本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。本実施形態の無線通信システムは、2台の無線通信装置1、2を備える。以下、本実施形態では各無線通信装置の区別のために、無線通信装置1を電波送信装置1ともいい、無線通信装置2を移動通信端末2ともいう。電波送信装置1と移動通信端末2は無線データ通信を行う。電波送信装置1は大型の電源供給源(蓄電容量が豊富な蓄電素子や商用電源)に接続され、移動通信端末2は小型の電源供給源(蓄電容量が少ない蓄電素子)に接続される。
電波送信装置1は制御部11、送信部12、受信部13を備える。制御部11は電波送信装置1全体を総括的に制御する制御手段である。制御部11はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部11が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。また、制御部11は後述するように移動通信端末2の送信部23から送信される電波に含まれる情報に基づいて送信部12から送信する電波の電波強度を制御する。
送信部12及び受信部13は他の機器(本実施形態では移動通信端末2)と無線通信によりデータ通信を行う。送信部12はデータ通信を行う際に制御部11に制御されて所定の電波強度で電波を送信する。
移動通信端末2は制御部21、発電部22、送信部23、蓄電素子(二次電池)24を備える。制御部21は移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部21はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部21が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
制御部21は充電制御部211及び判定部212を有する。充電制御部211は整流回路26により生成された直流電圧を蓄電素子24に充電する制御を行う。また、判定部212は蓄電素子24への充電が完了したか否かを判定する。制御部21は判定部212の判定結果に基づいて送信部23を介して充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信し、電波送信装置1との間で通信チャンネルを開く。
発電部22は電波を受信することにより発電するアンテナ(受信部)25、アンテナ25により生成された交流電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路26を有する。アンテナ25は電波を受信して電気エネルギーを生成できるものであればよい。例えば、アンテナ25としては、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ等を用いることができる。電波の受信は電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式のいずれであってもよい。また、どの周波数帯の電波を受信して発電を行うかは限られるものではなく、125kHz、13.56MHz、950MHz、2.45GHz、5.8GHz等が挙げられる。特定の周波数帯のみで発電を行うこととしてもよい。
また、発電部22は特定の無線通信装置からの電波を受信したときのみに発電することとしてもよい。例えば、電波を受信したときに電波の送信元の無線通信装置を特定し、電波の送信元の無線通信装置が電波送信装置1であるときのみに発電することとしてもよい。
整流回路26は供給された交流電圧を整流し、直流電圧を生成する。生成された直流電圧は蓄電素子24に充電される。
送信部23は制御部21に制御されて電波を電波送信装置1に対して送信する。
図2は、第1実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すフローチャートである。ステップS01において制御部21は蓄電素子24に充電する必要があるか否かを判定する。充電する必要があるか否かの判定基準は特に限られるものではない。例えば、電波送信装置1と移動通信端末2の間でやり取りされるデータ量と蓄電素子24の電力残量に基づいて判定する。また、蓄電素子24の電力残量が閾値以下であるときに充電が必要であると判定することとしてもよい。
充電が必要であれば(ステップS01のY)ステップS02に進む。ステップS02において移動通信端末2の発電部22は電波送信装置1の送信部12から送信された電波を受信して発電を行う。また、発電部22によって発電された電力は蓄電素子24に充電される。
なお、制御部21は、上述したように特定の周波数帯の電波や特定の無線通信装置から送信された電波により発電された電力のみを蓄電素子24に充電することとしてもよい。例えば、アンテナ25が特定の周波数帯の電波や特定の無線通信装置から送信された電波を受信したときのみに発電を行うこととしてもよい。また、図1に示すように発電部22と蓄電素子24の間にスイッチ28を設けて、特定の周波数帯の電波や特定の無線通信装置から送信された電波で発電したときのみスイッチをONにすることとしてもよい。また、特定の周波数帯の電波や特定の無線通信装置から送信された電波以外の電波で発電されたときに蓄電素子24に負荷(不図示)を接続することとしてもよい。
ステップS03において移動通信端末2の制御部21は蓄電素子24への充電が完了したか否かを判定する。蓄電素子24への充電が完了すると(ステップS03のY)、制御部21は送信部23を介して蓄電素子24への充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信する(ステップS04)。本実施形態において充電完了信号には、蓄電素子24への充電電力量を示す情報が含まれる。なお、送信部23から電波を送信する際は発電部22による発電を停止することが望ましい。
ステップS05において電波送信装置1の制御部11は受信部13を介して取得した充電完了信号に基づいて、送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。具体的には、蓄電素子24への充電のために送信部12を介して電波の送信を開始してから受信部13を介して充電完了信号を取得するまでの時間、及び、蓄電素子24への充電電力量に基づいて通信環境を判断して送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。
なお、蓄電素子24への充電のために送信部12を介して電波の送信を開始してから受信部13を介して充電完了信号を取得するまでの時間は、蓄電素子24への蓄電のためにアンテナ25が電波を受信している時間(受信継続時間)であってもよい。
ステップS06において電波送信装置1の制御部11はステップS05にて算出した電波強度で電波を送信するよう送信部12を制御する。
本実施形態は蓄電素子24への充電により電波強度の調整を行うものである。従って、蓄電素子24に充電が行われなければ電波強度の調整が行われない。そこで移動通信端末2の制御部21は蓄電素子24に充電した電力が所定期間使用されない場合にスイッチ29をONにして放電することとしてもよい。これにより電波強度の調整を行うことができる。
放電する電力量は特に限られるものではないが、制御部21が各種制御を継続して行うために必要な電力を残すために、蓄電素子24の残電力量が既定の電力量(放電下限電力量)を下回らないように放電される。
本実施形態によれば、他の無線通信装置から送信される電波に含まれる情報に基づいて、無線通信装置間の通信環境を判断する。その判断結果に基づいて効率的なデータ通信を行うのに必要な電波強度(電波強度の最適値)を算出する。具体的には電波送信装置の送信部から送信される電波の電波強度が強いときは送信電波の電波強度を下げ、弱いときは送信電波の電波強度を上げるように制御を行う。これにより送信部から最適な電波強度で電波が送信される。
<第2実施形態>
第1実施形態で電波送信装置1の制御部11は、送信部12を介して電波の送信を開始した時点を記憶しておき、移動通信端末2の送信部23から充電完了信号を含む電波を一度受信することで通信環境の判断を行った。これに対して本実施形態では、移動通信端末2の送信部23から電波を二度を受信することで通信環境の判断を行う。
図3は第2実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。第1実施形態に係る無線通信システムと同一部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
電波送信装置1の制御部111は電波送信装置1全体を総括的に制御する制御手段である。制御部111はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部111が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。また、制御部111は後述するように移動通信端末2の送信部23から送信される電波に含まれる情報に基づいて送信部12から送信する電波の電波強度を制御する。
移動通信端末2の制御部31は移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部31はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部31が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
制御部31は充電制御部311及び判定部312を有する。充電制御部311は整流回路26により生成された直流電圧を蓄電素子24に充電する制御を行う。また、判定部312は蓄電素子24の電力残量が第1の閾値及び第2の閾値に到達したか否かを判定する。制御部31は判定部312の判定結果に基づいて送信部23を介して充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信し、電波送信装置1との間で通信チャンネルを開く。
図4は、第2実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すフローチャートである。ステップS11において制御部31は蓄電素子24に充電する必要があるか否かを判定する。充電する必要があるか否かの判定基準は第1実施形態と同様、特に限られるものではない。
充電が必要であれば(ステップS11のY)ステップS12に進む。ステップS12において移動通信端末2の発電部22は電波送信装置1の送信部12から送信された電波を受信して発電を行う。また、発電部22によって発電された電力は蓄電素子24に充電される。制御部31は、第1実施形態と同様に、特定の周波数帯の電波により発電された電力のみを蓄電素子24に充電することとしてもよい。
また、発電部22は特定の無線通信装置からの電波を受信したときのみに発電することとしてもよい。例えば、電波を受信したときに電波の送信元の無線通信装置を特定し、電波の送信元の無線通信装置が電波送信装置1であるときのみに発電することとしてもよい。
ステップS13において移動通信端末2の制御部31は蓄電素子24の電力残量が第1の閾値に到達したか否かを判定する。蓄電素子24の電力残量が第1の閾値に到達していれば(ステップS13のY)、制御部31は送信部23を介して電力残量が第1の閾値に到達した(第1の閾値まで充電が完了した)ことを示す情報(第1の充電完了信号)を含む第1の電波を送信する(ステップS14)。なお、送信部23から電波を送信する際は発電部22による発電を停止することが望ましい。
ステップS15において移動通信端末2の制御部31は蓄電素子24の電力残量が第2の閾値に到達したか否かを判定する。蓄電素子24の電力残量が第2の閾値に到達していれば(ステップS15のY)、制御部31は送信部23を介して電力残量が第2の閾値に到達した(第2の閾値まで充電が完了した)ことを示す情報(第2の充電完了信号)を含む第2の電波を送信する(ステップS16)。なお、送信部23から電波を送信する際は発電部22による発電を停止することが望ましい。
ステップS17において電波送信装置1の制御部111は受信部13を介して取得した第1の充電完了信号及び第2の充電完了信号に基づいて、送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。具体的には、第1の閾値から第2の閾値まで充電を行うのに要した時間に基づいて通信環境を判断して送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。
ステップS18において電波送信装置1の制御部111はステップS17にて算出した電波強度で電波を送信するよう送信部12を制御する。
本実施形態によれば第1実施形態と同様の効果を奏する。
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では発電時間(充電時間)により通信環境の判断を行った。これに対して本実施形態では、放電時間により通信環境の判断を行う。
図5は第3実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。第1実施形態に係る無線通信システムと同一部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
電波送信装置1の制御部112は電波送信装置1全体を総括的に制御する制御手段である。制御部112はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部112が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。また、制御部112は後述するように移動通信端末2の送信部23から送信される電波に含まれる情報に基づいて送信部12から送信する電波の電波強度を制御する。
移動通信端末2の制御部41は移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部41はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部41が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
制御部41は充電制御部411及び判定部412を有する。充電制御部411は整流回路26により生成された直流電圧を蓄電素子24に充電する制御を行う。また、判定部412は蓄電素子24の電力残量が充電によって第1の閾値に到達したか否か、及び、蓄電素子24の電力残量が放電によって第1の閾値に到達したか否かを判定しする。制御部41は判定部412の判定結果に基づいて送信部23を介して充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信し、電波送信装置1との間で通信チャンネルを開く。
図6は、第3実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すフローチャートである。ステップS21において制御部41は蓄電素子24に充電する必要があるか否かを判定する。充電する必要があるか否かの判定基準は第1実施形態と同様、特に限られるものではない。
充電が必要であれば(ステップS21のY)ステップS22に進む。ステップS22において移動通信端末2の発電部22は電波送信装置1の送信部12から送信された電波を受信して発電を行う。また、発電部22によって発電された電力は蓄電素子24に充電される。制御部41は、第1実施形態と同様に、特定の周波数帯の電波や特定の無線通信装置から送信された電波により発電された電力のみを蓄電素子24に充電することとしてもよい。
ステップS23において移動通信端末2の制御部41は蓄電素子24の電力残量が第1の閾値に到達したか否かを判定する。蓄電素子24の電力残量が第1の閾値に到達していれば(ステップS23のY)、制御部41は送信部23を介して電力残量が第1の閾値に到達した(第1の閾値まで充電が完了した)ことを示す情報(充電完了信号)を含む第1の電波を送信する(ステップS24)。なお、送信部23から電波を送信する際は発電部22による発電を停止することが望ましい。
ステップS25において移動通信端末2の制御部41は所定時間蓄電素子24への充電を継続する。所定時間が経過するとステップS26において移動通信端末2の制御部41は蓄電素子24の放電を開始する。
ステップS27において移動通信端末2の制御部41は蓄電素子24の電力残量が再び第1の閾値に到達したか否かを判定する。蓄電素子24の電力残量が第1の閾値に到達していれば(ステップS27のY)、制御部41は送信部23を介して電力残量が第1の閾値に到達した(第1の閾値まで放電が完了した)ことを示す情報(放電完了信号)を含む第2の電波を送信する(ステップS28)。
ステップS29において電波送信装置1の制御部112は受信部13を介して取得した充電完了信号及び放電完了信号に基づいて、送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。具体的には、ステップS26の放電を、一定の電波強度の電波を移動通信端末2の送信部23から電波送信装置1の受信部13に送信することで行う。送信部23から送信された電波の電波強度と放電時間によってステップS25で第1の閾値を超えて充電された電力量が算出される。そしてステップS25で充電された電力量と送信部12から送信された電波の電波強度に基づいて通信環境を判断して送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。
ステップS30において電波送信装置1の制御部112はステップS29にて算出した電波強度で電波を送信するよう送信部12を制御する。
本実施形態は上述したように、放電を一定の電波強度の電波を送信することで行うのに対して、放電時間は蓄電素子24の電力残量が第1の閾値に到達するまでの時間であり、変動する。しかしながら、放電時間を一定として電波強度を変動させることとしてもよい。すなわち、ステップS25で充電された電力量を検出し、所定時間内で第1の閾値に到達するまで放電するための電波強度を算出し、算出された電波強度の電波を移動通信端末2の送信部23から電波送信装置1の受信部13に送信する。電波送信装置1の制御部112は送信部23から送信されたときの電波強度と、受信部13が受信したときの電波強度に基づいて通信環境を判断して送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。
本実施形態によれば第1実施形態と同様の効果を奏する。
<第4実施形態>
第1実施形態〜第3実施形態では、移動通信端末2が特定の周波数帯の電波や特定の無線通信装置から送信された電波を受信して発電する一の発電部を有していた。しかしながら発電部は2以上有することとしてもよい。本実施形態は2つの電波送信装置の送信部から電波が送信され、各電波を受信して発電する2つの発電部を有する移動通信端末を備える無線通信システムである。
図7は第4実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る無線通信システムは2つの電波送信装置1#1と1#2を備える。
電波送信装置1#1は制御部113#1、送信部12#1、受信部13#1を備える。制御部113#1は電波送信装置1全体を総括的に制御する制御手段である。制御部113#1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部113#1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。また、制御部113#1は後述するように送信部23#1から送信される電波に含まれる情報に基づいて送信部12#1から送信する電波の電波強度を制御する。
送信部12#1及び受信部13#1は他の機器(本実施形態では移動通信端末2#1)と無線通信によりデータ通信を行う。送信部12#1はデータ通信を行う際に制御部113#1に制御されて所定の電波強度で電波を送信する。
移動通信端末2は制御部51#1、発電部22#1、送信部23#1、蓄電素子(二次電池)24#1を備える。制御部51#1は後述する制御部51#2と共に移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部51#1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部51#1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
制御部51#1は充電制御部511#1及び判定部512#1を有する。充電制御部511#1は整流回路26#1により生成された直流電圧を蓄電素子24#1に充電する制御を行う。また、判定部512#1は蓄電素子24#1への充電が完了したか否かを判定する。制御部51#1は判定部512#1の判定結果に基づいて送信部23#1を介して電波を送信する。
発電部22#1は電波発信装置1#1から電波を受信することにより発電するアンテナ(受信部)25#1、アンテナ25#1により生成された交流電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路26#1を有する。アンテナ25#1は電波を受信して電気エネルギーを生成できるものであればよい。例えば、アンテナ25#1としては、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ等を用いることができる。電波の受信は電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式のいずれであってもよい。また、どの周波数帯の電波を受信して発電を行うかは限られるものではなく、125kHz、13.56MHz、950MHz、2.45GHz、5.8GHz等が挙げられる。特定の周波数帯のみで発電を行うこととしてもよい。
また、発電部22#1は特定の無線通信装置からの電波を受信したときのみに発電することとしてもよい。例えば、電波を受信したときに電波の送信元の無線通信装置を特定し、電波の送信元の無線通信装置が電波送信装置1#1であるときのみに発電することとしてもよい。
整流回路26#1は供給された交流電圧を整流し、直流電圧を生成する。生成された直流電圧は蓄電素子24#1に充電される。
電波送信装置1#2は制御部113#2、送信部12#2、受信部13#2を備える。制御部113#2は電波送信装置1全体を総括的に制御する制御手段である。制御部113#2はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部113#2が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。また、制御部113#2は後述するように送信部23#2から送信される電波に含まれる情報に基づいて送信部12#2から送信する電波の電波強度を制御する。
送信部12#2及び受信部13#2は他の機器(本実施形態では移動通信端末2#2)と無線通信によりデータ通信を行う。送信部12#2はデータ通信を行う際に制御部113#2に制御されて所定の電波強度で電波を送信する。
移動通信端末2はさらに、制御部51#2、発電部22#2、送信部23#2、蓄電素子(二次電池)24#2を備える。制御部51#2は制御部51#1と共に移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部51#2はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部51#2が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
制御部51#2は充電制御部511#2及び判定部512#2を有する。充電制御部511#2は整流回路26#2により生成された直流電圧を蓄電素子24#2に充電する制御を行う。また、判定部512#2は蓄電素子24#2への充電が完了したか否かを判定する。制御部51#2は判定部512#2の判定結果に基づいて送信部23#2を介して電波を送信する。
発電部22#2は電波発信装置1#2から電波を受信することにより発電するアンテナ(受信部)25#2、アンテナ25#2により生成された交流電圧を整流して直流電圧を生成する整流回路26#2を有する。アンテナ25#2は電波を受信して電気エネルギーを生成できるものであればよい。例えば、アンテナ25#2としては、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ等を用いることができる。電波の受信は電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式のいずれであってもよい。また、どの周波数帯の電波を受信して発電を行うかは限られるものではなく、125kHz、13.56MHz、950MHz、2.45GHz、5.8GHz等が挙げられる。特定の周波数帯のみで発電を行うこととしてもよい。
また、発電部22#2は特定の無線通信装置からの電波を受信したときのみに発電することとしてもよい。例えば、電波を受信したときに電波の送信元の無線通信装置を特定し、電波の送信元の無線通信装置が電波送信装置1#2であるときのみに発電することとしてもよい。
整流回路26#2は供給された交流電圧を整流し、直流電圧を生成する。生成された直流電圧は蓄電素子24#2に充電される。
送信部23は制御部51#1、51#2に制御されて電波を電波送信装置1#1、1#2に対して送信する。
なお、以下の説明では、電波送信装置1#1〜1#2について、個々の区分けが不要な場合は電波送信装置1と称することがある。同様に以下の説明では、送信部12、受信部13、発電部22、蓄電素子24、アンテナ25、整流回路26、スイッチ28、スイッチ29、制御部113、制御部51、充電制御部511、判定部512と称する場合がある。
図8は、第4実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すフローチャートである。以下のステップS41〜S44の処理は、制御部51#1と51#2が夫々行う処理である。ステップS41において制御部51は蓄電素子24に充電する必要があるか否かを判定する。充電する必要があるか否かの判定基準は第1実施形態と同様、特に限られるものではない。
充電が必要であれば(ステップS41のY)ステップS42に進む。ステップS42において移動通信端末2の発電部22は電波送信装置1の送信部12から送信された電波を受信して発電を行う。また、発電部22によって発電された電力は蓄電素子24に充電される。制御部51#1、51#2は夫々電波送信装置1#1、1#2により発電された電力を蓄電素子24に充電する。
ステップS43において移動通信端末2の制御部51は蓄電素子24への充電が完了したか否かを判定する。蓄電素子24への充電が完了すると(ステップS43のY)、制御部51は送信部23を介して蓄電素子24への充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信する(ステップS44)。本実施形態において充電完了信号には、蓄電素子24への充電電力量を示す情報が含まれる。なお、送信部23から電波を送信する際は発電部22による発電を停止することが望ましい。
ステップS45において電波送信装置1の制御部113は受信部13を介して取得した充電完了信号に基づいて、送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。具体的には、蓄電素子24への充電のために送信部12を介して電波の送信を開始してから受信部13を介して充電完了信号を取得するまでの時間、及び、蓄電素子24への充電電力量に基づいて通信環境を判断して送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。
なお、蓄電素子24への充電のために送信部12を介して電波の送信を開始してから受信部13を介して充電完了信号を取得するまでの時間は、蓄電素子24への蓄電のためにアンテナ25が電波を受信している時間(受信継続時間)であってもよい。
ステップS46において電波送信装置1の制御部113はステップS45にて算出した電波強度で電波を送信するよう送信部12を制御する。
本実施形態は第1実施形態に係る無線通信システムの移動通信端末2が、2つの電波送信装置1から電波を受信して発電する2つの発電部を備える場合について説明したが、第2実施形態又は第3実施形態に係る無線通信システムに適用することとしてもよい。
また、本実施形態では発電部22#1、22#2夫々に対して制御部51#1、51#2、蓄電素子24#1、24#2が備えられることとしたが、単一の制御部51が発電部22#1、22#2の充放電を制御することとしてもよいし、発電部22#1、22#2で発電された電力を単一の蓄電素子24に充電することととしてもよい。また、制御部51の一部(例えば判定部512#1、512#2)を統合することとしてもよい。
具体的には電波送信装置1#1と1#2の電波送信タイミングが重複しない(一定周期で交互に送信される)場合には、各発電部22の発電電力を単一の蓄電素子24に充電することとしてもよい。一方、電波送信装置1#1と1#2の電波送信タイミングが重複する場合には、各発電部22の発電電力を充電するために各発電部22に対応した蓄電素子24(蓄電素子24#1と24#2)を備えることが望ましい。
本実施形態によれば第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、複数の発電部が夫々異なる周波数帯の電波や異なる無線通信装置から送信される電波を受信して発電を行うので、短時間でより多くの電力を充電することができる。
<第5実施形態>
第4実施形態では、複数の電波送信装置から送信される電波を複数の発電部で受信して発電を行うこととした。これに対して本実施形態は一の電波送信装置か送信される電波を複数の発電部で受信して発電を行うこととする。
図9は第5実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。第1実施形態又は第4実施形態に係る無線通信システムと同一部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
電波送信装置1の制御部114は電波送信装置1全体を総括的に制御する制御手段である。制御部114はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部114が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。また、制御部114は後述するように移動通信端末2の送信部23から送信される電波に含まれる情報に基づいて送信部12から送信する電波の電波強度を制御する。
移動通信端末2の制御部61#1は後述する制御部61#2と共に移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部61#1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部61#1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
また、制御部61#1は発電部22#1による所定時間あたり発電電力量(或いは、所定時間あたりの蓄電池24#1への蓄電電力量)を算出し、制御部61#2と共に電波送信装置1の位置を特定する。
制御部61#1は充電制御部611#1及び判定部612#1を有する。充電制御部611#1は整流回路26#1により生成された直流電圧を蓄電素子24#1に充電する制御を行う。また、判定部612#1は蓄電素子24#1への充電が完了したか否かを判定する。制御部61#1は判定部612#1の判定結果に基づいて送信部23を介して充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信し、電波送信装置1との間で通信チャンネルを開く。
移動通信端末2の制御部61#2は制御部61#1と共に移動通信端末2全体を総括的に制御する制御手段である。制御部61#2はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部61#2が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
また、制御部61#2は発電部22#2による所定時間あたり発電電力量(或いは、所定時間あたりの蓄電池24#2への蓄電電力量)を算出し、制御部61#1と共に電波送信装置1の位置を特定する。
制御部61#2は充電制御部611#2及び判定部612#2を有する。充電制御部611#2は整流回路26#2により生成された直流電圧を蓄電素子24#2に充電する制御を行う。また、判定部612#2は蓄電素子24#2への充電が完了したか否かを判定する。制御部61#2は判定部612#2の判定結果に基づいて送信部23を介して充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波を送信し、電波送信装置1との間で通信チャンネルを開く。
なお、以下の説明では、制御部61#1〜61#2について、個々の区分けが不要な場合は制御部61と称することがある。同様に以下の説明では、充電制御部611、判定部612と称する場合がある。
図10は、第5実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すフローチャートである。以下のステップS51〜S55の処理は、制御部61#1と61#2が夫々行う処理である。ステップS51において制御部61は蓄電素子24に充電する必要があるか否かを判定する。充電する必要があるか否かの判定基準は第1実施形態と同様、特に限られるものではない。
充電が必要であれば(ステップS51のY)ステップS52に進む。ステップS52において移動通信端末2の発電部22は電波送信装置1の送信部12から送信された電波を受信して発電を行う。また、発電部22によって発電された電力は蓄電素子24に充電される。制御部61#1及び61#2は電波送信装置1から送信される電波により発電された電力を蓄電素子24に充電する。
ステップS53において移動通信端末2の制御部61は電波送信装置1が存在する位置の方向を特定する。発電部22#1と22#2は移動通信端末2内での配置が異なる。この配置の差異により発電部22#1と22#2が電波を受信する角度に差異が生じる。受信角度に差異が生じると、発電部22#1と22#2が所定時間あたりに発電する電力量(或いは蓄電素子24#1、24#2に充電される電力量)に差異が生じる。つまり、制御部61は発電電力量(充電電力量)の差異に基づいて電波の受信角度を算出することができる。
ステップS54において移動通信端末2の制御部61は蓄電素子24への充電が完了したか否かを判定する。蓄電素子24への充電が完了すると(ステップS54のY)、制御部61は送信部23を介して移動通信端末2を中心とする電波送信装置1の方向を示す情報、及び、蓄電素子24への充電が完了したことを示す情報(充電完了信号)を含む電波をステップS53で特定した電波送信装置1の方向に向かって送信する(ステップS55)。なお、送信部23から電波を送信する際は発電部22による発電を停止することが望ましい。また、移動通信端末2を中心とする電波送信装置1の方向を示す情報を含む電波はステップS53の後であって且つステップS54の前に送信することとしてもよい。
ステップS56において電波送信装置1の制御部114は受信部13を介して取得した充電完了信号に基づいて、送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。具体的には、蓄電素子24への充電のために送信部12を介して電波の送信を開始してから受信部13を介して充電完了信号を取得するまでの時間、及び、蓄電素子24への充電電力量(充電完了信号に含まれる情報)に基づいて通信環境を判断して送信部12から電波を送信する際の最適な電波強度を算出する。
なお、蓄電素子24への充電のために送信部12を介して電波の送信を開始してから受信部13を介して充電完了信号を取得するまでの時間は、蓄電素子24への蓄電のためにアンテナ25が電波を受信している時間(受信継続時間)であってもよい。
ステップS57において電波送信装置1の制御部114はステップS56にて算出した電波強度で移動通信端末2が位置する方向に向かって電波を送信するよう送信部12を制御する。移動通信端末2の位置は移動通信端末2を中心とする電波送信装置1の方向を示す信号に基づいて特定される。
本実施形態は第1実施形態に係る無線通信システムの移動通信端末2が、1の電波送信装置1から電波を受信して発電する2つの発電部を備える場合について説明したが、第2実施形態又は第3実施形態に係る無線通信システムに適用することとしてもよい。
また、本実施形態では発電部22#1、22#2夫々に対して制御部61#1、61#2が備えられることとしたが、単一の制御部61が発電部22#1、22#2の充放電を制御することとしてもよい。また、制御部61の一部(例えば判定部612#1、612#2)を統合することとしてもよい。
本実施形態によれば第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、電波送信装置、携帯無線端末の方向が特定されるので、電波の送信方向を変えることで単位時間あたりの発電電力量(蓄電電力量)を増加させることができる。
<補足>
第1実施形態〜第5実施形態では、無線通信装置間の通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で電波を送信することとした。最適値の電波強度とは上述したように規格上の最高通信速度に近い速度でデータ通信を行うために必要な電波強度である。そこで電波強度が弱いときのみならず強いときでも電波強度を最適化することで医療機器(電波により動作に支障が出る可能性がある装置)の誤作動に配慮することとしている。しかしながら最適値の電波強度であっても誤作動を起こす可能性がある医療機器が無線通信装置の周辺に存在する場合には、その医療機器の動作に支障が生じない程度に電波強度を調整することとしてもよい。
すなわち、所定の電波強度以上の電波強度を受信すると誤作動を生じる医療機器が無線通信装置周辺にあることを検知したときは、算出した電波強度の最適値(第1の電波強度)と、医療機器の安全動作が確保される電波強度(第2の電波強度)とを比較して、第1の電波強度が第2の電波強度よりも強いときは、第2の電波強度以下で電波を送信する。これにより、医療機器の安全動作が確保される。
なお、無線通信装置周辺に医療機器が存在すること、及び、その医療機器の安全動作が確保される電波強度の検知、特定方法は特に限られない。例えば無線通信装置が送信するビーコン信号に対する応答信号に機器の機種名等の情報が含まれていれば、当該機種名に基づいてその機器が医療機器であること及び安全動作が確保される電波強度を特定することができる。また、医療機器が定期或いは不定期に自機が医療機器であることを示す情報及び安全動作が保障される電波強度を示す情報を含むビーコン信号を送信することで、この信号を無線通信装置に受信させることとしてもよい。
また、電波強度の調整に代えて、或いは電波強度の調整に加えて警告を発することとしてもよい。すなわち無線通信装置は音声や画面等への表示によりユーザに対して所定の報知を行う報知部を有し、自機の周辺に医療機器が存在するときに、その医療機器が存在することを報知し、また、その医療機器の安全動作が保障される電波強度よりも強い電波を自機が送信していることを報知して、ユーザに対して電源のオフや電波強度の調整を促すこととしてもよい。
また、上記第5実施形態において、無線通信装置間で互いの方向を特定することとしたが、さらに別の方向に存在する無線通信装置を検出して各無線通信装置を経由する通信インフラを確立することとしてもよい。第5実施形態を例に具体的に説明すると、移動通信端末2は電波送信装置1の方向を特定して、電波送信装置1の方向に第1の電波を送信し、さらに、電波送信装置1の方向と逆方向に第2の電波を送信する。
電波送信装置1とは反対側に存在し、第2の電波を受信した第3の無線通信装置は移動通信端末2と同様の処理を行って電波を移動通信端末2に送信する。この電波を受信した移動通信端末2の制御部61は第3の無線通信装置に対する電波強度の最適値を算出し、この電波強度で電波を第3の無線通信装置に送信する。このような処理を連続して行うことで、各無線通信装置を経由する通信インフラが確立され、災害等の緊急時に臨時の通信インフラを早期に作成することができる。
以上のことから本願発明の構成及びその効果は以下の通りである。
本願発明に係る無線通信装置は、電波を送信する送信部12と、前記送信部12の電波を受信した他の無線通信装置2から送信される電波を受信する受信部13と、前記受信部13の受信電波に含まれる情報に基づいて電波強度の最適値を算出してその電波強度で前記送信部12に電波を送信させる制御部11(又は、111〜114のいずれか)と、を備える。
この構成によれば、他の無線通信装置から送信される電波に含まれる情報に基づいて、無線通信装置間の通信環境を判断する。その判断結果に基づいて効率的なデータ通信を行うのに必要な電波強度(電波強度の最適値)を算出する。具体的には電波送信装置の送信部から送信される電波の電波強度が強いときは送信電波の電波強度を下げ、弱いときは送信電波の電波強度を上げるように制御を行う。これにより送信部から最適な電波強度で電波が送信される。
また、本願発明の無線通信装置において、前記受信部13の受信電波に含まれる情報には、他の無線通信装置2が前記送信部12の送信電波を受信して発電した電力量の少なくとも一部の電力量を示す情報とその少なくとも一部の電力量の電力量を発電するのに要した時間を示す情報とが含まれ、前記制御部11(又は、111〜114のいずれか)は受信電波に含まれる情報に基づいて他の無線通信装置2との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で前記送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、他の無線通信装置は電波を受信して発電を行う。そしてその発電量と発電時間に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。すなわちデータ通信を行うために必要な電力を発電することでこれに付随して電波強度の最適値を算出することができる。加えて、算出された電波強度で電波を送信するので、電力不足が発生してデータ通信を完了させることができないといった事態を未然に防ぐことができる。
また、本願発明の無線通信装置において、前記受信部13の受信電波に含まれる情報には、他の無線通信装置2が前記送信部12の送信電波を受信して発電した電力量の少なくとも一部の電力量を示す情報とその少なくとも一部の電力量の電力量を電波の送信によって放電するのに要した時間を示す情報とが含まれ、前記制御部11(又は、111〜114のいずれか)は受信電波に含まれる情報に基づいて他の無線通信装置2との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で前記送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、他の無線通信装置は電波を受信して発電を行う。そしてその発電量と放電時間に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。すなわちデータ通信を行うために必要な電力を発電することでこれに付随して電波強度の最適値を算出することができる。加えて、算出された電波強度で電波を送信するので、電力不足が発生してデータ通信を完了させることができないといった事態を未然に防ぐことができる。
また、本願発明の無線通信装置において、前記受信部13の受信電波に含まれる情報には、他の無線通信装置2から送信された電波の送信時における電波強度を示す情報が含まれ、前記制御部11(又は、111〜114のいずれか)は他の無線通信装置2から送信された電波の送信時における電波強度と受信時における電波強度とに基づいて他の無線通信装置2との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で前記送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、送信時における電波強度と受信時における電波強度に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。
また、本願発明の無線通信装置において、前記制御部11(又は、111〜114のいずれか)は、周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置が存するときは、その装置の動作に支障が出ないように電波強度を調整する。
この構成によれば、周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置(例えば医療機器)が存するときに、その装置の動作に支障が出ないように電波強度を調整する。これにより周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置の安全動作が確保される。
本願発明に係る無線通信システムは、電波を送信する第1の送信部12と、第1の送信部12から送信する電波の電波強度を制御する第1の制御部11(又は、111〜114のいずれか)と、第2の無線通信装置2から送信される電波を受信する第1の受信部13と、を備える第1の無線通信装置1と、第1の送信部12から送信される電波を受信して発電する発電部22と、前記発電部22により発電された電力を蓄電する蓄電素子24と、前記蓄電素子24の充放電制御を行う第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)と、第1の無線通信装置1に電波を送信する第2の送信部23と、を備える第2の無線通信装置2と、を備え、第1の制御部11(又は、111〜114のいずれか)は第2の送信部23から送信された電波に含まれる情報に基づいて電波強度の最適値を算出してその電波強度で第1の送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、第1の制御部は、第2の送信部から送信される電波に含まれる情報に基づいて、無線通信装置間の通信環境を判断する。その判断結果に基づいて効率的なデータ通信を行うのに必要な電波強度(電波強度の最適値)を算出する。具体的には電波送信装置の送信部から送信される電波の電波強度が強いときは送信電波の電波強度を下げ、弱いときは送信電波の電波強度を上げるように制御を行う。これにより送信部から最適な電波強度で電波が送信される。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)は、前記発電部22が第1の送信部12から送信される電波を受信して発電した電力のみを前記蓄電素子24に充電する。
この構成によれば、特定の無線通信装置から送信される電波を受信して発電された電力のみが蓄電素子に蓄電される。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)は、前記発電部22が特定の周波数帯の電波を受信して発電した電力のみを前記蓄電素子24に充電する。
この構成によれば、特定の周波数帯の電波を受信して発電された電力のみが蓄電素子に蓄電される。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)は、一定期間前記発電部22による発電が行われなかったときに前記蓄電素子24に充電された電力を放電する。
この構成によれば、一定期間発電部による発電が行われなかったときに蓄電素子に充電された電力が放電される。従って、その後、他の無線通信装置とのデータ通信を行う際に発電が行われ、他の無線通信装置に対して送信される電波の電波強度の制御を行うことができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)は、前記蓄電素子24の残電力量が既定の電力量に至るまで放電する。
この構成によれば、蓄電素子の蓄電電力を放電する際に、既定の電力量まで放電する、言い換えれば既定の電力量以下に至るまで放電されないので、制御部21が各種制御を継続して行うことができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)は、第2の送信部23から電波を送信する際に前記発電部22による発電を停止する。
この構成によれば、発電処理を行わないので、制御部による観測精度が向上する。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の送信部23から送信された電波に含まれる情報には、発電部22が第1の送信部12から電波を受信して発電した電力量の少なくとも一部の電力量を示す情報とその少なくとも一部の電力量を発電するのに要した時間を示す情報とが含まれ、第1の制御部11(又は、111〜114のいずれか)は受信電波に含まれる情報に基づいて第2の無線通信装置2との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で第2の無線通信装置2に対して第1の送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、発電部の発電量と発電時間に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。すなわちデータ通信を行うために必要な電力を発電することでこれに付随して電波強度の最適値を算出することができる。加えて、算出された電波強度で電波を送信するので、電力不足が発生してデータ通信を完了させることができないといった事態を未然に防ぐことができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の送信部23から送信された電波に含まれる情報には、発電部22が第1の送信部12から電波を受信して発電した電力量の少なくとも一部の電力量を示す情報とその少なくとも一部の電力量を電波の送信によって放電するのに要した時間を示す情報とが含まれ、第1の制御部11(又は、111〜114のいずれか)は受信電波に含まれる情報に基づいて第2の無線通信装置2との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で第2の無線通信装置2に対して第1の送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、発電部の発電量と放電時間に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。すなわちデータ通信を行うために必要な電力を発電することでこれに付随して電波強度の最適値を算出することができる。加えて、算出された電波強度で電波を送信するので、電力不足が発生してデータ通信を完了させることができないといった事態を未然に防ぐことができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の送信部23から送信された電波に含まれる情報には、第2の送信部23から送信された電波の送信時における電波強度を示す情報が含まれ、第1の制御部11(又は、111〜114のいずれか)は第2の送信部23から送信された電波の送信時における電波強度と受信時における電波強度とに基づいて第2の無線通信装置2との通信環境を判断し、その電波強度で第2の無線通信装置2に対して第1の送信部12に電波を送信させる。
この構成によれば、送信時における電波強度と受信時における電波強度に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第1の制御部11(又は、111〜114のいずれか)は、周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置が存するときは、その装置の動作に支障が出ないように電波強度を調整する。
この構成によれば、周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置(例えば医療機器)が存するときに、その装置の動作に支障が出ないように電波強度を調整する。これにより周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置の安全動作が確保される。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の無線通信装置2は複数の発電部22を備え、第2の制御部61は、前記複数の発電部22の発電量の差異から第1の無線通信装置1が位置する方向を特定し、第2の送信部23を介して第1の無線通信装置1の方向に向かって電波を送信する。
この構成によれば、第1の無線通信装置が位置する方向に電波を送信するだけでよいので電波の送信時に必要な電力量が抑制される。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部61は第2の送信部23を介して第1の無線通信装置1の方向に向かって電波を送信するとともに、第1の無線通信装置1とは別方向に向かって電波を送信し、第1の無線通信装置1とは別方向に存在する第3の無線通信装置から送信された電波に含まれる情報に基づいて電波強度の最適値を算出してその電波強度で第3の無線通信装置に対して第2の送信部23に電波を送信させる。
この構成によれば、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置の間でデータ通信が行われ、第2の無線通信装置と第3の無線通信装置の間でデータ通信が行われることにより、第2の無線通信装置を経由して第1の無線通信装置と第3の無線通信装置の間でデータ通信を行うことが可能になる。従って、災害等の緊急時に他の無線通信装置を経由する臨時の通信インフラを確立することができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第3の無線通信装置から送信された電波に含まれる情報には、第3の無線通信装置が第2の送信部23から電波を受信して発電した電力量の少なくとも一部の電力量を示す情報とその少なくとも一部の電力量を発電するのに要した時間を示す情報とが含まれ、第2の制御部61は受信電波に含まれる情報に基づいて第3の無線通信装置との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で第3の無線通信装置に対して第2の送信部23に電波を送信させる。
この構成によれば、第3の無線通信装置の発電部の発電量と発電時間に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。すなわちデータ通信を行うために必要な電力を発電することでこれに付随して電波強度の最適値を算出することができる。加えて、算出された電波強度で電波を送信するので、電力不足が発生してデータ通信を完了させることができないといった事態を未然に防ぐことができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第3の無線通信装置から送信された電波に含まれる情報には、第3の無線通信装置が第2の送信部23から電波を受信して発電した電力量の少なくとも一部の電力量を示す情報とその少なくとも一部の電力量を電波の送信によって放電するのに要した時間を示す情報とが含まれ、第2の制御部61は受信電波に含まれる情報に基づいて第3の無線通信装置との通信環境を判断して電波強度の最適値を算出し、その電波強度で第3の無線通信装置に対して第2の送信部23に電波を送信させる。
この構成によれば、第3の無線通信装置の発電部の発電量と放電時間に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。すなわちデータ通信を行うために必要な電力を発電することでこれに付随して電波強度の最適値を算出することができる。加えて、算出された電波強度で電波を送信するので、電力不足が発生してデータ通信を完了させることができないといった事態を未然に防ぐことができる。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第3の無線通信装置から送信された電波に含まれる情報には、第3の無線通信装置から送信された電波の送信時における電波強度を示す情報が含まれ、第2の制御部61は第3の無線通信装置から送信された電波の送信時における電波強度と受信時における電波強度とに基づいて第3の無線通信装置との通信環境を判断し、その電波強度で第3の無線通信装置に対して第2の送信部23に電波を送信させる。
この構成によれば、送信時における電波強度と受信時における電波強度に基づいて無線通信装置間の通信環境を判断し、電波強度の最適値を算出する。
また、本願発明の無線通信システムにおいて、第2の制御部21(又は31又は41又は51又は61)は、周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置が存するときは、その装置の動作に支障が出ないように電波強度を調整する。
この構成によれば、周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置(例えば医療機器)が存するときに、その装置の動作に支障が出ないように電波強度を調整する。これにより周辺に電波により動作に支障が出る可能性がある装置の安全動作が確保される。