JP2014084331A - 金属酸化物薄膜を有するフィラーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面硬度の大きい高熱伝導性の無機フィラーが分散機、成形機、金型等を摩耗させるという課題を解決することができる高熱伝導性の無機フィラーの製造方法を提供する。
【解決手段】金属フッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤を含有する水溶液を撹拌下、熱伝導率が20W/m・K以上の無機フィラーと接触させることを特徴とする金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法に関する。さらに詳しく言えば、金属酸化物含有水溶液を撹拌条件下、高熱伝導率の無機フィラーと接触させることにより無機フィラー表面に金属酸化物薄膜を形成する高熱伝導率無機フィラーの製造方法に関するものである。
近年、電気機器、電子部品の小型化、ハイパワー化により、狭いスペースの中で電子部品等から発生する熱を如何に放熱するかが問題になっている。そのため、電子部品の発熱対象部からヒートシンクなどの放熱部材へ熱を伝導させる放熱材料の使用量が近年急激に増加している。放熱材料としては、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に高熱伝導性の無機フィラーを充填した組成物が使用されている。しかし、電子機器、電子部品からの発熱量は増大する傾向にあり、これらに使用される放熱材料はさらなる熱伝導率の向上が求められている。そのためには高熱伝導性の無機フィラーを樹脂にさらに高充填する必要がある。
高熱伝導性の無機フィラーとしては、黒鉛、ダイヤモンド、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ等が使用されているが、それぞれ使用にあたり問題を抱えている。例えば、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、アルミナは硬度が大きいため、樹脂との混合時に使用する分散機や、成形加工時に使用する成形機、金型等を摩耗する問題がある。
その問題を解決する方法として、前述した無機フィラーを他の材料で被覆する方法が考えられる。特開平10−158010号公報(特許文献1)には、ケイフッ化アンモニウムを用いて酸化ケイ素水溶液を調製し、酸化ケイ素薄膜を平坦あるいは一定の形状をもつ基材上に形成する方法が開示され、特開平10−158014号公報(特許文献2)には同様にケイフッ化アンモニウムあるいはチタンフッ化アンモニウムを用いてそれぞれ酸化ケイ素水溶液、酸化チタン水溶液を調製し、平坦あるいは一定の形状をもつ基材上に対応する金属酸化物薄膜を形成する方法が開示されているが、これらの方法は静置した基材に金属酸化物水溶液を接触させているため、無機フィラーのような粒子状の基材に適用した場合には、無機フィラー同士の接触・凝集が抑制できず、無機フィラー表面には金属酸化物薄膜に形成されない部分が生ずる。その結果、無機フィラー全体を均一に被覆することが困難であり、前述した分散機や成形機等の摩耗の問題を解決することはできない。
特開平10−158010号公報 特開平10−158014号公報
従って、本発明は表面硬度の大きい高熱伝導性の無機フィラーの性能を維持しつつ、分散機、成形機、金型等を摩耗させるという問題を解決することができる高熱伝導性の無機フィラーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、高熱伝導率の無機フィラー表面に特定の方法にて金属酸化物の薄膜を形成することにより、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]〜[8]の通りである。
[1]金属フッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤を含有する水溶液を撹拌下、熱伝導率が20W/m・K以上の無機フィラーと接触させることを特徴とする金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法。
[2]金属フッ化アンモニウムを含む水溶液にフッ酸捕捉剤を添加して金属フッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤を含有する水溶液を調製し、前記水溶液を撹拌下、25〜95℃の温度範囲で熱伝導率が20W/m・K以上の無機フィラーと接触させることを特徴とする金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法。
[3]金属酸化物が酸化ケイ素または酸化チタンである前項1または2記載の無機フィラーの製造方法。
[4]金属フッ化アンモニウム塩がケイフッ化アンモニウムまたはチタンフッ化アンモニウムである前項1または2記載の無機フィラーの製造方法。
[5]フッ酸捕捉剤がホウ酸またはアルミニウム塩である前項1または2記載の無機フィラーの製造方法。
[6]熱伝導率20W/m・K以上の無機フィラーが、黒鉛、ダイヤモンド、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及びアルミナからなる群から選択される前項1または2記載の無機フィラーの製造方法。
[7]無機フィラーが平均粒子径0.1μm〜1mmの粒子である前項1〜6のいずれかに記載の無機フィラーの製造方法。
[8]前項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた金属酸化物薄膜を有する無機フィラー。
本発明者の方法により得られる表面に金属酸化物の薄膜を形成した高熱伝導率の無機フィラーは、無機フィラーの性能を維持しつつ、分散機、成形機、金型等を摩耗させるという問題を解決することができる。
実施例1で得た酸化チタン被覆黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真(A:倍率×1000、B:倍率×40000)、及び原料黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真(C:倍率×1000、D:×40000)である。 実施例2で得た酸化チタン被覆ダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡写真(A)及びエネルギー分散型X線分析装置でチタン原子の存在を確認した結果(B)(倍率は共に×10000倍)である。 実施例3で得た酸化ケイ素被覆ダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡写真(A)及びエネルギー分散型X線分析装置でチタン原子の存在を確認した結果(B)(倍率は共に×10000)である。
本発明は、放熱材料基材樹脂中に硬度の高い高熱伝導率の無機フィラーを均一に分散するために用いる分散機、及び無機フィラーを含む樹脂組成物を所望の形状の放熱材料に成形するために用いる成形機や金型が、無機フィラーと接触して摩耗する現象を抑制することのできる金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法を提供するものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において、高熱伝導率の無機フィラーの表面に形成する金属酸化物膜を構成する金属酸化物としては、無機フィラーの高熱伝導率特性を損なわず、分散機、成形機、金型等との接触によりそれらの摩耗が抑制され性質を有するものであればよい。具体例としては、酸化ケイ素、酸化チタン等が挙げられる。
[金属酸化物薄膜の形成方法]
まず、本発明の金属酸化物薄膜の形成方法について説明する。
以下に酸化ケイ素薄膜を形成する方法について説明を例にとって記載するが、酸化ケイ素以外の金属酸化物薄膜を形成する場合も同様に行うことができる。
まず、ケイフッ化アンモニウム水溶液に、フッ酸捕捉剤あるいはフッ酸捕捉剤水溶液を添加し混合する。この混合により下記式(1)の反応が徐々に進行し、酸化ケイ素が生成していく。式(1)の反応は可逆反応であり、生成するフッ酸がフッ酸捕捉剤で捕捉されて反応系から除外されることにより式(1)の反応は右に移動する。その結果、酸化ケイ素が効率よく生成する。
Figure 2014084331
この反応式(1)の平衡を右に進めるフッ酸捕捉剤としては、フッ酸と反応して水溶性の安定した錯体を形成することができるホウ酸あるいはアルミニウム塩を用いるのが好ましい。使用できるアルミニウム塩の具体例としては、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウムが挙げられる。ホウ酸はフッ化水素と反応することにより、BF4 -イオンとなり、アルミニウム塩はAlF4 -イオンとなる。
ここで、ケイフッ化アンモニウム水溶液へのフッ酸捕捉剤への添加方法は、フッ酸捕捉剤をそのまま投入しても、フッ酸捕捉剤水溶液にして投入してもよいが、フッ酸捕捉剤水溶液を投入した方が、水溶液を速やかに均一にできるので好ましい。ケイフッ化アンモニウム水溶液とフッ酸捕捉剤を混合した後のケイフッ化アンモニウムの濃度は0.01〜1.5モル/リットル、フッ酸捕捉剤の濃度は0.005〜1.0モル/リットルであることが好ましい。ケイフッ化アンモニウムの濃度が0.01モル/リットル未満であれば、所定の膜厚の酸化ケイ素薄膜を得るまでに長時間かかる場合があり、ケイフッ化アンモニウムの濃度が1.5モル/リットルを超えると、水溶液がゲル化して酸化ケイ素薄膜が得られない場合がある。好ましいケイフッ化アンモニウムの濃度は0.05〜1.0モル/リットルの範囲である。またフッ酸捕捉剤の濃度が0.005モル/リットル未満であると酸化ケイ素が無機フィラーの表面に析出しない場合があり、1.0モル/リットルを超えると水溶液中に酸化ケイ素の沈澱物が生じると共に均一な厚みの酸化ケイ素薄膜を形成することができない場合がある。好ましいフッ酸捕捉剤の濃度は、0.01〜0.5モル/リットルの範囲である。
次に薄膜形成工程について説明する。金属酸化物薄膜は、ケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤の混合水溶液に無機フィラーを浸漬・撹拌することにより形成することができる。ケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤水溶液の混合水溶液中で徐々に酸化ケイ素が生成する。浸漬・撹拌開始後10〜200時間処理すると、無機フィラーの表面に所望の膜厚の酸化ケイ素薄膜が形成できる。処理時間が短すぎると酸化ケイ素薄膜が形成されない場合があり、処理時間が長すぎると酸化ケイ素薄膜が厚くなりすぎたり、生産性が悪くなる場合がある。好ましい処理時間の範囲は20〜150時間である。
無機フィラーを処理している間のケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤の混合水溶液の温度は、20〜95℃が好ましい。ケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤の混合水溶液の温度が20℃未満であれば、所定の膜厚の酸化ケイ素薄膜を得るまでに時間がかかり生産性が低くなる。また無機フィラーを処理させている間のケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤の混合水溶液の温度が95℃を超えると、水溶液が沸騰し均一な薄膜の析出が妨げられる。より好ましくは25〜70℃である。
本工程で使用できる無機フィラーの量は、その比表面積によって異なるが、ケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤の混合水溶液1リットルに対して、1〜100gが好ましく、より好ましくは5〜50gである。1g未満では生産性が悪くなり、100gを超えると酸化ケイ素薄膜が形成できない部分が生じる。
本薄膜形成工程においては、無機フィラーの存在下、ケイフッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤の混合水溶液を適度な速度で撹拌することが重要である。撹拌することにより、生成した酸化ケイ素の濃度勾配が生じることを抑制したり、無機フィラーの凝集を防止することができ、その結果、無機フィラー上に酸化ケイ素薄膜を均一に形成することができる。好ましい撹拌速度は、処理に使用する容器において、最大線速度が0.1〜10m/秒の範囲、より好ましくは0.2〜5m/秒の範囲である。0.1m/秒未満では、無機フィラーの沈殿凝集を抑制できず、10m/秒を超えると、気泡等を巻き込み、均質な薄膜の形成を阻害する。具体的な撹拌方法としては、例えば棒状、板状あるいはプロペラ状の撹拌子を反応槽内で一定速度、一定方向に回転させる公知の方法を挙げることができる。酸化ケイ素薄膜が不均一にならない範囲で間欠撹拌をしてもよい。撹拌子の動力伝達方法としては、モーター等の動力源と連結させた回転軸を介して撹拌子を回転させる方法、樹脂でコーティングした棒状の磁石を撹拌子とし、反応槽の外部から回転する磁界で撹拌子を回転させる方法を挙げることができる。
酸化ケイ素薄膜の厚みは、主にケイフッ化アンモニム濃度、フッ酸捕捉剤濃度、処理時間、温度を変えることにコントロールすることができる。厚くする場合はケイフッ化アンモニム、フッ酸捕捉剤の濃度を高く、処理時間を長く、温度を高く設定する。膜厚を薄くしたい場合は、逆の条件に設定すれば良い。
酸化ケイ素薄膜の膜厚は、厚過ぎると被覆後の無機フィラーの熱伝導率が低下する。また薄過ぎると機械的な耐久性が低下する。よって、これらを勘案すると好ましい膜厚の範囲は10〜1000nm、好ましくは20〜500nmである。膜厚は、例えば透過型電子顕微鏡を使用して測定することができる。
上記実施の形態において、後処理として加熱処理を施してもよい。加熱処理により、無機フィラーに対する酸化ケイ素薄膜の付着強度が増加して酸化ケイ素被薄膜の硬度(強度)を向上させることができる。加熱処理の温度としては400℃以上、より好ましくは500℃である。
酸化チタン薄膜についても同様の方法にて調製することができる。
[無機フィラー]
本発明に使用される無機フィラーは、20W/m・K以上の高熱伝導性の無機フィラーである。熱伝導率が20W/m・K以上のフィラーとしては、黒鉛(熱伝導率:100〜300W/m・K)、ダイヤモンド(合成ダイヤモンドを含む)(熱伝導率:2000W/m・K)、アルミナ(熱伝導率:36W/m・K)、窒化ホウ素(熱伝導率:60W/m・K)、窒化アルミニウム(熱伝導率:200W/m・K)、窒化ケイ素(20W/m・K)等が挙げられる。黒鉛は天然黒鉛、人造黒鉛があり、その種類、製造方法により熱伝導率が異なるが、20W/m・K以上の熱伝導率を有するのであれば、問題なく使用できる。これらの中で黒鉛、ダイヤモンド、窒化ホウ素は表面官能基が少ないために樹脂と界面接着が悪いという問題がある。また、ダイヤモンド、アルミナ、窒化アルミニウムは表面硬度が高いので、分散機、成形機、金型を摩耗させる問題があり、本発明により表面に酸化金属の薄膜を形成することによりそれらの課題が解決できる。
また、本発明で使用される無機フィラーは平均粒子径が0.1μm〜1mmの粒子である。平均粒子径が1mmより大きくなると、樹脂との配合・成形時に平滑面が得られなくなる。0.1μm未満では、有効な熱伝導が困難となる。好ましくは0.5〜200μmの範囲である。
本発明において無機フィラーの熱伝導率は、ファインセラミックスのレーザフラッシュ法による熱拡散率,比熱,熱伝導率試験法:JISR 1611(2010)に規定される方法に準じて測定されたものである。
本発明に使用されるフィラーの平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定することによって得られた値である。具体的には、(株)セイシン企業製・レーザー回折散乱式粒度分布測定器(LMS−2000e)を使用することにより測定することができる。なお、平均粒子径はある粒度分布に対して、積算値が50体積%である粒径(直径)を示している。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[原料]
実施例、比較例で用いた無機フィラー、金属フッ化アンモニウム及び捕捉剤は下記の通りである。
黒鉛粒子:商品名 ショーカライザーS(昭和電工株式会社)を篩分け、目開き250μmの篩を通り、目開き75μmの篩を通らなかった画分(平均粒子径97μm)を使用、
合成ダイヤモンド:商品名 エスダイス SDD−PS 0−1(平均粒子径0.5μm)(昭和電工株式会社)、
チタンフッ化アンモニウム((NH42TiF6)(森田化学工業株式会社)、
ケイフッ化アンモニウム((NH42SiF6)(森田化学工業株式会社)、
ホウ酸(純正化学株式会社)、
球状シリカ:SO−C2(平均粒子径0.5μm)(株式会社アドマテックス)。
実施例1:酸化チタン被覆黒鉛の調製
チタン源にチタンフッ化アンモニウム、フッ酸補足剤としてホウ酸を用いた。チタンフッ化アンモニウムを1.98g(0.01モル)、ホウ酸を1.24g(0.02モル)秤量し、それぞれ蒸留水40mlに溶解した。各原料水溶液において全体が50mlとなるように蒸留水を加えた。各原料水溶液を200mlビーカーに入れて混合後、テフロンでコーティングした棒状の磁石を撹拌子としたマグネチックスターラーで最大線速度0.5m/秒の速度で撹拌しながらその中に黒鉛(ショーカライザーS)を2g加えた(チタンフッ化アンモニウム0.1モル/リットル、ホウ酸0.2モル/リットル)。この調合液を65℃で保温し、撹拌しながら72時間処理し、酸化チタンを析出させた。その後、吸引ろ過装置を用い、原料水溶液と作製した酸化チタン被覆黒鉛を分離・回収した。作製した酸化チタン被覆黒鉛を蒸留水で洗浄し、100℃で乾燥した。図1に得られた酸化チタン被覆黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真(A:倍率×1000、B:倍率×40000)及び原料黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真(C:倍率×1000、D:×40000)を示す。酸化チタン被覆処理を行った黒鉛粒子は微粒子の付着が観察された。
実施例2:酸化チタン被覆ダイヤモンドの調製
チタン源にチタンフッ化アンモニウム、フッ酸補足剤としてホウ酸を用いた。チタンフッ化アンモニウムを1.98g(0.01モル)、ホウ酸を1.24g(0.02モル)秤量し、それぞれ蒸留水40mlに溶解した。各原料水溶液において全体が50mlとなるように蒸留水を加えた(チタンフッ化アンモニウム0.1モル/リットル、ホウ酸0.2モル/リットル)。各原料水溶液を200mlビーカーに入れて混合後、テフロンでコーティングした棒状の磁石を撹拌子としたマグネチックスターラーで最大線速度0.5m/秒で撹拌しながらその中に合成ダイヤモンド(エスダイス SDD−PS 0−1)を2g加えた。この調合液を65℃で保温し、撹拌しながら72時間処理し、酸化チタンを析出させた。その後、吸引ろ過装置を用い、原料水溶液と作製した酸化チタン被覆ダイヤモンドを分離・回収した。調製した酸化チタン被覆ダイヤモンドを蒸留水で洗浄し、100℃で乾燥した。図2に得られた酸化チタン被覆ダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡写真(A)さらにエネルギー分散型X線分析装置でチタン原子の有無を確認した結果(B)(倍率は共に×10000)を示す。(B)において白っぽくなっている部分にチタン原子が存在する。この結果より合成ダイヤモンド表面に酸化チタン存在することが示された。酸化チタン被覆前のダイヤモンドにはチタン原子は検出されなかった。
実施例3:酸化ケイ素被覆ダイヤモンドの調製
ケイ素源にケイフッ化アンモニウム、フッ酸補足剤としてホウ酸を用いた。ケイフッ化アンモニウムを1.43g(0.008モル)、ホウ酸を0.093g(0.0015モル)秤量し、それぞれ蒸留水50mlに溶解した。各原料水溶液において全体が60mlとなるように蒸留水を加えた。各原料水溶液を200mlビーカーに入れて混合後、テフロンでコーティングした棒状の磁石を撹拌子としたマグネチックスターラーで最大線速度0.5m/秒で撹拌しながらその中に合成ダイヤモンド(エスダイス SDD−PS 0−1)3gを加えた(ケイフッ化アンモニウム0.067モル/リットル、ホウ酸0.0125モル/リットル)。この調合液を30℃に保温し、撹拌しながら120時間処理し、酸化ケイ素を析出させた。その後、吸引ろ過装置を用い、原料水溶液と作製した酸化ケイ素被覆ダイヤモンドを分離・回収した。作製した酸化ケイ素被覆ダイヤモンドを蒸留水で洗浄し、100℃で乾燥した。図3に得られた酸化ケイ素被覆ダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡写真(A)及びさらにエネルギー分散型X線分析装置でケイ素原子の有無を確認した結果(倍率は共に×10000)を示す。(B)において白っぽくなっている部分にケイ素原子が存在する。この結果より合成ダイヤモンド表面に酸化ケイ素が存在することが示された。酸化ケイ素被覆前のダイヤモンドにはケイ素原子は検出されなかった。
比較例1:
比較例1として、撹拌処理なしで実施例2と同様の方法で酸化チタン被覆ダイヤモンドを調製した。チタン源にチタンフッ化アンモニウム、フッ酸補足剤としてホウ酸を用いた。チタンフッ化アンモニウムを1.98g(0.01モル)、ホウ酸を1.24g(0.02モル)秤量し、それぞれ蒸留水40mlに溶解した。各原料水溶液において全体が50mlとなるように蒸留水を加えた(チタンフッ化アンモニウム0.1モル/リットル、ホウ酸0.2モル/リットル)。各原料水溶液を200mlビーカーに入れて混合後、静置し、その中に合成ダイヤモンド(エスダイス・SDD−PS 0−1)を2g加えた。この調合液を65℃で保温しながら72時間処理し、酸化チタンを析出させた。その後、吸引ろ過装置を用い、原料水溶液と作製した酸化チタン被覆ダイヤモンドを分離・回収した。調製した酸化チタン被覆ダイヤモンドを蒸留水で洗浄し、100℃で乾燥した。
[フィラーの表面分析]
実施例1で得られた酸化チタン被覆黒鉛及び原料黒鉛を走査型電子顕微鏡(JEOL製,JCM−5700)で、実施例2で得られた酸化チタン被覆ダイヤモンド、実施例3で得られた酸化ケイ素被覆ダイヤモンド、及び原料ダイヤモンドを走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置(JEOL製、JSM−7000F)で測定することにより表面の元素の分布を調べ、金属酸化物の被覆の有無を確認した。
[摩耗性の評価]
実施例2及び比較例1で得た酸化チタン被覆ダイヤモンド、及び分散剤(花王株式会社製,デモール)がそれぞれ0.2g/100mlとなるように調製した後、分散機で分散処理を行った。これらの分散液をMSE(マイクロスラリージェットエルージョン)試験機(株式会社パルメソ製)を用いてSUS304基板に投射した。一定量投射した後、SUS304基板の摩耗深さを、触針式表面形状測定機(株式会社小坂研究所製)を用い測定した。測定条件は、触針がR2μmダイヤモンド針、測定力0.3mN、送り速度0.5μm/秒である。結果を表1に示す。摩耗深さが大きいほどフィラーが有する摩耗力は大きい。比較として酸化チタン被覆前の原料である合成ダイヤモンド(エスダイス SDD−PS 0−1)を使用した。また、成形機の金型の摩耗の点で実用上問題なく使用されている真球状シリカ(SO−C2、平均粒子径0.5μm、株式会社アドマテックス製)をも基準品として使用し、真球状シリカと同程度の摩耗深さであれば、合格とした。
Figure 2014084331
表1より、実施例2の酸化チタン被覆ダイヤモンドは被覆前より摩耗性が低下しており、真球状シリカと同程度であることが判明した。また、比較例2は不均一に酸化チタン薄膜が形成されたためか、摩耗性は実施例2ほど低下しなかった。

Claims (8)

  1. 金属フッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤を含有する水溶液を撹拌下、熱伝導率が20W/m・K以上の無機フィラーと接触させることを特徴とする金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法。
  2. 金属フッ化アンモニウムを含む水溶液にフッ酸捕捉剤を添加して金属フッ化アンモニウムとフッ酸捕捉剤を含有する水溶液を調製し、前記水溶液を撹拌下、25〜95℃の温度範囲で熱伝導率が20W/m・K以上の無機フィラーと接触させることを特徴とする金属酸化物薄膜を有する無機フィラーの製造方法。
  3. 金属酸化物が酸化ケイ素または酸化チタンである請求項1または2に記載の無機フィラーの製造方法。
  4. 金属フッ化アンモニウム塩がケイフッ化アンモニウムまたはチタンフッ化アンモニウムである請求項1または2に記載の無機フィラーの製造方法。
  5. フッ酸捕捉剤がホウ酸またはアルミニウム塩である請求項1または2に記載の無機フィラーの製造方法。
  6. 熱伝導率20W/m・K以上の無機フィラーが、黒鉛、ダイヤモンド、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及びアルミナからなる群から選択される請求項1または2に記載の無機フィラーの製造方法。
  7. 無機フィラーが平均粒子径0.1μm〜1mmの粒子である請求項1〜6のいずれかに記載の無機フィラーの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた金属酸化物薄膜を有する無機フィラー。
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