JP2014088022A - 自動車用樹脂部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂基材の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、樹脂基材の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができる自動車用樹脂部品を提供すること。
【解決手段】自動車用樹脂部品1は、所定形状に形成された樹脂基材2と、樹脂基材2の表面に塗布されたカラープライマー層3と、カラープライマー層3の表面に塗布された上塗りベース層4とを有している。樹脂基材2は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂の基材に塗膜が形成された自動車用樹脂部品に関する。
自動車用の内外板は、種々の塗色によって塗装されている。その中でも、ホワイトパールマイカ色やスーパーホワイト色などの明度の高い塗色や、スーパーレッド色やイエロー色などの彩度の高い塗色を塗装する場合には、基材の色の隠蔽が不十分となり、狙いの色調を発色させられないおそれがある。そのため、このような塗色の場合には、予め下塗りとして、白色やライトグレー色などのカラーベース層(下塗りベース層)あるいはカラープライマー層を塗装し、ベース色と合わせて発色させる方法や、上塗りベース層を複数回塗り重ねて、塗膜の膜厚を増加させることによって発色させる方法を採用している。
例えば、特許文献1の樹脂成形品の塗装法においては、樹脂成形品を高彩度のカラー上塗り塗料を用いて塗装するに際して、樹脂成形品として上塗り塗色と同系統色の材料着色樹脂成形品を用いることが開示されている。これにより、カラー中塗り塗装を省略し、上塗り塗膜の厚みがその隠蔽膜厚の近傍以下であって、下地が透けて見える状態であっても、上塗り塗膜の高彩度が損なわれないようにしている。
また、例えば、特許文献2のルーフモールにおいては、ポリプロピレンを樹脂成分とする装飾層が、成形原料に含まれる着色剤によって着色されていることが開示されている。
特開昭60−206470号公報 特開2001−58545号公報
しかしながら、上記特許文献1の塗装法においては、樹脂基材として必要な耐候性などの性能を得るための組成や配合について、さらに樹脂成形品の色をどのように作り出すかについては何らの開示がなされていない。また、上記特許文献2においては、ルーフモールの表面は、着色されたポリプロピレンであり、傷が付きやすい。
樹脂成形品を白色系の熱可塑性樹脂から構成する場合に、カラープライマー層を薄膜化し、あるいはカラーベース層(下塗りベース層)をなくすときには、塗膜を通した樹脂基材表面への紫外線透過率が増加することによる、樹脂基材表面の耐候性の低下がもたらす変退色や塗膜剥がれを考慮して、組成を決定する必要がある。また、樹脂成形品をポリプロピレン系の着色樹脂から構成する場合において、表面に傷が付きにくい状態を維持する工夫も必要となる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、樹脂基材の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、樹脂基材の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができ、また、ポリプロピレン系の着色樹脂で構成される場合には表面の傷付きを抑制した自動車用樹脂部品を提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、所定形状に成形された樹脂基材と、該樹脂基材の表面に塗布されたカラープライマー層と、該カラープライマー層の表面に塗布された上塗りベース層とを有する自動車用樹脂部品において、
上記樹脂基材は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有することを特徴とする自動車用樹脂部品にある。
本発明の他の態様は、所定形状に成形された樹脂基材と、該樹脂基材の表面に塗布された上塗りベース層及びクリア層、又は上記樹脂基材の表面に塗布されたクリア層とを有する自動車用樹脂部品において、
上記樹脂基材は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有しており、
上記樹脂基材の表面には、上記上塗りベース層又は上記クリア層の付着性を付与する改質表面が形成されていることを特徴とする自動車用樹脂部品にある。
本発明のさらに他の態様は、所定形状に成形された樹脂基材と、該樹脂基材の表面に塗布された上塗りベース層とを有する自動車用樹脂部品において、
上記樹脂基材は、AES系樹脂、AAS系樹脂又はASA系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.15〜0.30質量部、光安定剤を0.57〜1.14質量部含有することを特徴とする自動車用樹脂部品にある。
上記一態様の自動車用樹脂部品においては、樹脂基材の組成と、カラープライマー層の塗装膜厚について工夫をしている。
具体的には、ポリプロピレン系樹脂に酸化チタン等の白色顔料を配合して、カラープライマー層を樹脂基材の表面の色を隠蔽できる膜厚で塗布した際と同様の色調の樹脂混合物を作る。そして、この樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有させて、樹脂基材を形成する。これにより、酸化チタン等の白色顔料を配合して樹脂基材を形成し、カラープライマー層を薄く形成する場合でも、カラープライマー層及び上塗りベース層を透過する紫外線が樹脂基材の耐候性を低下させてしまうことを抑制することができる。
また、白色系もしくはライトグレー系のカラープライマー層を塗布したときに、カラープライマー層を、樹脂基材との付着性が確保できる塗装膜厚まで薄膜化する。そして、カラープライマー層を介して樹脂基材表面の色が透けて見える場合でも、狙いの色調を得るとともに、樹脂基材の耐候性の低下を抑えている。
このように、カラープライマー層は、樹脂基材に塗膜を付着させる目的に用い、樹脂基材の色を隠蔽するために用いる必要がないため、薄膜化することができる。また、上塗りベース層は、カラープライマー層の表面の色調を反映し、狙いの色調を発色させることができる。
それ故、上記一態様の自動車用樹脂部品によれば、樹脂基材の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、白色系の樹脂基材に対して白色系もしくはライトグレー系のカラープライマー層を薄膜で形成することができ、樹脂基材の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができる。
上記他の態様の自動車用樹脂部品においては、樹脂基材の組成と、カラープライマー層をなくすことについて工夫をしている。
具体的には、上記一態様の自動車用樹脂部品の場合と同様にして、樹脂基材を形成する。これにより、酸化チタン等の白色顔料を配合して樹脂基材を形成し、カラープライマー層を廃止しても、上塗りベース層及びクリア層、又はクリア層を透過する紫外線が樹脂基材の耐候性を低下させてしまうことを抑制することができる。
ここでは、白色系もしくはライトグレー系のカラープライマーを塗布しなくても、樹脂基材に対する上塗りベース層又はクリア層の付着性を、樹脂基材に形成された改質表面によって確保する。そして、樹脂基材表面の色が透けて見える場合でも、狙いの色調を得るとともに、樹脂基材の耐候性の低下を抑えている。
このように、樹脂基材に形成された改質表面によって上塗りベース層又はクリア層の付着性を確保することができ、上塗りベース層又はクリア層を樹脂基材に付着させる目的でカラープライマー層を用いる必要がない。また、上塗りベース層及びクリア層、又はクリア層は、樹脂基材の表面の色調を反映し、狙いの色調を発色させることができる。
それ故、上記他の態様の自動車用樹脂部品によっても、上記一態様の自動車用樹脂部品の場合と同様の作用効果を得ることができる。
ところで、ポリプロピレン系樹脂を用いた樹脂基材の表面に塗装を施さずに、樹脂基材の色調のまま材着カラー仕様で自動車用樹脂部品を形成する場合には、表面の光沢度を、塗装を行う場合と同等に高めることは困難である。また、この場合には、自動車用樹脂部品の表面を擦ったときの傷の入りにくさを示す耐傷付き性を、塗装を行った場合と同等になるまで改善することも困難である。この光沢度及び耐傷付き性の問題は、上記色調と耐候性を考慮したポリプロピレン系樹脂からなり、付着性確保のために表面改質された樹脂基材の表面に、クリア層を塗布することにより、顕著に改善することができる。
上記さらに他の態様の自動車用樹脂部品においては、樹脂基材の組成と、下塗りベース層をなくすことについて工夫をしている。
具体的には、AES系樹脂(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル・アクリロニトリルゴム・スチレン共重合体)又はASA系樹脂(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート共重合体)に酸化チタン等の白色顔料を配合して、下塗りベース層を樹脂基材の表面の色を隠蔽できる膜厚で塗布した際と同様の色調の樹脂混合物を作る。そして、この樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.15〜0.30質量部、光安定剤を0.57〜1.14質量部含有させて、樹脂基材を形成する。これにより、酸化チタン等の白色顔料を配合して樹脂基材を形成し、下塗りベース層を廃止しても、上塗りベース層を透過する紫外線が樹脂基材の耐候性を低下させてしまうことを抑制することができる。
また、白色系もしくはライトグレー系の下塗りベース層を塗布しなくても、上塗りベース層によって、樹脂基材表面の色を反映させて狙いの色調を得るとともに、樹脂基材の耐候性の低下を抑えている。
このように、下塗りベース層を用いなくても、上塗りベース層は、樹脂基材の表面の色調を反映し、狙いの色調を発色させることができる。
それ故、上記さらに他の態様の自動車用樹脂部品によれば、樹脂基材の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、白色系の樹脂基材に対する白色系もしくはライトグレー系の下塗りベース層の塗布を廃止することができ、樹脂基材の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができる。
実施例1にかかる、自動車用樹脂部品を概略的に示す断面図。 実施例2にかかる、自動車用樹脂部品を概略的に示す断面図。 実施例3にかかる、自動車用樹脂部品を概略的に示す断面図。 実施例3にかかる、他の自動車用樹脂部品を概略的に示す断面図。 確認試験1にかかる、比較品1としての自動車用樹脂部品を概略的に示す断面図。 確認試験2にかかる、比較品2としての自動車用樹脂部品を概略的に示す断面図。 確認試験4にかかる、比較品A〜C及び試験品4について確認した表面光沢度(%)を示すグラフ。 確認試験4にかかる、比較品A〜C及び試験品4について確認した耐傷付き性(%)を示すグラフ。
上述した自動車用樹脂部品における好ましい実施の形態につき説明する。
上記一態様の自動車用樹脂部品においては、上記樹脂基材がポリプロピレン系樹脂であり、上記上塗りベース層を樹脂基材に結合しやすくするために上記カラープライマー層を用いる。このカラープライマー層は、自動車用樹脂部品の表面においてカラープライマー層の色を反映させた色調を得るために、例えばグレー色やブラック色のプライマー塗料を、狙いの色調を得るために調色したものである。
また、自動車用樹脂部品の表面は、カラープライマー層に上塗りベース層を塗布した状態、あるいはカラープライマー層に上塗りベース層を塗布し、さらにクリア層を塗布した状態において、狙いとする色調を得る。樹脂基材の色調をカラープライマー層の色調と同じにすることにより、カラープライマー層を薄膜で塗装することができる。
また、上記他の態様の自動車用樹脂部品においては、上記樹脂基材がポリプロピレン系樹脂であり、上記上塗りベース層又は上記クリア層を上記樹脂基材に結合しやすくするために樹脂基材に改質表面を形成する。この改質表面は、樹脂基材の表面に、酸素を含んだ、塗膜の付着に寄与する官能基を形成したものである。改質表面は、種々の処理方法によって形成することができる。この処理方法としては、例えば、大気圧もしくは真空の状態で行うプラズマ放電処理、フレーム処理、コロナ放電処理、オゾン処理等がある。
また、上記他の態様の自動車用樹脂部品においては、自動車用樹脂部品の表面は、樹脂基材に上塗りベース層を塗布し、さらにクリア層を塗布した状態において、狙いとする色調を得る。樹脂基材の表面の色を下塗りカラーベース層と同じ色にすることにより、下塗りカラーベース層を不要にすることができる。また、樹脂基材にクリア層を塗布した状態においては、着色された樹脂基材の色調を保ちながら、表面光沢性と耐傷付き性を付与することができる。
また、上記さらに他の態様の自動車用樹脂部品においては、上記樹脂基材がAES系樹脂、AAS系樹脂又はASA系樹脂であり、上塗りベース層と樹脂基材を結合させるためのプライマー層は不要である。そして、樹脂基材の表面の色を下塗りカラーベース層と同じ色にすることにより、下塗りカラーベース層を不要にすることができる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独重合したもの、プロピレンを他のオレフィン系樹脂と共重合したもの、無機フィラー等を複合したもの等とすることができる。ポリプロピレン系樹脂は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エラストマー変性プロピレン・エチレンブロック共重合体等とすることができる。
上記AES系樹脂、AAS系樹脂、ASA系樹脂は、それぞれポリカーボネートとのポリマーアロイ(PC/AES樹脂、PC/AAS樹脂、PC/ASA樹脂)とすることもできる。
上記紫外線吸収剤(UVA)としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等のものを用いることができる。
上記光安定剤(HALS)としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードベンゾエート系等のものを用いることができる。
上記一態様の自動車用樹脂部品において、上記樹脂混合物100質量部に対する上記紫外線吸収剤の含有量が0.13質量部未満の場合には、紫外線吸収効果が不十分となり、樹脂基材の耐候性を確保することが困難になる。また、この場合には、紫外線吸収効果が不十分であることにより、樹脂基材の表面に生ずる変色が、カラープライマー層、上塗りベース層(及びクリア層)を通して透けて見え、狙いの色調を維持することが困難となる。また、この場合には、樹脂基材とカラープライマー層との付着性が低下することによる塗膜剥れが発生するおそれもある。また、上記樹脂混合物100質量部に対する上記光安定剤の含有量が0.48質量部未満の場合にも、紫外線吸収剤の場合と同様の問題がある。
一方、上記樹脂混合物100質量部に対する上記紫外線吸収剤の含有量が0.25質量部超過の場合には、基材樹脂の耐衝撃性などの力学的特性が低下する問題や、配合量に対する紫外線吸収効果が低下し、コスト対効果が低下する問題がある。また、上記樹脂混合物100質量部に対する上記光安定剤の含有量が0.95質量部超過の場合にも、紫外線吸収剤の場合と同様の問題がある。
上記他の態様の自動車用樹脂部品において、上記樹脂混合物100質量部に対する上記紫外線吸収剤の含有量が0.13質量部未満の場合、及び上記樹脂混合物100質量部に対する上記光安定剤の含有量が0.48質量部未満の場合には、上記一態様の自動車用樹脂部品の場合と同様の問題がある。一方、上記樹脂混合物100質量部に対する上記紫外線吸収剤の含有量が0.25質量部超過の場合、及び上記樹脂混合物100質量部に対する上記光安定剤の含有量が0.95質量部超過の場合にも、紫外線吸収剤の場合と同様の問題がある。
上記さらに他の態様の自動車用樹脂部品において、上記樹脂混合物100質量部に対する上記紫外線吸収剤の含有量が0.15質量部未満の場合には、紫外線吸収効果が不十分となり、樹脂基材の耐候性を確保することが困難になる。また、この場合には、紫外線吸収効果が不十分であることにより、樹脂基材の表面に生ずる変色が、上塗りベース層(及びクリア層)を通して透けて見え、狙いの色調を維持することが困難となる。また、この場合には、樹脂基材と上塗りベース層との付着性が低下することによる塗膜剥れが発生するおそれもある。また、上記樹脂混合物100質量部に対する上記光安定剤の含有量が0.57質量部未満の場合にも、紫外線吸収剤の場合と同様の問題がある。
一方、上記樹脂混合物100質量部に対する上記紫外線吸収剤の含有量が0.30質量部超過の場合には、基材樹脂の耐衝撃性などの力学的特性が低下する問題や、配合量に対する紫外線吸収効果が低下し、コスト対効果が低下する問題がある。また、上記樹脂混合物100質量部に対する上記光安定剤の含有量が1.14質量部超過の場合にも、紫外線吸収剤の場合と同様の問題がある。
上記各自動車用樹脂部品は、自動車の内外板として用いられる種々の樹脂部品とすることができる。各自動車用樹脂部品は、例えば、バンパーカバー、サイドマッドガード、リヤスポイラー、ガーニッシュ等の部品とすることができる。
上記自動車用樹脂部品の表面によって表現できる高彩色系の色調は、L**h表色系によると、彩度を表すC*(C値)は、マルチアングル分光測色計における受光角度が25°では67以上、45°では70以上、75°では65以上とすることができる。なお、白色系の色調は、白色顔料としての酸化チタン等の含有量によって規定される。
樹脂基材2は、主に白色顔料によって白色系の色調を呈することができる一方、樹脂基材2には、カーボンブラック等の黒色顔料が配合されていてもよい。
また、白色系の色調は、基材表面の色調を調色することにより、上記一態様の自動車用樹脂部品においては、上記カラープライマー層、上塗りベース層(及びクリア層)を通した色調として表現することができる。また、白色系の色調は、基材表面の色調を調色することにより、上記他の態様の自動車用樹脂部品においては、上記上塗りベース層(及びクリア層)を通した色調として表現することができる。
また、上記一態様の自動車用樹脂部品において、上記カラープライマー層は、7μm以上、好ましくは10μm以上の厚みにし、上記上塗りベース層は、13μm以上、好ましくは15μm以上の厚みにすることができる。また、上塗りベース層の表面には、15μm以上、好ましくは20μm以上の厚みのクリア層を塗布することができる。
この場合には、白色系もしくはライトグレー系のカラープライマー層を薄く形成しても、樹脂基材の表面の色が透けて見えた状態で、樹脂基材の表面の色が塗膜の色調に反映されて、狙いとする色調を得ることができる。また、クリア層を塗布することにより、上塗りベース層を保護することができる。
また、カラープライマー層の厚みが、7μm未満となると、カラープライマー層と樹脂基材との結合力が弱くなる。また、上塗りベース層及びクリア層は、上記厚みとすることにより、それらの機能を十分に発揮することができる。
また、上記他の態様の自動車用樹脂部品において、上記上塗りベース層は、13μm以上、好ましくは15μm以上の厚みにし、上塗りベース層の表面には、15μm以上、好ましくは20μm以上の厚みのクリア層を塗布することができる。また、樹脂基材の色調である材着カラーを利用する場合には、樹脂基材の表面に、15μm以上、好ましくは20μm以上の厚みのクリア層を塗布することができる。
この場合には、樹脂基材の表面の色が透けて見えた状態で、樹脂基材の表面の色が塗膜の色調に反映されて、狙いとする色調を得ることができる。また、クリア層を塗布することにより、上塗りベース層又は樹脂基材を保護することができる。
また、上塗りベース層及びクリア層は、上記厚みとすることにより、それらの機能を十分に発揮することができる。
また、上記さらに他の態様の自動車用樹脂部品において、上記上塗りベース層は、13μm以上、好ましくは15μm以上の厚みにし、該上塗りベース層の表面には、15μm以上、好ましくは20μm以上の厚みのクリア層を塗布することができる。
この場合には、樹脂基材の表面に上塗りベース層に対する下塗りベース層を塗布しなくても、樹脂基材の表面の色が透けて見えた状態で、樹脂基材の表面の色が塗膜の色調に反映されて、狙いとする色調を得ることができる。また、クリア層を塗布することにより、上塗りベース層を保護することができる。
また、上塗りベース層及びクリア層は、上記厚みとすることにより、それらの機能を十分に発揮することができる。
以下に、自動車用樹脂部品にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の自動車用樹脂部品1は、図1に示すごとく、所定形状に成形された樹脂基材2と、樹脂基材2の表面に塗布されたカラープライマー層3と、カラープライマー層3の表面に塗布された上塗りベース層4と、上塗りベース層4の表面に塗布されたクリア層5とを有している。樹脂基材2は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有している。
以下に、本例の自動車用樹脂部品1につき、図1を参照して詳説する。
本例の自動車用樹脂部品1は、自動車の外板として成形される部品である。本例のカラープライマー層3は、10〜16μm(13±3μm)の厚みを有しており、本例の上塗りベース層4は、15〜21μm(18±3μm)の厚みを有している。本例の上塗りベース層4は、カラープライマー層3の表面の色を反映させて狙いの色調を得る塗色として形成されている。上塗りベース層4は、白色顔料としての酸化チタンの他に、アルミフレーク、マイカ等の光輝顔料を含有している場合もある。カラープライマー層3の厚みは、カラープライマー層3を樹脂基材2に安定して結合できる下限膜厚以上で決定される。上塗りベース層4の厚みは、狙いの色調を表現するための適切な範囲で決定される。
また、上塗りベース層4の表面には、20〜26μm(23±3μm)の厚みのクリア層5が塗布されている。クリア層5の厚みは、構成塗膜としての耐久性や仕上り外観を考慮して適切な範囲で決定される。
本例の自動車用樹脂部品1においては、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料としての酸化チタンを配合して、カラープライマー層3を樹脂基材2の表面の色を隠蔽できる膜厚で塗布した際と同様の色調の樹脂混合物を作る。そして、この樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有させて、樹脂基材2を形成する。これにより、酸化チタンを配合して樹脂基材2を形成し、カラープライマー層3を薄く形成する場合でも、カラープライマー層3及び上塗りベース層4を透過する紫外線が樹脂基材2の耐候性を低下させてしまうことを抑制することができる。
このように、カラープライマー層3は、樹脂基材2に塗膜を付着させる目的に用い、樹脂基材2の色を隠蔽するために用いる必要がないため、薄膜化することができる。また、上塗りベース層4は、カラープライマー層3の表面の色調を反映し、狙いの色調を発色させることができる。
それ故、本例の自動車用樹脂部品1によれば、樹脂基材2の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、白色系の樹脂基材2に対して白色系もしくはライトグレー系のカラープライマー層を薄膜で形成することができ、樹脂基材2の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができる。
(実施例2)
本例の自動車用樹脂部品1は、図2に示すごとく、所定形状に形成された樹脂基材2と、樹脂基材2の表面に塗布された上塗りベース層4と、上塗りベース層4の表面に塗布されたクリア層5とを有している。樹脂基材2は、AES系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.15〜0.30質量部、光安定剤を0.57〜1.14質量部含有している。
以下に、本例の自動車用樹脂部品1につき、図2を参照して詳説する。
本例の自動車用樹脂部品1も、自動車の内外板として成形される部品である。本例の上塗りベース層4は、15〜21μm(18±3μm)の厚みを有している。本例の上塗りベース層4は、樹脂基材2の表面の色を反映させて狙いの色調を得る塗色として形成されている。上塗りベース層4は、白色顔料としての酸化チタンの他に、アルミフレーク、マイカ等の光輝顔料を含有している場合もある。本例においては、AES系樹脂から構成される樹脂基材2を用いており、樹脂基材2と上塗りベース層4とを結合させるためのカラープライマー層3は不要である。上塗りベース層4の厚みは、狙いの色調を表現するための適切な範囲で決定される。
また、上塗りベース層4の表面には、20〜26μm(23±3μm)の厚みのクリア層5が塗布されている。クリア層5の厚みは、構成塗膜としての耐久性や仕上り外観を考慮して適切な範囲で決定される。
本例の自動車用樹脂部品1においては、AES系樹脂に白色顔料としての酸化チタンを配合して、下塗りカラーベース層を樹脂基材2の表面の色を隠蔽できる膜厚で塗布した際と同様の色調の樹脂混合物を作る。そして、この樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.15〜0.30質量部、光安定剤を0.57〜1.14質量部含有させて、樹脂基材2を形成する。これにより、酸化チタン等の白色顔料を配合して樹脂基材2を形成し、下塗りカラーベース層を廃止しても、上塗りベース層4を透過する紫外線が樹脂基材2の耐候性を低下させてしまうことを抑制することができる。
それ故、本例の自動車用樹脂部品1によれば、樹脂基材2の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、白色系の樹脂基材2に対する白色系もしくはライトグレー系の下塗りカラーベース層の塗布を廃止することができ、樹脂基材2の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができる。
(実施例3)
本例の自動車用樹脂部品1は、図3に示すごとく、所定形状に形成された樹脂基材2と、樹脂基材2の表面に塗布された上塗りベース層4と、上塗りベース層4の表面に塗布されたクリア層5とを有している。樹脂基材2は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有している。樹脂基材2の表面には、上塗りベース層4の付着性を付与する改質表面21が形成されている。
以下に、本例の自動車用樹脂部品1につき、図3を参照して詳説する。
本例の自動車用樹脂部品1も、自動車の内外板として成形される部品である。本例の上塗りベース層4は、15〜21μm(18±3μm)の厚みを有している。本例の上塗りベース層4は、樹脂基材2の表面の色を反映させて狙いの色調を得る塗色として形成されている。上塗りベース層4は、白色顔料としての酸化チタンの他に、アルミフレーク、マイカ等の光輝顔料を含有している場合もある。上塗りベース層4の厚みは、狙いの色調を表現するための適切な範囲で決定される。
樹脂基材2の改質表面21は、大気圧状態においてプラズマ放電処理を行って形成された酸化皮膜である。
本例においては、ポリプロピレン系樹脂から構成される樹脂基材2を用いており、カラープライマー層3を廃止するために、樹脂基材2に改質表面21を形成している。
また、上塗りベース層4の表面には、20〜26μm(23±3μm)の厚みのクリア層5が塗布されている。クリア層5の厚みは、構成塗膜としての耐久性や仕上り外観を考慮して適切な範囲で決定される。
本例の自動車用樹脂部品1においては、ポリプロピレン系樹脂に酸化チタン等の白色顔料を配合して、カラープライマー層3を樹脂基材2の表面の色を隠蔽できる膜厚で塗布した際と同様の色調の樹脂混合物を作る。そして、この樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有させて、樹脂基材2を形成する。これにより、酸化チタン等の白色顔料を配合して樹脂基材2を形成し、カラープライマー層3を廃止しても、上塗りベース層4及びクリア層5を透過する紫外線が樹脂基材2の耐候性を低下させてしまうことを抑制することができる。
また、樹脂基材2に形成された改質表面21によって上塗りベース層4の付着性を確保することができ、上塗りベース層4を樹脂基材2に付着させる目的でカラープライマー層3を用いる必要がない。また、上塗りベース層4は、樹脂基材2の表面の色調を反映し、狙いの色調を発色させることができる。
それ故、本例の自動車用樹脂部品1によれば、樹脂基材2の表面への紫外線透過率の増加による耐候性の低下を抑制して、白色系の樹脂基材2に対する白色系もしくはライトグレー系のカラープライマー層3の塗布を廃止することができ、樹脂基材2の色が表面に透けて見える状態で、狙いの色調を得ることができる。
(実施例4)
本例の自動車用樹脂部品1は、図4に示すごとく、ポリプロピレン系樹脂から構成された樹脂基材2と、樹脂基材2の表面に塗布されたクリア層5とを有している。樹脂基材2の表面には、クリア層5の付着性を付与する改質表面21が形成されている。
本例においても、樹脂基材2及びクリア層5のその他の構成は上記実施例3と同様である。
本例においては、樹脂基材2に形成された改質表面21によってクリア層5の付着性を確保することができ、クリア層5を樹脂基材2に付着させる目的でカラープライマー層3を用いる必要がない。また、自動車用樹脂部品1の色調は、クリア層5を透過して見える、樹脂基材2の表面の色によって形成する。また、クリア層5が形成されていることによって、自動車用樹脂部品1の表面光沢性及び耐傷付き性を良好にすることができる。
本例においても、その他の作用効果は上記実施例3と同様である。
(確認試験1)
本確認試験においては、図5に示すごとく、黒色系の樹脂基材92の表面に白色系のカラープライマー層93を形成した自動車用樹脂部品9(比較品1)と、図1に示したごとく、白色系の樹脂基材2の表面に白色系のカラープライマー層3を形成した実施例1の自動車用樹脂部品1(試験品1)との比較を行った。
比較品1における樹脂基材92は、ポリプロピレン系樹脂にカーボンブラック主体の着色顔料を配合し黒色系に調色した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤が0.10質量部以下で、光安定剤が0.38質量部以下で含有される。
比較品1は、樹脂基材92の表面に、カラープライマー層93を25μm、マイカベース層(上塗りベース層)94を15μm、クリア層95を25μmの各厚みで形成した。そして、クリア層95の表面の色調を測定したところ、L*=92.33、a*=−1.27、b*=0.23となった。
試験品1における樹脂基材2は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料としての酸化チタン等を配合した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤が0.13〜0.25質量部の範囲で、光安定剤が0.48〜0.95質量部の範囲で含有されている。
試験品1は、樹脂基材2の表面に、カラープライマー層3を10μm、マイカベース層(上塗りベース層)4を15μm、クリア層5を25μmの各厚みで形成した。カラープライマー層3、マイカベース層4及びクリア層5には、比較品1のカラープライマー層93、マイカベース層94及びクリア層95と同じものを用いた。そして、クリア層5の表面の色調を測定したところ、L*=92.20、a*=−1.24,b*=0.06となった。そして、比較品1と試験品1との色差ΔE*は、0.22となり、両者の色調にほとんど差異はなく、目視での判別は不可能であった。
本確認試験においては、樹脂基材2をカーボンブラック主体の着色顔料の配合となっている黒色系から酸化チタン主体の白色系とし、樹脂基材2の色が透けて見えた状態で、カラープライマー層3を下地隠蔽膜厚で塗布した際と同様の色調とした。これにより、カラープライマー層3の厚みを、樹脂基材2と塗膜を結合させるために必要なだけの膜厚にまで大幅に薄くすることができた。
そして、カラープライマー層3の膜厚を薄くしたことに伴う紫外線透過率の増加、及びカーボンブラック主体から、カーボンブラック配合量を減じ、あるいは酸化チタン主体へ着色顔料の配合を変更したことに伴う耐候性の低下を、紫外線吸収剤及び光安定剤の配合量の増量によって補うことができる。
(確認試験2)
本確認試験においては、図6に示すごとく、黒色系の樹脂基材92の表面に白色系の下塗りカラーベース層941、上塗りベース層94及びクリア層95を形成した自動車用樹脂部品9(比較品2)と、図2に示したごとく、白色系の樹脂基材2の表面に白色系の下塗りカラーベース層を塗布しない状態で、白色系の上塗りベース層4を形成した実施例2の自動車用樹脂部品1(試験品2)との比較を行った。
比較品2における樹脂基材92は、AES系樹脂にカーボンブラック主体の着色顔料を配合して黒色系に調色したもので、樹脂基材92は、紫外線吸収剤が0.10質量部以下で、光安定剤が0.40質量部以下で含有される。
比較品2は、樹脂基材92の表面に、下塗りカラーベース層941を25μm、マイカベース層(上塗りベース層)94を15μm、クリア層95を25μmの各厚みで形成した。そして、クリア層95の表面の色調を測定したところ、L*=92.33、a*=−1.27、b*=0.23となった。
試験品2における樹脂基材2は、AES系樹脂に白色顔料としての酸化チタン等を配合して形成した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤が0.15〜0.30質量部の範囲で、光安定剤が0.57〜1.14質量部の範囲で含有されている。
試験品2は、樹脂基材2の表面に、マイカベース層(上塗りベース層)4を15μm、クリア層5を25μmの各厚みで形成した。マイカベース層4及びクリア層5には、比較品2のマイカベース層94及びクリア層95と同じものを用いた。そして、クリア層5の表面の色調を測定したところ、L*=92.02、a*=−1.20,b*=0.20となった。そして、比較品2と試験品2との色差ΔE*は、0.32となり、両者の色調にほとんど差異はなく、目視での判別は不可能であった。
本確認試験においては、樹脂基材2をカーボンブラック主体の着色顔料の配合となっている黒色系から酸化チタン主体の白色系とし、下塗りカラーベース層941を塗布しなくても、樹脂基材2の表面の色を、下塗りカラーベース層941を塗布した場合と同様の色調とした。これにより、下塗りカラーベース層941を廃止することができた。
そして、下塗りカラーベース層941を廃止したことに伴う紫外線透過率の増加、及びカーボンブラック主体から、カーボンブラック配合量を減じ、あるいは酸化チタン主体へ着色顔料の配合を変更したことに伴う耐候性の低下を、紫外線吸収剤及び光安定剤の配合量の増量によって補うことができる。
(確認試験3)
本確認試験においては、上記確認試験1に示した自動車用樹脂部品1(試験品1)と、図3に示したごとく、白色系の樹脂基材2の改質表面21に白色系の上塗りベース層4を形成した実施例3の自動車用樹脂部品1(試験品3)との比較を行った。
試験品3における樹脂基材2は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料としての酸化チタン等を配合した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤が0.13〜0.25質量部の範囲で、光安定剤が0.48〜0.95質量部の範囲で含有されている。
試験品3は、樹脂基材2の改質表面21に、マイカベース層(上塗りベース層)4を15μm、クリア層5を25μmの各厚みで形成した。試験品3のマイカベース層4及びクリア層5には、試験品1のマイカベース層4及びクリア層5と同じものを用いた。そして、試験品3のクリア層5の表面の色調を測定したところ、L*=92.02、a*=−1.20,b*=0.20となった。そして、試験品1と試験品3との色差ΔE*は、0.23となり、両者の色調にほとんど差異はなく、目視での判別は不可能であった。
本確認試験においては、樹脂基材2をカーボンブラック主体の着色顔料の配合となっている黒色系から酸化チタン主体の白色系とし、さらに表面改質層である改質表面21を付加することにより、カラープライマー層3を塗布しなくても、樹脂基材2の表面の色を、カラープライマー層3を塗布した場合と同様の色調とした。これにより、カラープライマー層3を廃止することができた。
そして、カラープライマー層3を廃止したことに伴う紫外線透過率の増加、及びカーボンブラック主体から、カーボンブラック配合量を減じ、あるいは酸化チタン主体へ着色顔料の配合を変更したことに伴う耐候性の低下を、紫外線吸収剤及び光安定剤の配合量の増量によって補うことができる。
(確認試験4)
本確認試験においては、図4に示したごとく、白色系の樹脂基材2の改質表面21にクリア層5を形成した実施例4の自動車用樹脂部品1(試験品4)と、ポリプロピレン系樹脂から構成される樹脂基材2のみによって構成した自動車用樹脂部品(比較品3)とについて、表面光沢性及び耐傷付き性を確認した。
比較品3については、ブロックポリプロピレン(比較品A)、比較品Aと異なるブロックポリプロピレン(比較品B)、ホモポリプロピレン(比較品C)について、それぞれ表面光沢性及び耐傷付き性を確認した。
表面光沢性は、自動車用樹脂部品の表面に、入射角20°で光を当て、受光角20°で受光した際の光の反射率(%)を、表面光沢度(%)として示す。耐傷付き性は、自動車用樹脂部品の表面を洗車ブラシで擦る前後において、入射角20°で光を当て、受光角20°で受光した際の光の反射の変化率(%)の差を示し、数値が小さいほど傷が入りにくく良好であることを示す。
図7には、比較品A〜C及び試験品4について確認した表面光沢度(%)を示す。同図に示すごとく、試験品4は、比較品A〜Cに比べて表面光沢性に優れることが確認できた。図8には、比較品A〜C及び試験品4について確認した耐傷付き性を示す。同図に示すごとく、試験品4は、比較品A〜Cに比べて耐傷付き性に優れることが確認できた。
以上の結果より、ポリプロピレン系樹脂から構成される樹脂基材2にクリア層5を形成することの優れた効果を確認することができた。
1 自動車用樹脂部品
2 樹脂基材
21 改質表面
3 カラープライマー層
4 上塗りベース層
5 クリア層

Claims (3)

  1. 所定形状に成形された樹脂基材と、該樹脂基材の表面に塗布されたカラープライマー層と、該カラープライマー層の表面に塗布された上塗りベース層とを有する自動車用樹脂部品において、
    上記樹脂基材は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有することを特徴とする自動車用樹脂部品。
  2. 所定形状に成形された樹脂基材と、該樹脂基材の表面に塗布された上塗りベース層及びクリア層、又は上記樹脂基材の表面に塗布されたクリア層とを有する自動車用樹脂部品において、
    上記樹脂基材は、ポリプロピレン系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.13〜0.25質量部、光安定剤を0.48〜0.95質量部含有しており、
    上記樹脂基材の表面には、上記上塗りベース層又は上記クリア層の付着性を付与する改質表面が形成されていることを特徴とする自動車用樹脂部品。
  3. 所定形状に成形された樹脂基材と、該樹脂基材の表面に塗布された上塗りベース層とを有する自動車用樹脂部品において、
    上記樹脂基材は、AES系樹脂、AAS系樹脂又はASA系樹脂に白色顔料を配合して作り出した樹脂混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.15〜0.30質量部、光安定剤を0.57〜1.14質量部含有することを特徴とする自動車用樹脂部品。
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