JP2014085161A - 構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置 - Google Patents

構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】作業効率に優れ、導入が容易であり、かつ、き裂を含む構造物の両端の拘束条件によらず、強く閉じたき裂であっても完全に開口させることができる構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】加熱手段1が、構造物Sの検査対象部位I1を含む領域を加熱可能に構成されている。冷却範囲限定手段3が、少なくとも構造物Sの表面の一部を囲むよう設けられている。冷却手段2が、冷却スプレーから成り、冷却範囲限定手段3で囲まれた構造物Sの表面を冷やして、加熱領域の一部を冷却可能に構成されている。き裂検出手段が、開口したき裂を検出可能であり、加熱手段1と冷却手段2とで発生する熱応力により開口したき裂を検出するよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物に含まれる閉じたき裂を検出するための構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置に関する。
従来、原子炉、航空機、鉄道などの重要機器の安全性確保、および製造された材料、接合された材料の健全性確保には、破壊の原因となるき裂や不完全な接合面を種々の非破壊検査装置によって検出し、その大きさを正確に評価しつつ、危険性があれば交換するという安全管理が行われている。しかし、き裂閉口応力が大きい閉じたき裂や、き裂面に酸化膜が形成された閉じたき裂などにおいては、種々の非破壊検査装置を用いても、閉じたき裂の検出や正確な大きさの評価が難しく、精度の高い検査ができないという問題があった。
そこで、この問題を解決し、非破壊検査の高信頼化を実現するために、検査対象部位を局所的に冷却して熱応力を発生させ、き裂を開口させてから検出を行う方法が考案されている。このような方法として、例えば、液体窒素を検査対象部位に付加してき裂に引張応力を作用させ、この応力によりき裂を開口させて、超音波探傷等におけるき裂検出感度を向上させる方法(例えば、特許文献1参照)や、冷却スプレーにより検査対象部位を冷却してき裂に引張応力を作用させ、この応力によりき裂を開口させて、超音波探傷等におけるき裂検出感度を向上させる方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特許第3639958号公報 特開2009−2713号公報
しかし、特許文献1に記載の液体窒素を使用する方法では、液体窒素の取り扱いが難しいため、作業効率が低下し、実際のプラント等への導入が困難であるという課題があった。また、特許文献2に記載の冷却スプレーを使用する方法は、作業効率に優れ、導入が容易ではあるが、冷却温度が−55℃に限定されるため、負荷できる熱応力に限界があり、強く閉じたき裂を完全に開かせるのに十分な熱応力を発生させることができないという課題があった。また、き裂を含む構造物の両端が拘束されている必要があるため、両端が自由端の部材等の検査には適用できなかった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、作業効率に優れ、導入が容易であり、かつ、き裂を含む構造物の両端の拘束条件によらず、強く閉じたき裂であっても完全に開口させることができる構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法は、構造物に含まれる閉じたき裂を検出するための構造物欠陥の非破壊検査方法であって、前記構造物の検査対象部位を含む領域を加熱する加熱工程と、前記加熱工程による加熱領域の一部を冷却する冷却工程と、開口したき裂を検出可能なき裂検出手段により、前記加熱工程と前記冷却工程とで発生する熱応力により開口したき裂を検出する検出工程とを、有することを特徴とする。
本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査装置は、構造物に含まれる閉じたき裂を検出するための構造物欠陥の非破壊検査装置であって、前記構造物の検査対象部位を含む領域を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱領域の一部を冷却する冷却手段と、開口したき裂を検出可能であって、前記加熱手段と前記冷却手段とで発生する熱応力により開口したき裂を検出するき裂検出手段とを、有することを特徴とする。
本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置は、構造物の検査対象部位を含む領域を加熱した後、その加熱領域の一部を冷却することにより、熱応力による引張応力を発生させることができる。このとき、検査対象部位に引張応力を作用させるよう、加熱領域および冷却領域の配置を調整することにより、検査対象部位に含まれる閉じたき裂を開口させることができる。例えば、検査対象部位に含まれるき裂が、温度勾配の大きい位置に配置されるとともに、温度勾配の方向に対してき裂面が概ね平行になるよう、加熱および冷却を行うことにより、き裂に熱応力による引張応力を発生させて、3点曲げと同様の原理で、閉じたき裂を開口させることができる。これにより、開口したき裂を検出可能なき裂検出手段によりき裂を検出することができ、き裂の大きさを精度良く評価することができる。また、これは加熱領域の一部を冷却し、周囲に対する冷却領域の熱収縮を利用することから、き裂を含む構造物の両端の拘束条件によらず適用できる。
ここで、温度勾配が大きい方向は、加熱温度、冷却温度、およびそれぞれの領域の大きさ等によって変化するが、熱伝導のシミュレーション等を行うことによって決めることができる。
熱応力は冷却領域とその周囲との温度差が大きいほど大きくなるため、閉じたき裂を効果的に開口させるためには、その温度差を大きくする必要がある。本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置は、加熱領域の一部を冷却する構成を有しており、加熱温度および/または冷却温度を調整して温度差を大きくすることができるため、閉じたき裂を効果的に開口させることができる。特に、加熱することにより、従来の冷却スプレーのみで冷却する場合よりも温度差を大きくすることができるため、従来の冷却スプレーのみでは開口させることができなかった、強く閉じたき裂であっても完全に開口させることができる。
また、本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置は、加熱温度および/または冷却温度を調整することにより、冷却領域とその周囲との温度差を任意に調節することができるため、閉じたき裂に任意の引張熱応力を作用させることができる。このため、き裂の状態に応じて、作用させる引張熱応力を調整することができ、効率的である。
本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置で、構造物の検査対象部位を含む領域を加熱するための加熱手段は、例えば、赤外線ランプのような非接触のものが適しているが、構造物の形状や大きさに合わせて、ホットプレート、ペルチェ素子、誘導加熱コイル、ヒーター等から成っていてもよい。また、加熱領域の一部を冷却するための冷却手段は、例えば冷却スプレー等から成ることが好ましい。これらは取り扱いが容易であるため、作業効率に優れ、導入が容易である。また、持ち運びが容易であるため、構造物の任意の箇所で検査を行うことができる。加熱手段は、構造物全てを加熱する必要はなく、検査対象部位と冷却する領域とを含む範囲を加熱可能であればよい。
冷却手段として冷却スプレーを用いる場合には、液体窒素を用いる場合に比べて、冷却ガスの管理が容易である。また、この場合、冷却スプレーによる冷却温度が例えば−55℃に限定されてしまうが、加熱手段による加熱温度を調整することにより、冷却領域とその周囲との温度差の調節が可能である。なお、冷却スプレーには、冷却領域を限定するために、ノズルが取り付けられていてもよい。
き裂検出手段は、開口したき裂を検出可能であれば、いかなる方法を用いた手段から成っていてもよく、例えば、超音波法、渦電流法、電位差法などを用いた手段から成ることが好ましい。
本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法で、前記冷却工程は、冷却範囲限定手段で少なくとも前記構造物の表面の一部を囲み、前記冷却範囲限定手段で囲まれた前記構造物の表面を冷やすことにより、前記加熱領域の一部を冷却してもよい。本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査装置は、少なくとも前記構造物の表面の一部を囲むよう設けられた冷却範囲限定手段を有し、前記冷却範囲限定手段で囲まれた前記構造物の表面を前記冷却手段で冷やすことにより、前記加熱領域の一部を冷却可能に構成されていてもよい。
この冷却範囲限定手段を有する場合、構造物表面の冷却手段で冷やす範囲を任意に限定することができ、効率的な冷却を行うことができる。冷却範囲限定手段は、断熱効果が高く、冷やす範囲を限定するのが容易な材料から成ることが好ましく、例えば、発泡スチロール製、木製、段ボール製、プラスチック製である。また、冷却範囲限定手段は、冷気を逃しにくくするために、枠形状や箱形状を成していることが好ましい。
本発明によれば、作業効率に優れ、導入が容易であり、かつ、強く閉じたき裂であっても完全に開口させることができる構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置を提供することができる。
本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置の一つの実施例を示す斜視図である。 図2に示す構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置に対する比較例を示す(a)温度制御前、(b)冷却のみを行ったときの、冷却開始2秒後、(c)4秒後、(d)5秒後の検査対象部位のPA(線形超音波フェーズドアレイ)像である。 図2に示す構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置による実施例を示す(a)温度制御前、(b)加熱後に冷却を行ったときの、冷却開始2秒後、(c)4秒後、(d)10秒後、(e)15秒後の検査対象部位のPA(線形超音波フェーズドアレイ)像である。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置を示している。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査装置は、構造物Sに含まれる閉じたき裂C2を検出するための構造物欠陥の非破壊検査装置であって、加熱手段1と冷却手段2と冷却範囲限定手段3とき裂検出手段(図示せず)とを有している。なお、図1に示す構造物Sは、管などの湾曲したものから成っており、熱により反ったものではない。
加熱手段1は、赤外線ランプを有する非接触式のヒーター、またはホットプレートから成り、構造物Sの検査対象部位I1を含む所定の領域を加熱可能になっている。加熱手段1は、構造物Sの温度を任意の温度まで加熱可能になっている。
冷却手段2は、市販の冷却スプレーから成り、被噴射物の表面を−55℃まで冷却可能になっている。冷却手段2は、加熱手段1による加熱領域の一部を冷却可能になっている。冷却手段2は、冷却範囲を限定して局所的に冷却するために、ノズル2aが取り付けられている。なお、冷却手段2は、冷却面積が大きい場合には、複数の冷却スプレーを同時に使用可能であってもよい。
冷却範囲限定手段3は、ポリエチレン製で、一つの面が開口した箱形状を成している。冷却範囲限定手段3は、内部が空洞3aになっており、側面に冷却手段2のノズル2aを差込可能な貫通孔3bを有している。冷却範囲限定手段3は、構造物Sの表面に被せるようにして配置され、構造物Sの表面の一部を囲み、空洞3aにより空間を確保した状態で覆うようになっている。
き裂検出手段は、フェーズドアレイ法を利用して、開口したき裂を検出可能な非破壊検出手段から成っている。
本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法は、構造物欠陥の非破壊検査装置により好適に実施可能である。本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法では、まず、加熱手段1により、構造物Sの検査対象部位I1を含む領域を、任意の温度まで加熱する。次に、冷却範囲限定手段3で構造物Sの表面の一部を覆い、貫通孔3bに冷却手段2のノズル2aを差し込んで、冷却手段2で冷却範囲限定手段3の内部の空洞3aに冷気を噴射して、冷却範囲限定手段3の内側の構造物Sの表面を冷やし、加熱領域の一部を冷却する。
このとき、検査対象部位I1が、温度勾配の大きい位置に配置されるとともに、き裂C2のき裂面がその温度勾配に対して概ね平行になるよう、加熱および冷却を行うことにより、検査対象部位I1に熱応力による引張応力を発生させて、3点曲げと同様の原理で、検査対象部位I1に含まれる閉じたき裂C2を開口させることができる。この状態で、き裂検出手段を使用することにより、き裂C2を検出することができ、き裂C2の大きさを精度良く評価することができる。
例えば、図1に示すような、構造物S中の開いたき裂C1および閉じたき裂C2を連続的に含むき裂Cを検出・計測する場合、温度制御を行う前では、き裂検出手段により開いたき裂C1のみ検出・計測でき、閉じたき裂C2は検出・計測できない。そこで、加熱手段1による加熱および冷却手段2による冷却を行うと、き裂Cに引張応力を作用させることができ、この応力により閉じたき裂C2を開口させることができる。このため、き裂検出手段により、開いたき裂C1だけでなく、閉じたき裂C2を検出することができ、閉じたき裂C2の大きさも精度良く計測することができる。
本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置では、冷却手段2の冷却スプレーによる冷却温度は−55℃に限定されてしまうが、加熱手段1による加熱温度は調整することができる。このため、加熱温度を調整して、冷却領域とその周囲との温度差を大きくすることができ、閉じたき裂C2を効果的に開口させることができる。従来の冷却スプレーのみで冷却する場合よりも温度差を大きくすることができるため、従来の冷却スプレーのみでは開口させることができなかった、強く閉じたき裂C2であっても完全に開口させることができる。
また、加熱温度を調整することにより、冷却領域とその周囲との温度差を任意に調節することができるため、閉じたき裂C2に任意の引張熱応力を作用させることができる。このため、き裂C2の状態に応じて、作用させる引張熱応力を調整することができ、効率的である。
本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置は、加熱手段1および冷却手段2の取り扱いが容易であるため、作業効率に優れ、導入が容易である。また、加熱手段1および冷却手段2の持ち運びが容易であるため、構造物Sの任意の箇所で検査を行うことができる。冷却手段2が冷却スプレーから成るため、液体窒素を用いる場合に比べて、冷却ガスの管理が容易である。冷却範囲限定手段3を利用するため、冷却手段2の冷気を構造物Sの表面に集中させることができるとともに、構造物Sの表面の冷やす範囲を限定することができ、効率的な冷却を行うことができる。
このように、本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置によれば、欠陥の検査を、任意の領域に対して、任意の時間に、簡易に実施することができ、作用させる熱応力も加熱温度を変えることで任意に制御することができる。
本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置を用いて、構造物Sに含まれる閉じたき裂C2の検出を行った。図2に示すように、検査対象の構造物Sとして、アルミニウム合金A7075のCT(compact tension)試験片を用い、それに含まれる閉じた疲労き裂C2の検出を行った。き裂検出手段として、市販の線形超音波フェーズドアレイ(linear phased array;PA)を用い、き裂C2の映像化を試みた。ここで、超音波フェーズドアレイの探触子Uとして、中心周波数5MHz、32素子、素子間距離0.5mmのPZTアレイ探触子を用いた。入射波には、時間分解能の高いパルス波を用いた。
PAは、開いたき裂などの線形散乱源を映像化することはできるが、閉じたき裂C2では超音波が透過して散乱波が発生しないため、閉じたき裂C2を映像化することはできない。このため、元々PAで映像化されなかったき裂が、温度制御により映像化されれば、き裂が開口したことを示すことになる。
なお、油圧制御試験機を用いて、応力拡大係数K=6.8MPa・m1/2で、試験片に含まれる閉じたき裂C2を機械的に開口させたところ、このき裂C2の真の深さは、11.3mmであった。き裂C2の深さは、ノッチ部Nの根元からの測定値である(以下同じ)。
加熱手段1および冷却手段2による温度制御を行う前の検査対象部位I1のPA像を、図3(a)に示す。図3(a)に示すように、き裂C2は観察されなかった。これは、き裂C2が閉じていることを示している。なお、図3(a)の下部に認められる、上方に向かって尖った部分は、ノッチ部Nである(以下同じ)。
次に、比較のため、冷却手段2のみを用いて室温の状態から局所冷却した試験片に対して、PAで検査対象部位I1の映像化を行った。冷却は、2つの冷却スプレーから成る冷却手段2のノズル2aを、左右から冷却範囲限定手段3の貫通孔3bに差し込み、冷却範囲限定手段3の内側の空洞3aを急速に局所冷却することで行った。このときの冷却開始2秒後、4秒後、5秒後のPA像を、図3の(b)〜(d)に示す。
図3(b)〜(d)に示すように、図3(a)に示す局所冷却前のPA像では映像化されなかったき裂C2が、局所冷却開始後に観察できるようになったのが確認できる。このときの最大のき裂深さは、図3(c)の冷却開始4秒後の9.6mmであった。これは、真のき裂深さ11.3mmより浅く、き裂C2が完全に開口していないことを示している。このことから、大きな閉口応力で閉じたき裂C2を開口させるためには、室温からの冷却スプレーによる局所冷却では不十分であることが分かる。
次に、本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法を用いて、加熱手段1および冷却手段2により温度制御を行い、PAで検査対象部位I1の映像化を行った。加熱手段1としてホットプレートを用い、試験片の下部から、試験片を50℃まで加熱した。加熱後、2つの冷却スプレーから成る冷却手段2のノズル2aを、左右から冷却範囲限定手段3の貫通孔3bに差し込み、冷却範囲限定手段3の内側の空洞3aを急速に局所冷却した。このときの温度制御前、冷却開始2秒後、4秒後、10秒後、15秒後のPA像を、図4(a)〜(e)に示す。
図4(a)〜(e)に示すように、温度制御前のPA像(図4(a))では映像化されなかったき裂C2が、局所冷却開始後に観察できるようになったのが確認できる。冷却開始4秒後のPA像(図4(c))で最大のき裂深さ11.3mmが観察され、その後次第にき裂C2の深さが減少していくのが確認できた。図4(c)の冷却開始4秒後のき裂深さ11.3mmは、真のき裂深さと一致しており、加熱および冷却を併用することにより、強く閉じたき裂C2であっても完全に開口させることができた。
なお、冷却時間の経過とともにき裂C2が浅くなり、冷却開始15秒後のPA像(図4(e))ではき裂C2が消失している。これは、試験片の上面が冷却され続けることにより、試験片の内部の温度分布が均一になり、引張熱応力が低下したためと考えられる。
また、冷却開始4秒後で最大深さのき裂C2が現れ、その後、き裂C2は浅くなって消失したことから、本試験片のき裂C2の開口には、4秒程度の短時間の冷却で十分であることが分かった。最適な冷却時間は、検査対象の構造物Sの材質、熱伝導率、サイズなどに依存するため、効率的な構造物検査を行うためには、数値シミュレーションによる熱応力解析などを併用して、あらかじめ最適な冷却時間を予測しておくことが好ましい。
このように、本発明の実施の形態の構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置による、加熱手段1と冷却手段2とを利用した簡易的な温度制御により、室温からの局所冷却では開口させることができなかった閉じたき裂C2を、開口させることができることが確認された。
き裂検査のニーズは、種々の工業分野で極めて多く、本発明に係る構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置をこれらの分野で利用することができる。
1 加熱手段
2 冷却手段
2a ノズル
3 冷却範囲限定手段
3a 空洞
3b 貫通孔
U (超音波フェーズドアレイの)探触子
S 構造物
I1 検査対象部位
C き裂
C1 (開いた)き裂
C2 (閉じた)き裂
N ノッチ部

Claims (6)

  1. 構造物に含まれる閉じたき裂を検出するための構造物欠陥の非破壊検査方法であって、
    前記構造物の検査対象部位を含む領域を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程による加熱領域の一部を冷却する冷却工程と、
    開口したき裂を検出可能なき裂検出手段により、前記加熱工程と前記冷却工程とで発生する熱応力により開口したき裂を検出する検出工程とを、
    有することを特徴とする構造物欠陥の非破壊検査方法。
  2. 前記冷却工程は、冷却範囲限定手段で少なくとも前記構造物の表面の一部を囲み、前記冷却範囲限定手段で囲まれた前記構造物の表面を冷やすことにより、前記加熱領域の一部を冷却することを特徴とする請求項1記載の構造物欠陥の非破壊検査方法。
  3. 前記冷却工程は、冷却スプレーにより前記加熱領域の一部を冷却することを特徴とする請求項1または2記載の構造物欠陥の非破壊検査方法。
  4. 構造物に含まれる閉じたき裂を検出するための構造物欠陥の非破壊検査装置であって、
    前記構造物の検査対象部位を含む領域を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段による加熱領域の一部を冷却する冷却手段と、
    開口したき裂を検出可能であって、前記加熱手段と前記冷却手段とで発生する熱応力により開口したき裂を検出するき裂検出手段とを、
    有することを特徴とする構造物欠陥の非破壊検査装置。
  5. 少なくとも前記構造物の表面の一部を囲むよう設けられた冷却範囲限定手段を有し、
    前記冷却範囲限定手段で囲まれた前記構造物の表面を前記冷却手段で冷やすことにより、前記加熱領域の一部を冷却可能に構成されていることを
    特徴とする請求項4記載の構造物欠陥の非破壊検査装置。
  6. 前記冷却手段は、冷却スプレーから成ることを特徴とする請求項4または5記載の構造物欠陥の非破壊検査装置。
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