JP2008122350A - 超音波探傷装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】閉口欠陥検出確率を向上できる超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】超音波探傷器2は、検査対象物30に配置した超音波センサ3を用いて、探傷する。検査対象物30を冷却する冷却素子4と、前記検査対象物を加熱する複数の加熱素子5(5A1,5A2,5B1,5B2)を備える。パソコン1は、冷却素子4を制御するとともに、超音波探傷信号をモニタしながら、複数の加熱素子5の内の任意の加熱素子を用いて検査対象物30を加熱することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】超音波探傷器2は、検査対象物30に配置した超音波センサ3を用いて、探傷する。検査対象物30を冷却する冷却素子4と、前記検査対象物を加熱する複数の加熱素子5(5A1,5A2,5B1,5B2)を備える。パソコン1は、冷却素子4を制御するとともに、超音波探傷信号をモニタしながら、複数の加熱素子5の内の任意の加熱素子を用いて検査対象物30を加熱することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波探傷装置及び方法に係り、特に、閉口欠陥の検査に好適な超音波探傷装置及び方法に関する。
検査対象物に超音波を送信し、欠陥からの反射波を計測することで欠陥の有無を判断する検査方法を超音波探傷方法(UT;Ultrasonic Testing)という。この探傷方法では、一般に、圧縮応力がかかって閉じた欠陥(閉口欠陥)は、反射波が発生しないため検出できないものである。
それに対して、閉口欠陥の超音波探傷方法として、冷却UTが知られている(例えば、非特許文献1参照)。冷却UTでは、検査対象を冷却することで熱応力を発生させ、閉口欠陥を開口させて探傷可能としている。
"Technique for NDE of Closed Crack", M. A. S. Akanda and M. Saka, Journal of Nondestructive Evaluation, 23 (2), (2004), p.37
しかしながら、欠陥形状に応じて欠陥を開口させるための冷却場所が変化するため、従来の冷却UTはUTが困難となる場合があった。例えば、閉口欠陥の亀裂の開口面を冷却した場合は、冷却により開口部が広がり反射波強度が増加する。それに対して、閉口欠陥の亀裂の開口面の裏側から冷却した場合は、冷却により欠陥が閉じる方向へ検査対象が収縮するため、超音波探傷信号強度が低下する。
また、凹部を持つ第1の平板と凸部を持つ第2の平板を組み合わせ、両平板の組み合わせ部を貫通する穴にピンを通し、ピンの両端をかしめて平板どうしを固定した構造体において、このピンに閉口欠陥が生じることがある。この場合、ピンを冷却すると第1,第2の平板も冷却され、欠陥が圧着されて閉口欠陥を検出できないケースが生じる。
この理由について、図12〜図14を用いて簡単に説明する。図12に示すように、冷却UTでは、検査対象を冷却することで熱応力を発生させ、閉口欠陥を開口させて探傷する。ここで、冷却UTでは、欠陥形状に応じて欠陥を開口させるための冷却場所が変化する。図13(A)に示すように、亀裂開口部が閉じていて亀裂先端が開いている形状の亀裂の場合、開口面を冷却することで、欠陥の閉口部が冷却による収縮で開口し、UT信号強度が強くなる。また、図13(B)に示すように、図13(B)と同じ亀裂を、欠陥開口面の裏側から冷却した場合、冷却に伴い欠陥が閉じる方向へ検査対象が収縮するため、超音波探傷信号強度が低下する。図14は、凹部を持つ第1の平板と凸部を持つ第2の平板を組み合わせ、両平板の組み合わせ部を貫通する穴にピンを通し、ピンの両端をかしめて平板どうしを固定した構造体であり、ピンに閉口欠陥が生じることがある。この場合、ピンを冷却すると同時に平板も冷却され、ピンの収縮で開口方向の応力T1が発生し、一方、平板の収縮で閉口方向の応力T2が発生し、欠陥が圧着されて閉口欠陥を検出できないケースが生じる。
本発明の目的は、閉口欠陥検出確率を向上できる超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、検査対象物に配置した超音波センサを用いて、探傷する超音波探傷器と、前記検査対象物を冷却する冷却素子と、前記冷却素子による検査対象物の冷却を制御する制御手段とを有する超音波探傷装置であって、前記検査対象物に配置された複数の加熱素子を備え、前記制御手段は、前記冷却素子を制御するとともに、前記複数の加熱素子の内の任意の加熱素子を用いて前記検査対象物を加熱することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御するようにしたものである。
かかる構成により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
かかる構成により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、上記超音波探傷器によって得られる超音波探傷信号強度をモニタしながら、前記冷却素子と前記加熱素子を制御するようにしたものである。
(3)上記(2)において、好ましくは、前記制御手段は、上記超音波信号強度を増加させるように、前記冷却素子と前記加熱素子を制御するようにしたものである。
(4)また、上記目的を達成するために、本発明は、検査対象物を冷却する冷却素子により冷却しながら、前記検査対象物に配置した超音波センサを用いて、前記検査対象物を探傷する超音波探傷方法であって、複数の加熱素子の内の任意の加熱素子を用いて前記検査対象物を加熱することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御しながら、探傷するようにしたものである。
かかる方法により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
かかる方法により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
(5)また、上記目的を達成するために、本発明は、検査対象物に配置した超音波センサを用いて、探傷する超音波探傷器と、前記検査対象物を冷却する冷却素子と、前記冷却素子による検査対象物の冷却を制御する制御手段とを有する超音波探傷装置であって、前記冷却素子は、複数個備えられ、前記制御手段は、前記複数の冷却素子の内の任意の冷却素子を用いて前記検査対象物を冷却することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御するようにしたものである。
かかる構成により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
かかる構成により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
(6)上記(5)において、好ましくは、前記制御手段は、上記超音波探傷器によって得られる超音波探傷信号強度をモニタしながら、前記冷却素子を制御するようにしたものである。
(7)上記(6)において、好ましくは、前記制御手段は、上記超音波信号強度を増加させるように、前記冷却素子を制御するようにしたものである。
(8)また、上記目的を達成するために、本発明は、検査対象物を冷却する冷却素子により冷却しながら、前記検査対象物に配置した超音波センサを用いて、前記検査対象物を探傷する超音波探傷方法であって、複数の冷却素子の内の任意の冷却素子を用いて前記検査対象物を冷却することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御しながら、探傷するようにしたものである。
かかる方法により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
かかる方法により、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
本発明によれば、閉口欠陥検出確率を向上できるものとなる。
以下、図1〜図5を用いて、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成を示すブロック図である。
最初に、図1を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成を示すブロック図である。
検査対象物30は、凹部を持つ第1の平板30Aと、凸部を持つ第2の平板30Bを組み合わせ、両平板の組み合わせ部を貫通する穴にピン30Cを通した構造体である。ピン30Cの両端をかしめて、平板どうしを固定している。ここで、ピン30Cの中央部付近に、閉口欠陥30LDが生じているとする。
本実施形態の閉口欠陥超音波探傷装置は、パソコン1と、超音波探傷器2と、超音波(UT)センサ3と、冷却素子4と、複数の加熱素子5A1,5A2,5A3,5A4,5B1,5B2,5B3,5B4と、DAコンバータ6と、から構成される。
UTセンサ3は、ピン30Cの上端面に固定される。UTセンサ3としては、PZT、LiNbO3、PVDF等の圧電素子を超音波の送受信に利用したものを用いる。UTセンサ3は、磁石,吸盤等によって固定される。
冷却素子4は、ピン30Cの下端面に固定される。すなわち、UTセンサ3とは、ピン30Cの反対側の端部に固定される。冷却素子4としては、ペルチェ素子を用いる。冷却素子4は、磁石,吸盤等によって固定される。
複数の加熱素子の内、加熱素子5A1,5A2,5A3,5A4は、UTセンサ3が配置される側の平面であって、UTセンサ3の周囲に、リング状になるように等間隔で固定される。加熱素子5B1,5B2,5B3,5B4は、冷却素子4が配置される側の平面であって、冷却素子4の周囲に、リング状になるように等間隔で固定される。加熱素子5としては、電熱線、RFヒータ、ペルチェ素子等が用いられる。加熱素子5は、磁石,吸盤等によって固定される。
さらに、パソコン1と超音波探傷器2の間は信号線101によって接続され、超音波探傷器2とUTセンサ3の間は信号線102によって接続され、パソコン1とDAコンバータ6の間は信号線103によって接続され、DAコンバータ6と加熱素子5の間は電力線104によって接続され、冷却素子4とDAコンバータ6の間は電力線105によって接続される。信号線101,101,103、電力線104,105としては、絶縁被覆した銅線を用いる。
次に、図2を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法の内容を示すフローチャートである。
図2は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法の内容を示すフローチャートである。
ステップS10において、パソコン1は、DAコンバータ6を介して冷却素子4を動作させ、そのときの超音波探傷信号をUTセンサ3により測定し、超音波探傷器2を介してパソコン1に取り込む。
次に、ステップS20において、パソコン1は、複数の加熱素子5の内、1つの加熱素子を動作させた場合の超音波探傷信号を測定し、動作させる加熱素子を順次変更していきながら超音波探傷信号を測定する。
ステップS20で欠陥信号が検出された場合、ステップS30において、パソコン1は、動作時に欠陥信号が取得された加熱素子と同時に他の加熱素子を動作させた場合の欠陥信号強度の変化を測定する。
ステップS20で欠陥信号が検出されなかった場合、ステップS40において、パソコン1は、2つ以上の加熱素子を同時に動作させて超音波探傷信号を測定する。
ステップS40によって欠陥信号が検出されなかった場合には、ステップS50において、探傷を終了する。
一方、ステップS30の処理後あるいはステップS40で信号が検出された場合は、ステップS60において、パソコン1は、欠陥信号強度が最大となる加熱素子動作状態で超音波探傷信号を測定する。
次に、図3を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における信号伝達経路について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における信号伝達経路を示すフロー図である。
図3は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における信号伝達経路を示すフロー図である。
本実施形態では、パソコン1のキーボード26から検査開始の信号を入力し、パソコン1のI/Oポート25を介してパソコン1のCPU21に伝達する。パソコン1のCPU21で検査開始信号を受信後、検査開始信号をパソコン1のI/Oポート25、超音波探傷器2のI/Oポート25Aを介して超音波探傷器2のCPU21Aに伝達する。超音波探傷器2のCPU21Aで探傷開始信号に基づき、超音波探傷器2のI/Oポート25A、DAコンバータ6Aを介してUTセンサ4に電圧を印加して超音波を送信する。
検査対象物30の内部を伝播して反射された超音波は、UTセンサ4で電圧に変換して、ADコンバータ29、超音波探傷器2のI/Oポート25Aを介して超音波探傷器1のCPU21Aに伝達する。超音波探傷器2のCPU21Aに伝達された超音波探傷信号は、ハードディスクドライブ(HDD)22A、ランダムアクセスメモリー(RAM)23A、リードオンリーメモリー(ROM)24Aのうち1つ以上の記憶装置に記録する。また、記録と同時に、超音波探傷器2のI/Oポート25A、パソコン1のI/Oポート25を介してパソコン1のCPU21に伝達する。パソコン1のCPU21では、超音波探傷信号強度の経時変化をパソコン1のHDD22、RAM23、ROM24のうち1つ以上の記録装置に記録するとともに、パソコン1のI/Oポート25を介してモニタ28に表示する。
超音波探傷信号取得開始と同時に、パソコン1のCPU21から冷却素子4への電力供給信号をパソコン1のI/Oポート25を介してDAコンバータ6に伝達し、DAコンバータ6から冷却素子4の駆動電力を供給する。
冷却開始後に、パソコン1のCPU21から1つの加熱素子5へパソコン1のI/Oポート25とDAコンバータ6を介して電力を供給する。加熱素子5の動作位置や動作数を変化させた時の超音波探傷信号変化を、超音波探傷器2のHDD22A、RAM23A、ROM24Aのうち1つ以上の記録装置と、パソコン1のHDD22、RAM23、ROM24のうち1つ以上の記録装置に記録する。また、パソコン1のCPU21では、超音波探傷信号強度とともに、動作させた加熱素子、動作開始時間及び動作終了時間を、パソコンのHDD22、RAM23、ROM24のうち1つ以上の記録装置に記録する。
ここで、図4及び図5を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における必要冷却温度について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における必要冷却温度の評価体系図である。図5は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における必要冷却温度の説明図である。
図4は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における必要冷却温度の評価体系図である。図5は、本発明の第1の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における必要冷却温度の説明図である。
図1〜図3にて説明した超音波探傷方法の必要冷却温度幅ΔTは、以下の式(1)〜式(3)で与えられる。
ΔT>[(T0−(T1−T2))・ks・L]÷[10−6+P/km−(T2−T0)・ks・L] …(1)
T1=T0−(1−k1)・R1/C1+(1−k2)・R2/C1 …(2)
T2=T0−(k1)・R1/C2+k2・R2/C2 …(3)
ここで、
T0:超音波探傷開始前の検査対象の温度[K]
T1:超音波探傷開始後のピンの温度[K]
T2:超音波探傷開始後の平板の温度[K]
ks:線膨張係数[%/K]
L:ピンの長さ[m]
10−6:超音波探傷に必要な欠陥開口幅[m]
km:弾性係数[Pa]
P:閉口欠陥の圧縮応力[Pa]
k1:ピンから平板への熱伝達係数[J/s]
R1:冷却容量[J/s]
C1:ピンの熱容量[J/K]
k2:加熱素子がある部位からピンへの熱伝達係数[J/s]
R2:加熱入熱速度[J/s]
C2:平板の熱容量[J/K]
である。
ΔT>[(T0−(T1−T2))・ks・L]÷[10−6+P/km−(T2−T0)・ks・L] …(1)
T1=T0−(1−k1)・R1/C1+(1−k2)・R2/C1 …(2)
T2=T0−(k1)・R1/C2+k2・R2/C2 …(3)
ここで、
T0:超音波探傷開始前の検査対象の温度[K]
T1:超音波探傷開始後のピンの温度[K]
T2:超音波探傷開始後の平板の温度[K]
ks:線膨張係数[%/K]
L:ピンの長さ[m]
10−6:超音波探傷に必要な欠陥開口幅[m]
km:弾性係数[Pa]
P:閉口欠陥の圧縮応力[Pa]
k1:ピンから平板への熱伝達係数[J/s]
R1:冷却容量[J/s]
C1:ピンの熱容量[J/K]
k2:加熱素子がある部位からピンへの熱伝達係数[J/s]
R2:加熱入熱速度[J/s]
C2:平板の熱容量[J/K]
である。
本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における必要冷却温度の評価体系は、図4に示すようにしている。すなわち、図4(A)の斜視図に示すように、検査対象物30は、凹部を持つ第1の平板30Aと、凸部を持つ第2の平板30Bを組み合わせ、両平板の組み合わせ部を貫通する穴にピン30Cを通した構造体である。ピン30Cの中央部付近に、閉口欠陥30LDが生じているとする。検査対象物30は、各辺の長さ100mmの立方体形状としている。
図4(B)は、検査対象物30の上面を示している。中央部のピンの上面にはUTセンサ3が固定される。UTセンサ3を中心とする半径60mmの円周上には、加熱素子5A1,5A2,5A3,5A4,5A5,5A6,5A7,5A8が等間隔で固定される。
図4(C)は、検査対象物30の下面を示している。中央部のピンの下面には冷却素子4が固定される。冷却素子4を中心とする半径60mmの円周上には、加熱素子5B1,5B2,5B3,5B4,5B5,5B6,5B7,5B8が等間隔で固定される。
図4に示す体系での必要冷却温度の加熱入熱速度依存性は、式(1)〜式(3)に以下の数値を代入することで求められる。
炭素鋼ピンサイズ:10mmφ×100mm
炭素鋼板サイズ:100mm×100mm×100mm
初期温度:20℃
ks=1.2×10−3%/℃
km=2×1011N/m2
P=150×106Pa
C1=28J/℃
C2=3.6kJ/℃
k1=3.1×10−2J/K
k2=3.1×10−2J/K
R1=0.3J/s
求められた必要冷却温度の加熱入熱速度依存性は、図5に示すようになる。図5において、横軸は加熱入熱速度R2を示し、縦軸は必要冷却温度T1を示している。このように、超音波探傷信号強度を基準に冷却素子と加熱素子を動作させることで閉口欠陥の開口のためのピンの必要冷却温度が上昇する。
炭素鋼ピンサイズ:10mmφ×100mm
炭素鋼板サイズ:100mm×100mm×100mm
初期温度:20℃
ks=1.2×10−3%/℃
km=2×1011N/m2
P=150×106Pa
C1=28J/℃
C2=3.6kJ/℃
k1=3.1×10−2J/K
k2=3.1×10−2J/K
R1=0.3J/s
求められた必要冷却温度の加熱入熱速度依存性は、図5に示すようになる。図5において、横軸は加熱入熱速度R2を示し、縦軸は必要冷却温度T1を示している。このように、超音波探傷信号強度を基準に冷却素子と加熱素子を動作させることで閉口欠陥の開口のためのピンの必要冷却温度が上昇する。
本実施形態では、図2に示したように、冷却素子を動作させた後、1つの加熱素子を動作させ、そのときの欠陥信号の有無、さらに、複数の加熱素子を動作させたときの欠陥信号の有無を確認しながら、動作させる加熱素子を変えて、温度分布を制御している。すなわち、本実施形態では、超音波探傷信号をモニタしながら加熱素子の動作条件を制御するよう構成されているので、温度分布すなわち熱応力分布を超音波探傷信号強度に基づいて制御することが可能であり、閉口欠陥の検出確率を向上することができる。
次に、図6〜図11を用いて、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図6を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
最初に、図6を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置の全体構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
UTセンサ3Aは、検査対象物30Aの上端面に固定される。UTセンサ3Aとしては、アレイセンサを用いている。なお、UTセンサ3Aの詳細構成については、図7を用いて後述する。UTセンサ3Aは、磁石,吸盤等によって固定される。
複数の冷却素子4が、検査対象物30Aの上面と下面にそれぞれ複数個ずつ固定される。すなわち、冷却素子4A1,4A2,4A3,4A4は、検査対象物30Aの下面側,すなわち、UTセンサ3Aが固定される面と反対側に固定される。また、冷却素子4B1,4B2,4B3,4B4は、検査対象物30Aの上面側,すなわち、UTセンサ3Aが固定される面と同一面側に固定される。冷却素子4は、磁石,吸盤等によって固定される。
次に、図7を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置に用いるUTセンサ3Aの構成について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置に用いるUTセンサの構成を示す斜視図である。
図7は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置に用いるUTセンサの構成を示す斜視図である。
UTセンサ3Aは、直方体の超音波素子7を平行に複数個配置し、保護ケース9に格納したアレイセンサである。超音波素子7の両端には電極10をもうけ、超音波探傷器2とUTセンサの信号線102により接続する。また、検査対象と接触する部位と反対側の端に超音波発振後の超音波素子の振動を低減するダンパー8を設ける。超音波素子7には、第1の実施形態と同様に、PZT、LiNbO3、PVDF等の圧電素子を用いる。電極10には、銀、金、銅等の導電性が高い金属を用いる。ダンパー8には、Ta、W、Hf等の重金属と樹脂を混合したものを用いる。保護ケース9は、金属ないし樹脂を材料として成形する。
次に、図8及び図9を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置に用いるUTセンサ3Aによる超音波探傷方法の原理について説明する。
図8及び図9は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置に用いるUTセンサによる超音波探傷方法の原理説明図である。
図8及び図9は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置に用いるUTセンサによる超音波探傷方法の原理説明図である。
本実施形態のUTセンサ3Aでは、平行配置した各超音波素子7−1,7−2,7−3,7−4,…,7−i,…から収束点に同時に超音波が届くように、以下の式(4),式(5)を用いて得られる超音波発振開始時間差dtを調整する。
dt=(max(L)−Li)÷V …(4)
Li=((xi−xf)2+(yi−yf)2)1/2 …(5)
ここで、
max(L):素子と収束点との最大距離[m]
Li:i番目の素子と収束点との距離[m]
V:音速[m/s]
xi:i番目の素子のx座標[m]
xf:収束点のx座標[m]
yi:i番目の素子のy座標[m]
yf:収束点のy座標[m]
である。
dt=(max(L)−Li)÷V …(4)
Li=((xi−xf)2+(yi−yf)2)1/2 …(5)
ここで、
max(L):素子と収束点との最大距離[m]
Li:i番目の素子と収束点との距離[m]
V:音速[m/s]
xi:i番目の素子のx座標[m]
xf:収束点のx座標[m]
yi:i番目の素子のy座標[m]
yf:収束点のy座標[m]
である。
図9は、式(4),式(5)を用いて求められる超音波発振開始時間差の例を示している。この例では、
V=5780[m/s]
xi=(0.5×i−0.25)×10−3[mm]
xf=0[m]
yi=0[m]
yf=3×10−2[m]
として、超音波素子7の素子数20個の場合の、センサの素子間の超音波発振開始時間差を求めている。図9に示すように、収束点から遠い素子を早く発振させることにより、各素子からの収束点への超音波到達時間をそろえ、信号強度を強くすることができる。
V=5780[m/s]
xi=(0.5×i−0.25)×10−3[mm]
xf=0[m]
yi=0[m]
yf=3×10−2[m]
として、超音波素子7の素子数20個の場合の、センサの素子間の超音波発振開始時間差を求めている。図9に示すように、収束点から遠い素子を早く発振させることにより、各素子からの収束点への超音波到達時間をそろえ、信号強度を強くすることができる。
次に、図10を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法の内容を示すフローチャートである。
図10は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置を用いた超音波探傷方法の内容を示すフローチャートである。
ステップS110において、パソコン1は、DAコンバータ6を介して冷却素子4A1,4A2,4A3,4A4,4B1,4B2,4B3,4B41つづつ順次動作させ、そのときの超音波探傷信号をUTセンサ3Aにより測定し、超音波探傷器2を介してパソコン1に取り込む。そして、そのときの欠陥信号の有無を調べる。
ステップS100で欠陥信号が検出された場合、ステップS110において、パソコン1は、動作時に欠陥信号が測定された冷却素子とその周りの冷却素子を同時に動作させたときの超音波探傷信号を測定する。
ステップS100で欠陥信号が検出されなかった場合、ステップS120において、パソコン1は、2つ以上の冷却素子を同時に動作させて超音波探傷信号を測定する。
ステップS120によって欠陥信号が検出されなかった場合には、ステップS130において、探傷を終了する。
一方、ステップS110の処理後あるいはステップS120で信号が検出された場合は、ステップS140において、パソコン1は、欠陥信号強度が最大となる加熱素子動作状態で超音波探傷信号を測定する。
次に、図11を用いて、本実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における信号伝達経路について説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における信号伝達経路を示すフロー図である。
図11は、本発明の第2の実施形態による閉口欠陥超音波探傷装置における信号伝達経路を示すフロー図である。
本実施形態では、パソコン1のキーボード26から検査開始の信号を入力し、パソコン1のI/Oポート25を介してパソコン1のCPU21に伝達する。パソコン1のCPU21で検査開始信号を受信後、検査開始信号をパソコン1のI/Oポート25、超音波探傷器2のI/Oポート25Aを介して超音波探傷器2のCPU21Aに伝達する。超音波探傷器2のCPU21Aで探傷開始信号にもとづき、超音波探傷器2のI/Oポート25A、DAコンバータ6Aを介してUTセンサ4に電圧を印加して超音波を送信する。
検査対象物30の内部を伝播して反射された超音波は、UTセンサ4で電圧に変換して、ADコンバータ29、超音波探傷器2のI/Oポート25Aを介して超音波探傷器1のCPU21Aに伝達する。超音波探傷器2のCPU21Aに伝達された超音波探傷信号は、ハードディスクドライブ(HDD)22A、ランダムアクセスメモリー(RAM)23A、リードオンリーメモリー(ROM)24Aのうち1つ以上の記憶装置に記録する。また、記録と同時に、超音波探傷器2のI/Oポート25A、パソコン1のI/Oポート25を介してパソコン1のCPU21に伝達する。パソコン1のCPU21では、超音波探傷信号強度の経時変化をパソコン1のHDD22、RAM23、ROM24のうち1つ以上の記録装置に記録するとともに、パソコン1のI/Oポート25を介してモニタ28に表示する。
超音波探傷信号取得開始と同時に、パソコン1のCPU21から冷却素子4への電力供給信号をパソコン1のI/Oポート25を介してDAコンバータ6に伝達し、DAコンバータ6から冷却素子4の駆動電力を供給する。パソコン1のCPU21では超音波探傷信号とともに、動作させた冷却素子の冷却出力と冷却時間を、パソコン1のHDD22、RAM23、ROM24のうち1つ以上の記録装置に記録する。
以上説明したように、本実施形態では、超音波探傷信号をモニタしながら冷却素子の動作条件を制御するよう構成されているので、温度分布すなわち熱応力分布を超音波探傷信号強度に基づいて制御することが可能であるため、閉口欠陥の検出確率が向上される。
1…パソコン
2…超音波探傷器
3,3A…UTセンサ
4…DAコンバータ
5…冷却素子
6…加熱素子
7…超音波素子
8…ダンパー
9…保護ケース
10…電極
21…CPU
22…ハードディスクドライブ(HDD)
23…ランダムアクセスメモリー(RAM)
24…リードオンリーメモリー(ROM)
25…I/Oポート
26…キーボード
28…モニタ
29…ADコンバータ
2…超音波探傷器
3,3A…UTセンサ
4…DAコンバータ
5…冷却素子
6…加熱素子
7…超音波素子
8…ダンパー
9…保護ケース
10…電極
21…CPU
22…ハードディスクドライブ(HDD)
23…ランダムアクセスメモリー(RAM)
24…リードオンリーメモリー(ROM)
25…I/Oポート
26…キーボード
28…モニタ
29…ADコンバータ
Claims (8)
- 検査対象物に配置した超音波センサを用いて、探傷する超音波探傷器と、前記検査対象物を冷却する冷却素子と、前記冷却素子による検査対象物の冷却を制御する制御手段とを有する超音波探傷装置であって、
前記検査対象物に配置された複数の加熱素子を備え、
前記制御手段は、前記冷却素子を制御するとともに、前記複数の加熱素子の内の任意の加熱素子を用いて前記検査対象物を加熱することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御することを特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項1記載の超音波探傷装置において、
前記制御手段は、上記超音波探傷器によって得られる超音波探傷信号強度をモニタしながら、前記冷却素子と前記加熱素子を制御することを特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項2記載の超音波探傷装置において、
前記制御手段は、上記超音波信号強度を増加させるように、前記冷却素子と前記加熱素子を制御することを特徴とする超音波探傷装置。 - 検査対象物を冷却する冷却素子により冷却しながら、前記検査対象物に配置した超音波センサを用いて、前記検査対象物を探傷する超音波探傷方法であって、
複数の加熱素子の内の任意の加熱素子を用いて前記検査対象物を加熱することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御しながら、探傷することを特徴とする超音波探傷方法。 - 検査対象物に配置した超音波センサを用いて、探傷する超音波探傷器と、前記検査対象物を冷却する冷却素子と、前記冷却素子による検査対象物の冷却を制御する制御手段とを有する超音波探傷装置であって、
前記冷却素子は、複数個備えられ、
前記制御手段は、前記複数の冷却素子の内の任意の冷却素子を用いて前記検査対象物を冷却することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御することを特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項5記載の超音波探傷装置において、
前記制御手段は、上記超音波探傷器によって得られる超音波探傷信号強度をモニタしながら、前記冷却素子を制御することを特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項6記載の超音波探傷装置において、
前記制御手段は、上記超音波信号強度を増加させるように、前記冷却素子を制御することを特徴とする超音波探傷装置。 - 検査対象物を冷却する冷却素子により冷却しながら、前記検査対象物に配置した超音波センサを用いて、前記検査対象物を探傷する超音波探傷方法であって、
複数の冷却素子の内の任意の冷却素子を用いて前記検査対象物を冷却することで、欠陥に生じる熱応力分布を制御しながら、探傷することを特徴とする超音波探傷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006309786A JP2008122350A (ja) | 2006-11-16 | 2006-11-16 | 超音波探傷装置及び方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2008122350A true JP2008122350A (ja) | 2008-05-29 |
Family
ID=39507244
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JP2006309786A Pending JP2008122350A (ja) | 2006-11-16 | 2006-11-16 | 超音波探傷装置及び方法 |
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JP (1) | JP2008122350A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014085161A (ja) * | 2012-10-19 | 2014-05-12 | Tohoku Univ | 構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置 |
-
2006
- 2006-11-16 JP JP2006309786A patent/JP2008122350A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014085161A (ja) * | 2012-10-19 | 2014-05-12 | Tohoku Univ | 構造物欠陥の非破壊検査方法および構造物欠陥の非破壊検査装置 |
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