電流による攻撃作用からの感光体表面を保護することができ、K色のプロセスカートリッジ121Kの寿命低下を抑えることができる。
図17に示すように、K色のプロセスカートリッジ212Kは、固形潤滑剤73Kや潤滑剤加圧スプリング72K等を備え、固形潤滑剤73を感光体10上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ71Kを用いている。固形潤滑剤73Kは、ブラケット75Kに保持され、潤滑剤加圧スプリング72Kによりファーブラシ71K側に加圧されている。そして、感光体10の回転方向に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ71Kにより固形潤滑剤73Kが削られて感光体10K上に潤滑剤が塗布される。ファーブラシローラ71Kによって固形潤滑剤73Kから削られて感光体10の表面上に粉体状に付着した潤滑剤は、感光体10K表面に当接するように支持された固定加圧方式の均しブレード74Kによって感光体10K上で均される。
また、固形潤滑剤73Kは、脂肪酸金属塩(A)と、無機潤滑剤(B)を含有している。脂肪酸金属塩が、帯電電流により破壊されて、感光体表面が破壊されるのを防止すると同時に、帯電電流では破壊されない無機潤滑剤により、潤滑作用が(潤滑剤が脂肪酸金属塩のみの場合よりも)よりよい状態で維持される。これにより、感光体クリーニングをより良好に維持することが可能となる。
脂肪酸金属塩(A)の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。本実施形態においては、中でもステアリン酸亜鉛が特に感光体10への成膜性に優れることから、最も好ましく用いられる。
上記無機潤滑剤(B)とは、自身が劈開して潤滑する、或いは内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。具体的な物質例としては、タルク・マイカ・窒化ホウ素・二硫化モリブデン・二硫化タングステン・カオリン・スメクタイト・ハイドロタルサイト化合物・フッ化カルシウム・グラファイト・板状アルミナ・セリサイト・合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから、本実施形態において、最も好ましく用いることができる。
これらの無機潤滑剤は疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。また、K色トナーに潤滑剤成分を添加することにより、感光体削れ量の低減や、クリーニングブレードエッジの安定化によるクリーニング性能向上を図る事ができる。トナーの母体に、ステアリン酸亜鉛や上記した脂肪酸金属塩(A)や、無機潤滑剤(B)、或いはその両方をトナーに添加剤として添加する。
潤滑剤塗布装置70Kを用いてK色の感光体表面に潤滑剤を塗布することで、帯電ローラ41Kの交流電流による攻撃作用からの感光体表面保護することができる。また、感光体クリーニング性能の向上、転写性の向上を図ることができる。潤滑剤塗布の安定化のために、潤滑剤塗布装置70Kは、感光体回転方向に対して、クリーニングブレード62Kの下流側に設けられている。また、帯電ローラ41Kは、高画質化、高寿命を狙い、感光体10Kにギャップを持って対向する。
また、K色のプロセスカートリッジ121Kに用いるクリーニングブレード62Kの構成を、Y、C、M色のプロセスカートリッジ121Y,121C,121Mに用いるクリーニングブレード62Y,62c,62Mの構成と異ならせてもよい。
具体的に説明すると、Y、C、M色用のクリーニングブレード62Y,62c,62Mは、弾性ブレード622のエッジ層622bの100%モジュラス値が、バックアップ層622aより大きい先の図8を用いて説明したクリーニングブレード62を用い、K色用のクリーニングブレード62Kは、エッジ層622bの100%モジュラス値が、バックアップ層622aより小さい弾性ブレード622を用いた。
K色のプロセスカートリッジ121Kは、潤滑剤塗布装置70Kによって感光体表面上に潤滑剤が供給されるため、潤滑剤を供給しないカラー用プロセスカートリッジ121Y,121C,121Mに比べてクリーニングブレードの先端稜線部62cの挙動が安定する。よって、K色用のクリーニングブレード62Kにおいては、エッジ層622bの100%のモジュラス値を、バックアップ層622aよりも大きくして、弾性ブレード622の先端稜線部62cを、弾性変形し難い構成とせずとも、異常磨耗や異音の発生が生じることがない。
先の図8に示すように、エッジ層622bの100%モジュラスを、バックアップ層622aよりも高くすると、先の図10(b)に示したように、先端稜線部の挙動は、安定するものの、感光体との当接圧が高くなり耐磨耗性が低下する。
上記図16及び図17に示したプリンタ100においては、K色の感光体10K表面に潤滑剤を塗布しているので、潤滑剤が塗布されていないY、C、M色の感光体に比べて、寿命を迎える感光体の走行距離が長くなる。よって、K色のクリーニングブレード62Kとして、Y、C、M色のクリーニングブレード62Y,62c,62Mと同様に、エッジ層622bの100%モジュラス値をバックアップ層622aよりも高くした弾性ブレード622を用いた場合は、感光体10Kの寿命よりも前に、クリーニングブレード62Kの寿命がきてしまう。よって、K色のクリーニングブレード62Kは、エッジ層622bの100%モジュラスを、バックアップ層622aよりも低くして、クリーニングブレード62の感光体10との当接圧の高まりを抑制して、耐磨耗性を高める。
一方、潤滑剤が塗布されていない感光体表面をクリーニングするカラー用のクリーニングブレード62Y,62c,62Mにおいては、潤滑剤が塗布された感光体表面をクリーニングするK色用クリーニングブレード62Kよりも先端稜線部62cの挙動が安定しない。よって、カラー用のクリーニングブレード62Y,62c,62Mにおいては、エッジ層622bの100%モジュラスが、バックアップ層よりも高い弾性ブレード622を用いたクリーニングブレードを用いることで、異常磨耗や異音の発生を抑えることができる。また、カラー用の感光体10Y、C、Mは、潤滑剤が塗布されたK色用の感光体10Kに比べて、走行距離が短い段階で、寿命を迎えるので、エッジ層622bの100%モジュラスが、バックアップ層よりも高い弾性ブレード622を用いて、K色のクリーニングブレードよりも耐磨耗性を低下させても、クリーニングブレードの寿命が、感光体よりも先に迎えてしまうことがない。
ここで、K色のクリーニングブレード62Kのエッジ層622bには、100%モジュラスが2.5[MPa]以下のウレタンゴム材料を用い、バックアップ層622aとしては、3[MPa]以上の材料を組合せた弾性ブレード622を用いた。また、エッジ層622bの厚さは0.5[mm]、バックアップ層622aは1.3[mm]とした。或いは、ゴム硬度では、エッジ層に60〜65度(JISA)、バックアップ層に70〜75度のゴム材料を組合せた弾性ブレード622を、K色のクリーニングブレードの弾性ブレード622として用いてもよい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
表面移動する感光体10等の像担持体の表面にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に転写紙等の記録材上に転写して該記録材上に画像を形成するとともに、転写後の該像担持体の表面に付着している付着物をクリーニング装置30によって除去するプリンタ100等の画像形成装置において、上記像坦持体は、導電性支持体21上に少なくとも感光層23,24,26と表面層25とを順に積層した感光体10であり、該表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない樹脂成分と無機微粒子とから構成されており、1×10[V/cm]の電界強度のときの該感光体の表面固有抵抗率Rが1013[Ω/cm]以上であり、該表面固有抵抗率Rと1.5×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率R1.5との比率R/R1.5が、100以上5000以下の範囲内であるものであり、上記クリーニング装置30は、弾性ブレード622等のブレード部材と、該ブレード部材を保持するホルダー621等の保持部材とを備えており、該ブレード部材の先端稜線部62cを上記像坦持体の表面に当接させて該像坦持体の表面から付着物を除去するものであり、上記ブレード部材は、100%モジュラス値が互いに異なる材質からなる複数の層によって構成された積層構造の弾性ブレードであり、該弾性ブレードの複数の層のうち、上記先端稜線部を備えるエッジ層622bを、バックアップ層622a等の他の層に比べて100%モジュラス値の高い材質によって形成したことを特徴とする。
これによれば、当該感光体を用いることで高耐久感光体を実現でき、その感光体表面に潤滑剤を付与しなくても、感光体表面の膜厚減少を抑制して、感光体の高寿命化が可能である。また、本態様で用いるブレード部材は、エッジ層について、100%モジュラス値が大きくかつゴム硬度が高い材料を用いることで、クリーニング対象が高耐久感光体の表面であっても、ブレード部の先端稜線部が不安定な挙動を示すことを抑制できる。これにより、高耐久感光体に対する高いクリーニング性と高い耐摩耗性を実現できるとともに、白抜け状の異常画像の発生を抑制できる。また、他の層については、100%モジュラス値を低くしているので、長期使用でもヘタリが少ない。したがって、長期使用でも感光体表面に対するブレード部の当接圧低下が生じにくい。
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記像担持体の表面層における1×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率Rと3×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率Rとの比率R/Rが、0.1以上10以下の範囲内であることを特徴とする。
これによれば、低電界強度領域での表面抵抗率を安定させることができ、初期状態から経時にわたって良好なドット再現性を得ることができる。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、上記像担持体の表面層を構成する上記無機微粒子は、ガリウム元素をドープした酸化亜鉛粒子であることを特徴とする。
これによれば、明部電位の安定性が高くなり、暗部電位及び明部電位とも変動を抑制できる。
(態様D)
上記態様A〜Cのいずれかの態様において、上記像担持体の表面層を構成する上記樹脂成分は、架橋重合性化合物を含むことを特徴とする。
これによれば、電荷輸送性及び潜像維持性に優れる表面層を得ることができる。
(態様E)
上記態様Dにおいて、上記架橋重合性化合物は、ラジカル重合性官能基を有する化合物を光照射によって架橋重合させてなる架橋重合体であることを特徴とする。
これによれば、電荷輸送性及び潜像維持性に優れる表面層を良好に得ることができる。
(態様F)
上記態様A〜Eのいずれかの態様において、上記弾性ブレードの上記エッジ層を、23[℃]の温度下における100%モジュラス値が6[MPa]以上12[MPa]以下である材質で形成したことを特徴とする。
これによれば、上述した効果が得られる弾性ブレードの実現が容易となる。
(態様G)
上記態様A〜Fのいずれかの態様において、黒色と黒色以外の色とを含む2色以上のトナー像をそれぞれ個別の像担持体の表面に形成し、各色トナー像を最終的に記録材上に重なり合うように転写して該記録材上に画像を形成するとともに、転写後の各像担持体の表面に付着している付着物をそれぞれのクリーニング装置によって除去するものであり、少なくとも上記黒色以外の色について、対応する像担持体として上記感光体を用い、かつ、対応するクリーニング装置として、上記ブレード部材を備えたものを用いたことを特徴とする。
これによれば、使用頻度が相対的に低い黒色以外の色については、上述した態様に係る像担持体及びクリーニング装置を用いることで、潤滑剤供給装置を省略して小型化、低コスト化を図ることができる。一方、使用頻度が相対的に高い黒色については、既存の像担持体やクリーニング装置を用いるとともに潤滑剤供給装置を設けるという構成をとることができ、交流電圧による感光体表面劣化や感光体膜削れ量の低減を安定して図ることができる。
(態様H)
上記態様Gにおいて、電圧が印加された帯電部材によって各像担持体の表面を一様に帯電処理した後に、各像担持体の表面にトナー像を形成するものであり、黒色についての帯電部材には、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加し、黒色以外の色についての帯電部材には、直流電圧のみを印加することを特徴とする。
これによれば、黒色についての帯電部材には、高寿命化、高画質化への要求から、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する一方、黒色以外の色についての帯電部材には、交流電圧を印加せずに、交流電圧の印加による不具合を軽減することができる。すなわち、交流電圧の印加による異常音やオゾン発生に対応するための手段(防音部材やオゾン処理機構)の追加や、これによる装置の大型化や重量化などの不具合が軽減される。また、黒色以外の色についての帯電部材には、交流電圧を印加しないので、感光体膜削れの防止や感光体表面劣化防止の目的での潤滑剤塗布を省略することが可能となり、更なる装置の小型化、コスト低減が図れる。
(態様I)
上記態様Hにおいて、黒色についての像担持体の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を有することを特徴とする。
これによれば、交流電圧の印加による感光体膜削れや感光体表面劣化を抑制して、黒色についての像担持体の長寿命化を図るとともに、クリーニングブレードのエッジ挙動を安定させてクリーニング性能を向上させる等のメリットも得られる。
(態様J)
上記態様H又はIにおいて、上記黒色以外の色についての帯電部材は、上記像坦持体の表面に接触して該像担持体の表面を帯電させる接触帯電部材であることを特徴とする。
これによれば、オゾンの発生を抑制できる。
10 感光体
30 クリーニング装置
41 帯電ローラ
50 現像装置
62 クリーニングブレード
62c 先端稜線部
70 潤滑剤塗布装置
90 定着装置
100 プリンタ
121 プロセスカートリッジ
140 露光装置
160 中間転写装置
162 中間転写ベルト
165 二次転写ローラ
201 防音部材
202 オゾン処理機構
621 ホルダー
622 弾性ブレード
622a バックアップ層
622b エッジ層
特開2007−86202号公報 特開2011−197309号公報

Claims (10)

  1. 表面移動する像担持体の表面にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に記録材上に転写して該記録材上に画像を形成するとともに、転写後の該像担持体の表面に付着している付着物をクリーニング装置によって除去する画像形成装置において、
    上記像坦持体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層とを順に積層した感光体であり、該表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない樹脂成分と無機微粒子とから構成されており、1×10[V/cm]の電界強度のときの該感光体の表面固有抵抗率Rが1013[Ω/cm]以上であり、該表面固有抵抗率Rと1.5×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率R1.5との比率R/R1.5が、100以上5000以下の範囲内であるものであり、
    上記クリーニング装置は、ブレード部材と、該ブレード部材を保持する保持部材とを備えており、該ブレード部材の先端稜線部を上記像坦持体の表面に当接させて該像坦持体の表面から付着物を除去するものであり、
    上記ブレード部材は、100%モジュラス値が互いに異なる材質からなる複数の層によって構成された積層構造の弾性ブレードであり、該弾性ブレードの複数の層のうち、上記先端稜線部を備えるエッジ層を、他の層に比べて100%モジュラス値の高い材質によって形成したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記像担持体の表面層における1×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率Rと3×10[V/cm]の電界強度のときの表面固有抵抗率Rとの比率R/Rが、0.1以上10以下の範囲内であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2の画像形成装置において、
    上記像担持体の表面層を構成する上記無機微粒子は、ガリウム元素をドープした酸化亜鉛粒子であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記像担持体の表面層を構成する上記樹脂成分は、架橋重合性化合物を含むことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4の画像形成装置において、
    上記架橋重合性化合物は、ラジカル重合性官能基を有する化合物を光照射によって架橋重合させてなる架橋重合体であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記弾性ブレードの上記エッジ層を、23[℃]の温度下における100%モジュラス値が6[MPa]以上12[MPa]以下である材質で形成したことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    黒色と黒色以外の色とを含む2色以上のトナー像をそれぞれ個別の像担持体の表面に形成し、各色トナー像を最終的に記録材上に重なり合うように転写して該記録材上に画像を形成するとともに、転写後の各像担持体の表面に付着している付着物をそれぞれのクリーニング装置によって除去するものであり、
    少なくとも上記黒色以外の色について、対応する像担持体として上記感光体を用い、かつ、対応するクリーニング装置として、上記ブレード部材を備えたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、
    電圧が印加された帯電部材によって各像担持体の表面を一様に帯電処理した後に、各像担持体の表面にトナー像を形成するものであり、
    黒色についての帯電部材には、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加し、黒色以外の色についての帯電部材には、直流電圧のみを印加することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項8の画像形成装置において、
    黒色についての像担持体の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項8又は9の画像形成装置において、
    上記黒色以外の色についての帯電部材は、上記像坦持体の表面に接触して該像担持体の表面を帯電させる接触帯電部材であることを特徴とする画像形成装置。
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