JP2014081290A - コアキャッチャ - Google Patents

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Abstract

【課題】水密性に優れたコアキャッチャを提供すること。
【解決手段】原子炉炉心が溶融した際に原子炉圧力容器1を貫通した炉心溶融物22を受け止めるコアキャッチャ21において、略皿状に形成された構造体30と、構造体30によって支持され、耐熱材で形成された犠牲層15とを備え、構造体30は、冷却水が流通される複数の配管12,13を皿形状の骨組部材として有し、さらに複数の配管12,13を面的に接続して皿形状を形成する板部材18を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は炉心溶融物を受け止めるコアキャッチャに関する。
原子力発電所に備えられた原子炉格納容器の機能は、万一重大な事故が発生し、炉心内の放射性物質が原子炉圧力容器から放出されても、それらを原子炉格納容器内に閉じ込めることで発電所敷地周辺への漏洩を防ぐことである。例えば、改良沸騰水型原子炉(以下において「ABWR」と称することがある)において、原子炉圧力容器に繋がる配管が破断した場合には、非常用炉心冷却装置等の起動により炉心に冷却水が供給され当該炉心は冷却される。
しかし、極めて小さい確率で、非常用炉心冷却装置の起動失敗等に起因して炉心冷却が不十分となり、炉心が溶融し高温の炉心溶融物が原子炉格納容器床面に落下する可能性がある。炉心溶融物の落下後に注水等で冷却が行われないと、床面のコンクリートと炉心溶融物が非凝縮性ガスを発生しながら反応し、コンクリートを侵食する可能性がある。炉心溶融物とコンクリートの反応は極力抑制することが望ましく、また、当該反応で発生する非凝縮性ガスによる原子炉格納容器の加圧も極力抑制することが望ましい。
そこで、炉心溶融物が原子炉格納容器下部床面に落下する場合を想定して、炉心溶融物を冷却する工学的安全施設の一つにコアキャッチャがある。コアキャッチャは、原子炉格納容器の下部床面上に設置される設備であり、炉心溶融物を受け止め、当該炉心溶融物を下面側から冷却する。
コアキャッチャの構造に関する技術としては、原子炉圧力容器の下方に位置し、冷却水注入配管から供給される冷却水が流れる放射状に延びた複数の冷却チャンネル(冷却流路)を有する本体部と、当該本体部の上部に犠牲コンクリート層を形成したものがある(特開2007−225356号公報参照)。特に、当該技術では、金属に複数の凸部(冷却フィン)を設けるとともに、当該金属における当該凸部側の底面に平板(底蓋)を取り付け、当該凸部及び当該板によって挟まれる空間を冷却チャンネル(冷却流路)としている。
特開2007−225356号公報
上記文献の技術では、凸部(冷却フィン)を設けた金属の底面に対して、平板状の蓋部を取り付けることで冷却チャンネルを形成する構造を採用している。すなわち、2つの異なる部材を接合して冷却チャンネルを構成しているため、当該凸部と当該蓋部の接合部(接合面)に隙間が発生しやすく、当該隙間からの水漏れによる水密性の低減が懸念される。コアキャッチャの水密性が低減すると、炉心溶融物の冷却能力が低下する。
本発明の目的は水密性に優れたコアキャッチャを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、原子炉炉心が溶融した際に原子炉圧力容器を貫通した炉心溶融物を受け止めるコアキャッチャにおいて、略皿状に形成された構造体と、当該構造体によって支持され、耐熱材で形成された犠牲層とを備え、前記構造体は、冷却水が流通される複数の配管を前記皿形状の骨組部材として有し、さらに当該複数の配管を面的に接続して前記皿形状を形成する板部材を有するものとする。
本発明によればコアキャッチャの水密性を向上することができる。
本発明の実施の形態に係るABWRの原子炉建屋概略構造の縦断面図。 本発明の第1の実施の形態に係るコアキャッチャを設置した原子炉格納容器下部の断面図。 本発明の第1の実施の形態に係るコアキャッチャ21における構造体30の上面図。 構造体30から複数の配管12及び板部材18から成る部分を抽出した図。 図4におけるV方向からの矢視図。 他の水管壁パネル26の分割例。 本発明の第1の実施の形態に係る水管壁パネル26の斜視図。 コンクリートで形成した犠牲層15が布設された構造体30の断面図。 本発明の第2の実施の形態に係る格納容器2の断面図。 本発明の第3の実施の形態のコアキャッチャにおける構造体30Bの上面図。 本発明の第4の実施の形態のコアキャッチャにおける構造体30Cの上面図。 本発明の第5の実施の形態のコアキャッチャにおける構造体30Dの上面図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るABWRの原子炉建屋概略構造の縦断面図である。なお、ここでは、サプレッションチャンバ5を備える圧力抑制型の原子炉格納容器2を備えるABWRにコアキャッチャを設置する場合を例に挙げて説明するが、他の形式の原子炉(例えば、加圧水型原子炉)においても適用可能である。
図1に示すように、原子炉格納容器2内には炉心が収められた原子炉圧力容器1が配置されており、原子炉格納容器2の外側には原子炉建屋3が設けられている。原子炉格納容器2は、気密性を確保するために、鋼製ライナを内張りした鉄筋コンクリートによって製造されている。原子炉格納容器2の形状はほぼ円筒形である。原子炉格納容器2の内部は、原子炉圧力容器1などを取り囲むドライウェル4と、サプレッション・チェンバ5などから構成される。ドライウェル4とサプレッション・チェンバ5は、鉄筋コンクリート製のダイヤフラム・フロア6により区画され、ベント管7によって相互に連通されている。
例えば、原子炉圧力容器1や配管類の一部が損傷し、格納容器内に蒸気が放出された場合には、ドライウェル4内に放出された蒸気は、ベント管7を通ってサプレッション・チェンバ5内の水中に導かれ、サプレッション・チェンバ5内の水で凝縮される。これにより原子炉格納容器2内の圧力上昇が抑制される。
図2は本発明の第1の実施の形態に係るコアキャッチャを設置した原子炉格納容器2下部の断面図である。なお、先の図と同じ部分には同じ符号を付し、当該部分の説明を省略することがある(後の図も同様とする)。図2中の矢印は冷却水の流通方向を示している。
図2に示すように、コアキャッチャ21は、略皿状に形成された構造体30と、構造体30によって支持され、炉心溶融物22を受け止めるにコンクリート(耐熱材)で形成された犠牲層15とを備えている。また、コアキャッチャ21(構造体30)は、原子炉圧力容器1の直下に犠牲層15が位置するように原子炉格納容器2の床面11上に設置されている。さらに、構造体30は、床面11上に設置された架台25によって支持されている。
コアキャッチャ21(構造体30)の底面と、原子炉格納容器2の床面11及び内壁面31とによって画定される空間は、コアキャッチャ21(構造体30)の底面に接触するように水が満たされる水槽部19となっている。水槽部19への給水は、例えば、ポンプ等の駆動源を利用することなく自然力により蒸気を凝縮するシステムである静的格納容器冷却系(PCCS)の凝縮水を利用することができる。また、構造体30を形成する冷却水配管12(後述)から犠牲層15上に排出された冷却水が最終的に水槽部19に流れ込むことができるように、構造体30の外周と水槽部19が形成する空間とを連通した構造としても良い。水槽部19に水を満たすと、コアキャッチャ21を下面側からも冷却できるので、冷却性能が向上する。なお、冷却性能の向上という観点からは、水槽部19内で加熱された水を水槽部19の外部で除熱して再度水槽部19内に供給する等して、水を循環供給することが好ましい。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るコアキャッチャ21における構造体30の上面図である(犠牲層15は図示を省略してある)。この図に示すように、構造体30は、冷却水が流通される複数の配管12,13を皿形状の骨組部材として有し、複数の配管12,13の間を面的に接続して皿形状を形成する板状の部材(板部材)18を有している。
この図の例では、他の配管12と比較して径の大きい直線状の主配管13が構造体30の最下端で略水平に配置されている。主配管13の一方の端部には注水配管14が接続されている。注水配管14の他端は、犠牲層15の上面の高さよりも上方に設置された冷却水タンク(図示せず)に接続されている。注水配管14には注水弁16(図2参照)が取り付けられている。注水弁16は格納容器2内に設置された溶融弁であり、格納容器2内の雰囲気が所定の温度に到達すると弁の仕切が溶融して、冷却水タンク内の水が注水配管14を介して主配管13内に導入される。なお、注水弁16は自動で開閉する弁(例えば、電磁弁)としても良い。
図3中の主配管13の左右方向における左側の側面には、複数の配管12が主配管13から離れるほど上方に向かうように一定の角度で接続されており、各配管12は主配管13の軸方向に沿って所定の間隔で配置されている。この左側の複数の配管12(配管群24)は主配管13の左側に位置する略半円状の板部材18を支持する構造体として機能する。また、主配管13の右側の側面についても左側と同様に、複数の配管12が主配管13から離れるほど上方に向かうように一定の角度で接続されている。この右側の複数の配管12は主配管13の右側に位置する略半円状の板部材18を支持する構造体として機能する。このように配管12は主配管13に対して櫛形に配列されており、左右の一対の配管12はV字を描くように主配管12に接続されている。これにより各配管12,13は、構造体30の構造的強度の向上に寄与している。
各配管12は、主配管13から一定の角度で延びた後、構造体30(板部材18)の底面の端部において略鉛直方向に立ち上がり、犠牲層15の上面よりも上方の位置で格納容器2内に開口している(図2参照)。ここでは配管12の当該開口端を出口部23とする。主配管13を介して配管12に冷却水を導入すると、当該冷却水が出口部23を介して犠牲層15上に放出される。犠牲層15の上に冷却水を容易に導入する観点からは、各配管12の開口端は犠牲層15の方に向けることが好ましい。犠牲層15を均等に冷却する観点からは、各出口部23の高さは同じにすることが好ましい。また、配管12の配設態様は図に示した例(櫛形)に限らないが、配管12中での冷却水及び蒸気の滞留によるコアキャッチャ21の冷却性能の低下を抑制する観点からは、各配管12は配管13との接続部から下流側に向かって単調に高さが増加するように配設することが好ましい。
図3に示すように、板部材18全体を上面から見た輪郭は、原子炉格納容器2の内壁面31の形状に合わせて円形になっている。なお、犠牲層15をコンクリートとしたときの施工効率を向上させる観点からは、板部材18の外周に内壁面31に沿って鉛直方向に立ち上がる壁状の部分(壁面部)を設けることが好ましい。当該壁面部は、板部材18及び配管12,13とともにコンクリートの型枠になるので、コンクリートの打設が容易になる。
配管12,13の断面形状は、特に制限は無いが、その肉厚を薄くすることで冷却性能を向上する観点からは、図示した円形のものが好ましい。円形にすれば、構造強度が向上するため、肉厚の増大を抑制できるからである。
図4は構造体30から複数の配管12及び板部材18から成る部分を抽出した図(斜視図)であり、図5は図4におけるV方向から構造体30を見た矢視図(断面図)である。これらの図に示すように、冷却水が流通する複数の配管12とそれらを接続する板部材18は1枚のパネル状に形成されている。配管12が骨組み部材として機能しており、構造材として充分な強度を発揮する。板部材18の厚みは配管12の径より小さい。また、配管12,13の内部の腐食を防止する観点から、少なくとも配管12,13はステンレス鋼で製作することが好ましい。
原子力発電所の格納容器2内で上記のコアキャッチャ21の施工をする場合には、施工性を向上させる観点から、複数の配管12,13と板部材18を有する構造体30を複数に分割したモジュール部材を事前に製造しておき、実際の施工時には当該複数のモジュール部材を架台25上で配置・結合して構造体30を組み立てることが好ましい。このように構造体30を組み立てると、現地での設置作業の工数を最小限にすることができ、現地での施工性を向上させることができる。
この点を鑑み、本実施の形態に係る構造体30は、配管12,13及び板部材18の一部を有する複数のモジュール部材を組み合わせて構成されている。ここでは各モジュール部材を「水管壁パネル26」と称する。図3中の破線は水管壁パネル26の結合位置、すなわち各水管壁パネル26を示す。この図の例では構造体30は、主配管13の軸に沿った方向と当該方向に直交する方向に分割されており、合計18枚の水管壁パネル26によって構成されている。
なお、構造体30の分割方法は図3に示したものに限られず、他の分割方法でも良く、格納容器2内における施工効率等も考慮して適宜変更が可能である。図6に他の水管壁パネル26の分割例を示す。図中の破線から分かるように、この例では主配管13を12分割している。このようにパネル数やパネル形状は任意に設計可能であり、現地での工数も含めて総合的に施工性が向上する分割数と大きさとなるように分割すれば良い。
図7は本発明の第1の実施の形態に係る水管壁パネル26の斜視図である。この図には図3に示した2つの水管壁パネル26a,26bが示されている。水管壁パネル26aは主配管13を備えている。各水管壁パネル26における板部材18の厚みは配管12,13の径より小さい。隣接する水管壁パネル26同士は、配管12同士及び主配管13同士が連通するように結合される。各水管壁パネル26の結合方法としては例えば溶接がある。また、水管壁パネル26aの形状から明らかであるが、本実施の形態に係る構造体30(板部材18)は、主配管13を中心に略V字状に折れ曲がっている。すなわち、主配管13は当該V字の下端に位置する。
なお、ここでは、板部材18が平面の場合について説明するが、後述する例のように、板部材18を曲面で構成し、構造体30を曲面状に成形しても良い。さらに、配管12,13も任意に配置することができ、後述する例のように一枚の水管壁パネル26内で配管12が途中で枝分かれするような構造を採用することも可能であり、冷却に必要な配管流路を自由に形成することが可能である。
構造体30の組み立てが完了したら、その上にコンクリートを流し込んで犠牲層15を布設する。図8にコンクリートで形成した犠牲層15が布設された構造体30の断面図を示す。この図に示すように、本実施の形態における構造体30の上方、すなわち、配管12(13)及び板部材18の上には犠牲層15(コンクリート層)が直接布設されている。このとき、犠牲層15の底面と、配管12,13の側面及び板部材18の上面とは互いに接触しており、配管12,13内を冷却水が流通することで効率良く犠牲層15を冷却できる。なお、犠牲層15の耐熱性を向上させる観点からは、犠牲層15の上部表面には、耐熱材層41を形成することが好ましい。耐熱材層41の具体的な形成手段としては、酸化ジルコニウム(ZnO2)やアルミナ(Al2O3)を含むブロックを犠牲層15上に敷き詰めるものがある。
上記のように構成した本実施の形態に係るコアキャッチャ21において、圧力容器1内で炉心が溶融した場合、炉心溶融物22は、圧力容器1の下部を溶融貫通し、コアキャッチャ21上に落下する。炉心溶融物22は、主配管13及び配管12の上に形成した犠牲層15の上に堆積する。炉心溶融物22が犠牲層15上に落下すると、格納容器2内の雰囲気温度の上昇及び炉心溶融物22からの輻射熱により注水弁(溶融弁)16における弁の仕切りが溶融し、冷却水タンクから主配管13への注水が開始される。主配管13への注水は、冷却水タンク内の冷却水を注水配管14を介して重力落下させることにより行われる。
注水開始後、主配管13に流入した冷却水は、配管13及び複数の配管12を通過しながら犠牲層15を介して炉心溶融物22を冷却する。当該配管13,12内で炉心溶融物22の熱で加熱された冷却水は水と蒸気の二相流となって配管12の上端に位置する出口部23から排出される。排出された水と蒸気のうち、水は犠牲層15及び炉心溶融物22の上面に流入する。そして、炉心溶融物22の崩壊熱により沸騰し、その潜熱により炉心溶融物22を上面から冷却する。冷却水配管群24から排出された蒸気と、炉心溶融物22を冷却する過程で発生した蒸気は、炉格納容器2の上部の静的格納容器冷却設備(図示せず)などの格納容器冷却系で冷却・凝縮され冷却水タンクに戻される。このように冷却水が自然循環して、炉心溶融物22の冷却が継続される仕組みとなっている。
一方、熱抵抗材でもある犠牲層15が炉心溶融物22による侵食で薄くなるにつれて、コアキャッチャ21の除熱量が増大するため、除熱能力が炉心溶融物22の発熱量以上となった時点で犠牲層25の侵食が抑制される。最終的にコアキャッチャ21により炉心溶融物22は保持され、配管12,13を流通する冷却水によって下面側から冷却されるため、原子炉格納容器2の加圧破損や、格納容器床面11の溶融貫通を防止することができる。万が一、原子炉格納容器2外に放射性物質が放出されたとしてもその量は最小限に抑えられる。
上記のように、本実施の形態では、冷却水が流通される複数の配管13,12を骨組部材として有し、さらに当該複数の配管13,12の間を面的に接続して皿形状を形成する板部材17を有する構造体30でコアキャッチャ21を構成した。このように複数の配管13,12を利用すると、構造体30の構造強度を確保しながら、冷却水の流路を配管13,12で形成することができる。複数の配管13,12は、その軸方向では水管壁パネル26ごとに複数に分割されているものの、その周方向では略円筒状の単一の部材で形成されているので、冷却水流路の周方向に複数配置された複数の部材によって流路を構成した場合と比較して水密性を向上できる。
また、配管13,12は構造体30の構造部材として作用するので、犠牲層を支持する構造体を略平板状の複数の部材で形成した場合と比較して、構造体30の強度を向上できる。これにより、コアキャッチャ21の下方の空間をコンクリートで埋める必要がなくなる、図3に示すようにコアキャッチャ21の下方の空間を水槽部19として利用することができ当該水槽部19を流通する冷却水によってコアキャッチャ21の冷却性能を向上させることもできる。
さらに、本実施の形態では、上記の構造体30の強度向上により、配管13,12の外周面に犠牲層15が接触した構造を採用することができるので、冷却流路を構成する部材の厚みが大きい場合と比較して、冷却水で犠牲層15を効率良く冷却することができる。また、本実施の形態に係る配管13,12の断面形状は円形なので、他の形状と比較して構造強度の低下が抑制されるので、配管の肉厚が増大することも回避でき、冷却性能をさらに向上できる。
また、本実施の形態では、構造体30の骨組部材として配管12,13を利用しているため、(1)必要な除熱量が多い部分(例えば、コアキャッチャ21の中心部)を通過する配管を太くし、除熱量が少なくても良い他の部分(例えば、コアキャッチャ21の端部)に配置する配管を細くする、または、(2)中心部を通る配管を稠密に配置し、端部の方に配置する配管は粗に配置するなどといったことも容易であり、冷却性能を最適にすることができる。冷却性能の最適化はコアキャッチャ21の小型化にも繋がる。また、上記では、配管12が直管の場合について説明したが、圧力損失を低減するために中心部分を細く、端では太くなるテーパ状の流路として形成することも可能である。
なお、本実施の形態では冷却水の水源を冷却水タンクとしたが、出口部23をサプレッションチャンバ5の水面よりも下部に配置することで、サプレッションチャンバ5内の水を水源としてもよい。これにより冷却水タンクと同様に動的機器を用いること無くコアキャッチャ21内への冷却水注水が可能となる。また、コアキャッチャ21内冷却配管内への注水方法であるが、本実施の形態での重力による静的な注水以外にも、電力やタービンで駆動されるポンプ等で動的な注水設備を他に備えても良い。さらに、格納容器2の外部に注水配管14への接続口を設け、当該接続口に非常設のポンプを接続することにより配管13,12内に注水できる設備を設けても良い。
次に本発明の第2の実施の形態に係るコアキャッチャについて図9で説明する。図9は本発明の第2の実施の形態に係る格納容器2の断面図である。
既存の技術では、配管12及び犠牲層15の施工作業効率や、受け皿構造の設置の利便性から、配管12は直線状の配管を組み合わせて製作される場合が多い。例えば、第1の実施の形態のように構造体30に係る配管12を直管のみで製作した場合には、図2中のA部(板部材18の外周)のように流路に大きな屈曲部ができる。流路内にこのような屈曲部があると、局所圧力損失が増えて流量配分が偏ったり、除熱性能が場所によって不均一になったりする可能性がある。特に冷却水配管12内の冷却水は蒸気と水の二相流となるため、局所圧力損失が大きいと流動が不安定になり、除熱性能が変動する可能性がある。
これに対して、本実施の形態に係るコアキャッチャ21Aでは、水管壁パネル26は施工までの段階(例えば工場内)において任意形状への成形が容易であることから、水管壁パネル26(すなわち、配管12,板部材18)を曲面状に形成し、構造体30Aの底面に曲率をつけている。すなわち、構造体30Aはボウル状に形成されている。したがって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態で得られた効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、本実施の形態では曲面状の水管壁パネル26を用いて冷却水流路を形成しているので、図9のように圧力損失の小さい滑らかな曲率を持った冷却水流路とすることができ、圧力損失の発生を抑えることができる。
ところで、構造体30における配管13,12の配置は上記のものの他にも、種々の変形が可能である。次にその具体例について説明する。
図10は本発明の第3の実施の形態のコアキャッチャにおける構造体30Bの上面図である。本実施の形態では、構造体30Bの中央部に冷却水溜り20を設置し、そこから複数の配管12Bを放射状に引き出して冷却水流路を構成する。このように配管12Bを放射状にすることで、炉心溶融物22の多くが落下する中心部に配管12Bを密に配置できる。本実施の形態における各配管12Bは直管であり、構造体30Bは略円錐状に形成されているが、圧力損失を低減する観点から、構造体30Bの中心部分では細く、外周部では太くなるテーパ状の配管を用いても良い。この場合、冷却性能の最適化が可能である。なお、図10の例では構造体30Bを12分割し、2種類の水管壁パネルで構成したが、分割数やパネル形状はこれのみに限られない。
図11は本発明の第4の実施の形態のコアキャッチャにおける構造体30Cの上面図である。本実施の形態では、構造体30Cの中央部に冷却水溜り20を設置し、そこから複数の配管12Cを放射状に引き出し、途中で当該配管12Cを二股に分かれさせた形状にしている。このように構造体30Cを構成しても良い。また、水管壁パネルを利用して構造体30Cを形成しているので、分岐を有する冷却水流路の製作が容易である。さらに、分岐した配管12Cを持つ水管壁パネルを事前に製造することで、据付工事時には単純な溶接のみで設置することが可能となり、施工性が向上する。なお、本実施の形態では1箇所の分岐から2本に分岐させたが、1箇所の分岐から3本以上に分岐させても良い。さらに、分割数やパネル形状についても図示したものに限られない。
図12は本発明の第5の実施の形態のコアキャッチャにおける構造体30Dの上面図である。本実施の形態では、構造体30Dの中央部に冷却水溜り20を設置し、そこから複数の配管12Dを放射状に引き出し、途中で当該配管12Cを二股に複数回分かれさせた形状にしている。このように構造体30Cを構成すると、先の例よりもさらに配管を密に配置することができる。なお、本実施の形態では1箇所の分岐から2本に分岐させたが、1箇所の分岐から3本以上に分岐させても良い。さらに、分割数やパネル形状についても図示したものに限られない。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施の形態に係る構成の一部を、他の実施の形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
1…原子炉圧力容器(原子炉容器)、2…原子炉格納容器、3…原子炉建屋、4…ドライウェル、5…サプレッションチャンバ、6…ダイヤフラム・フロア、7…ベント管、8…ドライウェル・ヘッド、9…格納容器貫通部、10…トップスラブ、11…原子炉格納容器の床面、12…配管、13…主配管、14…注水配管、15…犠牲層、16…注水弁、18…板部材、19…水槽部、20…冷却水溜り、21…コアキャッチャ、22…炉心溶融物、23…冷却水の出口部、24…冷却水配管群、25…架台、26…水管壁パネル、27…冷却水の入口部、30…構造体、31…内壁面

Claims (7)

  1. 原子炉炉心が溶融した際に原子炉圧力容器を貫通した炉心溶融物を受け止めるコアキャッチャにおいて、
    略皿状に形成された構造体と、
    当該構造体によって支持され、耐熱材で形成された犠牲層とを備え、
    前記構造体は、冷却水が流通される複数の配管を前記皿形状の骨組部材として有し、さらに当該複数の配管を面的に接続して前記皿形状を形成する板部材を有することを特徴とするコアキャッチャ。
  2. 請求項1に記載のコアキャッチャにおいて、
    前記犠牲層の底面は、前記複数の配管の外周面に接触していることを特徴とするコアキャッチャ。
  3. 請求項1に記載のコアキャッチャにおいて、
    前記構造体は、前記複数の配管及び板部材によって、曲面状の側面を有する略ボウル状に形成されていることを特徴とするコアキャッチャ。
  4. 請求項1に記載のコアキャッチャにおいて、
    前記構造体の下方に位置し、前記容器の外側面に接触するように水が満たされる水槽部をさらに備えることを特徴とするコアキャッチャ。
  5. 請求項1に記載のコアキャッチャにおいて、
    前記犠牲層の上部表面に形成された他の耐熱材からなる層をさらに備えることを特徴とするコアキャッチャ。
  6. 請求項1に記載のコアキャッチャを内部に備え、
    前記コアキャッチャは前記圧力容器の下方に位置することを特徴とする原子炉格納容器。
  7. 原子炉炉心が溶融した際に原子炉圧力容器を貫通した炉心溶融物を、耐熱材から成る犠牲層で受け止めるコアキャッチャの製造方法であって、
    冷却水が流通される複数の配管と当該複数の配管の間を面的に接続する板部材とを有する複数のモジュール部材を結合することで、前記犠牲層を支持する略皿状の構造体を形成することを特徴とするコアキャッチャの製造方法。
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