JP2014074667A - α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する方法 - Google Patents

α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する新規な方法を提供すること。
【解決手段】血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、MUSTag法を用いて、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する方法に関する。
Fabry病は、リソソーム酵素のひとつであるα−ガラクトシダーゼ(GLA)の著明な活性低下により、当該酵素が本来分解する筈の糖脂質が全身の臓器に蓄積して、疼痛、腎不全、心不全や脳血管障害などを来たす遺伝病である。
本症の遺伝型式はX染色体性であり、Fabry病ヘミ接合体の男性では、全ての体細胞でα−ガラクトシダーゼ活性が低下するため、それが直接臨床像に反映し、通常、症状が重くなる。しかし、Fabry病男性患者群を詳しく調べると、α−ガラクトシダーゼ遺伝子の欠失、挿入やナンセンス変異、さらには一部のミスセンス変異やスプライシング変異が原因となり、細胞内α−ガラクトシダーゼ活性がほぼ欠損し、重篤な症状を示す古典型Fabry病患者以外に、他のミスセンス変異やスプライシング変異が原因で、α−ガラクトシダーゼ活性が残存して軽い症状を示す亜型Fabry病患者とが存在する。古典型Fabry病では、全身の臓器障害を認めるが、亜型Fabry病では、主に心臓や腎臓など特定の臓器が障害を受ける。そのため、亜型Fabry病は、障害を受けた臓器に従い、心Fabry病や腎Fabry病などとも呼ばれる。
一方、Fabry病ヘテロ接合体の女性は、X染色体性遺伝の特性であるランダムなX染色体不活化に基づき、その体内にはα−ガラクトシダーゼ活性が低下した細胞群と正常なα−ガラクトシダーゼ活性を持つ細胞群とがモザイク状態に存在する。そのため、両者の存在比により、古典型Fabry病と変わらない程度の重症者からほとんど無症状の者まで極めて多様な臨床像を示す。Fabry病ホモ接合体の女性は、数は少ないが、Fabry病ヘミ接合体の男性と同様の症状を示す。
これまで、血清や血漿などの臨床試料中のα−ガラクトシダーゼ蛋白質の定量には、主にELISA法などの方法が使われてきた。非特許文献1では、濾紙にスポットした血液中のα−ガラクトシダーゼ濃度を用いて、野生型健常体とFabry病ヘミ接合体を識別することができることが報告されている。しかし、Fabry病ヘテロ接合体は、野生型健常体ともFabry病ヘミ接合体とも、識別することができなかった。そして、サポシンC濃度とα−ガラクトシダーゼ濃度の比を用いて初めて、Fabry病ヘテロ接合体と野生型健常体を識別することができるようになった。血漿を用いた場合、Fabry病ヘミ接合体とFabry病ヘテロ接合体は、それぞれ野生型健常体と識別できたが、Fabry病ヘミ接合体とFabry病ヘテロ接合体は、互いに識別できなかった。
Fuller M, Lovejoy M, Brooks DA, Harkin ML, Hopwood JJ, Meikle P: Immunoquantification of α-galactosidase: Evaluation for the diagnosis of Fabry disease. Clin Chem, 50:1979-1985, 2004.
本発明は、血液、血清、血漿中、または細胞や組織において、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施態様は、血液、血清、または血漿中において、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する方法であって、MUSTag法を用いて、前記α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する工程を含む。さらに、前記測定したα−ガラクトシダーゼ濃度を用いて、当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織が、古典型Fabry病患者、亜型Fabry病患者、健常者のいずれに由来しているかを識別する工程を含んでもよい。また、当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、サポシンC濃度を測定しなくてもよい。また、当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、α−ガラクトシダーゼ活性を測定しなくてもよい。
本発明によって、当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織において、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する新規な方法を提供することができるようになった。
本発明の一実施例において作製した検量線を描いたグラフである。 本発明の一実施例において測定した各検体の(A)血漿中のα−ガラクトシダーゼ濃度を示すグラフである。 本発明の一実施例において測定した各検体の(B)血清中のα−ガラクトシダーゼ濃度を示すグラフである。 (A)古典型Fabry病男性患者群、亜型Fabry病男性患者群、Fabry病ヘテロ接合型女性患者群、健常者群の4群における血漿中α−ガラクトシダーゼ濃度を、マンホイットニー(Mann-Whitney)検定を用いて有意差検定した結果、及び(B)古典型Fabry病男性患者群と健常群における血清中α−ガラクトシダーゼ濃度を、マンホイットニー(Mann-Whitney)検定を用いて有意差検定した結果、を示す図である。
実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、M. R. Green & J. Sambrook (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (4th edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2012); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==MUSTag化抗体==
MUSTag化抗体は、例えば、国際公開公報WO2010/001891に記載されている。本文献を引用して、本明細書に援用する。
MUSTag化抗体は、抗原を検出するための抗体複合体であって、標識としての核酸鎖、検出対象であるα−ガラクトシダーゼに特異的に結合する抗α−ガラクトシダーゼ抗体、及び核酸鎖と抗体を結合するアダプター部位を含有し、アダプター部位は、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのいずれかのイムノグロブリン結合ドメインを含有する抗体複合体をいう。
標識としての核酸鎖は、DNAであってもRNAであっても構わないが、検出を容易にするため、DNAであることが好ましい。また、その長さに制限は無いが、切断や検出の際に酵素などが作用し易いように短い方が好ましいが、検出し易いように、十数塩基〜数十塩基の長さのオリゴヌクレオチドが好ましい。さらに、一本鎖または二本鎖であってもよいが、安定性の面から二本鎖であることが好ましい。この核酸鎖をPCRなどで検出するために、核酸鎖の塩基配列は、できるだけ特異的であることが好ましい。
抗体複合体に含まれる核酸鎖と抗体はアダプター部位を介して結合している。それによりオリゴヌクレオチド複合抗体の構造安定性を一層高めることができ、得られる複合体の収率をより向上させるとともに、ひいては検出感度や検出効果を高める等の効果が得られる。このアダプター部位は、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのいずれかのイムノグロブリン結合ドメインを含有していれば、その他の構成は特に限定されない。従って、アダプター部位は、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのタンパク質そのものを含有していてもよく、それらのイムノグロブリン結合ドメインと他のペプチドの融合タンパク質を含有してもよい。なお、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLは、野生型タンパク質のみならず、イムノグロブリン結合活性を有する変異型タンパク質であってもよい。
例えば、イムノグロブリン結合ドメインは、それぞれ、プロテインG(GenBank accession number cDNA: X06173, protein: CAA29540)の場合、303-357番目、373-427番目、443-497番目のアミノ酸の領域であり、プロテインA(GenBank accession number cDNA: M18264, protein: AAA26677)の場合、39-88番目、100-149番目、158-207番目、216-265番目、274-323番目のアミノ酸の領域であり、プロテインL(GenBank accession number cDNA: M86697, protein: AAA25612)の場合、115-173番目、185-245番目、257-317番目、329-389番目、400-462番目のアミノ酸の領域である。
さらに、アダプター部位は、製造する際に必要なtagを含んでもよい。tagの種類は、特に限定されず、GST-tagやMBP-tag、myc-tagやflag-tag等でもよいが、低分子のニッケルに結合できるため、化学架橋工程で影響が無いという点から、tagはHis-tagであることが好ましい。
アダプター部位に含まれるイムノグロブリン結合ドメインは、抗体には直接結合しているが、核酸鎖に対しては、直接的に結合していても、間接的に結合していても構わない。間接的に結合する場合、例えば、アビジン類のビオチン結合ドメインと、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのイムノグロブリン結合ドメインとがリンカー化合物を介して結合するか、あるいは融合タンパク質になっており、一方、核酸鎖がビオチンと結合していて、ビオチン結合ドメインとビオチンが結合する場合や、イムノグロブリン結合ドメインと核酸鎖が共にビオチンを結合していて、これらのビオチン同士がアビジン類を介して結合する場合など、様々な態様が考えられる。リンカー化合物としては、例えば「Sulhsuccinimidy1 4-(N・maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate (Sulfo・SMCC)」等を用いることができる。
ここで、アビジン類は通常ホモ4量体を形成しており、1つのサブユニットにつき1つのビオチン結合ドメインを有するため、タンパク全体で4つのビオチン結合ドメインを有していることになるが、ここで用いるビオチン結合ドメインは、1つのサブユニットがあればよく、また4量体を形成していてもよい。しかし、標識である核酸鎖を溶液中に曝すような構造にするため、プロテインG1分子に核酸鎖1分子を結合させることが好ましく、そのためには、4量体を形成せずビオチン結合ドメインを1つだけ有するような単量体のアビジン類変異体を使用するのが好ましい。例えば、ストレプトアビジンの39-183番目のアミノ酸配列を有するペプチドを使用することにより、ビオチンとの結合活性を失わない単量体のアビジン類変異体を作製できる。
また、アビジン類とは、アビジン、ストレプトアビジンやニュートラアビジンなどのビオチン結合タンパク質のことである。例えば、アビジン(RefSeq accession number cDNA: NM_205320, protein: NP_990651)及びニュートラアビジン(アビジンと配列は同じで脱グリコシル処理したもの)の場合、ビオチン結合ドメインは、アミノ酸28-146番目の領域であり、ストレプトアビジン(GenBank accession number cDNA: X03591, protein: CAA27265)の場合は、アミノ酸39-156番目の領域である。
アダプター部位と抗体は、化学的に架橋されていてもよいが、架橋の種類については、特に限定されない。例えば、アミノ基間架橋,カルボキシル基間架橋,チオール基間架橋などが挙げられる。アダプター部位の中で、抗体と架橋されるアミノ酸残基は特に限定されないが、抗体と直接結合しているイムノグロブリン結合ドメイン中の残基であることが好ましい。このように、核酸鎖、抗体、及び核酸鎖と抗体を結合するアダプター部位を含有する抗体複合体において、アダプター部位と抗体を架橋して架橋型抗体複合体とすることにより、抗原の検出感度が著しく強くなる。
抗体は、検出対象であるα−ガラクトシダーゼに特異的に結合できれば、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であっても構わない。また、抗体の種類に制限は無く、例えばIgGであってもIgMであってもよいが、アダプター部位に含まれるイムノグロブリン結合ドメインが結合する種類の抗体でなければならない。
上述の抗体複合体は、核酸鎖を切り離すことができる切断部位を含んでもよい。この切断部位は、核酸、抗体、アダプター部位のいずれに設けられてもよいが、例えば、核酸に設ける時は、制限酵素による切断部位、抗体やタンパク質のアダプターに設ける時は、プロテアーゼによる切断部位、アダプターとしてクロスリンカー(2価の架橋剤等)を設ける時は光照射や活性酸素によるによる切断部位、というように、設ける場所によって、その特性が異なる。しかし、簡便さと特異性の面で、核酸鎖に制限酵素による切断部位を設けるのが好ましい。
また、核酸鎖を、標識として機能させるため、放射性同位元素、蛍光色素、酵素などのマーカーを結合させてもよい。
==MUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体の作製方法==
核酸鎖、抗α−ガラクトシダーゼ抗体、及び核酸鎖と抗体を結合するアダプター部位を含有するMUSTag化抗体の作製方法は、これらの構成要素を含有するように製造できれば、特に限定されないが、例えば、国際公開公報WO2010/001891に記載された方法を用いることができる。
例えば、まず、アダプター部位に、標識部分となる核酸鎖を結合させ、次いで、アダプター部位を抗α−ガラクトシダーゼ抗体に固定して抗体複合体を製造し、その後、化学架橋剤を用いて、アダプター部位と抗体を架橋してもよい。
アダプター部位に核酸鎖を直接的に結合させる場合は、アダプター部位のどこに結合させてもよいが、例えば、核酸鎖の末端をアミノ基もしくはチオール基で修飾し、アダプター部位中のアミノ基、カルボキシル基、チオール基等の官能基と適切な架橋剤を用いて化学的に架橋することにより結合させることができる。また、アダプター部位に核酸鎖を間接的に結合させる場合は、アダプター部分をアビジン類のビオチン結合ドメインと結合させ、核酸鎖をビオチン化して、両者を常法により混合することにより、核酸鎖をアダプター部分に結合させることができる。あるいは、予めアダプター部分及び核酸鎖等をいずれもビオチン化しておき、常法により当該アダプター部分と核酸鎖とを混合すると共にアビジン類を添加することで、アビジン類を介して核酸鎖をアダプター部分に結合させることもできる。次いで、アダプター部分/核酸鎖結合体と抗体とを、常法により混合することで、抗体複合体を得ることができる。
最後に、この抗体複合体を化学架橋剤で処理することにより、抗体複合体中のアダプター部位と抗体を架橋することができる。架橋剤としては、Dimethyl Pimelimidate、Dimethyl suberimidate、Bis[Sulfosuccinimidyl]suberate等を用いることができるが、架橋の効率を高め、抗体複合体-アダプター部位をより特異的に架橋させるため、Dimethyl Pimelimidateを用いるのが好ましい。
==α−ガラクトシダーゼの検出方法==
抗原としてのα−ガラクトシダーゼの検出に用いるサンプルは、血液であっても、血清であっても、血漿であってもよい。例えば、診断対象のヒトから末梢血を採血し、公知の方法で処理することにより、サンプルを調製することができる。
サンプル中のα−ガラクトシダーゼは、支持体に固定化してもしなくても良いが、例えば、α−ガラクトシダーゼを支持体に固定化し、架橋型抗体複合体をα−ガラクトシダーゼに結合させることにより、架橋型抗体複合体を支持体に結合させる。α−ガラクトシダーゼの支持体への固定化は、直接であっても、抗体などを介して間接的であってもよい。その後、緩衝液で洗浄することにより、未反応の架橋型抗体複合体を除去することができ、高純度の抗原抗体複合体を得ることができる。この支持体には、プラスティックディッシュの底面やビーズなどを用いることができるが、バックグラウンドが少ないため、ビーズを用いるのが好ましい。ビーズは、磁気ビーズ、セファロースビーズなど、市販のタンパク質担体用ビーズ、特に抗体担体用ビーズを好適に用いることができる。
また、α−ガラクトシダーゼを支持体に固定化するのに、α−ガラクトシダーゼを支持体に直接結合させても、間接的に結合させても構わない。直接結合させる場合は、α−ガラクトシダーゼを含む緩衝液を支持体と接触させればよく、間接的に結合させる場合は、支持体に、α−ガラクトシダーゼが結合する物質(例えば、抗体等)を予め結合させ、そこでα−ガラクトシダーゼを含むサンプルを支持体と接触させればよい。特異性を高めるためには、後者の間接結合が好ましい。
α−ガラクトシダーゼに結合したMUSTag化抗体を検出するために、容器ごとPCRなどで、MUSTag化抗体中の核酸を検出してもよいが、検出操作を簡便にするために、核酸を回収するのが好ましい。
核酸は、抗体複合体ごと回収してもよく、例えば、常法に従って、抗原と抗体を解離させることによって抗体複合体を回収することができる。あるいは、核酸だけを回収してもよく、酸処理、アルカリ処理、熱処理、プロテアーゼ処理等を行って、MUSTag化抗体複合体を変性させたり、分解させたりすればよい。
しかしながら、このような過激な処理では、検出をHRPなどの酵素反応で行うことができず、PCRを行うためには、Taqポリメラーゼ等の酵素が機能できるように核酸を精製する必要がある。従って、架橋型抗体複合体に核酸鎖を、制限酵素処理や光処理等の穏やかな処理で切り離すことができる切断部位を設けることが好ましい。そして、核酸鎖の検出をするために、この切断部位で抗原抗体複合体から核酸鎖を切り離し、回収する。この回収工程によって、核酸鎖の検出前に濃縮することができ、より少量の核酸鎖も検出可能になる。
このようにして回収された核酸鎖を検出する。検出方法は特に限定されないが、放射性同位元素、蛍光色素、酵素などのマーカーが核酸鎖に結合している場合、そのマーカーを検出してもよい。しかし、検出感度の点から、核酸鎖を増幅して検出することが好ましい。増幅方法は、常法に従えばよく、PCR法、LAMP法、ICAN法などを用いることができる。また、検出も、電気泳動法など常法を用いればよい。
一方、予め、既知の濃度のα−ガラクトシダーゼ蛋白質標準製品を用いて、上述と同様の方法で、MUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体を用いて、標準曲線を作製しておく。MUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体の使用方法は、特に限定されないが、この場合、正確に定量できるように、回収された核酸鎖を、リアルタイムPCR法で定量することが好ましい。
==Fabry病の診断方法==
まず、診断対象の患者から、検査対象のサンプルを採取する。侵襲性の低さのため、末梢血を採血するのが好ましい。その後、得られた血液から、血清または血漿を調製してもよい。あるいは、患者の細胞や組織であってもよい。細胞や組織は特に限定されないが、白血球が好ましい。
一方、上述したように調整したMUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体を用いて、血液、血清または血漿のサンプル中のα−ガラクトシダーゼ濃度を測定する。
例えば、古典型Fabry病男性患者または古典型Fabry病ホモ接合型女性患者(本明細書では、合わせて、古典型Fabry病患者とも称する)を診断するのに、36pg/mLまたはそれ以下、好ましくは50 pg/mLまたはそれ以下、より好ましくは78pg/mLまたはそれ以下に閾値を設定し、その閾値以下のときに、古典型Fabry病男性患者または古典型Fabry病ホモ接合型女性患者と判定することができる。また、亜型Fabry病男性患者または亜型Fabry病ホモ接合型女性患者を診断するのに、79 pg/mLまたはそれ以上、好ましくは55 pg/mLまたはそれ以上、及び、520 pg/mLまたはそれ以下、好ましくは1821 pg/mLまたはそれ以下に閾値を設定し、その閾値以下のときに、亜型Fabry病男性患者または亜型Fabry病ホモ接合型女性患者と判定することができる。また健常者(Fabry病でない人)を診断するのに、3250 pg/mLまたはそれ以上、好ましくは2950 pg/mLまたはそれ以上、より好ましくは2000pg/mLまたはそれ以上、に閾値を設定し、その閾値以下のときに、健常者(Fabry病でない人)と判定することができる。
ここで、古典型Fabry病とは、α−ガラクトシダーゼ遺伝子の欠失、挿入やナンセンス変異、さらには一部のミスセンス変異やスプライシング変異などが原因となり、細胞内α−ガラクトシダーゼ活性がほぼ欠損し、重篤な症状を示す患者を言い、亜型Fabry病とは、他のミスセンス変異やスプライシング変異などが原因で、α−ガラクトシダーゼ活性が残存して軽い症状を示す患者を言う。古典型Fabry病では、全身の臓器障害を認めるが、亜型Fabry病では、主に心臓や腎臓など特定の臓器が障害を受けるため、亜型Fabry病は、障害を受けた臓器に従い、心Fabry病や腎Fabry病などとも呼ばれる。
==Fabry病の診断キット==
MUSTag化抗体を用いたα−ガラクトシダーゼの検出を容易にするために、必要な試薬をFabry病の診断キットとしてキット化してもよい。
このキットは、標識としての核酸鎖α−ガラクトシダーゼに特異的に結合する抗体、及び核酸鎖と抗体を結合するアダプター部位を含有する抗体複合体を含有する。ここで、アダプター部位は、プロテインG、プロテインAまたはプロテインLのいずれかのイムノグロブリン結合ドメインを含有し、アダプター部位と抗体とは、化学的に架橋されていてもよい。
その他の抗体複合体の態様は、上述した通りである。
このキットには、架橋型抗体複合体の他に、他の構成成分を備えてもよく、様々なバッファー、プライマーや酵素などの検出用試薬を含んでいてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[方法]
(1)MUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体の作製
(1−1)プロテインG/ストレプトアビジン/His-tag融合タンパク質の作製
まず、プロテインG/ストレプトアビジン/His-tagの融合タンパク質(以下、融合タンパク質と呼ぶ。)を作製した。
プロテインGにおけるIgG抗体Fc領域との結合領域を含む部分として、配列番号1(プロテインG全長、GenBank accession number:M13825)に示されるアミノ酸配列のうちの第228番目〜第268番目のアミノ酸配列領域(配列番号2)をコードするDNA(配列番号3に示される塩基配列のうちの第1259番目〜第1381番目の塩基配列(配列番号4))、及びストレプトアビジンにおけるビオチンとの結合領域を含む部分として、配列番号5(ストレプトアビジン全長、GenBank accession number:X03591)に示されるアミノ酸配列のうちの第39番目〜第183番目のアミノ酸配列領域(配列番号6)をコードするDNA(配列番号7に示される塩基配列のうちの第164番目〜第598番目の塩基配列領域(配列番号8)を、リン酸基部位無保護法による化学合成法によって合成した。この際、断片的に合成された個々の二本鎖DNAを結合させて、全長DNAを完成した。その後、合成した各DNAをそれぞれ鋳型とし、下記のプライマーを用いて、〈95℃30秒−55℃30秒−72℃30秒を35サイクル〉の反応条件でPCRを行い、各二本鎖DNAを増幅した。なお、PCRにより得られるDNA断片が両端(小文字部分の塩基配列)に制限酵素認識部位を有するように、各プライマーを設計した。
プロテインGプライマーF:
5'- CATATGCACTTACAAATTAATCCTTAA -3' (配列番号9)
プロテインGプライマーR:
5'- GAATTCGGATCCTTCACCGTCAACACCGTTG -3' (配列番号10)
ストレプトアビジンプライマーF:
5'- GAATTCAAGCTTGCCGGCATCACCGGCACCTG -3' (配列番号11)
ストレプトアビジンプライマーR:
5'- CTGCAGCTGCTGAACGGCGTCGAGCG -3' (配列番号12)
得られたDNA断片をEcoRIで切断後、ライゲーションによって結合させ、再度、プロテインGプライマーFとストレプトアビジンプライマーRを用いて、PCRを行い、融合DNA断片を増幅した。
次に、His-tagとの融合タンパク質を合成するためのバクテリア用発現ベクターpCR2.1(Invitrogen社)を用い、増幅した融合DNA断片をNdeIで切断し、このベクターのNdeI部位に挿入した。このようにして、プロテインG/ストレプトアビジン/His-tagの融合タンパク質(配列番号13)をコードする塩基配列(配列番号14)を有する組換えベクターを構築した。
この組換えベクターを大腸菌DH5αに導入し、IPTGで発現誘導させた後、大腸菌を可溶化して、ニッケルキレートを固相化したセファロースビーズ(品名:Ni-NTA agarose、会社名:QIAGEN、製品番号:30210)を用いて、プロテインG/ストレプトアビジン/His-tagの融合タンパク質を精製した。
(1−2)オリゴヌクレオチドのビオチン化
配列番号15の配列(131塩基)を有するDNAをインサートしたpcDNA3 (Invitrogen社製)を鋳型DNAとし、ビオチン化プライマー(5-MUSTagBio)を含む下記プライマー(配列番号16及び17)を使用して〈95℃60秒−55℃60秒−72℃30秒を35サイクル〉の反応条件でPCRを行うことにより、5'末端がビオチン化されたオリゴヌクレオチド鎖#1(配列番号15)を合成した。
#1:
5’-[Biotin]-CACTGCTTACTGGCTTATCGAAATGGAATTCTGCATGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATAGCATAGTGTCACCTAAATGCTAGGCACCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGCACACCAAACGTGGCTTGCC-3’ (配列番号15)
同様に、配列番号18の配列を有するDNAをインサートしたpcDNA3 (Invitrogen社製)を鋳型とし、同じプライマー(配列番号16、17)を用いて、5'末端がビオチン化されたオリゴヌクレオチド鎖#7(配列番号18)を合成した。
#7:
5’-[Biotin]-CACTGCTTACTGGCTTATCGAAATGGAATTCTGCATGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATAGCATAGTGTCACCTAAATGCTAGGCAACCGACAATTGCATGAAGAACTCGCACATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCACCACCAAACGTGGCTTGCC-3’ (配列番号18)
〈PCR用プライマーの配列〉
5-MUSTag primer Bio-F:
5'-[Biotin]-CACTGCTTACTGGCTTATCGAAA-3' (配列番号16)
3-MUSTag primer R:
5'-GGCAAGCCACGTTTGGTG-3' (配列番号17)
(1−3)MUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体の作製
微量遠心チューブに、結合バッファー(0.2 M Borate pH 9.0, 0.5 M NaCl, 0.1 mM EDTA, 0.05% Monocaprate)243.4 μl、融合タンパク質 6.6 μl(100 pmol)、ビオチン化オリゴヌクレオチド(配列番号15)を40 μl(100 pmol)加え、室温0.5時間、回転させながら、融合タンパク質のストレプトアビジン部位とビオチン化オリゴヌクレオチドを結合させた。その後、抗α−ガラクトシダーゼ抗体(0.5 mg/ml)を60 μl(200 pmol)加え、室温で1時間、回転させながら、融合タンパク質のプロテインG部位と抗体を結合させた。
使用直前にカップリングバッファーで6 mMに調整したDMP(Pierce, #21667, MW 259.177)を反応溶液と等量(約350 μl)加えて混合し、1時間、室温で静置した。1M Tris(pH 7.4)を最終濃度50 mMになるように加えて、15分間、室温で静置し、架橋反応を停止させた後、0.45 μm PTFEフィルター(製品名:Millex FH, 会社名:Millipore, 製品番号:SLFHR04NL)でろ過した。最後に、下記の条件で反応液をゲル濾過クロマトグラフィーにより分画し、最も分子量の大きいピークの画分を回収してMUSTag溶液とした。溶液中のMUSTagの濃度は、作製に用いた抗体を標準とし、ELISAで比較することにより測定した。
〈ゲル濾過クロマトグラフィーの条件〉
機器:製品名:SMART system, 会社名:旧Pharmacia(現GE Healthcare, 製造中止品)
カラム:製品名:Superdex 200 PC 3.2/30, 会社名:GE Healthcare, 製品番号:17-1089-01)
バッファー:10 mM Tris-HCl pH 7.4, 0.5 M NaCl, 0.1 mM EDTA, 0.05% Monocaprate
流速:100 μl/min
(2)血漿サンプル中のα−ガラクトシダーゼ濃度の測定
(2−1)Fabry病患者血漿および血清サンプル中のα−ガラクトシダーゼの検出
磁気ビーズ(Dynabeads M-280 Tosylactivated, Invitrogen社)に捕捉用抗体(Anti-GLA mouse monoclonal antibody , clone No.:4F2G4, IgG1)をカップリング反応で結合させ、1%感作ビーズを作製した。1%感作ビーズは、測定まで4℃で保存した。なお、作製手順はDynabeads M-280 Tosylactivated, Invitrogen社のプロトコールに従って行った。
次に、MUSTag Beads Assay Buffer(0.05% Tween20, 0.45 M NaCl, 50 mM Phosphate Buffer(pH7.4), 10% Goat serum)4935 μlに1%感作ビーズ25 μlとMUSTag化抗α−ガラクトシダーゼ抗体40 μl(1 μg/mL)を加え、Beads/MUSTag mix液を調製した。
検量線用のスタンダードは、標準抗原にGenzyme社の組換えヒトα−ガラクトシダーゼ(agalsidase beta, Fabrazyme(登録商標))を使用し、抗原希釈液(0.05% Tween20, 0.45 M NaCl, 50 mM Phosphate Buffer(pH7.4))にて濃度が20,000, 4,000, 800, 160, 32, 6.4 および1.28 pg/mLになるように希釈した。ブランクには抗原希釈液を使用した。
96 well U底プレート(cat No.650001, Greiner 社)の各ウェルにBeads/MUSTag mix液 50μLを分注し、Fabry病患者血漿または血清(抗原希釈液で10倍希釈したもの)またはスタンダードを50μL加え、プレートシェーカーを用いて攪拌させながら室温で2時間反応させた。1検体につき3ウェル分(triplicate)ずつ測定を行った。
反応終了後、96well Magnetic-Ring Stand (Applied Biosystems社)上にプレートを3分間静置してから、上清を除去した。上清除去後、Wash Buffer(0.05% Tween20, 0.5 M NaCl, 20 mM Tris-HCl(pH7.4))を各ウェルに200μL加え、プレートシェーカーにて攪拌し、96well Magnetic-Ring Stand上にプレートを3分間静置してから、Wash Buffer を除去した。この操作を4回繰り返し、磁気ビーズの洗浄を行った。
洗浄後、抗原・MUSTag化抗体が結合した感作ビーズにEcoRI制限酵素溶液(EcoRI, NIPPON GENE社)を30μL加え、プレートシェーカーで攪拌させながら室温で15分間反応させ、96well Magnetic-Ring Stand 上にプレートを3分間静置し、上清を回収した。
回収したEcoRI反応後のサンプル液を蛍光プローブ[FAM; 励起波長492 nm/蛍光波長516 nm]によるリアルタイムPCR法(リアルタイムPCR試薬;FastStart Universal Probe Master(ROX), Roshe社・リアルタイムPCR装置; Mx3005P, Stratagene社)にて解析した。なお、プライマーは、配列番号16、17のオリゴヌクレオチドを用い、プローブは、5'-[6-FAM]-CCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTT-[BHQ1]-3'(配列番号19)を用いた。
(2−2)血漿および血清中のα-ガラクトシダーゼ濃度の算出
リアルタイムPCR法で得られたCt値よりGraphPad Prism version 5.02(GraphPad Software Inc.)を用いた非線形回帰分析を行い、血漿および血清中のα-ガラクトシダーゼ濃度を算出した。
非線形回帰分析は、標準抗原を使用したスタンダードのCt値を元に、スタンダードの設定濃度を片対数グラフの横軸(対数軸)、得られたCt値の平均値を縦軸(線形軸)にプロットし、4パラメータロジスティックモデルで回帰し、曲線の関数は次式として求めた。
[結果]
リアルタイムPCR法で得られたスタンダードのヒトα-ガラクトシダーゼのCt値を用いて非線形回帰分析により検量線を算出し、図1に示した。3xSD法による検出限界を求めたところ、本測定時の検出限界は17.8 pg/mLであった。これらの検量線のR squareは0.9946であったので、この数式により求められる値は実際の値と近似した値を示すといえる。
リアルタイムPCR法で得られたCt値より、図1の検量線の数式を用いて、様々な遺伝子型を有するFabry病患者血漿または血清中のα-ガラクトシダーゼ濃度を算出した(表1、図2)。
ここで、Fabry病患者は、臨床的にFabry病の症状を示し、血漿中のα-ガラクトシダーゼ活性を測定して、著しい活性低下が認められればFabry病と診断した。そして、血液からDNAを抽出し、α-ガラクトシダーゼ遺伝子の塩基配列を決定することにより、各患者の遺伝子型を決定した。
図3(A)に示すように、血漿中のα-ガラクトシダーゼ濃度をマンホイットニー(Mann-Whitney)検定を用いて検定したところ、健常群と古典型Fabry病男性患者群間のp値は0.0119、健常群と亜型Fabry病男性患者群間のp値は0.0079、健常群とFabry病ヘテロ接合女性患者間のp値は0.1111、古典型Fabry病男性患者群と亜型Fabry病男性患者群間のp値は0.0212、古典型Fabry病男性患者群とFabry病ヘテロ接合女性患者間のp値は0.1706であったので、古典型Fabry病男性患者群と亜型Fabry病男性患者群及び健常群の血漿中のα-ガラクトシダーゼ濃度には差があると考えられた。
また、図3(B)に示すように、血清中のα-ガラクトシダーゼ濃度をマンホイットニー(Mann-Whitney)検定を用いて検定したところ、健常群と古典型Fabry病男性患者群間のp値は0.0026であったので、この2群間の血清中のα-ガラクトシダーゼ濃度には差があると考えられた。
このように、血液、血清、または血漿中において、MUSTag法を用いて、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定することにより、古典型Fabry病(ヘミ接合型男性患者、ホモ接合型女性患者)、亜型Fabry病(ヘミ接合型男性患者、ホモ接合型女性患者)、健常(野生型)のそれぞれを識別することができる。

Claims (4)

  1. 当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する方法であって、
    MUSTag法を用いて、前記α−ガラクトシダーゼ濃度を測定する工程を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記測定したα−ガラクトシダーゼ濃度を用いて、当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織が、古典型Fabry病患者、亜型Fabry病患者、健常者のいずれに由来しているかを識別する工程を含む方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、サポシンC濃度を測定しないことを特徴とする方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、
    当該血液、血清、血漿中、または細胞や組織中において、α−ガラクトシダーゼ活性を測定しないことを特徴とする方法。
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芝崎太 ほか: "MUSTag 法による蛋白バイオマーカーの超高感度多項目測定と簡易・迅速診断への応用", 臨床病理, vol. 57巻 11号, JPN6016030277, November 2009 (2009-11-01), pages 1104 - 1112, ISSN: 0003495197 *

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