JP2014086601A - 太陽電池装置 - Google Patents

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和志 平岡
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清貴 三浦
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Abstract

【課題】光電変換効率を高くし得る太陽電池装置を提供する。
【解決手段】太陽光線を入射し集光するための大径の第1バイナリレンズ2と、この第1バイナリレンズ2にて集光された太陽光線を平行に揃える小径の第2バイナリレンズ3と、この第2バイナリレンズ3にて平行にされた太陽光線を入射して波長の長さに応じて左右両側に対称に分光させるとともに3段でもって配置された回折格子4〜4と、これら各回折格子4により分光された各光線(波長:λ〜λ)を入射し光電変換を行う太陽電池5と、この太陽電池5にて得られた電気を電気配線6を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器7とから構成したもの。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブを用いた電池要素体を有する太陽電池装置に関するものである。
太陽電池は、単結晶、多結晶、アモルファスシリコンからなるシリコン系のものが主流であり、住宅や事業所などに普及しつつあるが、エネルギーの変換効率が低いという欠点がある。エネルギーの変換効率が低い要因の一つとして、通常の太陽電池は、バンドギャップが1つしかなく、バンドギャップ未満のエネルギーを有する長波長光線については光電変換できず、逆に、バンドギャップを超えるエネルギーを有する短波長光線については、バンドギャップ分のエネルギーしか光電変換できなかった。
このような欠点に対処するものとして、2つ以上の異なるバンドギャップを有する太陽電池装置が提案されている(特許文献1参照)。
この太陽電池装置には、それぞれ異なるバンドギャップを有するカーボンナノチューブが列状に配置されるとともに、太陽光をプリズムなどの分光器で波長に応じて分光させて、それぞれのカーボンナノチューブ列に入射させるようにしたものが開示されている。
特開2011−44511号公報
上述した太陽電池の構成によると、分光器としてプリズムなどの光学系を用いているため、太陽電池装置が大型化するという問題があり、特に、複数の太陽電池を配置する場合には、大型化に加えて、生産性が悪く、製造コストが高くつくという問題も生じる。
そこで、本発明は、大型化を、延いては、製造コストの低減化を図り得る太陽電池装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る太陽電池装置は、太陽光を入射して所定範囲に集光するためのレンズ系と、このレンズ系にて集光された太陽光を入射するとともに波長の長さに応じて左右両側に対称に分光させる回折格子と、この回折格子により分光された各光を入射し光電変換を行う太陽電池とから構成し、
且つ上記太陽電池を、
透明電極と、この透明電極の表面に且つ当該表面に形成されたカーボンナノチューブと、このカーボンナノチューブの透明電極とは反対側に配置された金属電極とからなる電池要素体を複数具備させて構成させて構成するとともに、
上記複数の電池要素体を、それぞれにおけるカーボンナノチューブの直径が、入射される光の波長に応じて上記回折格子における0次光軸から左右の外側に向かって順次変化するように、当該0次光軸の左右に配置したものである。
また、請求項2に係る太陽電池装置は、請求項1に記載の太陽電池装置における回折格子を、その0次光軸上で複数段でもって配置したものである。
また、請求項3に係る太陽電池装置は、請求項1または2に記載の太陽電池装置における回折格子における0次光軸上に電池要素体または反射部材を配置したものである。
また、請求項4に係る太陽電池装置は、請求項3に記載の太陽電池装置における第1段目の回折格子にて反射した光を、再度、当該第1段目の回折格子に反射させる再帰反射板をその回折格子の周囲に配置したものである。
また、請求項5に係る太陽電池装置は、請求項1または2に記載の太陽電池装置における透明材料にレーザ光を照射して当該透明材料内にバイナリレンズおよび回折格子を一体に形成したものである。
また、請求項6に係る太陽電池装置は、請求項4に記載の太陽電池装置における透明材料にレーザ光を照射して当該透明材料内にバイナリレンズ、回折格子および再帰反射板を一体に形成したものである。
さらに、請求項7に係る太陽電池装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池装置における各電池要素体にて得られた電気を所定電圧に調整する電圧調整器を具備したものである。
上記太陽電池装置の構成によると、太陽光をバイナリレンズにより所定範囲に集めて回折格子に入力し、複数の波長領域でもって左右に分光させるとともに、この分光された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体に導くようにしたので、プリズムなどを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることができる。
また、回折格子を複数段でもって配置することにより、より、高い光電変換効率が得られる。
また、中央に、0次回折光のエネルギーを回収し得る電池要素体を配置したので、より一層、高い光電変換効率が得られる。
さらに、レンズ系および回折格子を、超短パルスレーザにより一つの部材内に形成することにより、その製造および組立てを容易且つ安価に行い得るとともに、装置の小型化を一層図ることができる。
本発明の実施例1に係る太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。 同太陽電池装置の光学系の製造方法を説明する図である。 本発明の実施例2に係る太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施例3に係る太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施例4に係る太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施例5に係る太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施例6に係る太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。
以下、本発明に係る太陽電池装置について説明する。
この太陽電池装置は、基本的には、太陽光を入射して所定範囲に集光するためのバイナリレンズと、このバイナリレンズにて集光された太陽光を入射するとともに波長の長さに応じて左右両側に対称に分光させる回折格子と、この回折格子により分光された各光を入射し光電変換を行う太陽電池とから構成し、
且つ上記太陽電池を、
透明電極と、この透明電極の表面に且つ当該表面に形成されたカーボンナノチューブと、このカーボンナノチューブの透明電極とは反対側に配置された金属電極とからなる電池要素体を複数具備するとともに、
上記複数の電池要素体を、それぞれにおけるカーボンナノチューブの直径が、入射される光の波長に応じて上記回折格子における0次光軸(回折格子の中心光軸)から左右の外側に向かって(言い換えれば、左右の1次回折光の分散による広がりに合わせて)順次変化するように、当該0次光軸の左右に配置したものである。
また上記回折格子をその0次光軸上で複数段でもって配置したものであり、
また0次光軸上に電池要素体または反射部材を配置したものであり、
さらに第1段目の回折格子にて回折または反射した太陽光を、再度、当該第1段目の回折格子に反射させる再帰反射板をその回折格子の周囲に、すなわちその上下面(表裏面)で且つ左右に配置したものである。
以下、上述した種々の実施例についてそれぞれ詳しく説明する。
まず、実施例1に係る太陽電池装置を、図1および図2に基づき説明する。
図1に示すように、実施例1に係る太陽電池装置1は、太陽光線(太陽光)を入射して所定範囲に集光するための大径の第1バイナリレンズ2と、この第1バイナリレンズ2にて集光された太陽光線を平行に揃える小径の第2バイナリレンズ3と、この第2バイナリレンズ3にて平行にされた太陽光線を入射するとともに、波長の長さに応じて、つまり光線の色に応じて左右両側に対称に分光させる複数個の回折格子(グレーティングともいう)4と、これら各回折格子4により分光された各光線を入射し光電変換を行う太陽電池5と、この太陽電池5にて得られた電気を電気配線6を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器(電圧変換出力回路でもある)7とから構成されている。
上記回折格子4は太陽光線を複数に分光させるもので、例えば連続的に分光された光を5つの波長の領域に分けることができる。すなわち、中心から外側に向かって、紫色(紫外光も含むもので、以下、同じ)の波長領域λ、青色の波長領域λ、緑色の波長領域λ、黄色の波長領域λ、赤色(赤外光も含むもので、以下、同じ)の波長領域λに分けられる。
すなわち、回折格子4に入射した光の回折光は、下記(1)式にて示されるように、波長の長さλに応じて回折角θが変わるため、分光される。
(数1)
θ=sin−1(λ/d) ・・・(1)
但し、dは格子定数である。
また、各回折格子4の中心部においては、光は回折せずにそのまま通過し、0次回折光λとして出力される。
ところで、上記回折格子4(4)は上述したように複数個、正確には複数段(n段)でもって、例えば3段でもって配置されており、図1に示すように、第2バイナリレンズ3の直ぐ下方に配置される第1回折格子4と、この第1回折格子4の下方に順次所定距離でもって離れて配置される第2回折格子4および第3回折格子4とが設けられている。
なお、図1の右側に回折格子4による回折角θnkを示しておく。
但し、θの下付き添え字nは回折格子の段数(つまり、第n回折格子)を表し、添え字kは分光に係る光線の波長領域[1(紫)〜5(赤)]を示している。
ところで、後述するが、上記各回折格子4で分光された各光線は、各波長(同一の色)ごとに、太陽電池5のほぼ同一位置(カーボンナノチューブに対応する位置)に入射するようにされている。これは、各回折格子4で分光された同一波長の光線を集めて発電効率を高めるためである。
すなわち、第n回折格子4における格子定数dは、下記(2)式にて示すような値にされる。但し、(2)式中、xは第1回折格子4の中心(後述する0次光軸である)から紫色光線λの入射位置までの水平距離(図中、xは赤色光線λまでの水平距離)を、またzはその光線の太陽電池5における入射面から第n回折格子までの高さ方向の距離を示す。
(数2)
=λ/(tan−1(x/z)) ・・・(2)
なお、回折格子の配置について少し説明すると、例えば回折格子が2段で配置されている場合、すなわち第1回折格子と第2回折格子とが設けられている場合、第2回折格子による分光位置(スペクトル分散位置ともいえる)は、第2回折格子の格子定数よりも第1回折格子の格子定数の方が大きいか、または両回折格子の距離が近いほど、第1回折格子による分光位置に近づく(つまり、一致性が良くなる)が、配置のためのスペース上、適度な値に設定する必要がある。したがって、第2回折格子で分光(回折)された長波長側の光線(スペクトル)は、第1回折格子で分光された光線よりも長波長側にシフトする場合もあるが、よりエネルギーの大きい光線が電池要素体(後述する)11に入射し、光電変換に供されることになるため問題はない。
ところで、上記太陽電池5は、太陽光線の入射側に配置される透明電極12と、この透明電極12の入射側と反対側の表面(下面)に垂直方向で形成されたカーボンナノチューブ13と、このカーボンナノチューブ13の透明電極12とは反対側端部(下端部)に配置された金属電極14とからなる電池要素体(電池セルと呼ぶこともできる)11が分光の数に応じて複数具備されたものであり、さらにこれら各電池要素体11を、それぞれのカーボンナノチューブ13の直径が、入射される光線の波長に応じて0次回折光の光軸(以下、0次光軸という)Rから左右の外側に向かって段階的(連続的であってもよい)に変化するように、当該0次光軸Rの左右に複数個ずつ配置したものである。すなわち、本実施例1では、0次光軸Rの左右に5つの波長領域に、つまり5つの色(紫色、青色、緑色、黄色、赤色)に対応された電池要素体11(11A,11B,11C,11D,11F)が配置されるとともに、0次光軸R上にも所定の波長領域、例えば中間の波長領域(緑色)に対応された電池要素体11Cが配置される。
このように、波長の長さに(色)対応して、直径が異なるカーボンナノチューブを配置した理由は以下の通りである。
すなわち、カーボンナノチューブのバンドギャップVgは下記(3)式で示すように、その直径dtに応じて変化する。
(数3)
Vg=0.8352/dt ・・・(3)
この(3)式から分かるように、カーボンナノチューブの直径が異なると、そのバンドギャップ幅が異なることになり、したがって分光された各光線が持つエネルギーを効率良く回収するためには、分光された波長(振動数がν)の光線が持っているエネルギー(hν)と等しいバンドギャップを持った直径のカーボンナノチューブをp型半導体(またはn型半導体)として作っておけばよいことになる。
例えば、バンドギャップの異なるカーボンナノチューブ(バンドギャップがEg〜Eg、但し、Egk−1<Eg)がk個ある場合、Egより小さくEg以上のエネルギーを持った光はバンドギャップEgの太陽電池で受光されて光電変換が行われる。また、Egより小さくEg以上のエネルギーを持った光については、バンドギャップEgの太陽電池で受光されて光電変換が行われる。以下、同様に、バンドギャップEgを越え、紫外線までの最大エネルギーを有する光については、Egのバンドギャップを持った太陽電池で受光して光電変換が行われる。
ここで、電池要素体11の構成について詳しく説明しておく。
すなわち、電池要素体11における透明電極12は、ガラス基板の表面にITO膜、FT0膜、ZnO膜などの透明導電膜が配置されてn型半導体にされるとともに、この透明電極12の表面に垂直方向で形成されるカーボンナノチューブ(正確にはカーボンナノチューブ群である)13はp型半導体にされ、このpn接合部で発電が行われる。上記カーボンナノチューブ13の先端(下端)にはAg,Au,Cu,In,Pdなどの金属電極14が設けられる。なお、透明電極12の上面には、保護用の窓部材15が設けられている。
上記カーボンナノチューブ13を形成する場合、透明電極12の表面にスパッタリングなどにより鉄などの触媒微粒子を付着させた後、この触媒微粒子上に熱CVD法によりカーボンナノチューブを成長させればよい。このとき、カーボンナノチューブ13の直径は、触媒微粒子の粒径により制御することができるので、各波長(各色)に応じたバンドギャップを有するように制御される。このカーボンナノチューブ13の先端に設けられる金属電極14は蒸着などにより形成される。
具体的には、多数のカーボンナノチューブからなる領域(カーボンナノチューブ群であり、以下、チューブ列ともいう)が左右にそれぞれ5つ並列に設けられる(並置される)とともに、これら各カーボンナノチューブの直径をチューブ列毎に段階的に変化させたもので、例えば太いもの(赤色側)から細いもの(紫色側)が順番に設けられる。また、回折格子4の中央には、つまり0次光軸R上には、上述したように、緑色に対応したカーボンナノチューブを有する電池要素体11Cが配置される。
ところで、通常、熱CVD法により形成される単層カーボンナノチューブは真性半導体またはバンドギャップが0eVの金属的性質を有するものであるが、半導体カーボンナノチューブにp型ドーパント(カーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素、例えばN,O,F,Clなどが用いられる)を付着させることによりp型半導体とすることができる。なお、カーボンナノチューブとしてn型半導体を用いる場合には、半導体カーボンナノチューブにn型ドーパント(カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素、例えばCs,Rb,K,Na,Li,Ba,Sr,Ca,Mgなどが用いられる)を真空蒸着またはスパッタリングなどにより付着させてn型半導体にすることができる。
上記電圧調整器7は各電池要素体11の金属電極14に電気配線6を介して接続されており、この電圧調整器7は、電池要素体11に電気配線6を介して接続されたDC/DCコンバータ16と、これらDC/DCコンバータ16に電気配線17を介して接続された電力加算部18とから構成されている。なお、DC/DCコンバータ16は、各電池要素体11A〜11Eから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
ところで、上述の説明では、各バイナリレンズ2,3および回折格子4については、別体で設けられているように説明(図示)したが、本実施例では、一つの部材内に組み込んだものが用いられる(勿論、別体に設けられているものでもよい)。
この場合、図2に示すように、板状の石英ガラス材(透明部材すなわち透明材料の一例で、SiOの他、LiF,MgOなどがある)Gに超短パルスレーザ(所謂、フェムト秒レーザ)rを射出することにより、当該石英ガラス材Gの内部に纏めて形成される。すなわち、発振装置から発射された超短パルスレーザrは、図示しないが、光変調器、ミラー、および縮小光学系Sを介して石英ガラス材Gに導かれて、その内部に各バイナリレンズ2,3および回折格子4(4,4,4)が形成される。
そして、この石英ガラス材Gにおける回折格子4の下方の表面(下面)に、上記太陽電池5を配置することにより、非常にコンパクトで且つ製造が容易な、すなわち安価な太陽電池装置1が得られる。
上記構成において、第1バイナリレンズ2に入射した太陽光線は、所定範囲内に絞られて第2バイナリレンズ3に入り平行な光線として出射される。そして、この光線は第1回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
また、第1回折格子4をそのまま通過した太陽光線は第2回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
さらに、第2回折格子4をそのまま通過した太陽光線については第3回折格子4に入り、上記と同様に、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
一方、第3回折格子4をそのまま通過した太陽光線、すなわち全ての回折格子4を通過した0次回折光λはそのまま中央に配置された電池要素体11Cに入り、この電池要素体11Cに対応する緑色より短波長の光線が有するエネルギーが回収される。なお、この中央に配置される電池要素体11Cは、緑色以外の光線に対応するものであってもよい。
また、透明電極12については、左右における各電池要素体15おいて共通したものであってもよいが、勿論、各電池要素体11ごとに分かれたものであってもよい。
そして、各電池要素体11で発生した電気がDC/DCコンバータ16に入力されて所定電圧に変換され、電力加算部18を経て電力が出力される。
このように、太陽光線を第1バイナリレンズ2により所定範囲に集めるとともに第2バイナリレンズ3にて平行光線となし、この平行光線を複数の回折格子4に入力し、これら各回折格子4では左右に5つの波長領域(λ〜λ)でもって分光させるとともに、この分光された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体11に導き発電を行うようにしたので、しかも複数の回折格子により太陽光線を分光させるようにしているので、プリズムを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることができるとともに、より多くの発電を行うことができる。すなわち、高い光電変換効率が得られる。
また、中央に、0次回折光のエネルギーを回収し得る電池要素体11Cを配置したので、より一層、高い光電変換効率が得られる。
また、少なくとも、第1バイナリレンズ2、第2バイナリレンズ3および回折格子4(4)を、超短パルスレーザにより一つの部材内に形成するようにしたので、その製造および組立てを容易且つ安価に行い得るとともに、装置の小型化も図ることができる。
なお、図1の右側には、上述したように、回折格子4で分光した際の回折角θnkが示されており、図1中、第1回折格子4での回折角をθ11(紫)〜θ15(赤)で、第2回折格子4での回折角をθ21(紫)〜φ25(赤)で、第3回折格子4で回折角をθ31(紫)〜θ35(赤)を表す。
ところで、上記実施例1において、透明電極12として、透明導電膜(単体としての)について説明したが、例えば透明部材に透明導電膜が形成されたもの、または櫛状若しくは網状の金属部材であってもよい。すなわち、この透明電極という言葉を言い換えれば、光を透過し得る電極と言うことができる(この記述は、以下に示す各実施例にも当てはまるものである)。
次に、本発明の実施例2に係る太陽電池装置を図3に基づき説明する。
上述の実施例1においては、0次回折光のエネルギーを利用(発電)するために、緑色の波長による光電変換を行う電池要素体を回折格子の中央、すなわち0次光軸上に配置したが、本実施例2の太陽電池装置では、電池要素体の代わりに、0次回折光を上方に反射させる反射部材を配置したものである。
すなわち、本実施例2に係る太陽電池装置と実施例1に係る太陽電池装置と異なる箇所は、0次光軸上に反射部材を配置した点であり、したがって本実施例2においては、その異なる部分に着目して説明するとともに、実施例1のものと同一の構成部材には同一の番号を付して簡単に説明する。
図3に示すように、本実施例2に係る太陽電池装置21は、太陽光線(太陽光)を入射して所定範囲に集光するための大径の第1バイナリレンズ2と、この第1バイナリレンズ2にて集光された太陽光線を平行に揃える小径の第2バイナリレンズ3と、この第2バイナリレンズ3にて平行にされた太陽光線を入射するとともに、波長の長さに応じて、つまり光線の色に応じて左右両側に対称に分光させる複数個の回折格子(グレーティングともいう)4と、これら各回折格子4により分光された各光線を入射し光電変換を行う太陽電池25と、この太陽電池25にて得られた電気を電気配線6を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器(電圧変換出力回路でもある)7とから構成されている。
上記回折格子4は太陽光線を複数に分光させるもので、例えば5つの波長の領域につまり5つの色に分光させるもので、中心から外側に向かって、紫色の波長領域λ、青色の波長領域λ、緑色の波長領域λ、黄色の波長領域λ、赤色の波長領域λに分けられる。
また、上記回折格子4(4)は上述したように複数個、正確には複数段(n段)でもって、例えば3段でもって配置されており、第2バイナリレンズ3の直ぐ下方に配置される第1回折格子4と、この第1回折格子4の下方に順次所定距離でもって離れて配置される第2回折格子4および第3回折格子4とが設けられている。
また、上記太陽電池25は、太陽光線の入射側に配置される透明電極12と、この透明電極12の入射側と反対側の表面(下面)に垂直方向で形成されたカーボンナノチューブ13と、このカーボンナノチューブ13の透明電極12とは反対側端部(下端部)に配置された金属電極14とからなる電池要素体(電池セルと呼ぶこともできる)11が分光の数に応じて複数具備されたものであり、さらにこれら各電池要素体11を、それぞれのカーボンナノチューブ13の直径が、入射される光線の波長に応じて0次回折光の光軸(以下、0次光軸という)Rから左右の外側に向かって段階的(連続的であってもよい)に変化するように、当該0次光軸の左右に複数個ずつ配置したものである。すなわち、本実施例2では、0次光軸Rの左右に5つの波長領域に、つまり5つの色(紫色、青色、緑色、黄色、赤色)に対応された電池要素体11(11A,11B,11C,11D,11F)が配置されるとともに、0次光軸R上には、0次回折光をそのまま上方に(つまり、180度反対方向に)反射させる反射部材(例えば、反射ミラー)26が配置されている。なお、透明電極12の上面には、保護用の窓部材15が設けられている。
上記電圧調整器7は各電池要素体11の金属電極14に電気配線6を介して接続されており、この電圧調整器7は、電池要素体11に電気配線6を介して接続されたDC/DCコンバータ16と、これらDC/DCコンバータ16に電気配線17を介して接続された電力加算部18とから構成されている。なお、DC/DCコンバータ16は、各電池要素体11A〜11Eから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
したがって、上記構成において、第1バイナリレンズ2に入射した太陽光線は、所定範囲内に絞られて第2バイナリレンズ3に入り平行な光線として出射される。そして、この光線は第1回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
また、第1回折格子4をそのまま通過した太陽光線は第2回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
さらに、第2回折格子4をそのまま通過した太陽光線(0次回折光)については第3回折格子4に入り、上記と同様に、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
一方、第3回折格子4をそのまま通過した太陽光線、すなわち全ての回折格子4を通過した0次回折光λは中央に配置された反射部材22に到達して上方に反射する。この反射した0次回折光λは、今度は逆に、第3回折格子4、第2回折格子4および第1回折格子4に戻ることになるが、各回折格子4、4、4にて、それぞれの回折角θでもって下方に反射分光されて各電池要素体11Cに入射され、それぞれの光エネルギーが回収される。
そして、各電池要素体11で発生した電気がDC/DCコンバータ16に入力されて所定電圧に変換され、電力加算部18を経て電力が出力される。
なお、図3の右側に回折格子4による回折角θnkを示しておく。
但し、θの下付き添え字nは回折格子の段数(つまり、第n回折格子)を表し、添え字kは分光に係る光線の波長領域[1(紫)〜5(赤)]を示している。また、反射した0次回折光λの回折光については破線にて示している。
このように、太陽光線を第1バイナリレンズ2により所定範囲に集めるとともに第2バイナリレンズ3にて平行光線となし、この平行光線を複数の回折格子4に入力し、これら各回折格子4では左右に5つの波長領域(λ〜λ)でもって分光させるとともに、この分光された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体11に導き発電を行うようにしたので、プリズムを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることができるとともに、より多くの発電を行うことができる。すなわち、高い光電変換効率が得られる。さらに、中央に、0次回折光λを上方に反射させる反射部材を配置したので、その反射した0次回折光λ再度各回折格子4にてそれぞれ対応する電池要素体11に入射されるので、実施例1の場合よりも、多くの電力が得られる。
次に、本発明の実施例3に係る太陽電池装置を図4に基づき説明する。
上述の実施例1においては、0次回折光のエネルギーを利用(発電)するために、緑色の波長による光電変換を行う電池要素体を回折格子の中央、すなわち0次光軸上に配置したが、本実施例2の太陽電池装置では、電池要素体の代わりに、0次回折光を上方に反射させる反射部材を配置するとともに第2バイナリレンズを不要としたものである。
すなわち、本実施例3に係る太陽電池装置と実施例1に係る太陽電池装置と異なる箇所は、0次光軸上に反射部材を配置するとともに、第2バイナリレンズを設けないようにした点であり、したがって本実施例2においては、その異なる部分に着目して説明するとともに、実施例1のものと同一の構成部材には同一の番号を付して簡単に説明する。
図4に示すように、本実施例2に係る太陽電池装置31は、太陽光線(太陽光)を入射して所定範囲に集光するための大径の第1バイナリレンズ2と、この第1バイナリレンズ2から所定距離はなして設けられて当該第1バイナリレンズ2からの太陽光線を入射するとともに、波長の長さに応じて、つまり光線の色に応じて左右両側に対称に分光させる複数個の回折格子(グレーティングともいう)4と、これら各回折格子4により分光された各光線を入射し光電変換を行う太陽電池35と、この太陽電池35にて得られた電気を電気配線6を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器(電圧変換出力回路でもある)7とから構成されている。
上記回折格子4は太陽光線を複数に分光させるもので、例えば5つの波長の領域につまり5つの色に分光させるもので、中心から外側に向かって、紫色の波長領域λ、青色の波長領域λ、緑色の波長領域λ、黄色の波長領域λ、赤色の波長領域λに分けられる。
また、上記回折格子4(4)は上述したように複数個、正確には複数段(n段)でもって、例えば3段でもって配置されており、第2バイナリレンズ3の直ぐ下方に配置される第1回折格子4と、この第1回折格子4の下方に順次所定距離でもって離れて配置される第2回折格子4および第3回折格子4とが設けられている。
ところで、第2バイナリレンズ(小さいレンズ)を不要とし得るのは、大きいレンズである第1バイナリレンズ2の焦点距離が第1回折格子4(4)の回折角に対して大きい場合である。本実施例3はこれに該当する場合を示している。
上記太陽電池35は、太陽光線の入射側に配置される透明電極12と、この透明電極12の入射側と反対側の表面(下面)に垂直方向で形成されたカーボンナノチューブ13と、このカーボンナノチューブ13の透明電極12とは反対側端部(下端部)に配置された金属電極14とからなる電池要素体(電池セルと呼ぶこともできる)11が分光の数に応じて複数具備されたものであり、さらにこれら各電池要素体11を、それぞれのカーボンナノチューブ13の直径が、入射される光線の波長に応じて0次回折光の光軸(以下、0次光軸という)Rから左右の外側に向かって段階的(連続的であってもよい)に変化するように、0次光軸Rの左右に複数個ずつ配置したものである。すなわち、本実施例3では、0次光軸Rの左右に5つの波長領域に、つまり5つの色(紫色、青色、緑色、黄色、赤色)に対応された電池要素体11(11A,11B,11C,11D,11F)が配置されるとともに、0次光軸R上には、0次回折光をそのまま上方に(つまり、180度反対方向に)反射させる反射部材(例えば、反射ミラー)36が配置されている。なお、透明電極12の上面には、保護用の窓部材15が設けられている。
上記電圧調整器7は各電池要素体11の金属電極14に電気配線6を介して接続されており、この電圧調整器7は、電池要素体11に電気配線6を介して接続されたDC/DCコンバータ16と、これらDC/DCコンバータ16に電気配線17を介して接続された電力加算部18とから構成されている。なお、DC/DCコンバータ16は、各電池要素体11A〜11Eから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
したがって、上記構成において、第1バイナリレンズ2に入射した太陽光線は所定範囲内に絞られて第1回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
また、第1回折格子4をそのまま通過した太陽光線は第2回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの領域に分割されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
さらに、第2回折格子4をそのまま通過した太陽光線については第3回折格子4に入り、上記と同様に、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
一方、第3回折格子4をそのまま通過した太陽光線、すなわち全ての回折格子4を通過した0次回折光λは中央に配置された反射部材32に到達して上方に反射する。この反射した0次回折光λは、今度は逆に、第3回折格子4、第2回折格子4および第1回折格子4に戻ることになるが、各回折格子4、4、4にて、それぞれの回折角θでもって下方に反射分光されて各電池要素体11Cに入射され、それぞれの光エネルギーが吸収される。
そして、各電池要素体11で発生した電気がDC/DCコンバータ16に入力されて所定電圧に変換され、電力加算部18を経て電力が出力される。
なお、図3の右側に回折格子4による回折角θnkを示しておく。
但し、θの下付き添え字nは回折格子の段数(つまり、第n回折格子)を表し、添え字kは分光に係る光線の波長領域[1(紫)〜5(赤)]を示している。また、反射した0次回折光λの回折光については破線にて示すとともに、第2バイナリレンズを不要にすることによる回折光の拡がり範囲は、それぞれハッチング(斜線)にて示している。
このように、第1バイナリレンズ2により所定範囲に集められた太陽光線は複数段で設けられた回折格子4に入力し、これら各回折格子4では左右に5つの波長領域(λ〜λ)でもって分割させるとともに、この分割された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体11に導き発電を行うようにしたので、プリズムを用いた場合に比べて、しかも複数の回折格子4により太陽光線を分光させるようにしているので、より多くの発電を行うことができる。すなわち、高い光電変換効率が得られる。勿論、プリズムを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることができる。さらに、中央に、0次回折光λを上方に反射させる反射部材を配置したので、その反射した0次回折光λ再度各回折格子4にてそれぞれ対応する電池要素体11に入射されるので、実施例1の場合よりも、多くの電力が得られる。また、実施例2で説明した太陽電池装置のように、第2バイナリレンズを不要にしたので、装置の簡素化を図ることができる。
次に、本発明の実施例4に係る太陽電池装置を図5に基づき説明する。
上述の実施例1においては、0次回折光のエネルギーを利用(発電)するために、緑色の波長による光電変換を行う電池要素体を回折格子の中央、すなわち0次光軸上に配置したが、本実施例4の太陽電池装置では、電池要素体の代わりに、0次回折光を上方に反射させる反射部材を配置するとともに、回折格子による反射光線を、再度、回折格子に戻すようにしたものである。
すなわち、本実施例4に係る太陽電池装置と実施例1に係る太陽電池装置と異なる箇所は、0次光軸上に反射部材を配置するとともに第1回折格子の左右の上下に、当該第1回折格子による反射光線を戻すための再帰反射板を配置した点であり、したがって本実施例4においては、その異なる部分に着目して説明するとともに、実施例1のものと同一の構成部材には同一の番号を付して簡単に説明する。
図5に示すように、本実施例4に係る太陽電池装置41は、太陽光線(太陽光)を入射して所定範囲に集光するための大径の第1バイナリレンズ2と、この第1バイナリレンズ2にて集光された太陽光線を平行に揃える小径の第2バイナリレンズ3と、この第2バイナリレンズ3にて平行にされた太陽光線を入射するとともに、波長の長さに応じて、つまり光線の色に応じて左右両側に対称に分光させる複数個の回折格子(グレーティングともいう)4と、これら各回折格子4により分光された各光線を入射し光電変換を行う太陽電池45と、この太陽電池45にて得られた電気を電気配線6を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器(電圧変換出力回路でもある)7とから構成されている。
上記回折格子4は太陽光線を複数に分光させるもので、例えば分光された光を5つの波長の領域につまり5つの領域に分割できるもので、中心から外側に向かって、紫色の波長領域λ、青色の波長領域λ、緑色の波長領域λ、黄色の波長領域λ、赤色の波長領域λに分けられる。
また、上記回折格子4(4)は上述したように複数個、正確には複数段(n段)でもって、例えば3段でもって配置されており、第2バイナリレンズ3の直ぐ下方に配置される第1回折格子4と、この第1回折格子4の下方に順次所定距離でもって離れて配置される第2回折格子4および第3回折格子4とが設けられている。
そして、上記第1回折格子4(4)の周囲にすなわち上下位置(表裏面位置)で且つ左右位置で合計4箇所に、当該第1回折格子4(4)にて反射した反射光線をそのまま第1回折格子4(4)に戻す(反射させる)ための再帰反射板47が配置されている。なお、この再帰反射板としては、例えば微小なコーナキューブが敷き詰められたものが用いられる。
また、上記太陽電池45は、太陽光線の入射側に配置される透明電極12と、この透明電極12の入射側と反対側の表面(下面)に垂直方向で形成されたカーボンナノチューブ13と、このカーボンナノチューブ13の透明電極12とは反対側端部(下端部)に配置された金属電極14とからなる電池要素体(電池セルと呼ぶこともできる)11が分光の数に応じて複数具備されたものであり、さらにこれら各電池要素体11を、それぞれのカーボンナノチューブ13の直径が、入射される光線の波長に応じて0次回折光λの光軸(以下、0次光軸という)Rから左右の外側に向かって段階的(連続的であってもよい)に変化するように、当該0次光軸Rの左右に複数個ずつ配置したものである。すなわち、本実施例2では、0次光軸Rの左右に5つの波長領域に、つまり5つの色(紫色、青色、緑色、黄色、赤色)に対応された電池要素体11(11A,11B,11C,11D,11F)が配置されるとともに、0次光軸R上には、0次回折光λをそのまま上方に(つまり、180度反対方向に)反射させる反射部材(例えば、反射ミラー)26が配置されている。なお、透明電極12の上面には、保護用の窓部材15が設けられている。
上記電圧調整器7は各電池要素体11の金属電極14に電気配線6を介して接続されており、この電圧調整器7は、電池要素体11に電気配線6を介して接続されたDC/DCコンバータ16と、これらDC/DCコンバータ16に電気配線17を介して接続された電力加算部18とから構成されている。なお、DC/DCコンバータ16は、各電池要素体11A〜11Eから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
したがって、上記構成において、第1バイナリレンズ2に入射した太陽光線は、所定範囲内に絞られて第2バイナリレンズ3に入り平行な光線として出射される。そして、この光線は第1回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
そして、この第1回折格子4にて、電池要素体11以外の範囲に(つまり、電池範囲外に)回折した2次回折光は再帰反射板47により反射されて、第1回折格子4に入射される。この入射した2次回折光は、当該第1回折格子4にて、0次回折光方向に分光される。
また、第1回折格子4をそのまま通過した太陽光線は第2回折格子4に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
そして、第2回折格子4をそのまま通過した太陽光線については第3回折格子4に入り、上記と同様に、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体11A〜11Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
一方、第3回折格子4をそのまま通過した太陽光線、すなわち全ての回折格子4を通過した0次回折光λは中央に配置された反射部材46に到達して上方に反射する。この反射した0次回折光λは、今度は逆に、第3回折格子4、第2回折格子4および第1回折格子4に戻ることになるが、各回折格子4、4、4にて、それぞれの回折角θでもって下方に反射分光されて各電池要素体11Cに入射され、それぞれの光エネルギーが回収される。
そして、各電池要素体11で発生した電気がDC/DCコンバータ16に入力されて所定電圧に変換され、電力加算部18を経て電力が出力される。
なお、図4の右側に回折格子4による回折角θnkおよび再帰反射板47による光線の反射経路を示しておく。
但し、θの下付き添え字nは回折格子の段数(つまり、第n回折格子)を表し、添え字kは分光に係る光線の波長領域[1(紫)〜5(赤)]を示している。また、反射した0次回折光λの回折光については破線にて示すとともに、再帰反射板47による反射光線については二点鎖線にて示す。
このように、太陽光線を第1バイナリレンズ2により所定範囲に集めるとともに第2バイナリレンズ3にて平行光線となし、この平行光線を複数の回折格子4に入力し、これら各回折格子4では左右に5つの波長領域(λ〜λ)でもって分光させるとともに、この分光された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体11に導き発電を行うようにしたので、プリズムを用いた場合に比べて、しかも複数の回折格子4により太陽光線を分光させるようにしているので、より多くの発電を行うことができる。すなわち、高い光電変換効率が得られる。勿論、プリズムを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることこができる。また、中央に、0次回折光λを上方に反射させる反射部材を配置したので、その反射した0次回折光λ再度各回折格子4にてそれぞれ対応する電池要素体11に入射されるので、実施例1の場合よりも、多くの電力が得られる。
そして、さらに第1回折格子による2次回折光は、その左右の上下位置に配置された再帰反射板により第1回折格子に戻され、再度、第1回折格子により電池要素体側に回折されるため、より一層、太陽光線の持つエネルギーを電力に変換することができる。
以下、本発明の実施例5に係る太陽電池装置を図6に基づき説明する。
なお、上述の実施例1においては、回折格子を複数個配置したが、本実施例5では、回折格子が1個の場合について説明する。なお、ここでは、実施例1の説明と重複するが、再度、詳しく説明する。
図6に示すように、この実施例5に係る太陽電池装置51は、太陽光線(太陽光)を入射して所定範囲に集光するための大径の第1バイナリレンズ52と、この第1バイナリレンズ52にて集光された太陽光線を平行に揃える小径の第2バイナリレンズ53と、この第2バイナリレンズ53にて平行にされた太陽光線を入射するとともに、波長の長さに応じて、つまり光線の色に応じて左右両側に対称に分光させる回折格子(グレーティングともいう)54と、この回折格子54により分光された各光線を入射し光電変換を行う太陽電池55と、この太陽電池55にて得られた電気を電気配線56を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器(電圧変換出力回路でもある)57とから構成されている。
上記回折格子54は太陽光線を複数に分光させるもので、例えば5つの波長の領域につまり5つの色に分光させるもので、中心から外側に向かって、紫色の波長領域λ、青色の波長領域λ、緑色の波長領域λ、黄色の波長領域λ、赤色の波長領域λに分けられる。
すなわち、回折格子54に入射した光の1次回折光は下記(4)式にて示されるように、波長の長さλに応じて回折角θが変わるため、分光が行われる。
(数4)
θ=sin−1(λ/d) ・・・(4)
但し、dは格子定数である。
なお、図6の右側に回折格子54による回折角θを示しておく。
但し、θの下付き添え字kは分光に係る光線の波長領域[1(紫)〜5(赤)]を示している。
また、回折格子54の中心部においては、光は回折せずにそのまま通過し、0次回折光λとして出力される。
なお、回折格子54における格子定数dは、下記(5)式にて示すような値にされる。但し、(5)式中、xは回折格子54の中心(後述する0次光軸である)から紫色光線λの入射位置までの水平距離(図中、xは赤色光線λまでの水平距離)、zはその光線の太陽電池55における入射面から回折格子までの高さ方向の距離を示す。
(数5)
d=λ/(tan−1(x/z)) ・・・(5)
ところで、上記太陽電池55は、太陽光線の入射側に配置される透明電極62と、この透明電極62の入射側と反対側の表面(下面)に垂直方向で形成されたカーボンナノチューブ63と、このカーボンナノチューブ63の透明電極62とは反対側端部(下端部)に配置された金属電極64とからなる電池要素体(電池セルと呼ぶこともできる)61が分光の数に応じて複数具備されたものであり、さらにこれら各電池要素体61を、それぞれのカーボンナノチューブ63の直径が、入射される光線の波長に応じて0次回折光の光軸(以下、0次光軸という)Rから左右の外側に向かって段階的(連続的であってもよい)に変化するように、当該0次光軸Rの左右に複数個ずつ配置したものである。すなわち、本実施例5では、0次光軸Rの左右に5つの波長領域に、つまり5つの色(紫色、青色、緑色、黄色、赤色)に対応された電池要素体61(61A,61B,61C,61D,61F)が配置されるとともに、0次光軸R上にも所定の波長領域、例えば中間の波長領域(緑色)に対応された電池要素体61Cが配置される。
このように、波長の長さ(色)に対応して、直径が異なるカーボンナノチューブを配置した理由は以下の通りである。
すなわち、カーボンナノチューブのバンドギャップVgは下記(6)式で示すように、その直径dtに応じて変化する。
(数6)
Vg=0.8352/dt ・・・(6)
この(6)式から分かるように、カーボンナノチューブの直径が異なると、そのバンドギャップ幅が異なることになり、したがって分光された各光線が持つエネルギーを効率良く吸収するためには、分光された波長(振動数がν)の光線が持っているエネルギー(hν)と等しいバンドギャップを持った直径のカーボンナノチューブをp型半導体(またはn型半導体)として作っておけばよいことになる。
例えば、バンドギャップの異なるカーボンナノチューブ(バンドギャップがEg〜Eg、但し、Egk−1<Eg)がk個ある場合、Egより小さくEg以上のエネルギーを持った光はバンドギャップEgの太陽電池で受光されて光電変換が行われる。また、Egより小さくEg以上のエネルギーを持った光については、バンドギャップEgの太陽電池で受光されて光電変換が行われる。以下、同様に、バンドギャップEgを越え、紫外線までの最大エネルギーを有する光については、Egのバンドギャップを持った太陽電池で受光して光電変換が行われる。
ここで、電池要素体61の構成について詳しく説明しておく。
すなわち、電池要素体61における透明電極62は、ガラス基板の表面にITO膜、FT0膜、ZnO膜などの透明導電膜が配置されてn型半導体にされるとともに、この透明電極62の表面に垂直方向で形成されるカーボンナノチューブ(正確にはカーボンナノチューブ群である)63はp型半導体にされ、このpn接合部で発電が行われる。上記カーボンナノチューブ63の先端(下端)にはAg,Au,Cu,In,Pdなどの金属電極64が設けられる。なお、透明電極62の上面には、保護用の窓部材65が設けられている。
上記カーボンナノチューブ63を形成する場合、透明電極62の表面にスパッタリングなどにより鉄などの触媒微粒子を付着させた後、この触媒微粒子上に熱CVD法によりカーボンナノチューブを成長させればよい。このとき、カーボンナノチューブ63の直径は、触媒微粒子の粒径により制御することができるので、各波長(各色)に応じたバンドギャップを有するように制御される。このカーボンナノチューブ63の先端に設けられる金属電極64は蒸着などにより形成される。
具体的には、多数のカーボンナノチューブからなる領域(カーボンナノチューブ群であり、以下、チューブ列ともいう)が左右にそれぞれ5つ並列に設けられる(並置される)とともに、これら各カーボンナノチューブの直径をチューブ列毎に段階的に変化させたもので、例えば太いもの(赤色側)から細いもの(紫色側)が順番に設けられる。また、回折格子64の中央には、つまり0次光軸R上には、上述したように、緑色に対応したカーボンナノチューブを有する電池要素体61Cが配置される。
ところで、通常、熱CVD法により形成されるカーボンナノチューブはp型半導体であるが、半導体カーボンナノチューブにp型ドーパント(カーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素、例えばN,O,F,Clなどが用いられる)を吸着させることによりp型半導体にすることができる。なお、カーボンナノチューブとしてn型半導体を用いる場合には、半導体カーボンナノチューブにn型ドーパント(カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素、例えばCs,Rb,K,Na,Li,Ba,Sr,Ca,Mgなどが用いられる)が真空蒸着やスパッタリングで付着させてn型半導体にすることができる。
上記電圧調整器57は各電池要素体61の金属電極64に電気配線56を介して接続されており、この電圧調整器57は、電池要素体61に電気配線56を介して接続されたDC/DCコンバータ66と、これらDC/DCコンバータ66に電気配線67を介して接続された電力加算部68とから構成されている。なお、DC/DCコンバータ66は、各電池要素体61A〜61Eから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
ところで、上述の説明では、各バイナリレンズ52,53および回折格子54については、別体で設けられているように説明したが、本実施例5では、一つの部材内に組み込んだものが用いられる(勿論、別体に設けられているものでもよい)。なお、この製造方法については、実施例1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
上記構成において、第1バイナリレンズ52に入射した太陽光線は、所定範囲内に絞られて第2バイナリレンズ53に入り平行な光線として出射される。そして、この光線は回折格子54に入り、左右にそれぞれ5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体61A〜61Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
一方、回折格子54を通過した太陽光線、すなわち0次回折光λはそのまま中央に配置された電池要素体61Cに入り、この電池要素体61Cに対応する緑色の光線が有するエネルギーにより発電が行われる。なお、この中央に配置される電池要素体61Cは、緑色以外の光線に対応するものであってもよい。
また、透明電極62については、左右における各電池要素体61おいて共通したものであってもよいが、勿論、各電池要素体61毎に分かれたものであってもよい。
そして、各電池要素体61で発生した電気がDC/DCコンバータ66に入力されて所定電圧に変換され、電力加算部68を経て電力が出力される。
このように、太陽光線を第1バイナリレンズ62により所定範囲に集めるとともに第2バイナリレンズ63にて平行光線となし、この平行光線を複数の回折格子54に入力し、この回折格子54では左右に5つの波長領域(λ〜λ)でもって分光させるとともに、この分光された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体61に導き発電を行うようにしたので、プリズムを用いた場合に比べて、より多くの発電を行うことができる。すなわち、高い光電変換効率が得られる。勿論、プリズムを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることができる。また、中央に、0次回折光のエネルギーを回収し得る電池要素体61Cを配置したので、より一層、高い光電変換効率が得られる。
また、少なくとも、第1バイナリレンズ52、第2バイナリレンズ53および回折格子54を、超短パルスレーザにより一つの部材内に形成するようにしたので、その製造および組立てを容易且つ安価に行い得るとともに、装置の小型化も図ることができる。
次に、本発明の実施例6に係る太陽電池装置を、図7に基づき説明する。
上述の実施例1においては、通常の回折格子を用いて太陽光を分光させたが、本実施例6の太陽電池装置では、ブレイズド回折格子(ブレイズドグレーティング)を用いて分光させるようにしたものである。なお、ブレイズド回折格子とは、溝の断面形状が鋸歯状の回折格子であり、したがってこの場合、分光方向は片側だけとなる。また、このブレイズド回折格子は、特定の次数と波長(所謂、ブレイズド波長である)とに対して、高い回折効率を示すものである。
すなわち、図7に示すように、本実施例7に係る太陽電池装置71は、太陽光線(太陽光)を入射して所定範囲に集光するための大径の第1バイナリレンズ72と、この第1バイナリレンズ72にて集光された太陽光線を平行に揃える小径の第2バイナリレンズ73と、この第2バイナリレンズ73にて平行にされた太陽光線を入射するとともに、波長の長さに応じて、つまり光線の色に応じて分光させる複数個のブレイズド回折格子74と、これら各ブレイズド回折格子4により分光された各光線を入射し光電変換を行う太陽電池75と、この太陽電池75にて得られた電気を電気配線76を介して導き所定電圧に調整して出力するための電圧調整器(電圧変換出力回路でもある)77とから構成されている。
上記ブレイズド回折格子74は太陽光線を複数に分光させるもので、例えば連続的に分光された光を5つの波長の領域に分けることができる。すなわち、一端側(バイナリレンズ中心側であり、後述する0次光軸側でもある)から他端側(外側)に向かって、紫色(紫外光も含むもので、以下、同じ)の波長領域λ、青色の波長領域λ、緑色の波長領域λ、黄色の波長領域λ、赤色(赤外光も含むもので、以下、同じ)の波長領域λに分けられる。
すなわち、ブレイズド回折格子74に入射した光の回折光は、下記(7)式にて示されるように、波長の長さλに応じて回折角θが変わるため、分光される。
(数7)
θ=sin−1(λ/d) ・・・(7)
但し、dは格子定数である。
また、各ブレイズド回折格子74の一端部においては、光は回折せずにそのまま通過し、0次回折光λとして出力される。
ところで、上記ブレイズド回折格子74(74)は上述したように複数個、正確には複数段(n段)でもって、例えば4段でもって配置されており、図7に示すように、第2バイナリレンズ73の直ぐ下方に配置される第1ブレイズド回折格子74と、この第1ブレイズド回折格子74の下方に順次所定距離でもって離れて配置される第2ブレイズド回折格子74および第3ブレイズド回折格子74とが設けられている。なお、各ブレイズド回折格子74は、例えば層状の透明部材(その材料、すなわち透明材料としては、石英ガラス材、SiOの他、LiF,MgOなどが用いられる)の上下面に形成されたもので、4段で配置される場合には、例えば2つの透明部材74A,74Bが上下に配置されることになる。勿論、一つの透明部材内にフェムト秒レーザなどにより4つのブレイズド回折格子を形成することができる。
なお、図7の右側にブレイズド回折格子74による回折角θnkを示しておく。
但し、θの下付き添え字nはブレイズド回折格子の段数(つまり、第nブレイズド回折格子)を表し、添え字kは分光に係る光線の波長領域[1(紫)〜5(赤)]を示している。
ところで、後述するが、上記各ブレイズド回折格子74で分光された各光線は、各波長(同一の色)ごとに、太陽電池75のほぼ同一位置(カーボンナノチューブに対応する位置)に入射するようにされている。これは、各ブレイズド回折格子74で分光された同一波長の光線を集めて発電効率を高めるためである。
すなわち、第nブレイズド回折格子74における格子定数dは、下記(8)式にて示すような値にされる。但し、(8)式中、xは第1ブレイズド回折格子74の中心(後述する0次光軸である)から紫色光線λの入射位置までの水平距離(図中、xは赤色光線λまでの水平距離)を、またzはその光線の太陽電池75における入射面から第nブレイズド回折格子までの高さ方向の距離を示す。
(数8)
=λ/(tan−1(x/z)) ・・・(8)
なお、ブレイズド回折格子の配置について少し説明すると、例えばブレイズド回折格子が2段で配置されている場合、すなわち第1ブレイズド回折格子と第2ブレイズド回折格子とが設けられている場合、第2ブレイズド回折格子による分光位置(スペクトル分散位置ともいえる)は、第2ブレイズド回折格子の格子定数よりも第1ブレイズド回折格子の格子定数の方が大きいか、または両ブレイズド回折格子の距離が近いほど、第1ブレイズド回折格子による分光位置に近づく(つまり、一致性が良くなる)が、配置のためのスペース上、適度な値に設定する必要がある。したがって、第2ブレイズド回折格子で分光(回折)された長波長側の光線(スペクトル)は、第1ブレイズド回折格子で分光された光線よりも長波長側にシフトする場合もあるが、よりエネルギーの大きい光線が電池要素体(後述する)81に入射し、光電変換に供されることになるため問題はない。
ところで、上記太陽電池75は、太陽光線の入射側に配置される透明電極82と、この透明電極82の入射側と反対側の表面(下面)に垂直方向で形成されたカーボンナノチューブ83と、このカーボンナノチューブ83の透明電極82とは反対側端部(下端部)に配置された金属電極84とからなる電池要素体(電池セルと呼ぶこともできる)81が分光の数に応じて複数具備されたものであり、さらにこれら各電池要素体81を、それぞれのカーボンナノチューブ83の直径が、入射される光線の波長に応じて0次回折光の光軸(以下、0次光軸という)Rである中心から外側に向かって段階的(連続的であってもよい)に変化するように、当該0次光軸Rから外側に向かって順次配置したものである。すなわち、本実施例7では、図7に示すように、0次光軸Rの右側に5つの波長領域に、つまり5つの色(紫色、青色、緑色、黄色、赤色)に対応された電池要素体81(81A,81B,81C,81D,81E)が配置されるとともに、0次光軸R上にも所定の波長領域、例えば中間の波長領域(緑色)に対応された電池要素体81Cが配置される。
このように、波長の長さに(色)対応して、直径が異なるカーボンナノチューブを配置した理由は以下の通りである。
すなわち、カーボンナノチューブのバンドギャップVgは下記(9)式で示すように、その直径dtに応じて変化する。
(数9)
Vg=0.8352/dt ・・・(9)
この(9)式から分かるように、カーボンナノチューブの直径が異なると、そのバンドギャップ幅が異なることになり、したがって分光された各光線が持つエネルギーを効率良く回収するためには、分光された波長(振動数がν)の光線が持っているエネルギー(hν)と等しいバンドギャップを持った直径のカーボンナノチューブをp型半導体(またはn型半導体)として作っておけばよいことになる。
例えば、バンドギャップの異なるカーボンナノチューブ(バンドギャップがEg〜Eg、但し、Egk−1<Eg)がk個ある場合、Egより小さくEg以上のエネルギーを持った光はバンドギャップEgの太陽電池で受光されて光電変換が行われる。また、Egより小さくEg以上のエネルギーを持った光については、バンドギャップEgの太陽電池で受光されて光電変換が行われる。以下、同様に、バンドギャップEgを越え、紫外線までの最大エネルギーを有する光については、Egのバンドギャップを持った太陽電池で受光して光電変換が行われる。
ここで、電池要素体81の構成について詳しく説明しておく。
すなわち、電池要素体81における透明電極82は、ガラス基板の表面にITO膜、FT0膜、ZnO膜などの透明導電膜が配置されてn型半導体にされるとともに、この透明電極82の表面に垂直方向で形成されるカーボンナノチューブ(正確にはカーボンナノチューブ群である)83はp型半導体にされ、このpn接合部で発電が行われる。上記カーボンナノチューブ83の先端(下端)にはAg,Au,Cu,In,Pdなどの金属電極84が設けられる。なお、透明電極82の上面には、保護用の窓部材85が設けられている。
上記カーボンナノチューブ83を形成する場合、透明電極82の表面にスパッタリングなどにより鉄などの触媒微粒子を付着させた後、この触媒微粒子上に熱CVD法によりカーボンナノチューブを成長させればよい。このとき、カーボンナノチューブ83の直径は、触媒微粒子の粒径により制御することができるので、各波長(各色)に応じたバンドギャップを有するように制御される。このカーボンナノチューブ83の先端に設けられる金属電極84は蒸着などにより形成される。
具体的には、多数のカーボンナノチューブからなる領域(カーボンナノチューブ群であり、以下、チューブ列ともいう)が5つ並列に設けられる(並置される)とともに、これら各カーボンナノチューブの直径をチューブ列毎に段階的に変化させたもので、例えば太いもの(赤色側)から細いもの(紫色側)が順番に設けられる。また、ブレイズド回折格子74の0次光軸R上には、上述したように、緑色に対応したカーボンナノチューブを有する電池要素体81Cが配置される。
ところで、通常、熱CVD法により形成される単層カーボンナノチューブは真性半導体またはバンドギャップが0eVの金属的性質を有するものであるが、半導体カーボンナノチューブにp型ドーパント(カーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素、例えばN,O,F,Clなどが用いられる)を付着させることによりp型半導体とすることができる。なお、カーボンナノチューブとしてn型半導体を用いる場合には、半導体カーボンナノチューブにn型ドーパント(カーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素、例えばCs,Rb,K,Na,Li,Ba,Sr,Ca,Mgなどが用いられる)を真空蒸着またはスパッタリングなどにより付着させてn型半導体にすることができる。
上記電圧調整器77は各電池要素体81の金属電極84に電気配線76を介して接続されており、この電圧調整器77は、電池要素体81に電気配線76を介して接続されたDC/DCコンバータ86と、これらDC/DCコンバータ86に電気配線87を介して接続された電力加算部88とから構成されている。なお、DC/DCコンバータ86は、各電池要素体81A〜81Eから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
ところで、上述の説明では、各バイナリレンズ72,73およびブレイズド回折格子74については、別体で設けられているように説明(図示)したが、本実施例では、一つの部材内に組み込んだものが用いられる(勿論、別体に設けられているものでもよい)。
この場合、実施例1の場合と同様に、板状の石英ガラス材(透明部材すなわち透明材料の一例で、SiOの他i、LiF,MgOなどがある)に超短パルスレーザ(所謂、フェムト秒レーザ)を射出することにより、当該石英ガラス材の内部に纏めて形成される。すなわち、発振装置から発射された超短パルスレーザは、光変調器、ミラー、および縮小光学系を介して石英ガラス材に導かれて、その内部に各バイナリレンズ72,73およびブレイズド回折格子74(74,74,74,74)が形成される。
そして、この石英ガラス材におけるブレイズド回折格子74の下方の表面(下面)に、上記太陽電池75を配置することにより、非常にコンパクトで且つ製造が容易な、すなわち安価な太陽電池装置71が得られる。
上記構成において、第1バイナリレンズ72に入射した太陽光線は、所定範囲内に絞られて第2バイナリレンズ73に入り平行な光線として出射される。そして、この光線は第1ブレイズド回折格子74に入り、一端側から他端側に向かって5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体81A〜81Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
また、第1ブレイズド回折格子74をそのまま通過した太陽光線は第2ブレイズド回折格子74に入り、5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体81A〜81Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
また、第2ブレイズド回折格子74をそのまま通過した太陽光線については第3ブレイズド回折格子74に入り、上記と同様に、5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体81A〜81Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
さらに、第3ブレイズド回折格子74をそのまま通過した太陽光線については第4ブレイズド回折格子74に入り、上記と同様に、5つの波長領域(λ〜λ)に、つまり5つの色に分光されて各電池要素体81A〜81Eに入射され、それぞれの波長に応じたバンドギャップでもって光電変換が行われる。
一方、第4ブレイズド回折格子74をそのまま通過した太陽光線、すなわち全ての回折格子74を通過した0次回折光λはそのまま中央に配置された電池要素体81Cに入り、この電池要素体81Cに対応する緑色より短波長の光線が有するエネルギーが回収される。なお、この中央に配置される電池要素体81Cは、緑色以外の光線に対応するものであってもよい。
また、透明電極82については、各電池要素体85おいて共通したものであってもよいが、勿論、各電池要素体81ごとに分かれたものであってもよい。
そして、各電池要素体81で発生した電気がDC/DCコンバータ86に入力されて所定電圧に変換され、電力加算部88を経て電力が出力される。
このように、太陽光線を第1バイナリレンズ72により所定範囲に集めるとともに第2バイナリレンズ73にて平行光線となし、この平行光線を複数のブレイズド回折格子74に入力し、これら各ブレイズド回折格子74では5つの波長領域(λ〜λ)でもって分光させるとともに、この分光された光線の持つエネルギーを効率良く吸収し得るカーボンナノチューブを有する電池要素体81に導き発電を行うようにしたので、しかも複数のブレイズド回折格子により太陽光線を分光させるようにしているので、プリズムを用いた場合に比べて、装置の小型化を図ることができ、延いては、製造コストの低減化を図ることができるとともに、より多くの発電を行うことができる。すなわち、高い光電変換効率が得られる。
また、中央に、0次回折光のエネルギーを回収し得る電池要素体81Cを配置したので、より一層、高い光電変換効率が得られる。
また、少なくとも、第1バイナリレンズ72、第2バイナリレンズ73およびブレイズド回折格子74(74)を、超短パルスレーザにより一つの部材内に形成するようにしたので、その製造および組立てを容易且つ安価に行い得るとともに、装置の小型化も図ることができる。
なお、図7の右側には、上述したように、ブレイズド回折格子74で分光した際の回折角θnkが示されており、図7中、第1ブレイズド回折格子74での回折角をθ11(紫)〜θ15(赤)で、第2ブレイズド回折格子74での回折角をθ21(紫)〜φ25(赤)で、第3ブレイズド回折格子74で回折角をθ31(紫)〜θ35(赤)で、第4ブレイズド回折格子74での回折角をθ41(紫)〜θ45(赤)で表す。
1 太陽電池装置
2 第1バイナリレンズ
3 第2バイナリレンズ
4 回折格子
5 太陽電池
7 電圧調整器
11 電池要素体
12 透明電極
13 カーボンナノチューブ
14 金属電極
16 DC/DCコンバータ
18 電力加算部
21 太陽電池装置
25 太陽電池
26 反射部材
31 太陽電池装置
35 太陽電池
36 反射部材
41 太陽電池装置
45 太陽電池
46 反射部材
47 再帰反射板
51 太陽電池装置
52 第1バイナリレンズ
53 第2バイナリレンズ
54 回折格子
55 太陽電池
61 電池要素体
62 透明電極
63 カーボンナノチューブ
64 金属電極
71 太陽電池装置
72 第1バイナリレンズ
73 第2バイナリレンズ
74 ブレイズド回折格子
75 太陽電池
81 電池要素体
82 透明電極
83 カーボンナノチューブ
84 金属電極

Claims (7)

  1. 太陽光を入射して所定範囲に集光するためのレンズ系と、
    このレンズ系にて集光された太陽光を入射するとともに波長の長さに応じて左右両側に対称に分光させる回折格子と、
    この回折格子により分光された各光を入射し光電変換を行う太陽電池とから構成し、
    且つ上記太陽電池を、
    透明電極と、この透明電極の表面に且つ当該表面に形成されたカーボンナノチューブと、このカーボンナノチューブの透明電極とは反対側に配置された金属電極とからなる電池要素体を複数具備させて構成するとともに、
    上記複数の電池要素体を、それぞれにおけるカーボンナノチューブの直径が、入射される光の波長に応じて上記回折格子における0次光軸から左右の外側に向かって順次変化するように、当該0次光軸の左右に配置したことを特徴とする太陽電池装置。
  2. 回折格子を、その0次光軸上で複数段でもって配置したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池装置。
  3. 回折格子における0次光軸上に電池要素体または反射部材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池装置。
  4. 第1段目の回折格子にて反射した光を、再度、当該第1段目の回折格子に反射させる再帰反射板をその回折格子の周囲に配置したことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池装置。
  5. 透明材料にレーザ光を照射して当該透明材料内にバイナリレンズおよび回折格子を一体に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池装置。
  6. 透明材料にレーザ光を照射して当該透明材料内にバイナリレンズ、回折格子および再帰反射板を一体に形成したことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池装置。
  7. 各電池要素体にて得られた電気を所定電圧に調整する電圧調整器を具備したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の太陽電池装置。
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