JP2014081294A - 皮膚外用剤の塗布支援システム、塗布支援方法、及びプログラム - Google Patents

皮膚外用剤の塗布支援システム、塗布支援方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 塗布状態を確認しながら、皮膚外用剤の塗布を可能とすることを目的とする。
【解決手段】 塗布支援システム100は、ダイクロイックミラー2と、被写体を照明する照明装置3と、ダイクロイックミラー2を介して被写体を撮像する撮像装置4と、可視光を照射する照射装置5と、サンスクリーン剤の塗布状態を評価し、非塗布領域を標示する塗布支援装置1と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、皮膚外用剤の塗布を支援する技術に関する。
近年、紫外線の健康への影響に関する研究が進んでいる。地表に届く紫外線には、UV−A(長波長紫外線)とUV−B(中波長紫外線)が存在し、UV−Aは主にメラニン色素を生じる黒化反応(tanning)を引き起こし、UV−Bは主に紅斑を生じる紅斑反応(burning)を引き起こすとされている。また、紫外線は急性症状だけでなく、細胞のDNAを損傷させて皮膚の老化、癌化、免疫機能の低下等、慢性的かつ深刻な健康被害をもたらす。既に各国では、紫外線へのばく露を自粛するよう勧告がなされており、今後も対策や教育の徹底が求められている。
一般的な紫外線対策としては、外出の規制、服装と並んで、日焼け止め(サンスクリーン剤)による防護が挙げられる。このような紫外線防護効果を有する皮膚外用剤は紫外線吸収剤と紫外線散乱剤に大別され、前者は紫外線を吸収することで紫外線から肌を防護し、拡散剤は紫外線を散乱させることで肌を防護する。このような皮膚外用剤の防護効果については、SPF(Sun Protection Factor)やPA(Protection grade of UVA)等の指標が定められており、規定通りに使用すれば、指標に近い大きな効果を得られる。しかしながら、無色透明であることの多い皮膚外用剤を、指標で規定される通りに厚く、均一に塗布することは非常に難しい。また、その効果は発汗や接触、紫外線そのものによる劣化等で失われてゆくため、一定時間毎の再塗布も推奨されている。このように、皮膚外用剤によって十分な防護効果を得るには、入念かつ頻繁な塗布が必要となる。
そこで、皮膚外用剤を正しく塗布するために、塗布状態を判定するための技術が知られている。例えば特許文献1には、皮膚に紫外線を照射しながら画像を撮影し、撮像画像からサンスクリーン剤の塗布状態を判定する塗布状態判定装置が開示されている。
特開2005−321333号公報
しかしながらこのような技術は、暗室空間でその瞬間の塗布状態を確認するものである。従って、利用者が自らの塗布状態を確認しながら適切な塗布を行うことは難しかった。
そこで本発明は、塗布状態を確認しながら、皮膚外用剤の塗布を可能とする塗布支援システムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の一態様に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、対象物の実時間像を映す反映手段と、前記対象物の皮膚外用剤の塗布状態を判定する判定手段と、前記塗布状態を、前記実時間像に提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のさらなる態様に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、前記対象物に所定の波長域の紫外光を照明する照明手段と、前記紫外光に感度を有する撮像手段と、をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、前記反映手段は、前記紫外光を透過させ、可視光を反射させるダイクロイックミラーを有し、前記撮像手段は、前記ダイクロイックミラーを介して前記対象物を撮像し、前記提示手段は、前記対象物に対して可視光を照射することで、前記塗布状態を提示することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、前記反映手段は、前記紫外光と所定の波長域の可視光とを透過させ、当該可視光以外を反射させるダイクロイックミラーを有し、前記撮像手段は、前記ダイクロイックミラーを介して前記対象物を撮像し、前記提示手段は、前記対象物に対し、前記ダイクロイックミラーを介して前記可視光を照射することで、前記塗布状態を提示することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、前記反映手段は、ミラーを有し、前記提示手段は、前記対象物に対し、可視光を照射することで前記塗布状態を提示することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、前記反映手段は、ディスプレイを有し、前記提示手段は、前記ディスプレイに表示される前記実時間像に、前記塗布状態を示す画像を合成して表示することを特徴とする。
塗布状態を確認しながら、皮膚外用剤の塗布を可能とする塗布支援装置を提供することを目的とする。
塗布支援システム100の全体像を示す概略構成図である。 塗布支援システム100の機能構成を説明するためのブロック図である。 (a)照明装置3の分光特性を示すグラフである。(b)ダイクロイックミラー2の分光特性を示すグラフである。 (a)照明装置3からの照明光の光路を説明する説明図である。(b)照射装置5からのレーザー光の光路を説明する説明図である。 (a)撮像画像の一例である。(b)解析画像の一例である。 照射の実行中に、利用者が視認する像の一例である。 照射の実行中に、利用者が視認する像の一例である。 塗布支援装置1の実行する測定処理の流れを示すフローチャートである。 塗布支援システム100Aの機能構成を説明するためのブロック図である。 (a)ダイクロイックミラー2Aの分光特性を示すグラフである。(b)照射装置5Aからのレーザー光の光路を説明する説明図である。 塗布支援システム100Bの機能構成を説明するためのブロック図である。 (a)ダイクロイックミラー2Bの分光特性を示すグラフである。(b)照射装置5Aからのレーザー光の光路を説明する説明図である。 塗布支援システム100Cの機能構成を説明するためのブロック図である。 投影画像の一例である。 投影装置7からの投影像の光路を説明する説明図である。 投影の実行中に、利用者が視認する像の一例である。 塗布支援装置1Cの実行する測定処理の流れを示すフローチャートである。 塗布支援システム100Dの機能構成を説明するためのブロック図である。 投影装置7からの投影像の光路を説明する説明図である。 塗布支援システム100Eの機能構成を説明するためのブロック図である。 照射装置5からのレーザー光の光路を説明する説明図である。 塗布支援システム100Fの機能構成を説明するためのブロック図である。 塗布支援装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
本発明に係る皮膚外用剤の塗布支援システムは、皮膚外用剤(サンスクリーン剤)の塗布状態(塗りむら)を検出し、利用者に対してその標示を行うものである。以下、対象として顔面の皮膚を用いる例を示すが、必ずしもこれに限らず、手や足等の他の部位であってもよい。また、爪等の他の器官であってもよく、生体以外の物質に対しても応用が可能である。
<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態に係る塗布支援システム100について、図面を参照しながら説明する。図1は塗布支援システム100の全体像を示す概略構成図、図2は塗布支援システム100の機能構成を説明するためのブロック図である。
まず、本実施形態における塗布支援システム100は、塗布支援装置1と、ダイクロイックミラー2と、照明装置3と、撮像装置4と、照射装置5と、を備えている。このうち、塗布支援装置1及び撮像装置4は、ダイクロイックミラー2の裏面側に配置されている。また、各装置は情報又は信号の送受信が可能なように接続されているものとする。
ダイクロイックミラー2は、屈折率の異なる誘電体物質の多層膜により特定の波長域の光を透過させて他の波長域の光を反射させる半透過鏡である。特に本実施形態に係るダイクロイックミラー2は、可視光を反射させることで利用者の実時間像を映し出すと共に、紫外光に該当する波長域の光を透過させる。紫外光に該当する波長域の光としては例えば、UV−A(315〜400nm)、UV−B(280〜315nm)等の波長域の光が挙げられる。しかしながら透過光はこの限りではなく、照明装置3の備える光源に含まれる紫外線波長域の光について少なくとも一部を透過させるものであればよい。なお、本実施形態に係るダイクロイックミラー2は、約320〜400nmの波長域の光を透過させ、他の波長域の光を反射させるものとする。図3(a)に、このようなダイクロイックミラー2の分光特性の一例を表すグラフを示す。
照明装置3は、後述の塗布支援装置1からの照明命令を受け付けると、光源を点灯させてダイクロイックミラー2の表面側に位置する被写体に対して光を照射する。このような照明装置3は、紫外線を含む光源を有するものから選択が可能である。その波長は、実際に地表に届く315〜400nm(UV−A)、280〜315nm(UV−B)等の紫外線であることが望ましく、2以上の異なる波長域の光を同時に照射するものであってもよい。このような光源としては例えば、特定の波長域の紫外線を照射可能なLEDやブラックライト等が挙げられる。図3(b)に、照明装置3の分光特性の一例を表すグラフを示す。
このような照明装置3の照明光は、図4(a)に示すように、被写体(ここでは、例えば利用者の顔面)の皮膚で散乱してダイクロイックミラー2を透過し、裏面側に設置される撮像装置4へと到達する。
なお、照明装置3は必ずしも1つである必要はなく、被写体をむらなく照明するためには複数用いることが望ましい。ここでは例えば、上述のダイクロイックミラー2の枠全ての辺に光源を設置して、被写体を複数の方向から照明し、撮像画像に影が生じ難くなるようにしている。その場合各光源の位置は、撮像装置4からそれぞれ等しい距離にあることが望ましい。また、被写体からの距離についても、それぞれ等しい距離であることが望ましい。
撮像装置4は、後述の塗布支援装置1からの撮像命令を受け付けると、所定のタイミング毎に上述のダイクロイックミラー2の表面側に位置する被写体を裏面側から撮像し、撮像画像を塗布支援装置1へと出力する。このような撮像装置4は、サンスクリーン剤の塗布状態を解析可能な画像を撮像し得る一般的な撮像装置から適宜選択することができる。本実施形態では例えば、紫外領域に感度を有するカメラ又はビデオカメラであるものとし、約320〜400nmの波長域の紫外線を捕捉する。なお、撮像装置4は被写体を略正面から撮像し得る位置に配置されるのが望ましい。また、撮像装置4も必ずしも1つである必要はなく、感度の異なるカメラを複数台備えてもよい。
照射装置5は、利用者にサンスクリーン剤の塗布状態を光により提示するものである。従ってポインティングが可能な可視光を照射し得る装置であればどのようなものであってもよく、例えば指向性の高い半導体レーザを用いたレーザポインタ等が挙げられる。但し、照射される光は長時間直視しても問題が無い程度の出力であることが望ましい。
本実施形態においては、照射装置5をダイクロイックミラー2の上部と左右に3台設ける構成としているが、必ずしもこの限りではない。また、レーザ形状は円形や方形、点、矢印等どのようなものであってもよいが、ここではある程度の範囲を指示できるような数センチ程度の円或いは楕円であるものとする。
駆動装置6は、照射装置5を駆動させることで光の照射方向を変化させる。ここでは駆動装置6は、照射装置5を旋回させて縦方向に180°の走査範囲を与える。
なお、このような照射装置5の照射光は、図4(b)に示すように、被写体(ここでは、例えば利用者の顔面)の皮膚で散乱し、当該散乱光はダイクロイックミラー2で反射されて、利用者の眼に到達することで視認される。
次に、塗布支援装置1について説明する。塗布支援装置1は、各部を統括制御する制御部11と、各種情報を記憶する記憶部12と、各部及び各装置間を相互に接続する入出力インターフェース部(以下、IF部と称する)13と、を備えている。
IF部13は、各機能部間及び各装置間を、情報や信号の送受信可能に接続するインターフェースを提供する。
制御部11は、撮像画像を取得する画像取得部111と、撮像画像の解析を行う画像解析部112と、照射対象となる領域を選択してその照射位置を特定する照射特定部113と、照射位置へレーザー光を照射させる照射実行部114と、を有している。
ここで、制御部11がサンスクリーン剤の塗布状態を検出する手法について説明する。
紫外線を被写体に照射しながら紫外線波長領域における撮像を行った場合、紫外線吸収剤の塗布領域は、紫外線の吸収により非塗布領域よりも低輝度に観察される。
紫外線散乱剤の塗布領域についても同様に、紫外線の散乱により非塗布領域より低輝度に観察される。これは、肌のような散乱面は正反射方向ほど高輝度で観察されるという散乱特性を有しているが、紫外線散乱剤を塗布することによって小さな散乱角では低輝度に、大きな散乱角では高輝度に観察されるようになるからである。従って利用者の正面から撮像された散乱角が小さな画像では、紫外線散乱剤の塗布領域が肌よりも低輝度で観察される。
このように、紫外線を照射しながら紫外線波長領域における撮像を行えば、肌で反射される紫外線を直接検出し、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の塗布又は非塗布を判定することができる(このような手法を、紫外直接法と称する)。以下、具体的な処理について説明する。
画像取得部111は、照明を実行させるための照明命令を出力し、照明装置3に紫外光を含む照明を開始させる。その後、撮像装置4に撮像を実行させるための撮像命令を出力して、撮像を開始させる。そして画像取得部111は、撮像装置4から送信される撮像画像を受信すると、記憶部12の画像記憶領域121へと蓄積する。
なお画像取得部111は、可視光についても同時に制御してもよい。例えば画像取得部111は、撮像が可能な範囲で照明装置3や他の室内照明等により可視光を照射させ、利用者がサンスクリーン剤の塗布に要する光量を確保することが望ましい。
画像解析部112は、画像記憶領域121に格納される最新の撮像画像について、サンスクリーン剤の塗布状態(塗布むら)を検出する。具体的に画像解析部112は、撮像画像の各画素における輝度値から、塗布領域と非塗布領域とを特定する。
紫外線を照明した被写体を紫外光波長領域において撮像した撮像画像の一例を、図5(a)に示す。図示するように、被写体の皮膚において、塗布領域Aは低輝度に、非塗布領域Bは高輝度に写りこんでいる。これを利用して画像解析部112は、撮像画像から非塗布領域Bのみを抽出する。
具体的に画像解析部112はまず、撮像画像から解析対象のみを抽出する。例えば対象が顔面の場合には、顔の輪郭をエッジ検出等により認識し、エッジ内の顔面領域のみを抽出する。また、画像解析部112は、さらに目、鼻の穴、唇、眉、髪等の、一般的には塗布対象外の部位を予め用意された顔用のテンプレートとのマッチング等により認識し、顔面領域から除外する。
次に画像解析部112は、画素値の反転処理を実行して反転画像を作成する。これにより、非塗布領域Bは、塗布領域Aよりも低輝度な画素値を有する領域となる。続いて画像解析部112は、反転画像を所定の閾値で二値化処理し、非塗布領域Bのみが黒色で表示される解析画像を得る。このようにして得られる解析画像の一例を、図5(b)に示す。作成された反転画像及び解析画像は、記憶部12の画像記憶領域121へと蓄積される。
なお、非塗布領域とは必ずしもサンスクリーン剤が塗布されていない領域のみを表すものではない。サンスクリーン剤の塗布が不十分である領域をも含んだ、防護効果を得るために塗布を要する領域である。
照射特定部113は、画像解析部112の作成した解析画像から、照射対象となる領域を選択してその照射位置を特定する。例えば図5(b)には複数の非塗布領域Bが存在しているが、照射特定部113は、そのうちの一つを照射対象として選択する。照射対象の選択は無作為に行ってもよいし、面積や位置、或いは二値化前の反転画像における非塗布領域B内の輝度値の平均等に基づいて選択することもできる。具体的には、輝度値の平均が低いもの(塗布領域Aとのコントラストが大きいもの)、面積が最大のもの、目からの距離が小さいもの、等の条件によって適宜選択を行うことができる。
次に照射特定部113は、撮像画像を基準とした2次元の画像座標系において、選択された解析画像上の非塗布領域Bの中心点である画像座標I(x,y)を算出する。そして照射特定部113は、画像座標I(x,y)を撮像装置4の光軸をz軸とするカメラ座標系に変換して、カメラ座標C(x,y,z)を求める。なお、ここでは図4(a)に示すように、撮像装置4から被写体までの距離Dがおおよそ一定であるものとする。よって、カメラ座標系のz座標についても予め定まる所定の値を使用することができる。
なお、このように被写体までの距離Dを略一定とするためには、被写体の位置を一定とする必要がある。これは例えば、被写体が立位で測定を行う場合にはその立ち位置を指示したり、座位で測定を行う場合には椅子の位置を固定したりする等の方法で実現可能である。なお、被写体(例えば、撮像に影響のない頭部等)を固定するための支持台を設ければ、さらに一様な距離が得られる。また、距離画像センサ等を用たり顔の大きさ等から、被写体までの距離をその都度検出してもよい。
照射特定部113は、このようにして得られたカメラ座標C(x,y,z)を、所定の点を原点として定義された世界座標系に変換し、世界座標W(x,y,z)を求める。世界座標系への変換は、カメラの位置及び姿勢を示す予め定められたカメラパラメータに基づいて実行される。そして照射特定部113は、世界座標W(x,y,z)をレーザーが通過するよう照射装置5の照射方向を特定する。
ここで照射特定部113は、照射装置5が複数存在する場合には、どの照射装置5に照射を実行させるかについて特定してから当該照射装置5の位置と方向パラメータに応じて照射方向を算出する。これは、画像座標Iの領域と、当該位置に応じた好適な照射装置5とを紐付けた情報を記憶しておくことによって実現可能である。例えば、顔面の上半分に該当すると考えられる領域に画像座標Iが存在する場合には、被写体を上側から照射可能な照射装置5を用いる。また例えば、顔面の下半分右側に該当すると考えられる領域に画像座標Iが存在する場合には、被写体を右横側から照射可能な照射装置5を用いる。なお、複数の非塗布領域Bが存在する場合には、各照射装置5に非塗布領域Bを割り当てて、同時に照射してもよい。
照射実行部114は、照射特定部113が算出した照射方向にレーザーを照射させる。具体的に照射実行部114は、駆動装置6に対して特定された照射方向の情報を含む駆動命令を出力し、照射装置5を照射方向へ向けさせる。そして、照射装置5にレーザーの照射命令を出力する。このように出射されたレーザー光は、非塗布領域Bに該当する被写体表面により反射されて散乱する。
図6及び7に、照射の実行中に利用者が表面側からダイクロイックミラー2を眺めた場合に視認される像を示す。レーザー光は鏡面上では視認されない非塗布領域Bと略一致する位置に照射されているため、利用者は鏡面上に自らの像と、皮膚に直接照射されるレーザー光(マーカー)とを視認することができる。このようにして利用者は、マーカーによってサンスクリーン剤の塗布がされていない部位や十分でない部位を直感的に知ることができる。
また、上記の各処理は所定のタイミングで繰り返し実行されるため、例えば被写体が位置を変えた場合には、新たな投影画像が作成、投影される。従って、図7に示すように利用者が頭部を動かした場合でも、マーカーは利用者の動きを追従すると共に、最新の塗布状態を標示できる。これにより利用者は、常に現在の塗布状態を視認しながら、むらのない塗布を行うことが可能となる。なお、被写体の動きを追従する目的で、紫外照明光なしで撮像し、動きをモニターしても良い。
ここで、塗布支援装置1のハードウェア構成について説明する。図23は、塗布支援装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図23に示すように、塗布支援装置1は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)901と、各種データを書換え可能に記憶するメモリ902と、各種のプログラム、プログラムの生成するデータ等を格納する外部記憶装置903と、これらを接続するバス904と、を備える。塗布支援装置1は、例えば、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムを、メモリ902に読み込み、CPU901で実行することにより実現可能である。
なお、上記した各構成要素は、塗布支援装置1の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。また、塗布支援装置1が行う処理は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。さらに、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、各機能部は、ハードウエア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウエアで実行されてもよいし、複数のハードウエアで実行されてもよい。
以上のように構成される本実施形態にかかる塗布支援装置1の実行する処理を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8は、本実施形態に係る塗布支援装置1の実行する測定処理の流れを示すフローチャートである。
なお、画像取得部111は、図示しない操作部を介して利用者による開始操作を受け付けると、以下の処理を開始するものとする。しかしながらこれに限らず、他のどのようなイベントをトリガーとして処理を開始してもよい。例えば、図示しない人感センサを設け、ダイクロイックミラー2の前に利用者が一定時間以上存在することを感知し、処理を開始することができる。
画像取得部111はまず撮像画像を取得する(ステップS11)。
具体的に画像取得部111は、利用者から開始操作を受け付けると、照明を実行させるための照明命令を出力し、照明装置3に紫外光を含む照明を開始させる。その後、撮像装置4に撮像を実行させるための撮像命令を出力して、撮像を開始させる。撮像が開始されると画像取得部111は、撮像装置4から所定のタイミング毎に送信される撮像画像を取得し、画像記憶領域121へと格納する。
続いて画像解析部112は、画像の解析を実行する(ステップS12)。
具体的に画像解析部112はまず、画像記憶領域121から最新の撮像画像を読み出して、当該撮像画像から解析対象のみを抽出する。例えば、解析対象が顔面の場合には、撮像画像から顔の輪郭をエッジ検出等により認識し、顔面領域のみを抽出する。また、画像解析部112は、顔面領域からさらに目、鼻の穴、唇、眉、髪等の塗布対象外の部位をテンプレートマッチング等により認識し、除外する。
次に画像解析部112は、画素値の反転処理を実行して反転画像を作成する。そして当該反転画像を所定の閾値で二値化処理することで、非塗布領域Bのみが黒色で表示される解析画像を得る。その後画像解析部112は、生成した反転画像と解析画像とを画像記憶領域121へと格納し、照射特定部113に対して、照射位置の特定要求を出力する。
照射特定部113は、照射位置を特定する(ステップS13)。
具体的に照射特定部113は、画像解析部112からの特定要求を受け付けると、まず解析画像に含まれる非塗布領域B(黒色の画素領域)から、照射対象となる領域を選択する。例えば、二値化処理実行前の反転画像を画像記憶領域121から読み出して、各非塗布領域Bに該当する画素の平均輝度値を算出する。そして、最も輝度値の平均が低い領域を、照射対象として選択する。
次に照射特定部113は、選択された解析画像上の非塗布領域Bの中心点である画像座標I(x,y)から、カメラ座標C(x,y,z)を求め、さらに世界座標W(x,y,z)に変換する。そして照射特定部113は、このようにして求められた世界座標Wをレーザーが通過するよう、照射装置5の照射方向を特定し、当該照射方向に関する情報を含む照射要求を照射実行部114に出力する。
照射実行部114は、レーザーの照射を実行する(ステップS14)。
具体的に照射実行部114は、照射特定部113からの照射要求を受け付けると、駆動装置6に対して、照射方向に関する情報を含む駆動命令を出力する。その後、駆動装置6から駆動を終えた旨の応答を受け付けると、照射実行部114は、照射装置5にレーザーの照射命令を出力する。
次に照射実行部114は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS15)。
具体的に照射実行部114は、図示しない操作部を介して利用者による終了操作を受け付けたか否かを判定する。終了操作があった場合(YES)、照射実行部114は、照明装置3及び撮像装置4に照明及び撮像の終了命令を出力して、一連の処理を終了する。終了操作が無かった場合(NO)、照射実行部114は、ステップS11へと戻り処理を繰り返す。
なお、処理の終了は必ずしも終了操作によるものでなくともよく、例えば、開始後一定時間が経過したことを検出した場合や、図示しないセンサにより一定時間以上ダイクロイックミラー2の前に利用者が存在していないことを検出した場合等に実行してもよい。
また、ステップS14で照射が開始されると、以後は対象の動きをモニターしてレーザー照射を行うモードに移行しても良い。具体的には、照明を紫外光を含まない可視光に切り換え、当該可視光に感度を有する撮像装置によって撮像を行う。そして、このような撮像で得られる情報(例えば撮像対象が顔の場合、眼、鼻、口等の所定の特徴領域からの距離等)に基づいて、利用者(非塗布領域)の動きを検出し、レーザーを追従させる。よって例えば、最初の一度のみ暗室内で紫外光による撮像を行い、以後は室内の可視光照明を点灯させることができる。これにより利用者は、可視照明のもとで塗布状態を確認しながら、サンスクリーン剤の塗布を行うことが可能となる。また、繰り返し撮像用の紫外線を浴びることもない。
以上、塗布支援装置1が処理を行う際の一実施例について説明した。上記したフローの各処理単位は、塗布支援装置1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。また、塗布支援装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分割することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
このように、本発明の塗布支援装置1によれば、実際にサンスクリーン剤が塗布されていない領域や塗布が不十分な領域が、具体的なマーカーとして視認されるため、利用者は塗布を要する部分を直感的に知ることが可能である。
また、常に撮像画像が作成されるために、被写体が移動してもマーカーはその動きを追従し、再塗布が行われても最新の塗布状態を映し出すことが可能である。さらに、必ずしも暗室内での撮像を要さないため、利用者はダイクロイックミラー2に映し出される自らの像とマーカーとを確認しながら、簡便にサンスクリーン剤を塗布することができる。
<第二の実施形態>
次に、本発明の第二の実施形態に係る塗布支援システム100Aについて、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施の形態に係る塗布支援システム100Aの機能構成を説明するためのブロック図である。以下、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては同様の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
塗布支援システム100Aは、照射装置5Aがダイクロイックミラー2Aの裏面側に配置されている点で、第一の実施形態とは異なる。
本実施形態におけるダイクロイックミラー2Aは、上述の紫外光に加え、照射装置5Aに含まれる所定の可視光についても少なくともその一部を半透過する。図10(a)に、ダイクロイックミラー2Aの分光特性の一例を示す。図10(a)の例によれば、ダイクロイックミラー2Aは、およそ530〜560nmの波長域の光を透過するよう構成されている。これは緑色として視認される波長光である。
なお、透過する可視光の波長域は、狭いほど利用者がミラー上で自らの像を自然な色調で視認することができる。しかしながら分光特性は角度依存性を有するため、狭すぎると可視光が非透過となる虞がある。従って、波長域については利用者からの距離等で定まるレーザー光の入射角を考慮し、好適に設計することが望ましい。
なお、ダイクロイックミラー2Aにおける所定の可視光の透過率は、30〜70%、好ましくは40〜60%であることが望ましい。それ以下であれば被写体までレーザー光が届き難く、それ以上では被写体で散乱するレーザー光をミラー上で視認し難い。
照射装置5Aは、少なくともダイクロイックミラー2Aを透過する可視光を含む光源を備えている。上記例でレーザー光に緑色(例えば532nm)を使用すれば、当該緑色光がダイクロイックミラー2Aを透過して利用者に視認される。図10(b)は、照射装置5Aの光路を示す説明図である。照射装置5Aの照射光は、所定の透過率でダイクロイックミラー2Aを透過し、被写体の皮膚で散乱する。この散乱光はダイクロイックミラー2Aにおいて所定の反射率で反射されて、利用者に視認される。もちろん、緑色光以外にどのような色の可視光を用いてもよい。
他の機能部の処理については、第一の実施形態と同様である。
以上、第二の実施形態について説明した。本実施形態によれば、ミラー裏面側からの照射が可能となるため、凹凸(例えば鼻等)によってレーザー光の光路が途切れることなく、一台の照射装置で広範囲への照射が可能となる。
<第三の実施形態>
次に、本発明の第三の実施形態に係る塗布支援システム100Bについて、図面を参照しながら説明する。図11は、本実施の形態に係る塗布支援システム100Bの機能構成を説明するためのブロック図である。
塗布支援システム100Bは、ダイクロイックミラー2Bにおける所定の可視光の透過率が、第二の実施形態とは異なる。
図12(a)に、ダイクロイックミラー2Bの分光特性の一例を示す。図12(a)に示すように、ダイクロイックミラー2Bは、可視光領域の光を略全透過するよう形成されている。
駆動装置6Bは、ダイクロイックミラー2Bと略平行なXY平面上を照射装置5Aごと移動させる。これには例えば、2軸の直交するアームを備える直交ロボットを用いることが可能である。また直交ロボットは、ダイクロイックミラー2B側の半球が走査範囲となるよう照射装置5Aを旋回させる、回転軸を備える。
しかしながらこのような直交ロボットを用いた場合には、アームや照射装置5Aそのものが撮像装置4の撮像画像に干渉する可能性がある。その場合には、干渉が生じ難い位置に撮像装置4を配置することが望ましい。その詳細については、第四の実施形態で説明する。
次に、照射特定部113Bの実行する処理について説明する。図12(b)に、照射装置5Aの光路の説明図を示す。
照射特定部113Bはまず、撮像画像に写りこんだ利用者の瞳孔を検出して、撮像画像上の瞳孔中心の座標を算出し、その世界座標P(x,y,z)を求める。なお、瞳孔中心は瞳孔を楕円に近似する楕円近似法等、既知の方法を用いて算出可能である。またここでは、撮像装置4から瞳孔までの距離D1もおおよそ一定であるものと仮定する。もちろん上述のように、センサ等により瞳孔の詳細位置を特定することも可能である。
次に照射特定部113Bは、照射対象の世界座標W(x,y,z)と、瞳孔の世界座標P(x,y,z)と、の正反射位置(Wからの入射角とPへの反射角が等しくなる鏡面上の位置)の世界座標M1を求める。そして、PとM1を結ぶ線上を、照射装置5の照射位置として特定する。このようなレーザー光は、鏡像面(ミラーを挟んで被写体と面対照の位置に存在する面)上の照射対象M2を通って眼に入射するため、利用者は視認できない非塗布領域と重なる位置にマーカーを視認することができる。広がり角の大きい照射装置5Aを使用すれば、回転機構はなくてもよい。また、照射装置5Aの発光位置は鏡像面近くにある方が、焦点位置が被写体とマーカーが一致するため望ましい。
以上、第三の実施形態について説明した。本実施形態によれば、ダイクロイックミラー2Bが所定の波長域の可視光を100%透過する場合でも、非塗布領域の位置においてマーカーを視認させることができる。
<第四の実施形態>
次に、本発明の第四の実施形態に係る塗布支援システム100Cについて、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施の形態に係る塗布支援システム100Cの機能構成を説明するためのブロック図である。
塗布支援システム100Cは、レーザー光照射ではなく投影によってマーカー表示を行う点で、上記実施形態とは異なる。具体的に、塗布支援システム100Cは、ダイクロイックミラー2Bの裏面側にスクリーン8と、当該スクリーン8のさらに裏面側に投影装置7を備えている。
スクリーン8は、被写体とミラーとの距離D1と略等距離の位置に存在する鏡像面にその表面が重なるよう配置され、投影装置7からの投影画像を映し出す。なお、撮像装置4はスクリーン8と干渉しない位置に設けられており、例えば斜め横や上方向から被写体を撮像する。これはダイクロイックミラー2Bを介して被写体を撮像可能な位置であれば、どのような配置であってもよい。また、撮像装置4の数は1つに限定されず、複数の撮像装置を設けてこれらの画像を合成することで、一の撮像画像を得ることも可能である。
投影装置7は、塗布支援装置1からの投影命令を受け付けると、スクリーン8の裏面側から投影画像を投影する。このような投影装置7は例えば背面投射型のプロジェクタであり、被写体に対し略正面から投影画像を投影し得る位置に配置されていることが望ましい。
画像解析部112Cは、画像解析部112と同様の処理を実行するが、斜め方向から撮像されている撮像装置4の撮像画像を補正する処理を、さらに行う点で異なっている。具体的に画像解析部112Cは、斜め方向から撮像されている最新の撮像画像を画像記憶領域121から読み出し、所定の方向(望ましくは正面方向、具体的には利用者の両目瞳孔間の略中心を通る線がミラー表面と直交する方向)からの画像に補正する。このような補正は例えば、補正前の各画素の座標位置と、補正後の各画素の座標位置と、を対応付け、ここに角度差やレンズの歪曲収差を補正するための補正パラメータを配した変換テーブルを用いることによって実行することができる。ここでは、記憶部12の変換テーブル記憶領域122に予め変換テーブルが記憶されているものとする。画像解析部112Cは、このような変換画像から、反転画像及び解析画像を得る。
標識作成部115は、利用者に塗布状態を視認させるための投影画像を作成する。投影画像とは、投影装置7によりスクリーン8に背面投影される画像であり、非塗布領域Bを表す標識としてのマーカーを含んでいる。
具体的に標識作成部115は、画像解析部112Cが作成した解析画像に含まれる非塗布領域B(図5(b)における黒色の画素領域)のエッジを検出して抽出する。そして、検出されたエッジをマーカーとして、ダイクロイックミラー2Bを透過する特定の波長の光に応じた色と対応付けた投影画像を作成する。図14に、マーカーを含む投影画像の一例を示す。このような投影画像は、記憶部12の画像記憶領域121へと記憶される。
また標識作成部115は、投影時に利用者が視認する鏡像の非塗布領域Bと、スクリーン8のマーカーとが、互いに重なり合うよう投影画像を補正する。このような補正は、撮像画像とスクリーン8、そしてダイクロイックミラー2Bの各座標点を対応させたマップを予め用意しておくことで実現可能である。
投影実行部116は、投影装置7に投影画像をスクリーン8へと投影させる。なお、投影装置7とスクリーン8との距離は一定であり、投影装置7はこの投影距離において合焦した投影画像をスクリーン8に投影可能に予め設定されているものとする。
図15に、投影装置7の投影画像の光路の説明図を示す。投影装置7の投影像としてスクリーン8に映し出されたマーカーに含まれる可視光は、ダイクロイックミラー2Bを透過して表面側で利用者に視認される。
図16に、投影の実行中に利用者が表面側からダイクロイックミラー2Bを眺めた場合に視認される像を示す。利用者は、透過波長領域以外の可視光の反射による自らの像に加えて、ミラーを透過する可視光からなるマーカーを視認することができる。マーカーは、利用者が視認できない非塗布領域Bと略一致する位置に投影されるため、利用者はマーカーによってサンスクリーン剤の塗布がされていない部位や十分でない部位を直感的に知ることができる。
また本実施の形態においても、各処理が所定のタイミングで繰り返し実行されるため、利用者が頭部を動かした場合でも、マーカーは利用者の動きを追従すると共に、最新の塗布状態を標示する。これにより利用者は、常に現在の塗布状態を視認しながら、むらのない塗布を行うことが可能となる。
なお、マーカーは必ずしも非塗布領域のエッジ形状である必要はなく、非塗布領域そのものの形状としてもよい。また、ここではダイクロイックミラー2Bを用いた例を挙げているが必ずしもこれに限定されず、投影画像のマーカーが表面側から視認可能な透過率を有しているダイクロイックミラーであればよい。
以上のように構成される本実施形態にかかる塗布支援装置1Cの実行する処理を、図17に示すフローチャートを用いて説明する。図17は、本実施形態に係る塗布支援装置1Cの実行する測定処理の流れを示すフローチャートである。画像取得部111は、図示しない操作部を介して利用者による開始操作を受け付けると、以下の処理を開始するものとする。
画像取得部111はまず、撮像画像を取得する(ステップS21)。当該処理は、図8に記載のステップS11と同様であるので、詳細な説明は省略する。
画像解析部112Cは、画像の解析を実行する(ステップS22)。
具体的に画像解析部112Cはまず、最新の撮像画像を画像記憶領域121から読み出し、変換テーブル記憶領域122に記憶された変換テーブルを用いて、略正面方向からの画像に補正する。続く処理は、図8に記載のステップS12と同様であるので、詳細な説明は省略する。画像解析部112Cは当該処理が終了すると、標識作成部115に対して投影画像の作成要求を出力する。
標識作成部115は、投影画像を作成する(ステップS23)。
具体的に標識作成部115は、画像解析部112からの作成要求を受け付けると、まず解析画像に含まれる非塗布領域B(黒色で表される画素領域)のエッジを検出する。そして、検出されたエッジを、ダイクロイックミラー2Bの透過する特定の波長の光に応じた色と対応付けて、投影画像を作成する。次に標識作成部115は、鏡像の各非塗布領域Bに各マーカーが重なり合うよう投影画像を補正し、画像記憶領域121へと格納する。そして投影実行部116に対して、投影画像の投影要求を出力する。
投影実行部116は、投影処理を実行する(ステップS24)。
具体的に投影実行部116は、標識作成部115からの投影要求を受け付けると、投影装置7に、投影画像をスクリーン8へと投影させるよう投影命令を出力する。
次に投影実行部116は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS25)。当該処理は、図8に記載のステップS15と同様であるので、詳細な説明は省略する。
以上、第四の実施形態について説明した。本実施形態によれば、投影画像によって非塗布領域をより実際に近い状態で提示することができる。従って塗布状態が詳細に視認可能となるため、マーカー領域をサンスクリーン剤で塗りつぶす等、より直観的な塗布ができる。
<第五の実施形態>
次に、本発明の第五の実施形態に係る塗布支援システム100Dについて、図面を参照しながら説明する。図18は、本実施の形態に係る塗布支援システム100Dの機能構成を説明するためのブロック図である。
塗布支援システム100Dは、フォトクロミック層200を設けている点で、上記実施形態とは異なる。
ダイクロイックミラー2Bは、その表面にフォトクロミズムを示すフォトクロミック層200を有している。フォトクロミック層200は、例えばフォトクロミック化合物からなる薄型のフィルムである。これは通常は無色体であるが、所定の波長領域の光を受光すると分子構造の変化に伴って可視領域の吸収スペクトルも変化し、着色体に移行する。なお、着色体は周囲の熱エネルギーを吸収、或いは所定の波長領域の光をさらに受光することで、無色体に戻る。
このようなフォトクロミック層200にはどのようなフォトクロミック化合物を用いてもよいが、撮像に用いる紫外領域の光で着色が引き起こされるとダイクロイックミラー2D上の鏡像を利用者が視認し難くなる。従って本実施の形態に係るフォトクロミック層200では、着色に可視光領域の光を利用するのが望ましい。例えば、ダイクロイックミラー2Bを透過するおよそ525〜560nmの波長域の光を受光することで着色体に移行し、熱エネルギーを吸収することで無色体に戻るようなフォトクロミック化合物を用いる。
標識作成部115Dは、標識作成部115とほぼ同様の処理を実行するが、投影画像の補正に関する処理が異なる。具体的に標識作成部115Dは、鏡像の非塗布領域Bと、フォトクロミック層200のマーカーとが重なりあうよう、投影画像を補正する。このような補正は、撮像画像とダイクロイックミラー2Bの各座標点を対応させたマップを予め用意しておくことで実現可能である。
図19に、投影装置7による投影画像の光路の説明図を示す。投影装置7は、ダイクロイックミラー2B(フォトクロミック層200)に対し、投影画像を背面投影する。投影画像に含まれるマーカー光は、ダイクロイックミラー2Bを透過してフォトクロミック層200に到達する。するとフォトクロミック層200の受光領域は着色体へと変化するため、利用者は表面側から非塗布領域に重なる着色体を視認することができる。
なお、ここではマーカーの提示手段として投影装置7を用いたが、必ずしもこの限りではなく、照射装置5を用いて鏡像(フォトクロミック層200)上の非塗布領域Bを照射することも可能である。
また、ここではダイクロイックミラー2Bを用いた例を挙げているが必ずしもこれに限定されず、投影画像のマーカーによりフォトクロミック層200が着色体に遷移可能な透過率を有しているダイクロイックミラーであればよい。
以上、第五の実施形態について説明した。本実施形態によれば、投影にスクリーンを用いることなく、利用者に投影画像を視認させることができる。
<第六の実施形態>
次に、本発明の第六の実施形態に係る塗布支援システム100Eについて、図面を参照しながら説明する。図20は、本実施の形態に係る塗布支援システム100Eの機能構成を説明するためのブロック図である。
塗布支援システム100Eは、ダイクロイックミラーに換えて、一般的な鏡であるミラー20を有している点で、上述の実施形態とは異なる。
具体的に、本実施形態に係る塗布支援システム100Eに係るミラー20は通常の正反射鏡であるため、その裏面側から撮像や照射を行うことはできない。従って、撮像装置4と照射装置5は、ミラーを介さずに直接被写体を撮像、照射する。なお、照射装置5については、第一の実施形態におけるものと同様である。また撮像装置4は、照射装置5に隣接する位置に設けることが望ましい。その数についても1つに限定されず、複数の撮像装置を設けてこれらの画像を合成することで一の撮像画像を得ることも可能である。
図21に、照射装置5の光路の説明図を示す。非塗布領域に対して照射された照射光は、被写体の皮膚で散乱し、さらにミラー20で反射されて利用者の眼に到達、視認される。
以上、第六の実施形態について説明した。本実施形態によれば、非常に簡便な構成、かつ安価な装置で塗布状況を知ることができる。
<第七の実施形態>
次に、本発明の第七の実施形態に係る塗布支援システム100Fについて、図面を参照しながら説明する。図22は、本実施の形態に係る塗布支援システム100Fの機能構成を説明するためのブロック図である。
塗布支援システム100Fは、ミラー20に換えてディスプレイ30設けている点で、上記実施形態とは異なる。
塗布支援装置1Fは例えば一般的なコンピュータであり、撮像装置4にはWebカメラ等を用いることができる。また、照明装置3についても、必ずしも塗布支援装置1Fと接続されている必要はなく、別途設けられていてもよい。
標識作成部115Fは、図14に記載の投影画像と同様のマーカーが標示される、合成画像を作成する。なお、マーカーの自由な着色が可能であるため、例えば輝度値(塗布むら)に応じた所定のカラーチャートに則ってマーカーを色分けすることもできる。例えば、二値化前の反転画像における輝度値が低いピクセル(又は平均輝度値が低い領域)は赤で、輝度値が高い領域(又は平均輝度値が高い領域)は緑で表すことにより、利用者は一目で塗布むらを判断することができる。
合成実行部117は、マーカー画像をディスプレイ上に合成表示させる。これにより、利用者の動きをリアルタイムで追従する仮想現実ミラーを構成することができる。
なお、図示しないネットワークと接続することで、塗布状態をサーバに蓄積しておくことも可能である。その際には、利用者に使用しているサンスクリーン剤の種類を登録させておく。これにより、サンスクリーン剤に応じた好適な各種のパラメータを解析することもできる。
以上、第七の実施形態について説明した。本実施形態によれば、一般的な家庭用のコンピュータにおいて、リアルタイムな塗布状態を知ることが可能である。
なお、上記の各実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。また、各実施形態の構成は、他の実施形態に適用することができる。
例えば、サンスクリーン剤の塗布状態を検出する方法は上記の紫外直接法に限定されず、他の手法を用いてもよい。
○紫外間接法
紫外間接法は、紫外線を照射しながら可視光の波長領域における撮像を行うことで、紫外線が真皮に到達した際に発せられる蛍光を観察することで間接的に紫外線を検出する。このような条件で撮像された画像上では、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤の何れの塗布領域でも蛍光が認められないため、低輝度領域となる。一方、非塗布領域は真皮から発せられる蛍光により高輝度領域として観察される。よってダイクロイックミラーには、真皮からの蛍光を透過するものを用いる。
なお、当該方法には、撮像装置4にバンドパスフィルタを使用することが望ましい。これにより蛍光のみの捕捉が可能となる。また、微弱な蛍光を捕捉する為に、撮像は暗所で行うことが望ましい。
○蛍光法
サンスクリーン剤の一部には蛍光物質を含むものが知られており、このような蛍光物質の発する蛍光は、肌が発する蛍光よりも強い。蛍光法は、紫外線を照射しながら可視光の波長領域における撮像を行うことで、サンスクリーン剤そのものが発する蛍光を検出する。このような環境で撮像された画像では、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤の塗布領域が、強い蛍光により高輝度領域として観察される。よってダイクロイックミラーには、サンスクリーン剤の発する蛍光を透過するものを用いる。一方、非塗布領域では、肌の発する微弱な蛍光のみとなるため、塗布領域よりも低輝度領域として観察される。
○赤外直接法
サンスクリーン剤に含まれる化合物のOH基、CH基は、IR領域に吸収スペクトルを有する。また、サンスクリーン剤の一部にはこのような赤外線吸収剤を積極的に含むものが知られており、赤外直接法は、このようなサンスクリーン剤の特徴を利用する。具体的には、赤外線を照射しながら赤外光の波長領域における撮像を行うことで、肌から反射される近赤外線を直接検出する。このような条件で撮像された画像では、赤外線吸収剤の塗布領域は赤外線の吸収により非塗布領域よりも低輝度に観察される。また、赤外線散乱剤の塗布領域についても、赤外線の散乱により非塗布領域より低輝度に観察される。よってダイクロイックミラーには、紫外光に換えて赤外光を透過するものを用いる。
以上、サンスクリーン剤の塗布状態を検出する手法の例について説明したが、本発明は上記例に限らず、他のどのような手法を用いてサンスクリーン剤の塗布状態を解析してもよい。なお、各手法においても塗布領域と非塗布領域とは必ずしも上記通りに観察されるわけではなく、照明パラメータや撮像パラメータ等の観察条件によっては、異なる挙動が観察される場合もある。しかしながら、両領域の輝度差を観察することで評価が実行可能である点については同様である。
なお、上記のような方法から、適した撮像環境を選択可能としてもよい。例えば、利用者に使用しているサンスクリーン剤を選択させて、実際に使用しているサンスクリーン剤に適した撮像条件で撮像を実行することができる。また、周囲の環境(明るさ等)によって、適した撮像環境を選択することも可能である。
また、紫外線で被写体を照明しながら可視光に感度を有する撮像装置4を用いて撮像を行った場合でも、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の塗布領域は、非塗布領域よりも低輝度に観察される。従って必ずしも撮像装置は紫外線カメラである必要は無い。
また、標識して提示する領域は必ずしも非塗布領域Bである必要はなく、塗布領域Aを利用者に提示することもできる。
なお、本願に係る皮膚外用剤とは、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤、又はその混合剤等を含む一般的なサンスクリーン剤に限定されるものではない。例えば、紫外線防護効果の有無にかかわらず、ファンデーション等の化粧品や医薬品等に応用することで、化粧くずれや薬効切れを防止することも可能である。
1,1A〜1F:塗布支援装置、2,2A,2B,2D:ダイクロイックミラー、3:照明装置、4:撮像装置、5,5A:照射装置、6,6B:駆動装置、7:投影装置、8:スクリーン、11:制御部、12:記憶部、13:IF部、20:ミラー、30:ディスプレイ、100,100A〜100F:塗布支援システム、111:画像取得部、112,112C:画像解析部、113,113B:照射特定部、114:照射実行部、115,115D,115F:標識作成部、116:投影実行部、117:合成実行部、121:画像記憶領域、122:変換テーブル記憶領域、200:フォトクロミック層。

Claims (14)

  1. 対象物の実時間像を映す反映手段と、
    前記対象物の皮膚外用剤の塗布状態を判定する判定手段と、
    前記塗布状態を、前記実時間像に提示する提示手段と、を備える
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  2. 請求項1に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記対象物に所定の波長域の紫外光を照明する照明手段と、
    前記紫外光に感度を有する撮像手段と、
    をさらに備える
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  3. 請求項2に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記反映手段は、前記紫外光を透過させ、可視光を反射させるダイクロイックミラーを有し、
    前記撮像手段は、前記ダイクロイックミラーを介して前記対象物を撮像し、
    前記提示手段は、前記対象物に対して可視光を照射することで、前記塗布状態を提示する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  4. 請求項2記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記反映手段は、前記紫外光と所定の波長域の可視光とを透過させ、当該可視光以外を反射させるダイクロイックミラーを有し、
    前記撮像手段は、前記ダイクロイックミラーを介して前記対象物を撮像し、
    前記提示手段は、前記対象物に対し、前記ダイクロイックミラーを介して前記可視光を照射することで、前記塗布状態を提示する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  5. 請求項4に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記ダイクロイックミラーは、前記可視光を半透過させ、
    前記提示手段は、前記対象物の提示対象領域に向けて、前記可視光を照射する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  6. 請求項4に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記ダイクロイックミラーは、前記可視光を略全透過し、
    前記提示手段は、前記対象物の眼と、前記ダイクロイックミラー上における提示対象領域と、を結ぶ線上から前記可視光を照射する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  7. 請求項4に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記提示手段は、
    前記ダイクロイックミラーの裏面側に、スクリーンをさらに有し、
    前記塗布状態を前記可視光で表す投影画像を、前記スクリーンに投影する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  8. 請求項4に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記提示手段は、
    前記ダイクロイックミラーの表面側表面に、フォトクロミック層をさらに有し、
    前記塗布状態を前記可視光で表す投影画像を、前記フォトクロミック層に投影する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  9. 請求項4に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記提示手段は、
    前記ダイクロイックミラーの表面側表面に、フォトクロミック層をさらに有し、
    前記ダイクロイックミラー上における提示対象領域に、前記可視光を照射する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  10. 請求項1又は2に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記反映手段は、ミラーを有し、
    前記提示手段は、前記対象物に対し、可視光を照射することで前記塗布状態を提示する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  11. 請求項1又は2に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記反映手段は、ディスプレイを有し、
    前記提示手段は、前記ディスプレイに表示される前記実時間像に、前記塗布状態を示す画像を合成して表示する
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  12. 請求項1から11の何れか一項に記載の皮膚外用剤の塗布支援システムであって、
    前記塗布状態は、皮膚外用剤の塗布を要する領域である
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援システム。
  13. 対象物の実時間像を映すステップと、
    前記対象物の皮膚外用剤の塗布状態を判定するステップと、
    前記塗布状態を、前記実時間像に提示するステップと、を備える
    ことを特徴とする皮膚外用剤の塗布支援方法。
  14. コンピュータに、皮膚外用剤の塗布状態を評価させるプログラムであって、
    前記コンピュータを、制御手段として機能させ、
    前記制御手段に、
    前記対象物の皮膚外用剤の塗布状態を判定するステップと、
    前記塗布状態を、対象物の実時間像に提示するステップと、を実行させる
    ことを特徴とするプログラム。
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