本実施形態に係る美容機器は、電流を出力する電極部を有する本体ケーシングと、開口部を有し、前記電極部を被覆した状態の液剤含浸材を前記開口部から露出させた状態で保持するカバー体と、を備えており、前記カバー体の開口周縁部に凹部を周回状に形成したものとなっている。また、前記凹部の内奥部に、カバー体の内外を連通する貫通孔を形成したものとなっている。また、前記凹部は、底壁と、対向する2つの側壁(外周側壁と内周側壁)によって形成されたものとなっている。さらに、前記凹部の外周に突出部を形成したものとなっている。前記凹部が、液剤含浸材から染み出た美容用液の液受部となり、そのまま液溜め部となるので、前記カバー体の表面が美容用液で濡れ汚れるのを防止できる。前記貫通孔は前記凹部内に溜った美容用液の移動通路となり、前記凹部内に溜った美容用液を前記貫通孔から前記カバー体の内方側の前記液剤含浸材に移送できるので、前記凹部内の美容用液が溢れ出て前記カバー体の表面が濡れ汚れるのを防止できる。前記凹部は、底壁と、対向する2つの側壁によって形成されるので、3方が囲まれた形態となる。したがって液剤含浸材側の側壁(内周側壁)が第1の堰となり、凹部を介して対向するもう一方の側壁(外周側壁)が第2の堰となって、カバー体の表面が濡れ汚れるのを可及的に防止できる。前記凹部の外周に突出部を形成したことにより、堰が高くなり、前記凹部に溜った美容用液が前記カバー体の表面に零れ落ち難くなる。
このような美容機器は、例えば、電気的な力を利用した美容機器において適用され、例えば皮膚の老廃物等をイオンの力で導出させる、いわゆるイオンクレンジング器として使用することができる。
また、本実施形態に係る美容機器は、前述のイオンクレンジング器に限定されず、コットン等の液剤含浸材に含まれるイオン化成分を前記電極部からの電流(パルス電流)によって前記被施療部へ導入するいわゆるイオン導入器にも好適であることはいうまでもない。
ここで、施療部位は、特に限定されるものではないが、例えば本実施形態のように、本願発明に係る美容機器をイオンクレンジング器として使用する場合には、使用者が皮膚の老廃物を取り除きたい場所となる。特に、粘膜などからなるものではなく、顔面や手などのような肌であれば使用することができる。
また、本発明に係る美容機器をイオン導入器として使用した場合も同様であり、施療部位は特に限定されるものではなく、特に効果的には顔面を挙げることができる。
また、液剤含浸材は、液剤を含浸させることのできる素材であれば特に限定されるものではなく、略シート状に形成された布、コットン(脱脂綿)、スポンジ、ゲル体、不織布等のいずれであっても良い。
また、液剤含浸材に含浸させる液剤は、導電性を有する液剤であれば特に限定されるものではなく、水、イオン化成分溶液(電解質溶液)、化粧水、クレンジング液などの美容用液、またはこれらの混合溶液とすることができる。
併せて、液剤含浸材の形状は、例えば、矩形状、円形状、楕円形状、多角形状などあらゆる形状のものを使用することができ、サイズも適宜寸法のものを使用することができる。
また、液剤含浸材の厚みに関しては、5mm前後であれば好適に使用できるが特にそれに限定されるものではない。
また、イオン化成分溶液に含まれるイオン化成分としては、例えば、イオン化したビタミン類やミネラル分を挙げることができる。
本体ケーシングの表面に設けた電極部は、導電性のある金属や樹脂で形成している。また、電極部側から伸延する把持部に設けた対電極部も電極部と同様に、導電性のある金属や樹脂で形成しており、通電可能に構成しているが、電極部とは逆の極性となるようにしている。
そして、電極部を、液剤含浸材を介して皮膚(施療部位)にあてがうことにより、電極部から出力された電流は、液剤含浸材を通り、人体を介して対電極部へ流れることとなる。
すなわち、電極部と皮膚との間の電位勾配により、皮膚の老廃物を液剤含浸材に吸着させたり、液剤含浸材中のイオン化成分を施療部位に浸透させたりするようにしている。
また、この際、電極部からは、平滑電流が出力されるように構成してもよいが、パルス(パルス電流)が出力されるように構成するのが好ましい。このパルスの振幅やデューティー比などの各条件は特に限定されるものではなく、仕様や使用条件に合わせて適宜選択することができる。
このパルスは、電源部から供給される電流を、パルス出力部で変換することにより形成されるようにしてもよい。また、電源部は乾電池の他充電池でも良く、商用電源を直接利用するものや、別に備わる大型装置からコードなどで接続された本体ケーシングであっても電源部が内蔵されたとみなすこととする。
また、特徴的な構成として、液剤含浸材をカバー体と本体ケーシングとの間で押圧保持すべく、本体ケーシングに把持部を設ける一方、カバー体に把持領域形成部を設けている。
すなわち、カバー体の把持領域形成部と、本体ケーシングの把持部との両者を併せて把持することにより、液剤含浸材がカバー体と本体ケーシングとの間で挟持され、同液剤含浸材が電極部に押圧固定されるようにしている。
なお、カバー体と本体ケーシングは別体で構成されても良いが、後述する実施例のように枢支部を設けて、例えるならば、カバー体と本体ケーシングとの両者をトングのように機能させることも考えられる。
したがって、液剤含浸材の大きさや厚みに比較的左右されることなく、液剤含浸材を電極部に圧着固定することができ、使い勝手を極めて良好にすることができるのである。
また、使用者の身体を介して前記電極部と導通する対電極部は、把持部の側壁面部に形成すると良い。
対電極部を把持部の側壁面部だけでなく、背面側に亘って形成することにより、カバー体と本体ケーシングとの挟持状態を維持させるための把持姿勢が確実に対電極部を手指に接触させる姿勢につながり、従来のように対電極部を視認して意識的に接触する必要がなくなる。
また、使用者が把持部と把持領域形成部とを同時に把持する際に、挟持される液剤含浸材の弾性をもって反発する力が把持部の背面側に生じ、このことにより、使用者の手指にしっかりと対電極部が接触することとなり、確実に通電させることが出来る。
また、カバー体の長さは、少なくとも本体ケーシングの長さの半分以上とするのが好ましい。このような構成とすることにより、カバー体に設けられる把持領域形成部を大きくすることができ、これを手指で把持して電極部に載置した液剤含浸材を挟持しやすくなる。さらに、液剤含浸材を直接押圧する必要がないため、液剤含浸材に過剰な張力を与えることなく電極部に密着させることができる。
またカバー体の開口周縁部の、本体ケーシングに臨む側に突起を形成させるのが望ましい。この場合、液剤含浸材と開口部の当接力が高まり、装着性が向上する。突起の形状は連続的、断続的もしくは波状などが考えられる。
また、カバー体の長さは、本体ケーシングと略同長さに形成するようにしても良い。このような構成とすることにより、電極部に載置した液剤含浸材に過剰な張力が働くのを更に防止することができ、液剤含浸材を電極部に密着させることができる。
また、カバー体は、開口部が形成されたカバープレートの外縁を内側に折曲した鍔部を有し、液剤含浸材を押圧保持したときに、対電極部が配設された位置を除き当該鍔部と本体ケーシングの側壁面部との間に所定の間隙が形成されるようにカバープレートの幅を規定しても良い。
すなわち、本体ケーシングとカバープレートとを重合させた際に、開口部が形成された周辺の本体ケーシングとカバープレートとの間に、液剤含浸材を導く間隙を形成すると良い。
このような構成とすることにより、カバー体により電極部に圧着された液剤含浸材は、大きさによっては本体ケーシングとカバー体の鍔部との間に形成された間隙を通り、本体ケーシングの背面側に突出することとなるため、例えば、使用者が電極部(液剤含浸材)を顔面の目の近傍の皮膚に当接させた際に、カバー体よりはみ出した液剤含浸材が目に入ることを防止することができる。更には上記間隙に液剤含浸材が入り込むことでカバー体による電極への圧着力が増大する。
また、側壁面部の対電極部が配設された位置は鍔部により覆われていないので本体ケーシングをカバー体とともに把持した時、対電極部がスムーズに確実に手に接触することになる。また、液剤含浸材を装着のためにカバー体を本体ケースに対し開閉や着脱させる際、本体ケースを側壁面部を保持したまま、液剤含浸材の装着作業が行え、使い勝手がよい。
また、前記カバー体を、前記本体ケーシングに枢支部を介して開閉自在に連結しても良い。
このような構成とすることにより、カバー体を開状態とすることにより、液剤含浸材を容易に電極部に配設することができると共に、カバー体を閉状態とすることで、容易に液剤含浸材を電極部に圧着固定することができる。なお、挟持時の液剤含侵材へかかる引張力や開口部縁との摩擦力や位置ずれの点から、カバー体を本体ケーシングに対して略水平方向にして液剤含侵材を押し付けることが望ましい。その点からも、前述したように、カバー体が本体ケーシングの長さの少なくとも半分以上とした場合は、電極部が開口部をくぐり始める際の、本体ケーシングに対するカバー体の角度をできるだけ小さくすることができ、結果的に本体ケーシングに対してカバー体を略水平方向に押し付けた状態に可及的に近づけることができる。
また、上記枢支部の位置としては、前記電極部を前記本体ケーシング表面の長手側方向の一端側に設ける一方、前記枢支部を前記本体ケーシングの長手側方向の他端に設けることがより好ましい。また、図7に示すように側壁面部を避けた位置に形成された凹部も望ましい。この場合、枢支部が表面から隠れ、本体ケーシングを把持する際に手が接触することもないので、カバー体の開閉がよりスムーズとなる。また外力に対し保護されているので、例えばカバー体との離脱を容易にするためにバネ性をもたせた係合部を設ける場合などに、簡略構造を採用することが出来る。
もちろん、枢支部は、上記のように電極部の位置の反対側の端部に設ける構成に限らず、電極部と同じ側の端部に設けても良い。また、電極部は端部に設ける必要はなく、端部からやや離れた位置でも良く、例えば本体ケーシングの中央に電極部が形成されていてもかまわない。
更には、枢支部の位置は本体ケーシングの長手方向に沿った側部に設けられていても良い。
枢支部の位置が電極部と同一側にあれば、弱い把持力で十分な挟持力を付与させることが出来る効果があり、また枢支部の位置が側部であればカバー体の開閉時の回動量が軽減出来る効果がある。
更には図3に示すような実施例では、電極部を被施療部に当接させやすくするために美容機器本体及びカバー体を湾曲させて、電極部の突出方向を外側に向けているが、この場合は枢支部の位置が電極部と同一側にあれば枢支部を中心とした回動軌跡と電極部の突出方向が略一致し都合が良い。
このような構成とすることにより、カバー体の回動半径を大きくすることができて、液剤含浸材を載置した電極部がカバー体の開口を通過する際に、開口の周端部が液剤含浸材に略平行に当接することとなり、上述したようなことから、挟持時の液剤含侵材へ過剰な引張力がかかることや、位置ずれを効果的に防止することができる。
なお、枢支部には弾性体を配設して、本体ケーシングからカバー体が離隔する方向へ付勢したり、本体ケーシングとカバー体とが重合する方向に付勢したりするようにしても良い。
例えば、枢支部に、本体ケーシングからカバー体が離隔する方向へ付勢する弾性体を設けた場合、電極部に液剤含浸材を挿入するに際し、使用者がカバー体を離隔させて保持する動作を省くことができる。
また、枢支部に、本体ケーシングとカバー体とが重合する方向に付勢する弾性体を設けた場合には、使用者の握力が少ない場合でも、確実に液剤含浸材を美容機器に挟持させることができる。
また、本発明に係る美容機器は、使用時においては、カバー体の開口部と電極部が弾性のある液剤含浸材を介して嵌合した状態となっている場合が多く、把持による挟持力を得ずとも無用な開閉が生じにくい点に特徴がある。
しかしながら、美容機器の非使用時などでは、液剤含浸材との嵌合による離脱防止効果は得られない場合があるので、本体ケーシングとカバー体の無用な開閉を防止するために、把持領域形成部や枢支部に本体ケーシングにカバー体を係止するためのロック機構を設けるようにしても良い。把持領域形成部にロック機構を設けた場合、使用中は把持力によりロック機構が補強され、液剤含浸材との離脱防止効果が向上する。
また、ロック機構を非使用時以外に実際の液剤含浸材との嵌合時にも作用させるには、液剤含浸材の厚みの違いによる開閉角度の違いに対応させる必要があるが、枢支部と電極部が最も離れた位置関係にある場合、電極部から出来るだけ離れた位置にロック機構を設ければ開閉角度の違いが影響を受けにくくなる利点がある。後述する実施例1ではロック機構を枢支部に設け、カバー体の撓みにより電極部における液剤含浸材の厚みの違いを吸収させるとともに、電極部における施療中の肌との接触により発生する力が把持領域形成部での把持により人体で吸収されロック機構への影響を軽減させている。
また、前記電極部を、截頭円錐形状とすることができる。このような構成とすることにより、電極部(液剤含浸材)を顔面に当接させた際に、小鼻や目尻などの曲線や凹凸にフィットさせることができて、隅々まで容易に手入れ(施療)をすることができる。
以下、本発明に係る美容機器について、図面を参照しながら詳説する。
図1は、本実施形態に係る美容機器Aの外観を示した斜視図、図2は本実施形態に係る美容機器Aの分解斜視図、図3は本実施形態に係る美容機器Aの側面図、図4は本実施形態に係る美容機器Aの背面図である。
まず、美容機器Aの概要を説明する。図1に示すように、本実施形態に係る美容機器Aは、正面視略長矩形状で、側面視において僅かに円弧状に湾曲させた形状を有しており、同美容機器Aの上部には、美容を行うための電流を出力する電極部11を露出して形成している。
この電極部11は、後に詳述するが、コットン等の液剤含浸材を載置して、美容機器Aに挟持させることにより、使用者の施療部位に接触させて施療を行うための部位である。
また、図1及び図2にも示すように、美容機器Aは、電極部11を配設した美容機器本体10と、電極部11を露出させる略楕円形状の開口部12を有し、側面視において美容機器本体10に沿わせて円弧状に湾曲させたカバー体13とを備えており、美容機器本体10とカバー体13とを重合させ、両者の下端部を組み合わせて形成した枢支部22で左右幅方向のやや中央寄りで枢支して美容機器Aを構成している。
また、この美容機器Aは、特徴的な構成の一つとして、美容機器本体10に把持部17を形成する一方、カバー体13に把持領域形成部34を形成し、使用者は把持部17とカバー体13とを同時に把持して美容機器Aを使用するようにしている。
すなわち、本実施形態に係る美容機器Aは、枢支部22を中心に美容機器本体10に対してカバー体13を回動して離隔させ、予め液剤を含浸させた液剤含浸材44を電極部11に配置し、カバー体13を回動して美容機器本体10に重合させた後、使用者は、把持部17と把持領域形成部34とを併せて把持して施療部位に液剤含浸材44(電極部11)を当接させて施療を行うものである。
ところで、ここで示す美容機器Aは、図3にも示すように、本体形状を電極部11側に突出するよう弓なりに湾曲させて形成しているが、これにより、電極部11(液剤含浸材)を施療部位に接触させた際に、美容機器Aを把持する手が、施療部位近傍の皮膚に当接して邪魔になることがない。
すなわち、施療の際に美容機器Aを把持する手を、肌の表面からできるだけ離隔させるようにしている。また、電極部11(液剤含浸材44)を顔面に接触させた場合、使用者の手首に負担をかけず、手首をできるだけ自然な角度としながら美容機器Aを把持することができるという長所がある。
次に、美容機器Aを構成する美容機器本体10とカバー体13との構成について、個々に説明する。
美容機器本体10は、図2に示すように、外観を形成する本体ケーシング14により構成されている。また、この本体ケーシング14には、表面15に美容を行うための電流を出力する電極部11が備えられている。
電極部11は、美容機器本体10の本体上端部18近傍に配設されており、導電性素材にて外観視略截頭円錐形状に形成している。
また、本体ケーシング14は、電極部11側から本体下端部19へ向けて伸延する把持部17を一体形成して構成しており、同把持部17の長手方向の長さは、大人の掌の幅と略同等としている。
本体ケーシング14の本体下端部19の端部の幅方向やや中央よりには、凹部20,20を形成しており、この凹部20,20には、カバー体13に設けられた枢支孔21,21と遊嵌して枢支部22(後述)を形成する枢支軸23,23が突設されている。
また、本体ケーシング14の裏面には、図4に示すように、美容機器Aを操作するための操作部25が配設されている。本体ケーシング14の側壁面部49には図3に示すように使用者の身体を介して電極部11と導通する対電極部26が配設されている。
電源部16は、本体ケーシング14の内部に充電池(図示せず)として設けられており、図10に示す充電用接続口60を介して充電可能となっている。この電源部16は、本体ケーシング14の内部に配設した回路基板に電源を供給するものである。
操作部25は、本体ケーシング14の裏面の本体上端部18側に配設されており、同操作部25は、美容機器Aの電源のON/OFFを表示する電源ランプ30と、美容機器Aの電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ31と、電極部11と対電極部26との間で導通する電流の大小を切り替える強弱切替スイッチ32とを備えている。
これらの電源ランプ30や各スイッチ31,32もまた、電源部16と同様に、本体ケーシング14に内蔵した回路基板に接続されており、各スイッチ31,32,33から回路基板29へ各種信号を送信することにより、美容機器Aを制御可能としている。なお、この回路基板29については、後に図11を用いて説明する。
対電極部26は、本体ケーシング14の裏面24から、同本体ケーシング14の側壁面部49に沿って左右2つ配設されており、使用者が把持部17と把持領域形成部34とを共に把持することで、対電極部26に手指が接触するようにしている。
また、美容機器本体10(本体ケーシング14)の側壁面部に着眼すると、美容機器本体10の左右幅方向をやや狭めて本体肩部35が形成されており、この本体肩部35を境に、下方を把持部17とし、上方を幅狭部36としている。
また、この幅狭部36の正面視における形状は、カバー体13の正面視における上部の形状よりも一回り(液剤含浸材44の厚み程度)小さな略相似形状としている。
この幅狭部36の側壁面部49は、後述するカバー体13の鍔部42との間に隙間(導出空間V)を形成して、液剤含浸材44が美容機器Aの背面側に突出するよう設けられたものである。鍔部42は図3、図10からも明らかなように側壁面部49の対電極部26の配設された位置を避けて形成されており、本体ケーシング14とカバー体13を同時に把持した際にカバー体13の鍔部42が手指と対電極部26の接触を邪魔しないようになっている。
なお、図10に示す60は充電用の商用電源との接続口である。
次に、美容機器本体10と対をなすカバー体13について説明すると、同カバー体13は、全体が略平坦な短冊状であり、その上端部40については正面視において略半円弧状に形成したカバープレート41と、このカバープレート41の外縁を内側に折曲して形成した鍔部42とで構成している。
また、図3にも示すように、カバー体13の長手方向の長さは、前述の本体ケーシング14の長手方向の長さと略同長さとしており、電極部11が後述する開口部12をくぐり始める際の、本体ケーシング14に対するカバー体13の角度θをできるだけ小さくすることができ、本体ケーシング14に対してカバー体13を略水平方向に押し付けた状態に可及的に近づけるようにしている。
さらには本実施例では、電極部11を被施療部に当接させやすくするために美容機器本体10及びカバー体13を湾曲させて、電極部11の突出方向を外側(外方向)に向けている。電極部11は、断面円形(楕円形含む)の側壁91と、肌面に正対して施療面となる外壁94とを含む截頭円錐形状となっている。
よって、この実施例では開口部12の枢支部22を中心とした回動軌跡と電極部11の突出方向が一致しないが、電極部11の形状を截頭円錐形状とし開口部12へのスムーズな挿入を促進させている。
また、図2に示すように、カバープレート41には、電極部11を露出させるために、正面視において長手方向に長軸を向けた円形もしくは略楕円形状の開口部12が上端部40の近傍に穿設されており、この開口部12は、美容機器本体10に配設した電極部11に対応する位置としている。
すなわち、美容機器本体10とカバー体13とを重合状態とした際に、電極部11は開口部12から突出するように形成している。
なお、開口部12の楕円形状は、電極部11から枢支部22までの長さや、電極部11の大きさによって適宜設定することができる。
本実施例においては、開口部12および電極部11の頂部平面形状をカバー体の長手方向に長い楕円形状としている。カバー体13における開口部12を形成している開口周縁部88の内面(裏面)には突起61が形成され、この実施例においては図6に示すように鍔部42と同じ方向に鍔部42より少ない突出量となっている。突起61の形状は連続的、断続的もしくは波状などが考えられる。
また、図6に示すようにカバー体13の開口周縁部88の外面(表面)には、内凹み状の凹部81が周回状に形成されている。本実施形態においては、カバープレート41の縁部分であって、その外面(表面)に対して内凹み状の凹部81が周回状に形成されている。後述するように凹部81の底壁(内奥部)84には、カバー体13の内外を貫通してカバー体13の内外の空間を連通する貫通孔83を形成することができる。凹部81は、液剤含浸材から染み出た美容用液の液受部となり、そのまま液溜め部となるので、カバー体13の表面が美容用液で濡れ汚れるのを防止できる。
上端部40側の凹部81の深さに比べて美容機器本体10の把持部17側(カバー体13に把持領域形成部34側)、すなわち上端部40と対向する側の凹部81の深さを深くしている。その深さは上端部40側から把持部17側にかけて徐々に深くなるよう構成されているが、上端部40側と把持部17側の中間部分を境に2段階で深さが変わっていてもよい。これによって、把持部17を持って顔肌などを施療(手入れ)する際、液剤含浸材から美容用液が染み出ても把持部17側の凹部の液溜め空間が増しているため、カバー体13の表面を濡れ汚すのを効果的に抑制できる。或いは、上端部40側の凹部81の深さを上端部40側、把持部17側を含める全周で同じにして、上端部40側の凹部81の幅に比べて美容機器本体10の把持部17側(カバー体13に把持領域形成部34側)、すなわち上端部40と対向する側の凹部81の幅を広くすることができる。その広さは上端部40側から把持部17側にかけて徐々に広くなるよう構成してもよいが、上端部40側と把持部17側の中間部分を境に2段階で広さが変わっていてもよい。これによって、把持部17を持って顔肌などを施療(手入れ)する際、液剤含浸材から美容用液が染み出ても把持部17側の凹部の液溜め空間が増しているため、カバー体13の表面を濡れ汚すのを効果的に抑制できる。なお、上述の凹部40の深さと広さの関係を同時に採用して構成できることはいうまでもない。
本実施形態の凹部81は、開口部12に臨む側と外側(表面側)が開放した凹みとなっている。つまり、凹部81は、底壁84と外周側壁86によって構成されている。なお、凹部81は、後述するように、底壁84と、互い同士が対向する2つの側壁(外周側壁86と内周側壁85)によって形成されていてもよい。
また、カバー体下端部43近傍の鍔部42には、美容機器本体10の凹部20,20内に突設した枢支軸23,23を遊嵌するための枢支孔21,21を穿設しており、同枢支軸23,23を枢支孔21,21に挿入することで、枢支部22を形成するようにしている。
本実施形態に係る美容機器Aは、上述してきた構成を有する美容機器本体10にカバー体13を枢支して形成しているのである。
すなわち、美容機器本体10とカバー体13とは、両者の下端部にて枢支部22を介して連結されており、カバー体13は美容機器本体10に対して、左右方向(美容機器Aの幅方向)へ向けた軸線の円弧方向へ向けて所定の範囲で回動自在(開閉自在)に形成している。なお、以下の説明において、美容機器本体10に対してカバー体13が枢支部22を軸として回動し、美容機器本体10とカバー体13とが重合した状態を閉状態といい、美容機器本体10とカバー体13とが離隔した状態を開状態という。
そして、特徴的には、把持領域形成部34においてカバー体13と把持部13とを使用者が把持することにより、美容機器本体10に対してカバー体13が閉状態となるようにしている。すなわち、本実施形態に係る美容機器Aは、電極部11に液剤含浸材を載置し、使用者が把持領域形成部34を把持することにより、枢支部22を軸として美容機器本体10とカバー体13とが閉状態となり、トング状(ピンセット状)に液剤含浸材44を挟持するよう構成している。カバー体13の形状は把持領域形成部34において側壁面部49の対電極部26を覆わない形状であれば良く、本実施例より巾が狭いもの、棒状のものなどが考えられる。棒状の場合、枢支部は1ヶ所となっても良い。
次に、実際に美容機器Aを使用する手順を追って、美容機器Aの特徴的な構成について更に説明すると、まず、図5に示すように美容機器Aを使用するにあたり、開状態とした美容機器Aの電極部11に、美容用液を予め含浸させた液剤含浸材44を配置する。或いは、美容用液を予め含浸させないでそのまま液剤含浸材44を配置する。なお、図5は、本実施形態に係る美容機器Aを開状態とした際の斜視図である。
次いで、カバー体13を美容機器本体10へ徐々に接近させると、カバー体13は、液剤含浸材44に接触することとなる。
さらに、使用者は、把持領域形成部34において把持部17とカバー体13を共に把持することにより、液剤含浸材44が電極部11に押しつけられると同時に、液剤含浸材44が電極部11を被覆した状態で圧着固定されながら開口部12より露出することとなる。このようにカバー体13を本体ケーシング14に対して閉じた状態がカバー体13の装着状態である。このとき電極部11の側壁91に対して、カバー体13の、開口部12に臨む側壁92は正対する状態となっている。一方、側壁92に対して直交するカバー体13の外面(表面)の壁93は、電極部11の側壁91に対して交差(略直交)する状態となっている。つまり、液剤含浸材44は、電極部11の側壁91と、カバー体13の、開口部12に臨む側壁92との間に位置しており、この間においても位置保持されている。美容用液を予め含浸させないでそのまま液剤含浸材44を配置していた場合は、このとき美容用液を含浸させる。
この際、電極部11近傍における左右幅方向の断面を見ると、図6に示すように、美容機器本体10とカバー体13との間に導出空間Vが形成され、液剤含浸材44が大きい場合この導出空間Vにより、美容機器本体10の側壁面部49に沿って裏面側に向けて突出することとなる。
ここで、従来の美容機器における液剤含浸材の挟持形態を参照すると、図16(b)に示すように、導出空間Vを形成していないため、液剤含浸材105が美容機器100の外側面に向けて突出していることが分かる。
このように美容機器100の外側面に液剤含浸材105が突出すると、例えば、使用者が目の近傍を施療している場合、側方に突出した液剤含浸材105の端部が目に入ってしまったり、邪魔になったりするおそれがある。
一方、図6に示すように、本実施形態に係る美容機器Aによれば、導出空間Vを設けて液剤含浸材44の余剰分を鍔部42と上述した突起61により美容機器Aの裏面側に向けて導いて(誘導して)、裏面側に突出させることとしているため、使用者が、例えば目元近傍の施療を行った場合でも、液剤含浸材44が目に入るおそれがなく、安全に施療を行うことができる。特に上述の突起61は液剤含浸材44の電極11に対する保持力を高める効果がある。
上述してきたように、本実施形態に係る美容機器Aによれば、使用者が把持領域形成部34を把持すると同時に対電極部26に接触することとなり、使用者が液剤含浸材44(電極部11)を施療部位に当接させることで、電極部11と対電極部26との間で、液剤含浸材44と人体とを介して導通し、皮膚の老廃物を除去したり、皮膚にイオン化成分を浸透させることができる。
図7、図8を用いて枢支部22の構造をより具体的に説明する。枢支部22は本体ケーシング14に設けられた凹部20に枢支孔21と枢支軸23が係合することにより構成され、枢支軸23が本体ケーシング14に対し軸方向に撓みやすいように延出されている。枢支軸23が撓むことにより枢支孔21との係合は比較的容易に離脱出来るようにしている。また、枢支軸23は凹部20内に設けられているので直接手指などが触れることがなく、本実施例のような単純な構造でばね性のある枢支軸23を形成しても強度的に問題ない。又この凹部20は本体ケーシング14の内部とは完全に遮断されており、枢支軸23を介して美容用液等が浸入することを防止出来る。すなわち、この凹部20が美容用液浸入防止用の溜まり部として機能している。図7にて良くわかる様に、カバー体13の鍔部42は把持領域形成部34においては、対電極部26を覆わない様に設定され把持しやすい様に傾斜した形状としている。したがって、カバー体13の開閉時の指のはさみを防止し、対電極部26の指との接触をより確実にし、さらには本体ケーシング14の外観に沿う様にカバー体13が形成されることで、カバー体13の横ずれも防止出来る。
図8はカバー体13と本体ケーシング14の開閉ロック機構46を示しており、カバー体13の枢支孔21周辺に設けられたロック凹部47と本体ケーシング14の凹部20内に形成されたロック片48が係合するようになっている。 ロック凹部47は周上に2箇所設けられカバー体13がほぼ開いた状態(液剤含浸材44を電極部に載置する状態)とほぼ閉じた状態(液剤含浸材44を挟んだ状態)でロック出来るようにしている。
また、このように電極部11から最も離れた枢支部22にロック機構46を設ければ、液剤含浸材を挟まずに閉じた状態と厚い液剤含浸材を挟んだ状態のいずれでも状態の違いをカバー体13が撓むことで吸収出来、ロック状態を維持できる。
次に美容機器本体10の先端側に設けられた電極部11の内部構成につき説明する。図9は電極部11の内部を示す断面図であるが、電極部11内には、導電性のあるゴム材からなる電極材54と電極材54の中央部分に凹入形成された空間Sに振動部56が配設されている。振動部56はモータ52、モータ52の先端側に設けられた偏心部53及びモータケーシング57からなり、モータケーシング57と電極材54は電極材にインサート成形された導電性ねじ受部55に本体ケーシング14とともにねじ止めされることで固定される。
ねじ58は導電性を有しており、よって美容機器本体10内部の回路基板と電極部11は電気的に接続されている。振動部56は、ねじ58により複数個所ねじ止めされ、モータ52と回路基板も接続される。振動部56の振動はロック機構のロック力に悪影響を与えるが、上述のように振動部56から最も離れた枢支部22内にロック機構46を配し、又使用中は把持されるので中途で振動が人体に吸収されロック機構46に対する振動の影響を最小限とすることが出来る。
すなわち、本実施例に係る美容機器は、本体ケーシングに重合された状態でカバー体13を把持するにあたり、その把持領域形成部34の上部に電極部11、下部にロック機構46が配された構成なので、施療中の肌との接触により電極部11が受ける外力を、把持により人体に吸収させることでその影響をロック機構46に伝達させないという特徴があるが、電極部11に振動部56を設けた場合、その振動についてもロック機構46に影響を与えず、使用中のロック効果が特に優れたものとなる。
次に、図11を用いて美容機器本体10の内部に収容した、美容機器Aを制御するための回路基板について説明する。図11は、回路基板の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、回路基板は、電源を供給するための電源部16と、同電源部16に接続され、美容機器Aの制御を行う制御部38とを備えている。本実施形態において電源部16は図10に示した商用電源との接続口60から充電させる充電池としている。
また、制御部38には、美容機器Aの電源のON/OFFを行うための電源スイッチ31と、電極部11と対電極部26との極性を反転させるための極性反転スイッチ33と、電極部11より出力する電流の大小を調節する強弱切替スイッチ32と、美容機器Aの駆動状態を示す電源ランプ30と振動部56の作動の為の振動スイッチ59を接続している。
さらに、制御部38には、電極部11にパルスを出力するパルス出力部39とモータ駆動部29を接続しており、制御部38からの信号に応じて、電源部16より供給される電流をパルスに変換して出力したり、モータを駆動し振動を発生させたりしている。
このパルス出力部39には、被施療部に液剤含浸材44を介して接触させ、当該被施療部に電流を出力する電極部11と、前記電極部11と使用者の人体を介して導通する対電極部26とが接続されている。
そして、このような構成の回路基板を有する美容機器Aによれば、以下の様な動作を行うこととなる。
まず、電源スイッチ31をON動作すると、電源部16より制御部38に電流が供給され、電源ランプ30が点灯し、制御部38はパルス出力部39にパルス出力を指示する信号を送信する。
パルス出力部39は、制御部38からのパルス出力を指示する信号を受信すると、制御部38を介して電源部16からの電流を受けてパルスに変換し、電極部11に出力する。
パルスは、電極部11から液剤含浸材44を介して人体を通り、電極部11と反対の極性を有する対電極部26に導通することとなる。
この際、電極部11の表面に配設した液剤含浸材44には、電極部11と反対の極性を帯びた老廃物が、施療部位から吸引されて捕捉されることとなる。
また、ここで、極性反転スイッチ33をON動作すると、制御部38は、パルス出力部39に、電極部11と対電極部26との極性を入れ替える信号を送出する。
これにより、例えば液剤含浸材44にイオン化成分が含浸されている場合には、電極部11の極性と反対の極性を有するイオン化成分が人体側へ向かって流れ、液剤含浸材44(電極部11)と当接する被施療部にイオン化成分を浸透させることができる。
また、強弱切替スイッチ32をON動作すると、制御部38は、電源部16からパルス出力部39へ送給する電流の大小を切り替え、電極部11から出力されるパルスの振幅が変更されることとなる。
これにより、液剤含浸材に老廃物を吸着させる際の吸着力を加減したり、液剤含浸材に含まれるイオン化成分を電極部11から被施療部へ向けて供給する際の供給量を増減させることができる。また、振動スイッチ59をON動作すると上記モータ駆動部29が駆動し、電極部11に振動を与える。
このようにして施療を行った後、使用者は、電源スイッチ31をOFF動作することにより、電源部16から供給される電流を遮断し、施療部位の老廃物の吸着や、液剤含浸材から施療部位へ供給されるイオン化成分の流れを止めることができる。
次に、本発明に係る美容機器の他の実施形態について図12に示す美容機器Bを用いて説明する。図12は、図1〜図11に示す実施形態の美容機器Aの図6の断面図と同様の電極部近傍の断面を示す断面図である。なお、以下の説明において、前述の説明と同じ部位には同じ符号を付している。また、前述の美容機器Aと同様の構成を有する部分については説明を省略する。基本的に、カバー体13の把持領域形成部34や枢支部22および電極部11、体電極部26を含む美容機器本体10については美容機器Aと同等の構造と考えてよい。
この美容機器Bは、前述の美容機器Aと基本的な構成を同じくしているが、カバー体13における開口部12の周辺の構造が異なっている。
すなわち、カバー体13の開口周縁部88の外面(表面)に周回状に形成された凹部81に少なくとも1つの貫通孔83が形成されている。具体的には、周回状に形成された凹部81の底壁(内奥部)84には、カバー体13の内外を貫通してカバー体13の内外の空間を連通する貫通孔83が形成されている。本実施形態では、貫通孔83は、凹部81の周方向に均等間隔で複数形成されている。もちろん貫通孔83は1つであってもよい。これにより、凹部81が、液剤含浸材44から染み出た美容用液の液受部となり、そのまま液溜め部となるので、カバー体13の表面が美容用液で濡れ汚れるのを防止できるとともに、貫通孔83が凹部81内に溜った美容用液の移動通路となり、凹部81内に溜った美容用液を貫通孔83からカバー体13の内方側に位置する液剤含浸材44に移送できるので、凹部81内の美容用液が溢れ出てカバー体13の表面が濡れ汚れるのを防止できる。
また、本実施形態のカバー体13の凹部81の外周には、外方向に向けて突出する突出部82が形成されている。具体的には、カバー体13の凹部81に近接した周囲位置に、カバープレート41の外面(表面)よりも突出するリブが形成されている。本実施形態では、このリブを突出部82としている。この突出部82により、凹部81の堰が高くなり、凹部81に溜った美容用液がカバー体13の表面に零れ落ち難くなる。
その他の構成は上述した実施形態の美容機器Aと同じ構成である。
次に、本発明に係る美容機器のさらなる他の実施形態について図13に示す美容機器Cを用いて説明する。図13は、図1〜図11に示す実施形態の美容機器Aの図6の断面図と同様の電極部近傍の断面を示す断面図である。なお、以下の説明において、前述の説明と同じ部位には同じ符号を付している。また、前述の美容機器Aと同様の構成を有する部分については説明を省略する。基本的に、カバー体13の把持領域形成部34や枢支部22および電極部11、体電極部26を含む美容機器本体10については美容機器Aと同等の構造と考えてよい。
この美容機器Cは、前述の美容機器Aと基本的な構成を同じくしているが、カバー体13における開口部12の周辺の構造が異なっている。
すなわち、カバー体13の開口周縁部88の外面(表面)に内凹み状の凹部81が周回状に形成されている点は、美容機器A、Bと同じであるが、凹部81が、カバー体13の、開口部12に臨む壁(内周側壁85)から所定の距離をとった位置に周回状に形成されている点が異なっている。これにより、凹部81は、底壁(内奥部)84と、互い同士が対向する2つの側壁(外周側壁86と内周側壁85)によって形成されることになり、3方が壁で囲まれた形態となる。したがって液剤含浸材44(開口部12に臨む)側の壁(内周側壁85)が第1の堰となり、この第1の堰と凹部81を介して対向する液剤含浸材44(開口部12)から離れた側のもう一方の壁(外周側壁86)が第2の堰となって、この2つの堰によりカバー体13の表面が濡れ汚れるのを可及的に防止できている。
また、美容機器Bと同様に、カバー体13の開口周縁部88の外面(表面)に周回状に形成された凹部81に少なくとも1つの貫通孔83が形成されている。具体的には、周回状に形成された凹部81の底壁(内奥部)84には、カバー体13の内外を貫通してカバー体13の内外の空間を連通する貫通孔83が形成されている。本実施形態では、貫通孔83は、凹部81の周方向に均等間隔で丸穴状の孔が複数形成されている。もちろん貫通孔83は1つであってもよい。これにより、凹部81が、液剤含浸材44から染み出た美容用液の液受部となり、そのまま液溜め部となるので、カバー体13の表面が美容用液で濡れ汚れるのを防止できるとともに、貫通孔83が凹部81内に溜った美容用液の移動通路となり、凹部81内に溜った美容用液を貫通孔83からカバー体13の内方側に位置する液剤含浸材44に移送できるので、凹部81内の美容用液が溢れ出てカバー体13の表面が濡れ汚れるのを防止できる。
さらに、美容機器Bと同様に、カバー体13の凹部81の外周には突出部82が形成されている。具体的には、カバー体13の凹部81に近接した周囲位置に、開口部12に臨む壁(内周側壁85)の端面よりも突出するリブが形成されている。このリブは、さらにいえば、カバープレート41の外面(表面)よりも突出する形態である。本実施形態では、このリブを突出部82としている。この突出部82により、凹部81の堰が高くなり、凹部81に溜った美容用液がカバー体13の表面に零れ落ち難くなる。
その他の構成は上述した実施形態の美容機器Aと同じ構成である。
次に、本発明に係る美容機器のさらなる他の実施形態について図14に示す美容機器Dを用いて説明する。図14は、図1〜図11に示す実施形態の美容機器Aの図6の断面図と同様の電極部近傍の断面を示す断面図である。なお、以下の説明において、前述の説明と同じ部位には同じ符号を付している。また、前述の美容機器Aと同様の構成を有する部分については説明を省略する。基本的に、カバー体13の把持領域形成部34や枢支部22および電極部11、体電極部26を含む美容機器本体10については美容機器Aと同等の構造と考えてよい。
この美容機器Dは、前述の美容機器Aと基本的な構成を同じくしているが、カバー体13における開口部12の周辺の構造が異なっている。また美容機器Dは、美容機器B、Cのカバー体13における開口部12の周辺の構造とも異なっている。
本実施形態の美容機器Dは、カバー体13のカバープレート41の開口部12に臨む壁から外方向に向けて突出するリブ85を周回状に突出形成するとともに、カバー体13のカバープレート41の開口部12に臨む壁から所定距離離れた外周位置に第二のリブ86を外方向に向けて周回状に突出形成しており、互いが対向するリブ85・86とカバープレート41により形成される空間を凹部81としている。本実施形態の場合、リブ85が内周側壁となり、リブ86が外周側壁となる。また、カバープレート41が底壁(内奥部)84となる。
すなわち、美容機器A、B、Cの凹部81は、平坦状のカバープレート41の外面(表面)に内凹み状の溝を形成して構成するものであるが、本実施形態の美容機器Dは、平坦状のカバープレート41の表面に、周回状に二重のリブ85・86を突出形成してリブ85とリブ86との間に形成される周回状の溝を凹部81とした構成である。
これにより、凹部81は、底壁(内奥部)84と、互い同士が対向する2つの側壁(外周側壁86と内周側壁85)によって形成されることになり、3方が壁で囲まれた形態となる。したがって液剤含浸材44(開口部12に臨む)側の壁(内周側壁85)が第1の堰となり、この第1の堰と凹部81を介して対向する液剤含浸材44(開口部12)から離れた側のもう一方の壁(外周側壁86)が第2の堰となって、この2つの堰によりカバー体13の表面が濡れ汚れるのを可及的に防止できている。
開口部12に臨むリブ(内周側壁)85の壁には、開口部12側に向けて突出する側壁リブ87が周回状に一体で設けられている。これにより、電極部11と開口部12に臨む壁(内周側壁85)との間で液剤含浸材44を挟持固定するとき、液剤含浸材44を側壁リブ87によってより強固に保持できる。さらに側壁リブ87の存在により、開口部12に臨むリブ(内周側壁)85を伝って染み出ようとする美容用液を止めることができる。
また、美容機器B、Cと同様に、カバー体13の開口周縁部88の外面(表面)に周回状に形成された凹部81に少なくとも1つの貫通孔83が形成されている。具体的には、周回状に形成された凹部81の底壁(内奥部)84には、カバー体13の内外を貫通してカバー体13の内外の空間を連通する貫通孔83が形成されている。本実施形態では、貫通孔83は、凹部81の周方向に均等間隔で丸穴状の孔が複数形成されている。もちろん貫通孔83は1つであってもよい。これにより、凹部81が、液剤含浸材44から染み出た美容用液の液受部となり、そのまま液溜め部となるので、カバー体13の表面が美容用液で濡れ汚れるのを防止できるとともに、貫通孔83が凹部81内に溜った美容用液の移動通路となり、凹部81内に溜った美容用液を貫通孔83からカバー体13の内方側に位置する液剤含浸材44に移送できるので、凹部81内の美容用液が溢れ出てカバー体13の表面が濡れ汚れるのを防止できる。
さらに、美容機器B、Cと同様に、カバー体13の凹部81の外周には突出部82が形成されている。具体的には、カバー体13の凹部81に近接した周囲位置に、開口部12に臨むリブ(内周側壁)85の端面よりも突出するリブ82が形成されている。具体的には、リブ82は、リブ86の突出方向に同リブ86と一体で形成されている。本実施形態では、このリブ82を突出部82としている。この突出部82により、凹部81の堰が高くなり、凹部81に溜った美容用液がカバー体13の表面に零れ落ち難くなる。
その他の構成は上述した実施形態の美容機器Aと同じ構成である。
次に、本発明に係る美容機器のさらなる他の実施形態について図15に示す美容機器Eを用いて説明する。図15は、図1〜図11に示す実施形態の美容機器Aの図6の断面図と同様の電極部近傍の断面を示す断面図である。なお、以下の説明において、前述の説明と同じ部位には同じ符号を付している。また、前述の美容機器Aと同様の構成を有する部分については説明を省略する。基本的に、カバー体13の把持領域形成部34や枢支部22および電極部11、体電極部26を含む美容機器本体10については美容機器Aと同等の構造と考えてよい。
この美容機器Eは、前述の美容機器Aと基本的な構成を同じくしているが、カバー体13における凹部81の形成方法が異なっている。美容機器Dの考え方に近い。
すなわち、カバー体13のカバープレート41の開口部12に臨む壁から所定距離離れた外周位置にリブ86を外方向に向けて突出形成している。このリブ86とカバープレート41により形成される空間を凹部81としている。本実施形態の場合、リブ86が外周側壁となり、カバープレート41が底壁(内奥部)84となる。
その他の構成は上述した実施形態の美容機器Aと同じ構成である。
上述した実施形態の美容機器A、B、C、D、Eは、以下の態様で実施することができる。
電流を出力する電極部11を有する本体ケーシング14と、開口部12を有するカバー体13と、を備えており、
カバー体13は、本体ケーシング14にカバー体13を装着したときに電極部11を被覆した状態の液剤含浸材44を開口部12から露出させた状態で保持しており、
カバー体13の表面(外面(壁93))の開口周縁部88に凹部81を周回状に形成したことを特徴とする美容機器。
さらに詳しく表現すると、
電流を出力する電極部11を有する本体ケーシング14と、開口部12を有するカバー体13と、を備えており、
カバー体13は、本体ケーシング14にカバー体13を装着したときに電極部11を被覆した状態の液剤含浸材44を開口部12から露出させた状態で保持しており、
電極部11は、肌面に正対する外壁94と、これを支持する側壁91とを含み、
本体ケーシング14にカバー体13を装着したときに、カバー体13の、開口部12に臨む側壁92は、電極部11の側壁91に対して正対する状態となっており、一方、カバー体13の表面(外面(壁93))は、電極部11の側壁92に対して交差する状態となっており、
カバー体13の表面(外面(壁93))の開口周縁部88に凹部81を周回状に形成したことを特徴とする美容機器。
これにより、凹部81が、液剤含浸材44から染み出た美容用液の液受部となり、そのまま液溜め部となるので、カバー体13の表面(外面)が美容用液で濡れ汚れるのを防止できる。また、本体ケーシング14にカバー体13を装着したときに、電極部12の側壁91と、この側壁91に正対するカバー体13の壁92との間で液剤含浸材44を保持できる。
上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態の美容機器A、B、Cは何れも本体ケーシング14とカバー体13とが別体で構成されているものの枢支部を介して一体に構成されてなるものであるが、その必要はなく、本体ケーシング14とカバー体13とが別体で構成されていて、本体ケーシング14に対してカバー体13が着脱自在に装着されてなるものであってもよい。この場合、カバー体13に、把持領域形成部34を設ける必要はなく、カバー体13は、無端枠状のリング形態であってもよい。カバー体13がリング形態の場合、カバープレート41の面積は極端に小さくなるが、これであっても本発明に係る技術的思想を逸脱しないものである。本体ケーシング14に対してカバー体13が着脱自在に装着される構成に関して、この装着状態を得るために本体ケーシング14とカバー体13とが係合固定される構造であってもよいし、電極部11に係合構造を設け、これにカバー体13が係合固定される構造であってもよい。
また、凹部81は、カバー体13の開口周縁部88に断続的に周回形成されるものであってもよい。凹部81は、一重の凹部に限らず、二重、三重に形成されるものであってもよい。
上述した実施形態の美容機器B、Cの突出部82は、凹部81を形成する外周側壁86に連続して形成されているが、その必要はなく、僅かに凹部81から離れた外周側壁86から突出した突出部82であってもよい。つまり凹部82と突出部82とが階段状に形成されるものであってもよい。美容機器B、C、Dの突出部82のように外周側壁86から一体で形成したリブで構成する必要はなく、別体のリングを溶着、または接着して構成した突出部であってもよい。
さらに、上述した実施形態の美容機器A、B、C、Eは何れも本体ケーシング14の側壁面部に対電極部26を設けているが、これに限定されるものではなく、本体ケーシング14の端部に形成される電極部11と同じ位置に設けることができる。つまり本体ケーシング14に対してカバー体13を閉じた際、或いは別体のカバー体13を装着した際、電極部11と対電極部26とがともに液剤含浸材44を介して開口部12に臨む構成である。これによっても対電極部26と電極部11とは使用者の人体を介して導通されることになり、肌面に対して電気的な施療を行うことができる。
また、開口部12の形状を楕円形状として説明したが、真円であってもよい。