JP2014075568A - 太陽電池表面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】着強度、耐湿性等の諸特性に優れ、低コストで意匠性に優れ、保護能力の高い太陽電池表面保護シートを提供する。
【解決手段】基材の片面ないし両面に、耐候性層が塗布形成されてなる太陽電池モジュールの表面保護シートにおいて、該耐候性層が水酸基含有フッ素ポリマーとイソシアネート系硬化剤の反応により形成され、イソシアネート基の水酸基に対する比(以下、(NCO/OH)比)が、0.8〜1.5であり、そのガラス転移温度が90℃以下であることを特徴とする太陽電池表面保護シート。
【選択図】なし
【解決手段】基材の片面ないし両面に、耐候性層が塗布形成されてなる太陽電池モジュールの表面保護シートにおいて、該耐候性層が水酸基含有フッ素ポリマーとイソシアネート系硬化剤の反応により形成され、イソシアネート基の水酸基に対する比(以下、(NCO/OH)比)が、0.8〜1.5であり、そのガラス転移温度が90℃以下であることを特徴とする太陽電池表面保護シート。
【選択図】なし
Description
本発明は、太陽電池モジュールの表面保護シートおよび該表面保護シートを用いた太陽電池モジュールに関するものであり、特には、耐久性の高い表面保護シートに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題や脱原発への機運を背景に、太陽光発電への期待が高まっている。太陽光発電は、シリコン、CdTe、CIGS(銅インジウムガリウムセレナイド)などの光電変換素子により起電力を得るものである。一般に光電変換素子は必要出力を得るため複数個接続され、また、外部環境で長期間の使用において発電性能を保持する必要性から、図1に示すように、表面保護材1、封止材2、光電変換素子3、裏面保護シート4のように一体化された形態(太陽電池モジュール5)で用いられる。
太陽電池モジュールの表面保護材は、機械的強度や耐候性の観点から従来はガラス板が用いられてきたが、近年、軽量化やフレキシブル性に対する要望が高まっており、ガラス板をプラスチックフィルムで代替した太陽電池モジュールの実用化が始まっている。
例えば、特許文献1には、硬化性官能基含有含フッ素樹脂塗料の硬化塗膜が形成されてなる太陽電池用表面保護シートが報告されている。しかしながら、この保護シートでは硬化塗膜と基材フィルムとの密着力が劣るという課題が残る。
特許文献2には、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との反応で得られる接着剤によってフィルムを積層することで、フィルムへの接着強度が良好で、更に、長期的な耐候性、耐加水分解性に優れる太陽電池バックシートが報告されている。しかし、フィルムの積層は製造工程が複雑化し、コスト面で不利になるという課題が生ずる。
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、接着強度、耐湿性等の諸特性に優れ、低コストで意匠性に優れ、保護能力の高い太陽電池表面保護シートを提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、基材の片面ないし両面に、耐候性層が塗布形成されてなる太陽電池モジュールの表面保護シートにおいて、該耐候性層が水酸基含有フッ素ポリマーとイソシアネート系硬化剤の反応により形成され、イソシアネート系硬化剤に含まれるイソシアネート基の水酸基含有フッ素ポリマーに含まれる水酸基に対する比率が、0.8〜1.5であり、反応により形成された耐候性層のガラス転移温度が90℃以下であることを特徴とする太陽電池表面保護シートである。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記耐候性層にヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池表面保護シートである。
また、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の太陽電池表面保護シートを用いた太陽電池モジュールである。
本発明によれば、フッ素樹脂中の水酸基が一部未反応の状態で残存し表面保護シート基材との密着性の向上に寄与するフッ素樹脂層を得ることで、耐湿性等の諸特性に優れ、低コストで意匠性に優れ、保護能力の高い太陽電池表面保護シートを提供することができる。
本発明の太陽電池表面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュールの例について図1を参照しながら説明する。
<a.基材フィルム>
本発明の太陽電池表面保護シート5に用いる基材フィルム1としては透明性と耐候性が重要であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂が好ましい。
<a.基材フィルム>
本発明の太陽電池表面保護シート5に用いる基材フィルム1としては透明性と耐候性が重要であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂が好ましい。
基材フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、フッ素樹脂の塗布工程、および水蒸気バリア層、絶縁性やその他の部材との積層工程を少なくとも考慮し選択される。概ね25〜300μmが適当である。
<b.フッ素ポリマー塗料>
水酸基含有フッ素ポリマー塗料としては、構成単位の観点から、たとえば次のものが例示できる。
水酸基含有フッ素ポリマー塗料としては、構成単位の観点から、たとえば次のものが例示できる。
パーフルオロオレフィン単位を主体とするパーフルオロオレフィン系ポリマーの具体例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体、またはTFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)などとの共重合体、さらにはこれらと共重合可能な他の単量体との共重合体などがあげられる。
これらのうち、TFEを主体とするTFE系ポリマーか、ビニリデンフルオライド(VdF)単位を主体とするVdF系ポリマーが、耐候性、共重合性、耐薬品性の点で好ましい。
塗布層には耐候性が要求されるため、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジンなどの紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、トコフェロール系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤も適宜配合することができる。
塗布層の厚さは、3μm〜50μm、より好ましくは5μm〜40μmである。塗布層の厚さが3μm未満では、塗布抜け等が起こり、耐候性が不足する。また、厚さが50μmを超えると、経済的に不利になる。この塗布層の厚さは、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、マイクロメーター等を用いることによって測定可能である。
<c.イソシアネート系硬化剤>
イソシアネート系硬化剤の具体例としては、たとえばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられる。
イソシアネート系硬化剤の具体例としては、たとえばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられる。
イソシアネート基の水酸基に対する比(以下、(NCO/OH)比)は、0.8〜1.5が好ましい。本発明のフッ素樹脂層はフッ素樹脂中の水酸基が一部未反応の状態で残存しており、未反応の水酸基を適度に残すことで透明基材との密着性の良好なフッ素樹脂層を得ようとするものである。未反応の水酸基量は、(NCO/OH)比として0.8より小さい場合、架橋密度が不十分となり塗膜の機械的強度に問題が生じる。また、(NCO/OH)比が1.5より大きい場合、十分な基材密着性が発現しない。
以下に本発明の具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
フッ素樹脂として側鎖に水酸基を有するテトラフルオロエチレン共重合体(NV65[wt%]、水酸基価:65[mgKOH/g])を用い、硬化剤として水素添加キシリレンジイソシアネート(アダクト変性体)(NV75[wt%]、NCO含有率11[wt%])を前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が1.2となるように添加し、さらに紫外線吸収剤(商品名:チヌビン477(BASF))を(紫外線吸収剤/フッ素樹脂)重量比が0.04になるように添加、さらに酢酸ブチルを固形分濃度が50wt%となるよう添加し、さらに粒子径6μmのPTFEフィラーを樹脂固形分に対して20質量%を添加・混合してフッ素樹脂層の塗布液を調製した。フィラーの分散度の測定には深さ15μmの粒ゲージを用いた(JIS K5600−2−5:1999)。該塗布液をPETフィルム(商品名:S10(東レ)、厚み125μm)にドライ厚が15μmとなる条件でワイヤーバー塗布後、熱乾燥とエージングを行い、フッ素樹脂層が形成された透明基材を得た。このフッ素樹脂層形成基材に透明バリアフィルム(商品名:GL−AEH(凸版印刷)、厚み12μm)をウレタン硬化型接着剤で接着し積層化することで太陽電池表面保護シートを得た。
フッ素樹脂として側鎖に水酸基を有するテトラフルオロエチレン共重合体(NV65[wt%]、水酸基価:65[mgKOH/g])を用い、硬化剤として水素添加キシリレンジイソシアネート(アダクト変性体)(NV75[wt%]、NCO含有率11[wt%])を前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が1.2となるように添加し、さらに紫外線吸収剤(商品名:チヌビン477(BASF))を(紫外線吸収剤/フッ素樹脂)重量比が0.04になるように添加、さらに酢酸ブチルを固形分濃度が50wt%となるよう添加し、さらに粒子径6μmのPTFEフィラーを樹脂固形分に対して20質量%を添加・混合してフッ素樹脂層の塗布液を調製した。フィラーの分散度の測定には深さ15μmの粒ゲージを用いた(JIS K5600−2−5:1999)。該塗布液をPETフィルム(商品名:S10(東レ)、厚み125μm)にドライ厚が15μmとなる条件でワイヤーバー塗布後、熱乾燥とエージングを行い、フッ素樹脂層が形成された透明基材を得た。このフッ素樹脂層形成基材に透明バリアフィルム(商品名:GL−AEH(凸版印刷)、厚み12μm)をウレタン硬化型接着剤で接着し積層化することで太陽電池表面保護シートを得た。
<実施例2>
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が1.5となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が1.5となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
<実施例3>
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が0.8となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が0.8となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
<比較例1>
上記実施例1において、水素添加キシリレンジイソシアネートに代えてイソホロンジイソシアネートを硬化剤として用いた以外は全て実施例1と同様の条件で、PETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
上記実施例1において、水素添加キシリレンジイソシアネートに代えてイソホロンジイソシアネートを硬化剤として用いた以外は全て実施例1と同様の条件で、PETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
<比較例2>
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が2.0となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が2.0となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
<比較例3>
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が0.5となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
前記フッ素樹脂と硬化剤の(NCO/OH)比が0.5となるように添加した点以外は全て実施例1と同様の条件でPETフィルムにフッ素樹脂層を形成、バリアフィルムを積層することで太陽電池表面保護シートを得た。
上記各フッ素樹脂層を単独で剥離し、粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー、EXSTAR DMS6100)を使用し、試験片10mm×20mmについて引張りモードにて周波数1Hz、昇温速度2℃/min、温度範囲20℃〜180℃とし、ガラス転移点を測定した。
また、上記各積層シートを50mm四方に切り出し、プレッシャークッカーテスト器(PCT)にかける前と、PCTにおいての高温高湿環境下(温度105℃、湿度100%飽和)に96時間放置した後に接着強度を測定した。測定はクロスカット法に準じて行い、碁盤目テープ法を用いて密着性を評価した(旧JIS K5400準拠、現行JIS K 5600−5−6:1999準拠)。クロスカット法において、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて凹凸構造層を格子状にカットした。クロスカット法よりカットされた格子状カット部は10mm×10mmの範囲に形成するものとする。
表1で、100/100とは、100個の格子を形成し、剥離強度測定で100個残ったことを示し、88/100は、88個残ったことを示す。
表1で、100/100とは、100個の格子を形成し、剥離強度測定で100個残ったことを示し、88/100は、88個残ったことを示す。
実施例1〜3で作成した本発明の太陽電池表面保護シートは、碁盤目の剥離も見られず、耐久性にすぐれた結果が明らかとなった。それに対して、イソホロンジイソシアネートを硬化剤として用いた比較例1では、PCT後に剥離が発生し、不十分な性能のものとなった。また、(NCO/OH)比が2.0となるように添加した比較例2でも、PCT後に剥離が発生した。(NCO/OH)比が0.5となるように添加した比較例3でも、PCT後に樹脂層の強度不足による剥離が発生した。
1・・・表面保護材
2・・・封止材(EVA)
3・・・太陽電池セル(光電変換素子)
4・・・裏面保護シート
5・・・太陽電池モジュール
2・・・封止材(EVA)
3・・・太陽電池セル(光電変換素子)
4・・・裏面保護シート
5・・・太陽電池モジュール
Claims (3)
- 基材の片面ないし両面に、耐候性層が塗布形成されてなる太陽電池モジュールの表面保護シートにおいて、該耐候性層が水酸基含有フッ素ポリマーとイソシアネート系硬化剤の反応により形成され、イソシアネート系硬化剤に含まれるイソシアネート基の水酸基含有フッ素ポリマーに含まれる水酸基に対する比率が、0.8〜1.5であり、反応により形成された耐候性層のガラス転移温度が90℃以下であることを特徴とする太陽電池表面保護シート。
- 前記耐候性層にヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を含む請求項1に記載の太陽電池表面保護シート。
- 請求項1または2に記載の太陽電池表面保護シートを用いた太陽電池モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013027554A JP2014075568A (ja) | 2012-09-14 | 2013-02-15 | 太陽電池表面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012202638 | 2012-09-14 | ||
JP2012202638 | 2012-09-14 | ||
JP2013027554A JP2014075568A (ja) | 2012-09-14 | 2013-02-15 | 太陽電池表面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール |
Publications (1)
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JP2013027554A Pending JP2014075568A (ja) | 2012-09-14 | 2013-02-15 | 太陽電池表面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール |
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JP (1) | JP2014075568A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016111334A (ja) * | 2014-12-08 | 2016-06-20 | エルエス産電株式会社Lsis Co., Ltd. | 太陽電池モジュール |
-
2013
- 2013-02-15 JP JP2013027554A patent/JP2014075568A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016111334A (ja) * | 2014-12-08 | 2016-06-20 | エルエス産電株式会社Lsis Co., Ltd. | 太陽電池モジュール |
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