JP2014089144A - 半導体装置及び電圧監視システム - Google Patents

半導体装置及び電圧監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】従来の方法では、伝送信号よりも低い周波数のノイズを除去することが困難であった。
【解決手段】一実施の形態によれば、半導体装置及び電圧監視システムは、受信回路1を有し、受信回路は、信号電流の大きさの切り替わりに応じて互いに逆方向に変動する第1の電圧VA及び第2の電圧VBを生成する入力段回路10と、第1の電圧VAと第2の電圧VBとの電圧差に応じて生成する調整電流Iadjにより第1の電圧VAと第2の電圧VBとの電圧差を縮小する調整回路12と、第1の電圧VAと第2の電圧VBの大小関係に基づき受信信号DOUTの論理レベルを反転させるコンパレータ15と、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は半導体装置及び電圧監視システムに関し、例えば異なる電源電圧で動作する他の半導体装置からのデータの受信処理を行う半導体装置及び電圧監視システムに関する。
電気自動車或いはハイブリッド自動車では、電気モーターを駆動するために複数の電池セルを直列に接続した組電池を用いる。この組電池は、車輌の使用状況に応じて充放電がなされるため、車輌の使用状況に応じて電圧が変動する。このとき、電気モーターを適切に駆動するために組電池を構成する複数の電池セルのそれぞれの状態を監視して適切な性能を確保することが重要である。そのため、組電池を搭載した車輌では、組電池の状態を監視する電圧監視システムを搭載する。
電圧監視システムでは、複数の電池セルを複数個の電池モジュールに分類し、当該電池モジュール毎に電池セルの状態を監視する電池監視モジュールを設けて全ての電池セルの状態を監視する。また、電圧監視システムでは、電池監視モジュールを制御する制御部と電池監視モジュールとの間及び電池監視モジュール間を通信網により接続する。
しかし、組電池及び電圧監視システムは、その性質上、電気モーターの近傍に配置されることが多く、電気モーターの動作に伴うノイズが通信網に混入し、通信不良を生じるおそれがある。そこで、特許文献1、2に通信網に混入するノイズに対する耐性を向上させるための技術が開示されている。
特許文献1では、多段構成の受信回路を有する。そして、ステージ間を接続する配線上にコンデンサを設けて、通信網を構成する配線に混入したノイズをフィルタすることで、受信信号に対するノイズの影響を低減する。
また、特許文献2では、コンパレータにヒステリシスを設けることで、小さな過渡的ノイズ及びリンギングの除去を行うことが開示されている。
米国特許出願公開第2010/0277231号明細書 特表2003−509882号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、通信に用いる信号よりも周波数が高いノイズは除去できるものの、通信信号よりも低い周波数のノイズについては除去できない問題がある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、半導体装置及び電圧監視システムは、受信回路を有する。そして、受信回路は、信号電流の大きさの切り替わりに応じて互いに逆方向に変動する第1、第2の電圧を生成する入力段回路と、第1の電圧と第2の電圧との電圧差に応じて生成する調整電流により第1の電圧と第2の電圧との電圧差を縮小する調整回路と、第1の電圧と第2の電圧の大小関係に基づき受信信号の論理レベルを反転させるコンパレータと、を有する。
一実施の形態によれば、半導体装置は、ノイズ耐性の高い受信回路を実現できる。
電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムVMSの構成を示すブロック図である。 電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係を示す電圧監視システムVMSの要部のブロック図である。 電圧監視モジュールVMM1の構成を示すブロック図である。 電圧監視システムにおける電圧監視モジュールの制御手順を示すタイミングチャートである。 実施の形態1にかかる受信回路及び送信回路を含む電圧監視モジュールのブロック図である。 実施の形態1にかかる受信回路及び送信回路の詳細な回路図である。 実施の形態1にかかる受信回路において調整回路を無効化した場合の受信回路の動作を示すタイミングチャートである。 ノイズの入力がない場合、又は、ノイズ波形の中点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の実施の形態1にかかる受信回路の動作を示すタイミングチャートである。 ノイズ波形の上側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の実施の形態1にかかる受信回路の動作を示すタイミングチャートである。 ノイズ波形の下側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の実施の形態1にかかる受信回路の動作を示すタイミングチャートである。 実施の形態1にかかる受信回路の動作を示すタイミングチャートである。 実施の形態1にかかる受信回路による効果を説明するための受信回路の比較例の回路図である。 図11に示した受信回路の動作を示すタイミングチャートである。 実施の形態2にかかる電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係を示す電圧監視システムVMSの要部のブロック図である。 実施の形態2にかかる電圧監視システムVMSにおける電圧監視モジュールの制御手順を示すタイミングチャートである。 実施の形態2にかかる受信回路及び送信回路を含む電圧監視モジュールのブロック図である。 実施の形態2にかかる受信回路及び送信回路の詳細な回路図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
まず、実施の形態を理解するための前提として、電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムについて説明する。まず、図1を参照して、電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムVMSの構成の概要について説明する。図1は、電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムVMSの構成を示すブロック図である。電圧監視システムVMSは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn(nは、2以上の整数)、絶縁素子INS1及びINS2、セルモニタ部(Cell Monitoring Unit)CMU及び電池管理部(Battery Management Unit)BMUを有する。セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUは、例えばマイクロコンピュータ(以下、MCU:Micro Computing Unit)で構成される。
電圧監視システムVMSは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnにより、組電池assyの電圧を監視する。組電池assyは、直列接続されたn個の電池モジュールEM1〜EMnを有する。電池モジュールEM1〜EMnのそれぞれは、直列接続されたm個(mは、2以上の整数)の電池セルを有する。すなわち、組電池assyでは、(m×n)個の電池セルが直列に接続される。これにより、組電池assyは高い出力電圧を得ることができる。
セルモニタ部CMUは、絶縁素子INS2を介して電圧監視モジュールVMMnの通信入力端子と接続され、絶縁素子INS1を介して電圧監視モジュールVMM1の通信出力端子と接続される。絶縁素子INS1及びINS2は、例えばフォトカプラなどが用いられ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnとセルモニタ部CMUとを電気的に分離する。これにより、故障などの際に組電池assyからセルモニタ部CMUへ高電圧が印加されることによる、セルモニタ部CMUの破損を防止することができる。
セルモニタ部CMUは電池管理部BMUと更に接続される。セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnによる電圧監視結果から各電池セルの出力電圧を算出し、電池管理部BMUに通知する。また、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの指令に応じ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの動作を制御する。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部(Engine Control Unit)ECUと更に接続される。電池管理部BMUは、セルモニタ部CMUから通知された各電池セルの出力電圧及びエンジンコントロール部ECUからの指令に応じて、電圧監視システムVMSの動作を制御する。また、電池管理部BMUは、電圧監視システムVMSや組電池assyの状態に関する情報などを、エンジンコントロール部ECUへ通知する。セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUの動作については、後述の電圧監視システムVMSの動作の説明において詳述する。
次いで、図2を参照して、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係について説明する。図2は、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係を示す電圧監視システムVMSの要部のブロック図である。電圧監視モジュールVMM1〜VMMnは、それぞれ電池モジュールEM1〜EMnと接続され、電池モジュールEM1〜EMnから受ける電圧を監視する。電圧監視モジュールVMM1〜VMMnはデイジーチェーンとして構成され、電圧監視モジュールVMM2〜VMMnの通信回路の出力が、それぞれ電圧監視モジュールVMM1〜VMM(n−1)の通信回路の入力と接続される。
セルモニタ部CMUは、絶縁素子INS2を介して、電圧監視モジュールVMMnに制御信号を出力する。なお、電圧監視モジュールVMM1〜VMM(n−1)に対する制御信号は、デイジーチェーン構成を利用して、電圧監視モジュールVMM1〜VMM(n−1)に伝達される。これにより、セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの動作を制御する。電圧監視モジュールVMM1〜VMMnは、セルモニタ部CMUからの制御信号に応じ、絶縁素子INS1を介して、監視結果をセルモニタ部CMUへ出力する。なお、電圧監視モジュールVMM2〜VMMnからの監視結果は、デイジーチェーン構成を利用して、セルモニタ部CMUに伝達される。
次いで、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnのそれぞれの構成について説明する。なお、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnは、それぞれ同様の構成を有する。よって、代表例として、電圧監視モジュールVMM1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、電圧監視モジュールVMM1の構成を示すブロック図である。電圧監視モジュールVMM1は、電源回路VMM_S、通信回路VMM_C、電圧測定回路VMC、セルバランス回路CB1〜CBm(mは2以上の整数)、電源端子VCC、入力端子V_1〜V_(m+1)、セルバランス入力端子VB1〜VBm、通信入力端子Tin及び通信出力端子Toutを有する。
電池モジュールEM1は、高電圧側から順に、電池セルEC1〜ECmが直列接続されている。電圧監視モジュールVMM1は、電源端子VCCが電池セルEC1の高電圧側と接続される。電池セルECmの低電圧側は、入力端子V_(m+1)と接続される。入力端子の電圧は、電圧監視モジュールVMM1内で分岐され、電圧測定回路VMC及び通信回路VMM_Cにグランド電圧として供給される。これにより、電圧監視モジュールVMM1には、電池モジュールEM1の出力電圧が電源電圧として供給される。電源回路VMM_Sは、電源端子VCCを介して、電池セルEC1からの電源供給を受ける。電源回路VMM_Sは、通信回路VMM_C及び電圧測定回路VMCに電源を供給する。
電圧測定回路VMCは、選択回路VMC_SEL、A/Dコンバータ(Analog to Digital Converter:ADC)VMC_ADC、レジスタVMC_REG及び制御回路VMC_CONを有する。選択回路VMC_SELは、スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを有する。スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mは、制御回路VMC_CONからの制御信号によりオン/オフする。jを1〜mの整数とすると、電池セルECjの電圧を測定する場合には、スイッチSWa_j及びSWb_jが同時にオンとなる。これにより、電池セルECjの高電位側端子からの電圧が、入力端子V_jを介して、高電位側電圧VHとしてA/DコンバータVMC_ADCに供給される。同様に、電池セルECjの低電位側端子からの電圧が、入力端子V_(j+1)を介して、低電位側電圧VLとしてA/DコンバータVMC_ADCに供給される。
A/DコンバータVMC_ADCは、高電位側電圧VHと低電位側電圧VLの値をデジタル値である電圧値に変換する。そして、デジタル値である電圧値をレジスタVMC_REGに出力する。レジスタVMC_REGは、A/DコンバータVMC_ADCから出力された電圧値を記憶する。制御回路は、スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを順にオンにする動作を、所定の時間(例えば10msec)ごとに繰り返す。これにより、レジスタVMC_REGには、所定の時間ごとに、入力端子V_j及びV_(j+1)に供給される電圧の値が上書きされる。
通信回路VMM_Cは、通信入力端子Tinを介して、セルモニタ部CMUからの指令及び他の電圧監視モジュールVMM2〜VMMnからの出力を受ける。そして、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの指令を、制御回路VMC_CONに転送する。なお、通信回路VMM_Cは、電圧監視モジュールVMM2〜VMMnからの出力を、セルモニタ部CMUにそのまま転送する。
セルバランス回路CBjと外付け抵抗R_jとは、セルバランス入力端子VBjを介して、それぞれ入力端子V_jと入力端子V_(j+1)との間に接続される。セルバランス回路CBjがオンとなることにより、入力端子V_jと入力端子V_(j+1)との間が導通する。制御回路VMC_CONがセルバランス回路CB1〜CBmのオン/オフを制御することにより、電池セルEC1〜ECmのそれぞれを選択的に放電させる。
続いて、図1を参照して、電圧監視システムVMSの動作について説明する。まず、電池セルの出力電圧監視動作について説明する。電圧監視システムVMSは、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作開始指令に応じ、電池セルの出力電圧監視動作を開始する。例えば、エンジンコントロール部ECUは電気自動車のパワーオンを検出し、電池管理部BMUへ電圧監視システムVMSの起動指令を発する。電池管理部BMUは、電圧監視システムVMSの起動指令に応じ、セルモニタ部CMUに電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの起動指令を発する。セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの起動指令に応じ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnへ電圧監視動作開始指令を発する。
図3を参照して、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの動作について説明する。電圧監視動作開始指令を受けた電圧監視モジュールVMM1〜VMMnはそれぞれ同様の動作を行うので、以下では、電圧監視モジュールVMM1の動作を代表例として説明する。電圧監視モジュールVMM1は、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作開始指令に応じ、電圧監視動作を開始する。具体的には、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作開始指令を、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONに転送する。制御回路VMC_CONは、電圧監視動作開始指令に応じ、スイッチSWa_j及びSWb_jをオンにする。これにより、入力端子V_j及びV_(j+1)は、それぞれA/DコンバータVMC_ADCと接続される。A/DコンバータVMC_ADCは、接続された入力端子V_j及びV_(j+1)に供給される電圧の大きさを、デジタル値である電圧値に変換し、電圧値をレジスタVMC_REGに書き込む。
この例では、制御回路VMC_CONは、所定の時間内にスイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを順にオンにする。すなわち、所定時間内に、m回のスイッチング動作を繰り返す。所定の時間は、例えば10msecである。この場合、電圧監視モジュールVMM1は、所定の時間(10msec)ごとに、入力端子V_j及びV_(j+1)のそれぞれに供給される電圧の値を測定し、レジスタVMC_REGに逐次上書きすることとなる。電圧監視モジュールVMM1は、セルモニタ部CMUからの指令がない限り、上述の電圧監視動作を継続して行う。
電気自動車の制御を行うために電池セルの出力電圧の値を参照する場合には、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの指令に応じ、電圧値出力指令を電圧監視モジュールVMM1に発する。電圧監視モジュールVMM1は、電圧値出力指令に応じ、指定された入力端子の電圧値を、セルモニタ部CMUに出力する。具体的には、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの電圧値出力指令を、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONに転送する。制御回路VMC_CONは、電圧値出力指令に応じ、レジスタVMC_REGに出力指令を発する。この際、制御回路VMC_CONは、レジスタVMC_REGに対し、いずれの入力端子の電圧値を出力するかを指定する。レジスタVMC_REGは、制御回路VMC_CONからの出力指令に応じ、出力指令を受けた時点における指定された入力端子の電圧値を、通信回路VMM_Cを介して、セルモニタ部CMUに出力する。
セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1から受け取った入力端子V_j及びV_(j+1)の電圧値から、電池セルECjの出力電圧を算出する。例えば、セルモニタ部CMUは、入力端子V_1と入力端子V_2との間の電圧の差から、電池セルEC1の出力電圧を算出することができる。その後、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUの求めに応じて、算出した電池セルの出力電圧を、電池管理部BMUに通知する。
なお、電気自動車がパワーオフとなる場合には、エンジンコントロール部ECUは電気自動車のパワーオフを検出し、電池管理部BMUへ電圧監視システムVMSの停止指令を発する。電池管理部BMUは、電圧監視システムVMSの停止指令に応じ、セルモニタ部CMUに電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの停止指令を発する。セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの停止指令に応じ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnへ電圧監視動作停止指令を発する。電圧監視モジュールVMM1は、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作停止指令に応じ、電圧監視動作を停止する。具体的には、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作停止指令を、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONに転送する。制御回路VMC_CONは、電圧監視動作停止指令に応じ、スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを全てオフにする。これにより、電圧監視動作が停止する。
以上では、電池セルの電圧監視動作について説明した。しかし、電圧監視システムVMSは、例えば電気自動車などに搭載されるので、電気自動車の使用状況などに応じた動作を行う必要がある。よって、以下では、電気自動車の使用状況に応じた電圧監視システムVMSの動作を説明する。
電気自動車を継続的に使用するためには、電気スタンドなどにおいて組電池assyの充電を行う必要がある。組電池assyを充電する場合は、エンジンコントロール部ECUが、例えば充電プラグの接続などの運転者の操作を検知し、組電池assyを充電するための充電指令を電池管理部BMUに発する。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの充電指令に応じ、リレーREL1及びREL2を開ける。これにより、組電池assyとインバータINVとは、電気的に切断される。この状態で、例えば充電プラグを介して組電池assyに外部充電電圧CHARGEが供給されることにより、組電池assyが充電される。
一般に、電池セルなどの二次電池が過充電又は過放電されると、電池セルの寿命が短くなることが知られている。また、組電池assyのように複数の電池セルが直列接続された構成では、電池セルの製造ばらつきなどにより、同様の充放電動作を行わせても電圧のばらつきなどが生じる。このようなばらつきが生じたまま、組電池assyの充放電動作を繰り返すと、特定の電池セルのみの劣化、過充電又は過放電が発生する。その結果、組電池assy全体の短寿命化及び故障発生の原因となる。このため、直列接続された電池セルを用いる場合には、各電池セルの電圧のバランス(いわゆるセルバランス)を維持する必要がある。
以下では、電気スタンドなどにおける充電時の電圧監視システムVMSの電池セルの動作について説明する。なお、電池セルの出力電圧監視動作及び電池セルの出力電圧の算出方法については、上述と同様であるので、適宜説明を省略する。
まず、電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの充電指令に応じ、セルモニタ部CMUに出力電圧測定指令を発する。セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの出力電圧測定指令に応じ、組電池assyを構成する全ての電池セルの出力電圧を算出し、電池管理部BMUに通知する。電池管理部BMUは、組電池assyの中で最も出力電圧が低い電池セルを特定する。ここでは、説明を簡略化するため、電池モジュールEM1の電池セルEC1が、組電池assyの中で最も出力電圧が低い電池セルであるとする。
その後、電池管理部BMUは、セルバランス動作指令をセルモニタ部CMUに発する。セルモニタ部CMUは、セルバランス動作指令に応じて、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnに放電指令を発する。以下では、電圧監視モジュールVMM1の動作を代表例として説明する。電圧監視モジュールVMM1では、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONが、通信回路VMM_Cを介して、放電指令を受ける。制御回路VMC_CONは、放電指令に応じ、セルバランス回路CB2〜CBmをオンにする。これにより、電池セルEC2〜ECmが放電される。
セルモニタ部CMUは、放電中の電池セルEC2〜ECmの出力電圧値を逐次算出する。そして、各電池セルの出力電圧が電池セルEC1の出力電圧まで降下した場合に、該当する電池セルの放電動作を停止させる放電停止指令を発する。以下では、放電により、電池セルEC2の出力電圧が電池セルEC1の出力電圧まで降下した場合について説明する。まず、セルモニタ部CMUは、電池セルEC2の出力電圧が電池セルEC1の出力電圧まで降下したことを検出する。そして、電圧監視モジュールVMM1に電池セルEC2の放電停止指令を発する。
電圧監視モジュールVMM1の制御回路VMC_CONは、通信回路VMM_Cを介して、電池セルEC2の放電停止指令を受ける。制御回路VMC_CONは、電池セルEC2の放電停止指令に応じて、セルバランス回路CB2をオフにする。これにより、電池セルEC2の放電は停止し、電池セルEC2の出力電圧は電池セルEC1の出力電圧と同じになる。セルモニタ部CMUが同様の動作を行うことにより、電池モジュールEM1の電池セルEC3〜ECm及び電池モジュールEM2〜EMnの各電池セルの出力電圧も、電池セルEC1の出力電圧と同じになる。これにより、電池モジュールEM2〜EMnの各電池セルの出力電圧が均一化され、セルモニタ部CMUはセルバランス動作を終了する。セルモニタ部CMUは、セルバランス動作終了を、電池管理部BMUに通知する。
電池管理部BMUは、セルバランス動作終了の通知に応じ、充電プラグと接続される受電部(不図示)に、充電開始の指令を発する。これにより、組電池assyに外部充電電圧CHARGEが供給され、組電池assyの充電が開始する。
セルモニタ部CMUは、充電中の各電池セルの出力電圧を監視する。そして、いずれかの電池セルの出力電圧が充電上限電圧に到達したならば、過充電警報を電池管理部BMUに通知する。電池管理部BMUは、過充電警報の通知に応じ、受電部に充電停止の指令を発する。これにより、外部充電電圧CHARGEの供給が遮断され、充電は停止する。充電上限電圧は、電池セルの過充電の発生を確実に防止するため、過充電時の電圧レベルから十分なマージンを有する、過充電時の閾値電圧レベルよりも小さい電圧値を設定することが望ましい。
なお、電池モジュールEM1〜EMnの各電池セルの充電特性には、ばらつきがある。このため、充電後の各電池セルの電圧値には、ばらつきが生じる。よって、各電池セルの電圧値のばらつきを把握するため、セルモニタ部CMUは各電池セルの出力電圧を測定する。そして、各電池セルの出力電圧のばらつきが、規定範囲内に収まっているか否かを判定する。そして、判定結果を電池管理部BMUに通知する。
各電池セルの出力電圧のばらつきが規定範囲内に収まっていない場合には、電池管理部BMUは、セルバランス動作の開始をセルモニタ部CMUに指令する。そしてセルバランス動作終了後、電池管理部BMUは、充電開始を受電部に指令する。一方、各電池セルの出力電圧のばらつきが規定範囲内に収まっている場合には、電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUに充電完了を通知する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに、組電池assyの充電が完了したことを表示する。以上のように、電圧監視システムVMSが電池セルの出力電圧を監視することにより、過充電を防止し、かつ良好なセルバランスを維持した状態で、組電池assyをフル充電状態まで充電することができる。
次いで、電気自動車を加速させる場合について説明する。電気自動車を加速させる場合には、エンジンコントロール部ECUが、例えばアクセルペダルの踏みこみなどの運転者の操作を検知して、電気自動車を加速させるための加速指令をインバータINV及び電池管理部BMUに発する。インバータINVは、エンジンコントロール部ECUからの加速指令に応じ、動作モードが直流→交流変換モードに切り替わる。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの加速指令に応じ、リレーREL1及びREL2を閉じる。これにより、組電池assyからインバータINVに直流電圧が供給される。インバータINVは、直流電圧を交流電圧に変換し、モータジェネレータMGに供給する。モータジェネレータMGは、交流電圧の供給を受けることにより、駆動力を発生させる。モータジェネレータMGで発生した駆動力が、ドライブシャフトなどを介して駆動輪に伝達されることにより、電気自動車は加速する。
電気自動車が加速する場合には、電池セルに蓄えられた電力が消費され、電池セルの出力電圧は降下してゆく。従って、電池セルの過放電を防止する措置が必要である。そのため、電圧監視システムVMSは、走行時の各電池セルの出力電圧を常時監視する。そして、例えばいずれかの電池セルの電圧が警告レベル電圧を下回った場合には、セルモニタ部CMUは電池管理部BMUに電圧降下警報を発する。電池管理部BMUは、電圧降下警報に応じて、組電池assyの充電残量低下警報をエンジンコントロール部ECUに発する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに、組電池assyの充電残量低下警報を表示し、運転者に電池セルの過放電が生じる恐れがあることを報知する。これにより、電圧監視システムVMSは、走行停止などの過放電防止措置を取ることを、運転者に促すことができる。
なお、組電池assyの充電残量低下警報が放置され、その後も走行が続けられた場合には、電池セルの出力電圧はさらに低下する。よって、電池セルの過放電を防止するため、各電池セルの放電を停止する必要がある。例えばいずれかの電池セルの電圧が緊急停止レベル電圧を下回った場合には、セルモニタ部CMUは電池管理部BMUに緊急停止警報を発する。緊急停止レベル電圧は、電池セルの過放電の発生を確実に防止するため、過放電時の電圧レベルから十分なマージンを有する、過放電の閾値電圧レベルよりも大きい電圧値を設定することが望ましい。
電池管理部BMUは、セルモニタ部CMUからの緊急停止警報に応じ、緊急停止動作を発動する。具体的には、電池管理部BMUは、リレーREL1及びREL2を開け、組電池assyからインバータINVへの電源供給を遮断する。これにより、電池セルの出力電圧降下が停止する。また、電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUに、緊急停止動作の実行を通知する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに、緊急停止動作が発動されたことを表示する。これにより、電池セルの過放電の発生を確実に防止することができる。
次いで、電気自動車を減速させる場合について説明する。電気自動車を減速させる場合には、エンジンコントロール部ECUが、例えばブレーキペダルの踏みこみなどの運転者の操作を検知し、電気自動車を減速させるための減速指令をインバータINV及び電池管理部BMUに発する。インバータINVは、エンジンコントロール部ECUからの減速指令に応じ、動作モードが交流→直流変換モードに切り替わる。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの減速指令に応じ、リレーREL1及びREL2を閉じる。モータジェネレータMGは、ドライブシャフトなどを介して伝達されるタイヤの回転力により、発電を行う。発電により生じる回転抵抗は、ドライブシャフトなどを介して、制動力として駆動輪に伝達される。これにより、電気自動車は減速する。この制動手法は、一般に回生ブレーキ動作と称される。回生ブレーキ動作により生じた交流電圧は、インバータINVに供給される。インバータINVは、モータジェネレータMGからの交流電圧を直流電圧に変換し、組電池assyに供給する。これにより、組電池assyは、回生ブレーキ動作で回収された電圧により充電される。
回生ブレーキ動作時には組電池assyが充電されるので、各電池セルの出力電圧は上昇する。よって、電池セルの過充電を防止する措置が必要である。そのため、電圧監視システムVMSは、走行時の各電池セルの出力電圧を常時監視する。セルモニタ部CMUは、回生ブレーキ動作開始時の各電池セルの出力電圧が充電上限電圧以下であるか否かを判定する。充電上限電圧よりも大きな出力電圧を有する電池セルが存在する場合には、セルモニタ部CMUは過充電警報を電池管理部BMUに発する。電池管理部BMUは、過充電警報に応じてリレーREL1及びREL2を開け、組電池assyが充電されることを防止する。
また、回生ブレーキ動作による充電中においても、セルモニタ部CMUは、電池セルの出力電圧の監視を継続する。そして、出力電圧が充電上限電圧に到達した電池セルが発見された場合には、セルモニタ部CMUは過充電警報を電池管理部BMUに発する。電池管理部BMUは、過充電警報に応じてリレーREL1及びREL2を開け、組電池assyが充電されることを防止する。これにより、組電池assyの過充電を防止できる。
上述では、電池セルの電圧が正常に検出できることを前提として、電圧監視システムVMSの動作を説明したが、実際には電池セルの出力電圧を正常に検出できない場合が有る。例えば、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnと組電池assyとの間の配線が断線してしまうと、断線箇所の電圧が異常降下又は異常上昇してしまい、セルモニタ部CMUは正常な電圧算出ができなくなる。このような断線が発生した場合には、電圧監視システムVMSの目的である電池セルの出力電圧の監視ができなくなるため、断線故障を検出することが求められる。
そのため、セルモニタ部CMUには、出力電圧の値の適正範囲が予め記憶されている。算出した電池セルの出力電圧値が適正範囲から逸脱している場合には、セルモニタ部CMUは断線故障が発生したものと判定する。そして、セルモニタ部CMUは、断線故障の発生を電池管理部BMUに通知する。電池管理部BMUは、断線故障発生の通知に応じ、リレーREL1及びREL2開けて、インバータINVと組電池assyの接続を切断する。これにより、システムに更なる障害が発生することを防止する。また、電池管理部BMUは、断線故障の発生をエンジンコントロール部ECUに通知する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに断線故障の発生を表示し、運転者に故障発生を報知する。以上のように、電圧監視システムVMSは、断線故障の発生を検出することも可能である。なお、断線故障の発生を検出するためには、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnが断線故障を検出するための構成を有する必要があるが、この構成は、例えば、特願2012−122688等に開示されている。
なお、電圧監視システムVMSの構成及び動作は例示に過ぎない。従って、例えば、セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUは、1つの回路ブロックに統合することが可能である。また、セルモニタ部CMUと電池管理部BMUが分担する機能の全部又は一部を相互に代替することが可能である。さらに、セルモニタ部CMU、電池管理部BMU及びエンジンコントロール部ECUは、1つの回路ブロックに統合することが可能である。また、エンジンコントロール部ECUは、セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUの機能の全部又は一部を代替することが可能である。
実施の形態1
上記説明では、図1〜図3を用いて電圧監視システムVMSの構成及び動作について説明した。実施の形態1にかかる半導体装置は、送信回路及び受信回路を有する。この送信回路及び受信回路は、上記説明の電圧監視モジュールVMM1〜VMMn等に適用できるものである。そこで、実施の形態1にかかる半導体装置(例えば、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn)を含む電圧監視システムVMSにおける制御命令送信手順について説明する。
図4に、電圧監視システムVMSにおける電圧監視モジュールの制御手順を示すタイミングチャートを示す。図4に示すように、電圧監視システムVMSでは、上位システムである電池管理部BMUからの指示に基づきセルモニタ部CMUが第1の命令(例えば、電圧監視動作開始命令VMSTを発行することで、電圧監視モジュールに電圧監視動作の開始を指示する。図4に示す例では、セルモニタ部CMUが電圧監視モジュールVMM2を指定して電圧監視動作開始命令VMSTを発行する。そして、電圧監視動作開始命令VMSTは、まず、デイジーチェーンの最下位に位置する電圧監視モジュールVMMnに受信される。しかし、電圧監視モジュールVMMnは、電圧監視動作開始命令VMSTが自身宛でないため、受信した電圧監視動作開始命令VMSTを次段に位置する電圧監視モジュールVMMn−1に送信する。このようにして、電圧監視システムVMSでは、受信した命令が自身宛でない場合、命令を受信した電圧監視モジュールは次段の電圧監視モジュールに順次送信する。
そして、電圧監視モジュールVMM2を指定した電圧監視動作開始命令VMSTが電圧監視モジュールVMM2に達すると、電圧監視モジュールVMM2は、受信が正しく行われたことを示す応答信号ACKを出力する。また、電圧監視モジュールVMM2は、電圧測定動作開始命令VMSTに基づき電圧監視動作を開始する。一方、図4に示す例では、応答信号ACKは、電圧監視モジュールVMM2から電圧監視モジュールVMM2の上位に位置する電圧監視モジュールVMM1に送信される。このとき、電圧監視モジュールVMM1は、デイジーチェーンの最上位に位置しているため、受信した応答信号ACKをセルモニタ部CMUに送信する。
応答信号ACKを受信したセルモニタ部CMUは、電圧監視動作開始命令VMSTが正常に電圧監視モジュールVMM2に達したことを認識する。そして、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの指示に基づき測定結果の取得を行う。図4に示す例では、セルモニタ部CMUが電圧監視モジュールVMM2を指定して測定結果の送信を指示する第2の命令(例えば、電圧値出力命令GETRES)を発行する。この電圧値出力命令GETRESは、電圧監視動作開始命令VMSTと同様にデイジーチェーンを構成する電圧監視モジュールの下位から上位に向かって伝達される。そして、電圧監視モジュールVMM2が電圧値出力命令GETRESを受信すると、電圧監視モジュールVMM2は、電圧値出力命令GETRESにより示される電池セルの測定結果RESを出力する。
そして、測定結果RESは、電圧監視モジュールVMM2から電圧監視モジュールVMM2の上位に位置する電圧監視モジュールVMM1に送信される。このとき、電圧監視モジュールVMM1は、デイジーチェーンの最上位に位置しているため、受信した測定結果RESをセルモニタ部CMUに送信する。
このように、電圧監視システムVMSでは、デイジーチェーン接続された電圧監視モジュールを介してセルモニタ部CMUが制御信号の送信と測定結果の受信とを行う。このとき、電圧監視システムVMSでは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnがそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、電圧監視モジュール間を接続する配線に流れる電流を増減させることで信号の送受信を行う。
そこで、図5に実施の形態1にかかる受信回路及び送信回路を含む電圧監視モジュールのブロック図を示す。なお、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnはいずれも同じ構成であるため、図5では、電圧監視モジュールVMM1を電圧監視モジュールの代表例として示した。
図5に示す様に、電圧監視モジュールVMM1は、通信回路、電圧測定回路、制御回路、レジスタ、セルバランス回路、電源回路を有する。そして、通信回路には、受信回路1及び送信回路2を有する。受信回路1は、デイジーチェーンの下位側に位置する電圧監視モジュールから出力される電流信号を受信する。この受信回路1は、電流信号から受信信号を生成し、受信信号を制御回路に伝達する。そして、制御回路は、受信信号に基づき送信された送信された命令を分析し、受信した命令が自身宛であれば、電圧測定回路、レジスタ等に動作命令を与える。また、制御回路は、受信した命令が自身宛でなければ送信回路2に受信回路1が受信した信号をそのまま出力することを指示する。送信回路2は、制御回路により指示されたデータをデイジーチェーンの上位に位置する電圧監視モジュールに出力する。なお、受信回路1、制御回路、送信回路2等の動作は、一例であり、任意に設定することができる。以下では、受信回路1、制御回路、送信回路2等が協働した動作についての説明は省略する。
実施の形態1にかかる電圧監視モジュールでは、受信回路1の構成に特徴の1つを有する。そこで、以下では、受信回路1について詳細に説明する。実施の形態1にかかる受信回路1は、自半導体装置(例えば、上位側の電圧監視モジュール)よりも低い電源電圧範囲の電源に基づき動作する他の半導体装置(例えば、下位側の電圧監視モジュール)に設けられる送信回路2が出力する信号電流を受信するものである。図6に実施の形態1にかかる受信回路1及び送信回路2の詳細な回路図を示す。なお、図6では、受信回路1及び送信回路2の接続関係を説明するために、上位側に位置する電圧監視モジュールに設けられる受信回路1と下位側に位置する電圧監視モジュールに設けられる送信回路2とを示した。なお、実施の形態1にかかる電圧監視モジュールには、受信回路1及び送信回路2がいずれも内蔵される。また、図6では、上位側の電圧監視モジュールと下位側の電圧監視モジュールとを接続する伝送配線LINEを示した。伝送配線LINEは、下位側の電圧監視モジュールから上位側の電圧監視モジュールに伝達される信号電流を流す配線であって、デイジーチェーンによる通信網を構成するものである。この伝送配線LINEにはモーター等からのノイズの混入経路となるものである。
図6に示す例では、上位側の電圧監視モジュールに設けられる受信回路1は、絶対値で30Vの電圧を有する低電位側電源電圧GNDと、絶対値で35Vの電圧を有する高電位側電源電圧VDDUと、に基づき動作する。一方、下位側の電圧監視モジュールに設けられる送信回路2は、絶対値で0Vの電圧を有する低電位側電源電圧GNDと、絶対値で5Vの電圧を有する高電位側電源電圧VDDUと、に基づき動作する。つまり、受信回路1は、異なる電源電圧範囲で動作する送信回路2から出力される信号電流を受信して受信信号を生成する。これは、電圧監視システムVMSでは、下位側の電圧監視モジュールに電源を供給する電池モジュールと、上位側の電圧監視モジュールに電源を供給する電池モジュールと、が直列に接続されるためである。
図6に示すように、受信回路1は、入力段回路10、調整回路12及びコンパレータ15を有する。また、受信回路1は、NPNトランジスタTr1、NMOSトランジスタN15及びダイオードDを有する。NPNトランジスタTr1は、入力段回路10にノイズに起因した高電圧(例えば、高電位側電源電圧VDDUを超える電圧)が印加されることを防止するものである。また、NMOSトランジスタN15及びダイオードDは、入力段回路10にノイズに起因した低電圧(例えば、低電位側電源電圧GNDを下回る電圧)が印加されることを防止するものである。つまり、受信回路1は、信号電流を送信回路2から第1の配線W11に伝達する伝送配線を有し、当該伝送配線上にNPNトランジスタTr1を備える。また、受信回路1は、伝送配線と低電位側電源配線との間に接続される逆流防止回路としてNMOSトランジスタN15及びダイオードDを有する。
入力段回路10は、第1の抵抗(例えば、抵抗R11)、第2の抵抗(例えば、抵抗R12)、第1のカレントミラー回路(例えば、カレントミラー回路11)、第1の配線W11及び第2の配線W12を有する。
抵抗R11及び抵抗R12は、高電位側電源配線(例えば、高電位側電源電圧VDDUが供給される電源配線)と低電位側電源配線(例えば、低電位側電源電圧GNDが供給される電源配線)との一方に一端が接続される。
カレントミラー回路11は、高電位側電源配線と低電位側電源配線との他方に第1の端子(例えば、ソース端子)が接続され、制御端子(例えば、ゲート)が共通接続される第1、第2のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN11、N12)を含む。そして、カレントミラー回路11では、第1のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN11)のゲートと第2の端子(例えば、ドレイン)とが互いに接続される。
第1の配線W11は、抵抗R11とNMOSトランジスタN11のドレインとを接続する。第1の配線W11は、信号電流Iinが入力される電流入力ノードNDを有する。この第1の配線W11には、抵抗R11に流れる電流I11の大きさに応じて第1の電圧(例えば、入力電圧VA)が生成される。
第2の配線W12は、抵抗R12とNMOSトランジスタN12のドレインとを接続する。この第2の配線W12には、抵抗R12に流れる電流I12の大きさに応じて第2の電圧(例えば、比較電圧VB)が生成される。
調整回路12は、第1の配線W11に生じる入力電圧VAと第2の配線W12に生じる比較電圧VBとの電圧差に応じて大きさが変動する調整電流Iadjを生成する。そして、調整回路12は、調整電流Iadjを第2の配線W12に与える。調整回路12は、入力電圧VAと比較電圧VBとの電圧差が定常状態よりも大きくなった場合、調整電流Iadjを第2の配線W12に与えることで電圧差を定常状態の電圧差に引き戻す。
調整回路12は、差動増幅器13、出力トランジスタ(例えば、PMOSトランジスタP11)、第2のカレントミラー回路(例えば、カレントミラー回路14)を有する。差動増幅器13は、入力電圧VAと比較電圧VBとの電圧差に基づき制御信号の電圧レベルを変動させる。PMOSトランジスタP11は、制御信号の電圧レベルに基づき調整電流Iadjの大きさを変動させる。カレントミラー回路14は、PMOSトランジスタP11から出力される電流に基づき調整電流Iadjを生成する。カレントミラー回路14は、高電位側電源配線と低電位側電源配線との他方にソース端子が接続され、ゲート)が共通接続される第3、第4のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタN13、N14)を含む。そして、カレントミラー回路14では、NMOSトランジスタN13のゲートとドレインとが互いに接続される。また、カレントミラー回路14では、NMOSトランジスタN14のドレインが第2の配線W12に接続され、第2の配線W12から調整電流Iadjを引き抜く。
コンパレータ15は、入力電圧VAと比較電圧VBの大小関係に基づき受信信号DOUTの論理レベルを反転させる。また、コンパレータ15は、入力電圧VAと比較電圧VBとの電圧差が予め設定された所定の電圧差よりも大きくなったことに応じて受信信号DOUTの論理レベルを反転させる。つまり、コンパレータ15は、ヒステリシスを有する。コンパレータ15は、ヒステリシスを有することで入力電圧VA及び比較電圧VBのノイズ成分に対する耐性を向上させることが出来るが、ヒステリシスを有していなくても動作させることは可能である。
また、図6に示すように、送信回路2は、上位側に位置する電圧監視モジュールに電流Iout1を出力することでデータを転送する。このとき、送信回路2は、電流Ioutを上位側の電圧監視モジュールから下位側の電圧監視モジュールに引き込む方向で出力する。送信回路2は、送信するデータの論理レベルが第1の論理レベル(例えば、ハイレベル)であれば電流Iout1を増加させ、データの論理レベルが第2の論理レベル(例えば、ロウレベル)であれば電流Iout1を減少させる。例えば、送信回路2は、データがデータ0(例えば、論理レベルがロウレベル)であれば電流Iout1を1mA程度とし、データがデータ1(例えば、論理レベルがハイレベル)であれば電流Iout1を0mA程度とする。
また、図6に示すように、送信回路2は、送信データ生成部20及び出力段回路21を有する。送信データ生成部20は、制御回路(不図示)からの指示に基づきレジスタから送信対象のデータを読み出し、データの論理レベルに応じて電流Iout0を出力する。出力段回路21は、電流Iout0に応じて信号電流(例えば、Iout1)を出力する。
出力段回路21は、NMOSトランジスタN21〜N24を有する。NMOSトランジスタN21、N22はカレントミラー回路を構成する。また、NMOSトランジスタN23、N24はカレントミラー回路を構成する。具体的には、NMOSトランジスタN21のドレインには電流Iout0が入力される。NMOSトランジスタN21のゲートとドレインは互いに接続される。NMOSトランジスタN21のソースは、NMOSトランジスタN23のドレインに接続される。NMOSトランジスタN22のゲートは、NMOSトランジスタN21のゲートと共通に接続される。NMOSトランジスタN22のドレインは外部端子に接続され、電流Iout1を出力する。NMOSトランジスタN22のソースは、NMOSトランジスタN24のドレインに接続される。NMOSトランジスタN23のゲートとドレインは互いに接続される。NMOSトランジスタN23のソースは接地電圧GNDが供給される低電位側電源配線に接続される。NMOSトランジスタN24のゲートは、NMOSトランジスタN23のゲートと共通に接続される。NMOSトランジスタN24のソースは、低電位側電源配線に接続される。
実施の形態1にかかる電圧監視モジュールでは、上記受信回路1を有することで、伝送配線LINEを介して伝送信号にノイズが混入しても、正しく受信信号を生成することができる。そこで、実施の形態1にかかる受信回路1の動作について説明する。
まず、実施の形態1にかかる電圧監視モジュールの動作を説明するに当たり、まず、調整回路12を無効化した場合、つまり、入力段回路10のみの受信回路1の動作について説明する。この場合、調整電流Iadjは流れない(Iadj=0mA)。そこで、図7に調整回路12を無効化した実施の形態1にかかる受信回路1の動作を示すタイミングチャートを示す。
図7に示すように、調整回路12が無効である場合、電流Iinの増減にかかわらず調整電流Iadjは0mAとなる。また、図7に示した例では、入力データがデータ1を示す場合(例えば、タイミングT1〜T2、T3〜T4の期間)に電流Iinが0mAとなり、入力データがデータ0を示す場合(例えば、タイミングT2〜T3の期間)に1mA程度の大きさとなる。
そして、電流Iinがデータ1を示す場合、電流I11と同じ大きさの電流I12がカレントミラー回路11により抵抗R12に供給される。そのため、電流Iinがデータ0を示す場合、電流I11及び電流I12は、同じ大きさになる。つまり、電流Iinがデータ0を示す場合、入力電圧VA及び比較電圧VBは同じ電圧値となる。
一方、電流Iinがデータ0を示す場合、電流I11は、電流Iinの増加に伴い増加する。このとき、カレントミラー回路11に流れる電流が減少するため、電流Iinがデータ0を示す場合、電流I12は減少する。そのため、電流Iinがデータ0を示す場合、電流Iinがデータ1を示す場合に比べて入力電圧VAは低く、比較電圧VBは高くなる。
このように、調整回路12が無効化されている場合、入力電圧VA及び比較電圧VBは、同じ電圧までは近づくものの、電圧の大小関係が変化しないため、コンパレータ15への入力電圧の大小関係の逆転が生じない。したがって、調整回路12が無効化されている状態では、受信信号DOUTはロウレベルを維持し、正しくデータの受信を行うことができない。調整回路12は、このような入力段回路10の動作に対して調整電流Iadjを生成することで、コンパレータ15が正しく受信信号DOUTを生成できるようにする。
なお、以下の説明では、電流Iinがロウレベルの時の入力電圧VA及び比較電圧VBの電圧をコモン電圧Vcomと称す。このコモン電圧Vcomは、調整電流Iadjが0mAとなるか、それ以上の電流値となるかの閾値となる電圧である。つまり、調整回路12は、入力電圧VAがコモン電圧Vcom以上となった場合には調整電流Iadjを0mAで維持する。これは、調整回路12が調整電流Iadjにより比較電圧VBの電圧値をコモン電圧Vcom以上とするためには、第2の配線W12に電流を流入させる必要があるところ、調整回路12が第2の配線W12に電流を流入させるための構成を有していないためである。
続いて、調整回路12を有効化した受信回路1の動作、つまり、図6に示した受信回路1の動作について説明する。そこで、図8に実施の形態1にかかる受信回路1の動作を示すタイミングチャートを示す。図8に示す例は、ノイズの入力がない場合、又は、ノイズ波形の中点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の受信回路1の動作を示すものである。
図8に示すように、調整回路12が有効に動作している場合、調整回路12が調整電流Iadjを出力し、この調整電流Iadjによって比較電圧VBの電圧を入力電圧VAの変動に追従させる。より具体的には、以下のような動作となる。
タイミングT11、T13では、電流Iinがデータ0からデータ1に遷移する。これに伴い、タイミングT11、T13では、電流Iinが減少するため、抵抗R11に流れる電流I11は、減少する。一方、電流I12は、タイミングT11、T13の直前の期間に調整電流Iadj(例えば、電流の大きさがIHadj)と電流I11のうちカレントミラー回路11に流れる電流とを足し合わせた大きさを有する。そして、タイミングT11、T13で、電流Iinが減少したことに応じてカレントミラー回路11に流れる電流が増加する。そのため、タイミングT11、T13では、電流I12は、電流値IHadjの大きさを有する調整電流Iadjに加算されるカレントミラー回路11から与えられる電流が増加するため、タイミングT11、T13以前の期間よりも増加する。これにより、タイミングT11、T13では、入力電圧VAが電流I11の減少により上昇するものの、比較電圧VBは電流I12の増加により減少する。そこで、調整回路12は、入力電圧VAと比較電圧VBの電圧差に基づき、調整電流Iadjを減少させ、調整電流Iadjの大きさをILadj(例えば、0mA)とする。これにより、タイミングT11〜T12の期間及びタイミングT13〜T14の期間の後半部分では、電流Iinが0mAとなる図7のタイミングT11〜T12の期間と同様に入力電圧VA及び比較電圧VBが同じ電圧(例えば、コモン電圧Vcom)となる。
一方、タイミングT12では、電流Iinがデータ1からデータ0に遷移する。これに伴い、タイミングT12では、電流Iinが増加するため、抵抗R11に流れる電流I11が増加する。一方、電流I12は、タイミングT12の直前の期間に電流Iinが0mAである場合の電流I11の大きさを有する。そして、タイミングT12で、電流Iinが増加したことに応じてカレントミラー回路11に流れる電流が減少する。また、タイミングT12では、未だ調整電流Iadjが0mAである。そのため、タイミングT12では、抵抗R12に流れる電流I12が減少する。これにより、タイミングT12では、入力電圧VAが電流I11の増加により低下するものの、比較電圧VBは電流I12の減少により上昇する。そこで、調整回路12は、入力電圧VAと比較電圧VBの電圧差に基づき、調整電流Iadjを増加させ、調整電流Iadjの大きさをIHadjとする。これにより、電流I12が調整電流Iadjの増加分だけ増加し、比較電圧VBの電圧値が低下する。そして、タイミングT12〜T13の期間の後半部分では、図7のタイミングT12〜T13の期間とは異なり入力電圧VA及び比較電圧VBが同じ電圧となる。
このように、調整回路12を用いることで、受信回路1では、入力データの切り替わりに応じて入力電圧VAと比較電圧VBとの大小関係が逆転する。これにより、受信回路1では、コンパレータ15が入力データの論理レベルの切り替わりに応じて論理レベルが切り替わる受信信号DOUTを生成することができる。
次いで、ノイズ波形の上側頂点付近及び下側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の実施の形態1にかかる受信回路1の動作について説明する。まず、図9にノイズ波形の上側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の受信回路1の動作を示すタイミングチャートを示す。
図9に示すように、ノイズの振幅が上側頂点付近となった場合、入力電圧VAがコモン電圧Vcomよりも高い電圧値で遷移する。しかし、調整回路12は、入力電圧VAがコモン電圧Vcomよりも高い電圧となった場合、第2の配線W12に電流を流入させることができないため、比較電圧VBをコモン電圧Vcomよりも高い電圧に調節することができない。従って、図9に示す例では、調整電流Iadjは、0mAを維持する。この場合においても、受信回路1は、電流I11及び電流I12は、電流Iinの増減に伴って逆の位相をもって電流値を変化させる。入力電圧VA及び比較電圧VBは、逆の位相をもって電圧が変化するが、電圧の大小関係は電流Iinの遷移に伴って逆転を繰り返す。したがって、コンパレータ15は、入力電圧VAと比較電圧VBの電圧値が逆転する毎に受信信号DOUTの論理レベルを切り替える。より具体的には、コンパレータ15は、タイミングT21〜T22の期間及びタイミングT23〜T24の期間に受信信号DOUTをハイレベルとし、タイミングT22〜T23の期間に受信信号DOUTをロウレベルとする。
図10にノイズ波形の下側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合の受信回路1の動作を示すタイミングチャートを示す。図10に示す様に、この例では、タイミングT31、T33で電流Iinがデータ0からデータ1に遷移する。これに伴い、タイミングT31、T33では、電流Iinが減少するため、抵抗R11に流れる電流I11は、減少する。一方、電流I12は、タイミングT31、T33の直前の期間において調整電流Iadj(例えば、電流の大きさがIHadj)と電流I11のうちカレントミラー回路11に流れる電流とを足し合わせた大きさを有する。そして、タイミングT31、T33で、電流Iinが減少したことに応じてカレントミラー回路11に流れる電流が増加する。そのため、タイミングT31、T33では、電流I12は、電流値IHadjの大きさを有する調整電流Iadjに加算されるカレントミラー回路11から与えられる電流が増加するため、タイミングT31、T33以前の期間よりも増加する。これにより、タイミングT31、T33では、入力電圧VAが電流I11の減少により上昇するものの、比較電圧VBは電流I12の増加により減少する。そこで、調整回路12は、入力電圧VAと比較電圧VBの電圧差に基づき、調整電流Iadjを減少させ、調整電流Iadjの大きさをILadjとする。なお、図10に示す例では、入力電圧VAがハイレベルとなってもコモン電圧Vcomよりも小さな電圧であるため電流値ILadjは0mAよりも大きくなる。これにより、タイミングT31〜T32の期間及びタイミングT33〜T34の期間の後半部分では、入力電圧VA及び比較電圧VBが同じ電圧(例えば、コモン電圧Vcom)となる。
一方、タイミングT32では、電流Iinがデータ1からデータ0に遷移する。これに伴い、タイミングT32では、電流Iinが増加するため、抵抗R11に流れる電流I11が増加する。一方、電流I32は、タイミングT32の直前の期間に電流Iinが0mAである場合の電流I11に電流値ILadjの大きさを有する調整電流Iadjを加えた大きさを有する。そして、タイミングT32で、電流Iinが増加したことに応じてカレントミラー回路11に流れる電流が減少する。また、タイミングT32では、未だ調整電流Iadjが電流値ILadjを有する。そのため、タイミングT32では、抵抗R12に流れる電流I12が減少する。これにより、タイミングT32では、入力電圧VAが電流I11の増加により低下するものの、比較電圧VBは電流I12の減少により上昇する。そこで、調整回路12は、入力電圧VAと比較電圧VBの電圧差に基づき、調整電流Iadjを増加させ、調整電流Iadjの大きさを電流値IHadjとする。これにより、電流I12が調整電流Iadjの増加分だけ増加し、比較電圧VBの電圧値が低下する。そして、タイミングT32〜T33の期間の後半部分では、入力電圧VA及び比較電圧VBが同じ電圧となる。
このように、調整回路12を用いることで、受信回路1では、ノイズ波形の上側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合、及び、下側頂点付近の電圧を有するノイズが印加された場合のいずれの場合においても、入力データの切り替わりに応じて入力電圧VAと比較電圧VBとの大小関係が逆転する。これにより、受信回路1では、ノイズが印加され場合においてもコンパレータ15が入力データの論理レベルの切り替わりに応じて論理レベルが切り替わる受信信号DOUTを生成することができる。
続いて、図11に図8〜図10に示したタイミングチャートよりも長い期間の実施の形態1にかかる送信回路1の動作を示すタイミングチャートを示す。図11に示すタイミングチャートのうち左側の図は、ノイズの混入がない場合の受信動作を示すものであり、右側の図はノイズが混入した場合の受信動作を示すものである。なお、ノイズは、例えば、周波数が数kHz〜数十kHzであり、振幅が500Vpp程度である。
図11の左図に示すように、ノイズがない場合、受信回路1は、図8に示した動作に従って送信回路2が出力した信号電流に応じて入力電圧VAと比較電圧VBを生成する。そして、受信回路1は、入力電圧VAと比較電圧VBとを比較して受信信号DOUTを生成する。この受信信号DOUTは、信号電流が入力されている期間は途切れることなく出力される。
また、図11の右図に示すように、信号電流がノイズに重畳されて入力される場合、伝送配線LINE上の信号波形は、ノイズにより大きくひずむ。図11に示す例では、混入したノイズがノイズ波形の下側である場合上側の信号が欠ける形になる。なお、ノイズは伝送配線の寄生容量を介して入力されるため、実際のノイズ波形と伝送配線上の信号波形との間には位相ずれが生じている。しかしながら、このような場合においても、実施の形態1にかかる受信回路1では、図9及び図10で説明した動作に従って比較信号VBの電圧レベルをノイズに追従させることで入力電圧VAと比較可能な電圧レベルとする。これにより、実施の形態1にかかる受信回路1は、ノイズが混入した場合においても、ノイズの混入がない場合と同様の受信信号DOUTを生成することができる。
ここで、比較例として、固定された電圧値を有する基準電圧Vrefと信号電流に基づき生成される入力電圧VAとを比較して受信信号DOUTを生成する一般的な受信回路100について説明する。そして、一般的な受信回路100と実施の形態1にかかる受信回路1とを比較検討することで受信回路1の効果について説明する。
図12に一般的な受信回路100を有する電圧監視モジュールのブロック図を示す。図12に示すように受信回路100は、抵抗R102と抵抗R103とにより受信回路100に与えられる接地電圧GNDと電源電圧VDDUとを分圧して基準電圧Vrefを生成する。また、受信回路100では、抵抗R101に電流Iinを与えることで入力電圧VAを生成する。そして、受信回路100は、コンパレータ111で基準電圧Vrefと入力電圧VAとの大小関係を比較することで受信信号DOUTを生成する。
この一般的な受信回路100の動作を示すタイミングチャートを図13に示す。図13に示すタイミングチャートを図11で説明したタイミングチャートと同じノイズ波形を一般的な受信回路100に与えたものである。また、図13に示すタイミングチャートのうち左側の図は、ノイズの混入がない場合の受信動作を示すものであり、右側の図はノイズが混入した場合の受信動作を示すものである。
図13の左図に示すように、ノイズがない場合、一般的な受信回路100は、入力電圧VAと基準電圧Vrefとの大小関係が入力データの遷移に応じて逆転するため、実施の形態1にかかる受信回路1と同様に受信信号DOUTを生成ことができる。この受信信号DOUTは、信号電流が入力されている期間は途切れることなく出力される。
一方、図13の右図に示すように、信号電流がノイズに重畳されて入力される場合、伝送配線LINE上の信号波形は、ノイズにより大きくひずむ。図13に示す例では、混入したノイズがノイズ波形の下側である場合上側の信号が欠ける形になる。このとき、一般的な受信回路100では、ノイズ波形の上側の電圧を有するノイズに入力データが重畳されている期間に、入力電圧VAが基準電圧Vrefを下回ることができず受信信号DOUTが正しく出力されない。つまり、一般的な受信回路100のように固定された基準電圧Vrefにより入力データを判別しようとしてもノイズの混入がある場合には受信信号DOUTを生成することができない。
上記説明より、実施の形態1にかかる受信回路1では、入力段回路10、調整回路12、コンパレータ15を有する。そして、入力段回路10は、調整電流Iadjの入力がない場合に電流Iinの電流値の切り替わりに応じて互いに逆相になる入力電圧VA及び比較電圧VBを生成する。また、調整回路12は、入力電圧VAが予め設定されるコモン電圧Vcomよりも低い場合に入力電圧VAと比較電圧VBの電圧差が拡大したことに応じて調整電流Iadjを出力し、比較電圧VBを入力電圧VAと同じ電圧に調整する。そして、受信回路1は、コンパレータ15によって入力電圧VAと比較電圧VBとの大小関係を判別することで受信信号DOUTを生成する。実施の形態1にかかる受信回路1では、上記構成により、通信経路を介してノイズが印加された場合においても受信信号DOUTを途切れさせることなく生成することができる。
また、前述したように、特許文献1に記載の回路では、伝送信号よりも高い周波数のノイズは除去できるものの、モーターノイズ等の伝送信号よりも低い周波数のノイズは除去できない問題がある。一方、実施の形態1にかかる受信回路1では、伝送信号よりも低い周波数のノイズが印加されたことに起因して信号電流から生成される入力電圧VAの電圧が上昇又は低下した場合においても受信信号DOUTを途切れることなく生成することができる。
ここで、ノイズへの耐性を向上させる他の方法としては、実施の形態1にかかる受信回路1を用いる他に、差動信号を用いる方法が一般的に考えられる。しかしながら、伝送信号に差動信号を用いた場合、信号線が2本必要になる。このように信号線の数が増加した場合、半導体装置の端子数の増加に起因して半導体装置が大型化する、配線の本数の増加に伴いシステムの重量が増加する等の問題が発生する。
また、特許文献1のように多段構成のインバータによりノイズを除去することでノイズ耐性を向上させた場合、回路素子数が多くなり、半導体装置の回路面積が増大する問題がある。
また、モーターノイズ等の伝送信号よりも低い周波数のノイズを除去する方法として、一般的なものでは、入力段にローパスフィルタ等を搭載して、低周波ノイズを除去することも考えられる。しかしながら、低周波ノイズを除去するローパスフィルタは、大容量のコンデンサを用いなければならず、やはり回路面積が増大する問題、或いは、部品点数が増加する問題がある。
特に、組電池は、大量の電池セルを組み合わせたものであり、一つ一つの部品及び部材の増加が、コスト及び重量に与える影響が大きい。また、組電池は、自動車に搭載されるものであり、コスト増加の問題及び部品点数の増加に伴う重量増大の問題は、特に大きな問題となる。
このような問題に対して、実施の形態1にかかる受信回路1では、単線で伝送される信号電流に基づき受信信号DOUTを生成するため、半導体装置の端子数の増加及び信号線の数の増加という問題は生じない。さらに、実施の形態1にかかる受信回路1では、多段構成の入力段及び大きな入力容量等を用いることなくノイズ耐性を向上させることができるため、回路面積を小さく抑えることができる効果を奏する。つまり、実施の形態1にかかる受信回路1を用いることで、組電池における信号伝達経路で生じるコストの増加及び部品点数の増加という課題を解決できる。
実施の形態2
上述した詳細な説明では、低電位側に配置される電池モジュールEMnのセル電圧を監視する電圧監視モジュールVMMnから高電位側に配置される電池モジュールEM1のセル電圧を監視する電圧監視モジュールVMM1に向かってデータ或いはコマンドを伝達するアップストリーム経路で用いられる送信回路2及び受信回路1について説明した。
しかし、電圧監視システムでは、ダウンストリーム経路を利用してシステムを構築する場合がある。このダウンストリーム経路では、高電位側に配置される電池モジュールEM1のセル電圧を監視する電圧監視モジュールVMM1から低電位側に配置される電池モジュールEMnのセル電圧を監視する電圧監視モジュールVMMnに向かってデータ或いはコマンドを伝達する。そこで、実施の形態2では、自半導体装置(例えば、下位側の電圧監視モジュール)よりも高い電源電圧範囲の電源に基づき動作する他の半導体装置(例えば、上位側の電圧監視モジュール)に設けられる送信回路4が出力する信号電流を受信する受信回路3について説明する。以下で、この実施の形態2にかかる電圧監視システムVMS及び実施の形態2にかかる受信回路について説明する。なお、実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
そこで、実施の形態2における電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係を示す電圧監視システムVMSの要部のブロック図を図14に示す。図14に示すように、実施の形態2にかかる電圧監視システムVMSでは、アップストリーム配線網UPLとダウンストリーム配線網DNLを有する。このように、実施の形態2にかかる電圧監視システムVMSでは、アップストリームで用いられる配線網とダウンストリームで用いられる配線網を個別に設ける。そして、実施の形態2にかかる電圧監視モジュールでは、通信回路がアップストリーム用受信回路とダウンストリーム用受信回路とを有する。ここで、アップストリーム用受信回路には、実施の形態1にかかる受信回路1が用いられる。そして、実施の形態2では、ダウンストリーム用受信回路として用いられる受信回路について説明する。
続いて、図15に、実施の形態2にかかる電圧監視システムVMSにおける電圧監視モジュールの制御手順を示すタイミングチャートを示す。図15に示すように、電圧監視システムVMSでは、上位システムである電池管理部BMUからの指示に基づきセルモニタ部CMUが第1の命令(例えば、電圧監視動作開始命令VMSTを発行することで、電圧監視モジュールに電圧監視動作の開始を指示する。図15に示す例では、セルモニタ部CMUが電圧監視モジュールVMM2を指定して電圧監視動作開始命令VMSTを発行する。そして、電圧監視動作開始命令VMSTは、まず、デイジーチェーンの最下位に位置する電圧監視モジュールVMMnに受信される。しかし、電圧監視モジュールVMMnは、電圧監視動作開始命令VMSTが自身宛でないため、受信した電圧監視動作開始命令VMSTを次段に位置する電圧監視モジュールVMMn−1に送信する。このようにして、電圧監視システムVMSでは、受信した命令が自身宛でない場合、命令を受信した電圧監視モジュールは次段の電圧監視モジュールに順次送信する。
そして、電圧監視モジュールVMM2を指定した電圧監視動作開始命令VMSTが電圧監視モジュールVMM2に達すると、電圧監視モジュールVMM2は、受信が正しく行われたことを示す応答信号ACKを出力する。また、電圧監視モジュールVMM2は、電圧測定動作開始命令VMSTに基づき電圧監視動作を開始する。一方、図15に示す例では、応答信号ACKは、電圧監視モジュールVMM2から電圧監視モジュールVMM2の界に位置する電圧監視モジュールVMMnを介してセルモニタ部CMUに送信される。
応答信号ACKを受信したセルモニタ部CMUは、電圧監視動作開始命令VMSTが正常に電圧監視モジュールVMM2に達したことを認識する。そして、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの指示に基づき測定結果の取得を行う。図15に示す例では、セルモニタ部CMUが電圧監視モジュールVMM2を指定して測定結果の送信を指示する第2の命令(例えば、電圧値出力命令GETRES)を発行する。この電圧値出力命令GETRESは、電圧監視動作開始命令VMSTと同様にデイジーチェーンを構成する電圧監視モジュールの下位から上位に向かって伝達される。そして、電圧監視モジュールVMM2が電圧値出力命令GETRESを受信すると、電圧監視モジュールVMM2は、電圧値出力命令GETRESにより示される電池セルの測定結果RESを出力する。
そして、測定結果RESは、電圧監視モジュールVMM2から電圧監視モジュールVMM2の下位に位置する電圧監視モジュールVMMnを介してセルモニタ部CMUに送信される。
このように、電圧監視システムVMSでは、デイジーチェーン接続された電圧監視モジュールを介してセルモニタ部CMUが制御信号の送信と測定結果の受信とを行う。このとき、電圧監視システムVMSでは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnがそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、実施の形態1と同様に電圧監視モジュール間を接続する配線に流れる電流を増減させることで信号の送受信を行う。
そこで、図16に実施の形態2にかかる受信回路及び送信回路を含む電圧監視モジュールのブロック図を示す。なお、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnはいずれも同じ構成であるため、図16では、電圧監視モジュールVMM1を電圧監視モジュールの代表例として示した。
図16に示すように、電圧監視モジュールVMM1は、通信回路、電圧測定回路、制御回路、レジスタ、セルバランス回路、電源回路を有する。そして、通信回路には、受信回路1、3及び送信回路2、4を有する。受信回路1及び送信回路2は、アップストリーム配線網UPLを用いた通信で利用されるものである。送信回路3及び受信回路4は、ダウンストリーム配線網DNLを用いた通信で利用されるものである。受信回路4は、デイジーチェーンの上位側に位置する電圧監視モジュールから出力される電流信号を受信する。この受信回路4は、電流信号から受信信号を生成し、受信信号を制御回路に伝達する。そして、制御回路は、受信信号に基づき送信された送信された命令を分析し、受信した命令が自身宛であれば、電圧測定回路、レジスタ等に動作命令を与える。また、制御回路は、受信した命令が自身宛でなければ送信回路4に受信回路3が受信した信号をそのまま出力することを指示する。送信回路4は、制御回路により指示されたデータをデイジーチェーンの下位に位置する電圧監視モジュールに出力する。なお、受信回路1、3、制御回路、送信回路2、4等の動作は、一例であり、任意に設定することができる。以下では、受信回路1、3、制御回路、送信回路2、4等が協働した動作についての説明は省略する。
続いて、実施の形態2にかかる受信回路3について詳細に説明する。図17に実施の形態2にかかる受信回路3及び送信回路4の詳細な回路図を示す。なお、図17では、受信回路3及び送信回路4の接続関係を説明するために、上位側に位置する電圧監視モジュールに設けられる送信回路4と下位側に位置する電圧監視モジュールに設けられる受信回路3とを示した。なお、実施の形態2にかかる電圧監視モジュールには、受信回路3及び送信回路4がいずれも内蔵される。また、図17では、上位側の電圧監視モジュールと下位側の電圧監視モジュールとを接続する伝送配線LINEを示した。伝送配線LINEは、上位側の電圧監視モジュールから下位側の電圧監視モジュールに伝達される信号電流を流す配線であって、デイジーチェーンによる通信網を構成するものである。この伝送配線LINEにはモーター等からのノイズの混入経路となるものである。
図17に示す例では、上位側の電圧監視モジュールに設けられる送信回路4は、絶対値で30Vの電圧を有する低電位側電源電圧GNDと、絶対値で35Vの電圧を有する高電位側電源電圧VDDUと、に基づき動作する。一方、下位側の電圧監視モジュールに設けられる受信回路3は、絶対値で0Vの電圧を有する低電位側電源電圧GNDと、絶対値で5Vの電圧を有する高電位側電源電圧VDDUと、に基づき動作する。つまり、受信回路3は、異なる電源電圧範囲で動作する送信回路4から出力される信号電流を受信して受信信号を生成する。これは、電圧監視システムVMSでは、下位側の電圧監視モジュールに電源を供給する電池モジュールと、上位側の電圧監視モジュールに電源を供給する電池モジュールと、が直列に接続されるためである。
図17に示すように、受信回路3は、入力段回路30、調整回路32及びコンパレータ34を有する。
入力段回路30は、第1の抵抗(例えば、抵抗R31)、第2の抵抗(例えば、抵抗R32)、第1のカレントミラー回路(例えば、カレントミラー回路31)、第1の配線W31及び第2の配線W32を有する。
抵抗R31及び抵抗R32は、高電位側電源配線(例えば、高電位側電源電圧VDDUが供給される電源配線)と低電位側電源配線(例えば、低電位側電源電圧GNDが供給される電源配線)との一方に一端が接続される。
カレントミラー回路31は、高電位側電源配線と低電位側電源配線との他方に第1の端子(例えば、ソース端子)が接続され、制御端子(例えば、ゲート)が共通接続される第1、第2のトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタP31、P32)を含む。そして、カレントミラー回路31では、第1のトランジスタ(例えば、PMOSトランジスタP31)のゲートと第2の端子(例えば、ドレイン)とが互いに接続される。
第1の配線W31は、抵抗R31とPMOSトランジスタP11のドレインとを接続する。第1の配線W31は、信号電流Iinが入力される電流入力ノードNDを有する。この第1の配線W31には、抵抗R31に流れる電流I31の大きさに応じて第1の電圧(例えば、入力電圧VA)が生成される。
第2の配線W32は、抵抗R32とPMOSトランジスタP12のドレインとを接続する。この第2の配線W32には、抵抗R32に流れる電流I32の大きさに応じて第2の電圧(例えば、比較電圧VB)が生成される。
調整回路32は、第1の配線W31に生じる入力電圧VAと第2の配線W32に生じる比較電圧VBとの電圧差に応じて大きさが変動する調整電流Iadjを生成する。そして、調整回路32は、調整電流Iadjを第2の配線W32に与える。調整回路32は、入力電圧VAと比較電圧VBとの電圧差が定常状態よりも大きくなった場合、調整電流Iadjを第2の配線W12に与えることで電圧差を定常状態の電圧差に引き戻す。
調整回路32は、差動増幅器33、出力トランジスタ(例えば、PMOSトランジスタP33)を有する。差動増幅器33は、入力電圧VAと比較電圧VBとの電圧差に基づき制御信号の電圧レベルを変動させる。PMOSトランジスタP33は、制御信号の電圧レベルに基づき調整電流Iadjの大きさを変動させる。また、PMOSトランジスタP33は、ドレインが第2の配線W12に接続され、第2の配線W12に調整電流Iadjを直接流入させる。
コンパレータ34は、入力電圧VAと比較電圧VBの大小関係に基づき受信信号DOUTの論理レベルを反転させる。また、コンパレータ34は、入力電圧VAと比較電圧VBとの電圧差が予め設定された所定の電圧差よりも大きくなったことに応じて受信信号DOUTの論理レベルを反転させる。つまり、コンパレータ34は、ヒステリシスを有する。コンパレータ34は、ヒステリシスを有することで入力電圧VA及び比較電圧VBのノイズ成分に対する耐性を向上させることが出来るが、ヒステリシスを有していなくても動作させることは可能である。
また、図17に示すように、送信回路4は、下位側に位置する電圧監視モジュールに電流Iout1を出力することでデータを転送する。このとき、送信回路4は、電流Ioutを上位側の電圧監視モジュールから下位側の電圧監視モジュールに流入させる方向で出力する。送信回路4は、データの論理レベルが第1の論理レベル(例えば、ハイレベル)であれば電流Iout1を増加させ、データの論理レベルが第2の論理レベル(例えば、ロウレベル)であれば電流Iout1を減少させる。例えば、送信回路4は、データがデータ0(例えば、論理レベルがロウレベル)であれば電流Iout1を1mA程度とし、データがデータ1(例えば、論理レベルがハイレベル)であれば電流Iout1を0mA程度とする。
また、図17に示すように、送信回路4は、送信データ生成部40及び出力段回路41を有する。送信データ生成部40は、制御回路(不図示)からの指示に基づきレジスタから送信対象のデータを読み出し、データの論理レベルに応じて電流Iout0を出力する。出力段回路41は、電流Iout0に応じて信号電流(例えば、Iout1)を出力する。
出力段回路41は、PMOSトランジスタP21〜P24を有する。PMOSトランジスタP41、P42はカレントミラー回路を構成する。また、PMOSトランジスタP43、P44はカレントミラー回路を構成する。具体的には、PMOSトランジスタP41のドレインには電流Iout0が入力される。PMOSトランジスタP41のゲートとドレインは互いに接続される。PMOSトランジスタP41のソースは、PMOSトランジスタP43のドレインに接続される。PMOSトランジスタP42のゲートは、PMOSトランジスタP41のゲートと共通に接続される。PMOSトランジスタP42のドレインは外部端子に接続され、電流Iout1を出力する。PMOSトランジスタP42のソースは、PMOSトランジスタP44のドレインに接続される。PMOSトランジスタP43のゲートとドレインは互いに接続される。PMOSトランジスタP43のソースは接地電圧GNDが供給される低電位側電源配線に接続される。PMOSトランジスタP44のゲートは、PMOSトランジスタP43のゲートと共通に接続される。PMOSトランジスタP44のソースは、低電位側電源配線に接続される。
なお、図17では、受信回路4は、NPNトランジスタTr2を有する。NPNトランジスタTr2は、出力段回路41にノイズに起因した高電圧(例えば、高電位側電源電圧VDDUを超える電圧)が印加されることを防止するものである。
続いて、実施の形態2にかかる受信回路2の動作について説明する。実施の形態1にかかる受信回路1は、アップストリームの経路で通信が行われるため、電流信号が受信回路1から引き抜かれる方向で入力される。そのため、実施の形態1にかかる受信回路1では、高電位側電源配線に接続される第1の抵抗R11に流れる電流I11を信号電流により変動させて入力電圧VAを生成する必要があった。しかしながら、実施の形態2にかかる受信回路3は、ダウンストリームの経路で行われる通信に対応するため、信号電流が受信回路3に流入する方向で入力される。そのため、実施の形態2にかかる受信回路3では、低電位側電源配線に接続される第1の抵抗R31に流れる電流I31を信号電流により変動させて入力電圧VAを生成する必要がある。
このようなことから、実施の形態2にかかる受信回路3は、上述した図17で示した構成を有する。そして、受信回路3は、電流Iinにより、電流I31を変動させると共に、カレントミラー回路31を用いて第2の抵抗R32に流れる電流I32を変動させる。これにより、入力電圧VAと比較電圧VBは互いに逆相の変動となる。
また、実施の形態2にかかる受信回路3では、比較電圧VBを入力電圧VAに引き寄せるためには、調整電流Iadjを第2の配線W12に流入させて電流I32を増減させる必要がある。つまり、受信回路3では、入力電圧VAがコモン電圧Vcomより低い場合には、実施の形態1にかかる受信回路1と同様に調整電流Iadjを出力しない。
このようなことから、実施の形態2にかかる受信回路3では、入力電圧VAがコモン電圧Vcomよりも低い状態では、調整電流Iadjの出力を停止して、入力電圧VAと比較電圧VBとの比較により受信信号DOUTを生成する。この動作は、図9で示した実施の形態1にかかる受信回路1の動作と同じ動作原理に基づくものである。
また、実施の形態2にかかる受信回路3では、入力電圧VAがコモン電圧Vcom以上となる状態では、調整電流Iadjを出力して、比較電圧VBを入力電圧VAに引き戻す動作を行った上で、2つの電圧を比較して受信信号DOUTを生成する。この動作は、図8及び図10で示した実施の形態1にかかる受信回路1の動作と同じ動作原理に基づくものである。
上記説明より、実施の形態2にかかる受信回路3では、流入する信号電流に対応して実施の形態1にかかる受信回路1の回路構成を改良することで、ダウンストリームの経路を介して送信される伝達信号をノイズの混入にかかわらず受信信号DOUTとすることができる。
また、実施の形態2にかかる受信回路3においても、ノイズ除去にコンデンサ、差動信号或いは多段構成の回路を用いる必要がない。そのため、実施の形態2にかかる受信回路3においても、実施の形態1にかかる受信回路1と同様に、回路面積の抑制及び部品点数の削減という効果を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
1、3 受信回路
2、4 送信回路
10、30 入力段回路
11、14、31 カレントミラー回路
12、32 調整回路
13、33 差動増幅器
15、34 コンパレータ
20、40 送信データ生成部
21、41 出力段回路
211 出力段回路
R11、R21、R31、R32 抵抗
Tr1、Tr2 NPNトランジスタ
N11〜N15 NMOSトランジスタ
N21〜N24 NMOSトランジスタ
P11、P31〜P33 PMOSトランジスタ
P41、P42 PMOSトランジスタ
D ダイオード
LINE 伝送配線
W11 第1の配線
W12 第2の配線
ND 電流入力ノード
I11、I12 電流
Iin 電流
Iadj 調整電流
Iout0、Iout1 電流
VA 入力電圧
VB 比較電圧
VDDU 高電位側電源電圧
GND 低電位側電源電圧
UPL アップストリーム配線網
DNL ダウンストリーム配線網

Claims (11)

  1. 送信回路から出力される信号電流を受信して受信信号を生成する受信回路を有する半導体装置であって、
    前記受信回路は、
    高電位側電源配線と低電位側電源配線との一方に一端が接続される第1、第2の抵抗と、
    前記高電位側電源配線と前記低電位側電源配線との他方に第1の端子が接続され、制御端子が共通接続される第1、第2のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタの前記制御端子と第2の端子とが互いに接続される第1のカレントミラー回路と、
    前記第1の抵抗と前記第1のトランジスタの前記第2の端子とを接続し、前記信号電流が入力される電流入力ノードを有する第1の配線と、
    前記第2の抵抗と前記第2のトランジスタの第2の端子とを接続する第2の配線と、
    前記第1の配線に生じる第1の電圧と前記第2の配線に生じる第2の電圧との電圧差に応じて大きさが変動する調整電流を生成して、当該調整電流を前記第2の配線に与える調整回路と、
    前記第1の電圧と前記第2の電圧の大小関係に基づき前記受信信号の論理レベルを反転させるコンパレータと、を有する半導体装置。
  2. 前記調整回路は、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧差が定常状態よりも大きくなった場合、前記調整電流を前記第2の配線に与えることで前記電圧差を前記定常状態の電圧差に引き戻す請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記調整回路は、
    前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧差に基づき制御信号の電圧レベルを変動させる差動増幅器と、
    前記制御信号の電圧レベルに基づき前記調整電流の大きさを変動させる出力トランジスタと、を有する請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記調整回路は、前記出力トランジスタから出力される電流に基づき前記調整電流を生成する第2のカレントミラー回路を有する請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記コンパレータは、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧差が予め設定された所定の電圧差よりも大きくなったことに応じて前記受信信号の論理レベルを反転させる請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記信号電流を前記送信回路から前記第1の配線に伝達する伝送配線と、
    前記伝送配線と前記低電位側電源配線との間に接続される逆流防止回路と、を有する請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記受信回路は、自半導体装置よりも低い電源電圧範囲の電源に基づき動作する他の半導体装置に設けられる前記送信回路が出力する前記信号電流を受信する請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記受信回路は、自半導体装置よりも高い電源電圧範囲の電源に基づき動作する他の半導体装置に設けられる前記送信回路が出力する前記信号電流を受信する請求項1に記載の半導体装置。
  9. 直列に接続される複数の電池セルのそれぞれの電圧値を測定する測定回路と、
    前記測定回路によって測定結果を格納するレジスタと、
    前記測定回路及び前記送信回路の動作を制御する制御回路と、をさらに有し、
    前記制御回路は、前記受信回路を介して得た制御コマンドに基づき前記測定回路及び前記送信回路を制御する請求項1に記載の半導体装置。
  10. 前記制御コマンドは、少なくとも、前記測定回路による前記複数の電池セルの電圧値の測定を指示する第1の命令と、前記測定結果の送信を指示する第2の命令と、を含む請求項9に記載の半導体装置。
  11. それぞれが少なくとも1つの電池セルの状態を測定し、デイジーチェーン接続される複数の電池監視モジュールと、
    前記複数の電池監視モジュールの間を接続する通信線と、
    前記複数の電池監視モジュールから前記電池セルの測定結果の取得するセルモニタ部と、を有し、
    前記複数の電池監視モジュールは、それぞれ、
    上位側と下位側の一方に位置する電池監視モジュールに出力する信号電流の電流値を送信信号の論理レベルに応じて切り替える送信回路と、
    上位側と下位側の他方に位置する電池監視モジュールから出力される信号電流に基づき受信信号を生成する受信回路と、を含み、
    前記受信回路は、
    高電位側電源配線と低電位側電源配線との一方に一端が接続される第1、第2の抵抗と、
    前記高電位側電源配線と前記低電位側電源配線との他方に第1の端子が接続され、制御端子が共通接続される第1、第2のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタの前記制御端子と第2の端子とが互いに接続される第1のカレントミラー回路と、
    前記第1の抵抗と前記第1のトランジスタの前記第2の端子とを接続し、前記信号電流が入力される電流入力ノードを有する第1の配線と、
    前記第2の抵抗と前記第2のトランジスタの第2の端子とを接続する第2の配線と、
    前記第1の配線に生じる第1の電圧と前記第2の配線に生じる第2の電圧との電圧差に応じて大きさが変動する調整電流を生成して、当該調整電流を前記第2の配線に与える調整回路と、
    前記第1の電圧と前記第2の電圧の大小関係に基づき前記受信信号の論理レベルを反転させるコンパレータと、を有する電圧監視システム。
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