JP2014087727A - 蒸発缶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コスト上昇を抑えつつ、複数の凝縮面による加熱を個別に停止することができる蒸発缶装置の提供。
【解決手段】蒸発缶装置100は、蒸発缶1の底部外表面から加熱容器2の底部内表面方向に突出するように同心リング状に形成された補助仕切り板4a〜4cおよび、加熱容器2の底部内表面から蒸発缶1の底部外表面方向に突出するように、補助仕切り板4a〜4cの径方向に間隙9a〜9cを介して同心リング状に形成された仕切り板3a〜3cを有し、間隙9a〜9cを介して互いに連通する通路8a〜8cを蒸気通路8内で区画する仕切り壁群と、通路8a〜8cで凝縮して生じた凝縮液を排出するドレン配管11a〜11dと、各ドレン配管11a〜11dから排出される凝縮液の排出量を調整して、間隙9a〜9cを凝縮液で封止するための複数の流量調整バルブ12a〜12dと、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】蒸発缶装置100は、蒸発缶1の底部外表面から加熱容器2の底部内表面方向に突出するように同心リング状に形成された補助仕切り板4a〜4cおよび、加熱容器2の底部内表面から蒸発缶1の底部外表面方向に突出するように、補助仕切り板4a〜4cの径方向に間隙9a〜9cを介して同心リング状に形成された仕切り板3a〜3cを有し、間隙9a〜9cを介して互いに連通する通路8a〜8cを蒸気通路8内で区画する仕切り壁群と、通路8a〜8cで凝縮して生じた凝縮液を排出するドレン配管11a〜11dと、各ドレン配管11a〜11dから排出される凝縮液の排出量を調整して、間隙9a〜9cを凝縮液で封止するための複数の流量調整バルブ12a〜12dと、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、化学プラントなどで用いられ、被処理液から低沸点成分を蒸発させる蒸発缶装置に関する。
化学プラントなどで用いられる蒸発缶には、蒸発缶内部または外部(以下、内外部と称す)を高温の流体(飽和蒸気等)で加熱するものがある。加熱容器で蒸発缶を取り囲み、蒸発缶と加熱容器の間に形成される空間に流体を流入させて蒸発缶を加熱する。蒸発缶内部の被処理液(以下、缶液と称す)は蒸発缶内外部で加熱されて密度が小さくなり浮力が作用して蒸発缶内部を上昇する。一方、缶液の液面では、缶液の蒸発により液面近傍の熱が蒸発潜熱として奪われ、温度が低下して密度が大きくなり、蒸発缶内部を下降する。
蒸発缶内では、このように缶液が上昇して下降する自然対流を発生させつつ、液面において缶液を蒸発させる。この蒸発過程において、不純物(錆等)が発生する場合があり、錆等は熱伝導率が金属に比べて小さいため、この不純物が蒸発缶内壁に付着すると缶壁から缶液への熱輸送を阻害するため缶壁の温度が上昇する。
一般的に、缶液が腐食性溶液の場合、温度が上昇すると蒸発缶構造材の腐食の進行が早くなる場合があり、加熱を停止して温度を下げる、さらに、運転を停止して缶液を取り除き、蒸発缶内を洗浄する等の対策が必要となる。
蒸発缶壁の温度が上昇するのは不純物の付着部分のみであり、全体の加熱を停止する必要はない。部分的に加熱を停止するための構造としては、例えば特許文献1に記載のような構造が知られている。特許文献1に記載の蒸発缶装置では、蒸発缶の側面周囲に設けられた加熱容器を仕切り板により仕切り、分割された複数の加熱部を有する多段構造としている。
しかしながら、凝縮面を分割するために仕切り板を設置する構造の場合、一般的に凝縮面は人が入れるほど大きくないため、溶接作業は困難を極める。そのため、特許文献1に記載のような多段構造で溶接作業を容易とするためには、それぞれの加熱部を分割して製作し、分割した加熱部を順に溶接して積み上げる必要があり、工数が多くなりコストが上昇する。また、加熱用蒸気を供給するための配管を、各加熱部毎に設ける必要がある。
本発明に係る蒸発缶装置は、被処理液が収容され、外側に凸状に形成された底部を有する第1容器と、第1容器の少なくとも底部を含む外表面を加熱する加熱用凝縮性気体が流通する加熱空間を、第1容器の外表面との間に形成する第2容器と、第1容器の底部外表面から第2容器の底部内表面方向に突出するように同心リング状に形成された複数の第1仕切り壁、および、第2容器の底部内表面から第1容器の底部外表面方向に突出するように、複数の第1仕切り壁の径方向に隙間を介して同心リング状に形成された複数の第2仕切り壁を有し、隙間を介して互いに連通する複数の部分加熱空間を加熱空間内で区画する仕切り壁群と、加熱用凝縮性気体が前記複数の部分加熱空間で凝縮して生じた凝縮液を、複数の部分加熱空間からそれぞれ排出する複数の排出部と、複数の排出部から排出される凝縮液の排出量を調整して、複数の隙間を凝縮液で封止するための複数のバルブと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、隙間を凝縮液で封止することで凝縮面に面する通路への加熱用凝縮性気体の供給を停止できる構成としているので、蒸発缶装置のコスト上昇を抑えつつ、複数の凝縮面による加熱を個別に停止することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は、本発明による蒸発缶装置における蒸発缶1および加熱容器2の概略形状を示す断面図である。図1に示す蒸発缶装置100は、蒸発缶1と、蒸発缶1を取り囲むように設けられた加熱容器2とを備えている。蒸発缶1には、濃縮する成分(以下、「濃縮物」と呼ぶ)を含んだ缶液6が被処理液として収められる。加熱容器2と蒸発缶1との間には蒸気通路8が形成されている。
−第1の実施の形態−
図1は、本発明による蒸発缶装置における蒸発缶1および加熱容器2の概略形状を示す断面図である。図1に示す蒸発缶装置100は、蒸発缶1と、蒸発缶1を取り囲むように設けられた加熱容器2とを備えている。蒸発缶1には、濃縮する成分(以下、「濃縮物」と呼ぶ)を含んだ缶液6が被処理液として収められる。加熱容器2と蒸発缶1との間には蒸気通路8が形成されている。
蒸気通路8に加熱用飽和蒸気(一般的には水蒸気が用いられるが、以下では、加熱蒸気と呼ぶ)を供給すると、加熱蒸気が蒸発缶1の外表面で凝縮することにより、凝縮潜熱分の熱によって蒸発缶1の外部から缶液6が加熱される。凝縮した凝縮液は、加熱容器2の底部に設けられたドレン配管11を通して加熱容器2の外部に排出される。加熱蒸気を供給する空間(蒸気通路8)は一定の圧力に保持されており、凝縮した分だけ、供給口2aから加熱蒸気が供給されるようになっている。
加熱蒸気の凝縮により缶液6に熱が加えられると、缶液6の濃縮物よりも飽和蒸気圧の低い成分が缶液上面から蒸発し、排気口1bから排出される。その結果、缶液6中の濃縮物の割合が多くなる。なお、蒸発した量だけ供給口1aから缶液6を補充し、蒸発缶1内の液位を一定に保ちながら濃縮を行う。
加熱された缶液6は、密度が低下し周囲から浮力を受けて上昇流が発生する。上昇した缶液6は、液面に到達すると蒸発し、潜熱が奪われて温度が低下する。その結果、缶液6は密度が増加し、蒸発缶1の中心軸付近では下降流が発生する。このように、蒸発缶内では缶壁部で上昇流、缶中心部で下降流となる自然対流が発生する。蒸気で加熱されている蒸発缶1の壁部は、この自然対流により冷却されることになり、蒸発缶壁部はある一定温度で安定する。
なお、缶液6が腐食性溶液の場合、蒸発缶壁部が缶液6によって腐食されるので、蒸発缶壁部の温度が腐食速度が大きくならない温度となるように、加熱に関する運転パラメータが調整される。
ところで、濃縮過程において不純物(例えば、錆等)が発生する場合があり、不純物が蒸発缶1の内表面に付着することがある。錆等の付着物5は、蒸発缶壁部を構成する金属と比べて熱伝導率が低い。そのため、付着物5が蒸発缶内表面に付着すると、自然対流している缶液6による蒸発缶壁部の冷却効率が低下し、蒸発缶壁部の温度が上昇する。その際、缶液6が腐食性溶液であって、温度上昇により蒸発缶壁部の腐食速度が増加することが懸念される場合には、加熱を停止する必要が生じる場合がある。
また、腐食速度評価のためには、蒸発缶壁部の内面温度を多点で計測して、内表面温度を直接監視できることが望ましい。しかし、多くの温度計を蒸発缶1内に設置する場合にはコストの増加が問題となる。
図2は、図1に示した蒸発缶装置100の一部(下部構成)をより詳細に示す図である。また、図3は、複数の仕切り板3a,3b,3c、補助仕切り板4a,4b,4cおよび加熱容器2の底部内表面を蒸発缶1側から見た図である。本実施の形態の蒸発缶1は、底部形状が外側に凸状の曲面形状(例えば、半球状)となっている。図2に示す例では、蒸発缶1の底部は、外表面の半径がroで、内表面の半径がriの半球面となっている。また、加熱容器2の底部も、蒸発缶1と同様に外側に凸状となっている。上述したように、蒸発缶1と加熱容器2との間には蒸気通路8が形成されている。蒸発缶1の底部の外表面には、複数の補助仕切り板4(4a,4b,4c)が加熱容器2の底部内表面方向に突出するように形成されている。一方、加熱容器2の底部内表面には、複数の仕切り板3(3a,3b,3c)が蒸発缶1の底部方向に突出するように形成されている。
本実施の形態では3つの仕切り板3a,3b,3cと3つの補助仕切り板4a,4b,4cとが、同心形状に形成されている。3つの仕切り板3a,3b,3cと3つの補助仕切り板4a,4b,4cとはそれぞれ対となっており、各補助仕切り板4a,4b,4cは対を構成する各仕切り板3a,3b,3cの外周側に、それぞれ間隙9a,9b,9cを介して隣接するように配置されている。
蒸発缶1の外表面は、補助仕切り板4a,4b,4cによって複数の凝縮面7a,7b,7c,7dに区切られている。凝縮面7aは、補助仕切り板4aおよび仕切り板3aによって形成される通路8aに面している。凝縮面7bは、補助仕切り板4a,4bおよび仕切り板3a,3bによって形成される通路8bに面している。凝縮面7cは、補助仕切り板4b,4cおよび仕切り板3b,3cによって形成される通路8cに面している。凝縮面7dは、補助仕切り板4cおよび仕切り板3cの外側の通路8dに面している。
補助仕切り板4a,4b,4cの各先端は、対となっている仕切り板3a,3b,3cの各先端よりも加熱容器2側に位置している。通路8dに導入された加熱蒸気は、各間隙9a,9b,9cを通過して通路8c,8b,8aの順に供給される。このように、本実施の形態では、仕切り板3a,3b,3cおよび補助仕切り板4a,4b,4cから成る仕切り板群によって、間隙9a〜9cを介して互に連結された複数の通路8a〜8cが蒸気通路8内に区画される。
さらに、本実施の形態の蒸発缶装置100においては、図2に示すように、各通路8a〜8dに対して、個別にドレン配管11a〜11dが設けられている。中心軸を含む通路8aでは、中心軸上にドレン配管11aが配置されている。その他の通路8b〜8dにおいては、仕切り板3の根元付近の中心軸から遠ざかる側に、ドレン配管11b〜11dが配置されている。
ドレン配管11a〜11dには、流量計13a〜13dおよび流量調整バルブ12a〜12dが設けられている。流量計13a〜13dによって、ドレン配管11a〜11dを流れる凝縮液の流量を計測することができる。流量計13a〜13dには、オリフィス流量計、電磁流量計等が使用される。凝縮液の流量が少なくてオリフィス流量計や電磁流量計による計測が難しい場合には、図4に示すように、各ドレン配管11a〜11dの先に液面計15a〜15dを備えた凝縮液タンク14a〜14dを設けるような構成としても良い。この場合、液面計15a〜15dによって計測される液面位置の変化から、凝縮液の流量を求める。
また、通路8aには、気体注入配管21を介してボンベ等の気体供給源20から非凝縮性気体(例えば、空気や窒素が用いられ、以下では気体と呼ぶことにする)が注入できるような構成となっている。気体注入配管21にはバルブ22が設けられており、バルブ22を開閉することにより気体注入のオンオフを制御することができる。
各通路8a〜8dに流入した加熱蒸気は、蒸発缶1の凝縮面7a〜7dで冷却されて凝縮する。例えば、図2の凝縮面7bについて考えると、凝縮面7bで凝縮した加熱蒸気の凝縮液は、蒸発缶1の底部が下に凸の曲面なので、凝縮面7bを伝って下方へ流れ、補助仕切り板4aで堰き止められる。補助仕切り板4aで堰き止められた凝縮液は、補助仕切り板4aに沿って下方に流れ、加熱容器2の内表面に流れ落ちる。通常状態では、図2の凝縮面7bに示すような状態とならないように、すなわち、仕切り板3aで堰き止められた凝縮液の液面が補助仕切り板4aの先端位置よりも上方とならないように、ドレン配管11bにより容器外へ排出される。加熱蒸気の凝縮に伴い蒸気通路8内の圧力が低下しても、供給口2aから加熱蒸気が供給されるので、各凝縮面7a〜7dを継続して加熱することができる。
次に、図2に示すように蒸発缶1の底部内表面に付着物5が付着した場合について説明する。付着物5が蒸発缶底部に付着すると、その部分では缶液6の自然対流による蒸発缶底部の冷却が阻害されて、付着部分における蒸発缶底部の温度が上昇する。蒸発缶底部の温度が上昇すると、蒸発缶底部と加熱蒸気との温度差が縮小し、蒸気加熱による熱流束が減少する。本実施の形態の蒸発缶装置100は、凝縮熱伝達を利用した加熱方法であるため、熱流束と蒸気凝縮量は相関関係がある。ここで、蒸気凝縮量は凝縮によって生じる凝縮液の単位時間あたりの量であり、言い換えると凝縮速度である。熱流束は計測している蒸気凝縮量を用いて次式(1)で算出することができる。式(1)において、Qは熱流束[W/m2]、Wslは凝縮量[kg/s]、Lは凝縮潜熱[J/kg]、Aは凝縮面(凝縮面領域)の蒸発缶側表面積[m2]である。
Q=Wsl・L/A ・・・(1)
Q=Wsl・L/A ・・・(1)
前述したように、缶液6が腐食性溶液で蒸発缶壁1の温度上昇によって腐食速度の増加が懸念される場合、加熱を停止する必要が生じることがある。しかしながら、加熱容器が1つしかない蒸発缶装置の場合には、加熱蒸気による加熱を停止すると、缶液6の濃縮を継続することができなくなり、所定の濃縮度に到達できない可能性がある。また、特許文献1に記載のように加熱容器を多段で設ける構成の蒸発缶装置の場合には、装置が大型化するとともに、製造コストが大幅に増加するという欠点があった。
一方、本実施の形態では、図2に示すような構成としているので、蒸発缶1の底部に複数の補助仕切り板4を溶接するとともに、複数の仕切り板3が溶接された加熱容器2を、従来の加熱容器の場合と同様に蒸発缶1に溶接することで、容易に蒸発缶装置100とすることができる。そのため、製造コストの上昇を抑えつつ、凝縮面7a〜7cにおける加熱を個別に停止することができる。
図5は、加熱停止の手順の一例を示す図である。付着物5の付着により蒸発缶内部における自然対流による冷却が阻害され始めると、付着物5が付着した部分の蒸発缶壁部の温度が上昇し、加熱蒸気との温度差が小さくなる。その結果、熱流束が低下し、付着物5が付着した部分の凝縮面7aにおいて凝縮速度が減少し始める。
図5の手順1では、流量計13aの計測値から、凝縮面7aにおける凝縮速度低下を検知する。このように、流量計13aを用いて凝縮速度の変化を監視することにより、付着物5の付着に伴う蒸発缶1の壁部の温度上昇を検知することができる。蒸発缶装置100を監視しているオペレータは、凝縮面7aにおける凝縮速度の低下が規定値以上となって、加熱蒸気による加熱を停止する必要があると判断した場合に、隣接する通路8bのドレン配管11bに設けられた流量調整バルブ12bの開度を調整する(手順2)。
流量調整バルブ12bの開度を調整することによって、仕切り板3aと仕切り板3bとの間の通路8aに溜まっている凝縮液の液面を、補助仕切り板4aの先端が液面下に没するまで上昇させる。補助仕切り板4aの先端が液面下に没すると、間隙9aが凝縮液によって塞がれ、通路8bから通路8cへの加熱蒸気の流れが遮断される。流量調整バルブ12bの開度は、液面が常に補助仕切り板4aの先端よりも上側となるように調整される。例えば、凝縮面7bにおける推定凝縮速度に基づいて、補助仕切り板4aの先端が液面下に没するまでに要する所定時間だけ流量調整バルブ12bを閉じ、その後、推定凝縮速度と排出流量とが釣り合うように流量調整バルブ12bの開度を調整する。
通路8aの凝縮液の液面位置が図2に示すような位置になると、間隙9aが凝縮液によって封止され、通路8bから通路8aへの加熱蒸気の供給が停止する。加熱蒸気が供給されなくなった凝縮面7aでは、通路8aに残った加熱蒸気がさらに凝縮するため、隣接する通路8bよりも圧力が低下し、圧力差により間隙9aに溜まっている凝縮液が通路8a側に押し流される可能性がある。
そこで、通路8aの圧力が加熱蒸気と同じ圧力に維持されるように、手順2のバルブ開度調整を行ったならば(すなわち、凝縮液により間隙9aが封止されたならば)、バルブ22を開けて、気体供給源20からの非凝縮性気体を気体注入管21を介して通路8aに注入する(手順3)。なお、この際、流量調整バルブ12aは閉じた状態とされる。これにより、隣接する通路8bの加熱蒸気が圧力差により通路8aに流れ込んで、凝縮液による間隙9aの封止が破られるのを防止することができ、凝縮面7aの加熱停止状態を維持することができる。通路8aの圧力が加熱蒸気と同じ圧力になって安定したならば、バルブ22を閉じる。または、バルブ22の下流側にチェックバルブを設けて、バルブ22は開けたままとする。通路8a側の圧力が加熱蒸気圧力よりも低下すると、チェックバルブが開いて気体供給源20から通路8a側に非凝縮性気体が供給される。
なお、図2では、気体注入管21を介して非凝縮性気体を通路8aに注入したが、ドレン配管11aを気体供給源20に接続し、ドレン配管11aを介して非凝縮性気体を注入するようにしても良い。この場合、気体注入系の配管類を削減することができる。
さらに、不純物が増加し、隣接する凝縮面7bの加熱も停止する必要がある場合には、次のような手順で加熱を停止する。凝縮面7aに続いて凝縮面7bの加熱を停止する場合、まず、通路8cに接続されているドレン配管11cの流量調整バルブ12cの開度を調整して、仕切り板3bと仕切り板3cとの間(通路8b)の凝縮液の液面を上昇させ、間隙9bを凝縮液で封止する。間隙9bが凝縮液により封止されると、通路8cから通路8bへの蒸気供給が止まるので、凝縮面7bでの凝縮が停止してこの部分の加熱が停止する。
一方、通路8bのドレン配管11bに設けられた流量調整バルブ12bの開度を大きくして、仕切り板3aと仕切り板3bとの間の凝縮液の液面位置を補助仕切り板4aの先端よりも下側に低下させる。その結果、間隙9aを介して通路8aと通路8bとが連通する。
加熱蒸気の供給が止まった通路8bでは、残存する加熱蒸気が凝縮面7bにより凝縮されて圧力が低下するので、バルブ22を開いて気体供給源20から非凝縮性気体を通路8aに供給する。通路8aに供給された非凝縮性気体は、隣接する通路間の圧力バランスが取れるまで間隙9aを通して通路8bに供給される。同様の手順で、凝縮面7cの加熱を停止することができる。さらに凝縮面7dの加熱も停止する場合には、加熱容器2への加熱蒸気の供給を停止すれば良い。
以下のような手順で流量調整バルブの開度を調整することにより、凝縮速度変化に基づく凝縮面7b等の加熱停止を行うことができる。まず、凝縮面7bの温度が上昇すると、凝縮面7bにおける凝縮速度が低下し、凝縮液の液面が低下する。
凝縮液の液面が低下すると水頭圧が低下するため、流量計13bで計測される流量が減少する。オペレータは、流量減少が確認されたならば、隣接する通路8cに設けられた流量調整バルブ12cの開度を調整して、凝縮液の流出量を小さくする。その結果、通路8cの凝縮液の液面が上昇する。その後、補助仕切り板4bの先端が液面下に没すると、間隙9bが凝縮液によって封止され、通路8bと通路8cとが遮断される。その結果、凝縮面7bの加熱が停止する。オペレータは流量調整バルブ12bを開けて、仕切り板3aと仕切り板3bとの間に溜まった凝縮液を液面が補助仕切り板4aの先端よりも下になるまで排出して通路8aと通路8bとを連通させ、通路8aより通路8bに非凝縮性気体を供給する。
以上のように、本実施の形態の蒸発缶装置100では、ドレン配管11に設けた流量調整バルブ12の開度を調整することにより、付着物5の付着で温度が上昇した凝縮面のみの加熱停止を行うことが可能となる。加熱を停止した凝縮面の温度は低下し、蒸発缶壁部の腐食を抑制することができる。一方、その他の領域では加熱を継続することができるため、付着物5が付着して局所的に蒸発缶壁部の温度が上昇した場合でも、濃縮運転を止めることなく、濃縮工程を継続することができる。
また、第1実施形態の構成においては、蒸発缶1の底部に複数の補助仕切り板4を溶接し、複数の仕切り板3が溶接された加熱容器2を、従来の加熱容器の場合と同様に蒸発缶1に溶接することで、容易に蒸発缶装置100とすることができ、蒸発缶装置100の製造コストの上昇を抑えることができる。
また、流量変化を利用して付着物5が付着した領域を濃縮運転中に特定することができるので、濃縮運転後のメンテナンス時に蒸発缶1内の不純物付着場所を特定する点検工程を短縮することができる。さらに、メンテナンス作業前に不純物除去のための準備が予めできるため、メンテナンス期間を短縮し、メンテナンス費用を抑制することができる。
−第2の実施の形態−
図6は、第2の実施の形態の蒸発缶装置100を説明する図であり、第1実施形態の図2に対応する図である。また、図7は、仕切り板3a〜3c、補助仕切り板4a〜4c、温度センサ31a〜31cおよび案内管30a〜30cを説明する図であり、蒸発缶1の外表面と同様の曲面に沿った断面図である。本実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、各凝縮面7a〜7cの温度を計測する温度センサ31a〜31c、および、それらを保護する案内管30a〜30cを設けた。図6では、温度センサ31cおよび案内管30cのみを記載した。温度センサ31a〜31cとしては熱電対やサーミスタ等が用いられるが、以下では熱電対を用いた場合を例に説明する。なお、凝縮面7dに対して、案内管および温度センサを設けても構わない。
図6は、第2の実施の形態の蒸発缶装置100を説明する図であり、第1実施形態の図2に対応する図である。また、図7は、仕切り板3a〜3c、補助仕切り板4a〜4c、温度センサ31a〜31cおよび案内管30a〜30cを説明する図であり、蒸発缶1の外表面と同様の曲面に沿った断面図である。本実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、各凝縮面7a〜7cの温度を計測する温度センサ31a〜31c、および、それらを保護する案内管30a〜30cを設けた。図6では、温度センサ31cおよび案内管30cのみを記載した。温度センサ31a〜31cとしては熱電対やサーミスタ等が用いられるが、以下では熱電対を用いた場合を例に説明する。なお、凝縮面7dに対して、案内管および温度センサを設けても構わない。
第2の実施の形態では、温度計測に関係する構成以外は、上述した第1の実施の形態と同様な構成なので、付着物5の付着による凝縮面7cの温度上昇を、凝縮速度の低下として検知することもできる。すなわち、複数の凝縮面7a〜7dに区切って、各凝縮面7a〜7dで凝縮された凝縮液の流量を測定しているので、第1の実施の形態と同様に、局所的な不純物の付着を検知することができる。このように、濃縮運転中に不純物が付着した領域を特定することができるため、濃縮運転後のメンテナンス時に蒸発缶1内の不純物付着場所を特定する点検工程を短縮することができる。さらに、メンテナンス作業前に不純物除去のための準備が予めできるため、メンテナンス期間を短縮し、メンテナンス費用を抑制することができる。
加えて、第2の実施の形態では、熱電対(温度センサ)31a〜31cを蒸発缶1の外表面に設置し、各凝縮面7a〜7cの温度(外表面温度)を計測するようにしたので、前述した式(1)と各凝縮面7a〜7cにおける凝縮速度とから熱流束を算出することができる。さらに、計測した外表面温度と算出した熱流束から、熱伝導方程式を解いて蒸発缶1の内表面温度を次式(2)で求めることができる。なお、ここでは、球体の熱伝導方程式を用いた。式(1)において、Tiは内表面温度[℃]、Toは外表面温度[℃]、λは缶壁の熱伝導率[W/mK]、riは缶内表面の半径[m]、roは缶外表面の半径[m]である。
Ti=To−(Q/4πλ)×(1/ri−1/ro) ・・・(2)
Ti=To−(Q/4πλ)×(1/ri−1/ro) ・・・(2)
缶液6が腐食性溶液の場合、不純物の付着により付着部における蒸発缶壁部の温度が上昇すると、そのときの条件によっては蒸発缶1の内表面が腐食される可能性がある。腐食は化学反応であるため、温度上昇に対して反応速度の感度が比較的大きい。そのため、蒸発缶1の内表面温度を計測できれば、腐食速度を精度よく評価することができる。本実施の形態では、式(2)で算出された内表面温度を用いることにより、腐食速度を精度良く評価することができる。
なお、熱電対を蒸発缶1の内表面に設置することでも内表面温度は計測可能であるが、腐食性溶液による熱電対自体の腐食を考慮する必要がある。そのため、熱電対を腐食から保護するための措置や、定期的な熱電対の交換が必要となるため、コストが増加するという欠点がある。
熱電対31a〜31cは、故障等に備えて交換可能とする必要がある。本実施の形態の蒸発缶装置100では、蒸発缶1と加熱容器2との間の蒸気通路8に補助仕切り板4a〜4cおよび仕切り板3a〜3cを設置しているので、この蒸気通路8に作業員が入って交換作業をすることは困難である。また、熱電対交換用の道具やロボット等を外部から蒸気通路8に入れることも困難である。
そのため、本実施形態では図5に示すように熱電対用の案内管30a〜30cを設けている。案内管30a〜30cは熱電対31a〜31cが通過可能な中空構造を有しており、蒸発缶1の外表面に沿って各補助仕切り板4a〜4cを貫通するように配置されている。補助仕切り板4a〜4cの貫通部は、蒸気が通過しないように溶接等により隙間が埋められている。
案内管30a〜30cの先端は閉じており、案内管30a〜30cの先端部分は各凝縮面7a〜7cに溶接等により固着されている。案内管30a〜30cの他端は、図7に示すように加熱容器2の外部に引き出されている。熱電対31a〜31cは、他端側から案内管30a〜30cに挿入され、熱電対31a〜31cの先端(センサ部300)が案内管30a〜30cの先端に当接するまで押し込まれる。センサ部300に接続された信号線301は、案内管30a〜30cの他端側から外部に引き出され、制御装置40に接続されている。
このように熱電対31a〜31cの先端(センサ部300)を案内管30a〜30cの先端に当接させることで、蒸発缶1の外表面温度を精度良く計測することができる。また、案内管30a〜30cの内部に挿入するように熱電対31a〜31cを配置する構成とすることで、熱電対31a〜31cが故障した場合に容易に交換することができる。なお、図7では各凝縮面7a〜7cの代表的な位置に関して温度計測をしているが、一つの凝縮面に複数の熱電対を配置して、複数の場所の温度を計測するようにしても良い。
制御装置40には、流量計13の信号ケーブル42も接続されている。なお、図6では、熱電対31b,31cの信号線301および流量計13b,13cの信号ケーブル42については図示を省略した。制御装置40内に設けられた演算部40aは、式(2)で表される蒸発缶壁部の内表面温度を算出する。演算部40aで算出された内表面温度が予め決められた設定値を超えた場合には、警報部40bにより警報を発生する。警報発生により、オペレータは加熱停止操作を行う。
第2の実施の形態では、熱電対31a〜31cを設けて蒸発缶外表面温度を計測し、その計測結果を用いて付着物5が付着している蒸発缶内表面温度を算出し、その算出された蒸発缶内表面温度に基づいて警報を発するようにした。
一方、第1の実施の形態では、加熱蒸気の凝縮速度(流量計13による流量計測値)の変化から温度上昇を検出する構成であり、蒸発缶外表面温度を測定していないため、蒸発缶内表面温度を予測する場合、適切な凝縮熱伝達式を選択して蒸発缶外表面温度を推定する必要がある。凝縮熱伝達式の誤差を考慮する必要があるため、腐食の反応速度から規定される温度管理値(上限温度)Tmaxに対して、ある程度の余裕を持った温度に対応する凝縮速度変化(流量計測値の変化)を、管理値として採用せざるを得ない。すなわち、温度管理値Tmaxよりも低い温度において、警報が発せられることになる。
しかしながら、第2の実施の形態では、腐食の反応速度に直接影響する蒸発缶内表面温度を正確に算出できるので、警報の発生タイミングを温度管理値Tmaxにより近い値とすることが可能となる。その結果、付着物5が付着した部分の加熱を可能な限り継続することができる。また、第1の実施の形態のように凝縮液の流量変化が規定値を超えたならば、すなわち、付着物の付着による温度上昇が発生したと確認したならば警報を発生し、オペレータが蒸発缶内表面温度の算出温度を監視しながら、適当なタイミングで加熱停止操作を開始するようにしても良い。いずれの場合においても、第1の実施の形態の場合と比べて、より適切な加熱停止操作を行うことができる。
−第3の実施の形態−
図8,9は、第3の実施の形態の蒸発缶装置を説明する図である。図8は蒸発缶装置100を示す図であり、第1の実施の形態の図2に対応する図である。本実施形態では、第2実施形態の構成に加えて、案内管30a〜30cを利用して通路8a〜8cへの非凝縮気体の注入、および通路8a〜8cからの非凝縮気体の排気を行うような構成とした。そのために、第3の実施の形態では、案内管30a〜30cに接続される配管52、バルブ51、排気用ポンプ50をさらに設けた。
図8,9は、第3の実施の形態の蒸発缶装置を説明する図である。図8は蒸発缶装置100を示す図であり、第1の実施の形態の図2に対応する図である。本実施形態では、第2実施形態の構成に加えて、案内管30a〜30cを利用して通路8a〜8cへの非凝縮気体の注入、および通路8a〜8cからの非凝縮気体の排気を行うような構成とした。そのために、第3の実施の形態では、案内管30a〜30cに接続される配管52、バルブ51、排気用ポンプ50をさらに設けた。
図8に示す例では、一つの配管52の一端に排気用ポンプ50が接続され、その配管52の途中にバルブ52が設けられている。気体注入配管21は配管52の途中に接続されている。配管52の他端は3つの分岐管に分岐されており、各分岐管はバルブ53a〜53cを介して案内管30a〜30cにそれぞれ接続されている。なお、図8では、案内管30b,30c、案内管30b,30cに接続されるバルブ53b,53bは図示を省略した。
図9は、通路8aにおける案内管30aを示す図である。案内管30aの先端付近には、1つ以上の貫通孔32が形成されている。この貫通孔32を介して案内管30aから通路8aに非凝縮性気体が供給される。図示は省略するが、通路8b、8cにおける案内管30b、30cの構造も、図9に示す案内管30aと同様の構造である。
次に、案内管30a〜30cを介した通路8a〜8cへの非凝縮性気体の導入について説明する。非凝縮性気体の導入は、第1の実施の形態で説明したように、所定通路への加熱蒸気供給の停止(すなわち、凝縮面の加熱停止)後に、当該通路と隣接する通路との圧力バランスを維持するために行われる。図8に示す例では、凝縮面7aは加熱が停止されており、通路8aに隣接する通路8bには凝縮液が間隙9aを塞ぐように溜まっている。そのため、案内管30aを介して通路8aに非凝縮性気体を供給することになる。
各凝縮面7a〜7cを加熱している時の各バルブ22、51、53a〜53cは全て閉状態となっている。例えば、凝縮面7aの加熱を停止する場合には、上述したように、ドレン配管11bに設けられた流量調整バルブ13bの開度を調整し、凝縮液の液面を上昇させて間隙9aを封止する。間隙9aが封止された後も、通路8aに残留する加熱蒸気は凝縮面7aにおいて凝縮されるため、通路8a内の圧力が低下する。そのため、隣接する、通路8bとの圧力バランスを維持するために、バルブ22およびバルブ53aを開いて、気体供給源20から案内管30aに非凝縮性気体を導入する。
案内管30aに導入された非凝縮性気体は、案内管30a内を先端方向に流れ、先端付近に形成された貫通孔32から通路8aに流れ込む。その結果、通路8a内の圧力と通路8b内の圧力とがバランスし、通路8b側の凝縮液が通路8aへと流れ込むのを防止し、間隙9aの封止状態を維持することができる。なお、説明は省略するが、案内管30b,30cについても同様である。
加熱停止後の非凝縮性気体の注入は、通路8a,8bの圧力バランスを保ちながら行う必要がある。そのため、残留加熱蒸気の凝縮速度に合わせてガス注入を行う必要があるが、凝縮速度が速い場合ほど圧力バランスを保つのが難しい。例えば、このガス注入時に圧力バランスが崩れて、通路8aに注入した非凝縮性気体が隣接する通路8bに混入した場合、隣接する凝縮面7bにおける凝縮熱伝達率が低下し、蒸発缶内への熱流束が低下する。そのため、非凝縮性気体を注入するときに、圧力バランスを保ちやすくして、加熱停止しない凝縮面への気体の混入を抑制することが望ましい。
本実施の形態では、案内管30aを介して非凝縮性気体を通路8aの凝縮面7a付近に供給するようにしている。そのため、蒸発缶外表面(凝縮面7a)付近に注入された気体は、分子運動により通路8a内を拡散しようとする。一方、凝縮面7aで凝縮が発生しているため、凝縮面7aに向かって加熱蒸気が流れている。この加熱蒸気の流れの速度に対し、非凝縮性気体の拡散速度は十分小さいため、凝縮面7a付近に注入した非凝縮性気体は、通路8a内を拡散することなく凝縮面7a近傍に留まることになる。
このように凝縮面近傍に非凝縮性気体が存在すると加熱蒸気の分圧が下がり、残留加熱蒸気の凝縮速度が低下する。その結果、非凝縮性気体の注入速度を加熱蒸気の凝縮速度に合わせやすくなる。また、上述のように凝縮面近傍から注入された非凝縮性気体が拡散しにくいということは、凝縮液によって間隙9aが封止される前から通路8aに非凝縮性気体を注入しても、隣接する通路8bに非凝縮性気体が混入する可能性が低い。そのため、通路8aへの蒸気供給が停止する前から通路8aに非凝縮性気体を注入して、凝縮面7aにおける凝縮速度を低下させることで、非凝縮性気体注入による圧力バランス維持を容易にすることが可能となる。
なお、通路8aが非凝縮性気体で満たされると、凝縮面7aによって非凝縮性気体が加熱されることになる。通路8a内の非凝縮性気体は密度差により温度成層化し対流しないため、非凝縮性気体の熱伝導により凝縮面7aの熱が加熱容器2の外部に放熱されることになる。そのため、凝縮面7aを積極的に冷却したい場合には、ドレン配管11aの流量調整バルブ12aを開放し、通路8a内の圧力を維持しながら、案内管30aを通して非凝縮性気体を注入すれば良い。
注入された非凝縮性気体は通路8aの凝縮面7a近傍の高温の気体と混合し、凝縮面7a近傍の気体温度が低下する。混合して温度が上昇した非凝縮性気体は、ドレン配管11aを通じて外部に排出される。このように、通路8aに非凝縮性気体を流すことにより、加熱停止した凝縮面7aを非凝縮性気体により積極的に冷却することも可能となる。
ところで、濃縮工程を終了して濃縮液を取り出し、新たに濃縮工程を開始する場合、蒸気通路8に非凝縮性気体が残存していると凝縮熱伝達率が低下し、濃縮効率が低下する。加熱蒸気の凝縮が始まると、非凝縮性気体は冷却面(蒸発缶外表面)に集まりやすい。そこで、蒸気供給開始直後に排気用ポンプ50を起動し、バルブ51,53a〜53cを開けて、案内管30a〜30cを介して加熱蒸気と一緒に非凝縮性気体を吸引することにより、効率的に非凝縮性気体を通路8a〜8cから除去することができる。その結果、残留する非凝縮性気体による凝縮熱伝達率の低下を防止し、濃縮効率を向上させることができる。
このように、第2の実施の形態では、熱電対31a〜31cの案内管30a〜30cが気体注入配管としての機能も兼用しているため、図2や図6に示した蒸発缶装置100のような各通路8a〜8cに対する気体注入配管系を削除することができ、コストを低減することができる。さらに、排気ポンプ50を設けることで、新たに濃縮工程を開始する際に、蒸気通路8に残存している非凝縮性気体を効率良く除去することができる。
以上説明したように、本発明による蒸発缶装置は、以下のような作用効果を奏する。
(1)蒸発缶装置100は、蒸発缶1の底部外表面から加熱容器2の底部内表面方向に突出するように同心リング状に形成された複数の補助仕切り板4a〜4cおよび、加熱容器2の底部内表面から蒸発缶1の底部外表面方向に突出するように、補助仕切り板4a〜4cの径方向に間隙9a〜9cを介して同心リング状に形成された複数の仕切り板3a〜3cを有し、間隙9a〜9cを介して互いに連通する通路8a〜8cを蒸気通路8内で区画する仕切り壁群と、加熱用凝縮性気体が複数の通路8a〜8cで凝縮して生じた凝縮液を、通路8a〜8cからそれぞれ排出するドレン配管11a〜11dと、各ドレン配管11a〜11dから排出される凝縮液の排出量を調整して、間隙9a〜9cを凝縮液で封止するための複数の流量調整バルブ12a〜12dと、を備える。
(1)蒸発缶装置100は、蒸発缶1の底部外表面から加熱容器2の底部内表面方向に突出するように同心リング状に形成された複数の補助仕切り板4a〜4cおよび、加熱容器2の底部内表面から蒸発缶1の底部外表面方向に突出するように、補助仕切り板4a〜4cの径方向に間隙9a〜9cを介して同心リング状に形成された複数の仕切り板3a〜3cを有し、間隙9a〜9cを介して互いに連通する通路8a〜8cを蒸気通路8内で区画する仕切り壁群と、加熱用凝縮性気体が複数の通路8a〜8cで凝縮して生じた凝縮液を、通路8a〜8cからそれぞれ排出するドレン配管11a〜11dと、各ドレン配管11a〜11dから排出される凝縮液の排出量を調整して、間隙9a〜9cを凝縮液で封止するための複数の流量調整バルブ12a〜12dと、を備える。
このような構成とすることにより、例えば通路8aに面する凝縮面7aによる加熱を停止する場合には、凝縮面7aにより凝縮されて通路8aに溜まった凝縮液によって隙間9aが封止されるように流量調整バルブ12bの開度を調整すれば良い。間隙9aが凝縮液で封止されると、通路8aへの加熱蒸気の供給が停止し、凝縮面7aによる加熱が停止する。凝縮面7b,7cについても同様であり、加熱領域7dに関しては、加熱容器2への加熱蒸気の供給を停止することで、加熱停止となる。その結果、各加熱領域7a〜7dによる加熱を個別に停止することができる。さらに、仕切り板3a〜3cおよび補助仕切り板4a〜4cの固定は、蒸発缶1に加熱容器2を取り付ける前に容易にできるので、従来のように個別の加熱部を多段に組み立てる場合に比べて、加工コストを低減することができる。
(2)好ましくは、通路8aに、気体供給源20からの非凝縮性気体(空気や窒素ガス等)を導入する気体注入配管21を備える。気体注入配管21にはバルブ22が設けられており、例えば、図2に示す状況において、バルブ22を開けて非凝縮性気体を通路8aに注入することにより、通路8a内の圧力と通路8b内の圧力とがバランスし、凝縮液による間隙9aの封止を維持することができる。その結果、凝縮面7aの加熱停止状態を維持することができる。通路8bに非凝縮性気体を導入する場合には、隣接する通路8aから間隙9aを介して非凝縮性気体を導入する。通路8cに非凝縮性気体を導入する場合には、隣接する通路8bから間隙9bを介して非凝縮性気体を導入する。
(3)また、凝縮面7a〜7dの温度上昇に応じて変化する凝縮速度に関する物理量を計測する計測部、例えば、ドレン配管11a〜11dから排出される凝縮液の流量を計測する流量計13a〜13dを、凝縮面7a〜7dにそれぞれ備えるようにしても良い。流量計13a〜13dで計測される流量の変化から、凝縮面7a〜7dの温度上昇を知ることができ、加熱停止を適切に行うことが可能となる。なお、流量計13a〜13dに代えて、図4に示すような、液面計15a〜15dを備えた凝縮液タンク14a〜14dを設けるようにしても良い。液面位置の変化から、流量変化を推測することができる。
(4)また、開いた一端が加熱容器2の外部に配置され、閉じた他端が凝縮面7a〜7cに接している管状部材である案内管30a〜30cと、センサ部300が案内管30a〜30cの閉じた他端に配置され、センサ部300に接続された信号線301が一端側から引き出される温度センサ31a〜31cと、流量計13a〜13cの計測値と温度センサ31a〜31cの計測値とに基づいて蒸発缶1の内表面温度を算出する演算部40aと、を備えるようにしても良い。蒸発缶1の内表面温度を算出することにより、缶液6が腐食性溶液の場合における腐食速度の評価をより正確に行うことができ、蒸発缶装置100の信頼性向上を図ることができる。
さらに、演算部40aで演算された内表面温度が所定温度を超えた場合に、警報40bにより警報を発するようにしても良い。警報によりオペレータが停止操作を行うことで、加熱停止を確実に行うことができる。
(5)また、案内管30a〜30cの各々において、一端側に気体供給源20を接続するとともに、先端部に凝縮性気体を排出する少なくとも一つの貫通孔32を形成し、ガス導入部を兼ねるようにしても良い。このような構成をすることで、通路8a〜8cに非凝縮性ガスを導入するガス導入配管を省略することができる。さらに、通路への蒸気供給が停止する前から通路に非凝縮性気体を注入して、凝縮面における凝縮速度を低下させることで、非凝縮性気体注入による圧力バランス維持を容易にすることが可能となる。
(6)さらに、案内管30a〜30cの一端側にそれぞれ接続され、案内管30a〜30cを介して通路8a〜8c内の気体をそれぞれ排気する排気用ポンプ50と、案内管30a〜30cに対して気体供給源20および排気用ポンプ50の一方を選択的に切り替え接続するバルブ22,51と、を備えるようにしても良い。蒸気供給開始直後に、排気用ポンプ50により案内管30a〜30cを介して加熱蒸気と一緒に非凝縮性気体を吸引することで、効率的に非凝縮性気体を通路8a〜8cから除去することができる。その結果、残留する非凝縮性気体による凝縮熱伝達率の低下を防止し、濃縮効率を向上させることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、オペレータが流量計13aの計測値を確認して加熱停止操作を行ったが、例えば、第2の実施の形態のように流量計13aの計測値を制御装置40に入力し、凝縮量の低下が規定値以上となったならば、警報部40bにより警報を発生するようにしても良い。このような警報を発生することにより、オペレータによる加熱停止操作を確実に行わせることができる。
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、発明を解釈する際、上記実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。
1:蒸発缶、2:加熱容器、3,3a〜3c:仕切り板、4,4a〜4c:補助仕切り板、5:付着物、6:缶液、7a〜7d:凝縮面、8:蒸気通路、8a〜8c:通路、9a〜9c:間隙、11,11a〜11d:ドレン配管、12a〜12d:流量調整バルブ、13a〜13d:流量計、14a〜14d:凝縮液タンク、15a〜15d:液面計、30a〜30c:案内管、31a〜31c:熱電対、40制御装置、40a:演算部、40b:警報部、50:排気ポンプ、100:蒸発缶装置、300:センサ部、301:信号線
Claims (9)
- 被処理液が収容され、外側に凸状に形成された底部を有する第1容器と、
前記第1容器の少なくとも前記底部を含む外表面を加熱する加熱用凝縮性気体が流通する加熱空間を、前記第1容器の前記外表面との間に形成する第2容器と、
前記第1容器の底部外表面から前記第2容器の底部内表面方向に突出するように同心リング状に形成された複数の第1仕切り壁、および、前記第2容器の底部内表面から前記第1容器の底部外表面方向に突出するように、前記複数の第1仕切り壁の径方向に隙間を介して同心リング状に形成された複数の第2仕切り壁を有し、前記隙間を介して互いに連通する複数の部分加熱空間を前記加熱空間内で区画する仕切り壁群と、
前記加熱用凝縮性気体が前記複数の部分加熱空間で凝縮して生じた凝縮液を、前記複数の部分加熱空間からそれぞれ排出する複数の排出部と、
前記複数の排出部から排出される前記凝縮液の排出量を調整して、前記複数の隙間を前記凝縮液で封止するための複数のバルブと、を備える蒸発缶装置。 - 請求項1に記載の蒸発缶装置において、
気体供給源からの非凝縮性気体を前記部分加熱空間に導入する気体導入部を備えることを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項2に記載の蒸発缶装置において、
前記第1容器の前記外表面の温度上昇に応じて変化する凝縮速度に関する物理量を計測する計測部を、前記複数の部分加熱空間に対してそれぞれ備えることを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項3に記載の蒸発缶装置において、
開いた一端が前記第2容器の外部に配置され、閉じた他端が前記部分加熱空間に面する前記外表面に接している管状部材と、
センサ部が前記管状部材の前記閉じた他端に配置され、前記センサ部に接続された信号線が前記一端側から引き出される温度センサと、
前記複数の計測部の計測値と前記複数の温度センサの計測値とに基づいて前記第1容器の内表面温度を算出する演算部と、を備えることを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項4に記載の蒸発缶装置において、
前記複数の管状部材の各々は、前記一端側に前記気体供給源が接続されると共に、前記他端側に前記凝縮性気体を排出するための貫通孔が少なくとも一つ形成され、前記ガス導入部を兼ねていることを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項5に記載の蒸発缶装置において、
前記複数の管状部材の一端側にそれぞれ接続され、
前記複数の管状部材を介して前記複数の部分加熱空間内の気体をそれぞれ排気する排気装置と、
前記複数の管状部材に対して前記気体供給源および前記排気装置の一方を選択的に切り替え接続する切替部と、を備えることを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項3乃至6のいずれか一項に記載の蒸発缶装置において、
前記計測部は、前記排出部から排出される凝縮液の流量を計測する流量計であることを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項6に記載の蒸発缶装置において、
前記計測部は、前記排出部から排出された凝縮液を溜める貯留容器と、前記貯留容器に溜まった凝縮液の液面位置の変化を計測する液面計とを有することを特徴とする蒸発缶装置。 - 請求項4乃至8のいずれか一項に記載の蒸発缶装置において、
前記演算部で演算された前記内表面温度が所定温度を超えた場合に警報を発する警報部を備えることを特徴とする蒸発缶装置。
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